【課題を解決するための手段】
【0016】
これらおよび他の目的は、請求項1に記載の統合された車載型の車両視界と洗浄のシステムによって達成される。本発明によるシステムの有利な実施形態は従属請求項によって網羅される。
【0017】
本発明によって提供される統合された車載型の車両視界と洗浄のシステムであって、
車体構造に搭載されたケーシングと、
センサユニットと、
ノズルキャリアと、
洗浄流体供給源と、
洗浄流体ポンプと、
洗浄流体回路または洗浄流体導管と、
前記ノズルキャリアに結合され、前記洗浄流体供給源と連通している少なくとも1つの洗浄流体ノズルと、を備え、
前記ノズルキャリアは、前記ケーシングに組み込まれるとともに、前記ケーシング内で第1の位置と第2の位置との間で移動可能であり、前記第1の位置が、前記ノズルキャリアが車体構造外表面の下方に、または車体構造外表面と位置合わせして配置される後退位置であり、前記第2の位置が、前記ノズルキャリアが車体構造外表面から突出する伸長位置であると共に、前記第2の位置は、前記ノズルが前記センサユニットの露出面に狙いを定める動作位置であり、前記動作位置にある前記センサユニットの外表面上へと洗浄流体を推進することができるシステムが提供される。
【0018】
本発明は、センサユニットのケーシングに組み込まれ、伸長可能かつ後退可能であるノズルキャリアを提供することによって、センサユニットの明瞭な視界を維持することを目的とする。洗浄サイクルが始動されると、1つまたは複数のノズルがセンサユニットの露出面に狙いを定めるようにノズルキャリアが伸長されて車体構造外表面から突出し、洗浄動作を行うために洗浄流体が前記露出面上へと推進される。洗浄サイクルの終了時、車体構造外表面の下方にまたはその表面と位置合わせして配置されるように、ノズルキャリアは後退させられる。
【0019】
好ましくは、センサユニットおよびノズルキャリアは共通してケーシング内に配置されて、統合されたシステムを形成する。
【0020】
休止位置では、ノズルキャリアは後退させられており、即ち車体構造外表面の下方に、またはその外表面と位置合わせされて配置されるので、システムは、車両の外観に干渉せず、したがって美的観点から見て非常に好ましい。さらに、ノズルキャリアは、洗浄サイクルの間、単にセンサユニットの視界または視角に干渉するだけである。洗浄サイクルにはわずか数秒しかかからないので、洗浄動作はセンサユニットの機能に影響しない。
【0021】
洗浄されるセンサユニットの露出面は車両の外表面と面一としてもよく、一般に、休止位置にあるノズルキャリアも車両の外表面と面一であってもよいことが理解されるべきである。
【0022】
本発明の概念によれば、ノズルまたは複数のノズルは、通常、ノズルキャリアが休止位置にあるときにノズルまたは複数のノズルが露出しないように、隠された様態で配置される。
【0023】
本出願におけるセンサユニットは、例えば、接近し通過する車を検出するまたはさらには車線逸脱警告信号を作成する、外部ビューカメラもしくは単なるセンサであってもよい。
【0024】
本出願におけるセンサユニットはまた、運転者に対して車線逸脱警報を発生させる、または通常はバックミラーで見ることができない車両に接近する物体を検出する、外部ビューカメラならびに同時にセンサとして設計されてもよい。
【0025】
さらに、本出願におけるセンサユニットは、例えば、自律運転の場合に必要とされることがある、レーザースキャナであってもよい。
【0026】
本発明によるセンサユニットは、固体撮像技術、例えばCMOSまたはCCD画素センサ技術を、例えば自動車ナビゲーションシステム、いわゆるサトナブ(sat-nav)ユニット用のビデオモニタディスプレイと組み合わせて使用する画像装置であってもよい。センサユニットは、少なくとも1つのレンズ表面またはカバー表面を有するカメラレンズシステムを備えることができる。レンズ表面またはカバー表面は、一般に、円形または長方形の形状を有するものであり得る。通常、センサユニットはドーム型のレンズカバーを含んでもよい。
【0027】
本出願における流体ノズルは、流体発振器、ペンシルジェットノズルなどであってもよい。
【0028】
本出願における流体ノズルはまた、エアジェット、好ましくはペンシルジェットを噴射させることができ、任意のタイプのノズルとすることができるエアノズルであってもよい。
【0029】
本出願における洗浄流体は、液体であってもガスまたは空気であってもよい。
【0030】
本発明による洗浄流体ポンプは、従来タイプの流体ポンプ、好ましくは1つまたは複数のインペラホイールを有する渦巻きポンプであってもよい。流体ポンプは、1つ以上の流体出口ポートと、洗浄流体供給源から液体の洗浄流体を受け入れる少なくとも1つの流体入口ポートとを有することができる。
【0031】
本発明による車載型の視界と洗浄のシステムは、関連するヘッドランプ洗浄システムまたは関連するフロントガラス洗浄システムの洗浄流体供給源および洗浄流体回路から恩恵を受けることができる。
【0032】
本発明による車載型の視界と洗浄のシステムはまた、センサユニットの露出面から洗浄液の残留液滴を吹き飛ばすためのエアブラストシステムを含んでいてもよい。
【0033】
本出願における洗浄流体回路は、洗浄流体導管または洗浄流体ホース、ならびにコネクタおよび弁、即ち逆止弁および/または圧力保持弁を含むことができる。
【0034】
本出願における洗浄流体回路は、必ずしも閉回路でなくてよい。当業者であれば、用語「洗浄流体回路」は、洗浄流体ポンプから流体ノズルまでの単一の流体導管も含むことを認識するであろう。洗浄流体回路は、必ずしも閉ループである必要はなく、また通常は閉ループではない。
【0035】
本発明による統合された車載型の車両視界と洗浄のシステムの1つの有利な実施形態では、センサユニットの周囲を少なくとも部分的に包囲するかその形状に適合するノズルキャリアが提供される。即ち、ノズルキャリアの外形が、センサユニットの露出面の外形にほとんどまたは完全に一致することを意味する。ここでも、センサユニットの外形が円形または長方形であってもよいことに言及すべきである。当業者であれば、センサユニットの外形、即ちセンサユニットの露出面の外形が本発明にとって重要ではないことを認識するであろう。
【0036】
本発明による統合された車載型の車両視界と洗浄のシステムの好ましい変形例では、ノズルキャリアは伸長可能および/または後退可能なスリーブとして設計される。
【0037】
さらに特に好ましい実施形態では、ノズルキャリアはセンサユニットと同軸で配置される。
【0038】
好ましくは、ノズルキャリアは、後退位置では車体構造外表面と位置合わせされるかまたはそれと面一であり、かかる配置はその外観が特に魅力的である限りにおいては好適であり、また後退位置にあるノズルキャリアは、センサユニットの視角を妨げない。
【0039】
特に有利な実施形態では、ノズルキャリアは射出された洗浄流体のための跳ね返し面を備え、跳ね返し面は、洗浄サイクルの間に洗浄流体が直接または間接的に衝突され得るようにノズルの反対側に配置される。この場合、洗浄流体は露出面に跳ね返されるので、最終的には、洗浄サイクルの間の洗浄流体の消費が低減される。
【0040】
有利には、ノズルキャリアは、センサユニットの露出面を少なくとも部分的に包囲する、好ましくは円筒状のスリーブとして設計されると共に、洗浄流体を射出するとノズルキャリアによってスワール(swirl)効果が達成されるように、ノズルがノズルキャリアの内周壁面に設けられる。
【0041】
本発明によるシステムのこの非常に好ましい実施形態では、ノズルキャリアは、洗浄サイクル中の伸長位置で一種のスワールポット(swirl pot)を形成し、これも洗浄流体の消費を低減する助けとなる。
【0042】
ノズルキャリアは、ケーシング内で後退位置へとばね付勢されてもよく、洗浄サイクルが開始されると洗浄流体の圧力によって液圧的または空気圧的に前進され得る。
【0043】
例えば、ノズルキャリアは、少なくとも部分的に、ケーシングと係合するピストンとして設計されてもよく、ピストンおよびケーシングは、洗浄流体回路または流体導管と連通する封止された流体チャンバを画定し、それにより、流体ポンプが通電されると、洗浄流体が流体チャンバに入り、ピストンに作用して、最終的にはピストンとしたがってノズルキャリアがばねの付勢力に対抗して伸長位置へ前進させられる。
【0044】
前述したように、ノズルは、好ましくはノズルキャリアの後退位置では隠されるものであり、例えば、ノズルキャリアの後退位置でセンサユニットに対してまたはケーシングに対して密閉されるように、ノズルはノズルキャリアの内周壁面に配置される。
【0045】
その目的のため、ノズルキャリアの内周壁面は、センサユニットの外周壁面とまたはケーシングの内周壁面と封止係合されていてもよい。
【0046】
その目的のため、センサユニットの外周壁面は弾性コーティングによって覆われてもよい。
【0047】
好ましくは、ノズルキャリアは1つ以上の洗浄流体チャネルを含み、さらにより好ましくは、少なくとも1つの洗浄流体チャネルがノズルキャリアと一体的に形成される。
【0048】
ノズルキャリアならびにケーシングは、射出成形された熱可塑性部品の形態であってもよい。
【0049】
ノズルキャリア内の1つ以上の洗浄流体チャネルは、ノズルキャリアを完全に伸長させた場合にのみ洗浄流体が推進されることを確実にするために、1つ以上の逆止弁を備えることができる。
【0050】
洗浄流体ポンプによってもたらされる流体圧は、2〜5バール程度であってよく、より好ましくは、ノズルの圧力消費または複数のノズルの配置に応じて、約3バールであってもよい。
【0051】
概して、ノズルキャリアが後退可能なスリーブとして設計されている場合、スワール効果を作り出すために、その設計は完全な360°回転に限定されなくてもよい。
【0052】
当業者であれば、上述の統合された車載型の車両視界と洗浄のシステムは、非常にコンパクトな設計を有すると同時に、センサユニットの視角を制限することなく洗浄動作を行うために、1つ以上の流体ノズルをセンサユニットに、即ちセンサユニットの露出面に非常に近付けて配置するのを可能にすることを認識するであろう。さらに、かかる設計は、好ましい外観を有し、できる限り最小量の流体を使用しての、車両カメラ、センサ、レーザースキャナなどの汚れを洗浄することを可能にする。
【0053】
以下、本発明について、添付図面を参照して例として記載する。