(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(C)成分の含有量が、(A)成分及び(B)成分の合計100モル%に対して、0.010〜50.000モル%である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の防汚性組成物。
防汚性組成物の全量(固形分100質量%)に対する、(A)成分、(B)成分、及び(C)成分の合計含有量が80質量%以上である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の防汚性組成物。
(D)成分が、塩酸、リン酸、酢酸、ギ酸、硫酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、p-トルエンスルホン酸、及びトリフルオロ酢酸からなる群より選ばれる1種以上を含む、請求項10に記載の防汚性組成物。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の撥水性被覆物品は、フッ素含有化合物から形成されてなる撥水膜を有するため、環境保護の観点からは好ましくない。
また、防汚性シートは、一般的に屋外等で使用されることが多く、長期間、屋外で暴露されることによる耐候性の低下、例えば、防汚層にクラックが発生し、当該クラックの進行により防汚層表面の外観が悪化するといった問題や、長期間の屋外暴露によって防汚層の防汚性が低下するといった問題がある。更に、撥水性や防汚性を付与する防汚層には、層の面状態や硬化性が良好であることも要求される。
【0005】
本発明は、面状態及び硬化性が良好で、かつ、優れた耐候性を有する防汚層の形成材料となり得る防汚性組成物、並びに当該防汚性組成物から形成されてなる防汚層を有する防汚性シート及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、特定構造を有する4官能シラン系化合物、特定構造を有する3官能シラン系化合物、並びに特定の種類の金属触媒を含む防汚性組成物が、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記[1]〜[18]を提供する。
[1]下記式(a)
式(a):Si(OR
1)
p(X
1)
4−p
〔式(a)中、R
1は、炭素数1〜6のアルキル基を表し、X
1は、ハロゲン原子を表す。R
1及びX
1が複数存在する場合、複数のR
1及びX
1は、互いに同一でも、異なっていてもよい。pは0〜4の整数を表す。〕
で表される4官能シラン系化合物(A)、
下記式(b)
式(b):R
2Si(OR
3)
q(X
2)
3−q
〔式(b)中、R
2は、炭素数1〜3のアルキル基を表す。R
3は、炭素数1〜6のアルキル基を表し、X
2は、ハロゲン原子を表す。R
3及びX
2が複数存在する場合、複数のR
3及びX
2は、互いに同一でも、異なっていてもよい。qは0〜3の整数を表す。〕
で表される3官能シラン系化合物(B)、並びに、
チタン、アルミニウム、及び亜鉛から選ばれる1種以上の金属原子を含有し、触媒作用発現のために光照射を必要としない金属触媒(C)を含む、防汚性組成物。
[2](A)成分と(B)成分との配合比(モル比)〔(A)/(B)〕が、0.01以上10.00以下である、上記[1]に記載の防汚性組成物。
[3]式(b)中、R
3がメチル基である、上記[1]又は[2]に記載の防汚性組成物。
[4](A)成分と(B)成分との配合比(モル比)〔(A)/(B)〕が、0.05以上5.00以下である、上記[3]に記載の防汚性組成物。
[5]式(b)中、R
3がエチル基である、上記[1]又は[2]に記載の防汚性組成物。
[6](A)成分と(B)成分との配合比(モル比)〔(A)/(B)〕が、0.10以上7.00以下である、上記[5]に記載の防汚性組成物。
[7](C)成分の含有量が、(A)成分及び(B)成分の合計100モル%に対して、0.010〜50.000モル%である、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の防汚性組成物。
[8](C)成分が、チタンアルコキシド、チタンキレート、チタンアシレート、アルミニウムのアセトアセテート錯体、アルミニウムのアセチルアセトネート錯体、亜鉛−クロム酸化物、亜鉛−アルミニウム酸化物、亜鉛−アルミニウム−クロム酸化物、亜鉛−クロム−マンガン酸化物、亜鉛−鉄酸化物、及び亜鉛−鉄−アルミニウム酸化物から選ばれる1種以上を含む、上記[1]〜[7]のいずれかに記載の防汚性組成物。
[9]防汚性組成物の全量100質量%に対する、(A)成分、(B)成分、及び(C)成分の合計含有量が50質量%以上である、上記[1]〜[8]のいずれかに記載の防汚性組成物。
[10]更に酸触媒(D)を含む、上記[1]〜[9]のいずれかに記載の防汚性組成物。
[11](D)成分が、塩酸、リン酸、酢酸、ギ酸、硫酸、メタンスルホン酸、臭酸、p-トルエンスルホン酸、及びトリフルオロ酢酸からなる群より選ばれる1種以上を含む、上記[10]に記載の防汚性組成物。
[12]上記[1]〜[11]のいずれかに記載の防汚性組成物から形成されてなる防汚層を有する、防汚性シート。
[13]基材上に前記防汚層を有する、上記[12]に記載の防汚性シート。
[14]前記防汚層が、2枚の剥離材で挟持された構成を有する、上記[12]に記載の防汚性シート。
[15]更に粘着剤層を有する、上記[12]〜[14]のいずれかに記載の防汚性シート。
[16]前記防汚層の厚さが40μm以下である、上記[12]〜[15]のいずれかに記載の防汚性シート。
[17]下記工程(1)及び(2)を有する、防汚性シートの製造方法。
工程(1):下記式(a)
式(a):Si(OR
1)
p(X
1)
4−p
〔式(a)中、R
1は、炭素数1〜6のアルキル基を表し、X
1は、ハロゲン原子を表す。R
1及びX
1が複数存在する場合、複数のR
1及びX
1は、互いに同一でも、異なっていてもよい。pは0〜4の整数を表す。〕
で表される4官能シラン系化合物(A)、
下記式(b)
式(b):R
2Si(OR
3)
q(X
2)
3−q
〔式(b)中、R
2は、炭素数1〜3のアルキル基を表す。R
3は、炭素数1〜6のアルキル基を表し、X
2は、ハロゲン原子を表す。R
3及びX
2が複数存在する場合、複数のR
3及びX
2は、互いに同一でも、異なっていてもよい。qは0〜3の整数を表す。〕
で表される3官能シラン系化合物(B)、並びに、
チタン、アルミニウム、及び亜鉛から選ばれる1種以上の金属原子を含有し、触媒作用発現のために光照射を必要としない金属触媒(C)を含む、防汚性組成物を調製する工程
工程(2):当該防汚性組成物を基材又は剥離材上に塗布し、乾燥して防汚層を形成する工程
[18]上記[17]に記載の製造方法により得られる、防汚性シート。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、面状態及び硬化性が良好で、かつ、優れた耐候性を有する防汚層の形成材料となり得る防汚性組成物、並びに当該防汚性組成物から形成されてなる防汚層を有する防汚性シート及びその製造方法を提供し得る。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[防汚性組成物]
本発明の防汚性組成物は、式(a)で表される4官能シラン系化合物(A)、式(b)で表される3官能シラン系化合物(B)、並びに、チタン、アルミニウム、及び亜鉛から選ばれる1種以上の金属原子を含有し、触媒作用発現のために光照射を必要としない金属触媒(C)を含む。
なお、本発明の防汚性組成物は、更に酸触媒(D)を含むことが好ましく、本発明の効果を損なわない範囲において、(A)〜(D)成分以外のその他の添加剤を含有してもよい。
【0010】
本発明の防汚性組成物より形成されてなる防汚層は、面状態及び硬化性が良好であり、かつ、耐候性に優れたものとなる。
防汚性組成物中のシラン系化合物同士の縮合反応が進行し、重合体となることで防汚層が形成されるが、本発明者らは、シラン系化合物同士の反応により得られる重合体の構造について、形成直後の防汚層中に残存している(A)成分及び(B)成分に由来の単位中の未反応のアルコキシ基(式(a)中のOR
1、及び式(b)中のOR
3)並びに前記アルコキシ基が加水分解した未縮合のシラノール基の存在(以下、両者を合わせて単に「未縮合点」ともいう。)が、長期間の屋外暴露によって徐々に反応して硬化収縮を起こすことによって、防汚層に歪が発生してクラックの発生及び進行を促進するものと推測した。
【0011】
当該推測に基づき、本発明者らは、形成直後の防汚層中に残存している未縮合点の存在を極力少なくすることにより、耐候性に優れた防汚層が得られることを見出した。
より具体的には、当該シラン系化合物同士の縮合反応が開始するためには、反応開始時に(A)成分及び(B)成分中のアルコキシ基(式(a)中のOR
1、及び式(b)中のOR
3)が水と反応して脱離し、水酸基に置換される必要がある。そこで、(A)成分及び(B)成分中のアルコキシ基が有するアルキル基(式(a)中のR
1、及び式(b)中のR
3)を特定の炭素数を有するアルキル基とすることで、当該反応が促進されて未縮合点が少ない架橋密度の高い防汚層が形成されると考えた。そして、当該アルキル基の炭素数を制御することで長期間の屋外暴露後においてもクラックの発生及び進行を抑制(以下、単に「クラック抑制効果」ともいう。)し、また、暴露前後における撥水性の低下が少ない(以下、単に「撥水性維持効果」ともいう。)防汚層を得られることを見出した。
【0012】
また、本発明者らは、更に(B)成分に由来の単位中のアルキル基(式(b)中のR
2)の炭素数を特定の値の範囲内に制御することで、より硬化性に優れ、優れたクラック抑制効果及び撥水性維持効果を有する防汚層が得られることを見出した。
以下、本発明の防汚性組成物に含まれる各成分について説明する。
【0013】
<(A)成分:式(a)で表される4官能シラン系化合物>
本発明の防汚性組成物は、下記式(a)で表される4官能シラン系化合物(A)を含む。
式(a):Si(OR
1)
p(X
1)
4−p
〔式(a)中、R
1は、炭素数1〜6のアルキル基を表し、X
1は、ハロゲン原子を表す。R
1及びX
1が複数存在する場合、複数のR
1及びX
1は、互いに同一でも、異なっていてもよい。pは0〜4の整数を表す。〕
なお、(A)成分は、1種のみからなる化合物から構成されていてもよく、上記式(a)で表される2種以上の化合物から構成されていてもよい。
【0014】
R
1として選択し得るアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、ネオペンチル基、メチルペンチル基等が挙げられる。これらの中でも、より良好な硬化性を得る観点から、メチル基、エチル基、n−プロピル基が好ましく、メチル基及びエチル基がより好ましい。
R
1として選択し得るアルキル基は、直鎖及び分岐鎖のいずれであってもよいが、直鎖であることが好ましい。
【0015】
X
1として選択し得るハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子が好ましく、塩素原子がより好ましい。
なお、上記の式(a)で表されるシラン系化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、(A)成分としては、前記式(a)中のpが4であるシラン系化合物を含むことが好ましい。
【0016】
<(B)成分:式(b)で表される3官能シラン系化合物>
本発明の防汚性組成物は、前記式(a)で表される4官能シラン系化合物(A)と共に、下記式(b)で表される3官能シラン系化合物(B)を含む。
式(b):R
2Si(OR
3)
q(X
2)
3−q
〔式(b)中、R
2は、炭素数1〜3のアルキル基を表す。R
3は、炭素数1〜6のアルキル基を表し、X
2は、ハロゲン原子を表す。R
3及びX
2が複数存在する場合、複数のR
3及びX
2は、互いに同一でも、異なっていてもよい。qは0〜3の整数を表す。〕
なお、(B)成分は、1種のみからなる化合物から構成されていてもよく、上記式(b)で表される2種以上の化合物から構成されていてもよい。
【0017】
R
2として選択し得るアルキル基の炭素数は1〜3である。
当該アルキル基の炭素数が4を超えると、得られる防汚性組成物から形成される防汚層の硬化性、撥水性維持効果、及びクラック抑制効果が劣る。また、当該アルキル基の炭素数が増加するほど、得られる防汚性組成物がゲル化し易く、当該防汚性組成物から形成される防汚層の面状態も悪化する傾向にある。
R
2として選択し得るアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基が挙げられ、防汚層の硬化性の観点からメチル基、エチル基が好ましく、また、より良好なクラック抑制効果を得る観点からメチル基がより好ましい。
【0018】
R
3として選択し得るアルキル基、及びX
2として選択し得るハロゲン原子としては、上述の式(a)中のR
1として選択し得るアルキル基、X
1として選択し得るハロゲン原子と同じものが挙げられる。
なお、上記の式(b)で表される3官能シラン系化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、(B)成分としては、前記式(b)中のqが3である3官能シラン系化合物を含むことが好ましい。
【0019】
また、本発明の防汚性組成物は、4官能シラン系化合物(A)と3官能シラン系化合物(B)との配合比(モル比)〔(A)/(B)〕が、(A)成分と(B)成分に由来する未縮合点の総量を減少でき、より優れたクラック抑制効果を発現させる観点から、好ましくは0.01以上10.00以下である。当該4官能シラン系化合物(A)と3官能シラン系化合物(B)との配合比(モル比)〔(A)/(B)〕の値が小さいと、4官能である(A)成分の配合量が少なくなるので、反応後に未縮合点となる可能性がある反応点の数を抑制でき、得られる防汚性層中に残存する未縮合点の数を抑制することができると考えられる。一方で、当該配合比(モル比)〔(A)/(B)〕の値を小さくし過ぎると、増加していた(A)成分と(B)成分との反応率が低下し始めることも本発明者らは見出している。このような観点から、当該配合比(モル比)〔(A)/(B)〕は、より好ましくは0.05以上8.00以下、更に好ましくは0.10以上7.00以下である。
【0020】
また、前記式(b)中のR
3がメチル基である場合、より優れたクラック抑制効果が得られる観点から、当該配合比(モル比)〔(A)/(B)〕は、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.10以上、更に好ましくは0.15以上、より更に好ましくは0.20以上であり、そして、同様の観点から、好ましくは5.00以下、より好ましくは4.00以下、更に好ましくは1.50以下であり、より更に好ましくは1.10以下、より更に好ましくは0.90以下、より更に好ましくは0.75以下である。
【0021】
また、前記式(b)中のR
3がエチル基である場合、防汚層の硬化性及びより優れたクラック抑制効果が得られる観点から、当該配合比(モル比)〔(A)/(B)〕は、好ましくは0.10以上、より好ましくは0.20以上、更に好ましくは0.45以上、より更に好ましくは0.75以上、より更に好ましくは0.90以上であり、そして、より優れたクラック抑制効果が得られる観点から、好ましくは7.00以下、より好ましくは5.00以下、更に好ましくは3.00以下であり、より更に好ましくは2.50以下である。
【0022】
<(C)成分:金属触媒>
本発明の防汚性組成物は、チタン、アルミニウム、及び亜鉛から選ばれる1種以上の金属原子を含有し、触媒作用発現のために光照射を必要としない金属触媒(C)を含む。
なお、本明細書において、当該「触媒作用発現のために光照射を必要としない金属触媒」とは、(A)成分と(B)成分との縮合反応に対する触媒作用を発現するために光照射を必要としない金属触媒のことを指す。例えば、酸化チタン(TiO
2)や酸化亜鉛(ZnO)等の、光照射により電子と正孔を生成することで酸化反応及び還元反応を引き起こすといった、触媒作用発現のために光照射が必要とされる、一般に光触媒と呼ばれるものは除かれる。
なお、防汚層が光触媒を含有する場合には、例えば、光触媒自体が固形物であるため表面粗さが大きくなることによる撥水性の低下や、光触媒の親水性付与効果による撥水性の低下、並びにシラン系化合物の重合体の加水分解を促進することによる耐久性の低下といった問題が生じる虞がある。
これらの特定の種類の金属触媒(C)を含むことで、(A)成分と(B)成分との縮合反応を効果的に促進させ、防汚性組成物から形成される防汚層の硬化性を向上させることができる。
また、(A)成分及び(B)成分と共に(C)成分を含む防汚性組成物とすることで、比較的低温下(130℃以下)でも硬化反応を進行させることができる。そのため、塩化ビニル等の耐熱性が低い基材上に当該防汚性組成物から形成した防汚層を形成する場合においても、基材の熱収縮を抑え得るほどの低温下でも、防汚層を形成することができる。
【0023】
上記チタン系触媒としては、チタン原子を含有する光触媒以外の化合物であればよく、例えば、チタンアルコキシド、チタンキレート、チタンアシレート等が挙げられ、チタンの水酸化物、酢酸塩、炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、及び塩化物等であってもよい。
チタンアルコキシドとしては、例えば、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラノルマルブトキシド、チタンブトキシドダイマー、チタンテトラ−2−エチルヘキソキシド等が挙げられる。
チタンキレートとしては、例えば、チタンジイソプロポキシビス(アセチルアセトネート)、チタンテトラアセチルアセトネート等のチタンアセチルアセトネート;チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)等のチタンエチルアセトアセテート;チタンジイソプロポキシビス(トリエタノールアミネート)等のチタントリエタノールアミネート;チタンテトラオクチレングリコネート、チタンジオクチロキシビス(オクチレングリコネート)、チタンジ−2−エチルヘキソキシビス(2−エチル−3−ヒドロキシヘキソキシド)等のチタンオクチレングリコネート;チタンラクテート、チタンラクテートアンモニウム塩等が挙げられる。
チタンアシレートとしては、例えば、ポリヒドロキシチタンステアレート等が挙げられる。
【0024】
上記アルミニウム系触媒としては、アルミニウム原子を含有する光触媒以外の化合物であればよく、例えば、アルミニウムのアセトアセテート錯体、アルミニウムのアセチルアセトネート錯体等が挙げられる。
アルミニウムのアセトアセテート錯体としては、例えば、ジイソプロポキシアルミニウムモノオレイルアセトアセテート、モノイソプロポキシアルミニウムビスオレイルアセトアセテート、モノイソプロポキシアルミニウムモノオレエートモノエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムモノラウリルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムモノステアリルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムモノイソステアリルアセトアセテート、モノイソプロポキシアルミニウムモノ−N−ラウロイル−β−アラネートモノラウリルアセトアセテート、アルミニウムトリスアセチルアセトネート等が挙げられる。
アルミニウムのアセチルアセトネート錯体としては、例えば、モノアセチルアセトネートアルミニウムビス(イソブチルアセトアセテート)キレート、モノアセチルアセトネートアルミニウムビス(2−エチルヘキシルアセトアセテート)キレート、モノアセチルアセトネートアルミニウムビス(ドデシルアセトアセテート)キレート、モノアセチルアセトネートアルミニウムビス(オレイルアセトアセテート)キレート等が挙げられる。
【0025】
亜鉛系触媒としては、亜鉛原子を含有する光触媒以外の化合物であればよく、例えば、亜鉛−クロム酸化物、亜鉛−アルミニウム酸化物、亜鉛−アルミニウム−クロム酸化物、亜鉛−クロム−マンガン酸化物、亜鉛−鉄酸化物、亜鉛−鉄−アルミニウム酸化物等が挙げられる。
【0026】
なお、金属触媒(C)としては、シラン系化合物同士の縮合反応を効果的に促進させ、防汚性組成物から形成される防汚層の硬化性を向上させる観点、及び、比較的低温下(130℃以下)でも硬化反応を進行させ得る防汚性組成物とする観点から、少なくともチタン系触媒を含有していることが好ましい。
チタン系触媒としては、チタンキレートが好ましく、チタンエチルアセトアセテート、チタンアセチルアセトネート又はチタンオクチレングリコネートがより好ましく、チタンエチルアセトアセテートが更に好ましく、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)がより更に好ましい。
防汚性組成物中の(C)成分の含有量は、防汚性組成物から形成される防汚層の硬化性を向上させる観点、及び、比較的低温下(130℃以下)でも硬化反応を進行させ得る防汚性組成物とする観点から、(A)成分及び(B)成分の合計100モル%に対して、好ましくは0.010〜50.000モル%、より好ましくは0.100〜30.000モル%、更に好ましくは0.150〜20.000モル%、より更に好ましくは0.300〜10.000モル%、より更に好ましくは0.500〜6.000モル%、より更に好ましくは1.000〜3.000モル%である。
【0027】
<(D)成分:酸触媒>
本発明の防汚性組成物は、防汚性組成物から形成される防汚層の硬化性をより向上させる観点から、更に酸触媒(D)を含むことが好ましい。
防汚性組成物中に酸触媒(D)を含有することで、(A)成分及び(B)成分が有する反応性官能基の加水分解が促進され、シラン系化合物同士の縮重合反応がより促進され、硬化性に優れた防汚層を形成することができる。
酸触媒(D)としては、(A)成分及び(B)成分の反応性官能基の加水分解を促進させる作用を有する成分であれば特に制限はないが、防汚性組成物から形成される防汚層の硬化性をより向上させる観点から、塩酸、リン酸、酢酸、ギ酸、硫酸、メタンスルホン酸、臭酸、p−トルエンスルホン酸、及びトリフルオロ酢酸からなる群より選ばれる1種以上を含むことが好ましく、塩酸を含むことがより好ましい。
防汚性組成物中の(D)成分の含有量は、防汚性組成物から形成される防汚層の硬化性をより向上させる観点から、(A)成分及び(B)成分の合計100モル%に対して、好ましくは0.001〜1.000モル%、より好ましくは0.005〜0.500モル%、更に好ましくは0.010〜0.100モル%、より更に好ましくは0.020〜0.070モル%である。
【0028】
<その他の添加剤>
防汚性組成物には、上述の(A)〜(D)成分以外に、本発明の効果を損なわない範囲において、その他の添加剤を含有していてもよい。
その他の添加剤としては、例えば、樹脂成分、硬化剤、老化防止剤、光安定剤、難燃剤、導電剤、帯電防止剤、可塑剤等が挙げられる。
これらの添加剤のそれぞれの含有量は、防汚性組成物の全量に対して、好ましくは0〜20質量%、より好ましくは0〜10質量%、更に好ましくは0〜5質量%、より更に好ましくは0〜2質量%である。
なお、防汚性組成物中の(A)成分、(B)成分、及び(C)成分の合計含有量は、当該防汚性組成物の全量(固形分100質量%)に対して、好ましくは50質量%以上、より好ましくは65質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、より更に好ましくは90質量%以上であり、また、好ましくは99.9質量%以下、より好ましくは99.0質量%以下である。
【0029】
[防汚性シート]
本発明の防汚性シートは、上述の本発明の防汚性組成物から形成されてなる防汚層を有するものであれば、特に制限されない。
<防汚性シートの構成>
図1は、本実施態様の一つである、基材を有する防汚性シートの断面図である。
基材を有する防汚性シートとしては、例えば、
図1(a)に示すような、基材12上に、防汚層11を有する防汚性シート1aが挙げられる。
また、
図1(b)に示すような、基材12の防汚層11を有する面とは反対側の面上に、更に粘着剤層13及び剥離材14を設けた防汚性シート1bとしてもよい。
なお、この防汚性シート1a、1bの防汚層11上には、保存時の防汚層の保護のために、更に剥離材を設けてもよい。
【0030】
図2は、本実施態様の一つである、基材を有しない防汚性シートの断面図である。
基材を有しない防汚性シートとしては、例えば、
図2(a)に示すような、防汚層11が2枚の剥離材14、14’で挟持された構成を有する防汚性シート2aが挙げられる。
また、
図2(b)に示すような、防汚層11と剥離材14’との間に、更に粘着剤層13を設けた防汚性シート2bとしてもよい。
【0031】
<防汚層>
本発明の防汚性シートが有する防汚層は、上述の本発明の防汚性組成物から形成されてなる。当該防汚層の厚さとしては、水滴の滑落加速度が大きく、水滴を瞬時に滑落させ得る優れた撥水性を有する防汚性シートとする観点から、好ましくは0.001〜40μm、より好ましくは0.005〜25μm、更に好ましくは0.01〜15μm、より更に好ましくは0.05〜5μmである。
【0032】
<基材>
本発明の防汚性シートで用いる基材としては、例えば、紙基材、樹脂フィルム又はシート、紙基材を樹脂でラミネートした基材等が挙げられ、防汚性シートの用途に応じて適宜選択することができる。
紙基材を構成する紙としては、例えば、薄葉紙、中質紙、上質紙、含浸紙、コート紙、アート紙、硫酸紙、グラシン紙等が挙げられる。
樹脂フィルム又はシートを構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体等、エチレン−メタクリル酸共重合体のビニル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリスチレン;アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体;三酢酸セルロース;ポリカーボネート;ポリウレタン、アクリル変性ポリウレタン等のウレタン樹脂等が挙げられる。
紙基材を樹脂でラミネートした基材としては、上記の紙基材を、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂でラミネートしたラミネート紙等が挙げられる。
これらの基材の中でも、樹脂フィルム又はシートが好ましく、ポリエステル系樹脂からなるフィルム又はシートがより好ましく、ポリエチレンテレフタレート(PET)からなるフィルム又はシートが更に好ましい。
【0033】
本発明で用いる基材として、防汚層又は後述する耐候層との密着性を向上させる観点から、上述の基材の表面上にプライマー層を設けたプライマー層付き基材を用いてもよい。
プライマー層を構成する成分としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステルウレタン系樹脂、アクリル系樹脂等が挙げられ、これらの樹脂は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、本発明で用いる基材として、上述の基材の表面上又はプライマー層付き基材の表面上に、更に高分子紫外線吸収剤からなる耐候層を設けた耐候層付き基材(耐候層と基材との間にプライマー層を有していてもよい)を用いてもよい。当該高分子紫外線吸収剤としては、紫外線吸収骨格がポリマー構造内に共有結合している構造を有するものであり、重量平均分子量が5,000以上のものが好ましく、より好ましくは10,000以上である。
【0034】
また、本発明で用いる基材が樹脂フィルム又はシートである場合、防汚層との密着性を向上させる観点から、必要に応じて、これら樹脂フィルム又はシートの表面に対して、酸化法や凹凸化法等の表面処理を施してもよい。
酸化法としては、特に限定されず、例えば、コロナ放電処理法、プラズマ処理法、クロム酸酸化(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理等が挙げられる。
また、凹凸化法としては、特には限定されず、例えば、サンドブラスト法、溶剤処理法等が挙げられる。
これらの表面処理は、基材の種類に応じて適宜選定されるが、防汚層との密着性向上の観点、及び操作性の観点から、コロナ放電処理法が好ましい。
【0035】
基材の厚さは、防汚性シートの用途に応じて適宜設定されるが、取扱性及び経済性の観点から、好ましくは10〜250μm、より好ましくは15〜200μm、更に好ましくは20〜150μmである。
なお、本発明で用いる基材には、更に、上述の高分子紫外線吸収剤以外の紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、着色剤等が含有されていてもよい。
【0036】
<剥離材>
本発明で用いる剥離材としては、両面剥離処理をされた剥離シートや、片面剥離処理された剥離シート等が用いられ、剥離材用の基材上に剥離剤を塗布したもの等が挙げられる。
剥離材用の基材としては、例えば、本発明の防汚性シートが有する基材として使用し得る、紙基材、樹脂フィルム又はシート、紙基材を樹脂でラミネートした基材等が挙げられる。
剥離剤としては、例えば、シリコーン系樹脂、オレフィン系樹脂、イソプレン系樹脂、ブタジエン系樹脂等のゴム系エラストマー、長鎖アルキル系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられる。
剥離材の厚さは、特に制限ないが、好ましくは10〜200μm、より好ましくは25〜150μmである。
【0037】
<粘着剤層>
本発明の防汚性シートが粘着剤層を有する場合、当該粘着剤層を構成する粘着剤としては、防汚性シートの用途に応じて適宜選択することができる。
具体的な粘着剤としては、例えば、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ゴム系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、紫外線硬化型粘着剤等が挙げられる。
これらの粘着剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
粘着剤層の厚さは、特に制限はないが、好ましくは1〜100μm、より好ましくは5〜80μmである。
【0038】
[防汚性シートの製造方法]
本発明の防汚性シートの製造方法は、下記工程(1)及び(2)を有する。
工程(1):下記式(a)
式(a):Si(OR
1)
p(X
1)
4−p
〔式(a)中、R
1は、炭素数1〜6のアルキル基を表し、X
1は、ハロゲン原子を表す。R
1及びX
1が複数存在する場合、複数のR
1及びX
1は、互いに同一でも、異なっていてもよい。pは0〜4の整数を表す。〕
で表される4官能シラン系化合物(A)、
下記式(b)
式(b):R
2Si(OR
3)
q(X
2)
3−q
〔式(b)中、R
2は、炭素数1〜3のアルキル基を表す。R
3は、炭素数1〜6のアルキル基を表し、X
2は、ハロゲン原子を表す。R
3及びX
2が複数存在する場合、複数のR
3及びX
2は、互いに同一でも、異なっていてもよい。qは0〜3の整数を表す。〕
で表される3官能シラン系化合物(B)、並びに、
チタン、アルミニウム、及び亜鉛から選ばれる1種以上の金属原子を含有し、触媒作用発現のために光照射を必要としない金属触媒(C)を含む、防汚性組成物を調製する工程
工程(2):当該防汚性組成物を基材又は剥離材上に塗布し、乾燥して防汚層を形成する工程
【0039】
なお、本発明の防汚性組成物を塗布する場合、有機溶媒に溶かして、溶液の形態として、基材又は剥離材上に公知の塗布方法で塗布することが好ましい。
当該溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、トルエン等が挙げられる。
塗布方法としては、例えば、スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、ナイフコート法、ロールナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法等が挙げられる。
【0040】
塗膜を形成した後、当該塗膜の乾燥温度及び乾燥時間については、特に制限はなく、適宜設定することができる。
ただし、本発明の防汚性組成物は、130℃以下と比較的低温下でも硬化反応を進行させることができ、塩化ビニル等の耐熱性の低い基材を用いた場合に、当該基材の熱収縮を抑制することができる。
そのため、上記観点、及び生産性の観点から、乾燥温度としては、好ましくは10〜130℃、より好ましくは20〜120℃、更に好ましくは40〜110℃、より更に好ましくは50〜95℃である。
なお、形成した防汚層上に、保存時の防汚層の表面の保護のために、更に剥離材を積層してもよい。
更に、形成した防汚層上に、別の剥離材上に形成した粘着剤層を貼り合わせることで、
図1(b)の防汚性シート1bや
図2(b)の防汚性シート2bのような、粘着剤層付きの防汚性シートを製造することもできる。
【実施例】
【0041】
実施例1〜11、比較例1〜6
(1)防汚性組成物の調製
表1に示す種類及び配合比(有効成分比、モル%)で(A)成分及び(B)成分を配合し、エタノールを加えて希釈し、有効成分濃度1.8Mの溶液を得た。当該溶液に(D)成分を更に配合して1分間攪拌し、攪拌後、15分間静置した。
次いで、表1に示す種類及び配合比(有効成分比、モル%)で(C)成分を配合して、防汚性組成物の溶液を調製した。
(2)防汚性シートの作製
基材として、片面にプライマー層が設けられたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製、製品名「テトロンフィルムHB3」、厚さ50μm)のプライマー層上に、更に耐候層として高分子紫外線吸収剤(一方社油脂工業株式会社製、製品名「ULS−935LH」)をバーコートにより厚さ5μmで塗工した耐候層付き基材を用いた。
当該耐候層付き基材の耐候層上に、上記のとおり調製した防汚性組成物の溶液を、マイヤーバーを用いて、塗布して塗膜を形成した。
次いで、当該塗膜を80℃で2分間乾燥し、表1に示す厚さの防汚層を有する防汚性シートを作製した。
【0042】
本実施例及び比較例での防汚性組成物の調製に際し使用した、表1に記載の各成分の詳細は以下のとおりである。
<4官能シラン系化合物>
・「TEOS」:テトラエトキシシラン、前記式(a)中、p=4、R
1=エチル基(炭素数:2)である4官能シラン系化合物。
<3官能シラン系化合物>
・「メチルトリメトキシシラン」:前記式(b)中のq=3、R
2=メチル基(炭素数:1)、R
3=メチル基(炭素数:1)である3官能シラン系化合物。
・「メチルトリエトキシシラン」:前記式(b)中のq=3、R
2=メチル基(炭素数:1)、R
3=エチル基(炭素数:2)である3官能シラン系化合物。
・「エチルトリメトキシシラン」:前記式(b)中のq=3、R
2=エチル基(炭素数:2)、R
3=メチル基(炭素数:1)である3官能シラン系化合物。
・「デシルトリエトキシシラン」:前記式(b)中のq=3、R
2=n−デシル基(炭素数:10)、R
3=エチル基(炭素数:2)である3官能シラン系化合物。
・「ヘキシルトリメトキシシラン」:前記式(b)中のq=3、R
2=n−ヘキシル基(炭素数:6)、R
3=メチル基(炭素数:1)である3官能シラン系化合物。
<金属系触媒>
・「チタン系触媒」:マツモトファインケミカル株式会社製、商品名「オルガチックス TC−750」、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)。
・「錫系触媒」:ジブチル錫ジラウレート。
<酸触媒>
・「塩酸」:0.01M塩酸。
【0043】
実施例及び比較例で調製した防汚性組成物から形成してなる防汚層の特性について、以下の方法に基づき評価した。その結果を表1に示す。
【0044】
<防汚層の厚さ>
防汚層の厚さは分光エリプソメーター(J.A.Woollam社製、商品名「M−2000」)にて測定した。
<防汚層の面状態>
実施例及び比較例で作製した防汚性シートの防汚層の表面を目視で観察し、以下の基準により、防汚層の面状態を評価した。
A:透明であった。
F:透明ではなかった。
なお、防汚層の面状態の評価が「F」であったものについては、使用に耐え得るものではないため、下記「防汚層の耐候性」に関する評価(「クラック抑制効果」及び「撥水性維持効果」の評価)は行っていない。
【0045】
<防汚層の硬化性>
実施例及び比較例で作製した防汚性シートの防汚層の表面を指で20回擦った後の防汚層を目視で観察し、以下の基準により、防汚層の硬化性を評価した。
・A:指で擦る前と比べて変化は見られなかった。
・B:少し白く変色したが、許容できる程度である。
・C:白く変色した。
・D:防汚性組成物からなる塗膜が硬化せずに、防汚層が形成できなかった。
なお、防汚層の硬化性の評価が「C」及び「D」であったものについては、使用に耐え得るものではないため、以下の「防汚層の耐候性」に関する評価(「クラック抑制効果」及び「撥水性維持効果」の評価)は行っていない。
【0046】
<防汚層の耐候性>
(暴露処理条件)
実施例及び比較例で作製した防汚性シートの防汚層に、スガ試験機株式会社製の耐候性試験機(製品名:「スーパーキセノンウェザーメーター SX75」)を用いて、キセノン(Xe)ランプにより60W/m
2の強度で太陽光の全波長領域に近似した光を、下記条件下で照射した。
・合計暴露時間:1,000時間
・43℃、100%RH(相対湿度)雰囲気
・2時間あたり18分間降雨条件
当該長期間、屋外で暴露された場合を想定した条件で暴露処理した実施例及び比較例で作製した防汚性シートについて、以下の評価を行った。
【0047】
(クラック抑制効果)
目視及びVeeco社製の光干渉表面形状粗さ測定システム(製品名:「Wyko NT−1100」、顕微鏡による観察)により、上記暴露処理条件によって暴露した後の防汚性シートの防汚層表面を観察して、クラック抑制効果を評価した。
・A:目視及び顕微鏡観察ともにクラックが確認されなかった。
・B:目視ではクラックが確認できないが、顕微鏡観察ではクラックが確認された。
・C:目視で僅かにクラックが確認された。
・D:目視でクラックが確認されたが、E評価(比較例1相当)より抑制されていた。
・E:目視で比較例1と同程度の明確なクラックが確認された。
【0048】
(撥水性維持効果)
協和界面科学株式会社製の全自動接触角測定装置(製品名:「DM−701」)を用いて、1,000時間暴露前後の防汚性シートの防汚層表面について、水2μLに対する接触角の差を測定し、撥水性維持効果を評価した。上記暴露処理条件による暴露前後における水接触角の低下が小さいほど、撥水性維持効果に優れる。
・A:暴露前後における接触角の低下が20°以下であった。
・B:暴露前後における接触角の低下が20°越え25°以下であった。
・C:暴露前後における接触角の低下が25°越え30°以下であった。
・D:暴露前後における接触角の低下が30°越えであった。
【0049】
【表1】
【0050】
表1より、実施例1〜11の防汚性組成物から形成した防汚層は、面状態及び硬化性が良好であった。また、上記暴露処理条件により暴露した際のクラック抑制効果及び撥水性維持効果も優れていることが確認された。
一方、比較例1及び6の防汚性組成物から形成した防汚層は、面状態及び硬化性が良好であったが、上記暴露処理条件により暴露した際のクラック抑制効果及び撥水性維持効果が劣る結果となった。また、比較例2〜4の防汚性組成物から形成した防汚層は、硬化性が劣る結果となった。そのため、これらの防汚層を有する防汚性シートは、使用に耐え得るものではないと判断し、上記暴露処理条件により暴露した際のクラック抑制効果及び撥水性維持効果について評価を行っていない。
また、比較例5の防汚性組成物から形成した防汚層は、面状態及び硬化性が劣る結果となった。そのため、比較例5の防汚層を有する防汚性シートは、使用に耐え得るものではないと判断し、上記暴露処理条件により暴露した際のクラック抑制効果及び撥水性維持効果について評価を行っていない。