特許第6263375号(P6263375)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6263375
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】車両用シートスライド装置
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/08 20060101AFI20180104BHJP
   B60N 2/06 20060101ALI20180104BHJP
【FI】
   B60N2/08
   B60N2/06
【請求項の数】8
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2013-253427(P2013-253427)
(22)【出願日】2013年12月6日
(65)【公開番号】特開2015-110389(P2015-110389A)
(43)【公開日】2015年6月18日
【審査請求日】2016年12月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】598106326
【氏名又は名称】トヨタ車体精工株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088580
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 敦
(74)【代理人】
【識別番号】100111109
【弁理士】
【氏名又は名称】城田 百合子
(72)【発明者】
【氏名】中村 素久
(72)【発明者】
【氏名】武井 浩崇
(72)【発明者】
【氏名】大竹 茂和
【審査官】 望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−321403(JP,A)
【文献】 特開2003−200766(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/08
B60N 2/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体のフロアに固定されるロアレール、及び該ロアレールに摺動するアッパーレールをそれぞれが有して所定方向に並んで配置された第1スライドレールと第2スライドレールとから成るスライドレールと、
前記第1スライドレール及び前記第2スライドレールの各々において前記アッパーレールの移動を規制する規制機構と、
該規制機構により各々の前記アッパーレールの移動が規制された状態を解除する解除機構と、を備える車両用シートスライド装置であって、
前記規制機構は、
前記第1スライドレール及び前記第2スライドレールの一方に備えられた前記ロアレールと係合して前記アッパーレールである第1レールの移動を規制する第1規制位置と、前記ロアレールから離間して前記第1レールの移動を許容する第1許容位置との間を回動する第1回動体と、
前記第1スライドレール及び前記第2スライドレールの他方に備えられた前記ロアレールと係合して前記アッパーレールである第2レールの移動を規制する第2規制位置と、前記ロアレールから離間して前記第2レールの移動を許容する第2許容位置との間を回動する第2回動体と、を備え、
前記解除機構は、
前記所定方向及び上下方向の双方に交差する交差方向に並んだ状態で配置された第1リンク及び第2リンクを備え、前記所定方向において互いに反対向きにスライドする一組のリンクと、
該一組のリンクの各々をスライドさせるために操作されるコントロールケーブルと、
該コントロールケーブルが操作される位置と異なる位置で操作される他のコントロールケーブルと、を備え、
前記第1リンクは、前記コントロールケーブルが留められる留め部を有するリンク基端部と、前記第2リンクと対向する対向部と、該対向部と前記リンク基端部との間に位置し、かつ、前記リンク基端部又は前記対向部に対して屈曲して形成された屈曲部と、前記交差方向において前記第2リンクが位置する側とは反対側に向かって延出した部分に前記他のコントロールケーブルを保持する第1保持部と、を有し、前記第1回動体と連結しており、前記所定方向において前記一方から前記他方に向かう第1向きにスライドすることで、前記第1回動体を前記第1規制位置から前記第1許容位置に回動させ、
前記第2リンクは、前記他のコントロールケーブルが留められる他の留め部を有する他のリンク基端部と、前記第1リンクと対向する他の対向部と、該他の対向部と前記他のリンク基端部との間に位置し、かつ、前記他のリンク基端部又は前記他の対向部に対して屈曲して形成された他の屈曲部と、前記交差方向において前記第1リンクが位置する側とは反対側に向かって延出した部分に前記コントロールケーブルを保持する第2保持部と、を有し、前記第2回動体と連結しており、前記所定方向において前記他方から前記一方に向かう第2向きにスライドすることで、前記第2回動体を前記第2規制位置から前記第2許容位置に回動させ、
前記第1リンクと前記第2リンクとに弾性部材が連結されており、該弾性部材は、前記第1リンクを前記第2向きに、前記第2リンクを前記第1向きに付勢し、
前記コントロールケーブルは、
前記第1回動体が前記第1規制位置にあるとき、又は前記第2回動体が前記第2規制位置にあるときに撓んだ状態となるように前記アッパーレール又は前記アッパーレール側にある部材に基端部を取り付けられており、
前記第1リンクにおける前記留め部に留められて前記コントロールケーブルが操作されたときに前記第1リンクを前記第1向きに引っ張るインナー部と、
該インナー部を覆って摺動可能に保持し、前記コントロールケーブルの前記基端部で固定され、前記第2リンクの前記第2保持部に保持されたアウター部と、を有し、
前記他のコントロールケーブルは、
前記第1回動体が前記第1規制位置にあるとき、又は前記第2回動体が前記第2規制位置にあるときに撓んだ状態となるように前記アッパーレール又は前記アッパーレール側にある部材に基端部を取り付けられており、
前記第2リンクにおける前記他の留め部に留められて前記他のコントロールケーブルが操作されたときに前記第2リンクを前記第2向きに引っ張る他のインナー部と、
該他のインナー部を覆って摺動可能に保持し、前記他のコントロールケーブルの前記基端部で固定され、前記第1リンクにおける前記第1保持部に保持された他のアウター部と、を有し、
前記リンク基端部は、前記屈曲部によって、前記第2保持部に直交する方向であって前記インナー部が前記アウター部の先端部に対して延出する方向に沿って配置されており、
前記他のリンク基端部は、前記他の屈曲部によって、前記第1保持部に直交する方向であって前記他のインナー部が前記他のアウター部の先端部に対して延出する方向に沿って配置されており、
前記コントロールケーブルが操作されたときには、前記インナー部が前記コントロールケーブルの前記基端部から引っ張られることによって前記第1リンクが前記第1向きに移動するとともに、前記インナー部が前記コントロールケーブルの前記基端部から引っ張られて前記コントロールケーブルの撓み量が小さくなることで生じる力で前記アウター部によって押し出されることで、前記第2リンクが前記第2向きに移動し、
前記他のコントロールケーブルが操作されたときには、前記他のインナー部が前記他のコントロールケーブルの前記基端部から引っ張られることによって前記第2リンクが前記第2向きに移動するとともに、前記他のインナー部が前記他のコントロールケーブルの前記基端部から引っ張られて前記他のコントロールケーブルの撓み量が小さくなることで生じる力で前記他のアウター部によって押し出されることで、前記第1リンクが前記第1向きに移動することを特徴とする車両用シートスライド装置。
【請求項2】
前記リンク基端部は、前記屈曲部によって、前記第2保持部に直交する方向であって前記インナー部が前記アウター部の先端部に対して延出する方向に沿って傾斜していることを特徴とする請求項1に記載の車両用シートスライド装置。
【請求項3】
前記リンク基端部は、前記屈曲部によって、前記交差方向において前記対向部よりも前記第2リンク側に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用シートスライド装置。
【請求項4】
前記第1リンクは、前記第1回動体に支持され、前記第2リンクは、前記第2回動体に支持されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の車両用シートスライド装置。
【請求項5】
前記第1回動体は、前記第1リンクに直接支持され、前記第2回動体は、前記第2リンクに直接支持されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の車両用シートスライド装置。
【請求項6】
前記第1回動体及び前記第2回動体のそれぞれを支持し、前記第1レール及び第2レールのそれぞれに取り付けられた支持部材を備え、
該支持部材には、前記第1回動体又は第2回動体におけるアンロック側の回動の上限を規定する回動ストッパが形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の車両用シートスライド装置。
【請求項7】
前記屈曲部には、前記第1リンクの長手方向に沿って延在する補強部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の車両用シートスライド装置。
【請求項8】
前記第1リンクと前記第2リンクは、共通する形状であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の車両用シートスライド装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シートスライド装置に係り、アッパーレールのスライドを規制する規制機構及び規制を解除する解除機構を備える車両用シートスライド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車内においてシートをスライドさせる車両用シートスライド装置として、例えば下記特許文献1に、シートがフロアに固定された状態からシートをスライド可能な状態にするのに、スライドレールに並設されて固定状態又は解除状態に回動可能なロックレバーを備える車両用シートスライド装置が開示されている。
この車両用シートスライド装置は、一方のアッパーレール側において回動可能に取り付けられたハンドル軸と、他方のアッパーレール側において回動可能に取り付けられた連動軸と、ハンドル軸、連動軸のそれぞれに固定された連動レバーと、二つの連動レバーを連結する連動杆及び連動ワイヤーと、これらのハンドル軸及び連動軸の回動に伴い両ロアレール側の各ロック孔に対し係脱可能なロックレバーと、を備える。
【0003】
ハンドル軸及び連動軸は、ロックレバーに繋がっており、ロックレバーのロック位置とロック解除位置との間で回動するように構成されている。特に、ユーザがハンドル軸を回動することに伴い、連動軸は、両者に連結された連動杆を介して回動することとなる。
更に、ハンドル軸及び連動軸にはねじりコイルばねが取り付けられており、ねじりコイルばねは、ロックレバーがアッパーレールをロックする位置となる向きに、ロックレバーを付勢している。このため、外力が加わらない状態においては、スライドがロックされた状態で維持されている。
【0004】
また、特許文献2に記載の車両用シートスライド装置(シートトラックスライド装置)は、アッパーレールをロアレールに固定するロック板と、当該ロック板を動作させるための作動レバー及び連動レバーとが左右のスライドレールに回動可能に設けられ、左右の作動レバーと連動レバーとが、交差するように配設された2本のワイヤーで連結されている構成から成る。
この車両用シートスライド装置の左右のうち、いずれか一方の作動レバーは、これに連結された操作ハンドルが操作されることによって回動して、他方の連動レバーを介して他方の作動レバーを回動させ、左右両側の作動レバーの回動によりロック板をロック解除方向に動作させるというものである。
更に、作動レバーの回動軸には、引張コイルばねが取り付けられており、引張コイルばねは、ロック板がアッパーレールをロックする位置となる向きにロック板を付勢している。このため、外力が加わらない状態においては、スライドがロックされた状態で維持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平5−91958号公報
【特許文献2】特開平9−323571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の車両用シートスライド装置においては、ユーザがハンドル軸を回動させる際に、ハンドル軸及び連動軸に取り付けられた計2つのねじりコイルばねの付勢に抗する力をハンドル軸に付加しなければ回動しないため、スライドロックの解除に大きな操作力を必要としていた。
また、特許文献2に記載の車両用シートスライド装置においても同様に、ユーザが作動レバーを回動させる際に、一方の作動レバーに取り付けられた引張コイルばね、並びに一方の作動レバーにワイヤー及び連動レバーを介して動作する他方の作動レバーに取り付けられた引張コイルばねから成る計2つの引張コイルばねの付勢に抗する力を操作ハンドルに付加しなければ作動レバーが回動しないため、大きな操作力を必要としていた。
【0007】
また、特許文献1に記載の車両用シートスライド装置においては、ハンドル軸を操作することで一方のアッパーレール側の連動軸を回動させて、連動ワイヤーをシート幅方向に略直線的に移動させて、他方のアッパーレール側の連動軸を回動させるため、回転運動と直線運動と回転運動との異なる運動で各部材が連動する。ここで、回転運動から直線運動に切り替わる際には、連動軸と連動ワイヤーとの間で上下方向に位置ずれが生じるために、ロックレバーを円滑に動作させることが困難であった。
【0008】
また、特許文献2に記載の車両用シートスライド装置においては、ロック機構を構成する構成部品が多いため、部品調達のためのコストがかかり、各部品の組み付けの際に各構成部品間の位置調整が必要になるため生産コストがかかることに問題があった。
【0009】
そこで、本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、スライドロックを解除するのに必要な操作力を低減するとともに、スライドロック動作及びスライドロックの解除動作が円滑である車両用シートスライド装置を提供することにある。
【0010】
更に、本発明の他の目的は、車両用シートスライド装置を構成する構成部品を少なくして、コストを低減することにある。
更に、本発明の他の目的は、各構成部品の位置調整を容易にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題は、本発明に係る車両用シートスライド装置によれば、車体のフロアに固定されるロアレール、及び該ロアレールに摺動するアッパーレールをそれぞれが有して所定方向に並んで配置された第1スライドレールと第2スライドレールとから成るスライドレールと、前記第1スライドレール及び前記第2スライドレールの各々において前記アッパーレールの移動を規制する規制機構と、該規制機構により各々の前記アッパーレールの移動が規制された状態を解除する解除機構と、を備える車両用シートスライド装置であって、前記規制機構は、前記第1スライドレール及び前記第2スライドレールの一方に備えられた前記ロアレールと係合して前記アッパーレールである第1レールの移動を規制する第1規制位置と、前記ロアレールから離間して前記第1レールの移動を許容する第1許容位置との間を回動する第1回動体と、前記第1スライドレール及び前記第2スライドレールの他方に備えられた前記ロアレールと係合して前記アッパーレールである第2レールの移動を規制する第2規制位置と、前記ロアレールから離間して前記第2レールの移動を許容する第2許容位置との間を回動する第2回動体と、を備え、前記解除機構は、前記所定方向及び上下方向の双方に交差する交差方向に並んだ状態で配置された第1リンク及び第2リンクを備え、前記所定方向において互いに反対向きにスライドする一組のリンクと、該一組のリンクの各々をスライドさせるために操作されるコントロールケーブルと、該コントロールケーブルが操作される位置と異なる位置で操作される他のコントロールケーブルと、を備え、前記第1リンクは、前記コントロールケーブルが留められる留め部を有するリンク基端部と、前記第2リンクと対向する対向部と、該対向部と前記リンク基端部との間に位置し、かつ、前記リンク基端部又は前記対向部に対して屈曲して形成された屈曲部と、前記交差方向において前記第2リンクが位置する側とは反対側に向かって延出した部分に前記他のコントロールケーブルを保持する第1保持部と、を有し、前記第1回動体と連結しており、前記所定方向において前記一方から前記他方に向かう第1向きにスライドすることで、前記第1回動体を前記第1規制位置から前記第1許容位置に回動させ、前記第2リンクは、前記他のコントロールケーブルが留められる他の留め部を有する他のリンク基端部と、前記第1リンクと対向する他の対向部と、該他の対向部と前記他のリンク基端部との間に位置し、かつ、前記他のリンク基端部又は前記他の対向部に対して屈曲して形成された他の屈曲部と、前記交差方向において前記第1リンクが位置する側とは反対側に向かって延出した部分に前記コントロールケーブルを保持する第2保持部と、を有し、前記第2回動体と連結しており、前記所定方向において前記他方から前記一方に向かう第2向きにスライドすることで、前記第2回動体を前記第2規制位置から前記第2許容位置に回動させ、前記第1リンクと前記第2リンクとに弾性部材が連結されており、該弾性部材は、前記第1リンクを前記第2向きに、前記第2リンクを前記第1向きに付勢し、前記コントロールケーブルは、前記第1回動体が前記第1規制位置にあるとき、又は前記第2回動体が前記第2規制位置にあるときに撓んだ状態となるように前記アッパーレール又は前記アッパーレール側にある部材に基端部を取り付けられており、前記第1リンクにおける前記留め部に留められて前記コントロールケーブルが操作されたときに前記第1リンクを前記第1向きに引っ張るインナー部と、該インナー部を覆って摺動可能に保持し、前記コントロールケーブルの前記基端部で固定され、前記第2リンクの前記第2保持部に保持されたアウター部と、を有し、前記他のコントロールケーブルは、前記第1回動体が前記第1規制位置にあるとき、又は前記第2回動体が前記第2規制位置にあるときに撓んだ状態となるように前記アッパーレール又は前記アッパーレール側にある部材に基端部を取り付けられており、前記第2リンクにおける前記他の留め部に留められて前記他のコントロールケーブルが操作されたときに前記第2リンクを前記第2向きに引っ張る他のインナー部と、該他のインナー部を覆って摺動可能に保持し、前記他のコントロールケーブルの前記基端部で固定され、前記第1リンクにおける前記第1保持部に保持された他のアウター部と、を有し、前記リンク基端部は、前記屈曲部によって、前記第2保持部に直交する方向であって前記インナー部が前記アウター部の先端部に対して延出する方向に沿って配置されており、前記他のリンク基端部は、前記他の屈曲部によって、前記第1保持部に直交する方向であって前記他のインナー部が前記他のアウター部の先端部に対して延出する方向に沿って配置されており、前記コントロールケーブルが操作されたときには、前記インナー部が前記コントロールケーブルの前記基端部から引っ張られることによって前記第1リンクが前記第1向きに移動するとともに、前記インナー部が前記コントロールケーブルの前記基端部から引っ張られて前記コントロールケーブルの撓み量が小さくなることで生じる力で前記アウター部によって押し出されることで、前記第2リンクが前記第2向きに移動し、前記他のコントロールケーブルが操作されたときには、前記他のインナー部が前記他のコントロールケーブルの前記基端部から引っ張られることによって前記第2リンクが前記第2向きに移動するとともに、前記他のインナー部が前記他のコントロールケーブルの前記基端部から引っ張られて前記他のコントロールケーブルの撓み量が小さくなることで生じる力で前記他のアウター部によって押し出されることで、前記第1リンクが前記第1向きに移動すること、により解決される。
【0012】
上記構成であれば、第1リンクと第2リンクとを互いに反対向きにスライドさせて第1回動体及び第2回動体を回動させるように構成された解除機構と、第1回動体が第1規制位置にあるとき、又は第2回動体が第2規制位置にあるときに撓んだ状態となるように基端部を固定されたコントロールケーブルと、を備えることで、コントロールケーブルのインナー部を基端部から引っ張ることで、第1リンクを介して、第1回動体を回動させるとともに、インナー部が引っ張られることで撓み量が小さくなることで生じる力によって、アウター部が第2リンクを押し出し、第2回動体を回動させることができる。
つまり、第1回動体を回動させる荷重を付加することで、両スライドレールのスライドロックを解除することができ、従来の車両用シートスライド装置と比較して、スライドロックを解除するのに必要な操作力を低減することができる。
特に、第1リンクに屈曲部が形成されており、当該屈曲部によって、第2保持部に直交する方向であってインナー部がアウター部の先端部に対して延出する方向に沿ってリンク基端部が配置されていることで、インナー部は、コントロールケーブルが操作されたときに保持部に直交する方向に沿って移動することとなる。このため、インナー部の突出又は後退動作に応じたリンクの連動性が良好となり、スライドロック動作又はスライドロックの解除動作が円滑となる。
また、上記構成であれば、弾性部材によってスライドロックする方向の付勢力を第1のリンクと第2のリンク間に付与でき、適当な弾性力を有する弾性部材を選択することで、不意にスライドロックが解除されることのないように容易に調整できる。
また、上記構成であれば、コントロールケーブルを操作可能な位置とは異なる位置で、他のコントロールケーブルを操作して、アッパーレールのスライドの規制を解除する操作が可能となるとともに、第1リンクと同様に第2リンクには他の屈曲部が形成されているため、他のインナー部の突出又は後退動作に応じた第2リンクの連動性が良好となり、スライドロック又はスライドロックの解除動作が円滑となる。
特に、第1リンクと第2リンクとが相対的に移動することによってシートスライドのロック及びロックの解除をするという構成であるため、一のコントロールケーブルの他に他のコントロールケーブルを適用して、その別の部材を特別必要とせずに、第1リンク及び第2リンクを動作させることが可能となる。
【0013】
更に、前記リンク基端部は、前記屈曲部によって、前記第2保持部に直交する方向であって前記インナー部が前記アウター部の先端部に対して延出する方向に沿って傾斜していると好ましい。
上記構成であれば、コントロールケーブルのインナー部の屈曲を抑制することができ、インナー部の突出又は後退動作に応じた第1リンクの連動性が良好となり、スライドロック動作又はスライドロックの解除動作が円滑となる。
【0014】
更に、前記リンク基端部は、前記屈曲部によって、前記交差方向において前記対向部よりも前記第2リンク側に配置されていると好ましい。
上記構成であれば、コントロールケーブルが留められる留め部を有するリンク基端部が、交差方向において、コントロールケーブルが保持される第2リンク側に形成されているため、コントロールケーブルのインナー部の屈曲を抑制することができ、インナー部の突出又は後退動作に応じた第1リンクの連動性が良好となり、スライドロック動作又はスライドロックの解除動作が円滑となる。更に、コントロールケーブルが配置される第2リンク側の空間を有効利用してリンクを設けることができ、車両用シートスライド装置の占有スペースを小さくすることができる。
【0015】
また、前記第1リンクは、前記第1回動体に支持され、前記第2リンクは、前記第2回動体に支持されていると好ましい。
上記構成であれば、第1リンク及び第2リンクを支持するのに別個の支持部材がないため、その別個の部品を連動させるための位置調整が不要となる。
【0016】
また、前記第1回動体は、前記第1リンクに直接支持され、前記第2回動体は、前記第2リンクに直接支持されていると好ましい。
上記構成であれば、第1回動体と第1リンクとの間、及び第2回動体と第2リンクとの間に、他の部材が介装されていないため、第1リンクの移動が第1回動体の回動に、第2リンクの移動が第2回動体の回動に直接関わることとなり、荷重の伝達効率が良好となり、操作力を低減することができる。
【0017】
更に、前記第1回動体及び前記第2回動体のそれぞれを支持し、前記第1レール及び第2レールのそれぞれに取り付けられた支持部材を備え、該支持部材には、前記第1回動体又は第2回動体におけるアンロック側の回動の上限を規定する回動ストッパが形成されていると好ましい。
上記構成であれば、回動ストッパによって、第1回動体又は第2回動体の回動角度を制限し、第1回動体又は第2回動体が必要以上に回動することによって他の部材に当接することを防ぐことができる。
【0019】
また、前記屈曲部には、前記第1リンクの長手方向に沿って延在する補強部が形成されていると好ましい。
上記構成であれば、補強部によって屈曲部の剛性を高めることができる。
【0021】
更に、前記第1リンクと前記第2リンクは、共通する形状であると好ましい。
上記構成であれば、部品を共通化することで、製造コストを低減することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、スライドロックを解除するのに必要な操作力を低減することができるとともに、スライドロック動作及びスライドロックの解除動作が円滑である車両用シートスライド装置を提供することができる。
更に、本発明によれば、車両用シートスライド装置の占有スペースを小さくすることができる。
更に、本発明によれば、車両用シートスライド装置を構成する構成部品を少なくして、コストを低減することができる。
更に、本発明によれば、各構成部品の位置調整を容易にすることができる。
更に、本発明によれば、屈曲部の剛性を高めることができる。
更に、本発明によれば、製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施形態に係る車両用シートスライド装置を示す斜視図である。
図2】車両用シートスライド装置において一組のリンクの一部を分解して示す斜視図である。
図3】一組のリンクの分解状態を示す分解斜視図である。
図4】スライドレール、第1ロックレバー、前方支持部材及び後方支持部材等を示す分解斜視図である。
図5】第1ロックレバー、前方支持部材、後方支持部材及び線ばねを拡大して示す分解斜視図である。
図6】(A)は、第2スライドレールに設けられた第2ロックレバーを示す斜視図、(B)は、第1スライドレールに設けられた第1ロックレバーを示す斜視図である。
図7】第1ロックレバーのロック状態を示す図1のVII-VII断面矢視図である。
図8図7で示された第1ロックレバーのロック解除状態を示す断面矢視図である。
図9】(A)は、スライドロック状態のコントロールケーブル及びリンクの状態を示す正面図、(B)は、スライドロック解除動作の開始直後におけるコントロールケーブル及びリンクの状態を示す正面図、(C)は、スライドロック解除状態のコントロールケーブル及びリンクの状態を示す正面図である。
図10】(A)は、スライドロック状態のコントロールケーブル及びリンクの状態を示す平面図、(B)は、スライドロック解除動作の開始直後におけるコントロールケーブル及びリンクの状態を示す平面図、(C)は、スライドロック解除状態のコントロールケーブル及びリンクの状態を示す平面図である。
図11】(A)は、第1屈曲部を有する第1リンクにインナーケーブルを係合させた状態を示す平面図、(B)は、第1屈曲部を有しない第1リンクにインナーケーブルを係合させた状態を示す平面図である。
図12】変形例に係る第3屈曲部を有する第1リンクにインナーケーブルを係合させた状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について図1図12を参照して説明する。
図1に示す車両用シートスライド装置1は、図示せぬ車両のフロアと図示せぬシートとの間に設置され、シートを前後方向にスライド可能にするスライドレール2を備えている。スライドレール2は、シート左右方向の両側に並設された第1スライドレール2aと、第2スライドレール2bとから構成されている。
【0025】
これらの第1スライドレール2aと第2スライドレール2bとは、シートの左右で面対称に形成されており、理解を容易にするため、第1スライドレール2aの構成部品を主として説明する。
第1スライドレール2aは、それぞれ図示せぬフロアに固定されるロアレール3と、図示せぬシートに固定されるアッパーレール4とから構成される。
具体的には、図4に示すように、一対のロアレール3の内側面には、アッパーレール4の摺動をロックするため、後述する規制機構6Bの第1ロックレバー61のロック爪61bが掛かる矩形状のロック孔3aが所定間隔で複数形成されている。なお、一対のロアレール3として説明するが、本発明は、シート左右方向に配設されたロアレール3が同一形状であるものに限定されない。次に説明する一対のアッパーレール4についても同様である。
【0026】
また、アッパーレール4は、図4に示すように、摺動部材4aによってロアレール3に摺動可能に支持され、貫通孔4cを通る図示せぬ固定部材によって図示せぬシートに固定されている。また、一対のアッパーレール4の上面には、後述するロック爪61bが挿入される貫通孔4fが形成されている。また、一対のアッパーレール4におけるシート幅方向内側の内側面には、アッパーレール4の摺動を規制する後述するロック爪61bが通される矩形状のロック孔4g、及びその延長上にあるロック溝4hが、ロック孔3aと同一の間隔で複数形成されている。なお、以下において、第1スライドレール2a側のアッパーレール4を第1レール41、第2スライドレール2b側のアッパーレール4を第2レール42とも称呼する。
【0027】
この構成のシート左右に並設された第1スライドレール2a及び第2スライドレール2bのそれぞれには、アッパーレール4の摺動を規制するものであり後述する規制機構6Bが配設されており、この規制を解除する解除機構6Aが、第1スライドレール2a及び第2スライドレール2b間に配設されている。
規制機構6Bは、詳細については後述するが、第1ロックレバー61を備え、第1ロックレバー61のロック爪61bを、アッパーレール4のロック孔4g及びロック溝4hに通してロアレール3のロック孔3aに係合させることによって、アッパーレール4の摺動を規制する機構である。
この第1ロックレバー61によるアッパーレール4の摺動の規制を、第1リンク60a及び第2リンク65aを移動させることによって解除する解除機構6Aについて次に説明する。
【0028】
<解除機構について>
解除機構6Aは、図1に示すように、第1スライドレール2aに繋がる第1リンク60a、第2のスライドレール2bに繋がる第2リンク65aと、第1リンク60aと第2リンク65aとをシート幅方向(本発明における所定方向)に互いに逆向きに移動させる第1コントロールケーブル70及び第2コントロールケーブル71と、から構成される。
【0029】
(第1リンクの構成)
第1リンク60aは、シート幅方向外側から内側へと順に、本発明に係るリンク基端部に相当する基端部60b、第1屈曲部60m、本発明に係る他の対向部に相当する中間部60c及び先端にある保持部60dから構成され、図1中、右側である第1スライドレール2a側に配設されている。第1リンク60aは、図3に示すように、長尺板材から形成されて、第1スライドレール2a側の基端部60bから第2スライドレール2b側の中間部60cにかけて延在している。具体的には、基端部60bが略シート幅方向内側に延出しており、基端部60bから後ろ側(第2リンク65aから離間する側)に折り曲がった第1屈曲部60mによって、中間部60cは基端部60bよりも後ろ側であって、後述する第2リンク65aの中間部66cの後ろ側に位置している。逆にいうと、第1リンク60aの基端部60bは、第1屈曲部60mによって中間部60cよりも前側(第2リンク65aが位置する側)にずれて位置している。また、保持部60dは、後述する第2リンク65aから離間する側である後方に折れ曲がって突出して形成されている。
【0030】
また、第1リンク60aは、基端部60bで、後述する第1ロックレバー61に係合ピン60kによって回動可能に連結される。基端部60bは、図10に示すように、係合ピン60kに固定された部分から、第2リンク65a側であるシート前方側に若干傾斜して形成されている。また、基端部60bには、後述する第1コントロールケーブル70のインナーケーブル70aの移動をガイドする板厚方向に貫通した貫通孔60eが形成されている。この貫通孔60eは、具体的には、シート幅方向に延びる長穴であり、後述するインナーケーブル70aの係合端部70cが摺動することで、インナーケーブル70aの移動をガイドする。また、係合端部70cは、貫通孔60eの第2スライドレール2b側の縁であり本発明の留め部に相当する留め縁60pにおいて係合する。なお、インナーケーブル70aと第1リンク60aとの連動関係については後述する。
【0031】
第1屈曲部60mは、第1リンク60aの基端部60bと後述する中間部60cとの相互の位置をずらす機能を有し、後述する第1コントロールケーブル70と第1リンク60a及び第2リンク65aとの連動を円滑にする作用を有する。
また、図3に示すように、第1屈曲部60mは、第1屈曲部60mの延出方向に沿って略幅方向に延出する、本発明に係る補強部としての補強ビード60nを中央に有する。補強ビード60nは、シート後方からシート前方に膨出し、換言すると、前面側がシート前方に突出しつつ、後面側がシート前方に窪んでいることで、周辺部の厚さと略等しい厚さで形成されている。このように形成されていることで第1屈曲部60mの剛性を高めることができるとともに、後述するインナーケーブル70aが配されるシート前方側のスペースを有効利用することができる。
【0032】
なお、第1屈曲部60mを補強するものとしては、上記の補強ビード60nに限定されず、例えば、他の部位よりも厚くなるように盛られた形状であるリブ形状であってもよい。別の補強方法としては、例えば、第1屈曲部60mの上下の少なくとも一方に前後方向に延在する図示せぬフランジを設けるようにしてもよい。特に、フランジを設ける場合には、第1屈曲部60mを含めて、貫通孔60eに上下方向において重なる位置までフランジが第1リンク60aに形成されていると好ましい。このようにフランジが形成されていることで、第1屈曲部60mの剛性がより高められる。
上記内容については、後述する第2屈曲部65mを補強するものについても同様である。
なお、第1屈曲部60mによる作用効果の詳細については後述する。
【0033】
中間部60cは、後述する第2リンク65aに対向するように配置され、基端部60bに対して第1屈曲部60mを境として、シート幅方向と略同一方向に形成されている。
また、中間部60cには、第1リンク60aの移動をガイドする板厚方向に貫通した支持孔60fと、板厚方向に貫通した固定孔60gとが形成されており、固定孔60gに摺動ピン60jが固定されている。
具体的には、支持孔60fは、シート幅方向に延びる長穴であり、後述する第2リンク65aに固定された後述する摺動ピン65jに沿って、第1リンク60aを摺動させることで第1リンク60aの移動をガイドするものである。
摺動ピン60jは、後述する第2リンク65aの支持孔65fを挿通して、後述する第2リンク65aを、第1リンク60aに沿って摺動させるためのものである。
【0034】
本発明に係る他の保持部としての保持部60dは、具体的には、後方に折れ曲がって突出して形成されており、円弧状の切欠き60hを有する。この切欠き60hに、後述する第2コントロールケーブル71のアウターケーブル71bの固定端部71dが固定されることとなる。
【0035】
また、第1リンク60aの中間部60cにおける保持部60d側の下面には、下方に突出して、第2スライドレール2b側に折り曲がったL字状の掛け部60iが形成されている。この掛け部60iと、後述する第2リンク65aの掛け部65iとに引張コイルばね8が架設されている。この引張コイルばね8は、第1リンク60aと後述する第2リンク60bの双方が相対的にシート幅方向に広がるように、換言すると、後述する第1ロックレバー61が第1レール41をロックする方向に回動するように、第2ロックレバー66が第2レール42をロックする方向に回動するように付勢する。
【0036】
(第2リンクの構成)
次に第2リンク65aについて説明する。第2リンク65aは、図3に示すように、第1リンク60aに対して、共通の形状を有して、両リンクの中間部60cの先端側と中間部65cの先端側とが重なるように垂直線を基準として線対称に配置されており、第1リンク60aの前方に配置されているものである。なお、第1リンク60aと第2リンク65aとが並ぶ前後方向は、本発明の交差方向に相当し、シート幅方向及び上下方向に交差する方向である。
また、第2リンク65aの構成は、第1リンク60aの構成と多くの点で重複するが、後述する第2リンク65aの動作説明の便宜のために説明する。
【0037】
第2リンク65aは、シート幅方向外側から内側へと順に、本発明に係る他のリンク基端部に相当する基端部65b、本発明に係る他の屈曲部に相当する第2屈曲部65m、本発明に係る他の対向部に相当する中間部65c及び保持部65dから構成され、図1中、左側である第2スライドレール2b側に配設されている。第2リンク65aは、図3に示すように、長尺板材から形成されて、第2スライドレール2b側の基端部65bから第1スライドレール2a側の中間部65cにかけて延在している。具体的には、基端部65bが略シート幅方向内側に延出しており、基端部65bから前側(第1リンク60aから離間する側)に折り曲がった第2屈曲部65mによって、中間部65cは基端部65bよりも前側であって、前述した第1リンク60aの中間部60cの前側に位置している。逆にいうと、第2リンク65aの基端部65bは、第2屈曲部65mによって中間部65cよりも後ろ側(第1リンク60aが位置する側)にずれて位置している。また、保持部65dは、前述した第1リンク60aから離間する側である後方に折れ曲がって突出して形成されている。
【0038】
また、第2リンク65aは、基端部65bで、第2ロックレバー66に係合ピン65kによって回動可能に連結される。基端部65bは、図10に示すように、係合ピン65kに固定された部分から、シート後方側に若干傾斜して形成されている。また、基端部65bには、第2コントロールケーブル71のインナーケーブル71aの移動をガイドする板厚方向に貫通した貫通孔65eが形成されている。この貫通孔65eは、具体的にはシート幅方向に延びる長穴であり、インナーケーブル71aの係合端部71cが摺動することで、インナーケーブル71aの移動をガイドする。また、係合端部71cは、貫通孔65eの第1スライドレール2a側の縁であり本発明の他の留め部に相当する留め縁65pにおいて係合する。なお、インナーケーブル71aと第2リンク65aとの連動関係については後述する。
【0039】
第2屈曲部65mは、第2リンク65aの基端部65bと後述する中間部65cとの相互の位置をずらす機能を有し、後述する第2コントロールケーブル71と第1リンク60a及び第2リンク65aとの連動を円滑にする作用を有する。
また、第2屈曲部65mは、第2屈曲部65mの延出方向に沿って略幅方向に延出する補強ビード65nを中央に有する。補強ビード65nは、シート前方からシート後方に膨出しており、このように形成されていることで第2屈曲部65mの剛性を高めることができるとともに、後述するインナーケーブル71aが配されるシート後方側のスペースを有効利用することができる。なお、第2屈曲部65mによる作用効果の詳細については後述する。
【0040】
中間部65cは、第1リンク60aに対向するように配置され、基端部65bに対して第2屈曲部65mを境として、シート幅方向と略同一方向に形成されている。
また、中間部65cには、第2リンク65aの移動をガイドする板厚方向に貫通した支持孔65fと、板厚方向に貫通した固定孔65gとが形成されており、固定孔65gに摺動ピン65jが固定されている。
具体的には、支持孔65fは、シート幅方向に延びる長穴であり、前述した第1リンク60aに固定された摺動ピン60jに沿って、第2リンク65aを摺動させることで第2リンク65aの移動をガイドするものである。
摺動ピン65jは、前述した第1リンク60aの支持孔60fを挿通して、前述した第1リンク60aを、第2リンク65aに沿って摺動させるためのものである。
【0041】
保持部65dは、具体的には、前方に折れ曲がって突出して形成されており、円弧状の切欠き65hを有する。この切欠き65hに、後述する第1コントロールケーブル70のアウターケーブル70bの固定端部70dが固定、保持されることとなる。
【0042】
また、第2リンク65aの中間部65cにおける保持部65d側の下面には、下方に突出して、第1スライドレール2a側に折り曲がったL字状の掛け部65iが形成されている。この掛け部65iと、前述した第1リンク60aの掛け部60iとに、前述したように、引張コイルばね8が架設されている。
【0043】
<規制機構について>
次に、規制機構6Bについて、図4図8を参照して説明する。ここで、図4は、第1スライドレール2a、第1ロックレバー61、前方支持部材62及び後方支持部材63等を示す分解斜視図である。図5は、第1ロックレバー61、前方支持部材62、後方支持部材63及び線ばね64を拡大して示す分解斜視図、図6(A)は、第2スライドレール2bに設けられた第2ロックレバー66を示す斜視図、(B)は、第1スライドレール2aに設けられた第1ロックレバー61を示す斜視図、図7は、第1ロックレバー61のロック状態を示す図1のVII-VII断面矢視図、図8は、図7で示された第1ロックレバー61のロック解除状態を示す断面矢視図である。
【0044】
規制機構6Bは、第1スライドレール2a側に設けられた第1回動体としての第1ロックレバー61、第1ロックレバー61を前後方向から支持する前方支持部材62及び後方支持部材63、並びに第1ロックレバー61を付勢する線ばね64、並びに、第2スライドレール2b側に設けられた第2回動体としての第2ロックレバー66、第2ロックレバー66を前後方向から支持する前方支持部材67及び後方支持部材68、並びに第2ロックレバー66を付勢する線ばね69から構成される。
これらの第1スライドレール2a側に設けられた各構成部品と第2スライドレール2b側に設けられた各構成部品は、シートの左右で面対称に形成されており、理解を容易にするため、第1スライドレール2a側に設けられた各構成部品のみについて説明する。
【0045】
(第1ロックレバーの構成)
第1ロックレバー61は、上記のように、後述する前方支持部材62及び後方支持部材63に前後を支持され、第1レール41のスライド方向に平行な軸方向を中心に回動可能に構成されている。
第1ロックレバー61は、図5に示すように、平板状の本体61aと、本体61aに接続され、スライドをロック又はロック解除するロック爪61bと、前縁から上方に突出して形成された前縁壁61cと、後縁から上方に突出して形成された後縁壁61eと、を備える。
【0046】
ロック爪61bは、櫛状に形成された5枚の刃から成り、本体61aのシート幅方向外側から下方に突出しシート幅方向内側に延出している。
【0047】
前縁壁61cは、後述する前方支持部材62の突出支持部62cに回動可能に支持される支持孔61dを有する。支持孔61dは、第1レール41の長手方向に平行な方向である厚さ方向に形成されている。また、前縁壁61cは、シート幅方向内側に突出する突出部61iを有する。この突出部61iは、後述する線ばね64から上方向の付勢力を受ける。ここで上方向とは、換言すると、ロック爪61bがロアレール3のロック孔3aに係合して第1レール41の摺動をロックする向きに、第1ロックレバー61が回動する方向である。
【0048】
後縁壁61eは、後述する後方支持部材63の突出支持部63bに回動可能に支持される支持孔61fを有する。支持孔61fは、第1レール41の長手方向に平行な方向である厚さ方向に、かつ、支持孔61dの延長上に形成されている。
また、後縁壁61eは、前縁壁61cよりも上方に延在しており、その延在部分に係合孔61gを有する。係合孔61gは、第1レール41の長手方向に平行な方向である厚さ方向に貫通して形成されている。第1ロックレバー61は、係合孔61gに図2に示す係合ピン60kが通されることによって、前述の第1リンク60aの基端部60bに回動可能に連結されることとなる。
また、後縁壁61eは、前縁壁61cよりも上方に延在した部分から、シート幅方向外側及び下方に延在するフック部61hを有する。フック部61hは、第1ロックレバー61が前方側から後方側に見て反時計回りに所定量回動したときに、後述する後方支持部材63の回動ストッパ63cに当接することにより、その回動量を制限するためのものである。
【0049】
このように構成された第1ロックレバー61においては、前方側から後方側に見て時計回りに回動した状態で、図7に示すように、ロック爪61bが、第1レール41の貫通孔4f及びロック孔4gを挿通して、ロアレール3のロック孔3aに係合することで、第1レール41のロアレール3に対する前後方向の摺動をロックする。
このように、第1ロックレバー61が第1レール41の摺動をロックした状態は、第1ロックレバー61が本発明の第1規制位置に回動した状態に相当する。同様に、第2ロックレバー66が第2レール42の摺動をロックした状態は、第2ロックレバー66が本発明の第2規制位置に回動した状態に相当する。
【0050】
逆に、第1ロックレバー61が前方側から後方側に見て反時計回りに回動した状態では、図8に示すように、ロック爪61bがロアレール3のロック孔3aから抜き出されることで、第1レール41のロアレール3に対する前後方向の摺動のロックを解除する。
このように、第1ロックレバー61が第1レール41の摺動のロックを解除した状態は、第1ロックレバー61が本発明の第1許容位置に回動した状態に相当する。同様に、第2ロックレバー66が第2レール42の摺動のロックを解除した状態は、第2ロックレバー66が本発明の第2許容位置に回動した状態に相当する。
【0051】
(前方支持部材、後方支持部材及びばねの構成)
前方支持部材62は、第1ロックレバー61の前方側を回動可能に支持するためのものである。前方支持部材62は、図5に示すように、全体として平板状に形成され、前側にある前側支持片62bが上方に突出して形成されている。
前側支持片62bには、第1レール41の長手方向に平行な方向である後方に突出する突出支持部62cが形成されている。突出支持部62cが、前述した第1ロックレバー61の支持孔61dに嵌ることで、前方支持部材62は、後述する後方支持部材63と共に、回動可能に第1ロックレバー61を支持することとなる。
また、前方支持部材62は、前部及び後部において、上下方向である板厚方向に2個の貫通孔62aが形成されており、中央部において、シート幅方向内側に切り欠かれた切欠き62dが形成されている。
前方支持部材62は、2個の貫通孔62a、及び第1レール41の2個の取付孔4dを通る取付具4eによって、第1レール41の上面に沿って取り付けられた状態で、第1レール41に固定されている。また、2個の貫通孔62aのうち、後ろ側の貫通孔62aには、後述する後方支持部材63が、前方支持部材62の上部において取付具4eによって共締めされている。
また、前方支持部材62の切欠き62dは、ロック爪61bを、前方支持部材62の上方から下方にある第1レール41の貫通孔4fに通すために形成されているものである。
【0052】
後方支持部材63は、前方支持部材62の後ろ側上部に、取付具4eによって共締めされて取り付けられている。
具体的には、後方支持部材63は、上下方向に貫通する貫通孔63aを有し、取付具4eが貫通孔63a、前方支持部材62の貫通孔62a、第1レール41の貫通孔4cを通って締結されていることで、第1レール41に固定されている。
【0053】
後方支持部材63には、第1レール41の長手方向に平行な方向である前方に突出する突出支持部63bが形成されている。突出支持部63bが、前述した第1ロックレバー61の支持孔61fに嵌ることで、後方支持部材63は、前述した前方支持部材62と共に、回動可能に第1ロックレバー61を支持することとなる。
また、後方支持部材63には、シート幅方向内側から内側方向及び上方向に突出する回動ストッパ63cが形成されている。回動ストッパ63cは、前述したように、第1ロックレバー61が前方側から後方側に見て反時計回りに所定量回動したときに、第1ロックレバー61のフック部61hに当接することによって、その回動量を制限するためのものである。
また、後方支持部材63の後端部には、折り曲げられて、下方にある前方支持部材62と間隔が空くように形成された掛け部63dが形成されている。掛け部63dに、後述する線ばね64の後端が固定されることとなる。
【0054】
線ばね64は、上面視略U字状に形成されており、開放側がシート幅方向内側に向けられた状態で、前方支持部材62及び後方支持部材63に取り付けられている。
具体的には、線ばね64は、その後端64aが後方支持部材63の掛け部63dに固定され、付勢部である前端64bが、前方支持部材62の前側支持片62bに対して、シート幅方向外側から前方を通って、シート幅方向内側に回り込むようにして、前方支持部材62に取り付けられている。
そして、線ばね64の前端64bは自然状態において、上方に曲がった状態であり、前端64bは、前述した第1ロックレバー61の突出部61iの下方に配置されるように形成されている。
つまり、線ばね64の前端64bは、第1ロックレバー61の突出部61iに上方から押圧されている状態において、第1ロックレバー61をロックする方向である上方向に、第1ロックレバー61の突出部61iを付勢している。
【0055】
<コントロールケーブルの構成について>
次に、スライドロックの解除動作に関わる第1コントロールケーブル70及び第2コントロールケーブル71について、図9及び図10を参照して説明する。
ここで、図9(A)は、スライドロック状態の第1コントロールケーブル70、第1リンク60a及び第2リンク65aの状態を示す正面図、図9(B)は、スライドロック解除動作の開始直後における第1コントロールケーブル70、第1リンク60a及び第2リンク65aの状態を示す正面図、図9(C)は、スライドロック解除状態の第1コントロールケーブル70、第1リンク60a及び第2リンク65aの状態を示す正面図である。
また、図10(A)は、スライドロック状態の第1コントロールケーブル70、第2コントロールケーブル71、第1リンク60a及び第2リンク65aの状態を示す平面図、図10(B)は、スライドロック解除動作の開始直後における第1コントロールケーブル70、第2コントロールケーブル71、第1リンク60a及び第2リンク65aの状態を示す平面図、図10(C)は、スライドロック解除状態の第1コントロールケーブル70、第2コントロールケーブル71、第1リンク60a及び第2リンク65aの状態を示す平面図である。
【0056】
第1コントロールケーブル70と第2コントロールケーブル71とは、いずれか一方のみを操作することのみによっても、スライドロックを解除できるように構成されるものでる。例えば、第1コントロールケーブル70の操作部は、シートサイドに設けられ、第2コントロールケーブル71の操作部は、シート後方に設けられて、2箇所からのスライドロックの解除操作を可能とするものである。
【0057】
第1コントロールケーブル70は、インナーケーブル70aと、インナーケーブル70aの大部分を覆うアウターケーブル70bとから構成される。
同様に、第2コントロールケーブル71は、インナーケーブル71aと、インナーケーブル71aの大部分を覆うアウターケーブル71bとから構成される。第1コントロールケーブル70及び第2コントロールケーブル71は、スライドロック状態において、撓んだ状態となるように配設されている。
【0058】
第1コントロールケーブル70のインナーケーブル70aにおいては、先端にある係合端部70cが貫通孔60eの留め縁60pに係合しており、第1コントロールケーブル70の基端部70eから引き出し可能に構成されている。基端部70eは、アッパーレール4又はアッパーレール4側の部材に固定されている。
同様に、第2コントロールケーブル71のインナーケーブル71aにおいては、先端にある係合端部71cが貫通孔65eの留め縁65pに係合しており、第2コントロールケーブル71の図示せぬ基端部から引き出し可能に構成されており、図示せぬ基端部は、アッパーレール4又はアッパーレール4側の部材に固定されている。
【0059】
第1コントロールケーブル70のアウターケーブル70bにおいては、先端にある固定端部70dが第2リンク65aの保持部65dの切欠き65hに固定されており、基端側が第1コントロールケーブル70の基端部70eに固定されている。
同様に、第2コントロールケーブル71のアウターケーブル71bにおいては、先端にある固定端部71dが第1リンク60aの保持部60dの切欠き60hに固定されており、基端側が第2コントロールケーブル71の図示せぬ基端部に固定されている。
【0060】
なお、前述のように、シート後側の第1リンク60aは、第1屈曲部60mを有し、基端部60bが中間部60cに対してシート前側である第2リンク65a側にずれて形成されおり、シート前側の第2リンク65aは、第2屈曲部65mを有し、基端部65bが中間部65cに対してシート後側である第1リンク60a側にずれて形成されている。
また、前述のように、第1コントロールケーブル70は、第2リンク65aにおける中間部65cの先端にある保持部65dにアウターケーブル70bを固定され、第1リンク60aにおける基端部60bにインナーケーブル70aを固定されている。
【0061】
そして、第1コントロールケーブル70は、アウターケーブル70bからインナーケーブル70aが突出及び後退する方向の延長上で、係合端部70cが貫通孔60eの留め縁60pに係合しており、次に説明するように、第1コントロールケーブル70が動作することによって、一組のリンク60が円滑に作動することとなる。
また、第1コントロールケーブル70と同様に、第2コントロールケーブル71が形成されていることで、第2コントロールケーブル71が動作することによって、一組のリンク60が円滑に作動することとなる。
【0062】
(コントロールケーブルの動作について)
第1コントロールケーブル70と、第2コントロールケーブル71とは、第1リンク60aを動作させるものが、インナーケーブル70aであるか又はアウターケーブル71bであるか、第2リンク65aを動作させるものが、アウターケーブル70bであるか又はインナーケーブル71aであるかの違いのみで、その他の動作に違いはないため、第1コントロールケーブル70の動作のみについて説明する。
【0063】
図9(A)及び図10(A)に示すスライドロック状態から、ユーザが図示せぬ操作レバー等を操作することによって、インナーケーブル70aが第1スライドレール2aから第2スライドレール2b側、図9(B)に示す第1向きD1に引っ張られると、インナーケーブル70aと係合端部70cで係合された第1リンク60aが、第1向きD1に移動することとなる。そして、第1リンク60aの移動に伴って、第1リンク60aに係合ピン60kで固定された第1ロックレバー61が、線ばね64の付勢力に抗して、図9中、反時計回りに回動することとなる。
【0064】
このとき、第1コントロールケーブル70の基端部70e側からインナーケーブル70aが引っ張られるため、第1コントロールケーブル70の撓み量が小さくなる。このため、基端部70eで固定されたアウターケーブル70bは、第2リンク65aの保持部65dを固定端部70dで押す力が、図9中、第2向きD2に発生することとなる。更に、インナーケーブル70aを引っ張る力の反作用の力が、アウターケーブル70bから第2向きD2に同様に押す力が発生し、固定端部70dから第2リンク65aの保持部65dに加わることとなる。
これらの保持部65dに加わる固定端部70dからの荷重によって、第2リンク65aが第2向きD2に移動することとなる。そして、第2リンク65aの移動に伴って、第2リンク65aに係合ピン65kで固定された第2ロックレバー66が線ばね69の付勢力に抗して、図9中、時計回りに回動することとなる。
【0065】
更に、ユーザがインナーケーブル70aを第1スライドレール2aから第2スライドレール2b側に引っ張ると、上記と同様に、第1リンク60aが、第2スライドレール2b側に移動して第1ロックレバー61が反時計回りに回動する。この回動によって、図8図9(C)及び図10(C)に示すように、ロック爪61bがロック孔3aから第1スライドレール2aの内側に抜き出される。更に、第1ロックレバー61のフック部61hが、回動ストッパ63cに当接することにより、第1ロックレバー61の回動がストップする。
【0066】
この状態で、更にインナーケーブル70aを引っ張ると、上記と同様に、第1コントロールケーブル70の撓み量が小さくなることで、アウターケーブル70bは、第2リンク65aの保持部65dを固定端部70dで押す力が、図9中、第2向きD2に発生することとなる。更に、インナーケーブル70aを引っ張る力の反作用の力が、アウターケーブル70bから第2向きD2に同様に押す力が発生し、固定端部70dから第2リンク65aの保持部65dに加わることとなる。つまり、第2リンク65aのみが第2向きD2に移動し、第2ロックレバー66が時計回りに回動することとなる。
この回動によって、第1ロックレバー61と同様に、ロック爪66bがロアレール3から外側に抜き出され、第2リンク65aのフック部66hが回動ストッパ68cに当接することにより、第2ロックレバー66の回動がストップする。
【0067】
つまり、第2リンク65aを移動させるのは、第1コントロールケーブル70の撓み量が小さくなることに伴って、シート幅方向に伸長するアウターケーブル70bの力、及びアウターケーブル70bに生じるインナーケーブル70aを引っ張る力の反作用の力である。よって、線ばね64の付勢力に抗する力が加わるように、換言すると第1コントロールケーブル70の撓み量が小さくなるように、インナーケーブル70aを操作することで、両側にある第1ロックレバー61及び第2ロックレバー66を回動させ、スライドロックを解除することができる。
【0068】
また、インナーケーブル70aが第1リンク60aに、アウターケーブル70bが第2リンク65bに接続されていることで、インナーケーブル70a及びアウターケーブル70bから第1リンク60a及び第2リンク65bに加わる力が、シート左右方向の直線的な変化に変換されて、第1ロックレバー61と第2ロックレバー66に加わることとなる。このため、コントロールケーブル70が、第1リンク60a及び第2リンク65bを介さずに、第1ロックレバー61又は第2ロックレバー66に接続されたものと比較して、インナーケーブル70aの操作量と、第1ロックレバー61と第2ロックレバー66の回動量の変化との相関性が安定することとなる。
【0069】
また、図9(C)に示すように、スライドロックが解除された状態において、摺動ピン60jが支持孔65fの縁に当接することで、第1リンク60aと第2リンク65aとが、相互に重なる方向に移動することが制限されることとなる。このため、スライドロック状態においてインナーケーブル70aが更に引っ張られた場合に、回動ストッパ63cとフック部61hとの間に荷重が集中すること、又は回動ストッパ68cとフック部66hとの間に荷重が集中することを、支持孔65fの縁に当接する摺動ピン60jに荷重が分散されることによって防ぐことができる。
【0070】
また、図10に示すように、第1コントロールケーブル70の操作によっては、第2コントロールケーブル71におけるインナーケーブル71aとアウターケーブル71bの相対的な位置関係は変化することはない。特に、第2コントロールケーブル71がユーザに操作されていない状態においては、第2リンク65aの貫通孔65eの留め縁65pが、第2コントロールケーブル71の係合端部70cに係合することがないように、図9に示すように、貫通孔65eは第2スライドレール2b側に十分に長く形成されている。第1リンク60aの貫通孔60eも同様の理由で、第1スライドレール2a側に十分に長く形成されている。
【0071】
また、インナーケーブル70aを引く力が解除された場合には、引張コイルばね8の復元力による第1リンク60a及び第2リンク65aが移動すること、線ばね64,69の復元力が加わることによって、第1ロックレバー61及び第2ロックレバー66は回動して図9(A)の初期状態に戻ることとなる。なお、引張コイルばね8を備える構成に本発明は限定されず、例えばゴム紐、エラストマー樹脂等の弾性材料を用いて第1リンク60aと第2リンク65aとが重なる方向に付勢するようにしてもよい。
【0072】
また、上記のように、本実施形態に係る車両用シートスライド装置1においては、第1リンク60aに第1屈曲部60mが形成されており、第2リンク65aに第2屈曲部65mが形成されている。このように第1屈曲部60m及び第2屈曲部65mが形成されていることにより、第1コントロールケーブル70又は第2コントロールケーブル71による操作によって、第1リンク60a及び第2リンク65aが円滑に移動することとなる。
【0073】
この作用効果について、図11を参照して、第1屈曲部60mと第1コントロールケーブル70とに関わる構成を代表して説明する。ここで、図11(A)は、第1屈曲部60mを有する第1リンク60aにインナーケーブル70aを係合させた状態を示す平面図、図11(B)は、第1屈曲部60mを有しない第1リンク60aにインナーケーブル70aを係合させた状態を示す平面図である。
【0074】
アウターケーブル70bが固定されている第2リンク65aの保持部65dは、中間部65cから前側に突出している。インナーケーブル70aを留める留め縁60pを有する基端部60bは、図11(A)に示すように、第1リンク60aが第1屈曲部60mを有する場合には中間部60cよりも前側に位置している。
一方、図11(B)に示す、第1リンク60aが第1屈曲部60mを有しない場合には、インナーケーブル70aを留める留め縁60pを有する基端部60bは、中間部60cと前後において同じ配置となる。
このように、基端部60bが配置されることによって、第1屈曲部60mを有しない場合には、保持部65dから基端部60bにかけて延びるインナーケーブル70aが相対的に大きく屈曲することとなる。そして、インナーケーブル70aがアウターケーブル70bの内縁に当接することによって、インナーケーブル70a及びアウターケーブル70bの相対移動する際に摩擦力が生じることとなる。このため、インナーケーブル70a及びアウターケーブル70bによって動作する第1リンク60a及び第2リンク65aの円滑な動作を阻害することとなる。
一方、第1屈曲部60mが第1リンク60aに形成されている場合には、基端部60bが、第1屈曲部60mによって、保持部65dに直交する方向であってインナーケーブル70aがアウターケーブル70bの先端部である固定端部70dから延出する方向に沿う位置に配置されることとなる。このため、保持部65dから基端部60bにかけて延びるインナーケーブル70aの屈曲が小さくなる。したがって、インナーケーブル70a及びアウターケーブル70bの相対移動する際に生じる摩擦力が抑えられ、インナーケーブル70aからの荷重が第1リンク60aに効率的に伝わり、第1リンク60a及び第2リンク65aが円滑に動作することとなる。
また、上記実施形態に係る第1屈曲部60mが形成された第1リンク60aであれば、第1コントロールケーブル70が配置される第2リンク65a側の空間を有効利用してリンク60aを設けることができる。よって、車両用シートスライド装置1の占有スペースを小さくすることができる。また、図10に示すように、シート前後方向における第1ロックレバー61と第2ロックレバー66の位置を等しくすることができ、第1ロックレバー61と第2ロックレバー66に係合するロック孔3aを有するロアレール3を左右対称に形成することができることで、製造及び完成品の検査が容易となる。
【0075】
次に、変形例に係る第3屈曲部60sを備える第1リンク60aについて、図12を参照して説明する。ここで、図12は、変形例に係る第3屈曲部60sを有する第1リンク60aにインナーケーブル70aを係合させた状態を示す平面図である。
第3屈曲部60sは、基端部60bと中間部60cとの境界面を構成する部分であり、両者を屈曲した状態で接続する部分である。
基端部60bは、第3屈曲部60sによって、保持部65dに直交する方向であってインナーケーブル70aがアウターケーブル70bの先端部である固定端部70dから延出する方向に沿って傾斜している。つまり、基端部60bは、中間部60cよりも当該方向に近い傾斜で傾斜している。
このように、第3屈曲部60sにより、基端部60bが傾斜していることによって、図11(B)に示した中間部60cの延長上にインナーケーブル70aを係合させるよりも、インナーケーブル70aの屈曲を抑制することができる。よって、上記と同様に、第1リンク60a及び第2リンク65aの円滑な動作を実現できる。
【0076】
本実施形態では、主として本発明に係る車両用シートスライド装置に関して説明した。
ただし、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【0077】
例えば、本実施形態において、第1ロックレバー又は第2ロックレバーを支持する前方支持材と後方支持部材とは、別体であるものとして説明したが、一体的に形成されるものであってもよい。
【符号の説明】
【0078】
1 車両用シートスライド装置
2 スライドレール
2a 第1スライドレール
2b 第2スライドレール
3 ロアレール
3a ロック孔
4 アッパーレール
41 第1レール
42 第2レール
4a 摺動部材
4c 貫通孔
4d 取付孔
4e 取付具
4f 貫通孔
4g ロック孔
4h ロック溝
60 一組のリンク
60a 第1リンク
60b 基端部(リンク基端部)
60c 中間部(対向部)
60d 保持部(第1保持部)
60e,60f 貫通孔
60g 固定孔
60h 切欠き
60i 掛け部
60j 摺動ピン
60k 係合ピン
60m 第1屈曲部
60n 補強ビード(補強部)
60p 留め縁(留め部)
60s 第3屈曲部
61 第1ロックレバー(第1回動体)
61a 本体
61b ロック爪
61c 前縁壁
61d 支持孔
61e 後縁壁
61f 支持孔
61g 係合孔
61h フック部
61i 突出部
62 前方支持部材
62a 貫通孔
62b 前側支持片
62c 突出支持部
62d 切欠き
63 後方支持部材
63a 貫通孔
63b 突出支持部
63c 回動ストッパ
63d 掛け部
64 線ばね
64a 後端
64b 前端
65a 第2リンク
65b 基端部(他のリンク基端部)
65c 中間部(他の対向部)
65d 保持部(第2保持部)
65e 貫通孔
65f 支持孔
65g 係合孔
65h 切欠き
65i 掛け部
65j 摺動ピン
65k 係合ピン
65m 第2屈曲部(他の屈曲部)
65n 補強ビード
65p 留め縁(他の留め部)
66 第2ロックレバー(第2回動体)
66b ロック爪
66h フック部
67 前方支持部材
68 後方支持部材
68c 回動ストッパ
69 線ばね
6A 解除機構
6B 規制機構
70 第1コントロールケーブル
70a インナーケーブル(インナー部)
70b アウターケーブル(アウター部)
70c 係合端部
70d 固定端部(先端部)
70e 基端部
71 第2コントロールケーブル(他のコントロールケーブル)
71a インナーケーブル(他のインナー部)
71b アウターケーブル(他のアウター部)
71c 係合端部
71d 固定端部
8 引張コイルばね(弾性部材)
D1 第1向き
D2 第2向き
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12