(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
単一または複数のガス容器のうち、少なくともひとつのガス容器の交換タイミングまたは検針タイミングから所定期間に得られるガス使用量またはガス残量を表す検針データを取得するデータ取得部と、
前記検針データから一定期間における前記ガス使用量または前記ガス残量の変化量を表すトレンドデータを作成し、該トレンドデータから次回以降の検針タイミングを決定し、該検針タイミングまたは前記交換タイミングで取得したガス使用量またはガス残量に応じて前記ガス容器の次回の交換タイミングを決定する処理部と、
を備えることを特徴とする、ガス容器交換システム。
前記ガス容器は、第1のガス容器と第2のガス容器を含み、前記第1のガス容器にガス切れが生じたとき、ガスの使用が前記第2のガス容器に切り換えられる複数のガス容器であることを特徴とする、請求項1ないし請求項4のいずれかの請求項に記載のガス容器交換システム。
さらに、前記検針タイミングで取得した前記検針データ、前記トレンドデータ、前記検針タイミング、および検針間隔を記憶部に格納しまたは更新する機能を含むことを特徴とする、請求項6または請求項7に記載のガス容器交換プログラム。
さらに、前記ガス容器のガス切れが近づくにつれて前記検針間隔を狭め、前記検針データの取得密度を高める機能を含むことを特徴とする請求項8に記載のガス容器交換プログラム。
単一または複数のガス容器のうち、少なくともひとつのガス容器の交換タイミングまたは検針タイミングから所定期間に得られるガス使用量またはガス残量を表す検針データを取得するデータ取得部から検針データを受け、この検針データから一定期間における前記ガス使用量または前記ガス残量の変化量を表すトレンドデータを作成し、該トレンドデータから次回以降の検針タイミングを決定し、該検針タイミングまたは前記交換タイミングで取得した検針値に応じてガス容器の次回の交換タイミングを決定する処理部と、
前記検針データ、前記トレンドデータ、前記検針タイミング、または検針間隔を格納する記憶部と、
前記ガス容器の前記次回の交換タイミングを提示する情報提示部と、
を備えることを特徴とする、ガス容器交換装置。
前記ガス容器のガス切れが近づくにつれて前記検針間隔を狭め、前記検針データの取得密度を高めることを特徴とする請求項10または請求項11に記載のガス容器交換装置。
前記ガス容器は、第1のガス容器と第2のガス容器を含み、前記第1のガス容器にガス切れが生じたとき、ガスの使用が前記第2のガス容器に切り換えられる複数のガス容器であることを特徴とする、請求項10ないし請求項12のいずれかの請求項に記載のガス容器交換装置。
データ取得部が単一または複数のガス容器のうち、少なくともひとつのガス容器の交換タイミングまたは検針タイミングから所定期間に得られるガス使用量またはガス残量を表す検針データを取得する工程と、
処理部が前記検針データから一定期間における前記ガス使用量または前記ガス残量の変化量を表すトレンドデータを作成し、該トレンドデータから次回以降の検針タイミングを決定し、該検針タイミングまたは前記交換タイミングで取得したガス使用量またはガス残量に応じて前記ガス容器の次回の交換タイミングを決定する工程と、
を含むことを特徴とする、ガス容器交換方法。
さらに、前記処理部が記憶部に前記検針データ、前記トレンドデータ、前記検針タイミング、または検針間隔の格納または更新を行う工程を含み、前記トレンドデータ、前記検針タイミング、または前記検針間隔を動的に変化させることを特徴とする、請求項14に記載のガス容器交換方法。
さらに、前記ガス容器のガス切れが近づくにつれて前記検針間隔を狭め、前記検針データの取得密度を高める工程を含むことを特徴とする請求項15に記載のガス容器交換方法。
前記ガス容器に第1のガス容器と第2のガス容器を含み、前記第1のガス容器にガス切れが生じたとき、ガスの使用が前記第2のガス容器に切り換えられる工程を含むことを特徴とする、請求項14ないし請求項16のいずれかの請求項に記載のガス容器交換方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ガス使用量をガスメータで測定しても、ガス容器のガス残量をガス使用量が上回れば、ガス切れを来すことになる。ガス切れを回避するために安全率を高くすれば、残量の多いガス容器の交換となり、配送回数を増加させ、配送業者の負担や配送コストを増大させるという課題がある。
ガス消費設備のガス供給路で検知したガス消費量とガス容器の充填残量から消費可能な残時間を算出し表示する方法(特許文献1)では、残時間表示を利用できるとしてもガス切れ回避には安全率を高く設定する必要があるという課題がある。
【0006】
ガス容器の交換予定日について、ガス容量およびガス容器の設置本数からマスタ容量の算出、一定期間の指針データの差分から使用量の算出、マスタ容量と使用量に基づいて安全率の決定、マスタ容量、前回配送日および使用量からガス切れ日の予測、ガス切れ日に安全率を掛け合わせて配送予定日の算出という演算手法(特許文献2)では、マスタ容量と使用量に基づいて決定される安全率の如何で配送予定日が変動し、最適化されているとはいえないし、ガス切れ回避のためには残量の多いガス容器の回収を余儀なくされるという課題がある。
ガス容器の配送日について、ガスメータの前回指針日から次回指針日までの間のガス使用量に基づいてガス残量を更新し、指針日間の一日当たりのガス使用量と、過去の期間における一日当たりのガス使用量の変化率とに基づいて予測された一日当たりのガス使用量に応じて、更新されたガス残量を減少させて将来のガス残量を予測し、このガス残量が所定日となる日を配送日に決定する方法(特許文献3)では、ガス残量の予測結果如何で配送日が大きく変動するという課題がある。
【0007】
ガスメータの複数の検針データからガス使用量を得てガス残量を更新し、ガス容器の過去のガス使用量の比較によりガス使用量の変化に基づき更新されたガス残量を減少させて将来のガス残量を予測し、このガス残量が所定値となる日をガス容器の配送日に決定する方法(特許文献4)においても、ガス使用量の変化に応じてガス残量を予測しており、この予測結果如何で配送日が大きく変動するという課題がある。
このように過去のデータから算出した指標から配送予定日や配送日を予測するだけの配送管理では、ガス残量の把握が不十分となるためガス切れを生じさせ、ユーザーに不便を強いるおそれがある。
また、一カ月程度のほぼ一定間隔で検針日を設定する場合、安全率や安全日といった指標を用いて設定される配送日では、交換するガス容器のガス残量が多くなり、配送回数の増加、配送業者の負担や配送コストを増大させるという課題もある。
【0008】
そこで、本発明の目的は上記課題に鑑み、ガス使用量の使用形態、増減変化、傾向など、ガス残量の推定精度を高めてガス切れを回避し、最少のガス残量でガス容器交換を行うことにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明のガス容器交換システムの一側面によれば、単一または複数のガス容器のうち、少なくともひとつのガス容器の交換タイミングまたは検針タイミングから所定期間に得られるガス使用量またはガス残量を表す検針データを取得するデータ取得部と、前記検針データから
一定期間における前記ガス使用量または前記ガス残量の
変化量を表すトレンドデータを作成し、該トレンドデータから次回以降の検針タイミングを決定し、該検針タイミングまたは前記交換タイミングで取得したガス使用量またはガス残量に応じて
前記ガス容器
の次回の交換
タイミングを決定する処理部を備える。
上記ガス容器交換システムにおいて、さらに、前記検針データ、前記トレンドデータ、前記検針タイミングまたは検針間隔を格納する記憶部を備え、前記処理部は、前記検針データ、前記トレンドデータ、前記検針タイミングまたは前記検針間隔の格納または更新を行い、前記トレンドデータ、前記検針タイミングまたは前記検針間隔を動的に変化させてよい。
上記ガス容器交換システムにおいて、さらに、
前記次回の交換タイミングに基づいて決定したガス容器交換日を提示する情報提示部を備え、前記ガス容器のガス使用量またはガス残量に、
前記次回の交換タイミングに基づく前記ガス容器交換日を決定するしきい値を設定し、前記ガス使用量が前記しきい値以上または前記ガス残量が前記しきい値以下であるとき、前記処理部が出力する
前記次回の交換タイミングに基づく前記ガス容器交換日を前記情報提示部に提示させてよい。
上記ガス容器交換システムにおいて、さらに、前記ガス容器のガス切れが近づくにつれて前記検針間隔を狭め、前記検針データの取得密度を高めてよい。
上記ガス容器交換システムにおいて、前記ガス容器は、第1のガス容器と第2のガス容器を含み、前記第1のガス容器にガス切れが生じたとき、ガスの使用が前記第2のガス容器に切り換えられる複数のガス容器でよい。
【0010】
上記目的を達成するため、本発明のガス容器交換プログラムの一側面によれば、コンピュータに実行させるガス容器交換プログラムであって、単一または複数のガス容器のうち、少なくともひとつのガス容器の交換タイミングまたは検針タイミングから所定期間に得られるガス使用量またはガス残量を表す検針データを取得する機能と、前記検針データから
一定期間における前記ガス使用量または前記ガス残量の
変化量を表すトレンドデータを作成し、該トレンドデータから次回以降の検針タイミングを決定し、該検針タイミングまたは前記交換タイミングで取得したガス使用量またはガス残量に応じて
前記ガス容器
の次回の交換
タイミングを決定する機能とを前記コンピュータで実現する。
上記ガス容器交換プログラムにおいて、さらに、前記ガス容器のガス使用量またはガス残量に、
前記次回の交換タイミングに基づくガス容器交換日を決定するしきい値を設定し、前記ガス使用量が前記しきい値以上または前記ガス残量が前記しきい値以下であるとき、
前記次回の交換タイミングに基づく前記ガス容器交換日を決定し
て情報提示部に提示する機能を含んでよい。
上記ガス容器交換プログラムにおいて、さらに、前記検針タイミングで取得した前記検針データ、前記トレンドデータ、前記検針タイミング、および検針間隔を記憶部に格納しまたは更新する機能を含んでよい。
上記ガス容器交換プログラムにおいて、さらに、前記ガス容器のガス切れが近づくにつれて前記検針間隔を狭め、前記検針データの取得密度を高める機能を含んでよい。
【0011】
上記目的を達成するため、本発明のガス容器交換装置の一側面によれば、単一または複数のガス容器のうち、少なくともひとつのガス容器の交換タイミングまたは検針タイミングから所定期間に得られるガス使用量またはガス残量を表す検針データを取得するデータ取得部から検針データを受け、この検針データから
一定期間における前記ガス使用量または前記ガス残量の
変化量を表すトレンドデータを作成し、該トレンドデータから次回以降の検針タイミングを決定し、該検針タイミングまたは前記交換タイミングで取得した検針値に応じてガス容器
の次回の交換
タイミングを決定する処理部と、前記検針データ、前記トレンドデータ、前記検針タイミング、または検針間隔を格納する記憶部と、前記ガス容器
の前記次回の交換
タイミングを提示する情報提示部とを備える。
上記ガス容器交換装置において、前記ガス容器のガス使用量またはガス残量に、
前記次回の交換タイミングに基づくガス容器交換日を決定するしきい値を設定し、前記ガス使用量が前記しきい値以上または前記ガス残量が前記しきい値以下であるとき、前記処理部が出力する
前記次回の交換タイミングに基づく前記ガス容器交換日を前記情報提示部に提示させてよい。
上記ガス容器交換装置において、前記ガス容器のガス切れが近づくにつれて前記検針間隔を狭め、前記検針データの取得密度を高めてよい。
上記ガス容器交換装置において、前記ガス容器は、第1のガス容器と第2のガス容器を含み、前記第1のガス容器にガス切れが生じたとき、ガスの使用が前記第2のガス容器に切り換えられる複数のガス容器でよい。
【0012】
上記目的を達成するため、本発明のガス容器交換方法の一側面によれば、データ取得部が単一または複数のガス容器のうち、少なくともひとつのガス容器の交換タイミングまたは検針タイミングから所定期間に得られるガス使用量またはガス残量を表す検針データを取得する工程と、処理部が前記検針データから
一定期間における前記ガス使用量または前記ガス残量の
変化量を表すトレンドデータを作成し、該トレンドデータから次回以降の検針タイミングを決定し、該検針タイミングまたは前記交換タイミングで取得したガス使用量またはガス残量に応じて
前記ガス容器
の次回の交換
タイミングを決定する工程とを含む。
上記ガス容器交換方法において、さらに、前記処理部が記憶部に前記検針データ、前記トレンドデータ、前記検針タイミング、または検針間隔の格納または更新を行う工程を含み、前記トレンドデータ、前記検針タイミングまたは前記検針間隔を動的に変化させてよい。
上記ガス容器交換方法において、さらに、前記ガス容器のガス使用量またはガス残量に、
前記次回の交換タイミングに基づくガス容器交換日を決定するしきい値を設定し、前記ガス使用量が前記しきい値以上または前記ガス残量が前記しきい値以下であるとき、前記処理部が出力する
前記次回の交換タイミングに基づく前記ガス容器交換日を情報提示部に提示させる工程を含んでよい。
上記ガス容器交換方法において、さらに、前記ガス容器のガス切れが近づくにつれて前記検針間隔を狭め、前記検針データの取得密度を高める工程を含んでよい。
上記ガス容器交換方法において、前記ガス容器に第1のガス容器と第2のガス容器を含み、前記第1のガス容器にガス切れが生じたとき、ガスの使用が前記第2のガス容器に切り換えられる工程を含んでよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、次のいずれかの効果が得られる。
(1) ガス容器のガス使用量やガス残量の増減変化などのトレンドの推定精度を高めることができる。
(2) ガス使用量やガス残量のトレンドによりガス容器の交換タイミングを最適化できる。
(3) ガス切れを回避できるとともに、ガス容器の交換時のガス残量を最少化でき、ガス容器配送を効率化できる。
【0014】
(4) ガス容器の配送者の勘や経験による人的スキルに依存するガス容器交換、ガス容器配送の計画性を高めることができる。
(5) ユーザー側に設置されるガスメータ側で指針データのデータ処理が可能になり、データ通信は所定のタイミングで実行でき、データ通信のトラフィック負荷を軽減できるとともに、ガスメータ側を省電化できる。
(6) ガス使用の季節的変動や温度変化などの不確定要素を吸収でき、ガス容器の交換日の推定精度を高めることができる。
(7) 検針データを常時収集しなくても、少ない検針データの送受信により、ガス容器の交換日精度を向上させることができ、たとえば、電池駆動のガスメータまたはデータ送信設備の電池寿命を延ばすことができ、システムの信頼性を高めることができる。
(8) 検針タイミング間でガス需要に顕著な変化が生じても、ガス切れに至ることなく、ガス容器交換を迅速化でき、利便性の高いガス容器の交換管理を実現できる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
〔一実施の形態〕
図1は一実施の形態に係るガス容器交換システムを示している。
図1に示す構成は一例であり、係る構成に本発明が限定されるものではない。
このガス容器交換システム2には
図1に示すように、ユーザー側のガスメータ4の計測部6およびデータ取得部8が備えられ、管理センターまたは中継局などに設置されるガス容器交換装置10側に処理部12、記憶部14および情報提示部16が備えられる。
ガスメータ4はガス容器18とガス機器20を接続するガス供給路22に設置されている。ガス容器18には供給系と予備系の二系統のたとえば、ガス容器18−1と、ガス容器18−2が含まれる。ガス容器18−1は通常のガス供給用であり、ガス容器18−2がガス切れ対策用である。つまり、ガス容器18−1側にガス切れが生じたとき、切換器24がガスの供給元をガス容器18−1から予備系のガス容器18−2に切り換え、ガス容器18−2からガス機器20にガス供給を行う。ガス機器20にはガス器具や給湯機器など、複数のガス機器20−1、20−2が含まれる。
【0017】
計測部6は、ガス容器18からガス機器20に流れるガスGを計測し、検針値を含む検針データSを出力する。この検針データSにはガス容器18のガス使用量またはガス残量の何れを用いてもよい。計測部6の検針値はガス流量を表し、ガス残量はガス容器18内のガス残量を表す。ガス容器18の全量を「100」とし、検針値がたとえば、初期検針値=40から「42」に変化したとき、ガス残量が「100」から「98」に変化する状況となる。
このガス残量は、式(1) で表すことができる。
ガス残量=容器全量−(検針値−初期検針値) ・・・(1)
式(1) から、
ガス残量=100−(42−40)=98 ・・・(2)
となる。
検針データSにはガス容器18からガス機器20に流れるガスの流量の検針値、ロードサーベイやガスメータ4の出力パルス、検針値と同様にガス使用やガス残量を表すデータ、ガス使用量やガス残量を表す容器内圧力の何れを用いてもよいし、2以上が組み合わされてもよい。以下、説明を容易にするため、検針データSを用いて説明する。
データ取得部8は計測部6から検針データSを取得し、通信部26−1に出力する。データ取得部8はたとえば、コンピュータで構成される。データ取得部8および通信部26−1はガスメータ4と別構成とし、計測部6に無線または有線で接続してよいが、ガスメータ4の筐体内に内蔵し、ガスメータ4と一体構成でもよい。
このデータ取得部8および通信部26−1のデータ処理にはa.容器交換タイミングまたは検針タイミングによる検針データSの取得、b.検針データSの送出、c.通信部26−1による検針データSの送信などの処理が含まれる。容器交換タイミングは、ガス容器交換時の検針タイミングを表す。
【0018】
処理部12は、通信部26−1と通信部26−2のデータ通信を通して検針タイミングによる検針データSの取得からガス容器18の交換日の特定までの処理を行う。処理部12は管理サーバーなど、コンピュータで構成される。この処理部12のデータ処理にはd.検針タイミングでの検針データSの受信、e.検針データSの記憶、f.トレンドデータTDの作成、g.検針タイミングやガス容器18の交換タイミングの決定および記憶、h.ガス容器18の交換日の決定および提示などが含まれる。
このように、ガス容器交換システム2のデータ処理には以下の処理が含まれる。
【0019】
a.検針データSの取得:
データ取得部8がガス容器交換タイミングCHまたは検針タイミングSTで検針データSを取得する。
b.検針データSの送出
データ取得部8はガス容器交換タイミングCHまたは検針タイミングSTで検針データSを通信部26−1に送出する。
c.検針データSの送信
検針データSは、通信部26−1から管理センター側の通信部26−2に送信する。この場合、通信部26−1から通信部26−2に検針データSを受け取る処理としてもよい。このデータ送受は、有線または無線の何れでもよい。
【0020】
d.検針データSの受信:
通信部26−2は、通信部26−1から送信された検針データSを受信し、この検針データSを処理部12に提供する。
e.検針データSの記憶:
処理部12は、データ取得部8から取得した検針データSを記憶部14に格納する。
f.トレンドデータTDの作成:
処理部12は取得した検針データSを用いてガス容器18のガス使用またはガス残量のトレンドを表すトレンドデータTDを作成する。このトレンドデータTDには検針データSの検針タイミング、検針間隔が含まれる、次回の検針タイミングやガス容器18の交換タイミングの割り出しに用いられる。
【0021】
g.検針タイミング、ガス容器18の交換タイミングの決定および記憶:
処理部12はトレンドデータTDからトレンドを把握し、検針データSの検針タイミング、ガス容器18のガス切れを割り出し、次回以降の検針タイミングSTやガス容器18の交換タイミングCHを決定し、記憶部14に記憶させる。
h.ガス容器18の交換日の決定および提示:
トレンドデータTDから把握されたトレンドからガス切れが予測される場合、つまり、処理部12がガス容器18の交換タイミングを出力する場合、ガス容器18の交換情報として、情報提示部16によりガス容器18の交換日の提示を行う。この情報提示は配送者に認識させることができればよく、画面上の画像情報、プリンタから出力される印刷媒体、通信端末の画面表示など、何れの形態でもよい。
【0022】
<検針データの処理手順>
図2は一実施の形態に係る検針データの処理手順を示している。処理部12は検針データを取得する契機としてたとえば、ガス容器18の交換タイミングCHかまたは検針タイミングSTかを判断する(S101)。検針データSの交換タイミングは、ガス容器交換による第1検針日のタイミングを表し、検針タイミングSTはトレンドデータTDから作成されたタイミングデータである。交換タイミングCHまたは検針タイミングSTでなければ(S101のNO)、これらの何れかが到来するまで待機状態となる。
交換タイミングCHまたは検針タイミングSTであれば(S101のYES)、計測部6から検針データSを取得し(S102)、これを契機として容器交換情報を提示する時期かを判断する(S103)。
【0023】
容器交換情報を提示する時期が到来していなければ(S103のNO)、処理部12は計測部6から取得した検針データSを記憶部14に格納し、または記憶部14にある検針データSの更新を行う(S104)。
処理部12は、取得した検針データSによりトレンドデータTDを作成する(S105)。このトレンドデータTDはユーザーによるガス容器18のガス使用の傾向を示し、具体的にはガス容器18の交換時点から次の交換時点までのガス流量またはガス残量の推移を表す。
処理部12はトレンドデータTDから次回以降の検針タイミングSTを決定し(S106)、S101に戻り、S101、S102の処理を行う。
検針タイミングSTの取得(S102)の後、容器交換情報を提示する時期が到来していれば(S103のYES)、ガス容器18の交換情報を提示し(S107)、この処理を終了する。
【0024】
<一実施の形態の効果>
一実施の形態によれば、次の効果が得られる。
(1) ガスメータ4の計測部6に接続された処理部12により、連続または不連続に計測部6から取得した一定期間の検針データSを用いてガス使用量の使用形態、増減変化、傾向などのトレンドを表すトレンドデータTDを作成することができる。つまり、ガスメータ4側でガス使用量のトレンド情報が得られる。
(2) トレンドデータTDからガス使用量またはガス残量のトレンドを把握することができる。
【0025】
(3) トレンドデータTDから割り出されたトレンドに応じて次回以降の検針タイミングSTを生成することができる。
(4) トレンドデータTDからガス残量の推定精度が高められ、ガス切れやガス交換時点の予測精度が高められ、ガス容器の交換回数を削減してガス用容器交換の効率を高めることができる。
(5) ガス残量の少ないガス容器を交換でき、配送者の負担を低減できる。
(6)
図2に示すように、容器交換時期の提示を検針データSの格納や更新に先行させれば、容器交換時期の提示が早められるとともに、容器交換時期が到来している際の無用なデータ格納や更新を省略することができる。
【実施例1】
【0026】
<ガス容器交換システム2>
図3は実施例1に係るガス容器交換システム2を示している。
図3において、
図1と共通部分には同一符号を付してある。
このガス容器交換システム2にはガス容器交換装置30が備えられる。このガス容器交換装置30には管理サーバー32、通信部26−2、情報提示部16が備えられる。管理サーバー32は既述の処理部12の一例であり、コンピュータで構成される。この管理サーバー32には通信部26−3、プロセッサ34、クロック生成部36、入出力部(I/O)38、既述の記憶部14として記憶部14−1、14−2が備えられる。
【0027】
記憶部14−1はOS(Operating System)、ガス容器交換プログラムなどの記録に用いられる。この記憶部14−1にはROM(Read-Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory )、RAM(Random-Access Memory)などの記憶素子の他、ハードディスク装置を用いればよい。ROMやEEPROMにはOSや検針データSの処理プログラムなどのプログラムが格納される。RAMは検針データSの取得や記憶、トレンドデータTDの作成や記憶、トレンドの割り出し、検針データSやトレンドデータTDの送出または送信などの情報処理エリアとして用いられる。
記憶部14−2は、記憶部14−1に対して外部記憶手段を構成する。この記憶部14−2には既述したROM、EEPROMなど、半導体記憶素子の他、ハードディスク装置を用いればよい。この記憶部14−2には、検針データSやトレンドデータTDなどの変動データを格納するデータベースが構築され、これら変動データの格納およびデータ更新が可能である。この記憶部14−2にはたとえば、ガス容器交換データテーブル46−1(
図8)が格納される。
【0028】
通信部26−2は通信部26−1とのデータ通信に用いられ、検針データSやトレンドデータTDなどの検針データに関するデータの送受信に用いられる。これに対し、通信部26−3はプロセッサ34により制御され、管理サーバー32の出力データに関するデータの送受信に用いられる。通信部26−3はたとえば、情報提示部16の一例である情報通信端末44との無線による送受信に用いられる。
プロセッサ34は、記憶部14−1にあるOSを実行し、ガス容器交換プログラムなどを実行する。このガス容器交換プログラムの実行により、既述のデータ取得部8および通信部26−1の情報処理a、bおよびcの実行とともに、情報処理d、e、f、gおよびhの機能がコンピュータで実現される。
【0029】
クロック生成部36は一定周期のクロック信号を生成する。このクロック信号は、検針タイミングST、検針データSの取得、生成、送出、送信、トレンドデータTDの作成、ガス容器交換タイミングの提示などの基準信号に用いられる。I/O38はガス容器交換タイミングやガス容器交換日の出力などに用いられる。
情報提示部16には表示部40、プリンタ42、情報通信端末44が含まれる。表示部40にはたとえば、LCD(Liquid Crystal Display)が備えられ、ガス容器交換日などの情報提示が行われる。プリンタ42は、ガス容器交換日などの情報提示の一例である帳票出力に用いられる。情報通信端末44はタブレット端末やスマートフォンなどであり、通信部26−3からガス容器交換日などの情報提示を受信し、この情報提示を画面に表示することができる。
【0030】
<ガス容器交換の処理シーケンス>
このガス容器交換システム2では
図4に示すように、ガス容器交換の処理シーケンスによるデータ処理が実行される。
データ取得部8側では、ガス容器交換タイミングCH、または管理サーバー32からの検針タイミングSTの受信(S201)により、ガス容器18の交換タイミングCHまたは検針タイミングSTで、計測部6から検針データSを取得し(S202)、検針データSの管理サーバー32の送信(S203)などが実行される。
管理サーバー32では、データ取得部8からの検針データSの取得(S204)、トレンドデータTDの作成(S205)、検針タイミングSTの決定(S206)、検針タイミングSTのデータ取得部8への送信(S207)、トレンドによりガス容器交換日の割り出し(S208)、ガス容器18の交換情報の提示(S209)などが実行される。
【0031】
<ガス容器交換の処理手順1>
図5は、ガス容器交換から次回のガス容器交換に至る処理手順1を示している。
この処理手順では、片切れ(たとえば、先行使用のガス容器18−1のガス切れ)、両切れ(たとえば、先行使用のガス容器18−1のガス切れから予備系のガス容器18−2のガス切れ)の何れも想定し得る。
この処理手順において、tn:検針データSの取得日時、n:検針データSの取得回数、N:検針データSの取得回数のしきい値、T、T’:検針間隔、K:トレンドから予測するガス容器18−1、18−2の片切れないし両切れの日時、L:ガス容器18−1、18−2のガス残量のしきい値である。
この処理手順ではたとえば、ガス容器18を交換し(S301)、この直後、n←1とする(S302)。時点tnに第n検針データSnの取得を実行する(S303)。
【0032】
検針データSの取得回数nがしきい値N以上(n≧N)であるかを判断する(S304)。n≧Nでなければ(S304のNO)、t(n+1)←tn+T(たとえば、T=24時間)、n←(n+1)にインクリメントし(S305)、S303〜S304の処理を継続する。
n≧Nであれば(S304のYES)、検針データS1、S2・・・Snからトレンドを把握し、このトレンドからKを算出する(S306)。
t(n+1)←tn+T’、n←(n+1)に更新する(S307)。なお、更新したtnの日時は必ずKより前になる。検針間隔T’はたとえば、式(3) で示すように、
T’=(K−tn)/2 ・・・(3)
から求め設定してよい。
【0033】
時点tnに第n検針データSnを取得する(S308)。この検針データSnが表すガス残量について、ガス残量のしきい値Lと比較し、ガス残量のしきい値L以下(Sn≦L)であるかを判断する(S309)。
Sn≦Lでなければ(S309のNO)、S306〜S309の処理を継続し、検針データSの取得、トレンドの把握を繰り返す。
ガス残量がしきい値L以下(Sn≦L)に到達すれば(S309のYES)、ガス容器18の交換情報を提示し(S310)、この処理を終了する。
【0034】
なお、この処理手順において、検針タイミングSTは、検針間隔Tを指定して定期的に実施してもよいが、これに限定されず、具体的な検針日時を設定して検針日時毎の検針タイミングを設定してもよい。
S301〜S304の処理について、既にトレンドが存在する場合、S301〜S304を省略してもよい。
Kはガス切れタイミングの一例であるから、tn、Kの設定はガス容器交換装置30側で実施してもよく、中継局などのローカル局が自立的な処理で設定してもよい。
【0035】
<しきい値L>
しきい値Lはガス切れタイミングなどを決定するための基準であり、検針データSと比較するための比較基準値である。検針データSがガス使用量またはガス残量の何れでもよいから、しきい値Lは検針データSがガス使用量またはガス残量によって異なる値となる。実施例1ではこのしきい値Lに一例としてガス残量のしきい値を用いている。
このしきい値Lは既述した式(1) の関係から設定すればよい。この場合、有限の容積を持つガス容器18のガス使用量が前提となるので、ガス使用量が増加すれば、ガス容器18のガス残量は減少するから、ガス使用量とガス残量は逆の増減関係にある。つまり、ガス使用量またはガス残量でガス容器交換日が決定されるので、ガス使用量ではしきい値以上で、ガス交換日が決定されるのに対し、ガス残量ではしきい値以下でガス交換日が決定されることになる。
このしきい値Lは固定値または変動値のいずれでもよい。シミュレーションの結果、配送先のガス使用のトレンドを想定した複数の値からしきい値を選択してもよいし、ガス使用量やガス残量のトレンドに応じてしきい値Lの大きさを段階的に変更してもよい。
【0036】
<検針データの処理手順2>
図6は、データ処理に基づく処理手順2を示している。この処理手順2はガス容器交換のプログラムまたはその処理方法の一例であり、処理手順1を具体化した処理を示している。
この処理手順2では、ガス容器18の交換を判断する(S401)、ガス容器18の交換まで待機状態が維持される。ガス容器18の交換であれば(S401のYES)、データの初期化を行う(S402)。この例では、時点t1から時点t2までの一定期間T1−2に管理サーバー32がデータ取得部8から検針データSを取得する(S403)。
【0037】
容器交換情報を提示する時期かの判断として、検針データSがガス残量のしきい値L以下(Sn≦L)であるかを判断する(S404)。
Sn>Lであれば(S404のNO)、取得した検針データSを記憶部14に格納し、または検針データSの更新を行う(S405)。管理サーバー32は検針データSを用いてトレンドデータTDを作成する(S406)。
管理サーバー32はトレンドデータTDから検針タイミングSTおよびガス切れタイミングを決定する(S407)。検針タイミングSTおよびガス切れタイミングを生成し、記憶部14−2にある既存のデータを更新し(S408)、S404に戻る。
そして、検針データSnがしきい値L以下(Sn≦L)であるかを判断し(S404)、Sn≦Lであれば(S404のYES)、予測したガス容器18の交換日を提示し(S409)、この処理を終了する。
【0038】
<検針データの収集およびその処理>
図7は、ガス残量の推移、検針データSの取得、トレンドデータTD、検針間隔Tおよび検針タイミングSTの送出のデータ処理を示している。このデータ処理は、
図6に示す処理手順に準拠している。
図7において、Aはガス残量Gを示すガス残量線LC、BはトレンドデータTD、Cは検針間隔T、Dは検針タイミングSTを表す検針タイミング信号St1〜St7を示している。ガス残量線LCは一例として直線的な漸減傾向を示す直線で示しているが、漸減傾向により曲線となる。
管理サーバー32では
図7のAに示すように、時点t1から時点t8までの間、計測部6から複数の検針データS1、S2、S3・・・S7が取り込まれる。時点t1はガス容器18の交換タイミングでの検針タイミングであり、つまり、ガス容器18の第1検針日に相当する。ガス残量Gは、時点t1の最大ガス残量Gmaxからガス使用に応じて漸減し、ガス容器18の交換時点である時点t7で最小ガス残量Gmin、時点t8がガス切れ時点であり、ガス残量G0=0である。
【0039】
この検針データSの取得により、管理サーバー32には
図7のBに示すように、取得した検針データSからガス使用量またはガス残量のトレンドを表すトレンドデータとして、時間経過に応じ複数のトレンドデータTD1、TD2、TD3・・・TD7が作成されている。トレンドデータTD1は時点t1〜t2の一定期間の検針データSから作成され、トレンドデータTD2は時点t2〜t3の一定期間の検針データSから作成され、トレンドデータTD3は時点t3〜t4の一定期間の検針データSから作成され、同様に、トレンドデータTD4、TD5、TD6、TD7が作成される。
管理サーバー32では
図7のCに示すように、データ収集期間である検針間隔T1−2、T2−3・・・T6−7が生成される。T1−2は第1検針日である時点t1からの一定期間での初期の検針間隔(t1≦T1−2<t2)、T2−3は時点t2からの検針間隔(t2≦T2−3<t3)、T3−4は時点t3からの検針間隔(t3≦T3−4<t4)、T4−5は時点t4からの検針間隔(t4≦T4−5<t5)、T5−6は時点t5からの検針間隔(t5≦T5−6<t6)、T6−7は時点t6からの検針間隔(t6≦T6−7<t7)である。
【0040】
そして、管理サーバー32には
図7のDに示すように、検針データSを取得するための検針タイミング信号St1、St2、St3・・・St7が生成される。つまり、検針タイミング信号St1は第1検針日の検針タイミングに相当する。トレンドデータTDはたとえば複数の検針タイミングで得られる検針データSが必要である。一例として、
図7のDでは、検針タイミングt1とt2の検針データS1、S2からトレンドデータTD2が作成され、このトレンドデータTD2を用いて検針タイミングt3が生成される。同様に、検針タイミングt2とt3の検針データS2、S3からトレンドデータTD3が生成され、このトレンドデータTDを用いて検針タイミングt4が生成される。このような処理が繰り返されてトレンドデータTD7の作成に至る。検針タイミングt2については、適当な初期値または過去のトレンドを用いて設定すればよいし、トレンドデータTD1は初期値、または過去の検針データから設定されている。
この例では、直近の検針データSから得た検針データSから得られるトレンドを用いているが、過去のトレンドに直近のトレンドを加味して検針タイミングtを割り出してもよい。
図7のDの各タイミング信号Stについて、一例としてHは高レベル区間、Lは低レベル区間を示すが、これらは逆の関係であってもよい。
【0041】
<ガス容器交換データテーブル46−1>
図8は、
図7に示すデータ処理により作成された第1のガス容器交換データテーブル46−1の一例を示している。このガス容器交換データテーブル46−1は検針データベースの一例である。このガス容器交換データテーブル46−1には時点t、検針データS、トレンドデータTD、検針タイミングSTおよび交換タイミングCHが格納されている。検針タイミングSTには検針間隔Tおよびタイミング信号St1、St2・・・St7が含まれる。
検針間隔T2−3、T3−4、T4−5、T5−6、T6−7はトレンドデータTDから得たトレンドの把握により検針タイミングST毎に修正、更新される。この結果、ガス残量の推移に応じたトレンドを以て割り出された検針間隔と検針タイミング信号Stにより、ガス容器18の交換日を表す交換タイミングCHが最適化される。
【0042】
<実施例1の効果>
実施例1によれば、次の効果が得られる。
(1) 従前のガス容器交換では過去のデータに基づいて設定された安全率や安全日といった指標を用いていたのに対し、実施例1では、ガス容器の交換タイミングや検針タイミングからの所定期間で取得した検針データからガス使用のトレンドを把握し、次の交換タイミングや検針タイミングを決定し、またはガス容器交換日を決定し、検針タイミングの検針間隔をトレンドによって増減させるので、ガス切れの回避とともにガス残量の少ないガス容器の交換タイミングの精度を高めることができる。
(2) ガス容器の交換頻度、配送頻度を低減でき、ガス切れを回避しつつガス容器の交換効率を高めることができる。
【0043】
(3) 検針データからトレンドデータを作成してガス使用量やガス容器18のガス残量のトレンドを把握するので、検針データには検針値の他、アラーム情報、ロードサーベイやガスメータのパルス値など、検針値と同様にガス使用量やガス残量を示すデータ、アラーム情報、ガス使用量やガス残量を表す容器内圧力を表すデータのいずれかまたはこれらの2以上を組みあわせたデータを利用でき、検針データのトレンドを把握するための自由度を高めることができる。
(4) 検針タイミング、検針間隔は検針データから把握したトレンド、つまりトレンドデータによって動的に変動させるので、ガス使用量、ガス残量のリアルタイムでの検針データを取得でき、たとえば、一方のガス容器18−1のガス切れ(片切れ)の直前期間、または双方のガス容器18−1、18−2のガス切れ(全切れ)の直前期間では検針データSの検針間隔Tを狭めて検針密度を高くでき、この結果、ガス残量の計測精度が高められ、ガス切れ直前のタイミングまでガス使用の後、タイムリーにガス容器交換が可能であるとともに、ガス容器交換時のガス残量を少なくすることができる。
【0044】
(5) 実施例1のガス交換システム2では、ガスメータ4側に通信機能を備えて、ガス容器交換装置30との無線による検針タイミングSTの設定とともに、検針データSの取得を行い、効率的なガス容器交換を実現でき、ガス切れなどの不測の事態を回避できる。
(6) 交換対象となるガス容器18のガス残量を抑制できるので、ガス容器の交換効率を高め、ガス容器の交換コストを低減できる。
(7) ガス容器の交換情報は表示部40の画面表示やプリンタ42による帳票印刷だけでなく、情報通信端末44で行うことができ、配送途上におけるトレンド変化など、緊急時の対応もタイムリーに行うことができる。
(8) ガス使用の季節的な増減や温度変化による変動要素を吸収し、検針タイミング、検針間隔、ガス切れタイミング、ガス容器交換日の推定精度を高めることができる。
(9) ユーザーのガス切れを防止できるとともに配送頻度を少なくでき、予備系のガス容器の使用状況も正確に把握できるので、予備系のガス容器18−2の設置数を削減でき、予備系のガス容器18−2側のガス使用もガス切れ直前まで使用できる上、ガス容器交換の信頼性を高めることができる。
(10)ガス切れタイミングを判断する上で、検針データSとしきい値Lとを対比して判断するので、ガス切れを適正に判断することができる。この場合、検針間隔Tや検針タイミングSTをトレンドによって調整するので、しきい値Lを固定値としてもガス切れに陥る不測の事態を回避できる。
なお、しきい値Lは過去のガス容器交換時のガス残量やガス使用量に応じた値に加減してもよい。
【実施例2】
【0045】
実施例2は、実施例1と同様のガス容器交換システム2(
図3)において、ガス容器18−1のガス切れ(片切れ)からガス容器18−2のガス切れ、つまりガス容器18の両切れまでを単位としてガス容器18の交換を行った場合を示している。
実施例3においても、実施例1と同様のガス容器交換システム2を用いることができるので、ガス容器交換システム2の説明は割愛する。
【0046】
<ガス残量の推移と検針データの処理>
図9は、片切れから両切れまでのガス残量の推移と検針データ処理を示している。
図9のAはガス残量線LC1、LC2を示し、残量線LC1はガス容器18−1のガス残量の推移、残量線LC2はガス容器18−1のガス切れ後、ガス供給がガス容器18−2に切り換えられた場合のガス容器18−2側のガス残量の推移である。S11、S12・・・S18はガス容器18−1の検針データSであり、S21、S22・・・S27はガス容器18−2の検針データSである。
図9のBはトレンドデータTDを示し、TD11、TD12・・・TD18はガス容器18−1の検針データSから求められたトレンドを表すトレンドデータであり、TD21、TD22・・・TD27はガス容器18−2の検針データSから求められたトレンドを表すトレンドデータである。
【0047】
図9のCは検針間隔Tを示し、時点t11〜t18/t21〜t27に対応し、検針間隔T11−12、T12−13・・・T17−18/21、T21−22、T22−23・・・T26−27が設定されている。
図9のDは検針タイミングSTを表す検針タイミング信号St11、St12・・・St18/21、St22・・・St27を示している。
この実施例3におけるデータは実施例1と同様に、トレンドデータTDの取得後、トレンドの把握に基づいて更新される。
【0048】
<ガス容器交換データテーブル46−2>
図10は、
図9に示すデータ処理により作成された第2のガス容器交換データテーブル46−2の一例を示している。このガス容器交換データテーブル46−2は検針データベースの一例である。このガス容器交換データテーブル46−2には時点t、検針データS、トレンドデータTD、検針タイミングSTおよび交換タイミングCHが格納されている。検針タイミングSTには検針間隔Tおよびタイミング信号St11、St12・・・St17、St18/21、St22、St23・・・St27が含まれる。
検針間隔T11−12、T12−13・・・T17−18/21はトレンドデータTD11、TD12・・・TD18/21から得たトレンドの把握により検針タイミングST毎に修正、更新される。同様に、検針間隔T18/21−22、T22−23・・・T26−27はトレンドデータTD18/21、TD22・・・TD27から得たトレンドの把握により検針タイミングST毎に修正および更新される。この結果、ガス残量の推移に応じたトレンドを以て割り出された検針間隔Tと検針タイミング信号Stにより、ガス容器18−1、18−2の交換日を表す交換タイミングCHが最適化される。
【0049】
<実施例2の効果>
この実施例2によれば、次の効果が得られる。
(1) 実施例2においても、実施例1と同様の効果が得られる。
(2) 実施例2ではガス容器18−1のガス切れ後、ガス容器18−2のガス切れまでガス容器18の交換日が延長されるので、容器交換の時間的余裕が得られるが、この実施例3においても、検針データSのトレンドの把握でガス残量の少ない段階までガス使用が可能となり、効率的なガス容器交換が行える。
(3) 一度の交換で少なくとも2本のガス容器18の交換単位となるので、ガス容器交換の効率化が図られる。
【0050】
(4) この実施例2によれば、ガス容器18−1のガス切れを見過ごすのではなく、このガス切れをひとつのトレンドに用いて、ガス容器18−2の使用開始からガス切れに至る期間をガス容器18の交換期間として管理することができ、ガス容器交換の効率化を図ることができる。その場合、ガス容器18−2のガス残量がたとえば、二分の一以上であれば、ガス容器18−1のみを交換対象とし、ガス容器18−2のガス切れからガス容器18−1側を予備系とし、ガス容器18−2のガス切れ後、ガス容器18−1の使用開始からガス切れに至る期間をガス容器18の交換期間として管理することができるなど、交換期間に余裕を持ち、かつガス切れを回避できる効率的な交換システムを構築できる。
【実施例3】
【0051】
図11は実施例3に係るガス容器交換システムを示している。
図11において、
図3と同一部分には同一符号を付してある。実施例1では通信部26−1、26−2の直接通信であるのに対し、実施例3では
図11に示すように、中継局48を備えてデータ通信を行っている。中継局48には記憶部14−3を備え、この記憶部14−3に検針データSを格納し、この検針データSをガス容器交換装置30からの指示で処理部12が取得する構成としてもよい。
図11において、ガス容器交換装置30の構成は実施例1(
図3)と同様であるので、その説明を割愛する。
【0052】
<実施例3の効果>
この実施例3によれば、次の効果が得られる。
(1) 中継局48を介して検針データSなどをデータ取得部8からガス容器交換装置30に取り込むことができ、データ交換の信頼性を高めることができる。
(2) 中継局48に検針データSなどを格納する記憶部14−3を備えれば、データ取得部8からの検針データSなどを記憶部14−3に記憶して保存するデータロガーを構成することができる。
【実施例4】
【0053】
<検針データの処理手順>
図12は、実施例4に係るガス容器交換システム2の処理手順を示している。実施例1では次回の検針タイミングSTを決定する前に検針データSとしきい値Lの比較処理を行っている。これに対し、実施例4では、次回の検針タイミングSTの決定を先行させる処理を実行する。
この処理手順では、
図12に示すように、ガス容器18の交換タイミングCHまたは検針タイミングSTかを判断する(S501)。交換タイミングCHまたは検針タイミングSTでなければ(S501のNO)、これらの何れかが到来するまで待機状態となる。
交換タイミングCHまたは検針タイミングSTであれば(S501のYES)、データ取得部8から検針データSを取得し(S502)、検針データSを記憶部14に格納しまたは記憶部14にある検針データSを更新する(S503)。
【0054】
処理部12は、取得した検針データSによりトレンドデータTDを作成する(S504)。このトレンドデータTDがユーザーによるガス容器18のガス使用の傾向を示し、具体的にはガス容器18の交換時点から次の交換時点までのガス流量の推移を表す。
処理部12はトレンドデータTDから次回以降の検針タイミングSTを決定し(S505)、容器交換情報を提示する時期かを判断する(S506)。
容器交換情報を提示する時期でなければ、現時点の検針タイミングSTを以てS501に戻り、S501〜S506の処理を繰り返し、S506に至る。
容器交換情報を提示する時期であれば(S506のYES)、ガス容器18の交換情報を提示し(S507)、この処理を終了する。
【0055】
<実施例4の効果>
この実施例4の処理手順によっても、実施例1と同様の効果が得られる。
【実施例5】
【0056】
図13は、実施例5に係るガス容器交換システム2の処理手順を示している。
図2に示す処理手順では、検針データSの取得(S102)の直後に、容器交換情報を提示する時期か(S103)を判断しているが、これに限定されない。
実施例5の処理手順では
図13に示すように、ガス容器18の交換タイミングCHかまたは検針タイミングSTの判断(S601)、検針データSの取得(S602)の直後に、検針データSの記憶部14への格納、または記憶部14にある検針データSの更新(S603)を実行し、この後、容器交換情報を提示する時期の判断(S604)、容器交換情報の提示時期でなければ(S604のNO)、トレンドデータTDの作成(S605)、次回の検針タイミングSTの決定(S606)の処理を実行する。容器交換情報の提示時期であれば(S604のYES)、ガス容器の交換情報の提示(S607)を実行する。このように、容器交換情報の提示時期の判断前に検針データSの記憶部14への格納または検針データSの更新を行う処理としてもよい。
【0057】
<実施例5の効果>
このような処理手順とすれば、容器交換時期の判断前に検針データSの格納や更新を先行させるので、容器交換時期の到来に関係なくデータの格納や更新を行うことができ、データの保存性が高められる。
【0058】
〔他の実施の形態〕
(1) 実施例1〜実施例5において、計測部6から検針データSを連続または不連続にデータ取得部8で取得し、この検針データSをガス容器交換装置30に検針タイミングや検針間隔で取り込む構成としてもよい。
(2) ガス容器交換日の推定判断について、ガス残量から予測される検針タイミングと、ガス容器18のガス残量によるガス切れタイミングとを算出し、これらふたつのタイミングの到来時期の時間的先後を判断し、ガス切れタイミングが早い場合にガス容器交換日を推定する処理を用いてもよい。
(3) ガス容器交換日の決定について、ガス容器の交換タイミングから交換までの所要時間を考慮してガス容器交換日を決定してもよい。ガス容器交換の所要時間を加えることにより、交換に要する時間でガス切れを生じるといった不測の事態を回避でき、配送者の配送時間に余裕を持たせ、交換業務の信頼性を高めることができる。
【0059】
以上説明したように、本発明の最も好ましい実施の形態等について説明した。本発明は、上記記載に限定されるものではない。特許請求の範囲に記載され、または発明を実施するための形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能である。斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
単一または複数のガス容器(18)のうち、少なくともひとつのガス容器(18−1)の交換タイミングまたは検針タイミングから所定期間に得られるガス使用量またはガス残量を表す検針データを取得するデータ取得部(8)と、前記検針データから前記ガス使用量または前記ガス残量のトレンドを表すトレンドデータを作成し、該トレンドデータから次回以降の検針タイミングを決定し、該検針タイミングまたは前記交換タイミングで取得したガス使用量またはガス残量に応じてガス容器交換日を決定する処理部(12)とを備える。