特許第6263298号(P6263298)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6263298検針データの処理システム、その処理プログラム、その処理装置、その処理方法、およびガスメータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6263298
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】検針データの処理システム、その処理プログラム、その処理装置、その処理方法、およびガスメータ
(51)【国際特許分類】
   F17C 13/02 20060101AFI20180104BHJP
   G06Q 50/06 20120101ALI20180104BHJP
   G01F 3/22 20060101ALI20180104BHJP
【FI】
   F17C13/02 301A
   G06Q50/06
   G01F3/22 Z
【請求項の数】24
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2017-93195(P2017-93195)
(22)【出願日】2017年5月9日
【審査請求日】2017年5月9日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】317006074
【氏名又は名称】東京ガスリキッドホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083725
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100140349
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 継立
(74)【代理人】
【識別番号】100153305
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 卓弥
(72)【発明者】
【氏名】増田 智紀
(72)【発明者】
【氏名】宇野 太郎
(72)【発明者】
【氏名】塩野 直志
(72)【発明者】
【氏名】小津 努
(72)【発明者】
【氏名】川田 拓也
(72)【発明者】
【氏名】池田 陽一
(72)【発明者】
【氏名】石川 洋一
【審査官】 高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/183308(WO,A1)
【文献】 特開2010−144751(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 13/02
G01F 3/22
G06Q 50/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一または複数のガス容器のうち、少なくともひとつのガス容器のガス使用量またはガス残量を計測し、ガス使用量またはガス残量を表す検針データを出力する計測部と、
前記計測部から前記検針データを取得して一定期間におけるガス使用量またはガス残量の変化量を表すトレンドデータを生成し、該トレンドデータから割り出された一定期間におけるガス使用量またはガス残量の変化量に応じて前記トレンドデータの収集時期、定期収集時期または高密度収集時期の何れかの時期を表す収集タイミングを生成し、この収集タイミングで取得した検針データを送出し、または前記トレンドデータを送出する処理部と、
を備えることを特徴とする、検針データ処理システム。
【請求項2】
ガス容器の交換時に第1の検針日を設定し、この第1の検針日から一定期間に前記計測部が出力する検針データを取得して前記トレンドデータを生成し、該トレンドデータから割り出された一定期間におけるガス使用量またはガス残量の変化量に応じて前記トレンドデータの収集時期、定期収集時期または高密度収集時期の何れかの時期を選択して収集タイミングを生成することを特徴とする、請求項1に記載の検針データ処理システム。
【請求項3】
前記高密度収集時期は、前記定期収集時期の間隔より短い時間間隔で前記検針データを取得する期間であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の検針データ処理システム。
【請求項4】
さらに、前記検針データまたは前記トレンドデータの何れか一方または双方を保存する記憶部を備えることを特徴とする、請求項1ないし請求項3の何れかの請求項に記載の検針データ処理システム。
【請求項5】
さらに、前記処理部は前記計測部とともにガスメータに備えていることを特徴とする、請求項1ないし請求項4の何れかの請求項に記載の検針データ処理システム。
【請求項6】
さらに、前記処理部が送出する前記検針データまたは前記トレンドデータを送信する通信部を備えることを特徴とする、請求項1ないし請求項5の何れかの請求項に記載の検針データ処理システム。
【請求項7】
さらに、前記通信部に有線または無線で接続され、前記収集タイミングで前記通信部から送信された前記検針データまたは前記トレンドデータを受け、前記検針データまたは前記トレンドデータから一定期間におけるガス使用量またはガス残量の変化量を割り出し、ガス容器の交換時期を算出する演算部と、
前記交換時期を表す提示情報を出力する情報提示部と、
を備えることを特徴とする、請求項6に記載の検針データ処理システム。
【請求項8】
単一または複数のガス容器のうち、少なくともひとつのガス容器のガス使用量またはガス残量を計測し、ガス使用量またはガス残量を表す検針データの処理をコンピュータで実行させる検針データ処理プログラムであって、
前記検針データを出力する計測部から検針データを取得して一定期間におけるガス使用量またはガス残量の変化量を表すトレンドデータを生成し、該トレンドデータから割り出された一定期間におけるガス使用量またはガス残量の変化量に応じて前記トレンドデータの収集時期、定期収集時期または高密度収集時期の何れかの時期を表す収集タイミングを生成し、この収集タイミングで取得した検針データを送出し、または前記トレンドデータを送出する機能と、
を前記コンピュータで実現するための、検針データ処理プログラム。
【請求項9】
ガス容器の交換時に第1の検針日を設定し、この第1の検針日から一定期間に前記計測部が出力する検針データを取得して前記トレンドデータを生成し、該トレンドデータから割り出された一定期間におけるガス使用量またはガス残量の変化量に応じて前記トレンドデータの収集時期、定期収集時期または高密度収集時期の何れかの時期を選択して収集タイミングを生成する機能を含むことを特徴とする、請求項8に記載の検針データ処理プログラム。
【請求項10】
前記トレンドデータの前記高密度収集時期は、前記定期収集時期の間隔より短い時間間隔で前記検針データを取得する期間であることを特徴とする、請求項8または請求項9に記載の検針データ処理プログラム。
【請求項11】
さらに、前記検針データまたは前記トレンドデータの何れか一方または双方を保存する機能を含むことを特徴とする、請求項8ないし請求項10のいずれかの請求項に記載の検針データ処理プログラム。
【請求項12】
単一または複数のガス容器のうち、少なくともひとつのガス容器のガス使用量またはガス残量を計測し、ガス使用量またはガス残量を表す検針データを出力する計測部を備えるガスメータに内蔵または併設される検針データ処理装置であって、
前記計測部から前記検針データを取得して一定期間におけるガス使用量またはガス残量の変化量を表すトレンドデータを生成し、該トレンドデータから割り出された一定期間におけるガス使用量またはガス残量の変化量に応じて前記トレンドデータの収集時期、定期収集時期または高密度収集時期の何れかの時期を表す収集タイミングを生成し、この収集タイミングで取得した検針データを送出し、または前記トレンドデータを送出する処理部と、
を備えることを特徴とする、検針データ処理装置。
【請求項13】
ガス容器の交換時に第1の検針日を設定し、この第1の検針日から一定期間に前記計測部が出力する検針データを取得して前記トレンドデータを生成し、該トレンドデータから割り出された一定期間におけるガス使用量またはガス残量の変化量に応じて前記トレンドデータの収集時期、定期収集時期または高密度収集時期の何れかの時期を選択して収集タイミングを生成することを特徴とする、請求項12に記載の検針データ処理装置。
【請求項14】
前記トレンドデータの前記高密度収集時期は、前記定期収集時期の間隔より短い時間間隔で前記検針データを取得する期間であることを特徴とする、請求項12または請求項13に記載の検針データ処理装置。
【請求項15】
さらに、前記検針データまたは前記トレンドデータの何れか一方または双方を保存する記憶部を備えることを特徴とする、請求項12ないし請求項14の何れかの請求項に記載の検針データ処理装置。
【請求項16】
さらに、前記処理部は前記計測部とともにガスメータに備えていることを特徴とする、請求項12ないし請求項15の何れかの請求項に記載の検針データ処理装置。
【請求項17】
さらに、前記処理部が送出する前記検針データまたは前記トレンドデータを送信する通信部を備えることを特徴とする、請求項12ないし請求項16の何れかの請求項に記載の検針データ処理装置。
【請求項18】
さらに、前記通信部に有線または無線で接続され、前記収集タイミングで前記通信部から送信された前記検針データまたは前記トレンドデータを受け、前記検針データまたは前記トレンドデータから一定期間におけるガス使用量またはガス残量の変化量を割り出し、ガス容器の交換時期を算出する演算部と、
前記交換時期を表す提示情報を出力する情報提示部と、
を備えることを特徴とする、請求項17に記載の検針データ処理装置。
【請求項19】
計測部が単一または複数のガス容器のうち、少なくともひとつのガス容器のガス使用量またはガス残量を計測し、ガス使用量またはガス残量を表す検針データを出力する工程と、
処理部が前記計測部から前記検針データを取得して一定期間におけるガス使用量またはガス残量の変化量を表すトレンドデータを生成し、該トレンドデータから割り出された一定期間におけるガス使用量またはガス残量の変化量に応じて前記トレンドデータの収集時期、定期収集時期または高密度収集時期の何れかの時期を表す収集タイミングを生成し、この収集タイミングで取得した検針データを送出し、または前記トレンドデータを送出する工程と、
を含むことを特徴とする、検針データ処理方法。
【請求項20】
さらに、前記処理部がガス容器の交換時に第1の検針日を設定し、この第1の検針日から一定期間に前記計測部が出力する検針データを取得して前記トレンドデータを生成し、該トレンドデータから割り出された一定期間におけるガス使用量またはガス残量の変化量に応じて前記トレンドデータの収集時期、定期収集時期または高密度収集時期の何れかの時期を選択して収集タイミングを生成する工程を含むことを特徴とする、請求項19に記載の検針データ処理方法。
【請求項21】
さらに、記憶部に前記検針データまたは前記トレンドデータの何れか一方または双方を保存する工程を含むことを特徴とする、請求項19または請求項20に記載の検針データ処理方法。
【請求項22】
単一または複数のガス容器のうち、少なくともひとつのガス容器のガス使用量またはガス残量を計測し、ガス使用量またはガス残量を表す検針データを出力する計測部と、
前記計測部から前記検針データを取得して一定期間におけるガス使用量またはガス残量の変化量を表すトレンドデータを生成し、該トレンドデータから割り出された一定期間におけるガス使用量またはガス残量の変化量に応じて前記トレンドデータの収集時期、定期収集時期または高密度収集時期の何れかの時期を表す収集タイミングを生成し、この収集タイミングで取得した検針データを送出し、または前記トレンドデータを送出する処理部と、
を備えることを特徴とするガスメータ。
【請求項23】
さらに、前記検針データまたは前記トレンドデータの何れか一方または双方を保存する記憶部を備えることを特徴とする、請求項22に記載のガスメータ。
【請求項24】
さらに、前記処理部が送出する前記検針データまたは前記トレンドデータを送信する通信部を備えることを特徴とする、請求項22または請求項23に記載のガスメータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はたとえば、LPG(Liquefied Petroleum Gas :液化石油ガス)容器の交換などに利用される検針データの処理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
LPGは、ボンベやシリンダなどのガス容器に装填されてユーザーの軒先などに配送される。ユーザーに設置されるガス容器はガス消費量に応じて設置され、通常、バックアップ用を含めて複数本が設置される。このガス容器はガス切れ前の段階で配送業者により交換することが行われている。
LPGの残量管理に関し、ガス容器とガス消費設備との間にあるガス供給路に配置された流量計測手段で検知したガス消費量とガス容器のガス残量から、ガス消費設備で消費可能な残時間を算出して表示することが知られている(特許文献1)。
ガス容器の配送予測に関し、安全率マスタを用いてガス切れの発生日を予測し、配送効率およびガス切れリスクを考慮した配送予定日を算出することが知られている(特許文献2)。
【0003】
ガス容器の配送日に関し、ガスメータの指針データを受け付け、前回指針日から次回指針日までの間のガス使用量に基づいてガス残量を更新し、指針日間の一日当たりのガス使用量と、過去の期間における一日当たりのガス使用量の変化率とに基づいて予測された一日当たりのガス使用量に応じて、更新されたガス残量を減少させて将来のガス残量を予測し、このガス残量が所定日となる日を配送日に決定することが知られている(特許文献3)。また、ガスメータの複数の検針データからガス使用量を得てガス残量を更新し、ガス容器の過去のガス使用量の比較によるガス使用量の変化に基づき更新されたガス残量を減少させて将来のガス残量を予測し、予測されたガス残量が所定値となる日をガス容器の配送日に決定することが知られている(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−075366号公報
【特許文献2】特許第5802225号公報
【特許文献3】特許第5570552号公報
【特許文献4】特許第5570553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ガス使用量をガスメータで測定しても、ガス容器のガス残量をガス使用量が上回れば、ガス切れを来すことになる。ガス切れを回避するために安全率を高くすれば、残量の多いガス容器の交換となり、配送回数を増加させ、配送業者の負担や配送コストを増大させるという課題がある。
ガス消費設備のガス供給路で検知したガス使用量とガス容器の充填残量から消費可能な残時間を算出し表示する方法(特許文献1)では、残時間表示を利用できるとしてもガス切れ回避には安全率を高く設定する必要があるという課題がある。
【0006】
ガス容器の配送予定日について、ガス容量およびガス容器の設置本数からマスタ容量の算出、一定期間の指針データの差分から使用量の算出、マスタ容量と使用量に基づいて安全率の決定、マスタ容量、前回配送日および使用量からガス切れ日の予測、ガス切れ日に安全率を掛け合わせた配送予定日の算出という演算手法(特許文献2)では、マスタ容量と使用量に基づいて決定される安全率の如何で配送予定日が変動し、最適化されているとはいえないし、ガス切れ回避のためには残量の多いガス容器の回収を余儀なくされるという課題がある。
ガス容器の配送日について、ガスメータの前回指針日から次回指針日までの間のガス使用量に基づいてガス残量を更新し、指針日間の一日当たりのガス使用量と、過去の期間における一日当たりのガス使用量の変化率とに基づいて予測された一日当たりのガス使用量に応じて、更新されたガス残量を減少させて将来のガス残量を予測し、このガス残量が所定日となる日を配送日に決定する方法(特許文献3)では、ガス残量の予測結果如何で配送日が大きく変動するという課題がある。
【0007】
ガスメータの複数の検針データからガス使用量を得てガス残量を更新し、ガス容器の過去のガス使用量の比較によるガス使用量の変化に基づき更新されたガス残量を減少させて将来のガス残量を予測し、このガス残量が所定値となる日をガス容器の配送日に決定する方法(特許文献4)においても、ガス使用量の変化に応じてガス残量を予測しており、この予測結果如何で配送日が大きく変動するという課題がある。
このように過去のデータから算出した指標から配送予定日や配送日を予測するだけの配送管理では、ガス残量の把握が不十分となるためガス切れを生じさせ、ユーザーに不便を強いるおそれがある。
また、一カ月程度のほぼ一定間隔で検針日を設定する場合、安全率や安全日といった指標を用いて設定された配送日では交換するガス容器のガス残量が多くなり、配送回数の増加、配送業者の負担や配送コストを増大させるという課題がある。
【0008】
そこで、本発明の目的は上記課題に鑑み、ガスの使用形態、増減変化、傾向など、ガス使用量またはガス残量のトレンドを把握してガス切れ回避とともに、ガス容器の交換時のガス残量を最少化することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の検針データ処理システムの一側面によれば、単一または複数のガス容器のうち、少なくともひとつのガス容器のガス使用量またはガス残量を計測し、ガス使用量またはガス残量を表す検針データを出力する計測部と、前記計測部から前記検針データを取得して一定期間におけるガス使用量またはガス残量の変化量を表すトレンドデータを生成し、該トレンドデータから割り出された一定期間におけるガス使用量またはガス残量の変化量に応じて前記トレンドデータの収集時期、定期収集時期または高密度収集時期の何れかの時期を表す収集タイミングを生成し、この収集タイミングで取得した検針データを送出し、または前記トレンドデータを送出する処理部を備える。
上記検針データ処理システムにおいて、ガス容器の交換時に第1の検針日を設定し、この第1の検針日から一定期間に前記計測部が出力する検針データを取得して前記トレンドデータを生成し、該トレンドデータから割り出された一定期間におけるガス使用量またはガス残量の変化量に応じて前記トレンドデータの収集時期、定期収集時期または高密度収集時期の何れかの時期を選択して収集タイミングを生成してよい。
上記検針データ処理システムにおいて、前記高密度収集時期は、前記定期収集時期の間隔より短い時間間隔で前記検針データを取得する期間であってよい。
【0010】
上記検針データ処理システムにおいて、さらに、前記検針データまたは前記トレンドデータの何れか一方または双方を保存する記憶部を備えてよい。
上記検針データ処理システムにおいて、さらに、前記処理部は前記計測部とともにガスメータに備えてよい。
上記検針データ処理システムにおいて、さらに、前記処理部が送出する前記検針データまたは前記トレンドデータを送信する通信部を備えてよい。
上記検針データ処理システムにおいて、さらに、前記通信部に有線または無線で接続され、前記収集タイミングで前記通信部から送信された前記検針データまたは前記トレンドデータを受け、前記検針データまたは前記トレンドデータから一定期間におけるガス使用量またはガス残量の変化量を割り出し、ガス容器の交換時期を算出する演算部と、前記交換時期を表す提示情報を出力する情報提示部とを備えてよい。
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の検針データ処理プログラムの一側面によれば、単一または複数のガス容器のうち、少なくともひとつのガス容器のガス使用量またはガス残量を計測し、ガス使用量またはガス残量を表す検針データの処理をコンピュータで実行させる検針データ処理プログラムであって、前記検針データを出力する計測部から検針データを取得して一定期間におけるガス使用量またはガス残量の変化量を表すトレンドデータを生成し、該トレンドデータから割り出された一定期間におけるガス使用量またはガス残量の変化量に応じて前記トレンドデータの収集時期、定期収集時期または高密度収集時期の何れかの時期を表す収集タイミングを生成し、この収集タイミングで取得した検針データを送出し、または前記トレンドデータを送出する機能を前記コンピュータで実現する。
上記検針データ処理プログラムにおいて、ガス容器の交換時に第1の検針日を設定し、この第1の検針日から一定期間に前記計測部が出力する検針データを取得して前記トレンドデータを生成し、該トレンドデータから割り出された一定期間におけるガス使用量またはガス残量の変化量に応じて前記トレンドデータの収集時期、定期収集時期または高密度収集時期の何れかの時期を選択して収集タイミングを生成する機能を含んでよい。
上記検針データ処理プログラムにおいて、前記トレンドデータの前記高密度収集時期は、前記定期収集時期の間隔より短い時間間隔で前記検針データを取得する期間でよい。
上記検針データ処理プログラムにおいて、さらに、前記検針データまたは前記トレンドデータの何れか一方または双方を保存する機能を含んでよい。
【0012】
上記目的を達成するため、本発明の検針データ処理装置の一側面によれば、上記検針データ処理プログラムにおいて、単一または複数のガス容器のうち、少なくともひとつのガス容器のガス使用量またはガス残量を計測し、ガス使用量またはガス残量を表す検針データを出力する計測部を備えるガスメータに内蔵または併設される検針データ処理装置であって、前記計測部から前記検針データを取得して一定期間におけるガス使用量またはガス残量の変化量を表すトレンドデータを生成し、該トレンドデータから割り出された一定期間におけるガス使用量またはガス残量の変化量に応じて前記トレンドデータの収集時期、定期収集時期または高密度収集時期の何れかの時期を表す収集タイミングを生成し、この収集タイミングで取得した検針データを送出し、または前記トレンドデータを送出する処理部を備える。
上記検針データ処理装置において、ガス容器の交換時に第1の検針日を設定し、この第1の検針日から一定期間に前記計測部が出力する検針データを取得して前記トレンドデータを生成し、該トレンドデータから割り出された一定期間におけるガス使用量またはガス残量の変化量に応じて前記トレンドデータの収集時期、定期収集時期または高密度収集時期の何れかの時期を選択して収集タイミングを生成してよい。
【0013】
上記検針データ処理装置において、前記トレンドデータの前記高密度収集時期は、前記定期収集時期の間隔より短い時間間隔で前記検針データを取得する期間であってよい。
上記検針データ処理装置において、さらに、前記検針データまたは前記トレンドデータの何れか一方または双方を保存する記憶部を備えてよい。
上記検針データ処理装置において、さらに、前記処理部は前記計測部とともにガスメータに備えてよい。
上記検針データ処理装置において、さらに、前記処理部が送出する前記検針データまたは前記トレンドデータを送信する通信部を備えてよい。
上記検針データ処理装置において、さらに、前記通信部に有線または無線で接続され、前記収集タイミングで前記通信部から送信された前記検針データまたは前記トレンドデータを受け、前記検針データまたは前記トレンドデータから一定期間におけるガス使用量またはガス残量の変化量を割り出し、ガス容器の交換時期を算出する演算部と、前記交換時期を表す提示情報を出力する情報提示部とを備えてよい。
【0014】
上記目的を達成するため、本発明の検針データ処理方法の一側面によれば、計測部が単一または複数のガス容器のうち、少なくともひとつのガス容器のガス使用量またはガス残量を計測し、ガス使用量またはガス残量を表す検針データを出力する工程と、処理部が前記計測部から前記検針データを取得して一定期間におけるガス使用量またはガス残量の変化量を表すトレンドデータを生成し、該トレンドデータから割り出された一定期間におけるガス使用量またはガス残量の変化量に応じて前記トレンドデータの収集時期、定期収集時期または高密度収集時期の何れかの時期を表す収集タイミングを生成し、この収集タイミングで取得した検針データを送出し、または前記トレンドデータを送出する工程を含む。
【0015】
上記検針データ処理方法において、さらに、前記処理部がガス容器の交換時に第1の検針日を設定し、この第1の検針日から一定期間に前記計測部が出力する検針データを取得して前記トレンドデータを生成し、該トレンドデータから割り出された一定期間におけるガス使用量またはガス残量の変化量に応じて前記トレンドデータの収集時期、定期収集時期または高密度収集時期の何れかの時期を選択して収集タイミングを生成する工程を含んでよい。
上記検針データ処理方法において、さらに、記憶部に前記検針データまたは前記トレンドデータの何れか一方または双方を保存する工程を含んでよい。
【0016】
上記目的を達成するため、本発明のガスメータの一側面によれば、単一または複数のガス容器のうち、少なくともひとつのガス容器のガス使用量またはガス残量を計測し、ガス使用量またはガス残量を表す検針データを出力する計測部と、前記計測部から前記検針データを取得して一定期間におけるガス使用量またはガス残量の変化量を表すトレンドデータを生成し、該トレンドデータから割り出された一定期間におけるガス使用量またはガス残量の変化量に応じて前記トレンドデータの収集時期、定期収集時期または高密度収集時期の何れかの時期を表す収集タイミングを生成し、この収集タイミングで取得した検針データを送出し、または前記トレンドデータを送出する処理部を備える。
上記ガスメータにおいて、さらに、前記検針データまたは前記トレンドデータの何れか一方または双方を保存する記憶部を備えてよい。
上記ガスメータにおいて、さらに、前記処理部が送出する前記検針データまたは前記トレンドデータを送信する通信部を備えてよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、次のいずれかの効果が得られる。
(1) ガス使用の増減変化などの使用形態を表すトレンドの推定精度を高めることができる。
(2) ガス使用量のトレンドの推定精度を高め、ガス容器の交換タイミングを最適化できる。
(3) ガス切れを回避できるとともに、ガス容器の交換時のガス残量を最少化でき、ガス容器配送を効率化することができる。
【0018】
(4) ガス容器の配送者の勘や経験による人的スキルに依存するガス容器交換を合理化でき、ガス容器配送の計画性をより高めることができる。
(5) ユーザー側に設置されるガスメータ側で検針データのデータ処理が可能になり、データ通信は所定のタイミングで実行でき、データ通信のトラフィック負荷を軽減できるとともに、ガスメータ側を省電化できる。
(6) 検針データを常時収集しなくても、少ない検針データの送受信により、ガス容器の交換日精度を向上させることができ、たとえば、電池駆動のガスメータまたはデータ送信設備の電池寿命を延ばすことができ、システムの信頼性を高めることができる。
(7) 検針タイミング間でガス需要に顕著な変化が生じても、ガス切れに至ることなく、ガス容器交換を迅速化でき、利便性の高いガス容器の交換管理を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】一実施の形態に係る検針データ処理システムを示す図である。
図2】検針データの処理手順を示すフローチャートである。
図3】実施例1に係る検針データ処理システムを示す図である。
図4】ガス残量の推移とデータ収集を示す図である。
図5】実施例1に係る検針データテーブルを示す図である。
図6】検針データの処理手順を示すフローチャートである。
図7図4および図5に示す検針データを用いた処理手順を示すフローチャートである。
図8図7に続く処理手順を示すフローチャートである。
図9】実施例2に係る検針データ処理システムを示す図である。
図10】実施例3に係るガス残量の推移とデータ収集を示す図である。
図11】検針データテーブルを示す図である。
図12】実施例4に係るガス容器交換システムを含むブロック図である。
図13】管理サーバーを示す図である。
図14】ガス容器交換の処理シーケンスを示す図である。
図15】実施例5に係る検針データ処理システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
〔一実施の形態〕
この検針データ処理システム2には図1に示すように、計測部4および処理部6が含まれる。
計測部4はガスメータ8に設置されてガス容器10のガス使用量またはガス残量を計測し、ガス使用量またはガス残量を表す検針データSを出力する。この検針データSにはガスメータ8から得られるガス流量の検針値、ガス使用量、ガス残量、ロードサーベイやガスメータ8の出力パルス、検針値と同様にガス使用量やガス残量を示すデータ、アラーム情報、ガス使用量やガス残量を表す容器内圧力の何れでもよいし、これらの2以上を組合せたデータでもよい。
ガスメータ8はガス容器10とガス機器12を接続するガス供給路14に設置され、ガス容器10からガス機器12に流れるガスGを計測する。この例では、ガス容器10にはたとえば、供給用のガス容器10−1と、バックアップ用のガス容器10−2が備えられる。ガス容器10−1側にガス切れが生じたとき、ガスの供給元をガス容器10−1からバックアップ側のガス容器10−2に切換器16が切り換え、ガス容器10−2からガス機器12にガス供給を行う。ガス機器12にはガス器具や給湯機器など、複数のガス機器12−1、12−2が含まれる。
【0021】
処理部6はたとえば、コンピュータで構成される。この処理部6の情報処理にはa.検針データの取得、b.トレンドデータDAの生成、c.トレンドの割出し、d.データの収集タイミングの生成、e.データ送出、f.データ記憶、g.データ送信などの処理が含まれる。
a.検針データの取得:
処理部6は計測部4から検針データSを連続または不連続に取得する。
b.トレンドデータDAの生成
処理部6は、取得した検針データSからガス使用量またはガス残量のトレンドを推定するためのトレンドデータDAを生成する。
【0022】
c.トレンドの割出し
処理部6は、トレンドデータDAを用いてガス使用量またはガス残量のトレンドの割り出しを行う。
d.データの収集タイミングTSの生成
処理部6は、割り出されたトレンドに応じてトレンドデータDAの収集時期、定期収集時期または高密度収集時期の何れかまたはこれら全ての時期を表す収集タイミングTSを生成する。
e.データ送出
処理部6は、検針データSまたはトレンドデータDAを通信部20へ送出する。このトレンドデータDAは収集タイミングTSで送出すればよいが、全ての収集タイミングTSでトレンドデータDAを送出する必要はない。この一実施の形態ではガスメータ8側の処理部6でガス使用量またはガス残量のトレンドの割り出しを行うので、その結果に応じてトレンドデータDAを送出すればよい。つまり、その送出時期の収集タイミングTSの到来に応じてトレンドデータDAを送出すればよい。たとえば、高密度収集時期にトレンドデータDAを送出し、その他の時期において、トレンドデータDAを送出しない収集タイミングTSがあってよい。
【0023】
f.データ記憶
処理部6には記憶部18が接続されている。この記憶部18には処理部6が取得する検針データSの他、情報処理によって生成したトレンドデータDA、タイミング情報などが格納される。
g.データ送信
処理部6には通信部20が接続されている。この通信部20は、処理部6から必要に応じて提供された検針データS、トレンドデータDA、タイミング情報などの送信データを受け、この送信データをたとえば、LPGの配送センターの管理サーバーに送信する。
【0024】
<検針データの処理手順>
処理部6はたとえば、図2に示すように、計測部4から検針データSを取得し(S101)、記憶部18に格納する(S102)。この検針データSはガス使用量またはガス残量のトレンドを表すトレンドデータDAの生成に用いられる。
処理部6は、取得した検針データSを用いてトレンドデータDAを生成し(S103)、このトレンドデータDAからガス使用量またはガス残量を表すトレンドを割り出す(S104)。このガス使用量またはガス残量のトレンドはたとえば、ユーザーに設置したガス容器10のガスの使用傾向であり、具体的にはガス容器10の交換時点から次の交換時点またはガス切れ時点までの時間経過に応じたガス残量の減少傾向を表す。
【0025】
トレンドデータDAから割り出されたガス使用量またはガス残量のトレンドに応じ、処理部6は次のトレンドデータDAの収集時期、定期収集時期または高密度収集時期の何れかの時期を表す収集タイミングTSを生成する(S105)。
そして、この処理部6は、収集タイミングTSで取得した検針データS、またはトレンドデータDAを通信部20に送出し(S106)、通信部20は検針データS、またはトレンドデータDAを送信する(S107)。
【0026】
<一実施の形態の効果>
一実施の形態によれば、次の効果が得られる。
(1) ガスメータ8の計測部4に接続された処理部6により、連続または不連続に計測部4から取得した一定期間の検針データSを用いてガス使用量またはガス残量の増減変化、傾向などのトレンドを表すトレンドデータDAを作成することができる。つまり、ガスメータ8側でガス使用量またはガス残量のトレンドを表すトレンドデータが得られる。
(2) トレンドデータDAからガス使用量またはガス残量のトレンドを検針データ処理システム2で把握することができる。
【0027】
(3) トレンドデータDAから割り出されたガス使用量またはガス残量のトレンドに応じてトレンドデータDAの収集時期、定期収集時期または高密度収集時期の何れかの時期を表す収集タイミングTSを生成することができる。
(4) トレンドデータDAからガス残量の推定精度が高められ、ガス切れやガス交換時点の予測精度が高められ、ガス容器10の交換回数を削減してガス容器交換の効率を高めることができる。
(5) ガス残量の少ないガス容器10を交換でき、配送者の負担を低減できる。
【実施例1】
【0028】
<データ処理システム2>
図3は実施例1に係る検針データ処理システム2を示している。図3において、図1と共通部分には同一符号を付してある。
処理部6はコンピュータで構成され、プロセッサ22、クロック生成部24、入出力部(I/O)26、記憶部28を備える。プロセッサ22は、記憶部18にあるOS(Operating System)を実行し、検針データSの処理プログラムの実行などが含まれる。検針データの処理プログラムの実行により、処理部6で既述の情報処理a、b、c、d、e、f、gの機能を実現する。
【0029】
クロック生成部24はクロック信号を生成する。このクロック信号が検針データSの取得、トレンドデータDAの生成、検針データSおよびトレンドデータDAの送出、送信、ガス容器交換タイミングなどの基準として用いられる。
I/O26は、計測部4からの検針データSの取得、検針データSやトレンドデータDAの送出、記憶部18へのデータ書込みに用いられる。
【0030】
記憶部28は記憶部18が外部記憶手段であるのに対し、処理部6内の内部記憶手段の一例である。この記憶部28にはROM(Read-Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory )、RAM(Random-Access Memory)などの記憶素子の他、ハードディスク装置を用いてもよい。ROMやEEPROMにはOSや検針データの処理プログラムなどのプログラムが格納される。RAMは検針データSの取得や記憶、トレンドデータDAの生成や記憶、ガス使用量またはガス残量のトレンドの割り出し、検針データSやトレンドデータDAの送出または送信などの情報処理エリアとして用いられる。
【0031】
記憶部18はデータロガーの一例であり、記憶手段として半導体メモリやハードディスク装置などが用いられる。この記憶部18のデータ格納、データ更新またはデータ削除は処理部6の制御による。この記憶部18には、検針データS、検針データSから生成したトレンドデータDA、トレンドデータDAから割り出されたトレンド、データ収集タイミングTSなどの情報を格納する検針データベースが構築される。この検針データベースはたとえば、検針データテーブル30(図5)である。
通信部20は処理部6によって制御され、検針データSやトレンドデータDAなどの検針データに関するデータの送受信を行う。
【0032】
<検針データの収集およびその処理>
図4は、ガス残量の推移から検針データSまたはトレンドデータDAの送出までの処理を示している。この図4において、Aはガス残量Gを示すガス残量線LC、BはトレンドデータDA、Cはデータ収集期間T、Dはデータ収集タイミング信号Tsを示している。ガス残量線LCは一例として直線的な漸減傾向を示す直線で示しているが、漸減傾向によっては曲線となる。
処理部6では図4のAに示すように、時点t0から時点t10までの間、計測部4から複数の検針データS1、S2、S3・・・Sn−1、Snが取り込まれる。時点t0はガス容器10の交換時点であり、ガス容器10のガス残量またはガス使用量の第1検針日である。ガス残量Gは、時点t0のガス残量Gが最大ガス残量Gmaxからガス使用に応じて漸減し、ガス容器10の交換時点である時点t10で最小ガス残量Gminとなる。
【0033】
この検針データSの取得により、処理部6には図4のBに示すように、取得した検針データSからガス使用量またはガス残量のトレンドを表すトレンドデータDAとして、時間経過に応じ複数のトレンドデータDA1、DA2、DA3・・・DA9が生成される。トレンドデータDA1は時点t0〜t1の一定期間の検針データSから生成され、トレンドデータDA2は時点t1〜t2の一定期間の検針データSから生成され、トレンドデータDA3は時点t2〜t3の一定期間の検針データSから生成され、同様に、トレンドデータDA4、DA5、DA6、DA7、DA8、DA9が生成される。
処理部6では図4のCに示すように、データ収集期間T0−1、T1−2、T2−5、T5−9が生成される。T0−1は第1検針日からの一定期間での初期のデータ収集期間(t0≦T0−1<t1)、T2−5は定期のデータ収集期間(t2≦T2−5<t5)である。T1−2はデータ収集期間T0−1から次のデータ収集期間T2−5に移行するまでの間のデータ収集期間(t1≦T1−2<t2)、T5−9は高密度のデータ収集期間(t5≦T5−9<t9)である。データ収集期間T0−1、T1−T2はデータ収集時期の一例、データ収集期間T2−5(図5)は定期収集時期の一例、データ収集期間T5−9は高密度収集時期の一例である。
【0034】
そして、処理部6はトレンドデータDAをたとえば、管理センター(管理センター36:図12)に送信または提供するタイミングとしてたとえば、図4のDに示すように、トレンドデータDAの取得タイミングを表すタイミング信号Ts1、Ts2、Ts3、Ts4、Ts5、Ts6、Ts7、Ts8、Ts9を生成する。つまり、タイミング信号Ts1はトレンドデータDA1の生成後に出力される。次のタイミング信号Ts2はトレンドデータDA2から割り出されたトレンドにより生成される。以後、タイミング信号Ts3はトレンドデータDA3のトレンドにより、タイミング信号Ts4はトレンドデータDA4のトレンドにより、タイミング信号Ts5はトレンドデータDA5のトレンドにより、タイミング信号Ts6はトレンドデータDA6のトレンドにより、タイミング信号Ts7はトレンドデータDA7のトレンドにより、タイミング信号Ts8はトレンドデータDA8のトレンドにより、タイミング信号TsはトレンドデータDA9のトレンドにより生成される。
【0035】
<検針データテーブル30>
図5は、第1の検針データテーブル30の一例を示している。この検針データテーブル30は検針データベースの一例である。この検針データテーブル30には図5に示すように、時点t、検針データS、トレンドデータDA、データ収集期間T、タイミング信号Tsおよびガス容器の交換時期が格納されている。図5において、図4と同一部分には同一符号を付してある。
データ収集期間Tには既述の収集時期(収集期間T0−1、T1−2)、定期収集時期(定期データ収集期間T2−5)、高密度収集時期(高密度データ収集期間T5−9)が格納される。タイミング信号TsにはTs1、Ts2、Ts3・・・Ts9が格納される。これらの格納データはトレンドデータDAの取得後、トレンドの把握による修正によって更新される。
【0036】
<検針データの処理手順>
図6は、ガス残量の推移に応じた検針データSの処理手順を示している。この処理手順は、本発明の検針データの処理プログラムまたは検針データの処理方法の一例である。
この処理手順では、処理の開始とともに、ガス容器10の交換を判断する(S151)。
ガス容器10の交換であれば(S151のYES)、第1検針日が確定する(S152)。つまり、ガス容器10の交換タイミングが確定する。この処理に続き、i=0とし、データを初期化する(S153)。処理部6は交換タイミングから一定期間T(i)−(i+1)で検針データSを計測部4から取得し(S154)、この検針データSからトレンドデータDA(i+1)を生成する(S155)。この場合、ガス容器12の交換時点後の最初のトレンドデータDA1は予め設定した値、または前回のガス容器交換時のトレンドデータDAが存在する場合にはこれらの値のいずれかを初期値のトレンドデータDAとすればよい。また、初期データ収集をスキップし、定期データ収集からトレンドデータDAを生成する処理でもよい。
【0037】
処理部6はトレンドデータDA(i+1)からトレンドの割り出し、時点t(i+1)、t(i+2)、ガス切れ時点txの修正を行い、タイミング信号Ts(i+1)を送出する(S156)。
次に、処理部6はガス容器10の交換時期かを判断する(S157)。ガス容器10の交換時期でなければ(S157のNO)、時点tの更新(i=i+1)を行い(S158)、S154ないしS157の処理、つまり検針データSの取得、トレンドデータDAの作成、トレンドの割り出し、時点t(i+1)、t(i+2)、ガス切れ時点txの修正を繰り返し、ガス容器10の交換時期かの判断(S157)を行う。
また、ガス容器10の交換時期であれば(S157のYES)、S152ないしS157の処理、つまり検針データSの取得、トレンドデータDAの作成、トレンドの割り出し、時点t(i+1)、t(i+2)、ガス切れ時点txの修正を繰り返し、ガス容器10の交換時期かの判断(S157)を行う。
【0038】
図7および図8は、図4および図5に示すガス残量の推移に応じた検針データSの具体的な処理手順を示している。この処理手順は検針データの処理プログラムまたは検針データの処理方法の一例である。図7および図8において、aおよびbはフローチャート間の連結子を示している。
この処理手順では、ガス容器10の交換が判定され(S201)、ガス容器10の交換まで待機状態が維持される。ガス容器10の交換であれば(S201のYES)、第1検針日が確定する(S202)。この例では、時点t0から時点t1までの一定期間T0−1で処理部6が計測部4から検針データSを取得し(S203)、トレンドデータDA1を生成する(S204)。このトレンドデータDA1は、一定期間T0−1で取得した複数の検針データSを用いてガス残量のトレンドを把握するためのデータである。
【0039】
処理部6はトレンドデータDA1からトレンドの割り出し、図4のAに示す時点t2、t3、t4、t5、t6、t7、t8、t9、t10、ガス切れ時点txの仮決定を行い、タイミング信号Ts1を送出する(S205)。つまり、トレンドデータDA1からユーザーの家族構成やユーザーのガス使用形態を示すトレンドを把握し、予測することが可能である。具体的には、最大ガス残量Gmaxと、ガス残量の減少傾向から既述のデータの収集時期、定期収集時期、高密度収集時期などのデータ収集時期を仮設定する。
タイミング信号Ts1の送出後、時間経過に従い、時点t1から時点t2までの一定期間T1−2で検針データSの取得(S206)、トレンドデータDA2の生成(S207)、トレンドデータDA2からトレンドの割り出し、時点t3、t4、t5、t6、t7、t8、t9、t10、ガス切れ時点txの修正、タイミング信号Ts2の送出(S208)を行う。
タイミング信号Ts2の送出後、時間経過に従い、時点t2から時点t3までの一定期間T2−3で検針データSの取得(S209)、トレンドデータDA3の生成(S210)、トレンドデータDA3からトレンドの割り出し、時点t4、t5、t6、t7、t8、t9、t10、ガス切れ時点txの修正、タイミング信号Ts3の送出(S211)を行う。
【0040】
タイミング信号Ts3の送出後、時間経過に従い、時点t3から時点t4までの一定期間T3−4で検針データSの取得(S212)、トレンドデータDA4の生成(S213)、トレンドデータDA4からトレンドの割り出し、時点t5、t6、t7、t8、t9、t10、ガス切れ時点txの修正、タイミング信号Ts4の送出(S214)を行う。
タイミング信号Ts4の送出後、時間経過に従って時点t4から時点t5までの一定期間T4−5で検針データSの取得(S215)、図8のトレンドデータDA5の生成(S216)、トレンドデータDA5からトレンドの割り出し、時点t6、t7、t8、t9、t10、ガス切れ時点txの修正、タイミング信号Ts5の送出(S217)を行う。
【0041】
タイミング信号Ts5の送出後、時間経過に従い、時点t5から時点t6までの一定期間T5−6で検針データSの取得(S218)、トレンドデータDA6の生成(S219)、トレンドデータDA6からトレンドの割り出し、時点t7、t8、t9、t10、ガス切れ時点txの修正、タイミング信号Ts6の送出(S220)を行う。
タイミング信号Ts6の送出後、時間経過に従い、時点t6から時点t7までの一定期間T6−7で検針データSの取得(S221)、トレンドデータDA7の生成(S222)、トレンドデータDA7からトレンドの割り出し、時点t8、t9、t10、ガス切れ時点txの修正、タイミング信号Ts7の送出(S223)を行う。
タイミング信号Ts7の送出後、時間経過に従い、時点t7から時点t8までの一定期間T7−8で検針データSの取得(S224)、トレンドデータDA8の生成(S225)、トレンドデータDA8からトレンドの割り出し、時点t9、t10、ガス切れ時点txの修正、タイミング信号Ts8の送出(S226)を行う。
【0042】
タイミング信号Ts8の送出後、時間経過に従い、時点t8から時点t9までの一定期間T8−9で検針データSの取得(S227)、トレンドデータDA9の生成(S228)、トレンドデータDA9からトレンドの割り出し、時点t10、ガス切れ時点txの修正、タイミング信号Ts9の送出(S229)を行う。タイミング信号Ts9の送出後、ガス容器10の交換時期かを判断する(S230)。
ガス容器10の交換時期でなければ(S230のNO)、待機状態となり、また、ガス容器10の交換時期であれば(S230のYES)、図7のS202に戻り、S202〜S230の処理を行う。
なお、S212、S215、S218、S221、S224、S227、S230、S231において、前段階の処理で得たトレンドデータDAのトレンドの割り出しで、時点t(=t3、t4、t5、t6、t7、t8、t9、t10)およびガス切れ時点txの成否を確認し、ガス切れなどの不測の事態を回避するため、これらの時点tを修正し、時点tの最適化を図る。この修正には、時点を省略し、次のデータ収集時期にスキップする場合も包含するものとする。
【0043】
<実施例1の効果>
この実施例1によれば、次の効果が得られる。
(1) ガス容器10の交換後の一定期間でガス使用またはガス残量のトレンドを把握し、そのトレンドにより検針データSやトレンドデータDAの収集時期、定期収集時期、高密度収集時期を設定するので、ガス使用量やガス残量のトレンドの推定精度を高めることができる。
(2) 前回のデータ収集によって得たトレンドで次のデータ収集時期を設定し、そのデータ収集時期に相当する期間の幅をトレンドによって修正するので、ガス残量ないしガス使用のトレンドをタイムリーに把握でき、ガス切れに陥ることなくガス容器の交換時期の精度を高めることができる。
【0044】
(3) 定期収集時期の後、ガス切れ前のガス容器の交換時期の前、高密度収集時期が設定されてデータ収集を頻繁に行い、データ収集頻度を高めているので、ガス容器10の交換時期の精度が高められ、ガス切れなどの不測の事態を回避できる。
(4) 交換するガス容器のガス残量を抑制できるので、ガス容器の交換回数を低減し、ガス容器の交換効率を高め、ガス容器の交換コストを低減できる。
(5) 季節係数などの補完的な処理を軽減できる。トレンドデータの作成の際、季節係数(たとえば、最初の検針が4月とすると家庭用のユーザーは夏にかけて使用量が減っていくため、その分を割り引いた係数)を入れてもよい。実施例1では検針データのトレンドによって検針間隔の増減に季節的なガス使用やガス残量の変動の吸収が既に行われており、季節係数などの補完的な処理が不要であるなど、データ処理を簡略化できる。
【実施例2】
【0045】
実施例1の検針データ処理システム2では、ガスメータ8の外側に処理部6を備えているが、ガスメータ8の内部に処理部6を備えてもよい。実施例2に係る検針データ処理システム2では図9に示すように、ガスメータ8に計測部4とともに、プロセッサ22、クロック生成部24、I/O26、記憶部28を備える。これら機能部の機能や処理は実施例1と同様であるので、その説明を割愛する。
この実施例2において、記憶部18や通信部20がガスメータ8の外部に設置されているが、これらもガスメータ8内に設置してよい。
【0046】
<実施例2の効果>
この実施例2によれば次の効果が得られる。
(1) 検針データ処理システム2を一体化したガスメータ8を提供できる。
(2) 検針データ処理システム2の処理部6を含むデータロガーをガスメータ8と別構成とした場合に比較し、ガスの検針設備のコンパクト化を図ることができる。
(3) ガスメータ8の交換で検針データ処理システム2のメンテナンスを行うことができ、設置、交換およびメンテナンスの簡略化を図ることができる。
【実施例3】
【0047】
実施例1ではデータ収集時期について、第1検針日から初期のデータ収集時期、定期収集時期を経て高密度収集時期を設定したが、第1検針日から高密度収集期間を設定し、ガス残量の推移からトレンドを把握してもよい。
図10は実施例3に係るガス残量の推移とデータ収集を示している。Aは実施例3で新たに設定されるデータ収集期間T、Bはガス残量の推移を表すガス残量線LC、CはトレンドデータDA、Dはデータ収集期間、Eはデータ収集タイミングTSを示している。
図10のAに示すように、このデータ収集期間には第1検針日CHから第2検針日CHまでの一定期間に第1の高密度データ収集期間T0−5(高密度収集時期)、定期データ収集期間T5−8(定期収集時期)、第2の高密度データ収集期間T8−12(高密度収集時期)が設定されている。
高密度データ収集期間T0−5は第1検針日CHから一定期間で、高密度に検針データを取得する期間である。定期データ収集期間T5−8は高密度データ収集期間T0−5の後、次の高密度データ収集期間T8−12に至る中間期間であり、定期的に密度の低いデータ収集を行う期間である。高密度データ収集期間T8−12は高密度に検針データSを取得する期間であり、データ収集密度は定期データ収集期間T5−8と同等でもよいし、よりデータ収集密度を高めてもよい。
【0048】
処理部6では図10のBに示すように、ガス残量線LC上の複数の検針データS1、S2、S3・・・Sn−1、Snが時点t0から時点t13までの間、計測部4から処理部6に取り込まれる。時点t0はガス容器10の交換時点であり、ガス容器のガス残量の第1検針日である。ガス残量Gは、時点t0のガス残量Gは最大ガス残量Gmaxからガス使用に応じて漸減し、ガス容器10の交換時点である時点t13で最小ガス残量Gminとなる。
この検針データSの取得により、処理部6には図10のCに示すように、取得した検針データSからガス使用量またはガス残量のトレンドを表すトレンドデータとして、時間経過に応じ複数のトレンドデータDA1、DA2、DA3・・・DA12が生成される。トレンドデータDA1は時点t0〜t1の一定期間の検針データSから生成され、トレンドデータDA2は時点t1〜t2の一定期間の検針データSから生成され、トレンドデータDA3は時点t2〜t3の一定期間の検針データSから生成され、同様に、トレンドデータDA4、DA5、DA6、・・・DA12が生成される。
【0049】
処理部6では図10のDに示すように、データ収集期間T0−1、T1−2、T2−3、T3−4、T4−5、T5−6、T6−7、T7−8、T8−9、T9−10、T10−11、T11−12が生成される。T0−1は第1検針日からの一定期間でデータ収集期間(t0≦T0−1<t1)、T1−2は定期のデータ収集期間(t1≦T1−2<t2)、T2−3は定期のデータ収集期間(t2≦T2−3<t3)、T3−4は定期のデータ収集期間(t3≦T3−4<t4)、T4−5は定期のデータ収集期間(t4≦T4−5<t5)であり、これらは第1検針日からの高密度のデータ収集期間T0−5(高密度収集時期)である。
T5−6はデータ収集期間(t5≦T5−6<t6)、T6−7はデータ収集期間(t6≦T6−7<t7)、T7−8はデータ収集期間(t7≦T7−8<t8)であり、定期データ収集期間(T5−8)である。
T8−9は定期のデータ収集期間後のデータ収集期間(t8≦T8−9<t9)、T9−10はデータ収集期間(t9≦T9−10<t10)、T10−11はデータ収集期間(t10≦T10−11<t11)、T11−12はデータ収集期間(t11≦T11−12<t12)であり、第2の高密度のデータ収集期間T8−12(高密度収集時期)である。
【0050】
そして、処理部6には図10のEに示すように、トレンドデータDAの取得タイミングを表すタイミング信号Ts1、Ts2、Ts3・・・Ts12が生成される。つまり、タイミング信号Ts1はトレンドデータDA1の生成後に出力される。次のタイミング信号Ts2にはトレンドデータDA2から割り出されたトレンドにより生成される。以後、タイミング信号Ts3はトレンドデータDA3のトレンドにより、タイミング信号Ts4はトレンドデータDA4のトレンドにより、タイミング信号Ts5はトレンドデータDA5のトレンドにより、タイミング信号Ts6はトレンドデータDA6のトレンドにより、タイミング信号Ts7はトレンドデータDA7のトレンドにより、タイミング信号Ts8はトレンドデータDA8のトレンドにより、タイミング信号Ts9はトレンドデータDA9のトレンドにより生成される。同様に、タイミング信号Ts10、Ts11、Ts12がトレンドデータDA10、DA11、DA12のトレンドにより生成される。図10のEの各タイミング信号Tsについて、一例としてHは高レベル区間、Lは低レベル区間を示すが、これらは逆の関係としてもよい。
【0051】
<検針データテーブル32>
図11は、第2の検針データテーブル32の一例を示している。この検針データテーブル32は検針データベースの一例である。この検針データテーブル32には図11に示すように、時点t、検針データS、トレンドデータDA、データ収集期間T、タイミング信号Tsおよびガス容器の交換時期CHが格納されている。
データ収集期間Tには第1の高密度収集時期(高密度データ収集期間T0−5)、定期収集時期(定期データ収集期間T5−8)、第2の高密度収集時期(高密度データ収集期間T8−12)が格納される。タイミング信号TsにはTs1、Ts2、Ts3・・・Ts12が格納される。
これらの格納データは実施例1と同様に、トレンドデータの取得後、トレンドの把握により修正され更新される。
【0052】
<実施例3の効果>
実施例3によれば、次の効果が得られる。
(1) 第1検針日を起点に高密度で検針データSを取得してガス残量、ガス使用量のトレンドを計測し予測するので、第1検針日から早い時期にユーザーのガス使用のトレンドを把握することができる。
(2) 第1検針日を起点に高密度で検針データSを取得するので、ユーザーの家族構成など、ユーザー側のガス需要を特定するためのユーザー情報を別に取得することなく、これらの情報が反映されたトレンドを把握でき、この結果、ガス容器10の交換日の予測精度が高められる。
【0053】
(3) 第1の高密度収集時期でトレンドを把握した後、定期収集時期を経て第2の検針日前に第2の高密度収集時期でガス使用量またはガス残量のトレンドを再び把握するので、ガス使用量のトレンドの把握精度を高めることができ、ユーザーの突発的なガス使用量の増加に伴うガス切れ、供給側のガス容器10−1のガス切れ(片切れ)の予測時刻の精度を高めることができる。
(4) 第1検針日を起点に高密度で検針データSを取得する高密度収集時期を第1検針日からどの程度の期間にするかについて、過去の高密度収集時期でガス使用量またはガス残量のトレンドを参照し、制御することができる。たとえば、前回の高密度収集時期の二分の一や二倍など、高密度収集時期を最適化することができ、データ収集の簡略化とともに期間設定の精度を高めることができる。
【実施例4】
【0054】
図12は、実施例4に係るガス容器交換システムを示している。ガス容器交換システム34には複数のユーザーに設置される各検針データ処理システム2−1、2−2・・・と管理センター36が含まれる。
管理センター36には管理サーバー38、第1の通信部40−1、第2の通信部40−2、情報提示部42が備えられる。
各検針データ処理システム2−1、2−2・・・の通信部20から送信される検針データSまたはトレンドデータDAは管理センター36の通信部40−1に向けて送信される。この送信データは中継局44を介して通信部40−1で受信する。
【0055】
管理サーバー38は通信部40−1を制御し、受信した検針データS、トレンドデータDAまたは検針日を表すデータを受信する。この管理サーバー38には、図13に示すように、プロセッサ46、記憶部48、入出力部(I/O)50が備えられる。
プロセッサ46は、記憶部48にあるOSや検針データ処理プログラムを実行し、ガス残量やガス使用量のトレンドの把握に基づき、ガス容器10の交換日などの交換情報を出力する。記憶部48には、プロセッサ46による制御により、各検針データ処理システム2−1、2−2・・・から送信されたユーザー毎に検針データSやトレンドデータDAが格納される。入出力部50は検針データS、トレンドデータDAの入力、交換日などの交換情報などの出力に用いられる。
【0056】
情報提示部42には情報表示部42−1、プリンタ42−2、情報通信端末42−3が含まれる。情報表示部42−1はたとえば、LCD(Liquid Crystal Display)で構成され、ユーザーを特定するID(IDentification)情報とともに交換日が提示される。プリンタ42−2には帳票52が出力され、この帳票52にユーザーを特定するID情報とともに交換日が提示される。
情報通信端末42−3には配送者が携帯するスマートフォンなどの通信端末を用いればよい。この情報通信端末42−3には通信部40−2との近距離無線通信などにより、ユーザーを特定するID情報とともに交換日が情報通信端末42−3の画面表示部に表示される。
【0057】
<ガス容器交換処理>
図14は、ガス容器交換処理シーケンスを示す。処理部6は、図2に示す処理手順と同様に、計測部4から検針データSの取得(S301)、検針データSの記憶部18への格納(S302)、トレンドデータDAの生成(S303)、ガス使用量またはガス残量のトレンドの割り出し(S304)、収集タイミングTSの生成(S305)、検針データSまたはトレンドデータDAの送出(S306)の処理を実行する。
【0058】
通信部20は処理部6から検針データSまたはトレンドデータDAを受け、通信部40−1に向けて送信する(S307)。
通信部40−1は受信した検針データSまたはトレンドデータDAを管理サーバー38に提供する(S308)。
管理サーバー38は、提供された検針データSまたはトレンドデータDAからトレンドを把握し、ガス容器10の交換日の提示を情報提示部42に指示する(S309)。これにより、情報提示部42は、ガス容器の交換日の提示を行う(S310)。
【0059】
<実施例4の効果>
この実施例4によれば、次の効果が得られる。
(1) ガス使用量またはガス残量のトレンドの把握精度が高められるので、ガス容器のガス切れを防止でき、交換日を特定する精度を高めることができる。
(2) 交換するガス容器のガス残量を低減でき、ガス容器におけるガスの使用効率が高まり、ガス容器の交換効率、配送効率を高め、配送コストを低減できる。
(3) ガス容量の少ないガス容器を交換でき、配送者の負担を軽減できる。
【実施例5】
【0060】
実施例1ないし実施例4の検針データ処理システム2、2−1、2−2・・・では、ガスメータ8側に設置された処理部6でトレンドデータDAを作成しているが、この作成処理を管理センター36の管理サーバー38側で行ってもよい。
図15は、実施例5に係る検針データ処理システム200を示している。この検針データ処理システム200では、ガスメータ8側に既述の処理部6に代え、検針データSを計測部4から取得するデータ取得部54が設置されている。このデータ取得部54は、検針データSを記憶部18に格納するとともに、通信部20から管理センター36に向けて送信させる。
【0061】
管理センター36には実施例4と同様に、管理サーバー38が備えられる。管理サーバー38は実施例1の処理部6と同様に機能するので、処理部6に相当する。管理センター36は実施例4と同様に構成すればよいので、実施例4と同様の機能部に共通の符号を付し、その説明を割愛する。
そして、管理センター36ではデータ取得部54の検針データSを取得し、既述したトレンドデータDAを生成し、このトレンドデータDAからガス使用量またはガス残量のトレンドを把握し、ユーザーのガス交換日を特定する処理を管理センター36側の管理サーバー38で行う。この処理は、実施例1〜4に記載した通りであるから、その説明を割愛する。
【0062】
<実施例5の効果>
この実施例5によれば次の効果が得られる。
(1) 実施例1〜4ではガスメータ8側に設置された処理部6で検針データSからガス使用量またはガス残量のトレンドを計測ないし予測するためのトレンドデータDAを生成しているが、この処理を実施例5では管理サーバー38側で実行するので、検針データSを記憶部18に格納させれば、処理部6の負担を軽減できる。
(2) この実施例5によれば、ガスメータ8側のシステム構成を簡略化できる。
【0063】
〔他の実施の形態〕
(1) 検針データSは連続または不連続に計測部4から処理部6に取り込む形態であってもよい。
(2) 検針データSの高密度収集時期について、実施例1では時点t10まで展開し、実施例3では時点t13まで展開しているが、この高密度収集時期はトレンド需要と実需要の差が出る場合、既述した時点は変動する。たとえば、定期収集期間にトレンド需要より実需要が下回った場合、高密度収集時期は時点t10までの間隔が空きすぎる場合が予想される。この場合には、時点t10からt12に検針データSの収集時点を増加させればよいし、不必要なデータ収集を回避するため、収集時点を間引いてもよいし、部分的に省略してもよい。
(3) 上記実施の形態または上記実施例では計測部4が検針データSを一定の時間間隔で出力させることを例示(図4のA、図10のB)しているが、検針データSは既述のトレンドに応じて任意の時間間隔で出力する構成であってもよい。
(4) 図10のCおよび図11に示すトレンドデータDA1はガス容器10を設置しているユーザーの過去のガス使用やガス残量のトレンドから作成したデータを使用してもよく、一般的に想定されるトレンドから求められる固定値または変動値を用いてよい。
【0064】
以上説明したように、本発明の最も好ましい実施の形態等について説明した。本発明は、上記記載に限定されるものではない。特許請求の範囲に記載され、または発明を実施するための形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能である。斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明の検針データの処理システムは、ガス容器を単位とするLPGの配送、交換システムにおいて、ガス切れなどの不測の事態を回避しつつガス容器配送、ガス容器交換の効率を高め、配送担当者の負荷を軽減できるなど、有益である。
【符号の説明】
【0066】
2、2−1、2−2 200 検針データ処理システム
4 計測部
6 処理部
8 ガスメータ
10、10−1、10−2 ガス容器
12、12−1、12−2 ガス機器
14 ガス供給路
16 切換器
18、28、48 記憶部
20、40−1、40−2 通信部
22 プロセッサ
24 クロック生成部
26、50 I/O
30、32 検針データテーブル
34 ガス容器交換システム
36 管理センター
38 管理サーバー
42 情報提示部
42−1 情報表示部
42−2 プリンタ
42−3 情報通信端末
44 中継局
46 プロセッサ
52 帳票
54 データ取得部

【要約】
【課題】ガス使用量の使用形態、増減変化、傾向など、ガス残量(またはガス使用量)のトレンドを把握してガス切れ回避とともにガス容器の交換時のガス残量を最少化する。
【解決手段】単一または複数のガス容器のうち、少なくともひとつのガス容器のガス使用量またはガス残量を計測し、ガス使用量またはガス残量を表す検針データを出力する計測部(4)と、前記計測部から前記検針データを取得してガス使用量またはガス残量のトレンドを表すトレンドデータを生成し、該トレンドデータから割り出されたガス使用量またはガス残量のトレンドに応じて前記トレンドデータの収集時期、定期収集時期または高密度収集時期の何れかの時期を表す収集タイミングを生成し、この収集タイミングで取得した検針データを送出し、または前記トレンドデータを送出する処理部(6)を備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15