(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、圧入により外筒の軸線方向の全体でセラミックヒータを保持する形態では、外筒のうち圧入される部位が長いため、圧入の際に大きな圧入荷重を要し、圧入性が悪い。一方、ロウ付けにより外筒の軸線方向の全体でセラミックヒータを保持する形態では、ロウ付け部分が長くなるため、コスト高を招く。
【0005】
そこで、本発明者らは、外筒のうち先端側部分において、圧入やロウ付け等によりセラミックヒータを保持する一方、外筒のうち後端側部分においては、外筒がセラミックヒータを保持しない(外筒がセラミックヒータから離間した)形態を考えた。
しかるに、この形態では、以下の問題が生じる。即ち、グロープラグは、セラミックヒータのヒータ先端部及び外筒の外筒突出部をそれぞれ燃焼室内に露出させた形態でエンジンヘッドに取り付けられるため、これらセラミックヒータ及び外筒は、それぞれ先端側ほど高温となる。外筒は、金属製であるため、高温に曝されたときセラミックヒータに比して大きく熱膨張する。このため、当初は圧入により外筒が先端側部分でセラミックヒータに固定されていたとしても、外筒の先端側部分が大きく熱膨張してその径が大きくなることから、外筒の内周面とセラミックヒータの外周面との間に隙間が生じるおそれがある。或いは、当初はロウ付けにより外筒が先端側部分でセラミックヒータに固定されていたとしても、熱によりロウ材が溶けると、同様に外筒の内周面とセラミックヒータの外周面との間に隙間が生じるおそれがある。すると、この隙間を通って燃焼ガスがグロープラグのうち外筒よりも後端側まで入り込むおそれがある。
【0006】
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであって、外筒によるセラミックヒータの保持を確実かつ低コストに行うことができると共に、使用時に外筒の内周面とセラミックヒータの外周面との隙間を通じて外筒よりも後端側まで燃焼ガスが入り込むのを防止できる圧力センサ付きグロープラグを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明の一態様は、軸線方向に延びる軸孔を有する筒状の主体金具と、筒状をなし金属製で、上記主体金具の上記軸孔内に配置された外筒孔内部、及び、上記主体金具の先端から上記軸線方向の先端側に突出する外筒突出部を有する外筒と、棒状をなしセラミック製で上記外筒に保持され、上記外筒の先端から上記軸線方向の上記先端側に突出するヒータ先端部を有し、上記外筒と共に上記軸線方向に変位可能に上記主体金具に保持されたセラミックヒータと、上記セラミックヒータの上記変位を検知するセンサ部と、
筒状をなし金属製で、上記軸孔内に配置されて上記主体金具に保持され、かつ、自身の内部に上記外筒及び上記セラミックヒータを上記変位が可能に保持する保持部材と、を備える圧力センサ付きグロープラグであって、上記外筒の上記外筒孔内部は、自身の内部に上記セラミックヒータを保持するヒータ保持部
と、上記ヒータ保持部よりも上記軸線方向の上記先端側に、上記外筒突出部と連なって、上記セラミックヒータを離間しつつ包囲するヒータ離間部と、を有し、上記外筒の上記外筒突出部は、自身の内部の上記セラミックヒータを遊嵌状に包囲してな
り、上記保持部材は、上記主体金具に保持された位置よりも上記軸線方向の上記先端側で、かつ、上記外筒の上記外筒孔内部の上記ヒータ離間部のうち、上記ヒータ保持部から上記軸線方向の上記先端側に離間した位置に溶接されてなる圧力センサ付きグロープラグである。
【0008】
本発明の圧力センサ付きグロープラグでは、外筒の外筒孔内部が、自身の内部にセラミックヒータを保持するヒータ保持部を有する一方、外筒の外筒突出部は、自身の内部のセラミックヒータを遊嵌状に包囲する。このため、例えば、圧入によりヒータ保持部でセラミックヒータを保持する形態では、外筒の軸線方向の全体でセラミックヒータを保持する場合に比して、外筒のうち圧入される部位(即ちヒータ保持部)が短くなるため、圧入荷重を小さくして圧入性を良好にできる。また、ロウ付けによりヒータ保持部でセラミックヒータを保持する形態では、外筒の軸線方向の全体でセラミックヒータを保持する場合に比して、ロウ付け部分を短くできるので、コストを低減できる。
【0009】
加えて、外筒のうちヒータ保持部は、主体金具の軸孔内に配置されるので、主体金具から突出する外筒突出部に比して、使用時に高温に曝され難い。このため、例えば圧入によりヒータ保持部でセラミックヒータを保持する形態では、ヒータ保持部が大きく熱膨張してヒータ保持部の内周面とセラミックヒータの外周面との間に隙間が生じるのを防止できる。また、ロウ付けによりヒータ保持部でセラミックヒータを保持する形態では、高温によりロウ材が溶けてヒータ保持部の内周面とセラミックヒータの外周面との間に隙間が生じるのを防止できる。従って、外筒の内周面とセラミックヒータの外周面との隙間を通じて外筒の後端側まで燃焼ガスが入り込むのを防止できる。
また、保持部材を外筒孔内部のうちヒータ保持部に溶接すると、溶接の際に発生した熱がセラミックヒータに伝わり、セラミックヒータにクラックが生じたり割れるなどの不具合が生じ易い。
これに対し、この圧力センサ付きグロープラグでは、外筒孔内部にセラミックヒータから離間したヒータ離間部を設け、このヒータ離間部に保持部材を溶接している。このため、溶接の際に発生した熱がセラミックヒータに伝わり難く、セラミックヒータにクラックが生じたり割れるなどの不具合を防止した信頼性の高いグロープラグとなる。
また、グロープラグをエンジンに装着しエンジンを運転すると、繰り返し高温、高圧の燃焼ガスが、グローホールとヒータ先端部及び外筒突出部との隙間を通じて保持部材まで届く。すると、保持部材は瞬時に熱膨張して、軸線方向の寸法が大きくなり(軸線方向に延び)、この膨張に伴って保持部材に保持された外筒及びセラミックヒータが軸線方向に変位する。この熱膨張に伴う変位は、燃焼圧に応じたセラミックヒータの変位に重畳されるので、燃焼圧の検知精度が低下する場合がある。より具体的には、保持部材として、主体金具に保持された位置よりも軸線方向の先端側の位置で外筒に溶接された形態の保持部材を用いた場合には、加熱された保持部材は、外筒及びセラミックヒータを先端側に移動させるように膨張するので、燃焼圧に応じたセラミックヒータの変位に、不要な変動(変位及び圧力上昇が小さく見える方向の変動)が付加される。このため、燃焼圧の検知精度が低下する。
これに対し、前述の圧力センサ付きグロープラグでは、保持部材は、保持部材のうち主体金具に直接または間接に保持された位置よりも軸線方向の先端側で、かつ、外筒孔内部のヒータ離間部のうち、ヒータ保持部から軸線方向の先端側に離間した位置に溶接されている。保持部材は、上述のように燃焼ガスに曝されると、熱膨張して軸線方向の先端側に向けて延びる。一方、外筒のうち、セラミックヒータを離間しつつ包囲している外筒突出部及びこれに連なるヒータ離間部とセラミックヒータとの間にも燃焼ガスが届くので、これらも熱膨張して軸線方向の先端側に向けて延びる。つまり、ヒータ離間部のうち保持部材が溶接された部位からヒータ保持部までの部分も、熱膨張して軸線方向の先端側に向けて延びる。従って、燃焼ガスで保持部材が先端側に向けて延びるのと同時に、ヒータ離間部のうち保持部材が溶接された部位からヒータ保持部までの部分も先端側に向けて延びることで、保持部材の延びによる外筒及びセラミックヒータの変位が一部相殺される。かくして、外筒及びセラミックヒータの不要な変動(変位及び圧力上昇が小さく見える方向の変動)が、燃焼圧に応じたセラミックヒータの変位に付加され難くなるので、燃焼圧の検知精度を良好にできる。
【0010】
なお、「ヒータ保持部」の形態
は、外筒孔内部の軸線方向の一部のみをヒータ保持部と
する。外筒孔内部に複数のヒータ保持部を設けることができる。
【0011】
また、「ヒータ保持部」でセラミックヒータを保持する形態としては、例えば、外筒にセラミックヒータを圧入して締まり嵌めとすることによりセラミックヒータを保持する形態が挙げられる。また、外筒にセラミックヒータを遊挿した後に外筒を径方向内側に加締めることによりセラミックヒータを保持する形態が挙げられる。また、外筒にセラミックヒータを遊挿した後に外筒とセラミックヒータとの隙間にロウ材を充填してロウ付けすることによりセラミックヒータを保持する形態が挙げられる。
【0012】
外筒突出部が自身の内部のセラミックヒータを「遊嵌状に包囲する」とは、外筒突出部が内部のセラミックヒータを保持することなく、外筒突出部及び内部のセラミックヒータが軸線方向に相対移動可能に、外筒突出部が内部のセラミックヒータを包囲することを指す。具体的には、外筒突出部が内部のセラミックヒータを離間しつつ包囲する形態や、外筒突出部と内部のセラミックヒータが互いに接触しているのみで、外筒突出部が内部のセラミックヒータを保持していない形態が挙げられる。
【0013】
「外筒」は、その内周面に、Au、Ag、Cu、Ni等を主成分するメッキ層などの金属層を有していてもよい。
「セラミックヒータ」の形態としては、絶縁性のセラミックからなるセラミック基体に発熱抵抗体を一体化したものが挙げられる。具体的には、発熱抵抗体をセラミック基体の内部に埋設した形態や、発熱抵抗体をセラミック基体の外部に露出させた形態が挙げられる。また、発熱抵抗体としては、導電性のセラミックや、W(タングステン)などの金属からなるものが挙げられる。
「センサ部」としては、例えば、歪みセンサ(歪みゲージ)や、ピエゾ抵抗体を有する半導体歪みゲージ、圧電素子などの変位センサ、及び、セラミックヒータの変位を変位センサに導く部材を用いて構成したものが挙げられる。
【0016】
なお、「ヒータ離間部」のうち「保持部材」が溶接される位置は、適宜選択できる。例えば、ヒータ離間部のうち先端部分に保持部材を溶接した形態としてもよいし
、或いは、ヒータ離間部の先端及び後端からそれぞれ離間した位置(例えばヒータ離間部の中央部分)に保持部材を溶接した形態としてもよい。
【0017】
また、「保持部材」は、外筒の「ヒータ離間部」に周方向全周にわたって溶接されていてもよいし、周方向に隙間をあけて複数箇所で溶接されていてもよい。
また、「保持部材」は、直接、主体金具に保持される形態としてもよいし、他の部材を介して間接に主体金具に保持される形態としてもよい。また、保持部材は主体金具等に、周方向全周にわたって固定されていてもよいし、周方向に隙間をあけて複数箇所で固定されていてもよい。保持部材の主体金具等への固定形態としては、溶接やロウ付け、加締めなどが挙げられる。
但し、「保持部材」に、主体金具の内周面と外筒の外周面との間の環状空間を軸線方向に気密に分割するシール部材としての機能を持たせる場合には、保持部材を外筒に全周にわたり溶接すると共に、保持部材を主体金具等に全周にわたり溶接或いはロウ付けすると良い。
【0018】
また、「保持部材」の形態としては、例えば、外筒に溶接される外筒側部と、これよりも軸線方向の後端側に位置し、主体金具等に保持される金具側部と、これらの間に位置し、セラミックヒータ及び外筒の軸線方向の変位に伴って変形する中間変形部とを有する形態が挙げられる
。更に、中間変形部の形態としては、円環板状のダイヤフラム(薄膜)や蛇腹状のベローズの形態が挙げられる。
【0022】
なお、保持部材は、前述のように、直接、主体金具に保持される場合のほか、他の部材を介して間接に主体金具に保持される場合もある。保持部材が直接、主体金具に保持された形態では、保持部材のうち主体金具に固定された部位(例えば保持部材の溶接部分)の軸線方向の位置が、前述の「(保持部材が)主体金具に保持された位置」に該当する。また、保持部材が他の部材を介して間接に主体金具に保持された形態では、保持部材のうち他の部材に固定された部位(例えば保持部材の溶接部分)の軸線方向の位置が、前述の「(保持部材が)主体金具に保持された位置」に該当する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。
図1〜
図4に、本実施形態に係る圧力センサ付きグロープラグ1(以下、単にグロープラグ1とも言う)を示す。なお、
図1〜
図4において、グロープラグ1及びその主体金具10の軸線AXに沿う方向を軸線方向HJとし、軸線方向HJのうち、セラミックヒータ20が配置された側(図中下側)を先端側GS、これと反対側(図中上側)を後端側GKとする。
【0025】
このグロープラグ1は、ディーゼルエンジン(図示外)の燃焼室内にセラミックヒータ20及び外筒30を露出させた状態でエンジンヘッドに取り付けられ、燃料の着火促進を図ることに加えて、燃焼室内の燃焼圧(燃焼ガス圧)を検知するのに利用される。このグロープラグ1は、主体金具10、セラミックヒータ20、外筒30、保持部材40、センサ部50等から構成されている。
【0026】
このうち主体金具10は、軸線方向HJに貫通する軸孔10hを有する筒状で金属製(具体的には炭素鋼製)の部材である。この主体金具10は、先端側GSに位置する筒状の先端キャップ部材11と、後端側GKに位置する筒状の後端キャップ部材15と、これらの間に位置して軸線方向HJに延びる筒状の金具本体部材13とからなる(
図1参照)。先端キャップ部材11の後端部11kと金具本体部材13の先端部13sとは、後述するセンサ支持部材53のフランジ部53cを介して接合(具体的には溶接)されている(
図3参照)。また、金具本体部材13の後端部13kと後端キャップ部材15の先端部15sとは、直接、接合(具体的には溶接)されている(
図1参照)。
【0027】
先端キャップ部材11の先端部11s(
図3参照)は、先端側GSに向かうほど径小の先細り形状である。この先端部11sのテーパ状をなす外周面11smは、グロープラグ1をエンジンヘッド(図示外)に取り付けた際に、プラグホールの座面に圧接されて、燃焼室内の気密性を確保する。また、金具本体部材13のうち後端側GK(
図1参照)の部位には、このグロープラグ1をエンジンヘッドに取り付けるための雄ネジを有する取付部13dが設けられている。また、後端キャップ部材15のうち後端側GKの部位には、断面形状が六角形状で、このグロープラグ1をエンジンヘッドに取り付ける際に工具を係合させる工具係合部15eが設けられている。また、この後端キャップ部材15には、後端キャップ部材15の後端15bよりも後端側GKに突出する形態で、円筒状をなす封止用のゴム部材17が装填されている。
【0028】
次に、セラミックヒータ20について説明する。セラミックヒータ20は、軸線方向HJに延びる直径d1=3.1mmの丸棒状で、先端が半球状に曲面加工された形状を有するセラミック製のヒータである。具体的には、このセラミックヒータ20は、絶縁性セラミック(具体的には窒化珪素質セラミック)からなるセラミック基体26の内部に、導電性セラミック(具体的には導電成分として炭化タングステンを含有する窒化珪素質セラミック)からなる発熱抵抗体27が埋設されている。
【0029】
このうち発熱抵抗体27は、発熱部27cと、一対のリード部27d,27eと、一対の電極取出部27f,27gとからなる。発熱部27c(
図2参照)は、先端側GSに配置されて、U字状に曲げ返された形状をなし、通電時に高温に発熱する。また、一対のリード部27d,27e(
図2〜
図4参照)は、発熱部27cの両端に繋がり、後端側GKに向けて互いに平行に延びる。また、一対の電極取出部27f,27g(
図3及び
図4参照)は、後端側GKで一対のリード部27d,27eと繋がる一方、セラミック基体26の外周面26mに露出する。一方の電極取出部27gは、他方の電極取出部27fよりも後端側GKに位置している。
【0030】
このセラミックヒータ20は、外筒30に保持されている。具体的には、セラミックヒータ20のうち、ヒータ先端部21(
図2参照)が外筒30の先端31aよりも先端側GSに突出し、ヒータ後端部23(
図3及び
図4参照)が外筒30の後端33bよりも後端側GKに突出し、ヒータ先端部21とヒータ後端部23との間に位置するヒータ中間部22(
図2〜
図4参照)が外筒30の内部に配置される形態で、外筒30に保持されている。また、セラミックヒータ20は、後述するように、外筒30と共に軸線方向HJに変位可能に主体金具10に保持されている。
【0031】
このセラミックヒータ20のヒータ後端部23は、接続リング81(
図3及び
図4参照)を介して、中軸部材83(
図4参照)に接続されている。接続リング81は、軸線方向HJに延びる円筒状で金属製(具体的にはステンレス鋼製)の部材である。この接続リング81は、主体金具10の軸孔10h内で、後述する変位伝達部材51及びセンサ支持部材53の径方向内側に配置されている。接続リング81のうち先端側GSの部位には、セラミックヒータ20のヒータ後端部23が圧入されている。一方、接続リング81のうち後端側GKの部位には、中軸部材83の中軸先端部83sの嵌合部83saが圧入されている。これにより、セラミックヒータ20の一方の電極取出部27gが、接続リング81を介して中軸部材83に電気的に接続される。
【0032】
中軸部材83は、軸線方向HJに延びる丸棒状で金属製(具体的にはステンレス鋼製)の部材である。この中軸部材83は、主体金具10の軸孔10hに主体金具10から離間した状態で挿通されている。また、この中軸部材83のうち先端側GSの部位は、後述する変位伝達部材51及びセンサ支持部材53の径方向内側に、これらから離間して配置されている。この中軸部材83は、先端側GSに位置する径大な中軸先端部83sと、この中軸先端部83sよりも径小で、中軸先端部83sから後端側GKに延びる中軸胴部83cとからなる。中軸先端部83sのうち先端側GSの嵌合部83saには、前述のように、接続リング81が圧入されている。
【0033】
次に、外筒30について説明する。外筒30(
図2〜
図4参照)は、軸線方向HJに延びる円筒状で金属製の部材である。具体的には、外筒30は、筒状で金属製(具体的にはステンレス鋼製)の外筒本体37と、この外筒本体37の内周面上に形成された、Auメッキ層からなる金属層38とから構成される。この外筒30は、外径は軸線方向HJにわたって等しい一方、内径が先端側GSの部位で大きく、後端側GKの部位で小さくされた段付き形状を有する。具体的には、外筒30の外径d2は、d2=4.1mmである。また、外筒30の先端側GSの部位(後述する外筒突出部31及びヒータ離間部34)の内径d3は、d3=3.3mmである。一方、外筒30の後端側GKの部位(後述するヒータ保持部35)における締まり嵌め状態での内径(セラミックヒータ20の直径d1に等しい)は、内径d3よりも0.2mm小さい、3.1mmである。
【0034】
この外筒30は、主体金具10にセラミックヒータ20と共に軸線方向HJに変位可能に保持されている。具体的には、外筒突出部31(
図2参照)が主体金具10の先端11saよりも先端側GSに突出し、外筒孔内部33(
図3及び
図4参照)が主体金具10の軸孔10h内に配置された状態で、後述する保持部材40、変位伝達部材51及びセンサ支持部材53等を介して、主体金具10に軸線方向HJに変位可能に保持されている。
【0035】
その一方で、外筒30は、圧入(締まり嵌め)により、セラミックヒータ20のヒータ中間部22を保持している。具体的には、外筒30のうち外筒突出部31は、自身の内部のセラミックヒータ20を離間しつつ包囲している。前述のように、外筒突出部31の内径d3は、d3=3.3mmである。一方、セラミックヒータ20の直径d1は、d1=3.1mmである。従って、外筒突出部31の内周面31nとセラミックヒータ20の外周面20mとの間には、0.1mmの隙間SAが全周にわたり形成されている。
【0036】
一方、外筒30のうち外筒孔内部33は、先端側GSに位置して前述の外筒突出部31と連なるヒータ離間部34と、これよりも後端側GKに位置するヒータ保持部35とから構成される。このうちヒータ離間部34は、自身の内部のセラミックヒータ20を離間しつつ包囲している。具体的には、前述のように、このヒータ離間部34の内径d3は、前述の外筒突出部31の内径d3と同様に、d3=3.3mmである。一方、セラミックヒータ20の直径d1は、d1=3.1mmである。従って、ヒータ離間部34の内周面34nとセラミックヒータ20の外周面20mとの間にも、0.1mmの隙間SBが全周にわたり形成されている。
【0037】
なお、このヒータ離間部34には、後述する保持部材40が溶接されている。ヒータ離間部34のうち、保持部材40が溶接された部位を溶接部34cとする。また、ヒータ離間部34のうち、溶接部34cよりも先端側GSに位置して外筒突出部31に連なる部位を、先端側部34sとし、溶接部34cよりも後端側GKに位置してヒータ保持部35に連なる部位を、後端側部34kとする。
一方、ヒータ保持部35では、圧入(締まり嵌め)により、自身の内部にセラミックヒータ20を保持している。また、このヒータ保持部35において、セラミックヒータ20の一方の電極取出部27fが、外筒30の金属層38に当接して外筒30と電気的に接続される。
【0038】
次に、保持部材40について説明する。保持部材40(
図3参照)は、筒状で金属製(具体的にはステンレス鋼製)の部材である。この保持部材40は、主体金具10の内周面(具体的には先端キャップ部材11の内周面11n)と外筒30の外周面30mとの間の環状空間KAに配置されている。この保持部材40は、軸線方向HJの位置W1において、後述するセンサ支持部材53に保持され、これを介して主体金具10に保持される一方、位置W1よりも先端側GSの位置W2において、外筒30を保持する。
【0039】
具体的には、この保持部材40は、外筒側部41と、金具側部45と、これらの間に位置する中間変形部43とからなる。保持部材40のうち外筒側部41は、先端側GSに位置する円筒状の部位であり、自身の内部に外筒30を保持する。具体的には、この外筒側部41は、軸線方向HJの位置W1よりも先端側GSの位置W2において、外筒30のうちヒータ離間部34の溶接部34cに、周方向全周にわたって溶接されている。また、金具側部45は、外筒側部41よりも径大な円筒状で後端側GKに位置する部位であり、後述するセンサ支持部材53を介して主体金具10に保持される。具体的には、この金具側部45は、軸線方向HJの位置W1において、センサ支持部材53の支持先端部53sに外嵌して周方向全周にわたって溶接されている。更に、センサ支持部材53は、後述するように、主体金具10に周方向全周にわたって溶接されているので、保持部材40の金具側部45は、溶接により間接に主体金具10に固定されている。
【0040】
このような形態で、保持部材40は、外筒30及びセラミックヒータ20を主体金具10に保持させると共に、主体金具10の先端キャップ部材11の内周面11nと外筒30の外周面30mとの間の環状空間KAを軸線方向HJに気密に分割するシール部材として機能する。このため、グロープラグ1の先端側GSから環状空間KAに入り込んだ燃焼ガスが、環状空間KAを通じて外筒30の後端側GKまで入り込むのを防止できる。
【0041】
更に、保持部材40の中間変形部43は、セラミックヒータ20及び外筒30の軸線方向HJの変位に伴って変形する部位である。具体的には、中間変形部43は、円環板状のダイヤフラム(薄膜)をなしており、この中間変形部43が変形して、セラミックヒータ20及び外筒30の軸線方向HJの変位を許容する。
なお、この保持部材40は、外筒30と主体金具10との間を電気的にも接続するので、セラミックヒータ20の一方の電極取出部27fは、外筒30及び保持部材40を介して、主体金具10に電気的に接続される。また、この保持部材40は、セラミックヒータ20の熱を主体金具10を介してエンジンヘッドへ逃がす熱伝達部材としても機能する。
【0042】
次に、センサ部50について説明する。センサ部50は、変位伝達部材51と、センサ支持部材53と、ダイアフラム部材55と、センサ素子57と、一対の配線58と、集積回路59とから構成される。このうち変位伝達部材51(
図3及び
図4参照)は、軸線方向HJに延びる筒状で金属製(具体的にはステンレス鋼製)の部材である。この変位伝達部材51は、主体金具10の軸孔10h内で、センサ支持部材53の径方向内側に、かつ、保持部材40よりも後端側GKに配置されている。この変位伝達部材51は、軸線方向HJの位置W3において、周方向全周にわたって外筒30に溶接されている。一方で、この変位伝達部材51の後端側GKには、ダイアフラム部材55が接続している。
【0043】
センサ支持部材53(
図3及び
図4参照)は、軸線方向HJに延びる筒状で金属製(具体的にはステンレス鋼製)の部材である。このセンサ支持部材53は、主体金具10の軸孔10h内で、変位伝達部材51の径方向外側に配置されている。このセンサ支持部材53は、筒状の支持先端部53sと、その後端側GKに位置する径大なフランジ部53cと、このフランジ部53cから後端側GKに延びる筒状の支持本体部53kとからなる。このうち支持先端部53sには、前述のように、保持部材40の金具側部45が外嵌して溶接されている。また、フランジ部53cは、主体金具10の先端キャップ部材11の後端部11kと金具本体部材13の先端部13sとの間に挟持された状態で、主体金具10に溶接されている。また、支持本体部53kの後端側GKには、ダイアフラム部材55が接続している。
【0044】
ダイアフラム部材55(
図4参照)は、金属製(具体的にはステンレス鋼製)の部材であり、その後端側GKの主面に、センサ素子57が接合されている。このセンサ素子57は、ピエゾ抵抗体を有する半導体歪みゲージであり、ダイアフラム部材55の撓み変形に伴って自身の抵抗値が変化する。また、集積回路59は、
図1中に破線で示すように、主体金具10の後端キャップ部材15の内部に配置されており、センサ素子57から後端側GKに引き出された一対の配線58を介して、センサ素子57と接続されている。この集積回路59は、センサ素子57の抵抗値を用いて電気信号を外部に出力する。
【0045】
以上で説明したように、本実施形態のセンサ付きグロープラグ1では、外筒30の外筒孔内部33が、自身の内部にセラミックヒータ20を保持するヒータ保持部35を有する一方、外筒30の外筒突出部31は、自身の内部のセラミックヒータ20を離間しつつ包囲する。このため、外筒30の軸線方向HJの全体でセラミックヒータ20を保持する場合に比して、外筒30のうち圧入される部位(即ちヒータ保持部35)が短くなるため、圧入荷重を小さくして圧入性を良好にできる。
【0046】
加えて、外筒30のうちヒータ保持部35は、主体金具10の軸孔10h内に配置されるので、主体金具10から突出する外筒突出部31に比して、使用時に高温に曝され難い。このため、ヒータ保持部35が大きく熱膨張してヒータ保持部35の内周面35nとセラミックヒータ20の外周面20mとの間に隙間が生じるのを防止できる。従って、外筒30の内周面30nとセラミックヒータ20の外周面20mとの隙間を通じて外筒30の後端側GKまで燃焼ガスが入り込むのを防止できる。
【0047】
更に、本実施形態では、外筒30の外筒孔内部33にセラミックヒータ20から離間したヒータ離間部34を設け、このヒータ離間部34に保持部材40を溶接している。このため、ヒータ保持部35に保持部材40を溶接する場合に比して、溶接の際に発生した熱がセラミックヒータ20に伝わり難く、セラミックヒータ20にクラックが生じたり割れるなどの不具合を防止した信頼性の高いグロープラグ1となる。
【0048】
また、本実施形態では、保持部材40が、保持部材40のうちセンサ支持部材53を介して主体金具10に保持された位置W1よりも先端側GSで、かつ、外筒孔内部33のヒータ離間部34のうち、ヒータ保持部35から先端側GSに離間した位置W2に溶接されている。保持部材40は、燃焼ガスに曝されると、熱膨張して先端側GSに向けて延びる。この変位をΔa1とする(
図5参照)。一方、外筒30のうち、セラミックヒータ20を離間しつつ包囲している外筒突出部31及びこれに連なるヒータ離間部34とセラミックヒータ20との間にも、燃焼ガスが届くので、これらも熱膨張して先端側GSに向けて延びる。つまり、ヒータ離間部34のうち、保持部材40が溶接された位置W2から変位伝達部材51が溶接された位置W3までの部位34ka(後端側部34kの軸線方向HJの一部)も、熱膨張して先端側GSに延びる。この変位をΔa2とする。
【0049】
従って、燃焼ガスで保持部材40が先端側GSに向けて延びる(変位Δa1)のと同時に、ヒータ離間部34のうち保持部材40が溶接された位置W2から変位伝達部材51が溶接された位置W3までの部位34kaも先端側GSに向けて延びる(変位Δa2)ことで、保持部材40の延びによる外筒30及びセラミックヒータ20の変位が一部相殺され、変位Δa3=Δa1−Δa2となる。かくして、外筒30及びセラミックヒータ20の不要な変動(変位及び圧力上昇が小さく見える方向の変動)が、燃焼圧に応じたセラミックヒータ20の変位に付加され難くなるので、燃焼圧の検知精度を良好にできる。
【0050】
以上において、本発明を実施形態に即して説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることは言うまでもない。
例えば、実施形態では、外筒30のヒータ保持部35とセラミックヒータ20とを、圧入によって固定したが、これに限られない。例えば、外筒のヒータ保持部とセラミックヒータとを、ロウ付けによって固定してもよい。
【0051】
また、実施形態では、外筒30の外筒突出部31が内部のセラミックヒータ20を離間しつつ包囲する形態を例示したが、これに限られない。外筒突出部と内部のセラミックヒータが互いに接触しているのみで、外筒突出部が内部のセラミックヒータを保持していない形態としてもよい
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