特許第6263322号(P6263322)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6263322道路管制支援装置、道路管制支援プログラムおよび記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6263322
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】道路管制支援装置、道路管制支援プログラムおよび記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20180104BHJP
【FI】
   G08G1/00 A
【請求項の数】10
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2013-139089(P2013-139089)
(22)【出願日】2013年7月2日
(65)【公開番号】特開2015-11677(P2015-11677A)
(43)【公開日】2015年1月19日
【審査請求日】2016年6月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】510206327
【氏名又は名称】中日本ハイウェイ・パトロール東京株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113745
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 英治
(72)【発明者】
【氏名】村田 直樹
【審査官】 中尾 麗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−287708(JP,A)
【文献】 特開2003−272082(JP,A)
【文献】 特開2012−093180(JP,A)
【文献】 特開2000−331283(JP,A)
【文献】 特開2002−230688(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路管制支援装置であって、
道路地点または道路区間と、道路地点または道路区間の各々に関連付けられた、閉鎖の始点または終点となる車両出入口を少なくとも含む道路閉鎖区間情報とを含む道路情報マスターテーブルを格納する記憶部と、
制対象道路における、事象に関連する道路地点または道路区間を含む事象位置情報の入力を受け付ける入力受付部と、
前記事象位置情報に基づき、前記道路情報マスターテーブルを参照して、道路閉鎖区間情報を抽出する抽出部と、
前記抽出した道路閉鎖区間を表示する表示部と、
を有し、
前記記憶部が、
前記管制対象道路における位置情報または走行方向の順序または前後関係が規定された複数の車両出入口の各々に関連付けられた、当該車両出入口に直接的に或いは間接的に接続する接続道路についての、車線数の情報、道路幅員の情報、および、単位時間あたりの車両通行可能量の情報のうち少なくとも1つを含む接続道路情報、を含む接続道路情報マスターテーブルをさらに格納し、
前記抽出部が、
該道路閉鎖区間情報に含まれる閉鎖の始点または終点となる車両出入口に基づき、前記接続道路情報マスターテーブルを参照して、前記閉鎖の始点または終点となる車両出入口に、直接的に或いは間接的に接続される第1の接続道路の接続道路情報を抽出し、
前記事象に関連する道路地点または道路区間から見て、前記閉鎖の始点または終点となる車両出入口よりも、遠方の車両出入口に基づき、前記接続道路情報マスターテーブルを参照して、該遠方の車両出入口に、直接的に或いは間接的に接続される第2の接続道路の接続道路情報を抽出し、
前記第1の接続道路の接続道路情報と、前記第2の接続道路の接続道路情報とを比較して、前記第2の接続道路の接続道路情報の数値の方が大きい場合は、前記抽出した道路閉鎖区間の閉鎖の始点または終点となる車両出入口を、前記第2の接続道路に接続するように、前記遠方の車両出入口に置き換える、
ことを特徴とする道路管制支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の道路管制支援装置において、
前記表示部が、
前記管制対象道路を含む地図を表示し、
前記入力受付部が、
前記表示部に表示された地図上でタッチパネル、マウス、または、座標指示装置を用いた、前記道路地点または道路区間を含む事象位置情報の入力を受け付ける、
ことを特徴とする道路管制支援装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の道路管制支援装置において、
前記記憶部が、
前記管制対象道路における位置情報または走行方向の順序または前後関係が規定された複数の車両出入口の各々に関連付けられた、当該車両出入口に直接的に或いは間接的に接続する接続道路についての、車線数の情報、道路幅員の情報、および、単位時間あたりの車両通行可能量の情報のうち少なくとも1つを含む接続道路情報、を含む接続道路情報マスターテーブルをさらに格納し、
前記抽出部が、
道路閉鎖区間情報に含まれる閉鎖の始点または終点となる車両出入口に基づき、前記接続道路情報マスターテーブルを参照して、前記閉鎖の始点または終点となる車両出入口に、直接的に或いは間接的に接続される第1の接続道路の接続道路情報を抽出し、
前記事象に関連する道路地点または道路区間から見て、前記閉鎖の始点または終点となる車両出入口よりも、遠方の車両出入口に基づき、前記接続道路情報マスターテーブルを参照して、該遠方の車両出入口に、直接的に或いは間接的に接続される第2の接続道路の接続道路情報を抽出し、
前記第1の接続道路の接続道路情報と、前記第2の接続道路の接続道路情報とを比較して、
前記第2の接続道路の接続道路情報の数値の方が大きい場合は、前記抽出した道路閉鎖区間の閉鎖の始点または終点となる車両出入口を、前記第2の接続道路に接続するように、前記遠方の車両出入口に置き換え、
前記記憶部が、
前記事象位置情報に含まれる道路地点または道路区間に関連付けられた、前記道路閉鎖区間情報に含まれる車両出入口を、前記遠方の車両出入口に置き換える、
ことを特徴とする道路管制支援装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の道路管制支援装置において、
前記記憶部が、
前記管制対象道路における位置情報または走行方向の順序または前後関係が規定された複数の車両出入口の各々に関連付けられた、当該車両出入口に直接的に或いは間接的に接続する接続道路についての、車線数の情報、道路幅員の情報、および、単位時間あたりの車両通行可能量の情報のうち少なくとも1つを含む接続道路情報、を含む接続道路情報マスターテーブルをさらに格納し、
前記抽出部が、
道路閉鎖区間情報に含まれる閉鎖の始点または終点となる車両出入口に基づき、前記接続道路情報マスターテーブルを参照して、前記閉鎖の始点または終点となる車両出入口に、直接的に或いは間接的に接続される第1の接続道路の接続道路情報を抽出し、
前記事象に関連する道路地点または道路区間から見て、前記閉鎖の始点または終点となる車両出入口よりも、遠方の車両出入口に基づき、前記接続道路情報マスターテーブルを参照して、該遠方の車両出入口に、直接的に或いは間接的に接続される第2の接続道路の接続道路情報を抽出し、
前記入力受付部が、
第1の接続道路についての、車線数の情報、道路幅員の情報、および、単位時間あたりの車両通行可能量の情報のうち少なくとも1つの入力を受け付け、該入力で第1の接続道路の接続道路情報を置き換え、
第2の接続道路についての、車線数の情報、道路幅員の情報、および、単位時間あたりの車両通行可能量の情報のうち少なくとも1つの入力を受け付け、該入力で第2の接続道路の接続道路情報を置き換え、
前記抽出部が、
前記第1の接続道路の接続道路情報と、前記第2の接続道路の接続道路情報とを比較して、前記第2の接続道路の接続道路情報の数値の方が大きい場合は、前記抽出した道路閉鎖区間の閉鎖の始点または終点となる車両出入口を、前記第2の接続道路に接続するように、前記遠方の車両出入口に置き換える、
ことを特徴とする道路管制支援装置。
【請求項5】
請求項1〜に記載の道路管制支援装置において、
前記記憶部が、
前記道路閉鎖区間情報に含まれる、閉鎖の始点または終点となる車両出入口のいずれか1つである第1の車両出入口に関連付けられ、該第1の車両出入口を閉鎖の始点または終点とするよりも、優先的に閉鎖の始点または終点とするよう公的機関により要請されている第2の車両出入口を含む公的機関要請情報マスターテーブルをさらに格納し、
前記抽出部が、
前記公的機関要請情報マスターテーブルを参照して、前記抽出された道路閉鎖区間情報の閉鎖の始点または終点となる車両出入口が、前記第1の車両出入口の場合は、関連付けられている該第2の車両出入口に、前記道路閉鎖区間情報の閉鎖の始点または終点となる車両出入口を置き換える、
ことを特徴とする道路管制支援装置。
【請求項6】
請求項1または2に記載の道路管制支援装置において、
車両出入口に直接的に或いは間接的に接続する接続道路を含む接続道路状況情報を取得する取得部をさらに有し、
前記記憶部が、
管制対象道路における位置情報または走行方向の順序または前後関係が規定された複数の車両出入口の各々に関連付けられた、当該車両出入口に直接的に或いは間接的に接続する接続道路についての、車線数の情報、道路幅員の情報、および、単位時間あたりの車両通行可能量の情報のうち少なくとも1つを含む接続道路情報、を含む接続道路情報マスターテーブルをさらに格納し、
前記抽出部が、
道路閉鎖区間情報に含まれる閉鎖の始点または終点となる車両出入口に基づき、前記接続道路情報マスターテーブルを参照して、前記閉鎖の始点または終点となる車両出入口に、直接的に或いは間接的に接続される第1の接続道路の接続道路情報を抽出し、
前記事象に関連する道路地点または道路区間から見て、前記閉鎖の始点または終点となる車両出入口よりも、遠方の車両出入口に基づき、前記接続道路情報マスターテーブルを参照して、該遠方の車両出入口に、直接的に或いは間接的に接続される第2の接続道路の接続道路情報を抽出し、
前記取得部が、
前記第1および第2の接続道路の接続道路状況情報を取得し、
前記抽出部が、
前記第1の接続道路の接続道路状況情報と、前記第2の接続道路の接続道路状況情報とを比較して、前記第2の接続道路の方が、時間あたりの車両通行量を多くできる場合は、前記抽出した道路閉鎖区間の閉鎖の始点または終点となる車両出入口を、前記第2の接続道路に接続するように、前記遠方の車両出入口に置き換える、
ことを特徴とする道路管制支援装置。
【請求項7】
請求項1〜のいずれか1項に記載の道路管制支援装置において、
前記記憶部が、
複数の道路閉鎖区間の各々に関連付けられた、少なくとも1つの作業情報を含む、閉鎖区間関連作業情報マスターテーブルをさらに格納し、
前記抽出部が、
前記抽出した道路閉鎖区間に基づき、前記閉鎖区間関連作業情報マスターテーブルを参照して、対応する少なくとも1つの作業情報を抽出し、
前記表示部が、
前記抽出した道路閉鎖区間に対応する少なくとも1つの作業情報をさらに表示する、
ことを特徴とする道路管制支援装置。
【請求項8】
請求項1〜のいずれか1項に記載の道路管制支援装置において、
前記記憶部が、
複数の車両出入口の各々に関連付けられた、少なくとも1つの作業情報を含む、車両出入口関連作業情報マスターテーブルをさらに格納し、
前記抽出部が、
前記抽出した道路閉鎖区間に含まれる車両出入口に基づき、前記車両出入口関連作業情報マスターテーブルを参照して、対応する少なくとも1つの作業情報を抽出し、
前記表示部が、
前記抽出した道路閉鎖区間に対応する少なくとも1つの作業情報をさらに表示する、
ことを特徴とする道路管制支援装置。
【請求項9】
演算処理装置を請求項1〜にいずれか1項に記載の道路管制支援装置として機能させる道路管制支援プログラム。
【請求項10】
請求項に記載の道路管制支援プログラムを格納したコンピュータ可読な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路管制支援装置、道路管制支援プログラムおよび記憶媒体に関し、特に、工事や事故などの事象が発生した道路上の地点や区間に応じて、閉鎖すべき道路区間を自動的に抽出する道路管制支援装置、道路管制支援プログラムおよび記憶媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車が高速走行できる幹線の自動車道路、例えば、高速道路、自動車専用道路、地域高規格道路、高規格幹線道路およびバイパスなどは、自動車が大量かつ高速に移動しているため、車線を塞いでしまうような事故が発生したり、工事が発生したりすると、大渋滞が起こる。その原因は、一般道路と異なりこれらの自動車道路は、他の道路へ迂回することが基本的にできず、本線から出るためには、数キロメートル、十数キロメートルおきの車両出口(インターチェンジ、出口)まで行く必要があるからである。
【0003】
したがって、このような事故などの事象が発生したり、工事が予定されたりする場合は、事故の区間を閉鎖して、当該区間に車両が流入することを防止する必要がある。最も簡単な処理は、事故や工事の地点の手前(より上流)のインターチェンジを閉鎖の始点とし、その後(車の進行方向でより下流の)のインターチェンジを閉鎖の終点にすることである。しかし、道路網が複雑化し、都市化およびモータリゼーションが進んだ現代においては、このような処理では、弊害が起こる恐れがある。渋滞の発生、他の高速道路のジャンクションとの関係、トンネルとの関係、周辺道路との接続性との関係、本線の交通量と周辺の接続道路との交通量との関係、周辺でのイベントや、警察指導との関係、区間閉鎖用の機材(電光掲示板など)や作業との関係など、様々な状況を考えて、閉鎖道路区間を設定する必要がある。
【0004】
さて、道路管制を支援するものとして、「道路管制システム及び道路管制方法」(特許文献1を参照されたい。)が提案されている。この従来技術は、「道路交通を円滑に行わせる為の道路管制システム及び道路管制方法に関し、原因イベントと結果イベントの関連付けを自動化する。」ことを課題とし、「道路に関する情報を収集する収集系と、情報を処理する処理系と、表示等を行う提供系とを含む道路管制システム及び道路管制方法であって、発生中イベントと入力イベントとを原因イベントと結果イベントとに関連付ける為の発生位置の距離差を閾値とした関連判定テーブル2と、原因イベントと結果イベントに分類する分類テーブル3と、制御処理部1とを備え、受信処理部4,送受信処理部7又はインタ−フェース部6を介した入力イベントに対する同一路線,同一方向の発生中イベントを抽出し、抽出した発生中イベントと入力イベントとが関連判定テーブル2を参照して閾値以下である時に、分類テーブル3を参照して原因イベントと結果イベントに分類し、新規イベント又は更新イベントとして送信する。」という構成の従来技術である。この従来技術によれば、色々な事象における判断や操作を支援することが可能になると考えられる。即ち、この従来技術は、道路管制における、管制員の操作の判断を支援する技法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−57474号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、上記従来技術では、イベント発生時の判断のサポートを受けることが可能であるが、事故や工事などのイベント(事象)発生時に、どの区間を閉鎖すべきかといった具体的な支援を提供するような技術ではない。では、現場の道路管制センターなどの操作は、どのようなものであるかと言えば、道路区間閉鎖の操作においては、各種のマニュアル、警察指導の資料、接続道路の状況の資料、渋滞情報、各ジャンクションの道路構造の図面、道路閉鎖作業用の電光掲示板の設置場所、電光掲示板搭載車両の出動可能範囲、閉鎖するランプ線の有効性を記載した資料などを電子的に検索して、或いは、これら資料の印刷物の紙媒体を参照して、道路管制員が、交通管理者と協議の上、閉鎖すべき道路区間の判断をしている。
【0007】
しかしながら、交通事故などの事象は、いつ、どこで起こるか予測するのは非常に困難であり、実際の事故のときに、閉鎖すべき道路区間の選択を適切かつ迅速に行うことは、実際問題として非常に難しいと言える。また、工事も様々な地点で行われるが、このような予定された事象であっても、閉鎖区間の設定いかんで、周辺道路の渋滞状況が大きく変化したり、ドライバーの快適性が大きく変化したり、輸送業者にとっては、荷物を届ける時間が大きく遅れたりすることもあり、高速道路などの大量輸送路の閉鎖区間を適切に判断して、設定することは、道路管制業務において非常に重要な作業の1つであると言える。即ち、高速道路などの道路管制業務は、高速道路の渋滞の発生を抑止するだけではなく、高速道路を出た車両の渋滞、或いは、高速道路に戻ったり、流入したりすることについても配慮して、快適な、輸送環境や運転環境が提供されるように、閉鎖区間を設定すべきであるが、現状では、そこまでをきめ細かく対応するのは難しいと言える。上述したように、このような閉鎖区間の設定を最適化するような装置やプログラムは、いまだ十分なものは開発されていないのが現状である。
【0008】
そこで、本発明の目的は、工事や事故などの事象が発生する道路上の地点や区間に応じて、閉鎖すべき道路区間を自動的に抽出(決定)し、車両をスムーズに通行させる道路管制を支援する道路管制支援装置、道路管制支援プログラムおよび記憶媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した諸課題を解決すべく、第1の発明による道路管制支援装置(システム)は、
道路地点または道路区間と、道路地点または道路区間の各々に関連付けられた、閉鎖の始点または終点となる車両出入口(例えば、本線への進入規制が敷かれる車両出入口であり、本線を走行する車両はそこより先は通行止めとなり、本線から出されるインターチェンジなど)を少なくとも含む道路閉鎖区間情報とを含む道路情報マスターテーブルを格納する記憶部と、
前記管制対象道路における、事象に関連する道路地点または道路区間(地点と地点との間、その名称、略称など)を含む事象位置情報の入力を受け付ける入力受付部と、
前記事象位置情報に基づき、前記道路情報マスターテーブルを参照して、道路閉鎖区間情報を抽出する抽出部と、
(前記事象位置情報と、)前記抽出した道路閉鎖区間を表示する表示部と、
を有する。
道路閉鎖区間情報には、閉鎖の終点となる車両出入口(例えば、事象発生位置からみて遠くの本線への進入規制が敷かれない車両出入口であり、本線を走行する車両はその区間から離れる方に進入可能のインターチェンジ、入口など)を含むことが好適である。この2つの車両出入口が決定できれば、その間にある車両出入口も、その走行方向においては全て閉鎖となり、閉鎖すべき全ての車両出入口が定まる。
なお、道路地点または道路区間は、例えば、xx高速の起点から1km、xx高速の12kポスト、xxインターチェンジから下り200m、yyインターチェンジから上る3km、xx高速のZZインターチェンジとYYインターチェンジとの間、xx高速のWWトンネル内、WWトンネルから下り方面280mなど様々な態様がある。
【0010】
また、第2の発明による道路管制支援装置は、
前記表示部が、
前記管制対象道路を含む地図を表示し、
前記入力受付部が、
前記表示部に表示された地図上でタッチパネル、マウス、または、座標指示装置を用いた、前記道路地点または道路区間を含む事象位置情報の入力を受け付ける、
ことを特徴とする。
【0011】
また、第3の発明による道路管制支援装置は、
前記記憶部が、
管制対象道路における位置情報または走行方向の順序または前後関係が規定された複数の車両出入口の各々に関連付けられた、当該車両出入口に直接的に或いは間接的に(所定の距離内で)接続する接続道路についての、車線数の情報、道路幅員の情報、および、単位時間あたりの車両通行可能量の情報のうち少なくとも1つを含む接続道路情報、を含む接続道路情報マスターテーブルをさらに格納し、
前記抽出部が、
前記事象位置情報に基づき、前記道路情報マスターテーブルを参照して、道路閉鎖区間情報を抽出し、
該道路閉鎖区間情報に含まれる閉鎖の始点(即ち、高速道路を走行する車両が、先に(閉鎖区間内に侵入したくても)行きたくても本線から強制的に下されてしまうインターチェンジ)または終点となる車両出入口に基づき、前記接続道路情報マスターテーブルを参照して、前記閉鎖の始点または終点となる車両出入口に、直接的に或いは間接的に接続される第1の接続道路の接続道路情報を抽出し、
前記事象に関連する道路地点または道路区間から見て、前記閉鎖の始点または終点となる車両出入口よりも、遠方の車両出入口に基づき、前記接続道路情報マスターテーブルを参照して、該遠方の車両出入口に、直接的に或いは間接的に接続される第2の接続道路の接続道路情報を抽出し、
前記第1の接続道路の接続道路情報と、前記第2の接続道路の接続道路情報とを比較して、前記第2の接続道路の接続道路情報の数値の方が大きい場合(例えば、第1よりも第2の方が、車線数が多い場合など)は、前記抽出した道路閉鎖区間の閉鎖の始点または終点となる車両出入口を、前記第2の接続道路に接続するように、前記遠方の車両出入口に置き換える、
ことを特徴とする。
【0012】
また、第4の発明による道路管制支援装置は、
前記記憶部が、
管制対象道路における位置情報または走行方向の順序または前後関係が規定された複数の車両出入口の各々に関連付けられた、当該車両出入口に直接的に或いは間接的に(所定の距離内で)接続する接続道路についての、車線数の情報、道路幅員の情報、および、単位時間あたりの車両通行可能量の情報のうち少なくとも1つを含む接続道路情報、を含む接続道路情報マスターテーブルをさらに格納し、
前記抽出部が、
前記事象位置情報に基づき、前記道路情報マスターテーブルを参照して、道路閉鎖区間情報を抽出し、
該道路閉鎖区間情報に含まれる閉鎖の始点(即ち、高速道路を走行する車両が、先に行きたくても強制的に下されてしまうインターチェンジ)または終点となる車両出入口に基づき、前記接続道路情報マスターテーブルを参照して、前記閉鎖の始点または終点となる車両出入口に、直接的に或いは間接的に接続される第1の接続道路の接続道路情報を抽出し、
前記事象に関連する道路地点または道路区間から見て、前記閉鎖の始点または終点となる車両出入口よりも、遠方の車両出入口に基づき、前記接続道路情報マスターテーブルを参照して、該遠方の車両出入口に、直接的に或いは間接的に接続される第2の接続道路の接続道路情報を抽出し、
前記第1の接続道路の接続道路情報と、前記第2の接続道路の接続道路情報とを比較して、
前記第2の接続道路の接続道路情報の数値の方が大きい場合は、前記抽出した道路閉鎖区間の閉鎖の始点または終点となる車両出入口を、前記第2の接続道路に接続するように、前記遠方の車両出入口に置き換え、
前記記憶部が、
前記事象位置情報に含まれる道路地点または道路区間に関連付けられた、前記道路閉鎖区間情報に含まれる車両出入口を、前記遠方の車両出入口に置き換える、
ことを特徴とする。
【0013】
また、第5の発明による道路管制支援装置は、
前記記憶部が、
管制対象道路における位置情報または走行方向の順序または前後関係が規定された複数の車両出入口の各々に関連付けられた、当該車両出入口に直接的に或いは間接的に(所定の距離内で)接続する接続道路についての、車線数の情報、道路幅員の情報、および、単位時間あたりの車両通行可能量の情報のうち少なくとも1つを含む接続道路情報、を含む接続道路情報マスターテーブルをさらに格納し、
前記抽出部が、
前記事象位置情報に基づき、前記道路情報マスターテーブルを参照して、道路閉鎖区間情報を抽出し、
該道路閉鎖区間情報に含まれる閉鎖の始点または終点となる車両出入口に基づき、前記接続道路情報マスターテーブルを参照して、前記閉鎖の始点または終点となる車両出入口に、直接的に或いは間接的に接続される第1の接続道路の接続道路情報を抽出し、
前記事象に関連する道路地点または道路区間から見て、前記閉鎖の始点または終点となる車両出入口よりも、遠方の車両出入口に基づき、前記接続道路情報マスターテーブルを参照して、該遠方の車両出入口に、直接的に或いは間接的に接続される第2の接続道路の接続道路情報を抽出し、
前記入力受付部が、
第1の接続道路についての、車線数の情報、道路幅員の情報、および、単位時間あたりの車両通行可能量の情報のうち少なくとも1つの入力を受け付け、該入力で第1の接続道路の接続道路情報を置き換え、
第2の接続道路についての、車線数の情報、道路幅員の情報、および、単位時間あたりの車両通行可能量の情報のうち少なくとも1つの入力を受け付け、該入力で第2の接続道路の接続道路情報を置き換え、
前記抽出部が、
前記第1の接続道路の接続道路情報と、前記第2の接続道路の接続道路情報とを比較して、前記第2の接続道路の接続道路情報の数値の方が大きい場合は、前記抽出した道路閉鎖区間の閉鎖の始点または終点となる車両出入口を、前記第2の接続道路に接続するように、前記遠方の車両出入口に置き換える、
ことを特徴とする。
【0014】
また、第6の発明による道路管制支援装置は、
前記記憶部が、
前記道路閉鎖区間情報に含まれる、閉鎖の始点または終点となる車両出入口のいずれか1つである第1の車両出入口に関連付けられ、該第1の車両出入口を閉鎖の始点または終点とするよりも、優先的に閉鎖の始点または終点とするよう公的機関(警察、自治体など)により要請(主に、渋滞、事故多発、地域のイベントなどによる要請)されている第2の車両出入口を含む公的機関要請情報マスターテーブルをさらに格納し、
前記抽出部が、
前記公的機関要請情報マスターテーブルを参照して、前記抽出された道路閉鎖区間情報の閉鎖の始点または終点となる車両出入口が、前記第1の車両出口の場合は、関連付けられている該第2の車両出口に、前記道路閉鎖区間情報の閉鎖の始点または終点となる車両出入口を置き換える、
ことを特徴とする。
また、前記記憶部が、
管制対象道路における位置情報または走行方向の順序が規定された複数の車両出入口のうち、第1の車両出入口と、該第1の車両出入口に関連付けられ、該第1の車両出入口を閉鎖の始点または終点とするよりも、優先的に閉鎖の始点または終点とするよう公的機関(警察、自治体など)により要請(主に、渋滞、事故多発、地域のイベントなどによる要請)されている第2の車両出入口を含む公的機関要請情報マスターテーブルをさらに格納してもよい。
【0015】
また、第7の発明による道路管制支援装置は、
前記複数の車両出入口に直接的に或いは間接的に接続する接続道路を含む接続道路状況情報を取得する取得部をさらに有し、
前記記憶部が、
管制対象道路における位置情報または走行方向の順序または前後関係が規定された複数の車両出入口の各々に関連付けられた、当該車両出入口に直接的に或いは間接的に(所定の距離内で)接続する接続道路についての、車線数の情報、道路幅員の情報、および、単位時間あたりの車両通行可能量の情報のうち少なくとも1つを含む接続道路情報、を含む接続道路情報マスターテーブルをさらに格納し、
前記抽出部が、
前記事象位置情報に基づき、前記道路情報マスターテーブルを参照して、道路閉鎖区間情報を抽出し、
該道路閉鎖区間情報に含まれる閉鎖の始点または終点となる車両出入口に基づき、前記接続道路情報マスターテーブルを参照して、前記閉鎖の始点または終点となる車両出入口に、直接的に或いは間接的に接続される第1の接続道路の接続道路情報を抽出し、
前記事象に関連する道路地点または道路区間から見て、前記閉鎖の始点または終点となる車両出入口よりも、遠方の車両出入口に基づき、前記接続道路情報マスターテーブルを参照して、該遠方の車両出入口に、直接的に或いは間接的に接続される第2の接続道路の接続道路情報を抽出し、
前記取得部が、
前記第1および第2の接続道路の接続道路状況情報を取得し、
前記抽出部が、
前記第1の接続道路の接続道路状況情報(渋滞情報など)と、前記第2の接続道路の接続道路状況情報とを比較して、前記第2の接続道路の方が、時間あたりの車両通行量を多くできる場合は、前記抽出した道路閉鎖区間の閉鎖の始点または終点となる車両出入口を、前記第2の接続道路に接続するように、前記遠方の車両出入口に置き換える、
ことを特徴とする。
【0016】
また、第8の発明による道路管制支援装置は、
前記記憶部が、
複数の道路閉鎖区間の各々に関連付けられた、少なくとも1つの作業情報を含む、閉鎖区間関連作業情報マスターテーブルをさらに格納し、
前記抽出部が、
前記抽出した道路閉鎖区間に基づき、前記閉鎖区間関連作業情報マスターテーブルを参照して、対応する少なくとも1つの作業情報を抽出し、
前記表示部が、
前記抽出した道路閉鎖区間に対応する少なくとも1つの作業情報をさらに表示する、
ことを特徴とする道路管制支援装置。
【0017】
また、第9の発明による道路管制支援装置は、
前記記憶部が、
複数の複数の車両出入口の各々に関連付けられた、少なくとも1つの作業情報(道路情報板の設置、所定の位置の電光掲示板の表示操作、誘導員の配置など)を含む、車両出入口関連作業情報マスターテーブルをさらに格納し、
前記抽出部が、
前記抽出した道路閉鎖区間に含まれる車両出入口に基づき、前記車両出入口関連作業情報マスターテーブルを参照して、対応する少なくとも1つの作業情報を抽出し、
前記表示部が、
前記抽出した道路閉鎖区間に対応する少なくとも1つの作業情報をさらに表示する、
ことを特徴とする。
【0018】
また、第10の発明による道路管制支援装置は、
道路地点または道路区間と、道路地点または道路区間の各々に関連付けられた、閉鎖の始点または終点となる車両出入口を含む道路閉鎖区間情報と、時間的な要素を示す第1の時間情報と、を含む第1の道路情報マスターテーブルと、道路地点または道路区間と、道路地点または道路区間の各々に関連付けられた、閉鎖の始点または終点となる車両出入口を含む道路閉鎖区間情報と、時間的な要素を示す第2の時間情報と、を含む第2の道路情報マスターテーブルと、を格納する記憶部と、
前記管制対象道路における、事象に関連する道路地点または道路区間を含む事象位置情報と、時間的な要素を示す事象発生時間情報との入力を受け付ける入力受付部と、
前記事象発生時間情報に基づき、前記第1の道路情報マスターテーブルと、前記第2の道路情報マスターテーブルのうち、対応する時間情報を持つ方を参照して、前記事象位置情報に基づき、道路閉鎖区間情報を抽出する抽出部と、
前記前記抽出した道路閉鎖区間を表示する表示部と、
を有する。
【0019】
上述したように本発明の解決手段を装置として説明してきたが、本発明はこれらに実質的に相当する方法、プログラム、プログラムを記録したコンピュータ可読な記憶媒体としても実現し得るものであり、本発明の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。なお、下記の方法やプログラムの各ステップは、データの処理においては必要に応じて、CPU、DSPなどの演算処理装置(プロセッサ)を使用するものであり、入力したデータや加工・生成したデータなどを磁気テープ、HDD、メモリなどの記憶装置に格納するものである。
【0020】
例えば、本発明をプログラムとして実現させた、第11の発明による道路管制支援プログラムは、
演算処理装置を第1〜10の発明のいずれか1つに記載の道路管制支援装置として機能させる道路管制支援プログラムである。
【0021】
また、本発明をコンピュータ可読な記録媒体として実現させた、第12の発明による記憶媒体は、
道路管制支援プログラムを格納したコンピュータ可読な記憶媒体である。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、事や事故などの事象が発生する道路上の地点や区間に応じて、閉鎖すべき道路区間を自動的に抽出(決定)し、車両をスムーズに通行させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本発明の一実施態様による道路管制支援装置(システム)の概要を示すブロック図である。
図2図2は、図1に示した道路管制支援装置で実行される処理の一例を示すフローチャートである。
図3図3は、道路地点・道路区間と、道路閉鎖区間情報とを含む道路情報マスターテーブルのデータフォーマットの一例を示す図である。
図4図4は、図2の処理および図3のテーブルを利用したときの閉鎖区間設定を示す模式図である。
図5図5は、図2の処理および図3のテーブルを利用したときの閉鎖区間設定(終点となる車両出入口が変更される態様)を示す模式図である。
図6図6は、図1に示した道路管制支援装置で実行される処理の一例であって、接続道路の属性を利用するフローチャートである。
図7図7は、車両出入口に接続する接続道路についての接続道路情報を含む接続道路情報マスターテーブルのデータフォーマットの一例を示す図である。
図8図8は、図6の処理および図7のテーブルを利用したときの閉鎖区間設定を示す模式図である。
図9図9は、本発明の一実施態様による道路管制支援装置(システム)の概要を示すブロック図である。図
図10図10は、図9に示した道路管制支援装置で実行される処理の一例であって、接続道路の状況を取得して利用するフローチャートである。
図11図11は、図9に示した道路管制支援装置で実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以降、諸図面を参照しながら、本発明の実施態様を詳細に説明する。
【0025】
図1は、本発明の一実施態様による道路管制支援装置(システム)の概要を示すブロック図である。図に示すように、道路管制支援装置100(RCS)は、制御部(CPU、演算処理装置、プロセッサ)110、入力部IN、出力部OUT、通信部COM、記憶部120、および、表示部DIS(タッチパネル付きが好適である。)を有する。制御部110(CPU,プロセッサ、演算処理装置など)は、入力受付部IR、抽出部EXTを有する。
【0026】
記憶部120は、道路地点または道路区間と、道路地点または道路区間の各々に関連付けられた、閉鎖の始点または終点となる車両出入口(例えば、本線への進入規制が敷かれる車両出入口であり、本線を走行する車両はそこより先は通行止めとなり、本線から出されるインターチェンジなど)を少なくとも含む道路閉鎖区間情報とを含む道路情報マスターテーブルRIMを格納する、或いは、予め格納している。道路地点または道路区間は、道路の地点を示す地理的情報であれば、住所、座標などでもよく、これに関連付けられる車両出入口も、その地点を示す地理的情報であれば、住所、座標などでもよい。また、記憶部120は、道路情報を含む地図情報MPをさらに格納する、或いは、予め格納している。さらに、記憶部120は、管制対象道路における位置情報または走行方向の順序が規定された複数の車両出入口(インターチェンジ、入口、出口、ETC乗り場、ETC出口、乗り場、出口など)を含む車両出入口情報と、前記複数の車両出入口の各々に関連付けられた、車両出入口に直接的に或いは(所定の距離内で)間接的に接続する接続道路についての、車線数の情報、道路幅員の情報、および、単位時間あたりの車両通行可能量の情報のうち少なくとも1つを含む接続道路情報と、を含む接続道路情報マスターテーブルCRIMをさらに格納する、或いは、予め格納している。
【0027】
入力受付部IRは、管制対象道路における、事象に関連する道路地点または道路区間を含む事象位置情報の入力を受け付ける。事象位置情報入力の形式としては、道路名と起点からの距離(東名高速の用賀インターチェンジから10km、2kmポスト、AA高速のBBインターチェンジから上り方面3km、CC高速の20kmポストから下り100mなど)、住所、町名、地域名、位置座標(緯度、経度など))がある。抽出部EXTは、事象位置情報に基づき、道路情報マスターテーブルRIMを参照して、道路閉鎖区間情報を抽出する。表示部DISが、事象位置情報と、抽出した道路閉鎖区間とを表示する。
【0028】
また、表示部DISは、管制対象道路を含む地図を表示し、入力受付部IRが、表示部DISに表示された地図上で、表示部DISに設けたタッチパネル、マウスMUS、または、座標指示装置(図示せず)を用いた、道路地点または道路区間を含む事象位置情報の入力を受け付けることが好適である。
【0029】
抽出部EXTは、事象位置情報に基づき、道路情報マスターテーブルRIMを参照して、道路閉鎖区間情報を抽出し、道路閉鎖区間情報に含まれる閉鎖の始点(即ち、高速道路を走行する車両が、先に(閉鎖区間内に侵入したくても)行きたくても本線から強制的に下されてしまうインターチェンジ)または終点となる車両出入口に基づき、接続道路情報マスターテーブルCRIMを参照して、閉鎖の始点または終点となる車両出入口に、直接的に或いは間接的に接続される第1の接続道路の接続道路情報を抽出し、事象に関連する道路地点または道路区間から見て、閉鎖の始点または終点となる車両出入口よりも、遠方の車両出入口に基づき、接続道路情報マスターテーブルCRIMを参照して、その遠方の車両出入口に、直接的に或いは間接的に接続される第2の接続道路の接続道路情報を抽出する。そして、抽出部EXTは、第1の接続道路の接続道路情報と、第2の接続道路の接続道路情報とを比較して、第2の接続道路の接続道路情報の数値の方が大きい場合(例えば、第1よりも第2の方が、車線数が多い場合など)は、抽出した道路閉鎖区間の閉鎖の始点または終点となる車両出入口を、第2の接続道路に接続するように、この遠方の車両出入口に置き換えることが好適である。
【0030】
道路管制支援装置100は、通信部COM、ネットワークNETを介して、高速道路の交通全体を管制する交通管制サーバTCS、高速道路の管制、維持、保全、事故対応を行う者が持つ端末PC1、PC2、携帯端末PDA1、携帯電話端末MS1と接続し、情報のやり取りが可能である。出力部OUTは、プリンタPRNに本装置に格納される情報や生成・抽出・特定された情報を出力することができる。表示部DISも、本装置に格納される情報や生成・抽出・特定された情報を表示することができる。入力部INは、マウスMUSやキーボードKBDを介して入力される操作指示や情報入力を受け付け、受け付けた情報やデータを入力受付部IRに渡す。
【0031】
このように、生成・抽出した情報や中間データおよび取得したデータを外部に送信したり、表示部に表示したり、生成・抽出した情報や中間データおよび取得したデータなどを記憶部に格納したりすることは、後述する他の実態態様でも同様に可能であることに注意されたい。なお、本装置は、汎用コンピュータ、特定用途コンピュータ、サーバ、PC、スマートフォンなどの携帯端末などのコンピュータ、或いは、本装置の機能や処理手順(方法)をコンピュータ上で実現(実行)するプログラムモジュールをコンピュータが持つCPUや記憶部に保持したり、外部のサーバやストレージから読み込んだりすることで、コンピュータ上に本装置を構築することが好適であり、後続の各実施態様においても同様である。また、各機能部は、ネットワークで接続された別個のコンピュータや装置に分散させてもよい。
【0032】
図2は、図1に示した道路管制支援装置で実行される処理の一例を示すフローチャートである。図に示すように、ステップS11にて、記憶部120は、事象が発生する道路地点または道路区間と、道路地点または道路区間の各々に関連付けられた、閉鎖の始点または終点となる車両出入口を少なくとも含む道路閉鎖区間情報とを含む道路情報マスターテーブルRIMを格納する。ちなみに、各実施態様でのステップS11などのマスターテーブルへの格納ステップは、一回実施しておけば、その情報が変更されるまでは再実施する必要はない。或いは、格納ステップは、当該情報を格納したHDD,ROMやフラッシュメモリなどの記憶媒体を装置やコンピュータに搭載することで不要となる。
【0033】
次に、ステップS12にて、入力受付部IRは、管制対象道路における、事象に関連する道路地点または道路区間を含む事象位置情報の入力を受け付ける。上り、下りなどの道路の方向を含むことが好適であるが、地点入力の精度を高めることで、上りの車線の道路なのか、下りの車線の道路なのかまで入力をすることが可能である。道路を表示した画面において、タッチパネルをタッチすることで入力するのが好適であるが、文字情報、数字、記号、略号、略字などで道路地点または道路区間をキーボードKBDなどで入力してもよい。
【0034】
次に、ステップS13では、抽出部EXTは、事象位置情報に基づき、道路情報マスターテーブルRIMを参照して、道路閉鎖区間情報を抽出する。最後に、ステップS14にて、表示部DISが、事象位置情報と、抽出した道路閉鎖区間とを表示する。このとき、事象位置情報と共に、事象が発生した道路を地図上に表示することが好適である。地図のデータは、記憶部120に格納された道路情報を含む地図情報MPから読み出して使用する。このように、事故や工事などの事象に関連する地点を入力するといった簡便な操作だけで、適切な道路閉鎖区間を抽出・特定することが可能となる。これを受けて、道路管制員は、交通管制サーバTCSに適切な操作コマンドなどを入力することが可能となる。或いは、本装置により抽出された道路閉鎖区間に基づき、交通管制サーバTCSに対応した操作コマンドを生成して、交通管制サーバTCSのAPIに当該コマンドを送出することも可能である。
【0035】
図3は、道路地点・道路区間と、道路閉鎖区間情報とを含む道路情報マスターテーブルのデータフォーマットの一例を示す図である。図に示すように道路情報マスターテーブルRIM10は、大まかには、左側の道路地点・道路区間フィールドRGF10と、右側の道路閉鎖区間情報フィールドRCIF10とに分かれる。道路地点・道路区間フィールドRGF10には、道路地点・道路区間RG10、RG12、RG13などの複数の項目があり、各々が、道路閉鎖区間情報フィールドRCIF10に含まれる道路閉鎖区間情報RCI11、RCI12、RGI13に関連付けられている。
【0036】
例えば、RG11には下記のような道路地点や道路区間などが規定されている。
ABC高速 :起点から20km〜35kmまで
インターチェンジFF〜インターチェンジGG
20kポスト〜35kポスト
XX市YY区、YZ区、YX区
位置:緯度 35度xx分xx.xxx秒(35.xxxxx), 経度 139度xx分xx.yyy秒(139.Zzzzz)
【0037】
RG12には下記のような道路地点や道路区間などが規定されている。
ABC高速 :起点から75m〜85kmまで
インターチェンジKK〜インターチェンジLL
75kポスト〜85kポスト
XX市KK区、LL区
位置:緯度 35度xx分xx.xxx秒(35.xxxxx), 経度 139度xx分38.xx秒(139.vvvv)
【0038】
RG13には下記のような道路地点や道路区間などが規定されている。
ABC高速 :起点から150km〜20kmまで
インターチェンジEE〜インターチェンジFF
15kポスト〜20kポスト
【0039】
RCI11には下記のような道路閉鎖区間(閉鎖区間の始点)が規定されている。
閉鎖の始点となる車両出入口
インターチェンジEE
また、RCI12には下記のような道路閉鎖区間(閉鎖区間の始点、終点)が規定されている。
閉鎖の始点となる車両出入口
インターチェンジHH
閉鎖の終点となる車両出入口
インターチェンジMM
また、RCI13には下記のような道路閉鎖区間(閉鎖区間の始点、終点)が規定されている
閉鎖の始点となる車両出入口
インターチェンジEE
閉鎖の終点となる車両出入口
インターチェンジGG
【0040】
図4は、図2の処理および図3のテーブルを利用したときの閉鎖区間設定を示す模式図である。図に示すように、画面インターフェイスSCR10には、本装置による処理を使用せずに従来からの運用(接続道路の状況を考慮せずに、シンプルに事象により通行できない地点の両端の車両出入口を閉鎖道路区間とする態様)によりどのような閉鎖区間が設定され、高速道路から降ろされた車両がどのようなルートで一般道路を経て、高速道路に戻るのかを示してある。高速道路HWTMを走行している車両が、インターチェンジFFとインターチェンジGGとの間の道路地点ICP10にて事故を起こして、車線が塞がれる事象が発生したものと仮定する。本発明を適用しない場合であれば、インターチェンジFFとインターチェンジGGを閉鎖道路区間に設定し、インターチェンジFFを道路閉鎖の始点の車両出入口に設定し、左の方向からくる車両は本線から降ろして、矢印AR10のように、接続道路CR11に誘導し、一般道路NW10、接続道路CR12を経て、矢印AR11,AR12を辿って、インターチェンジGGから再度、本線に入る運用となる。このとき、接続道路CR11が細すぎて(輸送量が足りない状況)、本線の輸送量を処理することができずに、接続道路CR11上で渋滞が発生してしまう。もちろん、様々な道路状況や道路関連の資料などを参照して、それなりに時間をかけるか、或いは、スキルがある道路事情を知り尽くしたベテランの管制員に頼れば、渋滞が起こらないスムーズな交通を実現すべくCR11を避ける閉鎖道路設定も可能ではあるが、その場合には、迅速な操作・処理・運用は困難を伴う。
【0041】
さて、画面インターフェイスSCR11には、本装置による処理・運用を適用した場合(図2の処理と、図3のテーブル使用)に設定された閉鎖区間と、高速道路から降ろされた車両がどのようなルートで一般道路を経て、高速道路に戻るのかを示してある。画面インターフェイスSCR11でも、画面インターフェイスSCR10と同様の道路状況で、同じ地点で事象が発生するものと仮定する。即ち、異なるのは本装置(本発明)を適用するか否かのみである。この例では、接続道路CR11が車線数が少なく、十分な車両の輸送量(交通量)を確保できないなどの理由から、インターチェンジFFとインターチェンジGGとの間で事象が発生した場合には、閉鎖の始点を、インターチェンジFFではなく、車両の進行方向のより上流で、かつ、十分な車線数があり、十分な輸送量を確保できる接続道路CR10に繋がるインターチェンジEEとするような項目が道路情報マスターテーブルに規定されており、そのテーブルを利用するため、閉鎖道路区間、即ち、閉鎖の始点は、インターチェンジEEが自動的に抽出され、設定される。このようにして、狭くて輸送量が十分でない接続道路CR11への車両流入を避けることができるため、CR11での渋滞を抑止して、スムーズな車両通行を提供することが可能となる。
【0042】
図5は、図2の処理および図3のテーブルを利用したときの閉鎖区間設定(終点となる車両出入口が変更される態様)を示す模式図である。
図に示すように、画面インターフェイスSCR20には、本装置による処理を使用せずに従来からの運用(接続道路の状況を考慮せずに、シンプルに事象により通行できない地点の両端の車両出入口を閉鎖道路区間とする態様)によりどのような閉鎖区間が設定され、高速道路から降ろされた(出された)車両がどのようなルートで一般道路を経て、高速道路に戻るのかを示してある。高速道路HWTMを走行している車両が、インターチェンジEEとインターチェンジFFとの間の道路地点ICP20にて事故を起こして、車線が塞がれる事象が発生したものと仮定する。本発明を適用しない場合であれば、インターチェンジEEとインターチェンジFFを閉鎖道路区間に設定し、インターチェンジFFを道路閉鎖の始点の車両出入口(その手前の電光掲示板で「ここより出よ」などの警告表示をする。)に設定し、車両の進行方向のより上流(左の方向)からくる車両は本線から降ろして、矢印AR20のように、接続道路CR10に誘導し、一般道路NW10、接続道路CR11を経て、矢印AR21,AR2を辿って、インターチェンジFFから再度、本線に入る運用となる。このとき、接続道路CR11が細すぎて(輸送量が足りない状況)、本線の輸送量を処理することができずに、接続道路CR11上で渋滞が発生してしまう。特に、郊外や大都市と大都市との間のような高速道路では、このような渋滞は顕著になる。その理由は、多くの車両が、大都市間を行き交うものであり、途中で高速道路を下されても、閉鎖区間が終了したインターチェンジからまた高速道路に戻るからである。
【0043】
なお、様々な道路状況や道路関連の資料などを参照して、それなりに時間をかけるか、或いは、スキルがある道路事情を知り尽くしたベテランの管制員に頼れば、渋滞が起こらないスムーズな交通を実現すべくCR11を避ける閉鎖道路設定も可能ではあるが、その場合でも、迅速な操作・処理・運用は困難を伴う。
【0044】
さて、画面インターフェイスSCR21には、本装置による処理・運用を適用した場合(図2の処理と、図3のテーブル使用)に設定された閉鎖区間と、高速道路から降ろされた車両がどのようなルートで一般道路を経て、高速道路に戻るのかを示してある。画面インターフェイスSCR21でも、画面インターフェイスSCR20と同様の道路状況で、同じ地点で事象が発生するものと仮定する。即ち、異なるのは本装置(本発明)を適用するか否かのみである。この例では、接続道路CR11の車線数が少なく、十分な輸送量を確保できないなどの理由から、インターチェンジEEとインターチェンジFFとの間で事象が発生した場合には、閉鎖の始点を、インターチェンジFFではなく、車両進行方向ではより下流側で(事故地点から見て遠方)、かつ、十分な車線数があり、十分な輸送量を確保できる接続道路CR12に繋がるインターチェンジGGとするような項目が道路情報マスターテーブルに規定されており、そのテーブルを利用するため、閉鎖の終点は、インターチェンジGGが自動的に抽出され、設定される。このようにして、狭くて輸送量が十分でない接続道路CR11への車両流入を避けることができるため、CR11での渋滞を抑止して、スムーズな車両通行を提供することが可能となる。このように、本装置によれば、車両出入口の始点でも、終点でも、より適正なものが抽出されるようにテーブルに規定することで、閉鎖道路区間設定に伴う様々な不利益を低減、抑止、或いは解消することが可能となる。
【0045】
次に、接続道路の属性(車線数、車両の通行可能量など)に応じて、閉鎖区間を変更して、よりスムーズな交通を実現させる技法について説明する。
【0046】
図6は、図1に示した道路管制支援装置で実行される処理の一例であって、接続道路の属性を利用するフローチャートである。図に示すように、ステップS21にて、記憶部120は、事象が発生する道路地点または道路区間と、道路地点または道路区間の各々に関連付けられた、閉鎖の始点または終点となる車両出入口を少なくとも含む道路閉鎖区間情報とを含む道路情報マスターテーブルRIMと、管制対象道路における位置情報または走行方向の順序または前後関係が規定された複数の車両出入口の各々に関連付けられた、当該車両出入口に直接的に或いは間接的に(所定の距離内で)接続する接続道路についての、車線数の情報、道路幅員の情報、および、単位時間あたりの車両通行可能量の情報のうち少なくとも1つを含む接続道路情報、を含む接続道路情報マスターテーブルCRIMを格納する。
【0047】
次に、ステップS22にて、入力受付部IRは、管制対象道路における、事象に関連する道路地点または道路区間を含む事象位置情報の入力を受け付ける。上り、下りなどの道路の方向を含むことが好適であるが、地点入力の精度を高めることで、上りの車線の道路なのか、下りの車線の道路なのかまで入力をすることが可能である。道路を表示した画面において、タッチパネルをタッチすることで入力するのが好適であるが、文字情報、数字、記号、略号、略字などで道路地点または道路区間をキーボードKBDなどで入力してもよい。
【0048】
次に、ステップS23では、抽出部EXTは、事象位置情報に基づき、道路情報マスターテーブルRIMを参照して、道路閉鎖区間情報を抽出する。さらに、ステップS24では、抽出部EXTは、該道路閉鎖区間情報に含まれる閉鎖の始点または終点となる車両出入口に基づき、接続道路情報マスターテーブルを参照して、閉鎖の始点または終点となる車両出入口に、直接的に或いは間接的に接続される第1の接続道路の接続道路情報を抽出する。続いて、ステップS25では、抽出部EXTは、事象に関連する道路地点または道路区間から見て、閉鎖の始点または終点となる車両出入口よりも、遠方の車両出入口に基づき、接続道路情報マスターテーブルを参照して、該遠方の車両出入口に、直接的に或いは間接的に接続される第2の接続道路の接続道路情報を抽出する。ステップS26にて、抽出部EXTは、第1の接続道路の接続道路情報と、第2の接続道路の接続道路情報とを比較して、第2の接続道路の接続道路情報の数値の方が大きい場合(例えば、第1よりも第2の方が、車線数が多い場合など)は、前記抽出した道路閉鎖区間の閉鎖の始点または終点となる車両出入口を、前記第2の接続道路に接続するように、遠方の車両出入口に置き換える。
【0049】
最後に、ステップS27にて、表示部DISが、事象位置情報と、抽出した道路閉鎖区間(遠方の車両出入口に置換されたもの)とを表示する。このとき、事象位置情報と共に、事象が発生した道路を地図上に表示することが好適である。地図のデータは、記憶部120に格納された道路情報を含む地図情報MPから読み出して使用する。このように、事故や工事などの事象に関連する地点を入力するといった簡便な操作だけで、適切な道路閉鎖区間を抽出・特定することが可能となる。これを受けて、道路管制員は、交通管制サーバTCSに適切な操作コマンドなどを入力することが可能となる。或いは、本装置により抽出された道路閉鎖区間に基づき、交通管制サーバTCSに対応した操作コマンドを生成して、交通管制サーバTCSのAPIに当該コマンドを送出することも可能である。本フローチャートの処理によれば、道路情報マスターテーブルで設定された車両出入口が接続道路の観点から不適切であった場合でも、接続道路の状況に応じて、より適切でより渋滞が起こりにくい閉鎖道路区間の設定を自動的に行うことが可能となる。
【0050】
図7は、車両出入口に接続する接続道路についての接続道路情報を含む接続道路情報マスターテーブルのデータフォーマットの一例を示す図である。図に示すように道路情報マスターテーブルCRIM30は、管制対象道路における位置情報または走行方向の順序または前後関係が規定された複数の車両出入口の各々に関連付けられた、当該車両出入口に直接的に或いは間接的に接続する接続道路についての、車線数の情報、道路幅員の情報、および、単位時間あたりの車両通行可能量の情報のうち少なくとも1つを含む接続道路情報が含まれる。例えば、道路情報マスターテーブルRIM30に、左側の道路地点・道路区間フィールドRGF30と、右側の道路閉鎖区間情報フィールドRCIF30があるとする。道路地点・道路区間フィールドRGF30には、道路地点・道路区間RG31、RG32、RG33などの複数の項目があり、各々が、道路閉鎖区間情報フィールドRCIF30に含まれる道路閉鎖区間情報RCI31、RCI32、RGI33に関連付けられている。
【0051】
道路地点・道路区間RG31、RG32、RG33の内容は省略するが、図3のように道路地点や道路区間が規定されている。
【0052】
RCI31には下記のような道路閉鎖区間(閉鎖区間の始点)が規定されている。
閉鎖の始点となる車両出入口
インターチェンジK5
また、RCI32には下記のような道路閉鎖区間(閉鎖区間の始点、終点)が規定されている。
閉鎖の始点となる車両出入口
インターチェンジJ2
閉鎖の終点となる車両出入口
インターチェンジJ3
また、RCI33には下記のような道路閉鎖区間(閉鎖区間の始点、終点)が規定されている
閉鎖の始点となる車両出入口
インターチェンジP7
閉鎖の終点となる車両出入口
インターチェンジP8
【0053】
そして、接続道路情報マスターテーブルには、車両出入口(インターチェンジ)が走行方法で上からの順序で配置されている。また、例えば、車両出入口インターチェンジK5を含むRCI31は、同じ車両出入口を含む接続道路情報CRIM30−K5に関連付けておくことが好適である。関連付けなくても、同じ位置情報や同じ名称やコードを持たせてもよい。このようにテーブルを規定しておくことで、本装置は、車両出入口インターチェンジK5に接続する接続道路CRK5の情報(車線数2)と、それよりも走行方向で上流(事象位置から見てより遠方となる)の車両出入口インターチェンジK4(図では1つ上の項目)に接続する接続道路CRK4の情報(車線数2)と比較して、より交通量が見込めて、渋滞などの問題が起こりにくい閉鎖道路区間となる車両出入口を設定することが可能となる。
【0054】
図8は、図6の処理および図7のテーブルを利用したときの閉鎖区間設定を示す模式図である。図に示すように、画面インターフェイスSCR30には、接続道路の状況を考慮せずに、シンプルに事象により通行できない地点の両端の車両出入口を閉鎖道路区間とする態様によりどのような閉鎖区間が設定され、高速道路から降ろされた車両がどのようなルートで一般道路を経て、高速道路に戻るのかを示してある。高速道路HW30を走行している車両が、インターチェンジJ2とインターチェンジJ3との間の道路地点ICP30にて事故を起こして、車線が塞がれる事象が発生したものと仮定する。本発明を適用しない場合であれば、インターチェンジJ2とインターチェンジJ3を閉鎖道路区間に設定し、インターチェンジJ2を道路閉鎖の始点の車両出入口に設定し、左の方向からくる車両は本線から降ろして、矢印AR30のように、接続道路CR32に誘導し、一般道路NW30、接続道路CR33を経て、矢印AR31,AR32を辿って、インターチェンジJ3から再度、本線に入る運用となる。このとき、接続道路CR32が細すぎて(車線数が1本で車両輸送量、交通可能量が足りない状況)、本線の車両輸送量/車両通行量を処理することができずに、接続道路CR32上で渋滞が発生してしまう。本装置を使用していても、道路情報マスターテーブルの項目の設定によっては、このような閉鎖道路区間が設定される場合もあり得る。即ち、道路が新設されたり、道路の状況が変化したりした場合には、このような不都合は生じる恐れがある。
【0055】
さて、画面インターフェイスSCR31には、本装置による処理・運用を適用した場合(図6の処理と、図7のテーブル使用)に設定された閉鎖区間と、高速道路から降ろされた車両がどのようなルートで一般道路を経て、高速道路に戻るのかを示してある。画面インターフェイスSCR31でも、画面インターフェイスSCR30と同様の道路状況で、同じ地点で事象が発生するものと仮定する。即ち、異なるのは本装置(本発明)の本処理を適用するか否かのみである。この例では、接続道路CR32が車線数が少なく、十分な車両の輸送量(交通量)を確保できないなどの理由から、インターチェンジJ2が閉鎖の始点の車両出入口に設定された場合には、それよりも遠方のインターチェンジJ1に接続する接続道路CR31の情報と比較して、車線数2本で、よりスムーズな交通を実現できる接続道路CR31に接続する遠方のインターチェンジJ1に閉鎖の始点となる車両出入口を置換したものである。
【0056】
このように、インターチェンジJ2ではなく、車両の進行方向のより上流で、かつ、十分な車線数があり、十分な輸送量を確保できる接続道路CR31に繋がるインターチェンジJ1とするような項目が接続道路情報マスターテーブルに規定されており、そのテーブルを利用するため、閉鎖道路区間、即ち、閉鎖の始点は、インターチェンジJ1に自動的に置換され、設定される。このようにして、狭くて車両の輸送量(交通量)が十分でない接続道路CR32への車両流入を避けることができるため、CR32での渋滞を抑止して、スムーズな車両通行を提供することが可能となる。
【0057】
また、このように接続道路の状況により車両出入口の置き換えが発生した場合には、記憶部が、道路情報マスターテーブルに含まれる事象位置情報に含まれる道路地点または道路区間に関連付けられた、前記道路閉鎖区間情報に含まれる車両出入口を、前記遠方の車両出入口に置き換えることが好適である。このようにしておけば、次回からは、道路情報マスターテーブルを参照することで、接続道路の状況を考慮した車両出入口が抽出されることになる。
【0058】
図9は、本発明の一実施態様による道路管制支援装置(システム)の概要を示すブロック図である。図に示すように、道路管制支援装置200(FMNPS)は、制御部(CPU、演算処理装置、プロセッサ)210、入力部IN、出力部OUT、通信部COM、記憶部120、および、表示部DISを有する。制御部210(CPU,プロセッサ、演算処理装置など)は、入力受付部IR、抽出部EXT、取得部ACQを有する。記憶部220は、道路地点または道路区間と、道路地点または道路区間の各々に関連付けられた、閉鎖の始点または終点となる車両出入口を少なくとも含む道路閉鎖区間情報とを含む道路情報マスターテーブルRIMを格納する、或いは、予め格納している。また、記憶部220は、道路情報を含む地図情報MPをさらに格納する、或いは、予め格納している。さらに、記憶部220は、管制対象道路における位置情報または走行方向の順序が規定された複数の車両出入口(インターチェンジ、入口、出口、ETC乗り場、ETC出口、乗り場、出口など)を含む車両出入口情報と、前記複数の車両出入口の各々に関連付けられた、車両出入口に直接的に或いは(所定の距離内で)間接的に接続する接続道路についての、車線数の情報、道路幅員の情報、および、単位時間あたりの車両通行可能量の情報のうち少なくとも1つを含む接続道路情報と、を含む接続道路情報マスターテーブルCRIMをさらに格納する、或いは、予め格納している。
【0059】
本実施態様では、記憶部は、道路閉鎖区間情報に含まれる、閉鎖の始点または終点となる車両出入口のいずれか1つである第1の車両出入口に関連付けられ、該第1の車両出入口を閉鎖の始点または終点とするよりも、優先的に閉鎖の始点または終点とするよう公的機関により要請されている第2の車両出入口を含む公的機関要請情報マスターテーブルPDMをさらに格納する。そして、抽出部EXTが、公的機関要請情報マスターテーブルPDMを参照して、抽出された道路閉鎖区間情報の閉鎖の始点または終点となる車両出入口が、第1の車両出口の場合は、関連付けられている該第2の車両出口に、道路閉鎖区間情報の閉鎖の始点または終点となる車両出入口を置き換える。
【0060】
入力受付部IRは、管制対象道路における、事象に関連する道路地点または道路区間を含む事象位置情報の入力を受け付ける。事象位置情報入力の形式としては、道路名と起点からの距離(東名高速の用賀インターチェンジから10km、2kmポスト、AA高速のBBインターチェンジから上り方面3km、CC高速の20kmポストから下り100mなど)、住所、町名、地域名、位置座標(緯度、経度など))がある。抽出部EXTは、事象位置情報に基づき、道路情報マスターテーブルRIMを参照して、道路閉鎖区間情報を抽出する。表示部DISが、事象位置情報と、抽出した道路閉鎖区間とを表示する。
【0061】
また、表示部DISは、管制対象道路を含む地図を表示し、入力受付部IRが、表示部DISに表示された地図上で、表示部DISに設けたタッチパネル、マウスMUS、または、座標指示装置(図示せず)を用いた、道路地点または道路区間を含む事象位置情報の入力を受け付けることが好適である。
【0062】
抽出部EXTは、事象位置情報に基づき、道路情報マスターテーブルRIMを参照して、道路閉鎖区間情報を抽出し、道路閉鎖区間情報に含まれる閉鎖の始点(即ち、高速道路を走行する車両が、先に(閉鎖区間内に侵入したくても)行きたくても本線から強制的に下されてしまうインターチェンジ)または終点となる車両出入口に基づき、接続道路情報マスターテーブルCRIMを参照して、閉鎖の始点または終点となる車両出入口に、直接的に或いは間接的に接続される第1の接続道路の接続道路情報を抽出し、事象に関連する道路地点または道路区間から見て、閉鎖の始点または終点となる車両出入口よりも、遠方の車両出入口に基づき、接続道路情報マスターテーブルCRIMを参照して、その遠方の車両出入口に、直接的に或いは間接的に接続される第2の接続道路の接続道路情報を抽出する。そして、抽出部EXTは、第1の接続道路の接続道路情報と、第2の接続道路の接続道路情報とを比較して、第2の接続道路の接続道路情報の数値の方が大きい場合(例えば、第1よりも第2の方が、車線数が多い場合など)は、抽出した道路閉鎖区間の閉鎖の始点または終点となる車両出入口を、第2の接続道路に接続するように、この遠方の車両出入口に置き換えることが好適である。
【0063】
道路管制支援装置200は、通信部COM、ネットワークNETを介して、高速道路の交通全体を管制する交通管制サーバTCS、高速道路の管制、維持、保全、事故対応を行う者が持つ端末PC1、PC2、携帯端末PDA1、携帯電話端末MS1と接続し、情報のやり取りが可能である。出力部OUTは、プリンタPRNに本装置に格納される情報や生成・抽出・特定された情報を出力することができる。表示部DISも、本装置に格納される情報や生成・抽出・特定された情報を表示することができる。入力部INは、マウスMUSやキーボードKBDを介して入力される操作指示や情報入力を受け付け、受け付けた情報やデータを入力受付部IRに渡す。
【0064】
本実施態様では、制御部210が、車両出入口に直接的に或いは間接的に接続する接続道路についての、渋滞情報、通行量情報、車線数情報、道路幅員情報、および、単位時間あたりの車両通行可能量情報および、車両平均時速情報のうち少なくとも1つを含む接続道路状況情報を取得する取得部ACQをさらに有する。この接続道路状況情報を取得して利用する態様を次に説明する。この場合には、接続道路情報マスターテーブルは、車両出入口と接続道路との接続関係のみを利用し、そこに格納されている接続道路についての、車線数の情報、道路幅員の情報、および、単位時間あたりの車両通行可能量の情報のうち少なくとも1つを含む接続道路情報(よって、そのような態様では、この情報は格納するのは必須ではない。)は利用しないで、取得部ACQが取得したデータを利用する。
【0065】
抽出部EXTが、前記事象位置情報に基づき、前記道路情報マスターテーブルを参照して、道路閉鎖区間情報を抽出し、該道路閉鎖区間情報に含まれる閉鎖の始点または終点となる車両出入口に基づき、前記接続道路情報マスターテーブルを参照して、前記閉鎖の始点または終点となる車両出入口に、直接的に或いは間接的に接続される第1の接続道路の接続道路情報を抽出し、前記事象に関連する道路地点または道路区間から見て、前記閉鎖の始点または終点となる車両出入口よりも、遠方の車両出入口に基づき、前記接続道路情報マスターテーブルを参照して、該遠方の車両出入口に、直接的に或いは間接的に接続される第2の接続道路の接続道路情報を抽出する。
【0066】
取得部ACQが、第1および第2の接続道路の接続道路状況情報を取得する。そして、抽出部EXTが、前記第1の接続道路の接続道路状況情報と、前記第2の接続道路の接続道路状況情報とを比較して、前記第2の接続道路の方が、時間あたりの車両通行量を多くできる場合は、前記抽出した道路閉鎖区間の閉鎖の始点または終点となる車両出入口を、前記第2の接続道路に接続するように、前記遠方の車両出入口に置き換える。このようにして、接続道路状況情報を利用して、動的に、車両出入口が最適な接続道路に接続することが可能となる。接続道路状況情報は、情報通信システム「VICS(登録商標)」などのサーバから取得することが好適である。
【0067】
図10は、図9に示した道路管制支援装置で実行される処理の一例であって、接続道路の状況を取得して利用するフローチャートである。図に示すように、ステップS31にて、記憶部220は、事象が発生する道路地点または道路区間と、道路地点または道路区間の各々に関連付けられた、閉鎖の始点または終点となる車両出入口を少なくとも含む道路閉鎖区間情報とを含む道路情報マスターテーブルRIMと、管制対象道路における位置情報または走行方向の順序または前後関係が規定された複数の車両出入口の各々に関連付けられた、当該車両出入口に直接的に或いは間接的に(所定の距離内で)接続する接続道路を含む接続道路情報マスターテーブルCRIMを格納する。
【0068】
次に、ステップS32にて、入力受付部IRは、管制対象道路における、事象に関連する道路地点または道路区間を含む事象位置情報の入力を受け付ける。上り、下りなどの道路の方向を含むことが好適であるが、地点入力の精度を高めることで、上りの車線の道路なのか、下りの車線の道路なのかまで入力をすることが可能である。道路を表示した画面において、タッチパネルをタッチすることで入力するのが好適であるが、文字情報、数字、記号、略号、略字などで道路地点または道路区間をキーボードKBDなどで入力してもよい。
【0069】
次に、ステップS33では、抽出部EXTは、事象位置情報に基づき、道路情報マスターテーブルRIMを参照して、道路閉鎖区間情報を抽出する。さらに、ステップS34では、抽出部EXTは、該道路閉鎖区間情報に含まれる閉鎖の始点または終点となる車両出入口に基づき、接続道路情報マスターテーブルを参照して、閉鎖の始点または終点となる車両出入口に、直接的に或いは間接的に接続される第1の接続道路の接続道路情報を抽出する。続いて、ステップS35では、抽出部EXTは、事象に関連する道路地点または道路区間から見て、閉鎖の始点または終点となる車両出入口よりも、遠方の車両出入口に基づき、接続道路情報マスターテーブルを参照して、該遠方の車両出入口に、直接的に或いは間接的に接続される第2の接続道路の接続道路情報を抽出する。
【0070】
次にステップS36にて、取得部ACQが、第1および第2の接続道路の接続道路状況情報を取得し、抽出部EXTが、前記第1の接続道路の接続道路状況情報と、前記第2の接続道路の接続道路状況情報とを比較して、前記第2の接続道路の方が、時間あたりの車両通行量を多くできる場合は、前記抽出した道路閉鎖区間の閉鎖の始点または終点となる車両出入口を、前記第2の接続道路に接続するように、前記遠方の車両出入口に置き換える。
【0071】
最後に、ステップS37にて、表示部DISが、事象位置情報と、抽出した道路閉鎖区間(遠方の車両出入口に置換されたもの)とを表示する。このとき、事象位置情報と共に、事象が発生した道路を地図上に表示することが好適である。地図のデータは、記憶部220に格納された道路情報を含む地図情報MPから読み出して使用する。このように、事故や工事などの事象に関連する地点を入力するといった簡便な操作だけで、適切な道路閉鎖区間を抽出・特定することが可能となる。これを受けて、道路管制員は、交通管制サーバTCSに適切な操作コマンドなどを入力することが可能となる。或いは、本装置により抽出された道路閉鎖区間に基づき、交通管制サーバTCSに対応した操作コマンドを生成して、交通管制サーバTCSのAPIに当該コマンドを送出することも可能である。本フローチャートの処理によれば、道路情報マスターテーブルで設定された車両出入口が、「現時点での接続道路(リアルタイムの交通状況)」の観点から不適切であった場合でも、「現時点での接続道路(リアルタイムの交通状況)」の状況に応じて、より適切で、例えばより渋滞が起こりにくい閉鎖道路区間の設定を自動的に行うことが可能となる。
【0072】
本実施態様では、記憶部220が、複数の道路閉鎖区間の各々に関連付けられた、少なくとも1つの作業情報を含む、或いは、複数の複数の車両出入口の各々に関連付けられた、少なくとも1つの作業情報を含む、閉鎖区間関連作業情報マスターテーブルCIWMをさらに格納する。そして、抽出部EXTが、前記抽出した道路閉鎖区間に基づき、前記閉鎖区間関連作業情報マスターテーブルCIWMを参照して、対応する少なくとも1つの作業情報を抽出するか、或いは、前記抽出した道路閉鎖区間に含まれる車両出入口に基づき、前記車両出入口関連作業情報マスターテーブルを参照して、対応する少なくとも1つの作業情報を抽出する。そして、表示部DISが、抽出した道路閉鎖区間に対応する少なくとも1つの作業情報、或いは、抽出した道路閉鎖区間に対応する少なくとも1つの作業情報をさらに表示する。もちろん、これらの西行情報は、閉鎖道路区間の表示と共に表示部DISに表示することが好適である。閉鎖区間関連作業情報マスターテーブルの一例を以下に示す。
【0073】
<<閉鎖区間関連作業情報マスターテーブル>>
道路閉鎖区間1(インターチェンジK1〜K2、下り方面):作業情報1(インターチェンジK1の手前(上り方面)設置の電光掲示板に「ここで出よ(この先通行止め)」の表示コマンドを道路管制サーバに入力)
道路閉鎖区間2(インターチェンジK8〜K9、上り方面):作業情報2(インターチェンジK9の手前(下り方面)設置の電光掲示板に「ここで出よ(この先通行止め)」の表示コマンドを道路管制サーバに入力、K9へ流入する接続道路に設置の電光掲示板に「上り方面事故により通行止め(上り方面はインターチェンジK8から走行可能)」の表示コマンドを道路管制サーバに入力
【0074】
次に本実施態様では、時間帯や季節別に異なる道路情報マスターテーブルを用意しておき、その時期や時間帯にあったテーブルを自動選択して使用することが可能であり、以下その態様を説明する。
【0075】
記憶部220が、道路地点または道路区間と、道路地点または道路区間の各々に関連付けられた、閉鎖の始点または終点となる車両出入口を含む道路閉鎖区間情報と、時間的な要素を示す第1の時間情報と、を含む第1の道路情報マスターテーブルと、道路地点または道路区間と、道路地点または道路区間の各々に関連付けられた、閉鎖の始点または終点となる車両出入口を含む道路閉鎖区間情報と、時間、時間帯、季節、日中、平日、休日、祝日、夜間、期間、日付または曜日のうちの少なくとも1つ、即ち、時間的要素を示す第2の時間情報(時間、時期を表す)と、を含む第2の道路情報マスターテーブルとを格納する。例えば、時間情報だけを提示すれば、以下のようになる。本装置は、事象発生時間に基づき、複数の道路情報マスターテーブルから、同一の時間、または、時間が重なるものを選択して、適切に閉鎖道路区間を設定することが可能である。
<<第1の道路情報マスターテーブル>>
第1の時間情報:平日(月曜〜金曜)
<<第2の道路情報マスターテーブル>>
第2の時間情報:休日(土曜、日曜、祝日)
<<第3の道路情報マスターテーブル>>
第3の時間情報:夏休み期間(7月〜9月)
<<第4の道路情報マスターテーブル>>
第4の時間情報:夜間(20時〜5時)
【0076】
入力受付部が、管制対象道路における、事象に関連する道路地点または道路区間を含む事象位置情報と、事象発生時間情報との入力を受け付ける。そして抽出部EXTが、前記事象発生時間情報に基づき、前記第1の道路情報マスターテーブルと、前記第2の道路情報マスターテーブルのうち、対応する時間情報を持つ方を参照して、前記事象位置情報に基づき、道路閉鎖区間情報を抽出する。本構成によれば、時間帯、季節、月末、週末など時間的要素で変動する接続道路の状況や、本線の道路状況に応じて、適切な閉鎖道路区間を選択することが可能となる。例えば、日中には渋滞するが、夜間は交通量が極端に少なくなる場合、海の近くで夏休みシーズンは慢性的に渋滞するが、その他の季節では、交通量が極端に少なくなる場合などは、このような時間的要素に依存する、第1および第2の道路情報マスターテーブルを用意しておくことが想定される。また、花火大会、コンサートなどの車両渋滞が予測されるイベントが実施される場合にも、このような2つの時間要素に対応する第1および第2の道路情報マスターテーブルを用意しておけば、高速道路の閉鎖作業に伴う周辺道路での渋滞の低減に役立つであろう。
【0077】
図11は、図9に示した道路管制支援装置で実行される処理の一例を示すフローチャートである。図に示すように、ステップS41にて、記憶部120は、道路地点または道路区間と、道路地点または道路区間の各々に関連付けられた、閉鎖の始点または終点となる車両出入口を含む道路閉鎖区間情報と、時間的な要素を示す第1の時間情報と、を含む第1の道路情報マスターテーブルと、道路地点または道路区間と、道路地点または道路区間の各々に関連付けられた、閉鎖の始点または終点となる車両出入口を含む道路閉鎖区間情報と、時間的な要素を示す第2の時間情報と、を含む第2の道路情報マスターテーブルとを格納する。次に、ステップS42にて、入力受付部IRは、管制対象道路における、事象に関連する道路地点または道路区間を含む事象位置情報と、事象発生時間情報との入力を受け付ける。
【0078】
次に、ステップS43では、抽出部EXTは、事象発生時間情報に基づき、第1の道路情報マスターテーブルと、第2の道路情報マスターテーブルのうち、対応する時間情報を持つ方を参照して、事象位置情報に基づき、道路閉鎖区間情報を抽出する。最後に、ステップS44にて、表示部DISが、事象位置情報と、抽出した道路閉鎖区間とを表示する。このとき、事象位置情報と共に、事象が発生した道路を地図上に表示することが好適である。地図のデータは、記憶部120に格納された道路情報を含む地図情報MPから読み出して使用する。このように、事故や工事などの事象に関連する地点を入力し、事象発生の時間情報(日付、日時、時間帯、季節、月、月初、月末、週末、祭日、休日、平日など)するといった簡便な操作だけで、適切な道路閉鎖区間を抽出・特定することが可能となる。これを受けて、道路管制員は、交通管制サーバTCSに適切な操作コマンドなどを入力することが可能となる。或いは、本装置により抽出された道路閉鎖区間に基づき、交通管制サーバTCSに対応した操作コマンドを生成して、交通管制サーバTCSのAPIに当該コマンドを送出することも可能である。
【0079】
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各部、各ステップなどに含まれる処理や機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段/部やステップなどを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。或いは、本発明による装置、方法、プログラムなどの一部の構成要素、機能、処理、ステップなどを遠隔地のサーバなどに配置することも可能であることに注意されたい。取得部と入力受付部は、1つの取得部や入力受付部としてもよい。また、本発明の実施態様による道路管制支援装置は、交通管制サーバ内に1つの機能部として実現してもよい。
【符号の説明】
【0080】
100 道路管制支援装置
110 制御部
120 記憶部
200 道路管制支援装置
210 制御部
220 記憶部
ACQ 取得部
AR10 矢印
AR11,AR12 矢印
AR20 矢印
AR21,AR2 矢印
AR30 矢印
AR31,AR32 矢印
CIWM 閉鎖区間関連作業情報マスターテーブル
COM 通信部
CR10 接続道路
CR11 接続道路
CR12 接続道路
CR31 接続道路
CR32 接続道路
CR33 接続道路
CRIM 接続道路情報マスターテーブル
CRIM30 接続道路情報
CRIM30 道路情報マスターテーブル
DIS 表示部
EE インターチェンジ
EXT 抽出部
FF インターチェンジ
GG インターチェンジ
HW30 高速道路
HWTM 高速道路
ICP10 道路地点
ICP20 道路地点
ICP30 道路地点
IN 入力部
IR 入力受付部
J1 インターチェンジ
J2 インターチェンジ
J3 インターチェンジ
K4 インターチェンジ
K5 インターチェンジ
KBD キーボード
MP 地図情報
MS1 携帯電話端末
MUS マウス
NET ネットワーク
NW10 一般道路
NW30 一般道路
OUT 出力部
PC1 端末
PDA1 携帯端末
PDM 公的機関要請情報マスターテーブル
PRN プリンタ
RCI11 道路閉鎖区間情報
RCI31 道路閉鎖区間情報
RCIF10 道路閉鎖区間情報フィールド
RCIF30 道路閉鎖区間情報フィールド
RG10 道路地点・道路区間
RG31 道路地点・道路区間
RGF10 道路地点・道路区間フィールド
RGF30 道路地点・道路区間フィールド
RIM 道路情報マスターテーブル
RIM10 道路情報マスターテーブル
RIM30 道路情報マスターテーブル
SCR10 画面インターフェイス
SCR11 画面インターフェイス
SCR20 画面インターフェイス
SCR21 画面インターフェイス
SCR30 画面インターフェイス
SCR31 画面インターフェイス
TCS 交通管制サーバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11