特許第6263291号(P6263291)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6263291研磨用ホルダー装着治具および光ファイバフェルール研磨用ホルダー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6263291
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】研磨用ホルダー装着治具および光ファイバフェルール研磨用ホルダー
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/25 20060101AFI20180104BHJP
   B24B 19/00 20060101ALI20180104BHJP
   B24B 41/06 20120101ALI20180104BHJP
【FI】
   G02B6/25 301
   B24B19/00 603Z
   B24B19/00 603E
   B24B41/06 L
【請求項の数】6
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2017-29160(P2017-29160)
(22)【出願日】2017年2月20日
【審査請求日】2017年4月25日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000147350
【氏名又は名称】株式会社精工技研
(74)【代理人】
【識別番号】100108442
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義孝
(72)【発明者】
【氏名】澁谷 裕二
【審査官】 下村 一石
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2003/0182015(US,A1)
【文献】 実開平01−009053(JP,U)
【文献】 特開2001−055066(JP,A)
【文献】 特開平07−027923(JP,A)
【文献】 特公平07−067663(JP,B2)
【文献】 特開2003−127055(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B6/24
G02B6/255
G02B6/36−6/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバフェルールの研磨に使用される光ファイバフェルール研磨用ホルダーを光ファイバフェルール研磨機の装着軸に着脱可能に取り付ける研磨用ホルダー装着治具において、
前記光ファイバフェルール研磨機の装着軸が、その先端から軸方向後方へ向かって上り勾配に傾斜する先端斜面と、前記先端斜面から軸方向後方へ離間して軸方向へ延びていて前記装着軸の径方向内方へ凹む中央凹部とを備え、
前記研磨用ホルダー装着治具が、前記光ファイバフェルール研磨用ホルダーのホルダープレートに取り付けられる取付プレートと、前記取付プレートから縦方向へ延びていて前記光ファイバフェルール研磨機の装着軸を挿脱可能に挿入する挿入空間を有する挿入パイプと、前記挿入パイプの周壁を径方向へ貫通する貫通孔に挿入されて該挿入パイプから径方向外方へ延びる操作ロッドと、前記挿入パイプの外周面に着脱可能に設置された収納ケースと、前記操作ロッドを前記挿入パイプの径方向内方へ付勢するコイルバネとから形成され、
前記操作ロッドが、前記コイルバネの付勢力によって前記挿入パイプの内周面から挿入空間に露出する露出端部と、前記露出端部につながって該露出端部から径方向外方へ延出し、前記コイルバネの付勢力に抗して前記露出端部を前記挿入パイプの挿入空間から径方向外方へ移動させるハンドル軸と、前記ハンドル軸の前端部分に形成されて該操作ロッドの径方向外方へ延びる当接フランジとを有し、
前記収納ケースが、前記挿入パイプの径方向へ延びていて前記操作ロッドのハンドル軸の前端部分と前記コイルバネとを収容する収容空間と、前記収容空間を囲繞する周壁と、前記ハンドル軸の前端部分を挿通する挿通孔が穿孔された後端壁と、前記操作ロッドの露出端部を挿通する挿通孔が穿孔されて前記挿入パイプに当接する前端壁とを有し、
前記コイルバネが、前記ハンドル軸の前端部分に挿通された状態で前記収容空間に収容され、前記当接フランジの前端面が、前記挿入パイプの周壁に当接し、前記コイルバネの前端部が、前記当接フランジに当接しているとともに、前記コイルバネの後端部が、前記収納ケースの後端壁に当接し、
前記研磨用ホルダー装着治具は、前記光ファイバフェルール研磨機の装着軸を前記挿入パイプの挿入空間に挿入すると、前記コイルバネの付勢力に抗して前記露出端部が前記先端斜面に沿って径方向外方へ次第に移動し、前記露出端部が前記装着軸の外周面を摺動しつつ前記中央凹部に達すると、前記コイルバネの付勢力によって前記露出端部が前記中央凹部に向かって径方向内方へ進出しつつ該露出端部が該中央凹部に露出し、該研磨用ホルダー装着治具が前記装着軸に装着され、前記コイルバネの付勢力に抗してハンドル軸を径方向外方へ移動させ、前記露出端部を前記挿入パイプの挿入空間から径方向外方へ移動させることで該露出端部が前記中央凹部から退出し、前記装着軸からの該研磨用ホルダー装着治具の抜き取りが可能になることを特徴とする研磨用ホルダー装着治具。
【請求項2】
前記研磨用ホルダー装着治具の取付プレートが、前記ホルダープレートの中央部に着脱可能に取り付けられる請求項1に記載の研磨用ホルダー装着治具。
【請求項3】
複数の前記光ファイバフェルールを前記光ファイバフェルール研磨用ホルダーに着脱可能に設置する複数の設置手段が、前記ホルダープレートの周縁部に形成され、前記研磨用ホルダー装着治具は、前記取付プレートを前記ホルダープレートに取り付けたときに、前記ハンドル軸の後端部分がそれら設置手段の間を通って前記ホルダープレートの周縁部から径方向外方に延出する請求項2に記載の研磨用ホルダー装着治具。
【請求項4】
前記光ファイバフェルール研磨機の装着軸を挿入パイプの挿入空間に挿入するときに、装着軸に対する挿入パイプの挿入位置を決める位置決め凹部または位置決め凸部が、前記挿入パイプの頂部に形成されている請求項1ないし請求項3いずれかに記載の研磨用ホルダー装着治具。
【請求項5】
光ファイバフェルールの研磨に使用される光ファイバフェルール研磨用ホルダーにおいて、
前記光ファイバフェルール研磨用ホルダーが、所定面積のホルダープレートと、前記ホルダープレートの周縁部に形成されて複数の前記光ファイバフェルールを着脱可能に設置する複数の設置手段と、前記光ファイバフェルール研磨用ホルダーを光ファイバフェルール研磨機の装着軸に着脱可能に取り付ける研磨用ホルダー装着治具とを有し、
前記光ファイバフェルール研磨機の装着軸が、その先端から軸方向後方へ向かって上り勾配に傾斜する先端斜面と、前記先端斜面から軸方向後方へ離間した位置に軸方向へ延びていて前記装着軸の径方向内方へ凹む中央凹部とを備え、
前記研磨用ホルダー装着治具が、前記光ファイバフェルール研磨用ホルダーのホルダープレートに設置された取付プレートと、前記取付プレートから縦方向へ延びていて前記光ファイバフェルール研磨機の装着軸を挿脱可能に挿入する挿入空間を有する挿入パイプと、前記挿入パイプの周壁を径方向へ貫通する貫通孔に挿入されて該挿入パイプから径方向外方へ延びる操作ロッドと、前記挿入パイプの外周面に着脱可能に設置された収納ケースと、前記操作ロッドを前記挿入パイプの径方向内方へ付勢するコイルバネとから形成され、
前記操作ロッドが、前記コイルバネの付勢力によって前記挿入パイプの内周面から挿入空間に露出する露出端部と、前記露出端部につながって該露出端部から径方向外方へ延出し、前記コイルバネの付勢力に抗して前記露出端部を前記挿入パイプの挿入空間から径方向外方へ移動させるハンドル軸と、前記ハンドル軸の前端部分に形成されて該操作ロッドの径方向外方へ延びる当接フランジとを有し、
前記収納ケースが、前記挿入パイプの径方向へ延びていて前記操作ロッドのハンドル軸の前端部分と前記コイルバネとを収容する収容空間と、前記収容空間を囲繞する周壁と、前記ハンドル軸の前端部分を挿通する挿通孔が穿孔された後端壁と、前記操作ロッドの露出端部を挿通する挿通孔が穿孔されて前記挿入パイプに当接する前端壁とを有し、
前記コイルバネが、前記ハンドル軸の前端部分に挿通された状態で前記収容空間に収容され、前記当接フランジの前端面が、前記挿入パイプの周壁に当接し、前記コイルバネの前端部が、前記当接フランジに当接しているとともに、前記コイルバネの後端部が、前記収納ケースの後端壁に当接し、
前記光ファイバフェルール研磨用ホルダーは、前記光ファイバフェルール研磨機の装着軸を前記研磨用ホルダー装着治具の挿入パイプの挿入空間に挿入すると、前記コイルバネの付勢力に抗して前記露出端部が前記先端斜面に沿って径方向外方へ次第に移動し、前記露出端部が前記装着軸の外周面を摺動しつつ前記中央凹部に達すると、前記コイルバネの付勢力によって前記露出端部が前記中央凹部に向かって径方向内方へ進出しつつ該露出端部が該中央凹部を露出し、前記研磨用ホルダー装着治具が前記装着軸に装着され、前記コイルバネの付勢力に抗して前記ハンドル軸を径方向外方へ移動させ、前記露出端部を前記挿入パイプの挿入空間から径方向外方へ移動させることで該露出端部が前記中央凹部から退出し、前記装着軸からの前記研磨用ホルダー装着治具の抜き取りが可能になることを特徴とする光ファイバフェルール研磨用ホルダー。
【請求項6】
前記複数の設置手段が、前記ホルダープレートの周縁部に形成され、前記研磨用ホルダー装着治具の取付プレートが、前記ホルダープレートの中央部に取り付けられ、前記ハンドル軸の後端部分が、それら設置手段の間を通って前記ホルダープレートの周縁部から径方向外方に延出している請求項5に記載の光ファイバフェルール研磨用ホルダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバフェルール研磨用ホルダーを光ファイバフェルール研磨機に装着する研磨用ホルダー装着治具に関するとともに、光ファイバフェルールの研磨に使用される光ファイバフェルール研磨用ホルダーに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の光ファイバフェルールが挿入される複数の挿入孔を有するホルダープレートと、挿入孔から所定の距離に壁面を有して挿入孔の一側に連なる座部と、挿入孔の座部に対向する側に位置して挿入孔から立ち上がる支持壁とを有し、座部が連なる挿入孔の支持壁との間隔を調整する方向へスライド可能であり、支持壁に向いた前方に保持部を有するとともに、後方に座部の壁面と平行で壁面に向けて下り勾配の傾斜面を有する保持部材が配置され、座部に配置された保持部材の傾斜面上に配置したロッド部材を下方へ押圧するボルトおよびワッシャが座部の壁面外方における台座に設けられ、ボルトを下方へねじ込むことでワッシャがロッド部材を下方へ押圧して座部の壁面に沿って下降し、それによって保持部材が前方へ押し出されて保持部と支持壁とでそれら光ファイバフェルールを保持する光ファイバフェルール研磨用ホルダーが開示されている(特許文献1参照)。特許文献1に開示の光ファイバフェルール研磨用ホルダーは、保持部と支持壁とで各光ファイバフェルールを保持した状態で、光ファイバフェルール研磨機に取り付けられ、光ファイバフェルールの研磨に利用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−181608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光ファイバフェルール研磨用ホルダーを光ファイバフェルール研磨機(図15参照)に装着する一例としては研磨用ホルダー装着治具が利用される。研磨用ホルダー装着治具は、光ファイバフェルール研磨用ホルダーのホルダープレートに設置される取付プレートと、取付プレートから縦方向へ延びる挿入パイプと、挿入パイプの周壁を径方向へ貫通する螺着孔と、螺着孔に螺着される固定ネジとを有する。
【0005】
研磨用ホルダー装着治具を利用して光ファイバフェルール研磨用ホルダーを光ファイバフェルール研磨機に取り付けるには、挿入パイプの挿入空間に光ファイバフェルール研磨機の装着軸を挿入した後、挿入パイプの周壁に形成された螺着孔に固定ネジを螺着する。固定ネジを時計回り方向へ回転させると、固定ネジが挿入パイプの螺着孔を径方向内方へ移動しつつ、固定ネジの先端部が挿入パイプの内周面から挿入空間に露出し、固定ネジの先端部が光ファイバフェルール研磨機の装着軸の中央凹部に向かって露出することで、挿入パイプが装着軸に取り付けられ、それによって光ファイバフェルール研磨用ホルダーが光ファイバフェルール研磨機に装着される。
【0006】
光ファイバフェルール研磨機から光ファイバフェルール研磨用ホルダーを取り外すには、固定ネジを反時計回り方向へ回転させる。固定ネジを反時計回り方向へ回転させると、固定ネジが挿入パイプの螺着孔を径方向外方へ移動し、固定ネジの先端部が挿入パイプの内周面から移動(後退)し、固定ネジの先端部が光ファイバフェルール研磨機の装着軸の中央凹部から退出し、その状態で挿入パイプの挿入空間から光ファイバフェルール研磨機の装着軸を抜き取る。
【0007】
固定ネジを時計回り方向へ回転させることで、光ファイバフェルール研磨用ホルダーを光ファイバフェルール研磨機に装着することができ、固定ネジを反時計回り方向へ回転させることで、光ファイバフェルール研磨機から光ファイバフェルール研磨用ホルダーを取り外すことができるが、光ファイバフェルール研磨機に対する光ファイバフェルール研磨用ホルダーの取り付けと取り外しに固定ネジの回転作業が必要になり、光ファイバフェルール研磨機に対する光ファイバフェルール研磨用ホルダーの取り付けと取り外しとに手間と時間とを要し、光ファイバフェルール研磨用ホルダーを光ファイバフェルール研磨機に迅速かつ容易に取り付けることができず、光ファイバフェルール研磨用ホルダーを光ファイバフェルール研磨機から迅速かつ容易に取り外すことができない。
【0008】
本発明の目的は、光ファイバフェルール研磨機に対する光ファイバフェルール研磨用ホルダーの取り付けと取り外しとに手間と時間とを要せず、光ファイバフェルール研磨用ホルダーを光ファイバフェルール研磨機に迅速かつ容易に取り付けることができ、光ファイバフェルール研磨用ホルダーを光ファイバフェルール研磨機から迅速かつ容易に取り外すことができる研磨用ホルダー装着治具を提供することにある。本発明の他の目的は、光ファイバフェルール研磨機に対する取り付けと取り外しとに手間と時間とを要せず、光ファイバフェルール研磨機に迅速かつ容易に取り付けることができ、光ファイバフェルール研磨機から迅速かつ容易に取り外すことができる光ファイバフェルール研磨用ホルダーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するための本発明の第1の前提は、光ファイバフェルールの研磨に使用される光ファイバフェルール研磨用ホルダーを光ファイバフェルール研磨機の装着軸に着脱可能に取り付ける研磨用ホルダー装着治具である。
【0010】
前記第1の前提における本発明の研磨用ホルダー装着治具の特徴は、光ファイバフェルール研磨機の装着軸が、その先端から軸方向後方へ向かって上り勾配に傾斜する先端斜面と、先端斜面から軸方向後方へ離間して軸方向へ延びていて装着軸の径方向内方へ凹む中央凹部とを備え、研磨用ホルダー装着治具が、光ファイバフェルール研磨用ホルダーのホルダープレートに取り付けられる取付プレートと、取付プレートから縦方向へ延びていて光ファイバフェルール研磨機の装着軸を挿脱可能に挿入する挿入空間を有する挿入パイプと、挿入パイプの周壁を径方向へ貫通する貫通孔に挿入されて挿入パイプから径方向外方へ延びる操作ロッドと、挿入パイプの外周面に着脱可能に設置された収納ケースと、操作ロッドを挿入パイプの径方向内方へ付勢するコイルバネとから形成され、操作ロッドが、コイルバネの付勢力によって挿入パイプの内周面から挿入空間に露出する露出端部と、露出端部につながって露出端部から径方向外方へ延出し、コイルバネの付勢力に抗して露出端部を挿入パイプの挿入空間から径方向外方へ移動させるハンドル軸と、ハンドル軸の前端部分に形成されて操作ロッドの径方向外方へ延びる当接フランジとを有し、収納ケースが、挿入パイプの径方向へ延びていて操作ロッドのハンドル軸の前端部分とコイルバネとを収容する収容空間と、収容空間を囲繞する周壁と、ハンドル軸の前端部分を挿通する挿通孔が穿孔された後端壁と、操作ロッドの露出端部を挿通する挿通孔が穿孔されて挿入パイプに当接する前端壁とを有し、コイルバネが、ハンドル軸の前端部分に挿通された状態で収容空間に収容され、当接フランジの前端面が、挿入パイプの周壁に当接し、コイルバネの前端部が、当接フランジに当接しているとともに、コイルバネの後端部が、収納ケースの後端壁に当接し、研磨用ホルダー装着治具は、光ファイバフェルール研磨機の装着軸を挿入パイプの挿入空間に挿入すると、コイルバネの付勢力に抗して露出端部が先端斜面に沿って径方向外方へ次第に移動し、露出端部が装着軸の外周面を摺動しつつ中央凹部に達すると、コイルバネの付勢力によって露出端部が中央凹部に向かって径方向内方へ進出しつつ露出端部が中央凹部に露出し、研磨用ホルダー装着治具が装着軸に装着され、コイルバネの付勢力に抗してハンドル軸を径方向外方へ移動させ、露出端部を挿入パイプの挿入空間から径方向外方へ移動させることで露出端部が中央凹部から退出し、装着軸からの研磨用ホルダー装着治具の抜き取りが可能になることにある。
【0011】
本発明の研磨用ホルダー装着治具の一例としては、研磨用ホルダー装着治具の取付プレートが、ホルダープレートの中央部に着脱可能に取り付けられる。
【0012】
本発明の研磨用ホルダー装着治具の他の一例としては、複数の光ファイバフェルールを光ファイバフェルール研磨用ホルダーに着脱可能に設置する複数の設置手段が、ホルダープレートの周縁部に形成され、研磨用ホルダー装着治具は、取付プレートをホルダープレートに取り付けたときに、ハンドル軸の後端部分がそれら設置手段の間を通ってホルダープレートの周縁部から径方向外方に延出する。
【0013】
本発明の研磨用ホルダー装着治具の他の一例としては、光ファイバフェルール研磨機の装着軸を挿入パイプの挿入空間に挿入するときに、装着軸に対する挿入パイプの挿入位置を決める位置決め凹部または位置決め凸部が、挿入パイプの頂部に形成されている。
【0014】
前記課題を解決するための本発明の第2の前提は、光ファイバフェルールの研磨に使用される光ファイバフェルール研磨用ホルダーである。
【0015】
前記第2の前提における本発明の光ファイバフェルール研磨用ホルダーの特徴は、光ファイバフェルール研磨用ホルダーが、所定面積のホルダープレートと、ホルダープレートの周縁部に形成されて複数の光ファイバフェルールを着脱可能に設置する複数の設置手段と、光ファイバフェルール研磨用ホルダーを光ファイバフェルール研磨機の装着軸に着脱可能に取り付ける研磨用ホルダー装着治具とを有し、光ファイバフェルール研磨機の装着軸が、その先端から軸方向後方へ向かって上り勾配に傾斜する先端斜面と、先端斜面から軸方向後方へ離間した位置に軸方向へ延びていて装着軸の径方向内方へ凹む中央凹部とを備え、研磨用ホルダー装着治具が、光ファイバフェルール研磨用ホルダーのホルダープレートに設置された取付プレートと、取付プレートから縦方向へ延びていて光ファイバフェルール研磨機の装着軸を挿脱可能に挿入する挿入空間を有する挿入パイプと、挿入パイプの周壁を径方向へ貫通する貫通孔に挿入されて挿入パイプから径方向外方へ延びる操作ロッドと、挿入パイプの外周面に着脱可能に設置された収納ケースと、操作ロッドを挿入パイプの径方向内方へ付勢するコイルバネとから形成され、操作ロッドが、コイルバネの付勢力によって挿入パイプの内周面から挿入空間に露出する露出端部と、露出端部につながって露出端部から径方向外方へ延出し、コイルバネの付勢力に抗して露出端部を挿入パイプの挿入空間から径方向外方へ移動させるハンドル軸と、ハンドル軸の前端部分に形成されて操作ロッドの径方向外方へ延びる当接フランジとを有し、収納ケースが、挿入パイプの径方向へ延びていて操作ロッドのハンドル軸の前端部分とコイルバネとを収容する収容空間と、収容空間を囲繞する周壁と、ハンドル軸の前端部分を挿通する挿通孔が穿孔された後端壁と、操作ロッドの露出端部を挿通する挿通孔が穿孔されて挿入パイプに当接する前端壁とを有し、コイルバネが、ハンドル軸の前端部分に挿通された状態で収容空間に収容され、当接フランジの前端面が、挿入パイプの周壁に当接し、コイルバネの前端部が、当接フランジに当接しているとともに、コイルバネの後端部が、収納ケースの後端壁に当接し、光ファイバフェルール研磨用ホルダーは、光ファイバフェルール研磨機の装着軸を研磨用ホルダー装着治具の挿入パイプの挿入空間に挿入すると、コイルバネの付勢力に抗して露出端部が先端斜面に沿って径方向外方へ次第に移動し、露出端部が装着軸の外周面を摺動しつつ中央凹部に達すると、コイルバネの付勢力によって露出端部が中央凹部に向かって径方向内方へ進出しつつ露出端部が中央凹部を露出し、研磨用ホルダー装着治具が装着軸に装着され、コイルバネの付勢力に抗してハンドル軸を径方向外方へ移動させ、露出端部を挿入パイプの挿入空間から径方向外方へ移動させることで露出端部が中央凹部から退出し、装着軸からの研磨用ホルダー装着治具の抜き取りが可能になることにある。
【0016】
本発明の光ファイバフェルール研磨用ホルダーの一例としては、複数の設置手段が、ホルダープレートの周縁部に形成され、研磨用ホルダー装着治具の取付プレートが、ホルダープレートの中央部に取り付けられ、ハンドル軸の後端部分が、それら設置手段の間を通ってホルダープレートの周縁部から径方向外方に延出している。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る研磨用ホルダー装着治具によれば、コイルバネの付勢力によって挿入パイプの内周面から挿入空間に露出する操作ロッドの露出端部が光ファイバフェルール研磨機の装着軸に向かって露出することで、研磨用ホルダー装着治具が装着軸に装着されるから、研磨用ホルダー装着治具を利用することで光ファイバフェルール研磨用ホルダーを光ファイバフェルール研磨機に迅速かつ容易に取り付けることができる。研磨用ホルダー装着治具は、コイルバネの付勢力に抗して操作ロッドを径方向外方に移動させ、操作ロッドの露出端部を挿入パイプの挿入空間から径方向外方へ移動(後退)させることで、露出端部が光ファイバフェルール研磨機の装着軸から退出するから、研磨用ホルダー装着治具を利用することで光ファイバフェルール研磨用ホルダーを光ファイバフェルール研磨機から迅速かつ容易に取り外すことができる。
【0018】
光ファイバフェルール研磨機の装着軸がその先端から軸方向後方へ向かって上り勾配に傾斜する先端斜面と先端斜面から軸方向後方へ離間して軸方向へ延びていて装着軸の径方向内方へ凹む中央凹部とを備え、光ファイバフェルール研磨機の装着軸を挿入パイプの挿入空間に挿入すると、コイルバネの付勢力に抗して露出端部が先端斜面に沿って径方向外方へ次第に移動し、露出端部が装着軸の外周面を摺動しつつ中央凹部に達すると、コイルバネの付勢力によって露出端部が中央凹部に向かって径方向内方へ進出しつつ露出端部が中央凹部に露出し、研磨用ホルダー装着治具が装着軸に装着され、コイルバネの付勢力に抗してハンドル軸を径方向外方へ移動させ、露出端部を挿入パイプの挿入空間から径方向外方へ移動させることで露出端部が中央凹部から退出し、研磨用ホルダー装着治具の装着軸からの抜き取りが可能になる研磨用ホルダー装着治具は、操作ロッドの露出端部が装着軸の中央凹部に達すると、コイルバネの付勢力によって露出端部が中央凹部に向かって径方向内方へ進出しつつ露出端部が中央凹部に露出し、露出端部が中央凹部に係入するから、挿入パイプの挿入空間に光ファイバフェルール研磨機の装着軸を挿入するだけで、研磨用ホルダー装着治具を装着軸に取り付けることができ、研磨用ホルダー装着治具を利用することで、手間と時間とを要せずに光ファイバフェルール研磨用ホルダーを光ファイバフェルール研磨機に迅速かつ容易に取り付けることができる。研磨用ホルダー装着治具は、コイルバネの付勢力に抗して操作ロッドを径方向外方に移動させ、操作ロッドの露出端部を挿入パイプの挿入空間から径方向外方へ移動させることで露出端部が中央凹部から退出し、中央凹部に対する露出端部の係入が解除されるから、コイルバネの付勢力に抗して露出端部を挿入パイプの挿入空間から径方向外方へ移動させるだけで、装着軸からの研磨用ホルダー装着治具の抜き取りを可能にすることができ、研磨用ホルダー装着治具を利用することで、手間と時間とを要せずに光ファイバフェルール研磨用ホルダーを光ファイバフェルール研磨機から迅速かつ容易に取り外すことができる。
【0019】
挿入パイプの外周面に設置された収納ケースを含み、前記収納ケースが操作ロッドのハンドル軸の前端部分とコイルバネとを収容する収容空間を有し、コイルバネがハンドル軸の前端部分に挿通された状態で収容空間に収容されている研磨用ホルダー装着治具は、操作ロッドの露出端部が装着軸の中央凹部に達すると、収納ケースに収容されたコイルバネの付勢力によって露出端部が中央凹部に向かって径方向内方へ進出しつつ露出端部が中央凹部に露出し、露出端部が中央凹部に係入するから、挿入パイプの挿入空間に光ファイバフェルール研磨機の装着軸を挿入するだけで、研磨用ホルダー装着治具を装着軸に装着することができ、研磨用ホルダー装着治具を利用することで、手間と時間とを要せずに光ファイバフェルール研磨用ホルダーを光ファイバフェルール研磨機に迅速かつ容易に取り付けることができる。研磨用ホルダー装着治具は、収納ケースに収容されたコイルバネの付勢力に抗して操作ロッドを径方向外方に移動させ、操作ロッドの露出端部を挿入パイプの挿入空間から径方向外方へ移動させることで露出端部が中央凹部から退出し、中央凹部に対する露出端部の係入が解除されるから、コイルバネの付勢力に抗して露出端部を挿入パイプの挿入空間から径方向外方へ移動させるだけで、装着軸からの研磨用ホルダー装着治具の抜き取りを可能にすることができ、研磨用ホルダー装着治具を利用することで、手間と時間とを要せずに光ファイバフェルール研磨用ホルダーを光ファイバフェルール研磨機から迅速かつ容易に取り外すことができる。
【0020】
操作ロッドの径方向外方へ延びる当接フランジがハンドル軸の前端部分に形成され、当接フランジの前端面が挿入パイプの周壁に当接し、コイルバネの前端部が当接フランジに当接しているとともに、コイルバネの後端部が収納ケースの後端壁に当接している研磨用ホルダー装着治具は、当接フランジの前端面が挿入パイプの周壁に当接し、コイルバネの前端部が当接フランジに当接するとともに、コイルバネの後端部が収納ケースの後端壁に当接することで、コイルバネの付勢力が操作ロッドに確実に作用し、コイルバネの付勢力によって操作ロッドの露出端部が装着軸の中央凹部に向かって径方向内方へ進出しつつ露出端部が中央凹部に露出し、露出端部が中央凹部に係入するから、挿入パイプの挿入空間に光ファイバフェルール研磨機の装着軸を挿入するだけで、研磨用ホルダー装着治具を装着軸に装着することができ、研磨用ホルダー装着治具を利用することで、手間と時間とを要せずに光ファイバフェルール研磨用ホルダーを光ファイバフェルール研磨機に迅速かつ容易に取り付けることができる。
【0021】
研磨用ホルダー装着治具の取付プレートがホルダープレートの中央部に着脱可能に取り付けられる研磨用ホルダー装着治具は、たとえば、複数の光ファイバフェルールがホルダープレートの周縁部に設置された場合、取付プレートを介してホルダープレートの中央部に取り付けられた研磨用ホルダー装着治具を利用することで、光ファイバフェルール研磨機によってそれら光ファイバフェルールを均等に研磨することができる。
【0022】
複数の光ファイバフェルールを光ファイバフェルール研磨用ホルダーに着脱可能に設置する複数の設置手段がホルダープレートの周縁部に形成され、取付プレートをホルダープレートに取り付けたときに、ハンドル軸の後端部分がそれら設置手段の間を通ってホルダープレートの周縁部から径方向外方に延出する研磨用ホルダー装着治具は、ホルダープレートの周縁部に並ぶそれら設置手段を介して複数の光ファイバフェルールがホルダープレートの周縁部に設置された場合、取付プレートを介してホルダープレートの中央部に取り付けられた研磨用ホルダー装着治具を利用することで、光ファイバフェルール研磨機によってそれら光ファイバフェルールを均等に研磨することができる。研磨用ホルダー装着治具は、取付プレートをホルダープレートに取り付けたときに、ハンドル軸の後端部分がそれら設置手段の間を通ってホルダープレートの周縁部から径方向外方に延出するから、ハンドル軸の後端部分が設置手段を妨害することはなく、設置手段によって複数の光ファイバフェルールをホルダープレートの周縁部に設置することができるとともに、ホルダープレートの周縁部から径方向外方に延出するハンドル軸の後端部分を径方向外方へ移動させることで、露出端部が装着軸の中央凹部から退出するから、中央凹部に対する露出端部の係入を容易に解除することができる。
【0023】
光ファイバフェルール研磨機の装着軸を挿入パイプの挿入空間に挿入するときに、装着軸に対する挿入パイプの挿入位置を決める位置決め凹部または位置決め凸部が挿入パイプの頂部に形成されている研磨用ホルダー装着治具は、位置決め凹部や位置決め凸部によって装着軸に対する挿入パイプの挿入位置が一定するから、研磨用ホルダー装着治具を光ファイバフェルール研磨機の装着軸に装着位置に正確に装着することができ、操作ロッドの露出端部を装着軸に中央凹部に正確に位置させることができる。
【0024】
本発明に係る光ファイバフェルール研磨用ホルダーによれば、コイルバネの付勢力によって挿入パイプの内周面から挿入空間に露出する操作ロッドの露出端部が光ファイバフェルール研磨機の装着軸に向かって露出することで、研磨用ホルダー装着治具が装着軸に装着されるから、光ファイバフェルール研磨用ホルダーを光ファイバフェルール研磨機に迅速かつ容易に取り付けることができる。光ファイバフェルール研磨用ホルダーは、コイルバネの付勢力に抗して操作ロッドを径方向外方に移動させ、操作ロッドの露出端部を挿入パイプの挿入空間から径方向外方へ移動(後退)させることで、露出端部が光ファイバフェルール研磨機の装着軸から退出するから、光ファイバフェルール研磨用ホルダーを光ファイバフェルール研磨機から迅速かつ容易に取り外すことができる。
【0025】
光ファイバフェルール研磨機の装着軸がその先端から軸方向後方へ向かって上り勾配に傾斜する先端斜面と先端斜面から軸方向後方へ離間した位置に軸方向へ延びていて装着軸の径方向内方へ凹む中央凹部とを備え、光ファイバフェルール研磨機の装着軸を研磨用ホルダー装着治具の挿入パイプの挿入空間に挿入すると、コイルバネの付勢力に抗して露出端部が先端斜面に沿って径方向外方へ次第に移動し、露出端部が装着軸の外周面を摺動しつつ中央凹部に達すると、コイルバネの付勢力によって露出端部が中央凹部に向かって径方向内方へ進出しつつ露出端部が中央凹部を露出し、研磨用ホルダー装着治具が装着軸に装着され、コイルバネの付勢力に抗してハンドル軸を径方向外方へ移動させ、露出端部を挿入パイプの挿入空間から径方向外方へ移動させることで露出端部が中央凹部から退出し、装着軸からの研磨用ホルダー装着治具の抜き取りが可能になる光ファイバフェルール研磨用ホルダーは、操作ロッドの露出端部が装着軸の中央凹部に達すると、コイルバネの付勢力によって露出端部が中央凹部に向かって径方向内方へ進出しつつ露出端部が中央凹部に露出し、露出端部が中央凹部に係入するから、研磨用ホルダー装着治具の挿入パイプの挿入空間に光ファイバフェルール研磨機の装着軸を挿入するだけで、研磨用ホルダー装着治具を装着軸に取り付けることができ、手間と時間とを要せずに光ファイバフェルール研磨用ホルダーを光ファイバフェルール研磨機に迅速かつ容易に取り付けることができる。光ファイバフェルール研磨用ホルダーは、コイルバネの付勢力に抗して操作ロッドを径方向外方に移動させ、操作ロッドの露出端部を挿入パイプの挿入空間から径方向外方へ移動させることで露出端部が中央凹部から退出し、中央凹部に対する露出端部の係入が解除されるから、コイルバネの付勢力に抗して露出端部を挿入パイプの挿入空間から径方向外方へ移動させるだけで、装着軸からの研磨用ホルダー装着治具の抜き取りを可能にすることができ、手間と時間とを要せずに光ファイバフェルール研磨用ホルダーを光ファイバフェルール研磨機から迅速かつ容易に取り外すことができる。
【0026】
複数の光ファイバフェルールを着脱可能に設置する複数の設置手段がホルダープレートの周縁部に形成され、研磨用ホルダー装着治具の取付プレートがホルダープレートの中央部に取り付けられ、ハンドル軸の後端部分がそれら設置手段の間を通ってホルダープレートの周縁部から径方向外方に延出している光ファイバフェルール研磨用ホルダーは、ホルダープレートの周縁部に並ぶそれら設置手段を介して複数の光ファイバフェルールがホルダープレートの周縁部に設置された場合、取付プレートを介してホルダープレートの中央部に取り付けられた研磨用ホルダー装着治具を利用することで、光ファイバフェルール研磨機によってそれら光ファイバフェルールを均等に研磨することができる。光ファイバフェルール研磨用ホルダーは、研磨用ホルダー装着治具の取付プレートをホルダープレートに取り付けたときに、ハンドル軸の後端部分がそれら設置手段の間を通ってホルダープレートの周縁部から径方向外方に延出するから、ハンドル軸の後端部分が設置手段を妨害することはなく、設置手段によって複数の光ファイバフェルールをホルダープレートの周縁部に設置することができるとともに、ホルダープレートの周縁部から径方向外方に延出するハンドル軸の後端部分を径方向外方へ移動させることで、露出端部が装着軸の中央凹部から退出するから、中央凹部に対する露出端部の係入を容易に解除することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】一例として示す研磨用ホルダー装着治具の斜視図。
図2】研磨用ホルダー装着治具の上面図。
図3図1のA−A線矢視断面図。
図4】操作ロッドのハンドル軸を径方向外方へ移動させたときの図3と同一の断面図。
図5】一例として示す光ファイバフェルール研磨用ホルダーの上面図。
図6】一例として示すホルダープレートの上面図。
図7】トーラス材を部分的に示す部分拡大斜視図。
図8】一例として示す固定駒の斜視図。
図9】旋回ロッドが傾斜状態に旋回したときの光ファイバフェルール研磨用ホルダーの部分拡大正面図。
図10図9のB−B線矢視断面図。
図11】光ファイバフェルールをフェルール挿入孔に挿入する以前の状態で示す図10と同一の断面図。
図12】旋回ロッドを旋回途中の状態で示す断面図。
図13】旋回ロッドが起立状態に旋回したときの光ファイバフェルール研磨用ホルダーの部分拡大正面図。
図14図13のC−C線矢視断面図。
図15】光ファイバフェルール研磨用ホルダーを光ファイバフェルール研磨機に取り付けた状態の側面図。
図16図15のD−D線矢視断面図。
図17】研磨加工中の光ファイバフェルール研磨機の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
一例として示す研磨用ホルダー装着治具10の斜視図である図1等の添付の図面を参照し、本発明に係る研磨用ホルダー装着治具および本発明に係る光ファイバフェルール研磨用ホルダーの詳細を説明すると、以下のとおりである。なお、図2は、研磨用ホルダー装着治具10の上面図であり、図3は、図1のA−A線矢視断面図である。図4は、操作ロッド14のハンドル軸37を径方向外方へ移動させたときの図3と同一の断面図である。図1では、径方向を矢印Lで示し、縦方向を矢印Nで示す。
【0029】
研磨用ホルダー装着治具10は、光ファイバフェルール101aの研磨に使用される光ファイバフェルール研磨用ホルダー50(図5参照)に着脱可能に取り付けられ、光ファイバフェルール研磨機103(図15参照)への光ファイバフェルール研磨用ホルダー50の取り付けに利用される。研磨用ホルダー装着治具10は、取付プレート11、挿入パイプ12、収納ケース13、操作ロッド14、コイルバネ15から形成されている。
【0030】
取付プレート11は、アルミや合金鋼、鉄鋼等の金属または合成樹脂から作られ、所定厚みを有する円環状(ドーナツ型)に成形されている。取付プレート11には、固定ネジ16(六角穴付きボルト等)を挿通または螺着するネジ孔17が穿孔されている。取付プレート11は、光ファイバフェルール研磨用ホルダー50の後記するホルダープレート51に着脱可能に取り付けられる。なお、取付プレート11がホルダープレート51と一体に成形され、取付プレート11がホルダープレート51に一連につながっていてもよい。
【0031】
挿入パイプ12は、アルミや合金鋼、鉄鋼等の金属または合成樹脂から作られ、取付プレート11と一体に成形されて取付プレート11に一連につながっている。挿入パイプ12は、取付プレート11から縦方向へ直状に延びている。挿入パイプ12は、取付プレート11につながる底部18と、底部18の反対側に位置する頂部20と、底部18および頂部20の間に延びる中央部19とを有し、底部18から頂部20に向かって延びる円筒状の挿入空間21を有する。挿入空間21には、光ファイバフェルール研磨機103の後記する装着軸104が挿脱可能に挿入される。
【0032】
挿入パイプ12の頂部20には、頂部20から中央部19に向かって縦方向へ凹む2つの位置決め凹部22が形成されている。なお、頂部20から上方へ向かって凸となる2つの位置決め凸部が挿入パイプ12の頂部20に形成されていてもよい。位置決め凹部22や位置決め凸部は、光ファイバフェルール研磨機103の装着軸104を挿入パイプ12の挿入空間21に挿入するときに、装着軸104に対する挿入パイプ12の挿入位置を決め、挿入パイプ12を装着軸104の所定の位置に装着する。
【0033】
挿入パイプ12の中央部19には、径方向内方へ凹む設置凹部23が形成されている。設置凹部23には、挿入パイプ12の外周面24と内周面25との間に延びていて挿入パイプ12の周壁26を径方向へ貫通する貫通孔27が穿孔されているとともに、固定ネジ16を螺着するネジ孔28が穿孔されている。
【0034】
収納ケース13は、アルミや合金鋼、鉄鋼等の金属または合成樹脂から作られ、挿入パイプ12の中央部19の外周面24に形成された設置凹部23に着脱可能に設置されている。収納ケース13は、挿入パイプ12の径方向へ延びる収容空間29と、収容空間29を囲繞する周壁30(両側壁および両端壁)と、縦方向へ長い後端壁31と、設置凹部23に当接する縦方向へ長い前端壁32とを有する。収容空間29には、操作ロッド14の後記するハンドル軸37の前端部分38(当接フランジ39)とコイルバネ15とが収容される。後端壁31には、ハンドル軸37を挿通する挿通孔33が穿孔され、前端壁32には、操作ロッド14の後記する露出端部36を挿通する挿通孔34が穿孔されている。
【0035】
収納ケース13には、固定ネジ16(六角穴付きボルト等)を挿通または螺着するネジ孔35が穿孔されている。ネジ孔35は、後端壁31から前端壁32に向かって径方向へ延びている。収納ケース13は、その前端壁32が挿入パイプ12の設置凹部23に嵌め込まれ、そのネジ孔35に固定ネジ16が挿通または螺着されるとともに、挿入パイプ12の周壁26のネジ孔28に固定ネジ16が螺着されることで、挿入パイプ12の中央部19の周壁26(設置凹部23)に固定されている。
【0036】
操作ロッド14は、アルミや合金鋼、鉄鋼等の金属または合成樹脂から作られ、径方向へ長い棒状に成形されている。操作ロッド14は、挿入パイプ12の挿通孔33に挿入されて挿入パイプ12から径方向外方へ直状に延びている。操作ロッド14は、挿入パイプ12の内周面25から挿入空間21に露出する露出端部36と、露出端部36につながって露出端部36から径方向外方へ延びるハンドル軸37とから形成されている。
【0037】
露出端部36は、収納ケース13の前端壁32の挿通孔34に挿通されているとともに、挿入パイプ12の貫通孔27に摺動可能に挿通されている。露出端部36は、径方向内方と径方向外方とへ進退可能であり、径方向内方へ進出することで、挿入パイプ12の内周面25から挿入空間21に露出し、径方向外方へ移動(後退)することで、挿入空間21から挿入パイプ12の貫通孔27と設置凹部23とに移動する。
【0038】
ハンドル軸37は、その前端部分38が収納ケース13の収容空間29に収容されて径方向へ延びている。ハンドル軸37の前端部分38は、収納ケース13の後端壁31に穿孔された挿通孔33に摺動可能に挿通されている。ハンドル軸37の前端部分38には、操作ロッド14の径方向外方へ延びる当接フランジ39が形成されている。ハンドル軸37の後端部分40には、摘持可能な摘み41が取り付けられている。
【0039】
コイルバネ15(圧縮コイルバネ)は、ハンドル軸37の前端部分38に挿通された状態で収納ケース13の収容空間29と挿入パイプ12の設置凹部23とに収容されている。コイルバネ15は、操作ロッド14(露出端部36)を挿入パイプ12の径方向内方へ付勢する。コイルバネ15は、その前端部42が当接フランジ39に当接し、その後端部43が収納ケース13の後端壁31に当接している。コイルバネ15の付勢力によって、当接フランジ39の前端面が挿入パイプ12の設置凹部23の外周面24に当接(密着)し、操作ロッド14の露出端部36が挿入パイプ12の内周面25から挿入空間21に露出している。
【0040】
ハンドル軸37の摘み41を摘持し、コイルバネ15の付勢力に抗してハンドル軸37を径方向外方へ移動させると(引っ張ると)、ハンドル軸37の前端部分38(当接フランジ39)が収納ケース13の収容空間29において径方向後方へ移動し、操作ロッド14の露出端部36が挿入パイプ12の挿入空間21から径方向外方へ移動(後退)し、露出端部36が挿入パイプ12の貫通孔27と設置凹部23とに移動して挿入空間21から退出する。
【0041】
ハンドル軸37を径方向外方へ引っ張る力を解除すると、コイルバネ15の付勢力によって、ハンドル軸37の前端部分38(当接フランジ39)が収納ケース13の収容空間29において径方向前方へ移動し、操作ロッド14の露出端部36が挿入パイプ12の内周面25から挿入空間21に露出し、その状態が保持される。
【0042】
図5は、一例として示す光ファイバフェルール研磨用ホルダー50の上面図であり、図6は、一例として示すホルダープレート51の上面図である。図7は、トーラス材61を部分的に示す部分拡大斜視図であり、図8は、一例として示す固定駒63の斜視図である。図9は、旋回ロッド62が傾斜状態に旋回したときの光ファイバフェルール研磨用ホルダー50の部分拡大正面図であり、図10は、図9のB−B線矢視断面図である。図11は、光ファイバフェルールをホルダープレート51のフェルール挿入孔59に挿入する以前の状態で示す図10と同一の断面図である。図5では、径方向内方を矢印L1、径方向外方を矢印L2、周り方向を矢印Mで示し、図9では、上下方向を矢印Nで示す。
【0043】
光ファイバフェルール研磨用ホルダー50は、光ファイバフェルール研磨機103に着脱可能に設置され、光ファイバフェルール研磨機103によるそれら光ファイバ101の光ファイバフェルール101aの研磨に使用される。光ファイバフェルール研磨用ホルダー50は、所定面積および所定の厚さを有するホルダープレート51(台座)と、ホルダープレート51の周縁部52に形成されて複数の光ファイバフェルール101aを着脱可能に設置する複数の設置手段53と、光ファイバフェルール研磨用ホルダー50を光ファイバフェルール研磨機103に着脱可能に装着する研磨用ホルダー装着治具10とから形成されている。
【0044】
ホルダープレート51は、アルミや合金鋼、鉄鋼等の金属または合成樹脂から作られ、円形の平板状(円盤状)に成形されている。ホルダープレート51の中央部54には、固定ネジ16(六角穴付きボルト等)を螺着する螺着孔55が穿孔されている。ホルダープレート51の中央部54には、研磨用ホルダー装着治具10の取付プレート11のネジ孔17と螺着孔55とに螺着された固定ネジ16によって研磨用ホルダー装着治具10が取り付けられている。なお、固定ネジ16を螺着孔55から取り外すことで、研磨用ホルダー装着治具10をホルダープレート51から取り外すことができる。なお、光ファイバフェルール研磨機103の研磨盤111(図15参照)が円盤状のため、ホルダープレート51を円形の平板状(円盤状)に成形することで、同一円周での研磨が可能になり、複数の光ファイバフェルールの研磨結果にバラツキが少なくなり、光ファイバフェルールの設置数も多くすることができる。ただし、ホルダープレート51の平面形状が円形ではなく、他のあらゆる形状に成形されていてもよい。
【0045】
ホルダープレート51の周縁部52には、ホルダープレート51の上下面56,57を上下方向へ貫通する複数の設置孔部58(設置部)と、ホルダープレート51の上下面56,57を上下方向へ貫通する複数のフェルール挿入孔59とが形成されている。それら設置孔部58とそれらフェルール挿入孔59とは、ホルダープレート51の周縁部52において環状に並んでいる。ホルダープレート51の周縁部52には、固定ネジ16(六角穴付きボルト等)を螺着する螺着孔60が穿孔されている。
【0046】
それら設置手段53は、ホルダープレートの周縁部に形成されて環状に並んでいる。設置手段53は、所定の厚さを有してホルダープレート51の上方へ凸(隆起)となる平凸状のトーラス材61(隆起部材)と、ホルダープレート51に旋回可能に設置された複数の旋回ロッド62と、ホルダープレート51に旋回可能(移動可能)に設置された複数の固定駒63と、ホルダープレート51に設置された複数の板バネ64(付勢手段)と、それら旋回ロッド62に挿通された複数のスライドロック65と、それら旋回ロッド62に挿通されてロッド62の軸方向へ延びる複数のコイルバネ66とから形成されている。
【0047】
トーラス材61は、アルミや合金鋼、鉄鋼等の金属または合成樹脂から作られ、ホルダープレート51の上面56に位置し、環状に延びていて円環(リング)を形成している。トーラス材61には、固定ネジ16(六角穴付きボルト等)を挿通または螺着するネジ孔67が穿孔されている。トーラス材61は、ホルダープレート51の螺着孔60とトーラス材61のネジ孔67とに螺着された固定ネジ16によってホルダープレート51の周縁部52に固定されている。なお、ホルダープレート51の平面形状が円形以外の形状に成形されている場合、隆起部材(トーラス材61)がホルダープレート51の周縁部を囲繞する形状に成形される。
【0048】
トーラス材61は、図7に示すように、環状に並ぶ上方開口68および環状に並ぶ起立支持部69と、環状に並ぶ側方開口70および環状に並ぶ傾斜支持部71と、環状に並ぶ旋回開口72および環状に並ぶ旋回部73とを有する。トーラス材61の起立支持部69の下方には、一対の円筒状の軸孔92が穿孔されている。軸孔92には、旋回ロッド62の後記する一対の軸82が回転可能に設置される。
【0049】
トーラス材61のそれら上方開口68は、円形に成形されて上方へ向かって開口している。上方開口68には、起立した旋回ロッド62が位置する。それら起立支持部69は、上方開口68を囲繞し、旋回ロッド62の後記する中間部79を支持してロッド62を起立状態に支持する。それら起立支持部69には、下方へ向かって凹むロック孔74が形成されている。ロック孔74は、その径が上方開口68のそれよりもわずかに大きい。ロック孔74には、旋回ロッド62が起立したときにスライドロック65の後記する下端部100が進入する。
【0050】
トーラス材61のそれら側方開口70は、円形に成形されて側方(径方向外方)へ向かって開口している。側方開口70には、傾斜した旋回ロッド62が位置する。それら傾斜支持部71は、側方開口70を囲繞し、旋回ロッド62を傾斜状態に支持する。それら旋回開口72は、上方開口68と側方開口70とにつながり、上方開口68から側方開口70に向かって弧を画くように傾斜している。旋回開口72では、旋回ロッド62が径方向内方と径方向外方とへ旋回する。それら旋回部73は、旋回開口72を囲繞し、起立支持部69と傾斜支持部71とにつながり、起立支持部69から傾斜支持部71に向かって弧を画くように傾斜している。
【0051】
ホルダープレート51のそれら設置孔部58(それら設置部)は、ホルダープレート51のフェルール挿入孔59と旋回ロッド62との間に形成され、トーラス材61の起立支持部69の径方向内方に隣接し、トーラス材61の直近に位置している。それら設置孔部58には、固定駒63が旋回(移動)可能に設置されている。
【0052】
それら設置孔部58は、旋回ロッド62の略直下に位置して上下方向へ延びる後壁75と、後壁75の両側に位置して上下方向へ延びる両側壁76(両側面)と、後壁75の側に位置する両側壁76に形成された一対の軸孔77とを有する。軸孔77は、ホルダープレート51の上下面56,57を上下方向へ貫通する貫通孔であり、両側壁76から周り方向(水平方向)へ延びている。ホルダープレート51のそれらフェルール挿入孔59は、設置孔部58の径方向内方に隣接し、設置孔部58の直近に位置している。
【0053】
それら旋回ロッド62は、アルミや合金鋼、鉄鋼等の金属または合成樹脂から作られ、上下方向へ長い円柱状に成形されている。それら旋回ロッド62は、トーラス材61に沿って環状に並んでいる。旋回ロッド62は、上端部78および下端部80と、上下端部78,80の間に位置する中間部79とを有する。それら旋回ロッド62は、ホルダープレート51の設置孔部58の径方向外方に隣接し、設置孔部58やフェルール挿入孔59の直近に位置してトーラス材61の上方開口68、旋回開口72、側方開口70に旋回可能に挿通されている。旋回ロッド62の上端部78には、ロッド62を旋回させるときに摘持する摘み81が取り付けられている。
【0054】
それら旋回ロッド62の下端部80には、周り方向(横方向)へ延びる一対の円柱状の軸82が形成されている。それら旋回ロッド62の断面円形の下端83には、固定駒63に向かって凸となる押圧凸部84が形成されているとともに、押圧凸部84を除く残余面85が画成されている。それら軸82は、トーラス材61の起立支持部69の下方に穿孔された軸孔92に回転可能に挿入されている。
【0055】
それら旋回ロッド62は、下端部80(軸82)を中心として傾斜状態から起立するようにトーラス材61の旋回開口72を径方向内方へ旋回可能であり、下端部80(軸82)を中心として起立状態から傾斜するようにトーラス材61の旋回開口72を径方向外方へ旋回可能である。旋回ロッド62の押圧凸部84は、固定駒63の後記する頂部88(傾斜面95)に当接し、ロッド62の径方向内方への旋回にともなって固定駒63を径方向内方へ押圧する。
【0056】
それら固定駒63は、ホルダープレート51のそれら設置孔部58に旋回(移動)可能に設置(収容)され、トーラス材61に沿って環状に並んでいる。固定駒63は、図8示すように、ホルダープレート51のフェルール挿入孔59に対向する前部86と、ホルダープレート51の設置孔部58の後壁75に対向する後部87と、旋回ロッド62の下端83に対向する頂部88と、ホルダープレート51の設置孔部58の下方に位置する底部89と、ホルダープレート51の設置孔部58の両側壁76(両側面)に対向する両側部90と、後部87の側に位置する両側部90から周り方向(横方向)へ延びる一対の回転軸91(旋回軸)とを有する。それら回転軸91は、ホルダープレート51の設置孔部58に形成された軸孔77に配置されている。
【0057】
それら固定駒63の前部86には、径方向外方(後方)へ向かって凹む嵌入部分93(凹部分)が形成され、嵌入部分93につながって底部89に向かって湾曲する湾曲面94が形成されている。なお、湾曲面94の他に、嵌入部分93につながって底部89に向かうにつれて下り勾配に傾斜(後部に向かって傾斜)する傾斜面が固定駒63の前部86に形成されていてもよい。嵌入部分93には、光ファイバフェルール101aの頂部102が嵌入する。
【0058】
それら固定駒63の頂部88は、前部86から径方向外方(後方)へ向かうにつれて下方へ向かって下り勾配に傾斜する傾斜面95を有する。傾斜面95には、旋回ロッド62の押圧凸部84が当接する。それら固定駒63の頂部88の側に位置する両側部90には、両側部90から周り方向(横方向)へ延びる(張り出す)一対の当接部分96が形成されている。
【0059】
それら固定駒63は、旋回ロッド62の径方向内方への旋回にともなって設置孔部58において回転軸91を中心に径方向内方へ旋回(移動)し、光ファイバフェルール101aをフェルール挿入孔59に固定する。それら固定駒63は、旋回ロッド62の径方向外方への旋回にともなって設置孔部58において回転軸91を中心に径方向外方へ旋回(移動)し、フェルール挿入孔59に対する光ファイバフェルール101aの固定を解除する。
【0060】
板バネ64は、ホルダープレート51の各設置孔部58の径方向外方近傍に配置されている。板バネ64は、ベース部97と、ベース部97につながる複数のバネ部98とから形成されている。ベース部97は、各設置孔部58の径方向外方近傍に延びるホルダープレート51の上面56に位置し、トーラス材61に沿って環状に延びていて円環(リング)を形成している。ベース部97は、ホルダープレート51の上面56とトーラス材61の傾斜支持部71の下面との間に介在し、ホルダープレート51とトーラス材61の傾斜支持部71とに挟まれた状態でホルダープレート51の上面56に固定されている。
【0061】
それらバネ部98は、互いに隣接する各設置孔部58の間に延びるホルダープレート51の上面56に位置し、トーラス材61に沿って環状に並んでいる。光ファイバフェルール研磨用ホルダー50では、それら固定駒63が各設置孔部58に設置(収容)されたときに、互いに隣接する設置孔部58の間に延びるホルダープレート51の上面56と固定駒63の両側部90の当接部分96との間にそれらバネ部98が介在し、固定駒63の両側部90の当接部分96が板バネ64のバネ部98に当接する。それらバネ部98は、フェルール挿入孔59に対する光ファイバフェルール101aの固定を解除するように各固定駒63を上方であって径方向外方へ付勢し、その付勢力によって固定駒63を径方向外方へ旋回(移動)させる。
【0062】
それらスライドロック65は、円筒状に成形され、旋回ロッド62に挿通された状態でロッド62の軸方向へスライドする。スライドロック65は、それをスライドさせるときに摘持する円筒状の摘み部99と、摘み部99の直下に連なる円筒状の下端部100とを有する。スライドロック65の下端部100は、その径が摘み部99のそれよりも小さく、起立支持部69のロック孔74の径よりもわずかに小さいとともに、トーラス材61の上方開口68、側方開口70、旋回開口72の径よりもわずかに大きい。
【0063】
それらスライドロック65の摘み部99は、トーラス材61の上方開口68、側方開口70、旋回開口72の径よりも大きい。コイルバネ66は、旋回ロッド62の上端部78(摘み81)とスライドロック65の摘み部99とに間に位置してロッド62の軸方向へ延びている。コイルバネ66は、その付勢力によってスライドロック65を旋回ロッド62の下端(下方)に向かって付勢する。
【0064】
旋回ロッド62が径方向外方へ旋回し、ロッド62が傾斜した図10の状態では、ロッド62の押圧凸部84による押圧力が固定駒63の頂部88の傾斜面95に作用しておらず、固定駒63が板バネ64のバネ部98の付勢力によって回転軸91を中心に径方向外方へ旋回(移動)している。固定駒63の前部86および頂部88が径方向外方へ旋回して前部86および頂部88がフェルール挿入孔59から径方向外方へ離間し、ホルダープレート51のフェルール挿入孔59が開放されている。
【0065】
旋回ロッド62は、トーラス材61の側方開口70に位置し、トーラス材61の傾斜支持部71によって傾斜状態に支持されている。スライドロック65がコイルバネ66の付勢力に抗して旋回ロッド62の上端部78(摘み81)に向かってスライドし、スライドロック65の下端部100が傾斜支持部71に乗り上げている。傾斜支持部71によって旋回ロッド62が傾斜状態に支持された場合(旋回ロッド62が傾斜状態に旋回した場合)、ロッド62の下端83の残余面85が固定駒63の頂部88の傾斜面95に当接する。
【0066】
光ファイバフェルール研磨用ホルダー50は、旋回ロッド62が傾斜状態に旋回したときに、ロッド62の下端83のうちの押圧凸部84が固定駒63の頂部88に当接し、押圧凸部84を除く残余面85が固定駒63の傾斜面95に当接するから、ロッド62によって固定駒63の径方向外方へのそれ以上の旋回(移動)を阻止することができ、固定駒63の径方向外方への旋回範囲を規制することができる。
【0067】
光ファイバフェルール研磨用ホルダー50では、図11に矢印N1で示すように、開放されたフェルール挿入孔59に向かって光ファイバ101の光ファイバフェルール101aを挿入し、図10に示すように、フェルール挿入孔59に光ファイバフェルール101aを差し込む。光ファイバフェルール研磨用ホルダー50は、スライドロック65の下端部100がコイルバネ66の付勢力に抗して傾斜支持部71に乗り上げ、下端部100がコイルバネ66の付勢力によって傾斜支持部71に押し付けられ、トーラス材61の傾斜支持部71によって旋回ロッド62が傾斜状態に支持されているから、ロッド62が径方向内方へ不用意に旋回(移動)することはなく、フェルール挿入孔59における固定駒63の固定解除状態が維持されるとともに挿入孔59の開放状態が維持され、フェルール挿入孔59に光ファイバフェルール101aを円滑に挿入することができる。
【0068】
図12は、旋回ロッド62を旋回途中の状態で示す断面図であり、図13は、旋回ロッド62が起立状態に旋回したときの光ファイバフェルール研磨用ホルダー50の部分拡大正面図である。図14は、図13のC−C線矢視断面図である。図12では、径方向内方を矢印L1、径方向外方を矢印L2で示し、図14では、径方向外方を矢印L2で示す。
【0069】
光ファイバフェルール研磨用ホルダー50に光ファイバ101の光ファイバフェルール101aを設置固定する手順は、以下のとおりである。ホルダープレート51の開放状態にあるフェルール挿入孔59に光ファイバフェルール101aを挿入した後、旋回ロッド62の摘み81を摘持し、図10に矢印L1で示すように、傾斜状態にある旋回ロッド62を径方向内方へ旋回させる。
【0070】
旋回ロッド62を径方向内方へ旋回させると、図12に示すように、旋回ロッド62が下端部80を中心にトーラス材61の側方開口70から上方開口68に向かって旋回し、ロッド62の中間部79がトーラス材61の旋回開口72を移動する。スライドロック65の下端部100がトーラス材61の旋回部73に乗り上げた状態で下端部100が旋回部73を摺動しつつ、旋回ロッド62がトーラス材61の傾斜支持部71から起立支持部69に向かって移動する。
【0071】
旋回ロッド62を径方向内方へ旋回させると、ロッド62の下端83に形成された押圧凸部84が固定駒63の頂部88の傾斜面95を押圧し、固定駒63が回転軸91を中心に板バネ64のバネ部98(付勢手段)の付勢力に抗して径方向内方へ次第に旋回(移動)し、固定駒63の前部86および頂部88が径方向内方へ旋回して前部86および頂部88がフェルール挿入孔59に次第に近づく。
【0072】
光ファイバフェルール研磨用ホルダー50は、旋回ロッド62の傾斜状態から起立状態への旋回時にロッド62の押圧凸部84が固定駒63の傾斜面95を摺動下に押圧することで、板バネ64のバネ部98の付勢力に抗して固定駒63を径方向内方へ円滑に旋回(移動)させることができ、ロッド62の押圧凸部84によって回転軸91を中心に固定駒63を径方向内向へ確実に旋回させることができる。
【0073】
図12の状態から旋回ロッド62をさらに径方向内方へ旋回させると、ロッド62がトーラス材61の上方開口68に向かって旋回部73を移動し、図13,14に示すように、ロッド62が旋回部73から起立支持部69に移動して傾斜状態から起立状態に旋回する。旋回ロッド62の傾斜状態から起立状態への旋回にともなって固定駒63が径方向内方へさらに旋回(移動)し、固定駒63の前部86がフェルール挿入孔59に移動する。
【0074】
旋回ロッド62が起立状態に旋回すると、ロッド62がトーラス材61の上方開口68に位置するとともに、ロッド62の中間部79がトーラス材61の起立支持部69に当接し、径方向内方へのロッド62のそれ以上の旋回が阻止される。旋回ロッド62がトーラス材61の起立支持部69に移動すると、コイルバネ66の付勢力によってスライドロック65がロッド62の下方へ移動し、スライドロック65の下端部100がロック孔74に進入する。
【0075】
スライドロック65の下端部100がロック孔74に進入することで、旋回ロッド62が起立支持部69に旋回不能に固定されてロッド62の起立状態が維持される。さらに、コイルバネ66の付勢力によってスライドロック65が旋回ロッド62の下方へ押圧され、スライドロック65の下端部100のロック孔74への進入状態が維持される。
【0076】
旋回ロッド62がトーラス材61において起立し、固定駒63の前部86がフェルール挿入孔59に移動すると、図14に示すように、固定駒63の底部89が設置孔部58の下方に位置するとともに、光ファイバフェルール101aの頂部102が固定駒63の前部86の嵌入部分93に嵌入する。光ファイバフェルール101aの頂部102が嵌入部分93に嵌入することで、光ファイバフェルール101aがホルダープレート51のフェルール挿入孔59に遊動不能であって挿入孔59から脱出不能に固定される。
【0077】
光ファイバフェルール研磨用ホルダー50は、スライドロック65の下端部100のロック孔74に対する進入状態がコイルバネ66の付勢力によって維持されるとともに、旋回ロッド62の起立状態が維持されるから、ロッド62が径方向外方へ不用意に旋回することはなく、フェルール挿入孔59に対する光ファイバフェルール101aの固定が不用意に解除されることはなく、固定駒63による光ファイバフェルール101aのフェルール挿入孔59における固定を維持することができる。
【0078】
光ファイバフェルール研磨用ホルダー50は、旋回ロッド62が起立状態に旋回したときに、光ファイバフェルール101aの頂部102が固定駒63の前部86に形成された嵌入部分93に嵌入するから、固定駒63の嵌入部分93によって光ファイバフェルール101aをフェルール挿入孔59に遊動不能であって挿入孔59から脱出不能に固定することができる。
【0079】
光ファイバフェルール研磨用ホルダー50は、旋回ロッド62の旋回にともなって移動した固定駒63が光ファイバフェルール101aをフェルール挿入孔59に固定するから、旋回ロッド62を旋回させる操作のみによって光ファイバフェルール101aを挿入孔59に固定することができ、フェルール挿入孔59に対する光ファイバフェルール101aの固定に手間と時間とを要せず、光ファイバフェルール101aを挿入孔59に簡単かつ容易に固定することができる。
【0080】
光ファイバフェルール研磨用ホルダー50は、それら固定駒63によってそれら光ファイバ101の光ファイバフェルール101aが各フェルール挿入孔59に固定され、各光ファイバフェルール101aの各フェルール挿入孔59に対する固定条件を同一にすることができ、各光ファイバフェルール101aに均等に研磨加工を施すことができる。
【0081】
図15は、光ファイバフェルール研磨用ホルダー50を光ファイバフェルール研磨機103に取り付けた状態の側面図であり、図16は、図15のD−D線矢視断面図である。図17は、研磨加工中の光ファイバフェルール研磨機103の斜視図である。なお、図15では、光ファイバ101の図示を省略し、図17では、光ファイバ101および各種スイッチの図示を省略している。複数の光ファイバ101の光ファイバフェルール101aをそれらフェルール挿入孔59に設置固定した後、光ファイバフェルール研磨用ホルダー50を光ファイバフェルール研磨機103の装着軸104に取り付ける。光ファイバフェルール研磨機103の装着軸104に光ファイバフェルール研磨用ホルダー50を取り付ける手順は、以下のとおりである。
【0082】
光ファイバフェルール研磨機103の装着軸104は、光ファイバフェルール研磨機103の旋回アーム105に設置されている。旋回アーム105は、光ファイバフェルール研磨機103の上下方向へ旋回する。旋回アーム105には、挿入パイプ12の頂部20の位置決め凹部22が進入する位置決め凸部106が形成されている。
【0083】
光ファイバフェルール研磨機103は、空気圧または油圧を利用した衝撃吸収機能を備え、その装着軸104が衝撃吸収機能によって軸方向前方へ向かって押圧されている。装着軸104は、図16に示すように、その先端107から軸方向後方へ向かって上り勾配に傾斜する先端斜面108と、先端斜面108から軸方向後方へ離間して軸方向へ延びていて装着軸104の径方向内方へ凹む中央凹部109とを有する。
【0084】
挿入パイプ12の頂部20の位置決め凹部22を旋回アーム105の位置決め凸部106に位置させつつ、光ファイバフェルール研磨用ホルダー50の中央部54に取り付けられた研磨用ホルダー装着治具10の挿入パイプ12の挿入空間21に光ファイバフェルール研磨機103の装着軸104の先端107を配置する。位置決め凸部106を位置決め凹部22に進入させるとともに、装着軸104の先端107を挿入パイプ12の挿入空間21に挿入する。位置決め凸部106を位置決め凹部22に進入させることで、装着軸104に対する挿入パイプ12の挿入位置が決められ、挿入パイプ12が装着軸104の所定の位置に装着される。
【0085】
装着軸104の先端107を挿入空間21に挿入すると、挿入パイプ12の内周面25から挿入空間21に露出する操作ロッド14の露出端部36に装着軸104の先端斜面108が当接する。装着軸104を挿入パイプ12の挿入空間21に次第に挿入すると、コイルバネ15の付勢力に抗して操作ロッド14の露出端部36が装着軸104の先端斜面108に押圧され、ハンドル軸37の前端部分38(当接フランジ39)が収納ケース13の収容空間29において径方向後方へ移動(後退)するとともに、露出端部36が装着軸104の先端斜面108の傾斜に沿って径方向外方へ次第に移動(後退)し、露出端部36が挿入パイプ12の貫通孔27と設置凹部23とに移動する。
【0086】
装着軸104が挿入パイプ12の挿入空間21に挿入される過程において操作ロッド14の露出端部36の先端が装着軸104の外周面110を摺動しつつ露出端部36が装着軸104の中央凹部109に向かって移動する。操作ロッド14の露出端部36が装着軸104の外周面110を通り過ぎて中央凹部109に達すると、コイルバネ15の付勢力によって露出端部36が径方向内方へ進出(前進)し、露出端部36が挿入パイプ12の挿入空間21に露出するとともに、挿入空間21に露出した露出端部36が装着軸104の中央凹部109に露出し、露出端部36が装着軸104の中央凹部109に係入する。露出端部36が中央凹部109に係入することで、研磨用ホルダー装着治具10が光ファイバフェルール研磨機103の装着軸104に装着され、それによって光ファイバフェルール研磨用ホルダー50が光ファイバフェルール研磨機103に取り付けられる。
【0087】
光ファイバフェルール研磨用ホルダー50を光ファイバフェルール研磨機103に取り付けた後、光ファイバフェルール研磨機103の旋回アーム105を研磨盤111に向かって旋回させ、ホルダープレート51の下面57を光ファイバフェルール研磨機103の研磨盤111に当接させる。光ファイバフェルール研磨機103を稼働させることで、光ファイバフェルール研磨用ホルダー50に設置固定されたそれら光ファイバフェルール101aの研磨が行われる。
【0088】
研磨用ホルダー装着治具10は、操作ロッド14の露出端部36が装着軸104の中央凹部109に達すると、コイルバネ15の付勢力によって露出端部36が中央凹部109に向かって径方向内方へ進出しつつ露出端部36が中央凹部109に露出し、露出端部36が中央凹部109に係入するから、挿入パイプ12の挿入空間21に光ファイバフェルール研磨機103の装着軸104を挿入するだけで、研磨用ホルダー装着治具10を装着軸104に装着することができ、研磨用ホルダー装着治具10を利用することで、手間と時間とを要せずに光ファイバフェルール研磨用ホルダー50を光ファイバフェルール研磨機103に迅速かつ容易に取り付けることができる。その結果として、光ファイバフェルール研磨機103を利用した光ファイバフェルール101aの研磨作業を効率よく短時間に行うことができる。
【0089】
光ファイバフェルール研磨機103による光ファイバフェルール101aの研磨が終了した後、光ファイバフェルール研磨機103から光ファイバフェルール研磨用ホルダー50を取り外す。光ファイバフェルール研磨機103から光ファイバフェルール研磨用ホルダー50を取り外す手順は、以下のとおりである。
【0090】
操作ロッド14のハンドル軸37の摘み41を摘持し、コイルバネ15の付勢力に抗してハンドル軸37を径方向外方へ移動させる(引っ張る)。ハンドル軸37を径方向外方へ移動させると、ハンドル軸37の前端部分38(当接フランジ39)が収納ケース13の収容空間29において径方向後方へ移動(後退)するとともに、操作ロッド14の露出端部36が挿入パイプ12の挿入空間21から径方向外方へ移動(後退)し、露出端部36が挿入パイプ12の貫通孔27と設置凹部23とに移動して露出端部36が装着軸104の中央凹部109から退出する
【0091】
操作ロッド14の露出端部36が挿入パイプ12の挿入空間21から径方向外方へ移動し、露出端部36が挿入空間21の内周面25と面一または内周面25の径方向外方へ引っ込むと、装着軸104の中央凹部109に対する露出端部36の係入が解除され、装着軸104からの研磨用ホルダー装着治具10の抜き取りが可能になる。コイルバネ15の付勢力に抗してハンドル軸37を径方向外方へ移動させつつ、装着軸104から研磨用ホルダー装着治具10を抜き取ることで、光ファイバフェルール研磨機103から光ファイバフェルール研磨用ホルダー50を取り外す。
【0092】
研磨用ホルダー装着治具10は、コイルバネ15の付勢力に抗して操作ロッド14を径方向外方に移動させ、操作ロッド14の露出端部36を挿入パイプ12の挿入空間21から径方向外方へ移動させることで露出端部36が装着軸104の中央凹部109から退出し、中央凹部に対する露出端部の係入が解除されるから、コイルバネ15の付勢力に抗して露出端部36を挿入パイプ12の挿入空間21から径方向外方へ移動させるだけで、装着軸104からの研磨用ホルダー装着治具10の抜き取りを可能にすることができ、研磨用ホルダー装着治具10を利用することで、手間と時間とを要せずに光ファイバフェルール研磨用ホルダー50を光ファイバフェルール研磨機103から迅速かつ容易に取り外すことができる。
【0093】
光ファイバフェルール研磨機103から光ファイバフェルール研磨用ホルダー50を取り外した後、光ファイバフェルール研磨用ホルダー50のフェルール挿入孔59から研磨後の光ファイバフェルール101aを抜き取る。フェルール挿入孔59から光ファイバ101の光ファイバフェルール101aを抜き取る手順は、以下のとおりである。起立状態にある旋回ロッド62に挿通されたスライドロック65の摘み部99を摘持し、コイルバネ66の付勢力に抗してスライドロック65をロッド62の上端部78に向かって移動させ、スライドロック65の下端部100をロック孔74から引き出す。次に、摘み部99を摘持しつつ旋回ロッド62の摘み81を摘持し、図14に矢印L2で示すように、起立状態にある旋回ロッド62を径方向外方へ旋回させる。
【0094】
旋回ロッド62を径方向外方へ旋回させると、ロッド62が下端部80を中心にトーラス材61の上方開口68から側方開口70に向かって旋回し、ロッド62の上端部78および中間部79がトーラス材61の旋回開口72を移動する。スライドロック65の下端部100がトーラス材61の旋回部73に乗り上げた状態で下端部100が旋回部73を摺動しつつ、旋回ロッド62がトーラス材61の起立支持部69から傾斜支持部71に向かって移動する。
【0095】
旋回ロッド62を径方向外方へ旋回させると、ロッド62の下端83に形成された押圧凸部84が固定駒63の頂部88の傾斜面95を上方へ移動し、固定駒63が回転軸91を中心に板バネ64のバネ部98(付勢手段)の付勢力によって径方向外方へ次第に旋回(移動)し、固定駒63の前部86および頂部88が径方向外方へ旋回して前部86および頂部88がフェルール挿入孔59から次第に離間する(図12参照)。
【0096】
旋回ロッド62をさらに径方向外方へ旋回させると、ロッド62がトーラス材61の側方開口70に向かって旋回部73を移動し、旋回部73から傾斜支持部71に移動して起立状態から傾斜状態へ旋回する。旋回ロッド62の起立状態から傾斜状態への旋回にともなって固定駒63が径方向外方へさらに旋回し、固定駒63の前部86がフェルール挿入孔59から離間する。
【0097】
旋回ロッド62が傾斜状態に旋回すると、ロッド62がトーラス材61の側方開口70に位置するとともに、ロッド62の中間部79がトーラス材61の傾斜支持部71に当接し、径方向外方へのロッド62のそれ以上の旋回が阻止される。旋回ロッド62がトーラス材61の傾斜支持部71に移動すると、固定駒63の底部89が設置孔部58の下方から上方へ離間するとともに、固定駒63の前部86の嵌入部分93が光ファイバフェルール101aの頂部102から径方向外方へ離間し、ホルダープレート51のフェルール挿入孔59に対する光ファイバフェルール101aの固定が解除される(図10参照)。
【0098】
フェルール挿入孔59に対する光ファイバフェルール101aの固定を解除した後、挿入孔59から光ファイバフェルール101aを引き抜く。光ファイバフェルール研磨用ホルダー50は、板バネ64のバネ部98の付勢力によって固定駒63の旋回(移動)状態が維持されるとともに、フェルール挿入孔59の開放状態が維持されるから、それら挿入孔59に各光ファイバ101の光ファイバフェルール101aを円滑に挿入することができ、それら挿入孔59から光ファイバフェルール101aを円滑に引き抜くことができる。
【0099】
光ファイバフェルール研磨用ホルダー50は、旋回ロッド62の起立状態から傾斜状態への旋回(径方向外方への旋回)にともなって固定駒63が板バネ64のバネ部98(付勢手段)の付勢力によって径方向外方へ旋回して固定駒63の嵌入部分93が光ファイバフェルール101aの頂部102から離れ、固定駒63による光ファイバフェルール101aの固定が解除されるから、ロッド62を径方向外方へ旋回させる操作のみによって固定駒63による光ファイバフェルール101aのフェルール挿入孔59における固定を解除することができ、挿入孔59に対する光ファイバフェルール101aの固定解除に手間と時間とを要せず、光ファイバフェルール101aの固定を簡単かつ容易に解除することができる。光ファイバフェルール研磨用ホルダー50は、板バネ64の付勢力によって固定駒63の移動状態が維持されるとともに、フェルール挿入孔59の開放状態が維持されるから、それら挿入孔59に各光ファイバ101の光ファイバフェルール101aを円滑に挿入することができ、それら挿入孔59から光ファイバフェルール101aを円滑に引き抜くことができる。
【0100】
なお、光ファイバフェルール研磨用ホルダー50は、研磨用ホルダー装着治具10の取付プレート11をホルダープレート51に取り付けたときに、ハンドル軸37の後端部分40が環状に並ぶそれら設置手段53(旋回ロッド62)の間を通ってホルダープレート51の周縁部52から径方向外方に延出する。したがって、ハンドル軸37の後端部分40が設置手段53(旋回ロッド62の旋回)を妨害することはなく、設置手段53(旋回ロッド62の旋回)によって複数の光ファイバ101の光ファイバフェルール101aをホルダープレート51の周縁部52に設置することができるとともに、ホルダープレート51の周縁部52から径方向外方に延出するハンドル軸37の後端部分40を径方向外方へ移動させることで、露出端部36が装着軸104の中央凹部109から退出するから、中央凹部109に対する露出端部36の係入を容易に解除することができる。
【符号の説明】
【0101】
10 研磨用ホルダー装着治具
11 取付プレート
12 挿入パイプ
13 収納ケース
14 操作ロッド
15 コイルバネ(付勢手段)
16 固定ネジ
17 ネジ孔
18 底部
19 中央部
20 頂部
21 挿入空間
22 位置決め凹部
23 設置凹部
24 外周面
25 内周面
26 周壁
27 貫通孔
28 ネジ孔
29 収容空間
30 周壁
31 後端壁
32 前端壁
33 挿通孔
34 挿通孔
35 ネジ孔
36 露出端部
37 ハンドル軸
38 前端部分
39 当接フランジ
40 後端部分
41 摘み
42 前端部
43 後端部
50 光ファイバフェルール研磨用ホルダー
51 ホルダープレート
52 周縁部
53 設置手段
54 中央部
55 螺着孔
56 上面
57 下面
58 設置孔部
59 フェルール挿入孔
60 螺着孔
61 トーラス材(隆起部材)
62 旋回ロッド
63 固定駒
64 板バネ(付勢手段)
65 スライドロック
66 コイルバネ(付勢手段)
67 ネジ孔
68 上方開口
69 起立支持部
70 側方開口
71 傾斜支持部
72 旋回開口
73 旋回部
74 ロック孔
75 後壁
76 両側壁
77 軸孔
78 上端部
79 中間部
80 下端部
81 摘み
82 軸
83 下端
84 押圧凸部
85 残余面
86 前部
87 後部
88 頂部
89 底部
90 両側部
91 回転軸
92 軸孔
93 嵌入部分
94 湾曲面
95 傾斜面
96 当接部分
97 ベース部
98 バネ部
99 摘み部
100 下端部
101 光ファイバ
101a光ファイバフェルール
102 頂部
103 光ファイバフェルール研磨機
104 装着軸
105 旋回アーム
106 位置決め凸部
107 先端
108 先端斜面
109 中央凹部
110 外周面
111 研磨盤
【要約】      (修正有)
【課題】光ファイバフェルール研磨用ホルダーを光ファイバフェルール研磨機に迅速かつ容易に取り付けることができる研磨用ホルダー装着治具を提供する。
【解決手段】研磨用ホルダー装着治具10は、光ファイバフェルール研磨機の装着軸104を挿入パイプ12の挿入空間に挿入すると、コイルバネ15の付勢力に抗して操作ロッド14の露出端部36が、前記装着軸104の先端斜面108に沿って径方向外方へ次第に移動し、前記露出端部36が前記装着軸104の外周面を摺動しつつ中央凹部109に達すると、コイルバネ15の付勢力によって露出端部36が中央凹部109に向かって径方向内方へ進出しつつ、前記露出端部36が中央凹部109に露出し、光ファイバフェルール研磨用ホルダー50が研磨用ホルダー装着治具10を介して光ファイバフェルール研磨機の装着軸104に装着される。
【選択図】図16
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17