特許第6263276号(P6263276)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フオルクスワーゲン・アクチエンゲゼルシヤフトの特許一覧

<>
  • 特許6263276-バイポーラプレート及び燃料電池 図000002
  • 特許6263276-バイポーラプレート及び燃料電池 図000003
  • 特許6263276-バイポーラプレート及び燃料電池 図000004
  • 特許6263276-バイポーラプレート及び燃料電池 図000005
  • 特許6263276-バイポーラプレート及び燃料電池 図000006
  • 特許6263276-バイポーラプレート及び燃料電池 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6263276
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】バイポーラプレート及び燃料電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/0258 20160101AFI20180104BHJP
   H01M 8/026 20160101ALI20180104BHJP
【FI】
   H01M8/0258
   H01M8/026
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-561310(P2016-561310)
(86)(22)【出願日】2015年4月2日
(65)【公表番号】特表2017-511581(P2017-511581A)
(43)【公表日】2017年4月20日
(86)【国際出願番号】EP2015057362
(87)【国際公開番号】WO2015155125
(87)【国際公開日】20151015
【審査請求日】2016年10月31日
(31)【優先権主張番号】102014206682.4
(32)【優先日】2014年4月7日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591037096
【氏名又は名称】フオルクスワーゲン・アクチエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】VOLKSWAGEN AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100153419
【弁理士】
【氏名又は名称】清田 栄章
(72)【発明者】
【氏名】モール・フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ツィリッヒ・クリスティアン・マルティン
【審査官】 太田 一平
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭62−163264(JP,A)
【文献】 特開2006−190494(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0202383(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0151954(US,A1)
【文献】 特開2008−103241(JP,A)
【文献】 特表2010−506360(JP,A)
【文献】 特開2010−218973(JP,A)
【文献】 特開2006−156398(JP,A)
【文献】 特開2006−344460(JP,A)
【文献】 特開2006−231205(JP,A)
【文献】 特開昭64−063272(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0153184(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/00 − 8/0297
H01M 8/08 − 8/2495
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
なくとも2つの流れ場通路(121,122,123,124)を有する少なくとも1つの輪郭付けされた流れ場(120)と、
記流れ場通路(121,122,123,124)のそれぞれに対応する、入口通路(111,112,113,114)及び出口通路(131,132,133,134)と、
を含み、
記入口通路(111,112,113,114)がそれぞれ異なる長さであり、前記出口通路(131,132,133,134)がそれぞれ異なる長さであ燃料電池のためのバイポーラプレート(100)において、
記流れ場通路(121,122,123,124)のそれぞれにおいてあらかじめ決定された質量流量変化がなされる場合に、前記流れ場通路(121,122,123,124)該流れ場通路(121,122,123,124)に対応する前記入口通路(111,112,113,114)と、前記流れ場通路(121,122,123,124)に対応する前記出口通路(131,132,133,134)で構成された通路において、全ての前記通路の圧力損失が同一であるように前記入口通路(111,112,113,114)及び/又は前記出口通路(131,132,133,134)が寸法設定されていること、並びに前記流れ場通路(121,122,123,124)の複数の入口開口部が第1の直線部(200)上に連続して配置されており、前記流れ場通路(121,122,123,124)の複数の出口開口部が前記第1の直線部(200)に対して平行な第2の直線部(201)上に連続して配置されており、前記入口通路(111,112,113,114)の別の複数の入口開口部が第3の直線部(300)上に配置されており、前記出口通路(131,132,133,134)の別の複数の出口開口部が前記第3の直線部(300)に対して平行な第4の直線部(301)上に連続して配置されており、前記第3及び第4の直線部(300,301)が前記第1及び第2の直線部(200,201)に対して垂直であることを特徴とするバイポーラプレート。
【請求項2】
前記流れ場通路(121,122,123,124)がそれぞれ同一の長さを有しており、前記構成された通路が別の同一の長さを有し、前記入口通路(111,112,113,114)がそれぞれ異なる長さを有し、前記出口通路(131,132,133,134)がそれぞれ異なる長さを有し、前記入口通路(111,112,113,114)がそれぞれ異なる水力直径を有し、前記入口通路(111,112,113,114)の水力直径が、対応する前記入口通路(111,112,113,114)が長ければ長いほど大きいため、前記流れ場通路(121,122,123,124)のそれぞれにおいてあらかじめ決定された同一の質量流量変化がなされる場合に、圧力損失が前記構成された通路のそれぞれにおいて一定であることを特徴とする請求項1記載のバイポーラプレート(100)。
【請求項3】
前記流れ場通路(121,122,123,124)がそれぞれ同一の長さを有し、前記構成された通路が別の同一の長さを有し、前記入口通路(111,112,113,114)がそれぞれ異なる長さを有し、前記出口通路(131,132,133,134)がそれぞれ異なる長さを有し、前記出口通路(131,132,133,134)がそれぞれ異なる水力直径を有し、前記出口通路(131,132,133,134)の水力直径が、前記出口通路(131,132,133,134)のそれぞれが長ければ長いほど小さいため、圧力損失が前記構成された通路のそれぞれにおいて同一であることを特徴とする請求項1又は2記載のバイポーラプレート(100)。
【請求項4】
前記流れ場通路(121,122,123,124)がそれぞれ同一の長さを有し、前記出口通路(131,132,133,134)のそれぞれが同一の第1の水力直径を有し、前記入口通路(111,112,113,114)のそれぞれが同一の第2の水力直径を有し、前記流れ場通路(121,122,123,124)のそれぞれが同一の第3の水力直径を有し、前記構成された通路が異なる長さであり、これら長さが、圧力損失が前記構成された通路のそれぞれにおいて一定となるように選択されていることを特徴とする請求項1記載のバイポーラプレート(100)。
【請求項5】
前記流れ場通路(121,122,123,124)のいずれかにおける流れ方向と対応する前記入口通路(111,112,113,114)における流れ方向の間の第1の角度が互いに同一であり、前記流れ場通路(121,122,123,124)のいずれかにおける流れ方向と対応する前記出口通路(131,132,133,134)における流れ方向の間の第2の角度が、対応する前記出口通路(131,132,133,134)が長ければ長いほど小さいことを特徴とする請求項4記載のバイポーラプレート(100)。
【請求項6】
前記流れ場通路(121,122,123,124)のいずれかと対応する前記入口通路(111,112,113,114)の間の第1の角度が、対応する前記入口通路(111,112,113,114)が長ければ長いほど大きく、前記流れ場通路(121,122,123,124)のいずれかと対応する前記出口通路(131,132,133,134)の間の第2の角度が互いに同一であることを特徴とする請求項4記載のバイポーラプレート(100)。
【請求項7】
記第3及び第4の直線部(300,301)が前記流れ場(120)の面法線に対して垂直であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のバイポーラプレート(100)。
【請求項8】
少なくとも1つの膜−電極接合体と、請求項1〜のいずれか1項に記載の少なくとも1つのバイポーラプレート(100)とを含む燃料電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイポーラプレートと、少なくとも1つのこのようなバイポーラプレートを含む燃料電池とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、電気エネルギーを発生させるために、酸素による水への化学的な変換を用いるものである。このために、燃料電池は、コア構成要素として、イオン伝導性の(多くは陽子伝導性の)膜と、それぞれ両側で膜に配置された電極(アノード及びカソード)との複合物である、いわゆる膜−電極接合体(MEA:membrane electrode assembly)を含んでいる。加えて、ガス拡散層(GDL)を、膜−電極接合体の両側において、電極における膜とは反対側に配置することが可能である。通常、燃料電池は、積み重ねられて(stack)配置された複数のMEAによって形成されており、これらMEAの電力が積算される。通常、個々の膜−電極接合体の間には複数のバイポーラプレート(流れ場プレートとも呼ばれる)が配置されており、これらバイポーラプレートは、各セルに動作媒体、すなわち反応物を供給することを保証するとともに、通常は冷却にも寄与する。さらに、バイポーラプレートは、膜−電極接合体への導電性のコンタクトに寄与するものである。
【0003】
燃料電池の動作において、燃料、特に水素H又は水素を含有する混合気体は、アノード側の開放されたバイポーラプレートの流れ場を介してアノードへ供給され、そこで電気化学的なHからHへの酸化が電子を放出しつつ行われる。反応空間を互いに気密に分離し、電気的に絶縁する膜によって、アノード空間からカソード空間への陽子Hの(水と結合した、又は水なしの)搬送がなされる。アノードにおいて提供される電子は、リード線を介してカソードへ供給される。カソードには、カソード側の開放されたバイポーラの流れ場を介して酸素又は酸素を含有する混合気体(例えば空気)が供給され、その結果、電子を受け入れつつOからO2−への還元が行われる。同時に、カソード空間において、酸素陰イオンが、膜を介して搬送される陽子と水を形成しつつ反応する。化学エネルギーから電気エネルギーへの直接的な変換によって、燃料電池は、カルノーファクタの回避により、他の電気生成装置に比べて良好な効率を達成する。
【0004】
動作媒体(燃料、酸素及び冷却手段)の供給及び排出は、入口分配構造部及び出口分配構造部を介して行われる。各流れ場にはそれぞれ2つのこのような分配構造部が割り当てられており、これら分配構造部は、各動作媒体の入口あるいは出口の役割を担うものである。
【0005】
通常、1つの平面内でのバイポーラプレートの流れ場は、流れ場の全ての流れ場通路が同一の長さを有するように形成されている。流れ場通路は、同一の通路断面積を有することができる。このことは、例えば特許文献1に記載されている。
【0006】
通常、入口通路及び出口通路は、更に同一の水力直径を有している。しかし、異なる流れ場通路は、しばしば、異なる長さの入口通路及び異なる長さの出口通路を有している。しかし、圧力損失を補償するために、流れ場通路のそれぞれについて入口通路及び出口通路の全長は同一である。異なる流れ場通路に対してこの前兆は入口通路長さ及び出口通路長さに異なるように配分されている。
【0007】
流れ生成の範囲での流れ場において各動作媒体の部分的な熱反応及び/又は化学反応が生じるため、入口分配構造部を通過する動作媒体の質量流量が、出口分配構造部を通過する、反応生成物及び動作媒体の残留物の質量流量に対して異なっている。
【0008】
結果として、質量流量変化は、長い入口通路と短い出口通路の全長が短い入口通路と長い出口通路の全長と同一であり、入口通路及び出口通路が同一の水力直径を有し、したがって動作媒体により湿潤された周囲に対する通過する通路断面積の同一の割合を有する場合でも、長い入口通路及び短い出口通路を有する第1の流れ場通路における圧力降下が短い入口通路及び長い出口通路を有する他の第2の流れ場通路における圧力降下と異なることを生じさせる。
【0009】
流れ場における質量流量変化を相殺するために、特許文献2には、流れ場通路が流れ場通路の長さにわたって同一の通路断面積変化を有することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】独国特許出願公開第102006005339号明細書
【特許文献2】独国特許発明第10054444号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の基礎をなす課題は、入口分配構造部及び出口分配構造部を含む流れ場のシステム全体にわたる圧力損失を構成された全ての通路に対して更に互いに適応させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このために、本発明により、燃料電池のための請求項1によるバイポーラプレートと、本発明によるバイポーラプレートを含む請求項による燃料電池とが提案される。
【0013】
本発明により提案されるバイポーラプレートは、少なくとも2つの流れ場通路を有する、少なくとも1つの輪郭付けされた流れ場と、前記流れ場通路のそれぞれに対応する、入口通路及び出口通路と、を含み、異なる前記入口通路が異なる長さとなっており、異なる前記出口通路が異なる長さとなっている。このバイポーラプレートは、前記流れ場通路のいずれかにおいてあらかじめ決定された質量流量変化がなされる場合に、前記入口通路及び/又は前記出口通路が、前記流れ場通路のうちいずれか、対応する前記入口通路及び対応する前記出口通路で構成された通路にわたって圧力損失が同一であることを特徴としている。これにより、動作中に動作媒体の最適な同一分布が可能となる。
【0014】
1つの実施形態では、前記流れ場通路が同一の長さを有しており、前記構成された通路が別の同一の長さを有することができる。このとき、前記入口通路が異なる長さを有し、前記出口通路が異なる長さを有することができる。このとき、前記入口通路が異なる水力直径を有することができ、前記入口通路の水力直径が、対応する前記入口通路が長ければ長いほど大きいため、圧力損失が前記構成された通路のいずれかにわたって一定である。
【0015】
あるいは、前記出口通路が異なる水力直径を有し、前記流れ場通路のいずれかにおいて同一のあらかじめ決定された質量流量変化がなされる場合に、前記出口通路の水力直径が、前記出口通路のそれぞれが長ければ長いほど小さい。
【0016】
これにより、入口メイン通路及び出口メイン通路に対するバイポーラプレートの相対的な配置を維持しつつ動作中に動作媒体の同一分布を最適化することが可能である。
【0017】
これに代えて、前記出口通路のそれぞれが同一の第1の水力直径を有し、前記入口通路のそれぞれが同一の第2の水力直径を有し、前記流れ場通路のそれぞれが同一の第3の水力直径を有することができる。そして、前記構成された通路が異なる長さを有し、この長さは、前記構成された通路のそれぞれにわたる圧力損失が同一となるように選択されている。
【0018】
このとき、前記流れ場通路のいずれかにおける流れ方向と対応する前記入口通路の間の第1の角度が同一であることができ、前記流れ場通路のいずれかにおける流れ方向と対応する前記出口通路の間の第2の角度は、対応する前記出口通路が長ければ長いほど小さいことがあり得る。
【0019】
前記第1の角度が対応する前記入口通路が長ければ長いほど大きく、前記第2の角度が同一であることが可能である。
【0020】
これらは、入口メイン通路及び出口メイン通路に対するバイポーラプレートの相対的な配置を維持しつつ動作中に動作媒体の同一分布を最適化する手段である。
【0021】
前記流れ場通路の複数の入口開口部が第1の直線部上に連続して配置されることができる。前記流れ場通路の複数の出口開口部が前記第1の直線部に対して平行な第2の直線部上に連続して配置されることができる。前記入口通路の別の複数の入口開口部が第3の直線部上に配置されることができる。前記出口通路の別の複数の出口開口部が前記第3の直線部に対して平行な第4の直線部上に連続して配置されることができる。前記第3及び第4の直線部は、前記第1及び第2の直線部に対して垂直である。
【0022】
前記流れ場が平坦に形成されていれば、前記第3及び第4の直線部が前記流れ場の面法線に対して垂直であり得る。
【0023】
本発明の別の好ましい形態は、他の従属請求項に挙げられた特徴から明らかである。
【0024】
本願においてあげられた本発明の様々な実施形態は、個別のケースにおいて特に説明がない限り、有利に互いに組み合わせることが可能である。
【0025】
以下に、本発明を添付の図面に基づき実施例において説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明によるバイポーラプレートの第1の実施形態を示す図である。
図2】本発明によるバイポーラプレートの第2の実施形態を示す図である。
図3】本発明によるバイポーラプレートの第3の実施形態を示す図である。
図4】本発明によるバイポーラプレートの第4の実施形態を示す図である。
図5】本発明によるバイポーラプレートの第5の実施形態を示す図である。
図6】本発明による燃料電池の実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1図5には、本発明によるバイポーラプレート100の複数の実施例が示されている。バイポーラプレート100は、入口分配構造部110と、流れ場120と、出口分配構造部130とを含んでいる。流れ場120は、流れ場通路121,122,123,124を含んでいる。入口分配構造部110は、各流れ場通路121,122,123,124に対応する入口通路111,112,113,114を含んでおり、これら入口通路を介して各流れ場通路121,122,123,124が入口メイン通路150に接続されることができる。さらに、出口分配構造部130は、各流れ場通路121,122,123,124に対して対応する出口通路131,132,133,134を含んでおり、これら出口通路を介して出口メイン通路160に接続されることができ、この出口メイン通路160は、図示の実施例では入口メイン通路150に対して平行に延びている。
【0028】
バイポーラプレートの図示の実施例では流れ場が平坦に形成されており、流れ場通路121,122,123,124は、入口開口部から出口開口部へ延在している。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。
【0029】
バイポーラプレートの図示の実施例では、流れ場通路121,122,123,124がちょうど各入口通路111,112,113,114に対応し、同様に、この例では流れ場通路121,122,123,124が各出口通路131,132,133,134に対応する。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。したがって、複数の流れ場通路が同一の対応する入口通路を有している。これに加えて、又はこれに代えて、複数の流れ場通路が同一の対応する出口通路を有することができる。それぞれ複数の流れ通路に供給あるいは処理する出口通路及び入口通路が存在する場合には、これら出口通路及び入口通路は、必ずしも同一の複数の流れ場通路に供給あるいは処理する必要はない。
【0030】
入口開口部においては対応する各入口通路111,112,113,114が流れ場通路121,122,123,124に接続し、出口開口部においては対応する各出口通路131,132,133,134が流れ場通路121,122,123,124に接続している。
【0031】
このとき、バイポーラプレートの図示の実施例では、入口開口部が第1の直線部200上に配置されている。図示の実施例では、出口開口部は、第1の直線部200に対して平行な第2の直線部201に配置されている。さらに、本実施例においては、入口メイン通路150が第1の直線部に対して垂直な第3の直線部300に沿って延在している。加えて、本実施例においては、出口通路160が第3の直線部に対して平行な第4の直線部301に沿って延在している。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。
【0032】
図示の実施例では、入口メイン通路150及び出口メイン通路160は、やはり流れ場の面法線に対して垂直に延在している。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。
【0033】
バイポーラプレートの図示の実施例では、流れ場通路121,122,123,124が全て同一の長さ及び同一の水力直径を備えている。したがって、2つの異なる流れ場通路121,122,123,124における質量流量は本質的に同一である。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。図示の実施例では、入口通路111,112,113,114のそれぞれは、その他の入口通路111,112,113,114の長さとは異なっている。同様に、図示の実施例では、他方で出口通路131,132,133,134のそれぞれがその他の出口通路131,132,133,134の長さとは異なる個別の長さを備えている。
【0034】
図1図3のバイポーラプレートの実施例では、入口通路111,112,113,114のそれぞれが対応する流れ場通路121,122,123,124と同一の第1の角度をなしている。同様に、出口通路131,132,133,134のそれぞれは、対応する流れ場通路121,122,123,124と同一の第2の角度をなしている。したがって、入口通路111,112,113,114と、流れ場通路121,122,123,124と、出口通路131,132,133,134で構成された通路は、同一の全長を有している。
【0035】
図1及び図3の実施例では、入口通路111,112,113,114のそれぞれが同一の水力直径を備えている。これに対し、出口通路131,132,133,134のそれぞれは、その他の出口通路131,132,133,134の水力直径とは異なる個別の水力直径を備えている。このとき、出口通路131,132,133,134の個別の水力直径は、個別の通路長さに合わせてあるため、第1の質量流量における任意の出口通路131,132,133,134における圧力損失が第2の質量流量において水力直径を有する同一長さの入口通路における圧力損失と同一であり、第2の質量流量と第1の質量流量の間の差が各出口通路131,132,133,134に対応する流れ場通路121,122,123,124における質量流量の減少と同一である。
【0036】
このとき、より長い出口通路132,133,134は、より短い出口通路131,132,133よりも小さな個別の水力直径を備えている。
【0037】
図1では、入口通路が互いに完全に分離されている。出口通路も互いに完全に分離されている。
【0038】
これに対し、図3では、入口通路111,112,113,114が互いに連通しており、すなわち、隣接する2つの入口通路111,112,113,114の間に1つ又は複数の接続が存在する。同様に、出口通路131,132,133,134も互いに連通している。このために、入口分配構造部110及び出口分配構造部130が構造要素401,402,403,404のグループによって構造化されている。ここで、同一のグループに属する構造要素は、入口通路あるいは出口通路の2つごとの間に配置され、同一の大きさとなっている。図3による実施例では、同一のグループに属する構造要素も同様の形状を有している。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。図3に図示された実施例の入口分配構造部110では、異なるグループの構造要素404は異なっておらず、一方、出口分配構造部130の異なるグループの構造要素401,402,403は異なる大きさを有している。しかし、入口分配構造部110の異なるグループの構造要素は異なる大きさを備え、出口分配構造部130の異なるグループが大きさにおいて異ならないことも可能である。出口分配構造部130の異なるグループ構造要素401,402,403の異なる大きさによって、互いに連通する出口通路131,132,133,134が実現され、その水力直径は、各出口通路131,132,133,134が長くなればなるほど小さくなる。あるいは、互いに連通する入口通路が実現され、その水力直径は、各入口通路が短くなればなるほど小さくなる。
【0039】
図2の実施例では、入口通路111,112,113,114のそれぞれが、その他の入口通路111,112,113,114の水力直径とは異なる個別の水力直径を備えている。水力直径は、各入口通路111,112,113,114が短くなればなるほど小さくなる。これに対して、出口通路131,132,133,134のそれぞれは、同一の水力直径を備えている。
【0040】
図4及び図5の実施例においては、異なる入口通路111,112,113,114の水力直径は同一である。同様に、各出口通路131,132,133,134は同一の水力直径を備えている。図4及び図5の実施例では、入口通路111,112,113,114の水力直径は出口通路131,132,133,134の水力直径と同一である。しかし、入口通路111,112,113,114の水力直径は出口通路131,132,133,134の水力直径と異なるものであってもよい。
【0041】
図1図3の実施例では、対応する流れ場通路121,122,123,124及び対応する出口通路131,132,133,134から得られる入口通路111,112,113,114で構成された各通路の長さは一定である。しかし、入口通路111,112,113,114及び出口通路131,132,133,134の水力直径は異なっている。これに対し、図4及び図5の実施例では、出口通路131,132,133,134の水力直径は異なっていない。入口通路111,112,113,114の水力直径も互いに異なっていない。このために、構成された通路の長さが異なっている。このとき、構成された通路は、対応する入口通路が短くなればなるほど長くなる。
【0042】
図4では、このことが、入口通路111,112,113,114における流れ方向が流れ場通路121,122,123,124における流れ方向と同一の第1の角度をなしている一方、出口通路131,132,133,134のそれぞれにおける流れ方向が流れ場通路121,122,123,124における流れ方向と個別の、対応する入口通路111,112,113,114が短くなればなるほど、あるいは対応する出口通路131,132,133,134が長くなればなるほど大きくなる、第2の角度をなしていることで達成されている。
【0043】
図5では、このことが、入口通路のそれぞれにおける流れ方向が流れ場通路121,122,123,124における流れ方向と個別の、対応する入口通路111,112,113,114が短くなればなるほど、あるいは対応する出口通路131,132,133,134が長くなればなるほど大きくなる、第1の角度をなしている一方、出口通路131,132,133,134のそれぞれにおける流れ方向が流れ場通路121,122,123,124と同一の第2の角度をなしていることで達成されている。
【0044】
入口通路が互いに異なるように寸法設定されているとともに、出口通路も互いに異なるように寸法設定されている実施例は図示されていない。この実施例では、同様に、寸法設定は、流れ場通路のそれぞれにおいてあらかじめ設定された質量流量変化がなされる場合に、複数の流れ場通路のうちいずれか、対応する入口通路及び対応する出口通路で構成された通路にわたって圧力損失が同一となるように選択される。この実施例の入口通路は、長さ及び/又は水力直径において互いに異なっている。この実施例の出口通路は、同様に長さ及び/又は水力直径において互いに異なっている。
【0045】
図6には、本発明の実施例に対応した燃料電池が示されている。燃料電池500は、2つのガス拡散層(GDL)510の間に配置された膜−電極接合体(MEA)520を含んでいる。2つのガス拡散層510の間の膜−電極接合体520から成るパケットは、本発明による2つのバイポーラプレート100の間に配置されている。
【0046】
本発明は、商業上様々に応用可能である。本発明を、例えば、燃料に蓄えられた科学的なエネルギーを直接電気エネルギーに変換する、可動の装置(例えば原動機付き車両)及び不動の装置(例えばコージェネレーション設備)において用いることが可能である。
【符号の説明】
【0047】
100 バイポーラプレート
110 入口分配構造部
111,112,113,114 入口通路
120 流れ場
121,122,123,124 流れ場通路
130 出口分配構造部
131,132,133,134 出口通路
150 入口メイン通路
160 出口メイン通路
200 第1の直線部
201 第2の直線部
300 第3の直線部
301 第4の直線部
401,402,403,404 構造要素
500 燃料電池
510 ガス拡散層(GDL)
520 膜−電極接合体(MEA)
図1
図2
図3
図4
図5
図6