特許第6263316号(P6263316)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6263316統合された車載型の車両視界と洗浄のシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6263316
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】統合された車載型の車両視界と洗浄のシステム
(51)【国際特許分類】
   B60S 1/60 20060101AFI20180104BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20180104BHJP
   B05B 9/04 20060101ALI20180104BHJP
   B05B 1/10 20060101ALI20180104BHJP
【FI】
   B60S1/60 Z
   H04N7/18 J
   B05B9/04
   B05B1/10
【請求項の数】11
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-527609(P2017-527609)
(86)(22)【出願日】2015年11月23日
(65)【公表番号】特表2017-536292(P2017-536292A)
(43)【公表日】2017年12月7日
(86)【国際出願番号】EP2015077385
(87)【国際公開番号】WO2016083317
(87)【国際公開日】20160602
【審査請求日】2017年7月24日
(31)【優先権主張番号】102014117165.9
(32)【優先日】2014年11月24日
(33)【優先権主張国】DE
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】598001467
【氏名又は名称】カウテックス テクストロン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100101432
【弁理士】
【氏名又は名称】花村 太
(72)【発明者】
【氏名】マックアンドリュー、ポール
【審査官】 神田 泰貴
(56)【参考文献】
【文献】 特表2017−528358(JP,A)
【文献】 特開2015−057338(JP,A)
【文献】 特表2017−513772(JP,A)
【文献】 特開2012−218706(JP,A)
【文献】 特開2012−136116(JP,A)
【文献】 特開2011−148382(JP,A)
【文献】 特表2012−501890(JP,A)
【文献】 特開2003−011791(JP,A)
【文献】 特開2001−233181(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 1/00 − 1/68
H04N 7/18
B05B 9/04
B05B 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体構造に搭載されたケーシング(2)と、
センサユニット(3)と、
ノズルキャリア(4)と、
洗浄流体供給源と、
洗浄流体ポンプと、
洗浄流体回路または洗浄流体導管と、
前記ノズルキャリア(4)に結合され、前記洗浄流体供給源と連通している少なくとも1つの洗浄流体ノズル(19)とを備え、
前記ノズルキャリア(4)は、前記ケーシング(2)に組み込まれるとともに、前記ケーシング内で第1の位置と第2の位置との間で移動可能であり、前記第1の位置が、前記ノズルキャリアが車体構造外表面の下方に、または車体構造外表面と位置合わせして配置される後退位置であり、前記第2の位置が、前記ノズルキャリアが車体構造外表面から突出する伸長位置であると共に、前記第2の位置は、前記ノズル(19)が前記センサユニット(3)の露出面に狙いを定める動作位置であって、前記動作位置にある前記センサユニット(3)の前記露出面上へと洗浄流体が推進される、統合された車載型の車両視界と洗浄のシステム。
【請求項2】
前記ノズルキャリア(4)が少なくとも前記センサユニットの周囲を包囲していることを特徴とする請求項1に記載の統合された車載型の車両視界と洗浄の統合システム。
【請求項3】
前記ノズルキャリア(4)が伸長可能および/または後退可能なスリーブとして設計されていることを特徴とする請求項1または2に記載の統合された車載型の車両視界と洗浄のシステム。
【請求項4】
前記ノズルキャリア(4)が前記センサユニット(3)と同軸で配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の統合された車載型の車両視界と洗浄のシステム。
【請求項5】
前記後退位置では、前記ノズルキャリア(4)が前記車体構造外表面と位置合わせされていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の統合された車載型の車両視界と洗浄のシステム。
【請求項6】
前記ノズルキャリア(4)が射出された洗浄流体の跳ね返し面を備え、前記跳ね返し面は、洗浄サイクルの間、洗浄流体が直接または間接的に衝突することができるように前記ノズル(19)と対向して配置されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の統合された車載型の車両視界と洗浄のシステム。
【請求項7】
前記ノズルキャリア(4)は、前記センサユニット(3)の前記露出面を少なくとも部分的に包囲する好ましくは円筒状のスリーブとして設計され、前記ノズル(19)は、前記洗浄流体を射出した際に前記ノズルキャリア(4)によってスワール効果が達成されるように、前記ノズルキャリア(4)の内周壁面(20)に設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の統合された車載型の車両視界と洗浄のシステム。
【請求項8】
前記ノズルキャリア(4)は、前記ケーシング(2)内で前記後退位置へばね付勢され、前記洗浄流体の圧力によって液圧的または空気圧的に前進させることができることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の統合された車載型の車両視界と洗浄のシステム。
【請求項9】
前記ノズルキャリア(4)は前記ケーシング(2)と係合するピストンとして設計され、前記ピストンおよび前記ケーシング(2)が前記洗浄流体導管又は前記流体導管と連通する密封された流体チャンバ(10)を画成していることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の統合された車載型の車両視界と洗浄のシステム。
【請求項10】
前記ノズルキャリア(4)の前記後退位置では前記ノズル(19)が隠れていることを特等とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の統合された車載型の車両視界と洗浄のシステム。
【請求項11】
前記ノズルキャリア(4)の前記内周壁面(20)が前記センサユニット(3)の外周壁面と封止係合されていることを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の統合された車載型の車両視界と洗浄のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体構造に搭載されたケーシングと、センサユニットと、ノズルキャリアと、洗浄流体供給源と、洗浄流体ポンプと、洗浄流体回路または洗浄流体導管と、ノズルキャリアに結合され、洗浄流体供給源と連通している少なくとも1つの洗浄流体ノズルとを備えている、統合された車載型の車両視界と洗浄のシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現代の車両、特に自動車、主にいわゆるSUVは、運転者の視界を向上させ安全性を改善するために、外部ビューカメラを備えている。さらに、これらの車は、死角があるために運転者がバックミラーで見ることができず、バックミラーによってカバーされない後方から接近し通過する車を検出するセンサを装備している場合が多い。
【0003】
従来技術では、リアビューカメラは、多くの場合、リアバンパーまたはナンバープレート付近で車両の後部扉やトランクカバーに組込まれている。車体におけるその位置のため、カメラレンズまたは保護レンズカバーまたはセンサは、車両の周囲環境に曝され、埃やごみ、泥、塩水の飛沫などが、車両の運転の間にレンズ上にまたはレンズカバー上にまたはセンサカバー上に蓄積する。特に、カメラおよび/またはセンサが車両のリアバンパーや後部扉に組込まれている場合、それらは特に埃および泥の飛沫に曝される。
【0004】
したがって、レンズおよびセンサを洗浄するための外部洗浄システムを提供することが一般に知られている。
【0005】
埃やごみがカメラレンズ上に堆積するのを防ぐため、または洗浄結果を向上させるため、当該分野において様々な洗浄の構想が提案されてきた。
【0006】
通常、洗浄流体ノズルおよびノズルアセンブリは、カメラまたはセンサに隣接して車両に搭載され、ノズルからの液体が洗浄すべき表面上に直接噴霧されるように位置付けられる。冒頭で既に述べたように、洗浄すべき表面は、レンズカバー、レンズドーム、またはセンサ表面であってもよい。
【0007】
一般に、かかるシステムに関する課題は、センサまたは視覚デバイスの外部視角ができるだけ広くあるべきであるという点である。例えば、現在の広角リアビューシステムは、有利には、駐車距離表示を運転者に容易に提供できるように、リアバンパーの少なくとも一部をとらえる。かかる広角レンズシステムおよび、レンズもしくはレンズカバーのごく近くに位置するノズルに対する要求は、ノズルもセンサユニットの視角の範囲内にあることがあるリアビューカメラに少なからず対立する。可視画像が車内のスクリーンに表示される場合、ノズルは光学的に邪魔なことがある。
【0008】
ノズルをセンサの非常に近くに隠さずに配置することのさらに別の欠点は、かかる配置が美観的にも非常に好ましくないことである。
【0009】
既知の洗浄システムのさらに別の課題は、カメラまたはセンサの洗浄システムが、ヘッドランプの洗浄およびフロントガラスの洗浄のための洗浄システムに追加して設けられる点であり、それによって洗浄液の消費が問題となる。現在の車両では、洗浄流体タンクに利用可能な空間はかなり制限されており、一般に、カメラ、センサなどのための追加の洗浄システムに対する要件とは両立しない。
【0010】
洗浄流体の消費を低減する必要性に対処する、既知の車載型カメラ洗浄装置が、例えば、特許文献1に開示されている。この車載型カメラ洗浄装置は、空気流路および洗浄液流路が収束するノズルキャリアを含む。洗浄液は、圧縮空気を用いて洗浄液ミストにされるので、洗浄流体の消費が低減される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】国際公開第2014/010580号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
洗浄流体の消費を低減するための他の様々な試みが、例えば、ノズルの噴霧特性の微調整によって、なされている。
【0013】
したがって、本発明の目的は、洗浄流体ノズルをセンサの外部視界を損なうことなくセンサユニットの非常に近くに配置することができ、シンプルな設計で簡単に操作することができる、統合された車載型の車両視界と洗浄のシステムを提供することである。
【0014】
さらに、本発明の目的は、車両の外観を損なわないという点で美観的にも好ましい、かかる車載型車両視界と洗浄のシステムを提供することである。
【0015】
最後に、本発明の目的は、洗浄流体の消費が比較的少ない、統合された車載型の車両視界と洗浄のシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
これらおよび他の目的は、請求項1に記載の統合された車載型の車両視界と洗浄のシステムによって達成される。本発明によるシステムの有利な実施形態は従属請求項によって網羅される。
【0017】
本発明によって提供される統合された車載型の車両視界と洗浄のシステムであって、
車体構造に搭載されたケーシングと、
センサユニットと、
ノズルキャリアと、
洗浄流体供給源と、
洗浄流体ポンプと、
洗浄流体回路または洗浄流体導管と、
前記ノズルキャリアに結合され、前記洗浄流体供給源と連通している少なくとも1つの洗浄流体ノズルと、を備え、
前記ノズルキャリアは、前記ケーシングに組み込まれるとともに、前記ケーシング内で第1の位置と第2の位置との間で移動可能であり、前記第1の位置が、前記ノズルキャリアが車体構造外表面の下方に、または車体構造外表面と位置合わせして配置される後退位置であり、前記第2の位置が、前記ノズルキャリアが車体構造外表面から突出する伸長位置であると共に、前記第2の位置は、前記ノズルが前記センサユニットの露出面に狙いを定める動作位置であり、前記動作位置にある前記センサユニットの外表面上へと洗浄流体を推進することができるシステムが提供される。
【0018】
本発明は、センサユニットのケーシングに組み込まれ、伸長可能かつ後退可能であるノズルキャリアを提供することによって、センサユニットの明瞭な視界を維持することを目的とする。洗浄サイクルが始動されると、1つまたは複数のノズルがセンサユニットの露出面に狙いを定めるようにノズルキャリアが伸長されて車体構造外表面から突出し、洗浄動作を行うために洗浄流体が前記露出面上へと推進される。洗浄サイクルの終了時、車体構造外表面の下方にまたはその表面と位置合わせして配置されるように、ノズルキャリアは後退させられる。
【0019】
好ましくは、センサユニットおよびノズルキャリアは共通してケーシング内に配置されて、統合されたシステムを形成する。
【0020】
休止位置では、ノズルキャリアは後退させられており、即ち車体構造外表面の下方に、またはその外表面と位置合わせされて配置されるので、システムは、車両の外観に干渉せず、したがって美的観点から見て非常に好ましい。さらに、ノズルキャリアは、洗浄サイクルの間、単にセンサユニットの視界または視角に干渉するだけである。洗浄サイクルにはわずか数秒しかかからないので、洗浄動作はセンサユニットの機能に影響しない。
【0021】
洗浄されるセンサユニットの露出面は車両の外表面と面一としてもよく、一般に、休止位置にあるノズルキャリアも車両の外表面と面一であってもよいことが理解されるべきである。
【0022】
本発明の概念によれば、ノズルまたは複数のノズルは、通常、ノズルキャリアが休止位置にあるときにノズルまたは複数のノズルが露出しないように、隠された様態で配置される。
【0023】
本出願におけるセンサユニットは、例えば、接近し通過する車を検出するまたはさらには車線逸脱警告信号を作成する、外部ビューカメラもしくは単なるセンサであってもよい。
【0024】
本出願におけるセンサユニットはまた、運転者に対して車線逸脱警報を発生させる、または通常はバックミラーで見ることができない車両に接近する物体を検出する、外部ビューカメラならびに同時にセンサとして設計されてもよい。
【0025】
さらに、本出願におけるセンサユニットは、例えば、自律運転の場合に必要とされることがある、レーザースキャナであってもよい。
【0026】
本発明によるセンサユニットは、固体撮像技術、例えばCMOSまたはCCD画素センサ技術を、例えば自動車ナビゲーションシステム、いわゆるサトナブ(sat-nav)ユニット用のビデオモニタディスプレイと組み合わせて使用する画像装置であってもよい。センサユニットは、少なくとも1つのレンズ表面またはカバー表面を有するカメラレンズシステムを備えることができる。レンズ表面またはカバー表面は、一般に、円形または長方形の形状を有するものであり得る。通常、センサユニットはドーム型のレンズカバーを含んでもよい。
【0027】
本出願における流体ノズルは、流体発振器、ペンシルジェットノズルなどであってもよい。
【0028】
本出願における流体ノズルはまた、エアジェット、好ましくはペンシルジェットを噴射させることができ、任意のタイプのノズルとすることができるエアノズルであってもよい。
【0029】
本出願における洗浄流体は、液体であってもガスまたは空気であってもよい。
【0030】
本発明による洗浄流体ポンプは、従来タイプの流体ポンプ、好ましくは1つまたは複数のインペラホイールを有する渦巻きポンプであってもよい。流体ポンプは、1つ以上の流体出口ポートと、洗浄流体供給源から液体の洗浄流体を受け入れる少なくとも1つの流体入口ポートとを有することができる。
【0031】
本発明による車載型の視界と洗浄のシステムは、関連するヘッドランプ洗浄システムまたは関連するフロントガラス洗浄システムの洗浄流体供給源および洗浄流体回路から恩恵を受けることができる。
【0032】
本発明による車載型の視界と洗浄のシステムはまた、センサユニットの露出面から洗浄液の残留液滴を吹き飛ばすためのエアブラストシステムを含んでいてもよい。
【0033】
本出願における洗浄流体回路は、洗浄流体導管または洗浄流体ホース、ならびにコネクタおよび弁、即ち逆止弁および/または圧力保持弁を含むことができる。
【0034】
本出願における洗浄流体回路は、必ずしも閉回路でなくてよい。当業者であれば、用語「洗浄流体回路」は、洗浄流体ポンプから流体ノズルまでの単一の流体導管も含むことを認識するであろう。洗浄流体回路は、必ずしも閉ループである必要はなく、また通常は閉ループではない。
【0035】
本発明による統合された車載型の車両視界と洗浄のシステムの1つの有利な実施形態では、センサユニットの周囲を少なくとも部分的に包囲するかその形状に適合するノズルキャリアが提供される。即ち、ノズルキャリアの外形が、センサユニットの露出面の外形にほとんどまたは完全に一致することを意味する。ここでも、センサユニットの外形が円形または長方形であってもよいことに言及すべきである。当業者であれば、センサユニットの外形、即ちセンサユニットの露出面の外形が本発明にとって重要ではないことを認識するであろう。
【0036】
本発明による統合された車載型の車両視界と洗浄のシステムの好ましい変形例では、ノズルキャリアは伸長可能および/または後退可能なスリーブとして設計される。
【0037】
さらに特に好ましい実施形態では、ノズルキャリアはセンサユニットと同軸で配置される。
【0038】
好ましくは、ノズルキャリアは、後退位置では車体構造外表面と位置合わせされるかまたはそれと面一であり、かかる配置はその外観が特に魅力的である限りにおいては好適であり、また後退位置にあるノズルキャリアは、センサユニットの視角を妨げない。
【0039】
特に有利な実施形態では、ノズルキャリアは射出された洗浄流体のための跳ね返し面を備え、跳ね返し面は、洗浄サイクルの間に洗浄流体が直接または間接的に衝突され得るようにノズルの反対側に配置される。この場合、洗浄流体は露出面に跳ね返されるので、最終的には、洗浄サイクルの間の洗浄流体の消費が低減される。
【0040】
有利には、ノズルキャリアは、センサユニットの露出面を少なくとも部分的に包囲する、好ましくは円筒状のスリーブとして設計されると共に、洗浄流体を射出するとノズルキャリアによってスワール(swirl)効果が達成されるように、ノズルがノズルキャリアの内周壁面に設けられる。
【0041】
本発明によるシステムのこの非常に好ましい実施形態では、ノズルキャリアは、洗浄サイクル中の伸長位置で一種のスワールポット(swirl pot)を形成し、これも洗浄流体の消費を低減する助けとなる。
【0042】
ノズルキャリアは、ケーシング内で後退位置へとばね付勢されてもよく、洗浄サイクルが開始されると洗浄流体の圧力によって液圧的または空気圧的に前進され得る。
【0043】
例えば、ノズルキャリアは、少なくとも部分的に、ケーシングと係合するピストンとして設計されてもよく、ピストンおよびケーシングは、洗浄流体回路または流体導管と連通する封止された流体チャンバを画定し、それにより、流体ポンプが通電されると、洗浄流体が流体チャンバに入り、ピストンに作用して、最終的にはピストンとしたがってノズルキャリアがばねの付勢力に対抗して伸長位置へ前進させられる。
【0044】
前述したように、ノズルは、好ましくはノズルキャリアの後退位置では隠されるものであり、例えば、ノズルキャリアの後退位置でセンサユニットに対してまたはケーシングに対して密閉されるように、ノズルはノズルキャリアの内周壁面に配置される。
【0045】
その目的のため、ノズルキャリアの内周壁面は、センサユニットの外周壁面とまたはケーシングの内周壁面と封止係合されていてもよい。
【0046】
その目的のため、センサユニットの外周壁面は弾性コーティングによって覆われてもよい。
【0047】
好ましくは、ノズルキャリアは1つ以上の洗浄流体チャネルを含み、さらにより好ましくは、少なくとも1つの洗浄流体チャネルがノズルキャリアと一体的に形成される。
【0048】
ノズルキャリアならびにケーシングは、射出成形された熱可塑性部品の形態であってもよい。
【0049】
ノズルキャリア内の1つ以上の洗浄流体チャネルは、ノズルキャリアを完全に伸長させた場合にのみ洗浄流体が推進されることを確実にするために、1つ以上の逆止弁を備えることができる。
【0050】
洗浄流体ポンプによってもたらされる流体圧は、2〜5バール程度であってよく、より好ましくは、ノズルの圧力消費または複数のノズルの配置に応じて、約3バールであってもよい。
【0051】
概して、ノズルキャリアが後退可能なスリーブとして設計されている場合、スワール効果を作り出すために、その設計は完全な360°回転に限定されなくてもよい。
【0052】
当業者であれば、上述の統合された車載型の車両視界と洗浄のシステムは、非常にコンパクトな設計を有すると同時に、センサユニットの視角を制限することなく洗浄動作を行うために、1つ以上の流体ノズルをセンサユニットに、即ちセンサユニットの露出面に非常に近付けて配置するのを可能にすることを認識するであろう。さらに、かかる設計は、好ましい外観を有し、できる限り最小量の流体を使用しての、車両カメラ、センサ、レーザースキャナなどの汚れを洗浄することを可能にする。
【0053】
以下、本発明について、添付図面を参照して例として記載する。
【図面の簡単な説明】
【0054】
図1】本発明による統合された車載型の車両視界と洗浄のシステムを、ノズルキャリアが後退位置にある状態で示す概略図である。
図2図1に対応し、ノズルキャリアが前進位置にある状態を示す図である。
図3】本発明による車載型の車両視界と洗浄のシステムの第2の実施形態を、ノズルキャリアが後退位置にある状態で示す図である。
図4図3による統合された車載型の車両視界と洗浄のシステムを、ノズルキャリアが伸長位置にある状態で示す図である。
図5】ノズルキャリアが伸長されている車載型の車両視界と洗浄のシステムを、車両に搭載されていない状態で示す斜視図である。
図6図5に類似し、ノズルキャリアが異なる設計であるシステムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
図1をここで参照すると、図1は、本発明による統合された車載型の車両視界と洗浄のシステム1の第1の実施形態を示す部分断面図である。簡略化のため、以下、統合された車載型の車両視界と洗浄のシステム1をシステムと称する。システム1はケーシング2を備え、その中にセンサユニット3およびノズルキャリア4が配置されている。センサユニット3は、特定の実施形態では、本発明にしたがって洗浄される露出面を形成するドーム型のレンズカバー5を備えたリアビューカメラである。
【0056】
センサユニット3およびノズルキャリア4を備えるケーシング2は統合ユニットを形成し、それを、センサユニット3の露出面を取り囲むケーシング2の部分が、車体構造外表面とも呼ばれる車両の外表面と位置合わせされるかまたは面一であるように、車両の車体構造上または車体構造内に搭載することができる。例えば、ケーシングは、レンズカバー5が多少露出するように乗用車のリアバンパーまたは後部扉、あるいはトランクカバーに嵌め込まれてもよい。
【0057】
ノズルキャリア4は、ケーシング2の内壁面6に封止係合する可動のピストンとして設計されている。さらに、ノズルキャリア4は、以下でさらに詳細に説明するように、センサユニット3の外周面に封止係合する。
【0058】
図1および2に示される実施形態によるノズルキャリア4は、センサユニット3を包囲し、即ちその形状にぴったり適合し、コイルばね7によってケーシング2内において後退休止位置で保持される、円筒状のスリーブとして設計されている。コイルばね7は、ケーシング2の内側前面と、ノズルキャリア4のピストン基部9の外周突起8との間で支持されている。ノズルキャリア4のピストン基部9とケーシング2の下部内壁面との間には、ケーシング2の入口ポート11と連通している流体チャンバ10が画成されている。入口ポート11には、洗浄流体ホース(不図示)を接続することができる。洗浄流体ホースは次いで、洗浄流体ポンプに、または自動ワイパー洗浄システムもしくはヘッドランプ洗浄システムの洗浄流体回路に直接接続される。
【0059】
センサユニット3には、センサユニット3の電気接続用の端子12が設けられている。端子12は、ケーシング2を貫通して延在し且つケーシング2の液圧部に対して流体密封されている導出チャネル13を通って延びている。
【0060】
ノズルキャリア4のピストン基部9は、外周溝14および内周溝15を有しており、ピストン基部9の外周溝14は第1のピストンシール16を受け入れ、内周溝15は第2のピストンシール17を受け入れている。
【0061】
第1および第2のピストンシール16および17はそれぞれ、流体チャンバ10を封止するために、ケーシング2の内壁面6に係合する。
【0062】
図1および2に示されるように、ノズルキャリア4は一体的に組込まれた流体チャネル18を備え、このチャネルは、ピストン基部9の底面で流体チャンバ10内に開口し、またノズルキャリア4と一体に形成されてノズルキャリア4の内周壁面20に配置されたノズル19に接続されている。
【0063】
既に言及したように、図1および2による実施形態のノズルキャリア4は、円形断面を有し、やはり円形断面を有するセンサユニット3をぴったり包囲する円筒状スリーブとして設計されている。図1は、ケーシング2の低壁21に向かって付勢された後退位置にあるノズルキャリア4を示している。ノズル19は、この位置では、封止要素として機能する弾性被覆層22を備えるセンサユニットの外周面によって閉じられ密封される。
【0064】
ノズルキャリア4は、その外周において、ケーシング2の上部開口部24内に位置するOリングシール23によって、ケーシング2に対して封止される。当然ながら、シールは任意のタイプのシールとすることができる。
【0065】
次に、システム1の機能について、伸長位置にあるノズルキャリア4を示している図2を参照して説明する。
【0066】
加圧された洗浄流体が入口ポート11を介して流体チャンバ10に入ると、流体チャンバ10内の上昇圧力によって、ノズルキャリア4がコイルばね7の付勢力に対抗して押し上げられる。したがって、コイルばね7が圧縮され、ノズルキャリア4は、図1に示される位置から図2に示される伸長位置へと移動する。ノズルキャリア4が持ち上げられると、ノズル19の口孔はセンサユニット3の外周面によって覆われなくなり、したがって、ノズルキャリア4が特定の量前進していれば、洗浄流体をノズル19から射出させることができる。
【0067】
図2に示されるように、洗浄流体はレンズカバー5に衝突し、またノズルキャリア4の内周壁面20から跳ね返り、その結果として、ノズルキャリア4の先端の閉鎖空間内で洗浄流体のスワール効果が作り出される。ノズルキャリア4がその洗浄位置、即ち伸長位置にあると、ノズル19は、センサユニットの、即ちレンズカバー5の露出面のに汚れ/ごみを洗浄する。
【0068】
流体の供給が停止すると、ノズルキャリア4は下降して、図1に示されるように元の休止位置に戻る。
【0069】
システム1は、通常、車をバックに入れたときは手動で、あるいはカメラが汚れを感知したとき、または車の後部扉窓用の後部洗浄システムが作動される毎に、自動的に動作させることができる。
【0070】
図3および4は、原則的には図1および2による実施形態と同様に動作する、本発明によるシステム1のわずかに異なる概念を示している。同じ部品は同じ参照番号で示される。
【0071】
簡略化のため、以下、図1および2によるシステムに対する図3および4によるシステムの相違についてのみ参照する。明示的に言及しない限り、図3および4によるシステム1の設計は、図1および2による設計に対応する。
【0072】
明らかに、図1および2による設計では、組立時、センサユニット3は上方から装着され、即ち開口部24を通ってケーシング2内に挿入される。
【0073】
図3および4による設計では、通常、センサユニット3は下方からケーシング2内に挿入される。ケーシング2は、ケーシング2の下端部で全体的に開放されており、その上端部には内方へ向けられてセンサユニット3が当接する周縁カラー26を有する円筒状のセンサ区画25を備えている。ケーシング2は、ノズルキャリア4が挿入される環状空間を形成し、それに対してノズルキャリア4が密封される。したがって、図3および4の実施形態におけるケーシング2は、環状開口部27を有し、その内周および外周において、ケーシング2の先端で2つのOリングシール23によって封止されている。
【0074】
したがって、ノズルキャリアのピストン基部9は、第1のピストンシール16が挿入される1つのみの外周溝14を有する。第2のピストンシール17は、ノズルキャリア4の平滑な内壁面とケーシング2の環状空間の平滑な内壁面との間に配置されている。
【0075】
図1および2による実施形態と同様に、センサユニット3の外周面にも、シールとして作用する被覆層22が設けられてる。
【0076】
一方では図1および2に示される、また他方では図3および4に示されるシステム1の実施形態は、ノズルキャリア4の先端部が、スワール効果を作り出すために完全な360°回転であるレンズカバー5の閉鎖空間を画成する、ノズルキャリア4の設計を有することができる。しかしながら、図およびでは、ノズルキャリア4の周壁が中断されている、即ち完全に360°回転しない、ノズルキャリア4の先端部の異なる設計が示されている。
【0077】
5、6では、ノズルキャリア4は、その先端部に、一方がノズル19を形成し他方が洗浄流体の跳ね返し壁または跳ね返し面を形成する2つの円形セグメントを備えている。図では、2つの壁セグメント28は約150°の円弧を画成している。
【0078】
による設計では、ノズル19を備えるセグメントは約30°の円弧のみを有し、反射壁または跳ね返し壁を形成する対向するセグメントは、約150°の円弧にわたって延在している。
【符号の説明】
【0079】
1 統合された車載型の車両視界と洗浄のシステム
2 ケーシング
3 センサユニット
4 ノズルキャリア
5 レンズカバー
6 内壁面
7 コイルばね
8 突起
9 ピストン基部
10 流体チャンバ
11 入口ポート
12 端子
13 導出チャネル
14 ピストン基部の外周溝
15 ピストン基部の内周溝
16 第1のピストンシール
17 第2のピストンシール
18 流体チャンバ
19 ノズル
20 ノズルキャリアの内周壁面
21 ケーシングの底壁
22 被覆層
23 Oリングシール
24 ケーシングの開口部
25 センサ区画
26 カラー
27 環状開口部
28 壁セグメント
図1
図2
図3
図4
図5
図6