特許第6263381号(P6263381)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6263381
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】空気清浄機
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/88 20180101AFI20180104BHJP
   F24F 11/89 20180101ALI20180104BHJP
   F24F 7/00 20060101ALI20180104BHJP
   F24F 11/74 20180101ALI20180104BHJP
   F24F 110/00 20180101ALN20180104BHJP
【FI】
   F24F11/02 103A
   F24F7/00 A
   F24F11/04 G
【請求項の数】8
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-268038(P2013-268038)
(22)【出願日】2013年12月25日
(65)【公開番号】特開2015-124914(P2015-124914A)
(43)【公開日】2015年7月6日
【審査請求日】2014年12月10日
【審判番号】不服2016-16399(P2016-16399/J1)
【審判請求日】2016年11月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】周防 聖行
(72)【発明者】
【氏名】豊福 達也
(72)【発明者】
【氏名】小西 良
(72)【発明者】
【氏名】上原 雄一
【合議体】
【審判長】 紀本 孝
【審判官】 槙原 進
【審判官】 莊司 英史
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−66817(JP,A)
【文献】 特開平8−238410(JP,A)
【文献】 特開2007−47029(JP,A)
【文献】 特開2002−186816(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/02 - 11/04
F24F 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気清浄用フィルタ(22)と、
空気の入口(61)および出口(63)を有し、内部空間(62)を空気と共に通過する塵埃を検知するホコリセンサ(60)と、
前記空気清浄用フィルタに空気が通るように空気流れを生成するファン(40)と、
前記ホコリセンサの検知結果に基づいて、前記ファンの回転数を変化させるファン制御部(50)と、
前記ホコリセンサの検知対象の空気が存在する検知対象空間(Sd)と連通すると共に、前記ホコリセンサの前記入口を介して前記ホコリセンサの前記内部空間と連通するセンサ入口近傍空間(73)を、前記ホコリセンサの前記入口の近傍に形成する囲い部材(70)と、
を備え、
前記囲い部材に前記検知対象空間と前記センサ入口近傍空間とを連通する空気取り込み孔(71a)が少なくとも1つ形成されると共に、前記センサ入口近傍空間から、前記ファンが運転されることで生じる負圧空間(81)へと空気が流れる流路(72a)が設けられ、
前記流路には、前記空気取り込み孔から前記センサ入口近傍空間に流入する空気の2/3以上が流入する、
空気清浄機(10)。
【請求項2】
前記ホコリセンサの前記出口は、前記負圧空間と連通する、
請求項1に記載の空気清浄機。
【請求項3】
前記ホコリセンサの前記出口は、前記センサ入口近傍空間と連通する、
請求項1に記載の空気清浄機。
【請求項4】
前記ホコリセンサは、前記内部空間において、前記入口から前記出口に向かって空気が流れるように空気の対流を発生させる熱源(64)を有する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の空気清浄機。
【請求項5】
前記空気取り込み孔の最小幅(W1)は、前記流路の最小幅(W2)よりも小さい、
請求項1から4のいずれか1項に記載の空気清浄機。
【請求項6】
前記囲い部材は、着脱可能に構成されたカバー(71)を含み、
前記流路は、前記カバーを外すことでアクセス可能な位置に形成される、
請求項1から5のいずれか1項に記載の空気清浄機。
【請求項7】
前記負圧空間は、前記空気清浄用フィルタを通過後の空気が流れる第1負圧空間(81a)と、前記第1負圧空間および前記センサ入口近傍空間と連通し、前記第1負圧空間と仕切り部材(82)により仕切られる第2負圧空間(81b)とを含み、
前記センサ入口近傍空間は、前記流路と前記仕切り部材に形成された連通孔(82a)とを介して、前記空気清浄用フィルタを介さずに、前記第1負圧空間と連通する、
請求項1から6のいずれか1項に記載の空気清浄機。
【請求項8】
前記センサ入口近傍空間から流出する空気が流れる経路には、前記ホコリセンサの前記入口、前記内部空間、および前記出口を通過する第1経路と、前記第1経路とは異なる、前記流路を流れる第2経路と、を含む、
請求項1から7のいずれか1項に記載の空気清浄機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホコリセンサを備えた空気清浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外部から空気を取り込み、内部空間を移動する塵埃を検知するホコリセンサ、を備えた空気清浄機が知られている。空気清浄機は、ホコリセンサの検知結果に基づいて把握される空気の清浄さに応じて、空気清浄機の空気清浄用フィルタに空気を通過させるためのファンの回転数制御を行い、空気清浄の対象空間の空気を効率よく清浄に保つ。
【0003】
例えば、特許文献1(実開平4−137725号公報)には、ヒータの熱により内部空間で空気の対流を発生させ、発生した空気の流れを利用して外部から内部空間に空気を取り込み、内部空間を通過する塵埃を検知するホコリセンサ、を備えた空気清浄機が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1(実開平4−137725号公報)に開示されたホコリセンサは、ヒータの熱により発生した空気の対流を利用して外部から内部空間に空気が取り込むため、内部空間に空気を吸引する力が小さく、ホコリセンサから離れた位置で発生した塵埃を検知するまでに時間がかかる。そのため、空気清浄の対象空間の空気の清浄さの変化の把握に長時間を要し、空気の清浄さの変化に対する空気清浄機の応答性が悪くなる可能性がある。
【0005】
これに対し、空気清浄用フィルタに空気を通過させるためのファンの吸引力を利用して、ホコリセンサの内部空間に空気を取り込み、内部空間の入口から出口に向かって空気を流す場合には、ファンの吸引力が比較的大きいため、ホコリセンサと離れた位置で発生した塵埃を比較的短時間で検知できる。しかし、一方で、ファンの回転数制御によってファンの吸引力が変化し、ホコリセンサの内部空間を通過する空気の量が変化するため、空気の清浄さの判定に誤りが生じやすい。そのため、ホコリセンサの検知結果に基づいた空気清浄機の運転が、実際の空気の清浄さに対して、適切ではない可能性がある。
【0006】
本発明の課題は、外部から内部空間に空気を取り込み、内部空間を通過する塵埃を検知するホコリセンサを備えた空気清浄機であって、空気の清浄さの変化に対して応答性がよく、かつ、空気清浄の対象空間の実際の空気の清浄さに基づいた適切な運転が可能な、信頼性の高い空気清浄機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1観点に係る空気清浄機は、空気清浄用フィルタと、ホコリセンサと、ファンと、ファン制御部と、囲い部材と、を備える。ホコリセンサは、空気の入口および出口を有し、内部空間を空気と共に通過する塵埃を検知する。ファンは、空気清浄用フィルタに空気が通るように空気流れを生成する。ファン制御部は、ホコリセンサの検知結果に基づいて、ファンの回転数を変化させる。囲い部材は、ホコリセンサの検知対象の空気が存在する検知対象空間と連通すると共に、ホコリセンサの入口を介してホコリセンサの内部空間と連通するセンサ入口近傍空間を、ホコリセンサの入口の近傍に形成する。囲い部材に検知対象空間とセンサ入口近傍空間とを連通する空気取り込み孔が少なくとも1つ形成されると共に、センサ入口近傍空間からファンが運転されることで生じる負圧空間へと空気が流れる流路が設けられている。流路には、空気取り込み孔からセンサ入口近傍空間に流入する空気の2/3以上が流入する。
【0008】
ここでは、検知対象空間と連通するセンサ入口近傍空間を形成する囲い部材に、ファンの運転により生じる負圧空間へと空気が流れる流路を設けることで、センサ入口近傍空間に、検知対象空間の、ホコリセンサから離れた位置の空気を迅速に取り込むことができる。そのため、センサ入口近傍空間と連通するホコリセンサの内部空間に、検知対象空間の、ホコリセンサから離れた位置の空気を迅速に導くことが容易である。また、センサ入口近傍空間に流入する空気は、囲い部材に形成された流路を通って主に負圧空間に流入するため、ファンの吸引力を用いてホコリセンサの内部空間に空気を取り込む場合と比べ、ファンの回転数が変化した場合にも、ホコリセンサの内部空間を通過する空気の量に変化が生じにくい。そのため、ホコリセンサの検知結果に基づいて空気の清浄さが正確に把握されやすい。つまり、ここでは、空気の清浄さの変化に対して応答性がよく、かつ、空気清浄の対象空間の実際の空気の清浄さに基づいて、空気清浄用フィルタに空気を導くファンの回転数を適切に制御可能な、信頼性の高い空気清浄機を実現できる。
【0009】
本発明の第2観点に係る空気清浄機は、第1観点に係る空気清浄機であって、ホコリセンサの出口は、負圧空間と連通する。
【0010】
ここでは、ホコリセンサの出口とセンサ入口近傍空間とが同じ空間と連通しているため、ホコリセンサの入口および出口の圧力が同一になりやすい。そのため、ホコリセンサの内部空間において、ホコリセンサの入口と出口との圧力差を原因とした空気の流れが発生しにくく、ファンの回転数が変化して負圧空間の圧力が変化しても、ホコリセンサの内部空間を通過する空気の量に変化が生じにくい。その結果、空気清浄の対象空間の実際の空気の清浄さに基づいて、ファンの回転数を適切に制御することが可能である。
【0011】
本発明の第3観点に係る空気清浄機は、第1観点に係る空気清浄機であって、ホコリセンサの出口は、センサ入口近傍空間と連通する。
【0012】
ここでは、ホコリセンサの出口がセンサ入口近傍空間と連通しているため、ホコリセンサの入口および出口の圧力が同一になりやすい。そのため、ホコリセンサの内部空間において、ホコリセンサの入口と出口との圧力差を原因とした空気の流れが発生しにくく、ファンの回転数が変化して負圧空間の圧力が変化しても、ホコリセンサの内部空間を通過する空気の量に変化が生じにくい。その結果、空気清浄の対象空間の実際の空気の清浄さに基づいて、ファンの回転数を適切に制御することが可能である。
【0013】
本発明の第4観点に係る空気清浄機は、第1観点から第3観点のいずれかに係る空気清浄機であって、ホコリセンサは、内部空間において、入口から出口に向かって空気が流れるように空気の対流を発生させる熱源を有する。
【0014】
ここでは、ホコリセンサに空気の対流を発生させる熱源が設けられることで、内部空間を一定速度で空気を通過させることが容易になる。そのため、ホコリセンサの検知結果に基づいて空気の清浄さが正確に把握されやすい。その結果、空気清浄の対象空間の実際の空気の清浄さに基づいて、ファンの回転数を適切に制御することが可能である。
【0015】
本発明の第5観点に係る空気清浄機は、第1観点から第4観点のいずれかに係る空気清浄機であって、各空気取り込み孔の最小幅は、流路の最小幅よりも小さい。
【0016】
ここでは、検知対象空間からセンサ入口近傍空間に空気を取り込む空気取り込み孔の最小幅が、囲い部材に形成された流路の最小幅よりも小さいため、流路の最小幅より大きな塵埃がセンサ入口近傍空間には導かれにくい。そのため、囲い部材に設けられた流路の塵埃による閉塞を抑制できる。その結果、検知対象空間の、ホコリセンサから離れた位置の空気を、センサ入口近傍空間へと導く空気の流れが維持されやすく、空気の清浄さの変化に対して応答性よくファンの回転数を制御することが容易である。
【0017】
本発明の第6観点に係る空気清浄機は、第1観点から第5観点のいずれかに係る空気清浄機であって、囲い部材は、着脱可能に構成されたカバーを含む。囲い部材に設けられた流路は、カバーを外すことでアクセス可能な位置に形成される。
【0018】
ここでは、囲い部材に設けられた流路が、着脱可能なカバーを外すことでアクセス可能な位置に形成されているため、囲い部材に設けられた流路が塵埃により閉塞されたとしても、容易にこれを解消できる。そのため、検知対象空間の、ホコリセンサから離れた位置の空気を、センサ入口近傍空間に導く空気の流れが維持されやすく、空気の清浄さの変化に対して応答性よくファンの回転数を制御することが容易である。
【0019】
本発明の第7観点に係る空気清浄機は、第1観点から第6観点のいずれかに係る空気清浄機であって、負圧空間は、第1負圧空間と、第2負圧空間と、を含む。第1負圧空間は、空気清浄用フィルタを通過後の空気が流れる。第2負圧空間は、第1負圧空間およびセンサ入口近傍空間と連通し、第1負圧空間と仕切り部材により仕切られる。センサ入口近傍空間は、囲い部材に設けられた流路と、仕切り部材に形成された連通孔と、を介して、空気清浄用フィルタを介さずに、第1負圧空間と連通する。
【0020】
ここでは、センサ入口近傍空間を、空気清浄用フィルタよりもファン側の負圧空間と、空気清浄フィルタを介さずに連通させることで、強い吸引力を確保できる。そのため、検知対象空間の、ホコリセンサから離れた位置の空気を、センサ入口近傍空間へと迅速に取り込むことが容易である。その結果、空気の清浄さの変化に対して応答性よくファンの回転数を制御することができる。
【0021】
本発明の第8観点に係る空気清浄機は、第1観点から第7観点のいずれかに係る空気清浄機であって、センサ入口近傍空間から流出する空気が流れる経路には、ホコリセンサの入口、内部空間、および出口を通過する第1経路と、第1経路とは異なる、流路を流れる第2経路と、を含む。
【発明の効果】
【0022】
本発明の第1観点に係る空気清浄機では、検知対象空間と連通するセンサ入口近傍空間を形成する囲い部材に、ファンの運転により生じる負圧空間へと空気が流れる流路を設けることで、センサ入口近傍空間に、検知対象空間の、ホコリセンサから離れた位置の空気を迅速に取り込むことができる。そのため、センサ入口近傍空間と連通するホコリセンサの内部空間に、検知対象空間の、ホコリセンサから離れた位置の空気を迅速に導くことが容易である。また、センサ入口近傍空間に流入する空気は、囲い部材に形成された流路を通って主に負圧空間に流入するため、ファンの吸引力を用いてホコリセンサの内部空間に空気を取り込む場合と比べ、ファンの回転数が変化した場合にも、ホコリセンサの内部空間を通過する空気の量に変化が生じにくい。そのため、ホコリセンサの検知結果に基づいて空気の清浄さが正確に把握されやすい。つまり、ここでは、空気の清浄さの変化に対して応答性がよく、かつ、空気清浄の対象空間の実際の空気の清浄さに基づいて、空気清浄用フィルタに空気を導くファンの回転数を適切に制御可能な、信頼性の高い空気清浄機を実現できる。
【0023】
本発明の第2観点から第4観点に係る空気清浄機では、空気清浄の対象空間の実際の空気の清浄さに基づいて、ファンの回転数を適切に制御することが可能である。
【0024】
本発明の第5観点および第6観点に係る空気清浄機では、検知対象空間の、ホコリセンサから離れた位置の空気を、センサ入口近傍空間に導く空気の流れが維持されやすく、空気の清浄さの変化に対して応答性よくファンの回転数を制御することが容易である。
【0025】
本発明の第7観点に係る空気清浄機では、空気の清浄さの変化に対して応答性よくファンの回転数を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一実施形態に係る空気清浄機の外観斜視図である。
図2図1の空気清浄機の、空気清浄機能および加湿機能に関連する主な構成を示した図である。
図3図1の空気清浄機の概略ブロック図である。
図4図1の空気清浄機のホコリセンサ周辺の構造を模式的に示した図である。図1の空気清浄機のホコリセンサ部分を、図1において左右方向および上下方向に広がる断面Aで切断した状態を模式的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る空気清浄機10について説明する。なお、空気清浄機10は、本発明に係る空気清浄機の一例にすぎず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0028】
(1)全体構成
図1は、本発明の一実施形態に係る空気清浄機10の概略の外観斜視図である。図2は、空気清浄機10の内部に収容される、空気清浄機10の空気清浄機能および加湿機能に関連する主な構成を示した図である。図3は、空気清浄機10の概略ブロック図である。
【0029】
空気清浄機10の概要について以下に説明する。なお、以下の説明において、「上」、「下」、「左」、「右」、「正面(前)」、「背面(後)」といった方向を示す語句を用いる場合があるが、これらの表現は、特に断りのない限り、図1に示した方向に基づく。
【0030】
空気清浄機10は、図1のような床置型の装置である。空気清浄機10は、空気清浄の対象空間に設置される。空気清浄機10は、装置内部に取り込んだ空気から、空気中の塵埃を除去する空気清浄機能を有する。また、空気清浄機10は、塵埃を除去後の空気を加湿する加湿機能を有する。
【0031】
空気清浄機10は、図1から図3に示すように、主に、筐体11、空気清浄用ユニット20、加湿ユニット30、ファン40、制御ユニット50、およびホコリセンサ60を備える。また、空気清浄機10は、後述するように、ホコリセンサ60の入口61の近傍にセンサ入口近傍空間73を形成する囲い部材70を備える(図1および図4参照)。
【0032】
(2)詳細構成
(2−1)筐体
筐体11は、空気清浄用ユニット20、加湿ユニット30、ファン40、制御ユニット50、およびホコリセンサ60等の構成を内部に収容する。
【0033】
筐体11には、空気清浄の対象空間から空気を取り込むための吸込口12と、塵埃を除去後の(加湿運転中には、さらに加湿された)空気を室内に吹き出すための吹出口13とが形成されている(図1参照)。
【0034】
(2−2)空気清浄用ユニット
空気清浄用ユニット20は、空気中の塵埃を除去すると共に、空気中のニオイ成分等を吸着して分解するためのユニットである。
【0035】
空気清浄用ユニット20は、図2に示すように、主として、プレフィルタ21と、HEPAフィルタ22と、脱臭エレメント23とを有する。プレフィルタ21、HEPAフィルタ22、および脱臭エレメント23は、筐体11内に、正面側から背面側に向かって、この順番で配置されている。筐体11の吸込口12から取り込まれた空気は、初めに空気清浄用ユニット20に送られ、空気清浄用ユニット20を、プレフィルタ21、HEPAフィルタ22、脱臭エレメント23の順に通過する。
【0036】
プレフィルタ21は、空気中の比較的大きな塵埃を捕捉するためのフィルタである。HEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルタ22は、空気清浄用フィルタの一例である。HEPAフィルタ22は、プレフィルタ21を通過した空気中の微細な塵埃を捕捉する。空気中の塵埃は、主に、プレフィルタ21およびHEPAフィルタ22により除去される。
【0037】
脱臭エレメント23は、活性炭等を含み、プレフィルタ21およびHEPAフィルタ22を通過した空気中のニオイや有害ガスを吸着して分解する。
【0038】
(2−3)加湿ユニット
加湿ユニット30は、加湿ユニット30を通過する空気に水を供給し、加湿するためのユニットである。
【0039】
加湿ユニット30は、筐体11内の、空気清浄用ユニット20よりも背面側に配置されている。加湿ユニット30は、ファン40を運転することで生じる筐体11内のメインの空気の流れ方向における、空気清浄用ユニット20の下流側に配置されている。
【0040】
加湿ユニット30は、主として、水トレー31と、加湿ロータ32とを有する(図2参照)。水トレー31は、空気清浄用ユニット20を通過した空気に供給するための水(加湿のための水)を貯留する貯留容器である。なお、筐体11内には、水トレー31に水を供給する水タンク(図示せず)が設けられている。加湿ロータ32は、モータ32a(図3参照)により回転可能に構成されている。加湿ロータ32は、主として、水トレー31内の水を汲み上げる水汲み上げ部(図示せず)と、水汲み上げ部によって汲み上げられた水を吸着する加湿フィルタ(図示せず)と、を有する。
【0041】
加湿ロータ32の機能について簡単に説明する。モータ32a(図3参照)が回転させられると、加湿ロータ32の水汲み上げ部が回転し、水トレー31内の水を汲み上げる。水汲み上げ部によって汲み上げられた水は、同じく回転している加湿ロータ32の加湿フィルタに供給される。汲み上げ部により水が供給された加湿フィルタは、水分を吸着した状態になる。空気清浄用ユニット20を通過した空気の一部は、回転している加湿フィルタを通過する。水分を吸着した加湿フィルタを通過する空気は、加湿フィルタから水が供給されて加湿される。以上のようにして、加湿ロータ32は、空気清浄用ユニット20を通過した空気を加湿する。
【0042】
(2−4)ファン
ファン40は、筐体11の背面側に取り付けられる。ファン40は、ファン40を運転することで生じる筐体11内のメインの空気の流れ方向における、加湿ユニット30の下流側に配置される。
【0043】
ファン40は、空気清浄の対象空間の空気を、吸込口12を介して筐体11内に取り込み、空気清浄用ユニット20および加湿ユニット30を通過させる機能を有する。つまり、ファン40は、空気清浄用フィルタとしてのHEPAフィルタ22を含む空気清浄用ユニット20と、加湿ユニット30と、に空気が通るように空気流れを生成する。また、ファン40は、空気清浄用ユニット20および加湿ユニット30を通過後の空気を、吹出口13を介して筐体11の外部に排出する機能を有する。
【0044】
ファン40は、シロッコファンである。ファン40の羽根車41(図2参照)が、ファンモータ40a(図3参照)により回転させられると、空気清浄用ユニット20および加湿ユニット30を通過した空気は、ファン40に前方側から吸い込まれ、上方向きに進行方向を変えて(図2参照)、筐体11の上部に設けられた吹出口13から上方へと吹き出す。
【0045】
ファン40は、回転数可変である。言い換えれば、ファンモータ40aは回転数可変である。ファンモータ40aの回転数は、後述する制御ユニット50(図3参照)により制御される。
【0046】
(2−5)制御ユニット
制御ユニット50は、空気清浄機10の動きを制御するためのユニットである。
【0047】
制御ユニット50は、CPU(Central Processing Unit)や、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等のメモリを有するマイクロコンピュータである。
【0048】
制御ユニット50は、図3のように、主に、ホコリセンサ60、ファンモータ40a、モータ32aおよび操作部51と電気的に接続されている。操作部51は、ユーザからの各種指令(例えば、空気清浄機10の運転/停止指令、加湿運転の実行/停止指令等)を受け付ける入力部として機能する。また、操作部51は、空気清浄機10の運転状態をLED(Light Emitting Diode)等により表示する表示部として機能する。
【0049】
制御ユニット50は、メモリに記憶されたプログラムを実行することで、操作部51に入力された各種指令や、ホコリセンサ60の検出結果等に基づいて、ファンモータ40aや、モータ32a等の、空気清浄機10の各部の動きを制御する。
【0050】
例えば、制御ユニット50は、操作部51が空気清浄機10の運転指令を受け付けると、ファンモータ40aを駆動する。また、例えば、制御ユニット50は、操作部51が加湿運転の実行指令を受け付けると、モータ32aを駆動する。
【0051】
また、制御ユニット50は、ホコリセンサ60の検知結果に基づいて、ファン40の回転数、つまりファンモータ40aの回転数、を変化させる。つまり、制御ユニット50は、ファン制御部の一例である。具体的には、制御ユニット50は、ホコリセンサ60の検知結果に基づいてファンモータ40aの回転数を変化させるため、以下のような処理を行う。
【0052】
制御ユニット50は、ホコリセンサ60の検知結果に基づいて空気の清浄さを算出する。ここでの空気の清浄さは、所定時間に占める、ホコリセンサ60が塵埃を検知している時間の割合で表される値である。制御ユニット50は、算出した空気の清浄さを、閾値と比較することで、空気の清浄レベルを4段階で判定する。制御ユニット50には、ファンモータ40aの回転数として、空気の清浄レベル毎に、異なる値が記憶されている。制御ユニット50に記憶されているファンモータ40aの回転数は、空気の清浄レベルが低い(空気の清浄さが低い(所定時間に占める、ホコリセンサ60が塵埃を検知している時間の割合が大きい))ほど、大きな値に決定されている。制御ユニット50は、判定された空気の清浄レベルに対応する回転数でファンモータ40aが回転するように、ファンモータ40aを制御する。
【0053】
(2−6)ホコリセンサ
ホコリセンサ60は、検知対象空間Sd(図4参照)、言い換えれば空気清浄機10の空気清浄の対象空間、から、内部空間62に空気を取り込み、内部空間62を空気と共に通過する塵埃を検知するセンサである。
【0054】
ホコリセンサ60は、筐体11の側面側(ここでは右側面側)に設けられている。ホコリセンサ60は、筐体11の右側面に取り付けられた、後述する囲い部材70に含まれるカバー71に形成された空気取り込み孔71a、囲い部材70により形成されるセンサ入口近傍空間73、およびホコリセンサ60に設けられた空気の入口61を介して内部空間62に空気を取り込む(図4参照)。ホコリセンサ60は、内部空間62を空気と共に通過する塵埃を検知する。内部空間62を通過した空気は、ホコリセンサ60に設けられた空気の出口63からホコリセンサ60外に排気される。
【0055】
ホコリセンサ60は、以下のようにして塵埃を検知し、塵埃を検知したことを示す信号を制御ユニット50に送信するセンサである。
【0056】
ホコリセンサ60は、図示しない発光素子と、受光素子とを有する。発光素子は、検知対象の空気が通過する内部空間62に投光する。受光素子は、発光素子から発せられる光を直接受光することのない位置に配置されている。ただし、受光素子は、内部空間62を通過する空気に塵埃が含まれていた場合に塵埃に当たって散乱する光を受光可能な位置に配置されている。ホコリセンサ60は、受光素子が光を受光していない時にHレベル(ハイレベル)の信号を、受光素子が光を受光している時にLレベル(ローレベル)の信号を、それぞれ出力する。制御ユニット50は、所定時間の中で、ホコリセンサ60からLレベルの信号を受信した時間の割合を用いて空気の清浄さを算出する。
【0057】
なお、内部空間62を通過する空気の速度が変化すれば、所定時間に内部空間62を通過する空気の量が変化するため、空気中の実際の塵埃の濃度は変化していなくても、所定時間の中でホコリセンサ60が塵埃を検知している時間の割合が変化する。そのため、内部空間62を通過する空気の速度の変化の影響で、ホコリセンサ60の検知結果に基づいて算出される空気の清浄さと、実際の空気の清浄さとの間に食い違いが生じるおそれがある。そこで、ホコリセンサ60は、以下のようにして、内部空間62を通過する空気の速度の変化を抑制している。
【0058】
ホコリセンサ60は、内部空間62に空気を取り込み、内部空間62において入口61から出口63に向かって空気が流れるように、空気の対流を発生させる熱源として、ヒータ64を有する。後述するように、入口61の連通するセンサ入口近傍空間73と、出口63の連通するセンサ出口近傍空間74とは、ほぼ同一の圧力となるため、入口61と出口63との圧力差を原因とした内部空間62内の空気の流れは、ほとんど生じない。その結果、ホコリセンサ60の内部空間62を流れる空気の流れは、主にヒータ64により生じる空気の対流により発生するものとなり、ヒータ64が同一温度に制御されることで、内部空間62を一定速度で空気が流れる。
【0059】
ホコリセンサ60には、前述の発光素子および受光素子のレンズの汚れを除去するための清掃具を挿入するためのメンテナンス孔65が形成されている。清掃具は、後述する囲い部材70に形成された孔72cおよびメンテナンス孔65を通過するように挿入される。なお、孔72cおよびメンテナンス孔65を通して内部空間62に光が入り、ホコリセンサ60が塵埃を誤検知することを避けるため、空気清浄機10の運転中には、遮光のため、カバー71が筐体11に取り付けられている。
【0060】
(2−7)ホコリセンサの周辺構造
空気清浄機10のホコリセンサ60の周辺の構造について以下に説明する。
【0061】
ホコリセンサ60の周辺には、後述するように、センサ入口近傍空間73およびセンサ出口近傍空間74を形成するための囲い部材70が配置されている。また、ホコリセンサ60の周辺には、後述するように、センサ入口近傍空間73およびセンサ出口近傍空間74と連通する負圧空間81が形成される。
【0062】
囲い部材70は、カバー71と、筐体側部材72と、を主に有する。
【0063】
カバー71は、筐体11の右側壁に形成されている、筐体11の内部側に向かって凹む(図1で規定した方角に従えば、左側に向かって凹む)凹部75を覆うように、筐体11の右側壁に取り付けられる部材である。カバー71は、ホコリセンサ60の発光素子および受光素子のレンズの清掃時や、後述するバイパス孔72aの清掃時に取り外すことができるように、筐体11に着脱可能に構成されている。
【0064】
筐体側部材72は、筐体11の一部であり、筐体11の右側壁に形成される凹部75を囲う壁面となり、凹部75を規定する部材である。筐体側部材72には、筐体11を右方から見た時に凹部75の奥側に位置する(図1で規定した方角に従えば、凹部75より右側に位置する)ホコリセンサ60が配置される空間と連通するように、開口が形成されている。具体的には、筐体11を右方から見た場合に、筐体側部材72の奥側に位置する面(図1で規定した方角に従えば、凹部75の右側に配置される面)の下部に、ホコリセンサ60の入口61と連通する開口72dが形成されている(図4参照)。また、筐体11を右方から見た場合に、筐体側部材72の奥側に位置する面(図1で規定した方角に従えば、凹部75の右側に配置される面)の上部に、ホコリセンサ60の出口63と連通する開口72eが形成されている(図4参照)。筐体側部材72の、凹部75の下側に配置される面には、後述する負圧空間81へと空気が流れる流路としてのバイパス孔72aが形成されている(図4参照)。また、筐体側部材72の、凹部75の上側に配置される面には、負圧空間81と連通する連通孔72bが形成されている(図4参照)。バイパス孔72aおよび連通孔72bは、ここでは1つしかそれぞれ形成されていないが、これに限定されるものではなく、必要に応じて複数形成されてもよい。
【0065】
バイパス孔72aおよび連通孔72bは、どちらも正方形に形成された孔である。バイパス孔72aおよび連通孔72bは、カバー71を外すことでアクセス可能な位置に形成されている。言い換えれば、バイパス孔72aおよび連通孔72bは、カバー71を外すことで目視可能で、かつ、清掃具等を用いて清掃可能な位置、に形成されている。カバー71の空気取り込み孔71aの最小の幅W1(ここでは高さ方向の幅)は、バイパス孔72aの幅W2(正方形状に形成されたバイパス孔72aの一辺の長さ)よりも小さい(図4参照)。
【0066】
バイパス孔72aは、後述するように、カバー71の空気取り込み孔71aからセンサ入口近傍空間73に流入した空気を、負圧空間81へと流すための流路である。センサ入口近傍空間73から負圧空間81へと空気をスムーズに導くため、バイパス孔72aの幅W2は、バイパス孔72aにおける空気抵抗が大きくならないよう十分に大きく取られている。
【0067】
カバー71が筐体11の右側壁に取り付けられると、囲い部材70により、言い換えればカバー71および筐体側部材72により、センサ入口近傍空間73およびセンサ出口近傍空間74が形成される。
【0068】
センサ入口近傍空間73は、ホコリセンサ60の入口61の近傍に形成される空間である。センサ入口近傍空間73は、カバー71に2つ形成されている空気取り込み孔71aを介して、ホコリセンサ60の検知対象の空気が存在する検知対象空間Sd(すなわち空気清浄機10の空気清浄の対象の空気が存在する空間)と連通する。なお、空気取り込み孔71aは、図1のように、前後方向を長手方向とする、矩形状の孔である。センサ入口近傍空間73は、筐体側部材72に形成された開口72dおよびホコリセンサ60の入口61を介して、ホコリセンサ60の内部空間62と連通する。さらに、センサ入口近傍空間73は、筐体側部材72に設けられたバイパス孔72aを介して、後述する負圧空間81と連通する。ファン40が運転されると、センサ入口近傍空間73から負圧空間81へと、バイパス孔72aを通過して空気が流入する。このような空気の流れが生じるため、カバー71に形成された空気取り込み孔71aを介して、検知対象空間Sdのホコリセンサ60から比較的離れた位置の空気を、センサ入口近傍空間73に取り込むことが容易である。なお、空気取り込み孔71aからセンサ入口近傍空間73に流入する空気は、主に、例えば、2/3以上が、バイパス孔72aから負圧空間81へと流入する。
【0069】
センサ出口近傍空間74は、ホコリセンサ60の出口63の近傍に形成される空間である。センサ出口近傍空間74は、ホコリセンサ60の検知対象の空気が存在する検知対象空間Sdとは直接連通していない。センサ出口近傍空間74は、筐体側部材72に形成された開口72eおよびホコリセンサ60の出口63を介して、ホコリセンサ60の内部空間62と連通する。さらに、センサ出口近傍空間74は、筐体側部材72に設けられた連通孔72bを介して後述する負圧空間81と連通する。つまり、センサ入口近傍空間73およびセンサ出口近傍空間74は、共に、負圧空間81(同一の空間)と連通している。そのため、センサ入口近傍空間73およびセンサ出口近傍空間74の圧力は等しくなりやすい。そのため、ホコリセンサ60の内部空間62には、センサ入口近傍空間73とセンサ出口近傍空間74との圧力差を原因とした空気の流れは、ほとんど生じない。
【0070】
負圧空間81は、ファン40が運転されることで、検知対象空間Sdよりも低圧となる(負圧となる)空間である。
【0071】
負圧空間81は、センサ入口近傍空間73とセンサ出口近傍空間74と連通する。負圧空間81は、第1負圧空間81aと、第2負圧空間81bとを含む。
【0072】
第1負圧空間81aは、ファン40により筐体11の吸込口12から吸込まれた空気が通過する空間である。具体的には、第1負圧空間81aは、吸込口12から吸込まれ、HEPAフィルタ22を含む空気清浄用ユニット20を通過した後の空気が流れる空間である。より具体的には、第1負圧空間81aは、吸込口12から吹出口13へと流れる、筐体11内の空気のメインの流れ方向において、空気清浄用ユニット20よりも下流側、かつ、加湿ユニット30よりも上流側の空間である。第1負圧空間81aは、ファン40が運転されることで、ホコリセンサ60の検知対象の空気が存在する検知対象空間Sdよりも低圧となる(検知対象空間Sdに対して負圧となる)。第1負圧空間81aは、空気の抵抗が比較的大きい、プレフィルタ21、HEPAフィルタ22、および脱臭エレメント23よりもファン40側の空間であるため、吸込口12と空気清浄用ユニット20との間の空間よりも、圧力が低い(負圧の度合いが大きい)。
【0073】
第2負圧空間81bは、第1負圧空間81aおよびセンサ入口近傍空間73と連通する空間である。また、第2負圧空間81bは、筐体側部材72に形成された連通孔72bを介して、センサ出口近傍空間74とも連通する空間である。第2負圧空間81bは、第1負圧空間81aと仕切り部材82により仕切られている。第2負圧空間81bは、第1負圧空間81aと、仕切り部材82に形成された連通孔82aを介して連通している。また、第2負圧空間81bは、センサ入口近傍空間73と、バイパス孔72aを介して連通している。つまり、センサ入口近傍空間73は、バイパス孔72aと連通孔82aとを介して、第1負圧空間81aと連通する。センサ入口近傍空間73は、HEPAフィルタ22を介さずに、第1負圧空間81aと連通する。
【0074】
(3)空気清浄機の動作
空気清浄機10の動作、特に、ホコリセンサ60の検知結果に基づいた空気清浄機10の動作について説明する。
【0075】
モータの回転によりファン40が回転すると、空気清浄の対象空間(ホコリセンサ60の検知対象の空気が存在する検知対象空間Sdと同一の空間)の空気が、筐体11の吸込口12を介して筐体11内に流入する。なお、制御ユニット50は、ファン40の回転数(すなわちファンモータ40aの回転数)を、ホコリセンサ60の検知結果に基づいて判定される空気の清浄レベルに応じて制御する。制御ユニット50は、空気の清浄レベルが低い(ホコリセンサ60の検知結果に基づいて算出された空気の清浄さが低い)ほど、ファンモータ40aの回転数が大きくなるように、ファンモータ40aを制御する。
【0076】
吸込口12を介して筐体11内に流入した空気が、空気清浄用ユニット20を通過する際に、空気から、塵埃やニオイ等が除去される。空気清浄機10が加湿運転を実行する場合には、空気清浄用ユニット20を通過後の空気は、加湿ユニット30を通過する際に水分が供給され、加湿される。空気清浄用ユニット20および加湿ユニット30を通過した空気は、前方側からファン40に流入する。ファン40に流入した空気の進行方向は、ファン40で上向きに方向転換される。ファン40から上向きに進行する空気は、吹出口13へと導かれ、筐体11の外部に吹き出し、空気清浄の対象空間へと戻る。
【0077】
(4)特徴
(4−1)
本実施形態に係る空気清浄機10は、空気清浄用フィルタとしてのHEPAフィルタ22と、ホコリセンサ60と、ファン40と、ファン制御部としての制御ユニット50と、囲い部材70と、を備える。ホコリセンサ60は、空気の入口61および出口63を有し、内部空間62を空気と共に通過する塵埃を検知する。ファン40は、HEPAフィルタ22を含む空気清浄用ユニット20に空気が通るように空気流れを生成する。制御ユニット50は、ホコリセンサ60の検知結果に基づいて、ファン40の回転数を変化させる。囲い部材70は、ホコリセンサ60の検知対象の空気が存在する検知対象空間Sdと連通すると共に、ホコリセンサ60の入口61を介してホコリセンサ60の内部空間62と連通するセンサ入口近傍空間73を、ホコリセンサ60の入口61の近傍に形成する。囲い部材70の筐体側部材72に、センサ入口近傍空間73からファン40が運転されることで生じる負圧空間81へと空気が流れる流路として、バイパス孔72aが設けられている。
【0078】
ここでは、検知対象空間Sdと連通するセンサ入口近傍空間73を形成する囲い部材70(具体的には、囲い部材70に含まれる筐体側部材72)に、ファン40の運転により生じる負圧空間81へと空気が流れるバイパス孔72aを設けることで、センサ入口近傍空間73に、検知対象空間Sdの、ホコリセンサ60から離れた位置の空気を迅速に取り込むことができる。そのため、センサ入口近傍空間73と連通するホコリセンサ60の内部空間62に、検知対象空間Sdの、ホコリセンサ60から離れた位置の空気を迅速に導くことが容易である。また、センサ入口近傍空間73に流入する空気は、囲い部材70に形成されたバイパス孔72aを通って主に負圧空間81に流入するため、ファン40の吸引力を用いてホコリセンサ60の内部空間62に空気を取り込む場合と比べ、ファン40の回転数が変化した場合にも、ホコリセンサ60の内部空間62を通過する空気の量に変化が生じにくい。そのため、ホコリセンサ60の検知結果に基づいて空気の清浄さが正確に把握されやすい。つまり、ここでは、空気の清浄さの変化に対して応答性がよく、かつ、空気清浄の対象空間の実際の空気の清浄さに基づいて、HEPAフィルタ22を含む空気清浄用ユニット20に空気を導くファン40の回転数を適切に制御可能な、信頼性の高い空気清浄機10を実現できる。
【0079】
(4−2)
本実施形態に係る空気清浄機10では、ホコリセンサ60の出口63は、負圧空間81と連通する。
【0080】
ここでは、ホコリセンサ60の出口63とセンサ入口近傍空間73とが同じ空間(負圧空間81、より具体的には第2負圧空間81b)と連通しているため、ホコリセンサ60の入口61および出口63の圧力が同一になりやすい。そのため、ホコリセンサ60の内部空間62において、ホコリセンサ60の入口61と出口63との圧力差を原因とした空気の流れが発生しにくく、ファン40の回転数が変化して負圧空間81の圧力が変化しても、ホコリセンサ60の内部空間62を通過する空気の量に変化が生じにくい。その結果、空気清浄機10では、空気清浄の対象空間の実際の空気の清浄さに基づいて、ファン40の回転数を適切に制御することが可能である。
【0081】
(4−3)
本実施形態に係る空気清浄機10では、ホコリセンサ60は、内部空間62において、入口61から出口63に向かって空気が流れるように空気の対流を発生させる熱源としてのヒータ64を有する。
【0082】
ここでは、ホコリセンサ60に空気の対流を発生させるヒータ64が設けられることで、内部空間62を一定速度で空気を通過させることが容易になる。そのため、ホコリセンサ60の検知結果に基づいて空気の清浄さが正確に把握されやすい。その結果、空気清浄機10では、空気清浄の対象空間の実際の空気の清浄さに基づいて、ファン40の回転数を適切に制御することが可能である。
【0083】
(4−4)
本実施形態に係る空気清浄機10では、囲い部材70のカバー71には、検知対象空間Sdに連通する空気取り込み孔71aが複数(2つ)形成されている。各空気取り込み孔71aの最小幅(ここでは、空気取り込み孔71aの上下方向の幅W1)は、バイパス孔72aの最小幅(バイパス孔72aの幅W2(正方形状のバイパス孔72aの一辺の長さ))よりも小さい。
【0084】
ここでは、検知対象空間Sdからセンサ入口近傍空間73に空気を取り込む空気取り込み孔71aの最小幅W1が、囲い部材70の筐体側部材72に形成されたバイパス孔72aの最小幅W2よりも小さいため、バイパス孔72aの最小幅W2より大きな塵埃がセンサ入口近傍空間73には導かれにくい。そのため、囲い部材70に設けられたバイパス孔72aの塵埃による閉塞を抑制できる。その結果、検知対象空間Sdのホコリセンサ60から離れた位置の空気を、センサ入口近傍空間73に導く空気の流れが維持されやすく、空気の清浄さの変化に対して応答性よくファン40の回転数を制御することが容易である。
【0085】
(4−5)
本実施形態に係る空気清浄機10では、囲い部材70は、着脱可能に構成されたカバー71を含む。囲い部材70の筐体側部材72に設けられたバイパス孔72aは、カバー71を外すことでアクセス可能な位置に形成される。
【0086】
ここでは、囲い部材70の筐体側部材72に設けられたバイパス孔72aが、着脱可能なカバー71を外すことでアクセス可能な位置に形成されているため、囲い部材70に設けられたバイパス孔72aが塵埃により閉塞されたとしても、容易にこれを解消できる。そのため、検知対象空間Sdのホコリセンサ60から離れた位置の空気を、センサ入口近傍空間73に導く空気の流れが維持されやすく、空気の清浄さの変化に対して応答性よくファン40の回転数を制御することが容易である。
【0087】
(4−6)
本実施形態に係る空気清浄機10では、負圧空間81は、第1負圧空間81aと、第2負圧空間81bと、を含む。第1負圧空間81aは、HEPAフィルタ22を通過後の空気が流れる。第2負圧空間81bは、第1負圧空間81aおよびセンサ入口近傍空間73と連通し、第1負圧空間81aと仕切り部材82により仕切られる。センサ入口近傍空間73は、囲い部材70の筐体側部材72に設けられたバイパス孔72aと、仕切り部材82に形成された連通孔82aと、を介して、HEPAフィルタ22を介さずに、第1負圧空間81aと連通する。
【0088】
ここでは、センサ入口近傍空間73を、HEPAフィルタ22よりもファン40側の負圧空間81(第1負圧空間81a)と、HEPAフィルタ22を介さずに直接連通させることで、強い吸引力を確保できる。そのため、検知対象空間Sdの、ホコリセンサ60から離れた位置の空気を、センサ入口近傍空間73へと迅速に取り込むことが容易である。その結果、空気の清浄さの変化に対して、応答性よくファン40の回転数を制御することができる。
【0089】
(5)変形例
以下に、上記実施形態の変形例を示す。なお、各変形例の構成の一部又は全部は、互いに矛盾しない範囲で、他の変形例の構成の一部又は全部と組み合わされてもよい。
【0090】
(5−1)変形例A
上記実施形態では、空気清浄用ユニット20は、主にプレフィルタ21、HEPAフィルタ22、および脱臭エレメント23を含むものであるが、これに限定されるものではない。例えば、空気清浄用ユニット20は、これらの構成に加えて、他の空気清浄用の構成をさらに含んでもよい。また、例えば、空気清浄用ユニット20は、脱臭エレメント23を有さなくてもよい。
【0091】
(5−2)変形例B
上記実施形態では、空気清浄機10は、加湿ユニット30を有するがこれに限定されるものではなく、加湿ユニット30を有していなくてもよい。また、空気清浄機10は、加湿ユニット30に代えて、又は、加湿ユニット30に加えて除湿ユニットを有していてもよい。
【0092】
(5−3)変形例C
上記実施形態では、ホコリセンサ60の出口63は、センサ出口近傍空間74と、筐体側部材72に形成された連通孔72bと、を介して第2負圧空間81bに連通するが、これに限定されるものではない。例えば、ホコリセンサ60の出口63は、第2負圧空間81bと直接連通する構造であってもよい。
【0093】
(5−4)変形例D
上記実施形態では、ホコリセンサ60の出口63は負圧空間81に連通するが、これに限定されるものではない。例えば、ホコリセンサ60の出口63は、センサ入口近傍空間73と直接連通してもよい。具体的には、例えば、連通孔72bは設けられず、センサ出口近傍空間74と、センサ入口近傍空間73とが同一の空間になるよう形成されてもよい。この場合にも、ホコリセンサ60の入口61および出口63の圧力が等しくなりやすい。そのため、ホコリセンサ60の内部空間62において、ホコリセンサ60の入口61と出口63との圧力差を原因とした空気の流れが発生しにくく、ファン40の回転数が変化して負圧空間81の圧力が変化しても、ホコリセンサ60の内部空間62を通過する空気の量に変化が生じにくい。その結果、空気清浄の対象空間の実際の空気の清浄さに基づいて、ファン40の回転数を適切に制御することが可能である。
【0094】
(5−5)変形例E
上記実施形態では、ホコリセンサ60の出口63は負圧空間81に連通するが、これに限定されるものではない。例えば、カバー71に、センサ出口近傍空間74と、検知対象空間Sdとを連通する孔を形成し、ホコリセンサ60の出口63を、負圧空間81ではなく、検知対象空間Sdと連通させるようにしてもよい。これにより、ホコリを含む可能性のある空気が、空気清浄用ユニット20を経ずにファン40側の空間に流入し、吹出口13から吹き出されることを防止できる。
【0095】
ただし、ホコリセンサ60の入口61および出口63の圧力を同一にして、ホコリセンサ60の内部空間62において、入口61と出口63との圧力差により空気の流れが発生することを抑制するためには、ホコリセンサ60の出口63は、負圧空間81、又は、変形例Cのようにセンサ入口近傍空間73と連通させることが望ましい。
【0096】
(5−6)変形例F
上記実施形態では、ホコリセンサ60は、内部空間62で対流による空気の流れを生じさせるためのヒータ64を有するが、これに限定されるものではない。ホコリセンサ60は、内部空間62に自然に取り込まれる空気に含まれる塵埃を検知するものであってもよい。
【0097】
この場合にも、センサ入口近傍空間73に、検知対象空間Sdの、ホコリセンサ60から離れた位置の空気を迅速に取り込むことができる。そのため、センサ入口近傍空間73から、センサ入口近傍空間73と連通するホコリセンサ60の内部空間62に、検知対象空間Sdの、ホコリセンサ60から離れた位置の空気を迅速に導くことが容易である。また、センサ入口近傍空間73に流入する空気は、主に、囲い部材70に形成されたバイパス孔72aを通って負圧空間81に流入するため、ファン40の吸引力を用いてホコリセンサ60の内部空間62に空気を取り込む場合と比べ、ファン40の回転数が変化した場合にも、ホコリセンサ60の内部空間62を通過する空気の量に変化が生じにくい。そのため、ホコリセンサ60の検知結果に基づいて空気の清浄さが正確に把握されやすい。つまり、本変形例の構成においても、空気の清浄さの変化に対して応答性がよく、かつ、空気清浄の対象空間の実際の空気の清浄さに基づいて、HEPAフィルタ22を含む空気清浄用ユニット20に空気を導くファン40の回転数を適切に制御可能な、信頼性の高い空気清浄機10を実現できる。
【0098】
ただし、ホコリセンサ60の内部空間62内で一定の速度で空気を流すためには、ホコリセンサ60はヒータ64を含むことが望ましい。
【0099】
(5−7)変形例G
上記実施形態では、カバー71に、空気取り込み孔71aとして、矩形状の孔が2箇所に形成されている。また、筐体側部材72に、バイパス孔72aとして、正方形状の孔が1箇所に形成されている。ただし、空気取り込み孔71aおよびバイパス孔72aの形状および数量は例示であり、これに限定されるものではない。
【0100】
なお、形状が異なる場合にも、空気取り込み孔71aの最小幅は、バイパス孔72aの最小幅よりも小さいことが望ましい。なお、孔の最小幅は、例えば、孔が矩形状(正方形も含む)であれば上記のように最短の辺の長さであり、孔が円形であれば円の直径である。つまり、孔の最小幅は、塵埃の形状が球状の剛体であると仮定した場合に、その孔を通過可能な塵埃の最大の大きさを規定するものである。
【0101】
(5−8)変形例H
上記実施形態では、筐体側部材72の、凹部75の下側に配置される面にバイパス孔72aが、凹部75の上側に配置される面に連通孔72bが、それぞれ形成されているが、孔の形成される位置は例示であり、これに限定されるものではない。バイパス孔72aおよび連通孔72bは、それぞれ負圧空間81へ連通可能な位置に形成されればよい。
【0102】
(5−9)変形例I
上記実施形態では、負圧空間81は、第1負圧空間81aおよび第2負圧空間81bを有しているが、これに限定されるものではない。例えば、第2負圧空間81bは存在しなくてもよく、筐体側部材72に形成されたバイパス孔72aは、上記実施形態における第1負圧空間81aに直接連通するように形成されてもよい。
【0103】
(5−10)変形例J
上記実施形態では、第1負圧空間81aは、HEPAフィルタ22を通過後の空気が流れる空間である。より具体的には、第1負圧空間81aは、吸込口12から吹出口13へと筐体11内を流れるメインの空気の流れ方向において、HEPAフィルタ22を含む空気清浄用ユニット20よりも下流側、かつ、加湿ユニット30よりも上流側の空間である。ただし、第1負圧空間81aは、上記の空間に限定されるものではない。
【0104】
例えば、第1負圧空間81aは、吸込口12から吹出口13へと筐体11内を流れるメインの空気の流れ方向において、加湿ユニット30よりも下流側、かつファン40よりも上流側の空間であってもよい。また、例えば、第1負圧空間81aは、吸込口12から吹出口13へと筐体11内を流れる空気の流れ方向において、プレフィルタ21よりも下流側、かつ、HEPAフィルタ22よりも上流側の空間であってもよい。また、例えば、第1負圧空間81aは、吸込口12から吹出口13へと筐体11内を流れる空気の流れ方向において、プレフィルタ21よりも上流側の空間(吸込口12と空気清浄用ユニット20との間の空間)であってもよい。センサ入口近傍空間73は、所望の負圧を得ることが可能な負圧空間と連通されればよい。ただし、検知対象空間Sdのホコリセンサ60から離れた位置の空気を、センサ入口近傍空間73に迅速に取り込むためには、第1負圧空間81aは、HEPAフィルタ22を通過後の空気が流れる空間であることが望ましい。
【0105】
(5−11)変形例K
上記実施形態では、空気清浄機10は床置き型の空気清浄機であるが、これに限定されるものではない。また、本発明に係る空気清浄機は、空気清浄機能を有する空調機等であってもよい。
【0106】
(5−12)変形例L
上記実施形態では、制御ユニット50は、空気の清浄さとして、所定時間に占める、ホコリセンサ60が塵埃を検知している時間の割合を算出するが、これに限定されるものではない。例えば、制御ユニット50は、ホコリセンサ60の内部空間62の通路面積や、内部空間62を流れる空気の設計流速を用いて、内部空間62を通過する単位体積あたりのホコリセンサ60の塵埃の検知回数を、空気の清浄さとして算出するものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0107】
本発明は、空気の清浄さの変化に対して応答性がよく、かつ、空気清浄の対象空間の実際の空気の清浄さに基づいた適切な運転が可能な、信頼性の高い空気清浄機として有用である。
【符号の説明】
【0108】
10 空気清浄機
22 HEPAフィルタ(空気清浄用フィルタ)
40 ファン
50 制御ユニット(ファン制御部)
60 ホコリセンサ
61 入口
62 内部空間
63 出口
64 ヒータ(熱源)
70 囲い部材
71 カバー
71a 空気取り込み孔
72a バイパス孔(流路)
73 センサ入口近傍空間
81 負圧空間
81a 第1負圧空間
81b 第2負圧空間
82 仕切り部材
82a 連通孔
Sd 検知対象空間
W1 最小幅(空気取り込み孔の最小幅)
W2 最小幅(流路の最小幅)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0109】
【特許文献1】実開平4−137725号公報
図1
図2
図3
図4