特許第6263273号(P6263273)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6263273
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】自動車のエアベントノブ構造
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/34 20060101AFI20180104BHJP
【FI】
   B60H1/34 611Z
   B60H1/34 651B
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-551848(P2016-551848)
(86)(22)【出願日】2015年2月24日
(65)【公表番号】特表2017-514734(P2017-514734A)
(43)【公表日】2017年6月8日
(86)【国際出願番号】KR2015001752
(87)【国際公開番号】WO2015126222
(87)【国際公開日】20150827
【審査請求日】2016年8月11日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0021211
(32)【優先日】2014年2月24日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】515258114
【氏名又は名称】株式会社ニフココリア
【氏名又は名称原語表記】NIFCO KOREA INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】特許業務法人 大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チョ、テヒュン
【審査官】 河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−096279(JP,A)
【文献】 実開平05−082617(JP,U)
【文献】 特開平10−250357(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第01080959(EP,A2)
【文献】 特開2003−276428(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H 1/34
B60H 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアベントの前面に設置されて、吐出される風の方向を案内するエアベントウイング(10)を、ノブ(20)に設けられた組付孔(21)内に組み付けてなるエアベントノブ構造であって、
前記ノブ(20)に結合される前記エアベントウイング(10)の前面に前方ストッパー(11)が形成され、その背面にノブ係合溝(12)が形成され、
前記ノブ(20)の、前記組付孔(21)の内部に位置する前端部に形成された組付溝(22)に、ゴム片(30)が組み付けられ、該ゴム片(30)に、前記エアベントウイング(10)の前記前方ストッパー(11)を受容し、かつ前記前方ストッパー(11)に対してスライド可能な前方スライド溝(31)が形成され、
前記ノブ(20)の後方両側端部には、前記エアベントウイング(10)の前記ノブ係合溝(12)の両側内壁面に当接可能な後方ストッパー(23)が形成されており、
前記ノブ(20)の前記前方ストッパー(11)が前方スライド溝(31)に沿って左右に相対移動し得る移動距離(l)は、前記後方ストッパー(23)が前記ノブ係合溝(12)に沿って左右に相対移動し得る移動距離(L)よりも小さく形成されることにより、先に前記前方ストッパー(11)が、前記ゴム片(30)の前方スライド溝(31)の壁面に当接するようにされていることを特徴とする自動車のエアベントノブ構造。
【請求項2】
前記ノブ(20)の移動により前記前方ストッパー(11)が前記ゴム片(30)の前方スライド溝(31)の側壁面に当接したときに、前記後方ストッパー(23)は、前記ノブ係合溝(12)の対応する側壁面に対して離隔した位置を占め、
前記後方ストッパー(23)が、前記ノブ係合溝(12)の側壁面に当接したときには、前記前方ストッパー(11)は、前方スライド溝(31)の側壁面内に突入するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の自動車のエアベントノブ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のエアベントノブ構造に関し、特に、エアベントの風向を調整するノブの移動に伴う衝撃音を減少させ、操作感を向上することにより、商品価値を向上させるような技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、自動車用エアベント(Air−Vent)は、自動車室内の温度を適正に維持するための空調システムのエア吐出手段をなす。
【0003】
空調システムから得られた温風または冷風がエアベントを介して吐出されるが、このようなエアベントは、自動車室内に露出しているために、デザイン、操作性及び利便性が重要視されている。
【0004】
韓国特許公報10−1305807号には、ノブ操作時に、ベーン本体或いはウイング本体に対する摩擦を低減することができる従来技術として、図1に示すようにノブ(2)のスリット内部に一つの係合突起(2a)が形成され、上記ノブ(2)のスリットに挿入されたエアベントウイング(1)のスライド部両端部に、係合突起(2a)が乗り越えるべき対応係合突起(1a)を形成した構成が開示されている。
【0005】
即ち、エアベントウイング(1)を上死点または下死点の位置まで移動させると、ノブ(2)の係合突起(2a)がエアベントウイング(1)の係合突起(1a)を乗り越え、「カチッ」という音と振動をユーザーに伝えることになる。
【0006】
これにより、エアベントの吐出口が完全に閉塞されたことをユーザーに感じさせることができ、エアベントのノブ操作性を向上させることができる。
【0007】
上記した従来技術では、ノブの操作に応じた振動や音の発生により、ユーザーがエアベントの閉鎖を認識できるようにしたものであるが、認識のための手段であるノブの係合突起が、エアベントウイングの対応係合突起を乗り越えなければならず、一定量の操作荷重を要するばかりでなく、衝撃音が発生することから、ユーザーに不快感をもたらすという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国特許公報第10−1305807号 − 「エアベントウイング組立体」(公告日2013年09月06日)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、このような従来技術の問題点を鑑みて案出されたものであり、その主な目的は、ユーザーのノブ操作時に衝撃や騒音が発生しないようにしつつ、作動感を向上させることができるようにした自動車のエアベントノブ構造を提供することにある。
【0010】
本発明の第2の目的は、ウイング本体及びノブの組立工程に際して、衝撃音を防止するための別途の部品を不要とし、組立工程を簡便化し、作業能率を向上させるようにした自動車のエアベントノブ構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記の目的を達成するために、エアベントの前面に設置されて、吐出される風の方向を案内するエアベントウイング(10)を、ノブ(20)に設けられた組付孔(21)内に組み付けてなるエアベントノブ構造であって、前記ノブ(20)に結合される前記エアベントウイング(10)の前面に前方ストッパー(11)が形成され、その背面にノブ係合溝(12)が形成され、前記ノブ(20)の、前記組付孔(21)の内部に位置する前端部に形成された組付溝(22)に、ゴム片(30)が組み付けられ、該ゴム片(30)に、前記エアベントウイング(10)の前記前方ストッパー(11)をスライド可能に受容する前方スライド溝(31)が形成され、前記ノブ(20)の後方両側端部には、前記エアベントウイング(10)の前記ノブ係合溝(12)の両側内壁面に当接可能な後方ストッパー(23)が形成されていることを特徴とする自動車のエアベントノブ構造を提供する。
【0012】
また、前記ノブ(20)の前記前方ストッパー(11)が、前方スライド溝(31)に沿って左右に相対移動し得る移動距離(l)は、前記後方ストッパー(23)が前記ノブ係合溝(12)に沿って左右に移動し得る移動距離(L)よりも小さく形成されることにより、先に前記前方ストッパー(11)が、前記ゴム片(30)の前方スライド溝(31)の壁面に当接するようにされていると良い。
【0013】
更に、前記ノブ(20)の移動により前記前方ストッパー(11)が前記ゴム片(30)の前方スライド溝(31)の側壁面に当接したときに、前記後方ストッパー(23)は、前記ノブ係合溝(12)の対応する側壁面に対して離隔した位置を占め、前記後方ストッパー(23)が、前記ノブ係合溝(12)の側壁面に当接したときには、前記前方ストッパー(11)は、前方スライド溝(31)の側壁面内に突入するように構成されていると良い。
【発明の効果】
【0014】
このような構造からなる本発明によれば、ノブ内部に弾性的なゴム片が挿入され、このゴム片を用いてエアベントウイングの移動操作時に於ける、ノブとの当接に際する衝撃及び騒音を防止することができる。
【0015】
従って、ノブを操作してエアベントウイングの位置を変更させる使用感の向上を図ると同時に、製作工程を単純化し、組み立てが簡単であって、作業時間を短縮させることができることから多大な効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】従来形式のノブ構造に関わる実施例を示す断面図。
図2】一般的なエアベントの構成を示す斜視図。
図3】本発明に基づくノブ及びエアベントウイングの組み付け状態を示す斜視図。
図4】本発明に基づくノブ及びエアベントウイングのA−A線断面図。
図5】本発明の実施例に於いて、ノブの操作に応じて、ゴム片に1次接触した状態を示す断面図。
図6】ノブの操作に応じて、エアベントウイングに2次接触した状態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付の図面を参照して、上記の目的を達成するための本発明の構成を詳しく説明する。
【0018】
本発明に基づく自動車のエアベントノブ構造は、エアベントの風向を調整するノブの移動に伴う衝撃音を減少させ、操作感を向上することにより、商品価値を高めるようにしたものである。
【0019】
本明細書では、使用時に於ける方向を基準として、添付された図2及び図3を参照して本発明の好適実施例を説明する。車両用エアベント100は、その前面にノブ20が露出するように構成され、ノブ20の操作により、エアベントウイング10の位置を変更して、エアベントの内部空気通路を介して流入する冷風又は温風を、車室内の所望の方向に吐出するように構成されている。
【0020】
ここでは、上下方向調節エアベントウイング10は、ノブ20の組付孔21に組み付けられ、左右方向調節エアベントウイング(図示せず)は、ノブ20の後方の係合部に結合して、ユーザーが、ノブ20の操作に応じて、風の方向を上下及び左右方向に簡単に変更することができる。
【0021】
本実施例では、エアベント前面に位置する上下方向調節エアベントウイング10にノブ20を結合させた場合について説明するが、他の実施例として、エアベント前面に左右方向調整エアベントウイングを配置して、このエアベントウイングにノブを組み合わせた製品にも本発明を適用可能であることは言うまでもない。
【0022】
ノブ20は、上下方向調節エアベントウイング10が結合される組付孔21の一部を画定するノブ本体20aと、左右方向の調整エアベントウイングが挿入される係合部としての嵌合孔を備え、ノブ本体20aの後方に結合されて組付孔21の残余の部分を画定する後方カバー20bとにより構成されている。
【0023】
従って、ノブ本体20aの組付孔21にエアベントウイング10を配置し、その後方で後方カバー20bを、ノブ本体20aに結合することにより、エアベントウイング10がノブ20に結合され、ノブ20の操作に応じて、エアベントウイング10の方向を調整することができることとなる。
【0024】
ノブ20に結合されたエアベントウイング10の前面には、前方ストッパー11が形成され、背面にはノブ係合溝12が形成されている。
【0025】
ノブ20の組付孔21の内部には、弾力性を有する材質で形成されたゴム片30が組み付けられ、該ゴム片30の前端に、組立溝22が形成されている。
【0026】
ゴム片30の後端には、前方スライド溝31が形成され、該前方スライド溝31には、エアベントウイング10の前方ストッパー11が挿入されていることにより、前方ストッパー11が前方スライド溝31に沿って左右方向に移動可能にされている。
【0027】
ノブ20の後方カバー20bには、ノブ係合溝12の両側内壁面に当接し得るように、ノブ係合溝12に受容された後方ストッパー23が左右に突出形成されている。
【0028】
この点に関して、ノブ20の前方ストッパー11が前方スライド溝31に沿って左右に相対移動し得る移動距離lが、後方ストッパー23がノブ係合溝12に沿って左右に移動し得る移動距離Lよりも約0.5mm小さく形成することにより、前方ストッパー11がゴム片30の前方スライド溝31の壁面に最初に当接するようにすることが重要である。
【0029】
即ち、本発明の実施例に於いては、図5に示した例のように、ノブ20が、例えば左方に移動して、前方ストッパー11がゴム片30の前方スライド溝31の右側壁面に当接すると、後方ストッパー23は、ノブ係合溝12の左側壁面と0.5mm離隔した位置を占める。
【0030】
従って、エアベントウイング10の方向を変更するために、ノブ20をいずれの方向に操作しても、弾力性を有するゴム片30に前方ストッパー11が当接することにより、衝撃や衝撃音が発生せず、使用感を向上させることができる。
【0031】
そして、ゴム片30に前方ストッパー11が接触した状態で、ノブ20が左方向に向かって更に移動すると、図6に示すように、後方ストッパー23がノブ係合溝12の左側壁と当接し、一方、前方ストッパー11は、前方スライド溝31の右側壁内に弾性的に突入する。
【0032】
このように、前方スライド溝31の一方の側壁が前方ストッパー11に当接したとき、ゴム片30は、前方ストッパー11が突入して来ることにより、弾性的に収縮変形する。従って、操作者の作動力を除去すると、収縮した前方スライド溝31の一方の側壁が元の状態に復元し、前方ストッパー11を、図5の状態に押し返すこととなる。
【0033】
即ち、ノブ20を、オペレーターが左方向に急激に移動させた場合でも、前方ストッパー11が、弾力性を有するゴム片30に最初に当接した後、後方ストッパー23がノブ係合溝12と当接することにより、ノブ20の急激な移動に伴い発生し得る衝撃及び衝撃音を未然に防止することができる。
【0034】
以上説明した本発明は、上記した実施例或いは添付の図面によって限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で様々な置換、変形及び変更が可能であることは、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者にとって明らかであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6