(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一方の基板と、他方の基板と、一方の基板と他方の基板との間に設けられる液晶層とを含み、前記一方の基板に、複数のゲート配線と、前記複数のゲート配線に交差して設けられる複数のソース配線と、ゲート配線とソース配線との交差部ごとに設けられる画素電極と、前記交差部ごとに設けられ、該交差部を成すゲート配線に予め定める電圧以上のゲート電圧が印加されると、該交差部を成すソース配線と該交差部の画素電極とを導通するアクティブ素子と、前記複数のゲート配線が接続され、各ゲート配線に前記ゲート電圧を順次印加するゲート駆動回路と、前記複数のソース配線が接続され、各ソース配線に画像データに応じた電圧を印加するソース駆動回路と備える液晶表示装置であって、
前記複数のゲート配線の一部である予め定める複数の検出用のゲート配線が接続され、前記複数のゲート配線のいずれにもゲート電圧が印加されていない非ゲート電圧印加期間に、前記予め定める複数の検出用のゲート配線に、前記予め定める電圧未満の検出用電圧を順次印加する検出駆動回路と、
前記複数のソース配線の一部である予め定める複数の検出用のソース配線が接続され、前記検出駆動回路によって前記検出用電圧が検出用のゲート配線に与えられている期間に、前記予め定める複数の検出用のソース配線の各電圧を検出する検出回路と、
前記検出回路によって検出された電圧と、接触または近接状態を検出するために予め設定された閾値とを比較し、接触または近接位置の座標を取得する座標取得部とを備えることを特徴とする液晶表示装置。
前記検出駆動回路は、前記非ゲート電圧印加期間のうちの垂直ブランキング期間に、前記予め定める複数の検出用のゲート配線に、前記予め定める電圧未満の検出用電圧を順次印加することを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
隣接する前記検出用のゲート配線間の間隔、および、隣接する前記検出用のソース配線間の間隔が、指を接触させたときに接触状態を検出可能な接触領域の寸法以下に設定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の液晶表示装置。
前記ゲート駆動回路は、前記検出駆動回路によって前記検出用電圧が検出用のゲート配線に与えられている期間に、前記検出用のゲート配線が接続される各接続端をハイインピーダンス状態に設定し、
前記検出駆動回路は、前記ゲート駆動回路によって前記ゲート電圧がゲート配線に与えられている期間に、前記検出用のゲート配線が接続される各接続端をハイインピーダンス状態に設定することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の液晶表示装置。
前記ゲート駆動回路は、前記複数のゲート配線のうちの一のゲート配線に前記ゲート電圧を印加しているとき、前記複数のゲート配線のうちの前記一のゲート配線を除く残余のゲート配線には、前記予め定める電圧未満の第1オフ電圧を印加し、
前記検出駆動回路は、前記複数の検出用のゲート配線のうちの一の検出用のゲート配線に前記検出用電圧を印加しているとき、前記複数の検出用のゲート配線のうちの前記一の検出用のゲート配線を除く残余の検出用のゲート配線には、前記検出用電圧未満の第2オフ電圧を印加し、
前記検出用電圧および前記第2オフ電圧は、それらの平均値が前記第1オフ電圧に略等しくなるように設定されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の液晶表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本発明の第1実施形態に係る液晶表示装置1の構成例を示すブロック図である。
図2は、液晶表示装置1を表示側から見た平面図であり、
図3は、
図2における切断面線III−IIIから見た断面図である。本実施形態に係る液晶表示装置1は、アクティブ素子としてTFT(Thin Film Transistor)31を用いたアクティブマトリクス方式の液晶表示装置によって実現される。
【0021】
液晶表示装置1は、
図1に示すように、液晶パネル11と、ゲートドライバ12と、ソースドライバ13と、タッチ検出用ドライブ回路14と、タッチ検出用センス回路15と、タッチ位置検出回路16と、コモン電極電位設定回路17と、タイミングコントローラ18とを備えて構成される。
【0022】
液晶パネル11は、
図2および
図3に示すように、互いに対向して設けられるCF(Color Filter)基板21およびTFT基板22と、CF基板21とTFT基板22との間に封入された液晶を含む液晶層23と、CF基板21における、液晶層23が設けられる側とは反対側の主面に設けられる偏光板24と、TFT基板22における、液晶層23が設けられる側とは反対側の主面に設けられる偏光板25とを備えて構成される。なお、
図2では、液晶パネル11における画像の有効表示領域Aを仮想線で示している。
【0023】
CF基板21は、ガラス基板と、カラーフィルタ層と、TFT基板22にマトリクス状に設けられた複数の画素電極32に対向するように設けられるコモン電極19と、配向膜とを備えており、カラーフィルタ層は、赤色カラーフィルタ、緑色カラーフィルタ、青色カラーフィルタ、およびブラックマトリクスを含んでいる。なお、液晶パネル11としてIPS(In-Plane-Switching)方式の液晶パネルを用いる場合には、コモン電極19は、CF基板21側ではなく、TFT基板22側に設けられる。
【0024】
コモン電極19は、液晶表示装置1の動作中、コモン電極電位設定回路17によってコモン電圧V
comが印加される。本実施形態では、コモン電圧V
comは一定の電圧とされる。
【0025】
TFT基板22は、ガラス基板と、電極層と、配向膜とを備えており、電極層は、平面視で互いに垂直に交差して配置されるm(ただし、mは2以上の自然数)本のゲート配線GL
1〜GL
m(区別しない場合には、単に「ゲート配線GL」と記す)およびn(ただし、nは2以上の自然数)本のソース配線SL
1〜SL
n(区別しない場合には、単に「ソース配線SL」と記す)と、ゲート配線GL
1〜GL
mとソース配線SL
1〜SL
nとが交差する各交差部にそれぞれ設けられる(m×n)個のTFT31と、各交差部に近接してそれぞれ設けられる(m×n)個の画素電極32とを含んでいる。
【0026】
すなわち、画素電極32は、m行n列のマトリクス状に配置される。また、一の画素電極32が配置される領域が、一の画素に相当する。ゲート配線GLは、画素の列ごとに設けられ、ソース配線SLは、画素の行ごとに設けられる。
【0027】
図4は、画素電極32、TFT31、ソース配線SLおよびゲート配線GLの接続例を示す説明図である。
図4では、マトリクス状に配置される複数の画素電極32のうち、第i行、第j列に配置される画素電極32を例示している。ただし、iは、m以下の任意の自然数であり、jは、n以下の任意の自然数である。
【0028】
図4に示すように、第i行、第j列に配置される画素電極32は、i行目のゲート配線GL
iとj列目のソース配線SL
jとが交差する交差部に近接して設けられ、その交差部に設けられるTFT31のドレイン31dに接続される。また、そのTFT31のゲート31gがゲート配線GL
iに接続され、そのTFT31のソース31sがソース配線SL
jに接続される。
【0029】
本実施形態では、各ゲート配線GL
1〜GL
mは、ゲートドライバ12によって、後述する垂直表示期間Waに線順次に選択される。選択されたゲート配線GL
iには、ゲートオン電圧V
GH(ゲート電圧)が印加され、選択されていないゲート配線GL
1〜GL
i−1,GL
i+1〜GL
mには、ゲートオフ電圧V
GL(第1オフ電圧)が印加される。
【0030】
ここで、ゲートオン電圧V
GHとは、ドレイン31dとソース31sとを導通状態にするために必要なゲート31gへの印加電圧以上の電圧であり、ゲートオフ電圧V
GLとは、ドレイン31dとソース31sとを導通状態にするために必要なゲート31gへの印加電圧よりも充分に低い電圧である。
【0031】
第i行、第j列に配置される画素電極32に接続されたTFT31は、ゲート配線GL
iにゲートオン電圧V
GHが印加されると、ドレイン31dとソース31sとを導通状態にする。これにより、画素電極32は、ソース配線SL
jと導通する。
【0032】
すなわち、TFT31は、ゲート配線GL
iを介してゲートgに印加される電圧に応じて、画素電極32とソース配線SL
jとが導通する導通状態と、画素電極32とソース配線SL
jとの導通が遮断される非導通状態とを切り替えるスイッチング素子として機能する。
【0033】
このようにして、選択行に配置される各画素電極32、すなわちゲートオン電圧V
GHが印加されたゲート配線GL
iに接続される各画素電極32と、対応するソース配線SL
1〜SL
nとがそれぞれ導通状態とされると、ソースドライバ13によって、各ソース配線SL
1〜SL
nに対し、選択行の画素の画像データに応じたデータ電圧V
Dが印加される。これにより、選択行の各画素の液晶に、選択行の画像データに応じた電圧が印加され、その画素の表示状態が定まる。
【0034】
ゲートドライバ12は、シフトレジスタと、レベルシフタと、各ゲート配線GL
1〜GL
mにそれぞれ接続されるm個の出力バッファG
1〜G
mとを備えて構成され、タイミングコントローラ18の制御に従って、後述する垂直表示期間Waにおいて、各ゲート配線GL
1〜GL
mを線順次選択しながら、選択したゲート配線GL
iにゲートオン電圧V
GHが印加するとともに、選択していないゲート配線GL
1〜GL
i−1,GL
i+1〜GL
mにゲートオフ電圧V
GLを印加する。
【0035】
本実施形態では、TFT31は、ゲート31gにおよそ+20Vの電圧が印加されると、ドレイン31dとソース31sとが導通状態になるように構成されているので、ゲートドライバ12は、ゲートオン電圧V
GHとして+22Vを印加し、ゲートオフ電圧V
GLとして−5Vを印加するように構成されている。
【0036】
ソースドライバ13は、シフトレジスタ、DAC(Digital Analog Converter)、および、各ソース配線SL
1〜SL
nにそれぞれ接続されるn個の出力バッファS
1〜S
nなどを備えて構成され、タイミングコントローラ18の制御に従って、画像データを取り込み、ゲートドライバ12によってゲート配線GL
iが選択されると、各出力バッファS
1〜S
nに接続されている各ソース配線SL
1〜SL
nに、第i行の画素の画像データに応じたデータ電圧V
Dを印加する。
【0037】
図5は、タイミングコントローラ18からゲートドライバ12およびソースドライバ13へ与えられる信号の入力タイミング、ならびに、出力バッファG
1〜G
mの出力端の電圧の変化の例を示すタイミングチャートである。
【0038】
図5には、タイミングコントローラ18からソースドライバ13に与えられる画像データの、K番目のフレーム期間F
Kと、フレーム期間F
Kに隣接するK−1番目およびK+1番目のフレーム期間F
K−1,F
K+1の一部とが示されている。なお、
図5では、出力バッファG
3〜G
m−1の出力端の電圧の変化については省略している。
【0039】
タイミングコントローラ18は、ゲートドライバ12に対して、1行目のゲート配線GL
1から順次選択を開始することを指示する制御信号STVと、選択行の切り替えを指示するクロック信号GCKとを入力する。制御信号STVは、ゲートスタートパルスとも呼ばれ、GCKは、ゲートクロックとも呼ばれる。
【0040】
また、タイミングコントローラ18は、ソースドライバ13に対して、画像データを示すデータ信号と、データ電圧V
Dの出力許可期間を示す制御信号DEと、1行内の画像データの取り込みの開始を指示する制御信号STHと、1行内の1画素分の取り込みを指示するクロック信号CLK(図示せず)と、取り込み済みの画像データに応じたデータ電圧V
Dの出力を指示する制御信号LPとを入力する。制御信号DEは、データイネーブルとも呼ばれ、制御信号STHは、ソーススタートパルスとも呼ばれ、クロック信号CLKは、ドットクロックとも呼ばれ、制御信号LPは、ラッチパルスとも呼ばれる。
【0041】
ここで、各フレーム期間Fにおいて、制御信号DEがローレベルの区間Wbは、垂直ブランキング期間を示し、制御信号DEがハイレベルの区間Waは、垂直表示期間を示している。ここで、垂直表示期間Waとは、1フレーム期間Fにおいて、垂直ブランキング期間Wbを除く期間のことである。
【0042】
タイミングコントローラ18は、1行目のゲート配線GL
1から順次選択を開始することをゲートドライバ12に指示する場合、制御信号STVをハイレベルにし、制御信号STVがハイレベルである期間中にクロック信号GCKをハイレベルに立ち上げ、その後、制御信号STVをローレベルにする。また、タイミングコントローラ18は、クロック信号GCKをハイレベルにし、その後ローレベルにする制御を、周期的に繰り返す。
【0043】
ゲートドライバ12は、制御信号STVがハイレベルである期間中にクロック信号GCKの立ち上がりエッジを検出すると、1行目のゲート配線GL
1を選択する。その後、ゲートドライバ12は、クロック信号GCKの立ち上がりエッジを検出する毎に、2行目以降のゲート配線GL
2〜GL
mを順次、選択していく。なお、
図5において、出力バッファG
iの出力端の電圧がゲートオン電圧V
GHになっているということは、その出力バッファG
iに接続されたゲート配線GL
iが選択されていることを意味する。
【0044】
また、タイミングコントローラ18は、1行内の画像データの取り込みの開始をソースドライバ13に指示する場合、制御信号STHをハイレベルにし、制御信号STHがハイレベルである期間中にクロック信号CLKをハイレベルに立ち上げ、その後、制御信号STHをローレベルにする。また、タイミングコントローラ18は、クロック信号CLKをハイレベルにし、その後ローレベルにする制御を、周期的に繰り返す。ソースドライバ13は、制御信号STHがハイレベルである期間中にクロック信号CLKの立ち上がりエッジを検出すると、1画素分ずつ画像データを取り込む。
【0045】
さらに、タイミングコントローラ18は、ソースドライバ13に対して、各ゲート配線GL
1〜GL
mの選択期間に対応させて、各選択期間の冒頭において、制御信号LPをハイレベルに立ち上げ、さらにローレベルに立ち下げる。ソースドライバ13は、制御信号LPの立ち下がりエッジを検出すると、各ソース配線SL
1〜SL
nに、取り込んだ画像データに応じたデータ電圧V
Dを印加する。
【0046】
この結果、各ソース配線SL
1〜SL
nの電圧は、選択行におけるそのソース配線SL
1〜SL
nの列の画素の画像データに応じた電圧に変化し、選択行の各画素の液晶に、選択行の画像データに応じた電圧が印加され、その画素の表示状態が定まる。このようにして、垂直表示期間Waに、1行目から順に、各画素の液晶に、画像データに応じた電圧が印加される。
【0047】
なお、本実施形態では、ゲートドライバ12における各出力バッファG
1〜G
mは、スリーステートバッファ(Three State Buffer)によって実現され、
図5に示すように、垂直ブランキング期間Wbには、各出力バッファG
1〜G
mは、タイミングコントローラ18から与えられる制御信号に従って、その出力端をハイインピーダンス状態に設定する。
【0048】
再び
図1を参照して、検出駆動回路であるタッチ検出用ドライブ回路14は、ゲートドライバ12と同様に、シフトレジスタと、レベルシフタと、p(ただし、pはm以下の自然数)個の出力バッファD
1〜D
pとを備えて構成される。出力バッファD
1〜D
pは、m本のゲート配線GL
1〜GL
mの中から選択されたp本のゲート配線GLに接続される。以下、出力バッファD
1〜D
pに接続されるp本のゲート配線GLを、「検出用ゲート配線」と称し、参照符DGL
1〜DGL
pを付して示す。なお、m本のゲート配線GL
1〜GL
mのうち、p本の検出用ゲート配線DGL
1〜DGL
pを除く残余のゲート配線GLは、
図1に示すように、タッチ検出用ドライブ回路14には接続されていない。
【0049】
このタッチ検出用ドライブ回路14は、タイミングコントローラ18の制御に従って、垂直ブランキング期間Wbにおいて、各検出用ゲート配線DGL
1〜DGL
pを線順次に選択し、選択した検出用ゲート配線DGL
sに検出用電圧V
GLHを印加するとともに、選択していない検出用ゲート配線DGL
1〜DGL
s−1,DGL
s+1〜DGL
pに、検出用電圧V
GLHよりも低い非選択時電圧V
GLL(第2オフ電圧)を印加する。ただし、sは、p以下の任意の自然数である。
【0050】
ここで、検出用電圧V
GLHとしては、TFT31におけるドレイン31dとソース31sとを導通状態にするために必要なゲート31gへの印加電圧、すなわち本実施形態の場合には、+20Vよりも充分に低い電圧が選ばれる。
【0051】
本実施形態では、検出用電圧V
GLHと非選択時電圧V
GLLとを平均したときの値が、ゲートオフ電圧V
GLである−5Vに一致するように、検出用電圧V
GLHとして−2.5Vが選ばれ、非選択時電圧V
GLLとして−7.5Vが選ばれている。
【0052】
このように、検出用電圧V
GLHが、TFT31におけるドレイン31dとソース31sとを導通状態にするために必要なゲート31gへの印加電圧よりも充分に低い電圧に選ばれているので、垂直ブランキング期間Wbに、各検出用ゲート配線DGL
1〜DGL
pに順次、検出用電圧V
GLHを印加したとしても、液晶パネル11に表示されている画像に影響を与えることはない。
【0053】
図6は、タイミングコントローラ18からタッチ検出用ドライブ回路14へ与えられる信号の入力タイミング、および出力バッファD
1〜D
pの出力端の電圧の変化の例を示すタイミングチャートである。なお、
図6では、出力バッファD
3〜D
p−1の出力端の電圧の変化については省略している。
【0054】
タイミングコントローラ18は、タッチ検出用ドライブ回路14に対して、1番目の検出用ゲート配線DGL
1から順次選択を開始することを指示する制御信号STV_Dと、選択すべき検出用ゲート配線DGLの切り替えを指示するクロック信号GCK_Dとを入力する。なお、本実施形態では、クロック信号GCK_Dは、ゲートドライバに入力されるクロック信号GCKと同一の信号である。
【0055】
タイミングコントローラ18は、1番目の検出用ゲート配線DGL
1から順次選択を開始することをタッチ検出用ドライブ回路14に指示する場合、垂直ブランキング期間Wb中に、制御信号STV_Dをハイレベルにし、制御信号STV_Dがハイレベルである期間中にクロック信号GCK_Dをハイレベルに立ち上げ、その後、制御信号STV_Dをローレベルにする。また、タイミングコントローラ18は、クロック信号GCK_Dをハイレベルにし、その後ローレベルにする制御を、周期的に繰り返す。
【0056】
タッチ検出用ドライブ回路14は、制御信号STV_Dがハイレベルである期間中にクロック信号GCK_Dの立ち上がりエッジを検出すると、1番目の検出用ゲート配線DGL
1を選択する。その後、タッチ検出用ドライブ回路14は、クロック信号GCK_Dの立ち上がりエッジを検出する毎に、2番目以降の検出用ゲート配線DGL
2〜DGL
pを順次、選択していく。なお、
図6において、出力バッファD
iの出力端の電圧が検出用電圧V
GLHになっているということは、その出力バッファD
iに接続された検出用ゲート配線DGL
iが選択されていることを意味する。
【0057】
なお、本実施形態では、タッチ検出用ドライブ回路14における各出力バッファD
1〜D
pは、スリーステートバッファによって実現され、
図6に示すように、垂直表示期間Waには、各出力バッファD
1〜D
pは、タイミングコントローラ18から与えられる制御信号に従って、その出力端をハイインピーダンス状態に設定する。すなわち、検出用ゲート配線DGL
1〜DGL
pは、垂直表示期間Waには、ゲートドライバ12からの信号の入力が可能とされる一方、タッチ検出用ドライブ回路14からの信号の入力が不可能とされ、垂直ブランキング期間Wbには、タッチ検出用ドライブ回路14からの信号の入力が可能とされる一方、ゲートドライバ12からの信号の入力が不可能とされる。
【0058】
検出回路であるタッチ検出用センス回路15は、q(ただし、qはn以下の自然数)個の入力バッファSE
1〜SE
qを備えて構成される。入力バッファSE
1〜SE
qは、n本のソース配線SL
1〜SL
nの中から選択されたq本のソース配線SLに接続される。以下、入力バッファSE
1〜SE
qに接続されるq本のソース配線SLを、「検出用ソース配線」と称し、参照符SSL
1〜SSL
qを付して示す。なお、n本のソース配線SL
1〜SL
nのうち、q本の検出用ソース配線SSL
1〜SSL
qを除く残余のソース配線SLは、
図1に示すように、タッチ検出用センス回路15には接続されていない。
【0059】
マルチプレクサ20は、タッチ検出用センス回路15とタッチ位置検出回路16との間に配置され、タイミングコントローラ18の制御に従い、タッチ検出用ドライブ回路14によって検出用ゲート配線DGL
1〜DGL
pが選択されている各期間に、q個の入力バッファSE
1〜SE
qを順次選択することにより、選択された入力バッファSE
tに入力される検出信号V
detを、タッチ位置検出回路16へ出力する。
【0060】
ここで、入力バッファSE
tに入力される検出信号V
detとは、入力バッファSE
tに接続されている検出用ソース配線SSL
tの電圧を示す信号である。ただし、tは、q以下の任意の自然数である。
【0061】
つまり、タッチ検出用ドライブ回路14によって検出用ゲート配線DGL
sが選択されている期間には、入力バッファSE
1〜SE
qに入力される各検出信号V
detが、タッチ検出用センス回路15からタッチ位置検出回路16へ順次出力される。
【0062】
座標取得部であるタッチ位置検出回路16は、アナログLPF(Low Wass Filter)、A/D変換部、信号処理部、および座標算出部などを備えて構成される。タッチ位置検出回路16は、タイミングコントローラ18の制御に従い、タッチ検出用センス回路15から入力される検出信号V
detに基づいて、液晶パネル11の表示面11a(
図3参照)に対して指が接触または近接している状態(以下、「タッチ状態」と記す)であるか否かを検出し、さらに、タッチ状態であることが検出された場合には、表示面11a上における指の接触位置または近接位置(以下、「タッチ位置」と称する)の座標を算出する。
【0063】
図7は、検出信号V
detおよび出力バッファD
sの出力端の電圧の波形の一例を示す図である。本実施形態に係る液晶表示装置1では、検出用ゲート配線DGL
1〜DGL
pと検出用ソース配線SSL
1〜SSL
qとによって、それらの各交差部に形成された(p×q)個のマトリクス状に配置された各容量素子を利用して、垂直ブランキング期間Wbに表示面11aに対するタッチの有無およびタッチ位置を検出するように構成される。具体的には、垂直ブランキング期間Wbにおいて、出力バッファD
sの出力端の電圧が検出用電圧V
GLHになっているときに、表示面11a上における、出力バッファD
sに接続されている検出用ゲート配線DGL
sと検出用ソース配線SSL
tとの交差部付近に指が接触または近接していない場合には、入力バッファSE
sには、
図7において仮想線で示すように、予め定める閾値電圧V
thよりも高い電圧の検出信号V
detが入力される。
【0064】
一方、出力バッファD
sの出力端の電圧が検出用電圧V
GLHに設定されているときに、表示面11a上における、出力バッファD
sに接続されている検出用ゲート配線DGL
sと検出用ソース配線SSL
tとの交差部付近に指が接触または近接している場合には、その検出用ソース配線SSL
tに接続されている入力バッファSE
tには、
図7において実線で示すように、予め定める閾値電圧V
thよりも低い電圧の検出信号V
detが入力される。
【0065】
したがって、タッチ位置検出回路16は、タッチ検出用センス回路15から入力される検出信号V
detと予め定める閾値電圧V
thとを比較することにより、タッチ状態であるか否かを判定することができる。また、タッチ位置検出回路16は、予め定める閾値電圧V
thよりも低い電圧の検出信号V
detが入力されることにより、タッチ状態であることを判定した場合には、その検出信号V
detを入力バッファSE
tに入力した交差部の位置を特定することによりタッチ位置の座標を算出することができる。
【0066】
以上のように、本実施形態に係る液晶表示装置1は、垂直ブランキング期間Wbに、検出用ゲート配線DGL
1〜DGL
pに対して、TFT31におけるドレイン31dとソース31sとを導通状態にするために必要なゲート31gへの印加電圧よりも充分に低い検出用電圧V
GLHを順次印加し、そのときの各検出用ソース配線SSL
1〜SSL
qの電圧を検出して予め定める閾値電圧V
thと比較することで、タッチの有無およびタッチ位置の座標を取得するように構成される。
【0067】
すなわち、本実施形態に係る液晶表示装置1は、液晶パネル11にタッチ検出のための層を別途に設けることなく、液晶パネル11に備えられるゲート配線GL
1〜GL
mとソース配線SL
1〜SL
nとを利用して、タッチ検出機能を実現することができる。いわゆるインセル型のタッチパネルが内蔵された液晶表示装置1を実現することができる。
【0068】
このように、液晶パネル11にタッチ検出のための層を別途に設ける必要がないので、オンセル型のタッチパネルが内蔵された液晶表示装置に比べて余計な層が設けられない分だけ、高い表示品質を有する液晶表示装置1を実現することができる。また、液晶パネル11にタッチ検出のための層を別途に設ける必要がないことから、歩留まりの低下に起因する製造コストの増大を抑制することができる。
【0069】
また、本実施形態に係る液晶表示装置1は、
図2および
図3に示すように、ゲートドライバ12、ソースドライバ13、タッチ検出用ドライブ回路14、およびタッチ検出用センス回路15が、TFT基板22上に設けられる。
【0070】
詳細には、ゲートドライバ12は、各ゲート配線GL
1〜GL
mの延在方向の一方側の端部に接続されるように設けられ、タッチ検出用ドライブ回路14は、検出用ゲート配線DGL
1〜DGL
pの前記一方側とは反対側の端部に接続されるように設けられる。また、ソースドライバ13は、各ソース配線SL
1〜SL
nとの延在方向の一方側の端部に接続されるように設けられ、タッチ検出用センス回路15は、検出用ソース配線SSL
1〜SSL
qの前記一方側とは反対側の端部に接続されるように設けられる。すなわち、ゲートドライバ12とタッチ検出用ドライブ回路14とは、有効表示領域Aに対して反対側に設けられ、ソースドライバ13とタッチ検出用センス回路15とは、有効表示領域Aに対して反対側に設けられる。なお、
図2および
図3では、ゲートドライバ12およびソースドライバ13を外部の制御回路に接続するためのフレキシブルプリント基板26aと、タッチ検出用ドライブ回路14およびタッチ検出用センス回路15を外部の制御回路に接続するためのフレキシブルプリント基板26aとが示されている。
【0071】
本実施形態に係る液晶表示装置1では、タッチ検出のための層を別途に設ける必要がない代わりに、タッチ検出用ドライブ回路14およびタッチ検出用センス回路15を新たに設ける必要があるが、上記のように、タッチ検出用ドライブ回路14およびタッチ検出用センス回路15をTFT基板22上に設けることにより、ゲートドライバ12およびソースドライバ13を形成する際に、タッチ検出用ドライブ回路14およびタッチ検出用センス回路15を併せて形成することができる。したがって、製造工程を増加させることなく、タッチパネル内蔵型の液晶表示装置1を製造することができる。
【0072】
また、本実施形態に係る液晶表示装置1は、ゲートドライバ12によって、ゲート配線GL
1〜GL
mのいずれにもゲートオン電圧V
GHが印加されない期間である非ゲート電圧印加期間のうち、垂直ブランキング期間Wbを利用して、タッチ検出のために、検出用ゲート配線DGL
1〜DGL
pに検出用電圧V
GLHを順次印加するように構成されている。非ゲート電圧印加期間のうち、水平ブランキング期間を利用することも可能ではあるけれども、垂直ブランキング期間Wbを利用する方が、検出のための充分な時間を確保できることから好ましい。
【0073】
図8は、本実施形態に係る液晶表示装置1の一実施例を説明するための図である。
図8に示す例では、隣接する検出用ゲート配線DGL
s−1,DGL
s間の間隔が互いに等しい距離L1となるように、m本のゲート配線GL
1〜GL
mからp本の検出用ゲート配線DGL
1〜DGL
pが選択され、隣接する検出用ソース配線SSL
t−1,SSL
t間の間隔が互いに等しい距離L2となるように、n本のソース配線SL
1〜SL
nからq本の検出用ソース配線SSL
1〜SSL
qが選択されている。これにより、タッチ検出に用いられる検出用ゲート配線DGL
s−1,DGL
sと検出用ソース配線SSL
t−1,SSL
tとの交差部を、等間隔にマトリクス状に設けることができる。
【0074】
なお、m本のゲート配線GL
1〜GL
mおよびn本のソース配線SL
1〜SL
nから、p本の検出用ゲート配線DGL
1〜DGL
pおよびq本の検出用ソース配線SSL
1〜SSL
qをそれぞれ選択する際には、隣接する検出用ゲート配線DGL
s−1,DGL
s間の間隔および隣接する検出用ソース配線SSL
t−1,SSL
t間の間隔が、表示面11aに指を接触させたときにタッチ状態を検出可能な接触領域の寸法以下となるように選択される。具体的には、隣接する検出用ゲート配線DGL
s−1,DGL
s間の間隔および隣接する検出用ソース配線SSL
t−1,SSL
t間の間隔が、5.5mm以下となるように選択される。これにより、指によるタッチ状態を確実に検出することができる。
【0075】
たとえば、有効表示領域Aの高さ方向、すなわちソース配線SLの延在方向の寸法L3が52.632mm、幅方向、すなわちゲート配線GLの延在方向の寸法L4が92.88mmであり、ゲート配線GLの本数が、480(絵素)×3(画素)=1440本であり、ソース配線SLの本数が272本である液晶表示装置1において、隣接する検出用ゲート配線DGL
s−1,DGL
s間の間隔および隣接する検出用ソース配線SSL
t−1,SSL
t間の間隔が等間隔かつ5mm以下となるように選択する場合には、11本のゲート配線GLが検出用ゲート配線DGLとして選択され、19本のソース配線SLが検出用ソース配線SSLとして選択される。このように、検出用ゲート配線DGLの本数および検出用ソース配線SSLの本数は、有効表示領域Aの寸法、ゲート配線GLの本数、およびソース配線SLの本数に基づいて適宜決定される。
【0076】
本実施形態に係る液晶表示装置1では、ゲートドライバ12に入力されるクロック信号GCKと、タッチ検出用ドライブ回路14に入力されるクロック信号GCK_Dとは同一の信号とされている。しかしながら、クロック信号GCK_Dとしては、垂直ブランキング期間Wb内において、p本の検出用ゲート配線DGLのすべてを選択することができるように周期を決定すればよい。
【0077】
図9は、本発明の第2実施形態に係る液晶表示装置1Aの構成例を示すブロック図である。
図10は、液晶表示装置1Aを表示側から見た平面図であり、
図11は、
図10における切断面線XI−XIから見た断面図である。本実施形態に係る液晶表示装置1Aは、第1実施形態に係る液晶表示装置1と略同一に構成されるので、同一の構成については同一の参照符を付し、重複する説明を省略する。
【0078】
本実施形態に係る液晶表示装置1Aは、ゲートドライバおよびタッチ検出用ドライブ回路として機能する第1共用ドライバ41を、各ゲート配線GL
1〜GL
mの延在方向の一方側の端部に接続するように設け、ソースドライバおよびタッチ検出用センス回路として機能する第2共用ドライバ42を、各ソース配線SL
1〜SL
nとの延在方向の一方側の端部に接続するように設けて構成される。なお、
図10および
図11では、第1共用ドライバ41および第2共用ドライバ42を外部の制御回路に接続するためのフレキシブルプリント基板26が示されている。
【0079】
すなわち、本実施形態に係る液晶表示装置1Aは、第1実施形態に係る液晶表示装置1と異なり、ゲートドライバおよびタッチ検出用ドライブ回路が、有効表示領域Aに対して同一側に設けられるとともに、ソースドライバおよびタッチ検出用センス回路が、有効表示領域Aに対して同一側に設けられる。
【0080】
したがって、本実施形態に係る液晶表示装置1Aは、第1実施形態に係る液晶表示装置1に比べて、液晶パネル11におけるTFT基板22のサイズを小さくすることができるとともに、外部の制御回路に接続するためのフレキシブルプリント基板の数を減らすことができる。
【0081】
なお、上記の各実施形態では、アクティブ素子としてTFT31を用いているが、同様の機能を有する他の素子によって実現されてもよい。