(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
[概略]
本発明の候補出力システムは、所定のイベントに関して参加する予定の人物(以下、「参加者」という。)全てにとって予定が入っていない日時(以下、「スケジュール候補」という。)を取得する。候補出力システムは、各参加者のプロファイル(過去の勤務時間、過去の行動の履歴など)に基づいて、各人物の勤務時間の傾向や、行動の傾向(例えば、会議を行う日時の傾向)を推定する。勤務時間の傾向とは、言い換えれば将来生じる可能性の高い勤務時間を表す。行動の傾向とは、言い換えれば将来とられる可能性の高い行動を表す。候補出力システムは、各参加者の勤務時間の傾向や行動の傾向の推定結果に基づいて、各スケジュール候補に対し優先度を付与する。そして、候補出力システムは、優先度に応じてスケジュール候補を出力する。
【0014】
このように構成された候補出力システムにより、ユーザは複数のスケジュール候補の中から優先度に基づいて適切なスケジュール候補をより容易に選択することが可能となる。以下、候補出力システムの詳細について説明する。
【0015】
[第一実施形態]
図1は、候補出力システムの第一実施形態(候補出力システム10a)の機能構成を表す概略ブロック図である。候補出力システム10aの具体例として、会議のスケジュールを調整するための候補出力システム10aについて説明する。
【0016】
候補出力システム10aには、スケジュール記憶部201が接続される。スケジュール記憶部201は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置等の記憶装置を用いて構成される。スケジュール記憶部201は、スケジュール情報テーブルを記憶する。スケジュール情報テーブルは、各参加者について既に設定されている予定に関する情報(スケジュール情報)が登録されたテーブルである。
【0017】
候補出力システム10aには、各参加者のプロファイルに関する情報を記憶した記憶装置が接続される。第一実施形態では、プロファイルに関する情報を記憶した記憶装置の具体例として、勤務情報記憶部202が設けられる。
勤務情報記憶部202は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置等の記憶装置を用いて構成される。勤務情報記憶部202は勤務情報テーブルを記憶する。勤務情報テーブルは、各参加者の勤務状況を表す情報(勤務情報)が登録されたテーブルである。
【0018】
候補出力システム10aは、1台又は複数台の情報処理装置によって構成される。例えば、候補出力システム10aが1台の情報処理装置で構成される場合、情報処理装置は、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)やメモリや補助記憶装置などを備え、候補出力プログラムを実行する。候補出力プログラムの実行によって、情報処理装置は、空き時間取得部101、候補取得部102、推定部103a及び優先度取得部104aを備える装置として機能する。なお、候補出力システム10aの各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されても良い。また、候補出力システム10aは、専用のハードウェアによって実現されても良い。候補出力プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されても良い。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM、半導体記憶装置(例えばSSD:Solid State Drive)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスクや半導体記憶装置等の記憶装置である。候補出力プログラムは、電気通信回線を介して提供されても良い。
【0019】
空き時間取得部101は、スケジュール情報に基づいて、予定が入っていない日時(空き時間)を参加者毎に取得する。
候補取得部102は、空き時間取得部101によって取得された空き時間に基づいて、全ての参加者に予定が入っていない日時(スケジュール候補)を取得する。
推定部103aは、各参加者のプロファイル(勤務時間)に基づいて、各参加者の勤務時間の傾向を推定する。
【0020】
優先度取得部104aは、各参加者の勤務時間の傾向に基づいて、各スケジュール候補に優先度を付与する。具体的には、優先度取得部104aは、より多くの参加者の勤務時間の傾向に適合した時間帯のスケジュール候補に対してより高い優先度を付与する。すなわち、より多くの参加者の勤務時間に適合する可能性の高い時間帯のスケジュール候補に対してより高い優先度が付与される。
より具体的には以下のとおりである。優先度取得部104aは、スケジュール候補毎に、各参加者が勤務時間の傾向通りに行動した場合に参加可能であるか否か判定する。この判定結果に基づいて、優先度取得部104aは、スケジュール候補毎に参加可能な人数(参加可能人数)を推定する。優先度取得部104aは、参加可能人数が多いスケジュール候補に対して高い優先度を付与する。一方、優先度取得部104aは、参加可能人数が少ないスケジュール候補に対して低い優先度を付与する。
【0021】
次に、具体例に基づいて候補出力システム10aの動作について説明する。
図2は、勤務情報記憶部202が記憶する勤務情報テーブルの具体例を示す図である。勤務情報テーブルは、各日付の勤務開始時刻及び勤務終了時刻を人物毎に表す情報である。例えば、
図2に示される勤務情報に該当する人物は、10月1日には9時に勤務を開始し、21時に勤務を終了している。
【0022】
図3及び
図4は、勤務情報テーブルに基づいて推定部103aが生成する統計テーブルの具体例を示す図である。
図3に示される統計テーブルは、各参加者の勤務開始時刻の統計値を表す。具体的には、
図3に示される統計テーブルは、各参加者がそれぞれの勤務開始時刻で勤務を開始した回数を表す。統計テーブルは、例えば所定の期間における勤務情報に基づいて生成される。例えば、
図3に示される勤務情報に該当する人物は、9時に勤務を開始したことが10回あり、9時30分及び10時に勤務を開始したことがそれぞれ6回及び1回ある。
【0023】
図4に示される統計テーブルは、各参加者の勤務終了時刻の統計値を表す。具体的には、
図4に示される統計テーブルは、各参加者がそれぞれの勤務終了時刻で勤務を終了した回数を表す。統計テーブルは、
図3と同様に、所定の期間における勤務情報に基づいて生成される。例えば、
図4に示される勤務情報に該当する人物は、20時に勤務を終了したことが3回あり、20時30分及び21時に勤務を終了したことがそれぞれ5回及び8ある。
【0024】
推定部103aは、
図3及び
図4に示される統計テーブルに基づいて、各参加者の勤務時間の傾向を推定する。具体的には、推定部103aは、統計テーブルに基づいて、各参加者の勤務開始時刻及び勤務終了時刻の統計値を取得する。推定部103aは、例えば統計値として最頻値を用いてもよい。すなわち、推定部103aは、参加者毎に、勤務開始時刻の最頻値と勤務終了時刻の最頻値とを推定結果として取得してもよい。
【0025】
図5は、推定部103aによる推定結果の具体例を示す図である。
図5のテーブルにおいて、WSは勤務開始時刻の最頻値を表し、WEは勤務終了時刻の最頻値を表す。
図5の場合、推定部103aは、人物Aについては、9時から21時まで勤務する傾向が強いと推定する。人物B、C及びDについては、それぞれ10時から21時まで、8時から19時30分まで、9時30分から22時まで勤務する傾向が強いと推定される。
【0026】
図6は、優先度取得部104aが生成するスケジュール候補テーブルの具体例を示す図である。優先度取得部104aは、候補取得部102によって取得されたスケジュール候補毎に、推定部103aの推定結果に基づいて参加可能人数を取得する。スケジュール候補毎に推定結果に基づいて取得された情報(第一実施形態では、参加可能人数に関する情報)を付加したテーブルが、スケジュール候補テーブルである。
【0027】
図6には、5つのスケジュール候補が示されている。1つのレコードは1つのスケジュール候補を表す。各レコードは、候補、日付、開始時刻、終了時刻、場所及び参加可能人数の各項目の値を有する。候補は、スケジュール候補に与えられた識別番号を示す。日付は、会議が行われる日付を表す。開始時刻は、会議が開始される時刻を表す。終了時刻は、会議が終了する時刻を表す。場所は、会議が開催される場所を表す。参加可能人数は、そのスケジュール候補で会議が開催された場合に参加可能な人の数を表す。
【0028】
図7は、優先度が付与されたスケジュール候補の具体例を示す図である。
図7は、
図6に示される各スケジュール候補に対して付与された優先度を表す。優先度取得部104aは、各スケジュール候補に対し、参加可能人数が多い順に高い優先度を付与する。なお、本実施形態では、小さい値の優先度であるほど高い優先度であることを表す。
【0029】
図8は、候補出力システム10aの処理の流れの具体例を示すフローチャートである。まず、空き時間取得部101が設定条件を受け付ける(ステップS101)。設定条件は、候補出力システム10aが出力するスケジュール候補の条件を示す情報である。設定条件は、例えばイベント(会議)への参加者、開催時間(会議の開始時刻から終了時刻までの時間)、開催候補期間(会議が開催されるべき期間の候補)、を表す情報である。空き時間取得部101は、スケジュール情報テーブルに基づいて、開催候補期間において、開催時間以上の長さの各参加者の空き時間を取得する(ステップS102)。候補取得部102は、空き時間取得部101によって取得された空き時間に基づいて、全ての参加者に共通する空き時間をスケジュール候補として取得する(ステップS103)。
【0030】
推定部103aは、勤務情報テーブルに基づいて、各参加者の勤務時間の傾向を推定する(ステップS104)。優先度取得部104aは、候補取得部102によって取得されたスケジュール候補と、推定部103aの推定結果と、に基づいてスケジュール候補毎の優先度を取得する(ステップS105)。そして、優先度取得部104aは、スケジュール候補と優先度とを出力する(ステップS106)。以上で、候補出力システム10aの処理が終了する。
【0031】
このように構成された候補出力システム10aによれば、調整可能な日時の候補(スケジュール候補)が複数存在した場合であっても、各スケジュール候補に対して優先度が付与される。そのため、ユーザは、優先度に基づいて容易により適したスケジュール候補を選択することが可能となる。
【0032】
より具体的には以下のとおりである。候補出力システム10aによれば、各参加者のプロファイルに基づいて、各参加者の勤務時間が推定される。そして、推定された勤務時間においてより多くの参加者が参加可能なスケジュール候補に対して、より高い優先度が付与される。そのため、各参加者が普段の勤務時間帯で参加可能なスケジュール候補を容易に選択することが可能となる。
【0033】
<変形例>
候補取得部102は、各参加者の空き時間に加えてさらに会議室の予約情報に基づいて、参加者の人数を許容可能な会議室を予約できる日時をスケジュール候補として取得しても良い。
【0034】
推定部103aは、勤務情報に代えて、執務室への入退情報に基づいて各参加者の勤務時間の傾向を推定してもよい。この場合、推定部103aは、各日付において執務室へ最初に入室した時刻を勤務開始時刻として用い、執務室から最後に退室した時刻を勤務終了時刻として用いてもよい。
推定部103aは、各参加者の勤務開始時刻及び勤務終了時刻の統計値として、最頻値以外の統計値(例えば平均値)を用いてもよい。
推定部103aは、曜日毎、月毎の勤務情報に基づいて各参加者の勤務時間の傾向を推定してもよい。例えば、推定部103aは、月曜日の勤務情報のみに基づいて、月曜日の勤務時間の傾向を推定してもよい。
【0035】
優先度取得部104aは、参加可能人数が所定の閾値以上のスケジュール候補のみを出力してもよい。例えば、参加者全員の勤務時間の傾向に適合した時間帯のスケジュール候補のみが出力されてもよい。例えば、参加人数の所定の割合(例えば80%)以上の参加可能人数のスケジュール候補のみが出力されてもよい。
イベントの具体例として会議を挙げたが、会議以外のイベントに関するスケジュールについて候補出力システム10aが処理を行ってもよい。例えば、候補出力システム10aは、商談、歓迎会、旅行などのスケジュールに関して処理を行ってもよい。
【0036】
[第二実施形態]
図9は、候補出力システムの第二実施形態(候補出力システム10b)の機能構成を表す概略ブロック図である。候補出力システム10bの具体例として、会議のスケジュールを調整するための候補出力システム10bについて説明する。
【0037】
第二実施形態では、プロファイルに関する情報を記憶した記憶装置の具体例として、勤務情報記憶部202及びスケジュール履歴記憶部203が設けられる。
スケジュール履歴記憶部203は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置等の記憶装置を用いて構成される。スケジュール履歴記憶部203は過去に設定されたスケジュールの履歴を記憶する。
【0038】
候補出力システム10bは、推定部103aに代えて推定部103bを備える点、優先度取得部104aに代えて優先度取得部104bを備える点、において候補出力システム10aと異なる。
推定部103bは、各参加者のプロファイル(勤務時間・スケジュール履歴)に基づいて、各参加者の勤務時間の傾向と、各参加者が利用する会議室の傾向と、各参加者が会議を行う時間帯の傾向と、を推定する。
【0039】
優先度取得部104bは、各参加者の勤務時間の傾向と、利用する会議室の傾向と、各参加者が会議を行う時間帯の傾向と、に基づいて、各スケジュール候補に優先度を付与する。具体的には、優先度取得部104bは、より多くの参加者の勤務時間の傾向に適合した時間帯のスケジュール候補に対してより高い優先度を付与する。また、優先度取得部104bは、より多くの参加者の利用会議室の傾向に適合した会議室を利用するスケジュール候補に対してより高い優先度を付与する。また、優先度取得部104bは、より多くの参加者の会議時間帯の傾向に適合した時間帯のスケジュール候補に対してより高い優先度を付与する。
【0040】
次に、具体例に基づいて候補出力システム10bの動作について説明する。
図10及び
図11は、スケジュール履歴に基づいて推定部103bが生成する統計テーブルの具体例を示す図である。
図10に示される統計テーブルは、各会議室が過去に利用された回数を参加者毎に表す。例えば、
図10に示される統計テーブルに該当する人物は、会議室420Cを過去9回利用したことがある。
図11に示される統計テーブルは、各時間帯に会議が行われた回数を参加者毎に表す。例えば、
図11に示される統計テーブルに該当する人物は、9時〜10時の間に会議を5回行ったことがあり、13時〜14時の間に会議を25回行ったことがある。
【0041】
推定部103bは、
図10及び
図11に示される統計テーブルに基づいて、各参加者が利用する会議室の傾向と、各参加者が会議を行う時間帯の傾向と、を推定する。具体的には、推定部103bは、統計テーブルに基づいて、過去に最も多く利用された会議室と、過去に最も多く会議が行われた時間帯とを取得する。
【0042】
図12は、推定部103bによる推定結果の具体例を示す図である。
図12のテーブルにおいて、WSは勤務開始時刻の最頻値を表し、WEは勤務終了時刻の最頻値を表し、TRは過去に最も多く会議が行われた会議室を表し、Tmは過去に最も多く会議が行われた時間帯を表す。
図12の場合、推定部103bは、人物Aについては、会議室420Cを利用する傾向が強く、16時から17時の間に会議を行う傾向が強いと推定する。
【0043】
図13は、優先度取得部104bが生成するスケジュール候補テーブルの具体例を示す図である。優先度取得部104bは、候補取得部102によって取得されたスケジュール候補毎に、推定部103bの推定結果に基づいて参加可能人数、優先場所、優先時間帯及びスコアの各値を取得する。スケジュール候補毎に推定結果に基づいて取得された情報(第二実施形態では、参加可能人数、優先場所、優先時間帯及びスコアの各値)を付加したテーブルが、スケジュール候補テーブルである。
【0044】
図13には、5つのスケジュール候補が示されている。1つのレコードは1つのスケジュール候補を表す。各レコードは、候補、日付、開始時刻、終了時刻、場所、参加可能人数、優先場所、優先時間帯及びスコアの各項目の値を有する。候補、日付、開始時刻、終了時刻、場所及び参加可能人数の各値は上述したとおりである。優先場所は、そのスケジュール候補の会議室が、過去に最も多く会議が行われた会議室(TR)に合致する参加者の人数を表す。優先時間帯は、そのスケジュール候補の開始時刻及び終了時刻が示す時間帯が、過去に最も多く会議が行われた時間帯(Tm)に合致する参加者の人数を表す。スコアは、参加可能人数、優先場所及び優先時間帯の各値の合計値を表す。
【0045】
図14は、優先度が付与されたスケジュール候補の具体例を示す図である。
図14は、
図13に示される各スケジュール候補に対して付与された優先度を表す。優先度取得部104bは、各スケジュール候補に対し、スコアが高い程高い優先度を付与する。すなわち、優先度取得部104bは、各スケジュール候補に対し、参加可能人数が多いほど高い優先度を付与し、優先場所の値が大きいほど高い優先度を付与し、優先時間帯の値が大きいほど高い優先度を付与する。
【0046】
図15は、候補出力システム10bの処理の流れの具体例を示すフローチャートである。ステップS101〜S104の処理は
図8に示される処理と同じであるため説明を省略する。ステップS104の後、推定部103bは、スケジュール履歴情報に基づいて、各参加者について、会議室の利用傾向と、会議の時間帯の傾向とを推定する(ステップS201,S202)。優先度取得部104bは、候補取得部102によって取得されたスケジュール候補と、推定部103bの推定結果と、に基づいてスケジュール候補毎の優先度を取得する(ステップS105)。そして、優先度取得部104bは、スケジュール候補と優先度とを出力する(ステップS106)。以上で、候補出力システム10bの処理が終了する。
【0047】
このように構成された候補出力システム10bによれば、第一実施形態と同様の効果を奏することが可能である。
また、候補出力システム10bによれば、各参加者のプロファイルに基づいて、各参加者が頻繁に利用する会議室や会議の時間帯が推定される。そして、頻繁に利用される会議室や、会議の時間帯に適合するスケジュール候補に対して、より高い優先度が付与される。そのため、各参加者が利用しやすい会議室や会議を開催しやすい時間帯のスケジュール候補を容易に選択することが可能となる。
【0048】
<変形例>
第二実施形態の候補出力システム10bは、第一実施形態と同様に変形して構成されてもよい。
各参加者が会議を行う時間帯の傾向は、1時間間隔の時間帯(例えば13時から14時)ではなく、より長い幅を持った時間帯(例えば「午前」、「昼過ぎ」、「夕方」、「夜」)について推定されてもよい。
【0049】
[第三実施形態]
図16は、候補出力システムの第三実施形態(候補出力システム10c)の機能構成を表す概略ブロック図である。候補出力システム10cの具体例として、会議のスケジュールを調整するための候補出力システム10cについて説明する。
【0050】
第三実施形態では、プロファイルに関する情報を記憶した記憶装置の具体例として、勤務情報記憶部202、スケジュール履歴記憶部203及びメール記憶部204が設けられる。
メール記憶部204は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置等の記憶装置を用いて構成される。メール記憶部204は過去に送受信された各参加者のメールの履歴を記憶する。
【0051】
候補出力システム10cは、推定部103bに代えて推定部103cを備える点、優先度取得部104bに代えて優先度取得部104cを備える点、において候補出力システム10bと異なる。
推定部103cは、各参加者のプロファイル(勤務時間・スケジュール履歴・メール履歴)に基づいて、各参加者の勤務時間の傾向と、各参加者が利用する会議室の傾向と、各参加者が会議を行う時間帯の傾向と、各参加者の役職関係とを推定する。以下、推定部103cが役職関係を推定する際に行う処理の具体例について説明する。
【0052】
役職関係とは、各参加者の肩書きであってもよいし、各参加者間の上下関係であってもよい。推定部103cは、メール履歴に含まれる肩書きを示す文字列や、尊敬語及び謙譲語に基づいて役職関係を推定する。例えば、人物Aの名前の後ろに「部長」という肩書きが付与された文字列が所定数以上メール履歴から検出された場合、推定部103cは、人物Aが部長職であると推定する。例えば、人物Aから人物Bへ送信されたメールの本文から所定数以上の尊敬語又は謙譲語が検出された場合、推定部103cは、人物Aが人物Bよりも低い役職であると推定する。例えば、人物Aから人物Bへ送信されたメールの本文から所定数以上の尊敬語及び謙譲語が検出されなかった場合、推定部103cは、人物Aと人物Bとが同等の役職であると推定する。
【0053】
優先度取得部104cは、各参加者の勤務時間の傾向と、利用する会議室の傾向と、各参加者が会議を行う時間帯の傾向と、役職関係と、に基づいて、各スケジュール候補に優先度を付与する。具体的には、優先度取得部104cは、各参加者の勤務時間の傾向により適合した時間帯のスケジュール候補に対してより高い優先度を付与する。また、優先度取得部104cは、各参加者が利用する会議室の傾向により適合した会議室を利用するスケジュール候補に対してより高い優先度を付与する。また、優先度取得部104cは、各参加者が会議を行う時間帯の傾向により適合した時間帯のスケジュール候補に対してより高い優先度を付与する。また、優先度取得部104cは、上記各傾向に基づいて優先度を付与する際に、役職関係に基づいた重み付けを行う。
【0054】
次に、具体例に基づいて候補出力システム10cの動作について説明する。
図17は、推定部103cによる推定結果の具体例を示す図である。
図17のテーブルにおいて、WSは勤務開始時刻の最頻値を表し、WEは勤務終了時刻の最頻値を表し、TRは過去に最も多く会議が行われた会議室を表し、Tmは過去に最も多く会議が行われた時間帯を表し、EPは参加者の役職を表す。
【0055】
図18は、優先度取得部104cが用いる重み付けテーブルの具体例を示す図である。重み付けテーブルには、役職毎に重みの値が定義されている。優先度取得部104cは、推定部103cによる役職関係の推定結果に基づいて、参加可能人数、優先場所、優先時間帯の値を取得する際に重み付けを行う。
【0056】
図19は、優先度取得部104cが生成するスケジュール候補テーブルの具体例を示す図である。優先度取得部104cは、候補取得部102によって取得されたスケジュール候補毎に、推定部103cの推定結果に基づいて参加可能人数、優先場所、優先時間帯及びスコアの各値を取得する。スケジュール候補毎に推定結果に基づいて取得された情報(第三実施形態では、参加可能人数、優先場所、優先時間帯及びスコアの各値)を付加したテーブルが、スケジュール候補テーブルである。
【0057】
図19には、5つのスケジュール候補が示されている。1つのレコードは1つのスケジュール候補を表す。各レコードは、候補、日付、開始時刻、終了時刻、場所、参加可能人数、優先場所、優先時間帯及びスコアの各項目の値を有する。候補、日付、開始時刻、終了時刻、場所、参加可能人数、優先場所、優先時間帯及びスコアの各値は上述したとおりである。
【0058】
優先度取得部104cは、参加可能人数、優先場所又は優先時間帯に対して値を加算する際に、該当する参加者の役職に応じて重み付けを行った値を加算する。例えば、候補1のスケジュール候補の開始時刻及び終了時刻によれば、人物Cが候補1に参加可能である。
図17によれば、人物Cの役職は部長である。
図18によれば、部長の重みは5である。そのため、候補1の参加可能人数の値は、参加可能な参加者がCのみであるにもかかわらず、5となる。
【0059】
図20は、優先度が付与されたスケジュール候補の具体例を示す図である。
図20は、
図19に示される各スケジュール候補に対して付与された優先度を表す。優先度取得部104cは、各スケジュール候補に対し、スコアが高い程高い優先度を付与する。すなわち、優先度取得部104cは、各スケジュール候補に対し、各参加者の役職に応じた重み付けに応じて、参加可能人数が多いほど高い優先度を付与し、優先場所の値が大きいほど高い優先度を付与し、優先時間帯の値が大きいほど高い優先度を付与する。
【0060】
図21は、候補出力システム10cの処理の流れの具体例を示すフローチャートである。ステップS101〜S104、ステップS201及びS202の処理は
図15に示される処理と同じであるため説明を省略する。ステップS202の後、推定部103cは、メール履歴に基づいて、各参加者について役職関係を推定する(ステップS301)。優先度取得部104cは、候補取得部102によって取得されたスケジュール候補と、推定部103cの推定結果と、に基づいてスケジュール候補毎の優先度を取得する(ステップS105)。そして、優先度取得部104cは、スケジュール候補と優先度とを出力する(ステップS106)。以上で、候補出力システム10cの処理が終了する。
【0061】
このように構成された候補出力システム10cによれば、第二実施形態と同様の効果を奏することが可能である。
また、候補出力システム10cによれば、各参加者のプロファイルに基づいて、各参加者の役職関係が推定される。そして、役職が高い参加者に関する推定結果を重視した優先度が付与される。そのため、役職が高い参加者の都合に合わせたスケジュール候補を容易に選択することが可能となる。
【0062】
<変形例>
第三実施形態の候補出力システム10cは、第二実施形態と同様に変形して構成されてもよい。
図22は、優先度取得部104cが用いる重み付けテーブルの変形例を示す図である。
図22では、横軸(b)に並ぶ各人物が縦軸(a)に並ぶ各人物との間でどのような役職関係にあるかが示される。例えば、人物Aにとって、人物B及び人物Cは上司であり、人物Dは同僚である。
図22に示される重み付けテーブルでは、重み付けの値が以下のように決定される。まず、各人物に対して重み付けの値の初期値として“1”が付与される。次に、各人物にとって部下となる人物の数だけ、重み付けの値に“1”が加算される。例えば、人物Aにとっては、部下となる人物が存在しない。そのため、人物Aの重み付けの値には、加算がなされない。その結果、人物Aの重み付けの値は、初期値の“1”のままである。一方、人物Bにとっては、部下となる人物が2名(人物A及び人物D)存在する。そのため、人物Bの重み付けの値には、“2”が加算される。その結果、人物Bの重み付けの値は“1+2=3”となる。
【0063】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。