特許第6263275号(P6263275)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6263275
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】三次元物体の生成
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/165 20170101AFI20180104BHJP
   B29C 64/194 20170101ALI20180104BHJP
   B29C 64/393 20170101ALI20180104BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20180104BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20180104BHJP
   B33Y 50/00 20150101ALI20180104BHJP
   B22F 3/16 20060101ALI20180104BHJP
   B22F 3/105 20060101ALI20180104BHJP
   B22F 3/02 20060101ALI20180104BHJP
   B28B 1/30 20060101ALI20180104BHJP
【FI】
   B29C64/165
   B29C64/194
   B29C64/393
   B33Y30/00
   B33Y50/02
   B33Y50/00
   B22F3/16
   B22F3/105
   B22F3/02 Z
   B28B1/30
【請求項の数】15
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-554686(P2016-554686)
(86)(22)【出願日】2014年3月31日
(65)【公表番号】特表2017-512675(P2017-512675A)
(43)【公表日】2017年5月25日
(86)【国際出願番号】US2014032379
(87)【国際公開番号】WO2015152875
(87)【国際公開日】20151008
【審査請求日】2016年8月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】511076424
【氏名又は名称】ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー.
【氏名又は名称原語表記】Hewlett‐Packard Development Company, L.P.
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100082946
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 昭広
(74)【代理人】
【識別番号】100121061
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 清春
(74)【代理人】
【識別番号】100195693
【弁理士】
【氏名又は名称】細井 玲
(72)【発明者】
【氏名】ピガドゥー,セルジオ・アラメンディア
(72)【発明者】
【氏名】デ・ペナ,アレハンドロ・マニュエル
(72)【発明者】
【氏名】コルテス,セバスチア・イ・ヘルムス
【審査官】 関口 貴夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−107244(JP,A)
【文献】 特開2013−075391(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/165
B22F 3/02
B22F 3/105
B22F 3/16
B28B 1/30
B29C 64/194
B29C 64/393
B33Y 30/00
B33Y 50/00
B33Y 50/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元物体を生成するための装置であって、
粉体の第1の層を供給するための粉体供給器と、
前記粉体の第1の層において粉体のパターンを固化させるためのバインダーと、
前記粉体の第1の層において前記粉体のパターンが固化された後の前記粉体の第1のの体の減少量を判定し、
前記粉体供給器に、前記判定された前記粉体の第1の層の体積の減少量に基づいて追加量の粉体を粉体の次の層に含めながら前記粉体の第1の層の上に前記粉体の次の層供給させるためのコントローラと
を含む装置。
【請求項2】
前記バインダーは、前記粉体の第1の層の上に結合剤を供給するための薬剤供給器である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
粉体支持部と、
物体支持部と、
前記粉体支持部を移動させるための駆動系と
を含み、前記コントローラは、前記駆動系に、前記判定された前記粉体の第1の層の体積の減少量に基づいて前記粉体支持部の高さを設定させるように構成される、請求項1または請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記駆動系は、前記物体支持部を移動させるように構成され、前記コントローラは、前記駆動系に対し、前記物体支持部の一定のステップ高を維持することを命じるように構成される、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記装置は、物体支持部を含み、
前記粉体供給器は、開始点から前記物体支持部の方向に移動することによって粉体を供給するように構成され、
前記コントローラは、前記粉体供給器に、前記判定された前記粉体の第1の層の体積の減少量に基づいて、前記開始点と、前記物体支持部との間の水平距離を調節させるように構成される、請求項1または請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記装置は、前記粉体の第1の層の上側表面の高さを測定するための検出ユニットを含み、
前記コントローラは、前記検出ユニットにより提供された信号に基づいて、前記粉体の第1の層の体の減少量を判定する、請求項1〜5の何れか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記コントローラは、前記粉体の第1の層において固化されるべき前記粉体のパターンを定義するデータに基づいて、前記粉体の第1の層の体積の減少量を推定するように構成される、請求項1〜6の何れか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記コントローラは、2つの連続した層パターンに基づいて、前記粉体の第1の層の体積の減少量を判定するように構成される、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記コントローラは、測定された先に供給された前記結合剤の量に基づいて、前記粉体の第1の層の体積の減少量を判定するように構成される、請求項2に記載の装置。
【請求項10】
前記コントローラは、前記粉体の第1の層において前記粉体のパターンが固化された後の前記粉体の第1の層の体積の減少量を、前記粉体の第1の層における固化された部分前記固化前の当初の粉体体積の約15パーセントから50パーセントまでの間であるものと判定するように構成される、請求項1〜5の何れか一項に記載の装置。
【請求項11】
機械読み取り可能命令を含む非一時的不揮発性コンピュータ読み取り可能媒体であって、前記機械読み取り可能命令が、プロセッサに、
粉体の第1の層において粉体のパターンが固化された後の前記粉体の第1の体積の減少量を判定させ、
粉体供給器に、前記判定された前記粉体の第1の層の体積の減少量に基づいて追加量の粉体を粉体の次の層に含めながら前記粉体の次の層を前記粉体の第1の層の上に供給させる、非一時的不揮発性コンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項12】
前記プロセッサに、駆動系に対し、粉体支持部の高さを前記判定された前記粉体の第1の層の体積の減少量に基づいて設定することを命じさせるための機械読み取り可能命令をさらに含む、請求項11に記載の非一時的不揮発性コンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項13】
前記プロセッサに、前記駆動系に対し、物体支持部の一定のステップ高を維持することを命じさせるための機械読み取り可能命令をさらに含む、請求項12に記載の非一時的不揮発性コンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項14】
前記プロセッサに、駆動系に対し、粉体供給器の開始点と、物体支持部との間の水平距離を、前記判定された前記粉体の第1の層の体積の減少量に基づいて設定することを命じさせるための機械読み取り可能命令をさらに含む、請求項11に記載の非一時的不揮発性コンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項15】
粉体を供給するためのシステムを制御する方法であって、
粉体の第1の層を供給し、
前記粉体の第1の層において粉体のパターンを固化させ
前記粉体のパターンが前記粉体の第1の層において固化された後の前記粉体の第1の層の体の減少量を判定し、
前記判定された前記粉体の第1の層の体積の減少量に基づいて追加量の粉体を粉体の次の層に含めながら、前記粉体の第1の層の上に前記粉体の次の層を供給すること
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
三次元物体を一層ずつ生成する積層造形システムが、三次元物体を少量だけ製造するために便利なことがある方法として提案されている。そのようなシステムにより製造される物体の品質は、使用される積層造形技術のタイプによって広く様々に異なる場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0002】
図1】三次元物体を生成するための装置の一例を示す図である。
図2】三次元物体を生成するための装置の他の例を示す図である。
図3】固化された部分を含む粉体の層の一例を示す図である。
図4】固化された部分を含む粉体の層の他の例を示す図である。
図5】固化された部分と部分的に重なり合う状態で供給されるべき新たな層を示す、粉体の層の一例を示す図である。
図6】前記新たな層が供給され、固化されたときの、図5の粉体の層の例を示す図である。
図7】三次元物体を生成するための例示的方法を示すフロー図である。
図8】三次元物体を生成するための他の例示的方法を示すフロー図である。
【0003】
詳細な説明
図1は、3D(三次元)物体を生成するための装置1の一例を示している。装置1は、粉体を種々の層の形で物体支持部9の上に供給するための粉体供給器3を含む。粉体は、粉体材料、微粒子材料、及び粒状材料を包含する意味を有している。さらに別の例として、粉体は、半結晶熱可塑性材料を含み得る。一つの適当な材料としては、ナイロン12が挙げられる。他の適当な材料としては、PA2200が挙げられる。適当な粉体には、粉末金属材料、粉末複合材料、粉末セラミック材料、粉末ガラス材料、粉末樹脂材料、粉末ポリマー材料などが含まれ得る。
【0004】
装置1は、バインダー(固化手段)7をさらに含む。一例において、バインダー7は、粉体の連続した層の上に各自のパターンを成して少なくとも1つの薬剤を供給する薬剤供給器を含み、各パターンによって、生成すべき物体の一片(薄片)が画定される。ここで、装置1は、粉体を利用した三次元印刷装置であってもよい。薬剤は、粉体の固化、または、粉体との接着若しくは一体化を生じさせる流体であってもよい。他の例において、バインダー7は、粉体の連続した層の上に各自のパターンを成して光を放射するための光源を含む。光源は、粉体を少なくとも部分的に溶解して粒子を一体化し、その後、一体化された粒子を硬化し、それによって、粉体の層の各自のパターンを固化させる。ここで、装置1は、レーザー焼結装置であってもよく、光源は、適当なレーザー光源を含む。
【0005】
固化プロセスには、複数のステップが含まれ得る。一つのステップは、粉体を溶解させることである場合があり、他のステップは、粉体の一体化、及び固化である場合がある。結合剤が使用される場合、固化処理は、粉体に粘着し、及び/又は粉体を溶解する薬剤の使用、並びに、粉体及び薬剤のその後の硬化を含む場合がある。一例においては、光や熱のようなエネルギーの一時的印可によって、粉体の種々の部分を粉体の融点よりも高くまで加熱し、それによって粉体の一体化を助ける。さらに別の例では、さらなる一体化または固化を生じさせるために、粉体の溶解の後に続いて、光のようなエネルギーの印可が行われる。さらに別の例では、前記エネルギーが、粉体と薬剤の組み合わせに印可され、薬剤は、エネルギーの吸収を助ける。
【0006】
バインダー7は、粉体から、一例においては粉体と薬剤の組み合わせから、一体的に硬化された領域を形成するように構成される。後者の例としては、バインダー7は、薬剤供給器であり、従って、薬剤は、粉体の固化を生じさせる結合剤を含む。一例において、結合剤は、吸光剤を含み得る。一例において、結合剤は、例えばカーボン・ブラックのようなインク型剤形を有するインクである。インクは、赤外線吸収剤または可視光吸収剤を含む場合がある。そのようなインクの他の例としては、染料系カラーインク、及び顔料系カラーインクが挙げられる。他の例において、薬剤は、接着剤である。さらに別の例において、少なくとも1つの薬剤は、変性剤(調節剤)からなる。一例において、そのような変性剤(調節剤)には、粉体の固化を抑制する抑制剤が含まれ得る。一例において、そのような抑制剤は、印刷すべき物体の表面特性を改良するために、薬剤の隣りに供給される場合がある。
【0007】
装置1は、物体支持部9の上に粉体を一層ずつ供給するための粉体供給器3を含む。薬剤供給器7は、各粉体層の上に、生成すべき少なくとも1つの三次元物体の種々の切片を表すデータから導出された種々のパターンの薬剤を各粉体層の上に供給し、各パターンによって、そのような一つの切片(薄片)を表すことができる。動作時には、薬剤は、粉体に浸透し、各層にそれぞれ、硬化された物体切片を生成し、最終的には、生成すべき物体を表すデータに従って、固化された物体切片のスタックを生成し、少なくとも1つの一体的な物体を形成する。
【0008】
装置1は、装置1の様々な駆動部品、及び供給部品に接続されたコントローラ11を含む。コントローラ11は、ASIC、または他のタイプの適当な集積回路型コントローラを含む場合がある。例えば、コントローラ11は、少なくとも1つのプロセッサ13、及び少なくとも1つのコンピュータ読み取り可能媒体15を含む。コンピュータ読み取り可能媒体15は、少なくとも1つの生成すべき物体の種々の切片を表すデータを少なくとも一時的に記憶するための非一時的不揮発性コンピュータ読み取り可能メモリを含む。プロセッサ13は、前記物体データに基づいて、さらに、コンピュータ読み取り可能媒体15に記憶された他のプロセス固有パラメタに従って、駆動部品、及び供給部品に命令を出すように構成される。
【0009】
図1は、一例として、加工された層(加工済みの層)17を実線で示し、次に作成されるべき層19を破線で示している。以下、「加工された層」17とは、物体切片を形成するように粉体のパターンが固化された層17であって、その上に、次の粉体の層19を受け取る準備ができている層17を意味する。加工された層17は、少なくとも1つの固化された部分23と、固化された部分23を取り囲む未固化の粉体21とを含む。固化された部分23は、生成すべき物体の1つの物体切片を表している。粉体供給の後、粉体の各層17、19は、所定の一定の厚みHを有する。ただし、以下で説明するように、加工後、層17の固化された部分23は、未固化部分21に比べて小さい厚みH2を有する場合がある。
【0010】
固化の前に、空気のような比較的大量のガスが、粉体中に存在することがある。例えば、平均で、少なくとも約15体積百分率、少なくとも約25体積百分率、少なくとも約35体積百分率、少なくとも約45体積百分率、または、例えば多くとも約50体積百分率のガスが、未結合の粉体粒子間に存在することがある。ここで、ガスの体積百分率は、粉体粒子と粉体粒子間にあるガスの結合体積に対して測定される。印刷動作の特定の例において、ガスの大半は、溶解処理の際に、固化された部分23から放出される。そのため、固化された部分23を形成する粉体と薬剤の組み合わせは、固化前の対応する粉体の体積に比べて少ないガスしか含有せず、例えば、約10体積百分率未満、又は約5体積百分率未満のガスしか含有せず、同様に、同じ加工された層17の未固化部分21に比べて少ないガスしか含有しない。従って、固化された部分23の体積、及び層17の総体積は、前記固化処理によって減少する。
【0011】
冷却すると、粉体のパターンは、固体になり、生成中の三次元物体の一部を形成する。溶解処理の際に、溶解中の粉体から、ガスの少なくとも一部を放出させることができ、その結果、固化された部分の厚みH2は、当初の固化前の厚みに比べても、層17の残りの未固化部分21の厚みHに比べても、減少することになる。例えば、層17内の固化された部分23の厚みH2は、層17の未固化の粉体部分17の厚みHに比べて、少なくとも約15パーセント、少なくとも約25パーセント、少なくとも約35パーセント、または少なくとも約45パーセント、及び多くとも約50パーセントだけ少ない。ガスの放出の他に、冷却によっても、印刷された層全体の体積に、さらに変化が生じる場合がある。ただし、一例において、冷却による縮小作用は、説明したガス放出による縮小作用に比べて小さい場合がある。
【0012】
固化された部分23の厚みの減少によって、加工された層17の下側表面は、本明細書において空洞部27として定義されるようなパターンの形にすることができる。層17の未固化部分21の上側表面に対して測定された空洞部27の深さH3は、一例において、層17の当初の厚みHの約15パーセント、約25パーセント、約35パーセント、又は約45パーセントから約50パーセントまでの間である場合がある。層の厚みHが約100マイクロメートル(ミクロン)である一例において、空洞部27は、約15マイクロメートルから約20マイクロメートルまでの間の厚みH3を有する場合がある。
【0013】
コントローラ11は、加工された層17の当初の未固化の粉体体積に対する加工された層17の層体積変化を判定し、次の層19に供給される粉体の量を増やすことによって、その層体積変化を補償することができるように構成される。例えば、コントローラ11は、加工された層17の層体積変化を、固化部分23の固化前における当初の粉体体積の約15パーセントから約50パーセントまでの間になるように判定するように構成されている。例えば、層17の層体積変化は、その層17における種々の空洞部の体積の合計と同じである。別の例において、コントローラ11は、各加工された層17における層体積変化を異なる方法で判定する。例えば、層体積変化は、(i)層の上側表面の形状を検出すること、(ii)生成すべき少なくとも1つの三次元物体の種々の切片を表す記憶されたデータから体積変化を計算すること、及び(iii)各層17、19について薬剤体積を検出し、又は測定することのうちの1つ、又はこれらの組み合わせによって推定される場合がある。例えば、上記項目(i)及び(ii)の場合、層体積変化は、判定された空洞部27の表面積に、空洞部27の高さH3を乗じることによって推定される場合がある。
【0014】
粉体の層に形成された如何なる空洞部27をも補償するために、コントローラ11は、粉体供給器3に対し、所定の層量、すなわち「通常の」層量の粉体29に加えて、前の層17において判定された層体積変化に基づいて、追加量の粉体を供給することを命じるように構成される。この所定の量、すなわち「通常の」層量は、加工前の各層の平均的x、y、及びz寸法に基づいて決定され、単一のプリントジョブまたは複数のプリントジョブ内においては、各層について一定とされる場合がある。これに対し、追加の粉体量は、可変とされる場合がある。なぜなら、追加の粉体量は、いずれかの先に固化された部分23に基づいて、毎回異なる場合があり、先に固化された部分23は、上で述べた物体データによれば、各層17について異なるサイズを有する場合があるからである。従って、粉体供給器3によって次の粉体層19を加工された層17の上に供給するときは、次の粉体層19の実質的に平坦な上側表面はそのままにして、追加の粉体量27がさらに、空洞部27内の固化された部分23の上に供給される。
【0015】
さらに別の例では、前記所定の層量、及び前記追加の粉体量に加え、一定マージンの粉体が供給される。例えば、コントローラ11は、粉体供給器3に対し、各単一層供給の際に、層体積変化に基づく推定追加粉体量とは無関係に、又は当該推定追加粉体量に加えて、一定のマージンを含めることを命じるように構成される。ただし、他の例では、推定追加粉体量が大きくなるにつれて、マージンも大きくする場合がある。マージンは、計算上の、又はセンサ測定における誤差、又は粉体供給における他の予測困難な誤差を考慮に入れることができる。マージンは、全体的な所定の層量の約10体積百分率以下、約5体積百分率以下、又は、約3体積百分率以下であってもよい。他の例において、マージンは、同じ数値の重量百分率であってもよい。一例において、このマージンは、各層について一定であってもよいし、及び/又は、単一のプリントジョブにおいて様々な層にわたって一般に一定である装置1の特定の層体積設定、若しくは他の設定によって決まるものであってもよい。最初に述べた追加の粉体量との相違点は、最初に述べた追加の粉体量は、個別の各層の体積変化によって決まる、すなわち、単一のプリントジョブにおいて様々な層17、19にわたって変化する物体形状によって決まるのに対し、前記マージンは、一定であるか、又は、あるプリントジョブにおける特定の装置設定、又は所定の層体積によって決まる点である。
【0016】
計算誤差なしに供給された層の大半について、マージンは、物体支持部9からの多少の余分な粉体の落下を生じさせることになる。一例においては、最初に述べた層体積変化に基づく追加の粉体量を使用することによって、前記マージンを、比較的低い値に設定することができる。従って、推定層体積変化に基づいて追加の粉体量を供給することの一つの利点は、1つのプリントジョブ当たりの粉体浪費を低減することができる点である。
【0017】
図2は、断面図で示されている三次元物体を生成するための装置101の他の例を示している。装置101は、種々の駆動部品、及び供給部品に命令を与えるためのコントローラ101を含む。装置101は、駆動系131を含む。駆動系131は、種々の駆動部品、及び伝送部品を含む場合がある。駆動系131は、電気モーターのようなモーター、及び、連結器や歯車のようなある種の伝送部品を含む場合がある。一例において、モーターは、サーボ制御装置によって駆動されるDCモーターを含み、さらに、サーボ制御装置が、コントローラ111によって駆動されるのに対し、伝送系は、ウォームギアやウォームラック(歯竿)のような少なくとも1つの直線伝送部品を含む場合がある。他の例において、電気モーターは、他の適当なタイプの回転式モーター、若しくはリニアモーター、若しくはステッパ・モーターを含む場合がある。他の例において、駆動系131は、支持部109、133の正確な移動のために、小型の電気モーター、または圧電駆動装置をさらに含む。
【0018】
装置101は、粉体供給器103、粉体支持部133、及び物体支持部109を含む。粉体支持部133は、物体支持部109に供給される粉体を支持している。粉体供給器103は、粉体支持部133上にある最上層の粉体の、物体支持部109への供給を行う。
【0019】
一例において、粉体供給器103は、粉体支持部133上の開始点から粉体支持部133及び物体支持部109の上を掃くことによって、粉体支持部133から最上層の粉体を物体支持部109に供給する。粉体供給器103は、粉体支持部133から物体支持部109へ粉体を移動させ、物体支持部109の上に新たな粉体の層を形成するために、ローラー、ショベル、ワイパー等を含む場合がある。駆動系131は、粉体供給器103を駆動する。駆動系131はさらに、物体支持部109、及び粉体支持部133も駆動する。一例において、駆動系131は、粉体支持部133を上(U)に移動させ、物体支持部109を下(D)に移動させるように構成される。粉体を収容するために、側壁135、136が、支持部133、109をそれぞれ取り囲む場合がある。一例において、側壁135、136は静止的なものとされる。
【0020】
装置101は、物体支持部109上の最上層の粉体に対して結合剤を供給するように構成された薬剤供給器107をさらに含む。薬剤供給器107は、物体支持部109を横切って走査するように構成される場合がある。他の例において、薬剤供給器107は、少なくとも1つのプリントヘッドを含む。一例において、プリントヘッドは、物体支持部109に対して平行に単一の軸に沿って走査し、または、物体支持面に対して垂直な平面上を走査するように構成された走査型プリントヘッドである場合がある。他の例において、薬剤供給器107は、例えば物体支持面にわたる範囲に及ぶ、静止型プリントヘッドである。他の例では、物体支持部109が、薬剤供給器107に対して移動される。薬剤供給器107は、液滴を噴射するための熱抵抗器又は圧電抵抗器のような液滴作動装置を含む場合がある。
【0021】
さらに別の例において、装置101は、検出ユニット141を含む。例えば、検出ユニット141は、最上層の粉体の上側表面を読み取り、最上層の測定高に対応する信号を出力するように構成される。検出ユニット141は、所与のサンプリングレート、又は分解能で、層全体の表面形状を測定するように構成される。例えば、検出ユニット141は、ライン型スキャナ、又は、レーザーアレイと少なくとも1つの光検出器、のうちの一方を含む場合がある。さらに別の例において、検出ユニット141は、薬剤供給器107に取り付けられる。例えば、検出ユニット141は、薬剤供給器107が最上層を走査している間に、最上層の高さを測定する。例えば、後者の例において、検出ユニット141は、層117の種々の加工された部分を走査するように取り付けられる。検出ユニット141は、表面の高さに対応する種々の信号を継続的にコントローラ111へ送信するように構成される。
【0022】
コントローラ111は、受信信号に基づいて最上層の体積変化を計算し、粉体供給器103に対し、対応する追加の粉体量を次の層119に追加することを命じる。受信信号は、加工された層117の一番上の表面の高さ情報に対応するものである場合があり、そこから、空洞部127の寸法を導出することができる。一例において、層体積変化の計算または推定は、連続した層供給の合間に行われ、すなわち、印刷処理を中断することなくリアルタイムで行われる。
【0023】
さらに別の例において、装置101は、露光ユニット143を含む。露光ユニット143は、固化された部分123を生成する際に粉体及び薬剤の溶解、一体化、及び固化のうちの少なくとも1つを助けるために、粉体及び薬剤に対し、エネルギーを放射するように構成される。露光ユニット143は、光源又は熱源を含む場合がある。例えば、露光ユニット143は、例えば紫外線や赤外線のような、例えば非可視スペクトル又は可視スペクトルの光のような電磁エネルギーを放射するように構成される場合がある。
【0024】
図2は、加工された層117の一例を実線で示し、その後供給されるべき層119を破線で示している。加工された層117は、固化された部分123と、固化された部分123を取り囲む未固化の粉体121とを含んでいる。加工された層117は、固化された部分123の上に空洞部123を含んでいる。図示の例では、層体積変化は、一つの空洞部127によって形成されている。
【0025】
他の例において、コントローラ111は、各層において固化されるべき部分123を表すデータから、層体積変化を導出するように構成される。このデータは、元の物体データから導出することができる。例えば、固化された部分123を表すデータは、ビットマップの形で、又は、独創的なベクトルを利用したデータの形で記憶される場合がある。固化された部分のデータから、層117の当初の厚みに対する各固化された部分123の厚み低減量を、前もって推定することができる。最終的に得られる1つの層117当たりの体積変化は、予測厚み低減量(例えば15〜50%)に種々の固化された部分123の合計表面積を乗じたものに基づいて計算、又は推定することができる。一層当たりの体積変化を推定するときに考慮される場合がある他の要素としては、粉体粒子の性質や、加工に使用される薬剤の性質が挙げられる。層体積変化は、コンピュータ読み取り可能媒体113に記憶されたLUT(ルックアップテーブル)を使用して推定される場合がある。
【0026】
一例において、固化された部分123の厚み低減量は、未固化の層の厚みの約15体積百分率から約50体積百分率までの間であるものと推定され、最終的に得られる推定層体積変化は、推定又は検出された厚み低減量に固化された部分123の表面積を乗じることによって計算することができる。例えば、層の厚みは、装置設定から導出される場合がある。例えば、固化された部分123の表面積は、個々の物体切片を表す記憶されたデータから推定することができる。
【0027】
他の例において、装置101は、例えば適当な検出システムを使用して薬剤の液滴を検出することによって、又は物体の画像データから導出することによって、供給された薬剤を測定するように構成される。コントローラ111は、検出された供給薬剤量に基づいて層体積変化を導出するように構成される。さらに別の例において、コントローラ111は、検出データと推定データの組み合わせを使用することにより、層体積変化を推定する場合がある。
【0028】
一例においては、各供給の際に、所望の量の粉体を粉体支持部133から物体支持部109へ掃き動かすために、粉体支持部133の高さを設定することができる。例えば、粉体支持部133のステップ高は、追加の粉体量を含む推定合計層量に従って設定される。ここで、粉体支持部133のステップ高とは、各ステップにおける粉体支持部133と粉体供給器103との間の垂直距離の変化量である。例えば、ステップ高が高くなることは、より多くの量の粉体が物体支持部109に供給されることに相当する。従って、コントローラ111は、駆動系131に対し、粉体供給器103に対する粉体支持部133の高さを判定された層体積変化に基づいて設定し、所定の層量に加えて、空洞部127を充填するための粉体を追加することを命じるように構成される。
【0029】
一例において、物体支持部109のステップ高は、特定の装置1、又はプリントジョブについて一定に維持される。ここで、物体支持部109のステップ高とは、1ステップにおける物体支持部109と粉体供給器103との間の垂直距離の変化量である。物体支持部のステップ高は、特定のプリントジョブ内、または特定のプリントモード内においては一定に維持されることができるが、異なるプリントジョブ間、または異なるプリントモード間においては異なる場合がある。他の例において、物体支持部109、及び/又は粉体支持部133は、連続的に移動することができ、粉体供給器103は、支持部109、133の各々に対する高さを変化させるように設定される場合がある。
【0030】
他の例において、追加の粉体量は、粉体供給器103の開始点と、物体支持部109との間の水平距離HDを調節することによって変化させることができる。粉体供給器103の開始点を変更することによって、掃き動かすことができる粉体の総量が変化する。粉体供給器103が物体支持部109へ向かう方向に移動を開始する場所からの水平距離HDを増加させると、物体支持部109上に供給される粉体の総量も増加する。従って、一例において、コントローラ111は、粉体供給器103に対し、粉体の所望の総量に達するように、前の層117に関して判定された層体積変化に基づいて、物体支持部109までの開始距離HDを調節することを命じるように構成される。
【0031】
各層供給動作時に、物体支持部109の側壁136の1つの上を通って延びる余分な粉体の形で、浪費材料が形成されることがある。一例において、この浪費材料は、浪費材料収集器(図示せず)により収集され、手動で、又は装置1によって粉体支持部133へ回送される。
【0032】
図3、及び図4はそれぞれ、類似タイプの装置によって類似タイプのプリントモードで生成された単一の加工された層217、317であって、同じ物体の異なる切片に対応することがある異なるサイズの固化された部分223、323を備えた単一の加工された層217、317の例を示している。図3において、固化層217は、比較的小さい固化された部分223を含む。この比較的小さい固化された部分223は、第1の層217の底部と、固化された部分223の上側表面との間に、第1の厚みTを有している。この比較的小さい固化された部分223は、比較的小さい空洞部227、及び比較的小さい層体積変化に対応する。一例において、第1の厚みTは、同じ層217の残りの未固化部分の厚みの約15パーセントから約50パーセント未満までの間である。図3の例では、この層体積変化を補償するために、少量の追加量の粉体が、次の層の所定の粉体量に加えられる場合がある。図4において、固化層317は、比較的大きい固化された部分323を形成するための粉体を固化させるために、比較的大きい薬剤量を有している。固化された部分323は、図3の例の第1の厚みTと同じ第2の厚みTを有している。図4の固化された部分323は、図3よりも広い表面積を有している。そのため、図4の固化された部分323は、図3のものよりも大きい。図4の例の場合、比較的大きい層体積変化を補償し、比較的大きい空洞部327を充填するために、比較的大量の追加の粉体が、次の層の所定の粉体量に追加されることになる。
【0033】
図5、及び図6は、異なる次の段階における粉体の層の例を示している。図5の例は、第1の物体切片に対応する第1の固化された部分423A、未固化の粉体421、及び空洞部427を有する第1の固化層417を示している。破線で示されているように、第1の層417の上には、第2の層419が供給されることになる。空洞部427を充填するために、第2の層419には、追加の粉体量が含められることになる。
【0034】
従って、第2の層419が空洞部427を含む第1の層417の上に供給されると、それによって、第1の固化された部分423Aの上にある空洞部427は、粉体によって充填される。第2の層419の上に結合剤を供給すると、結合剤は、前記空洞部427を充填している追加量の粉体の中にまで下向きに浸透する。それによって、重なり合う領域Aにある結合剤は、第1の固化された部分423Aと結合し、その結果、第2の固化領域423Bにある隣りの重なり合わない領域Bに比べて、より高い高さの結合固化領域423A、423Bが生成される。従って、連続した固化された部分423A、423Bの重なり合う領域Aにおいて、より大きな体積減少が生じ、より大きなガス放出が生じる場合がある。
【0035】
図6は、加工後の第2の層419を示している。前記重なり合う領域Aにおいて、第2の層の第2の固化領域423Bは、重なり合わない領域Bに比べて、低い上側表面を有する場合がある。これは、重なり合う領域Aにおいてより大きな縮小が発生することによって生じる場合がある。すなわち、第2の層419に、より深い空洞部427Bが形成される。これに対応して、重なり合う領域Aの上にある空洞部427Bの深さは、例えば、第2の固化された部分423Bの重なり合わない領域Bの上にある空洞部427Bの深さや、第1の固化された部分423Aの第1の空洞部427の深さに比べて、大きくなる場合がある。従って、一例において、コントローラは、十分な補償を行うために、2つの連続した層の固化された部分423A、423Bに基づいて、層体積変化を推定するように構成される。さらに別の例において、重なり合う固化された部分423A、423Bの上における厚み減少量T1は、検出ユニットによって検出される場合があり、コントローラは、検出信号に基づいて推定を行う場合がある。
【0036】
図7は、システム1、101を制御する方法の一例を示している。この方法は、粉体の第1の層17、117、217、317、417を供給することを含む(ブロック500)。この方法は、粉体の第1の層17、117、217、317、417においてパターンを固化させることを含む(ブロック510)。一例において、このような固化は、薬剤の助けを借りて粉体を溶解し、その後、前記パターンに従って粉体と薬剤の混合物を硬化させることを含む。他の例において、このような固化は、粉体を焼結し、それによって、粉体を前記パターンに従って溶解し、硬化させることを含む。この方法は、粉体の第1の層17、117、217、317、417の層体積変化を判定することを含む(ブロック520)。一例において、この層体積変化は、固化された部分23、123、223、323、423Aをガス抜きした結果として生じる第1の層17、117、217、317、417全体の体積の減少量である。この方法は、判定された層体積変化に基づいて追加量の粉体を粉体の次の層17、117、217、317、417に含めるとともに、粉体の次の層17、117、217、317、417を粉体の第1の層17、117、217、317、417の上に供給することをさらに含む(ブロック530)。
【0037】
図8は、三次元印刷の方法の他の例を示している。この方法は、粉体の加工された層17、117、217、317、417内の層体積変化を判定することを含む(ブロック600)。この方法は、(i)判定された層体積変化に基づいて粉体供給器103に対する粉体支持部133の高さを設定すること、及び(ii)判定された層体積変化に基づいて物体支持部109までの粉体供給器103の開始距離HDを調節すること、のうちの少なくとも一方をさらに含む(ブロック610)。ブロック610は、物体支持部9、109の一定のステップ高を維持しながら実施される場合がある。
【0038】
本開示において、物体支持部9、109に供給される種々の層は、比較的薄く、例えば、約250マイクロメートル以下、約170マイクロメートル以下、約120マイクロメートル以下、例えば、約100マイクロメートルである場合がある。例えば、層の厚みは、粉体の粒子サイズ、及び/又は薬剤の組成によって変わる場合がある。さらに別の例では、これに応答して、駆動系が、粉体支持部、及び/又は物体支持部を類似のステップ高にわたって移動させるように構成される。本開示によれば、このステップ高は、推定された層体積変化に応じて、例えば、1マイクロメートル、数マイクロメートル、又は数十マイクロメートル未満にわたって調節される場合がある。
【0039】
図2には、1つの粉体支持部133しか示されていないが、他の例では、複数の粉体支持部133を使用して、粉体を単一の物体支持部109に供給する場合がある。例えば、少なくとも2つの粉体支持部133を使用して、1つの物体支持部109に、少なくとも2つの側から、例えば両側から、粉体を供給する場合がある。他の例では、複数の固化された部分が1つの層に形成され、単一のプリントジョブにおいて、複数の物体が生成される場合がある。これに対応し、層体積変化は、単一の層における複数の個別の空洞部、又は固化された部分のそれぞれに基づいて検出され、又は推定される場合がある。
【0040】
この説明の最初に記載したように、上で図示説明された種々の例は、発明を制限するものではない。他の例も可能である。従って、上記の説明を発明の範囲を制限するものとして解釈してはならず、発明の範囲は、下記の特許請求の範囲により規定される。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8