(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6263407
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】熱処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/22 20060101AFI20180104BHJP
F27D 1/18 20060101ALI20180104BHJP
【FI】
H01L21/22 511Q
F27D1/18 J
F27D1/18 N
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-23743(P2014-23743)
(22)【出願日】2014年2月10日
(65)【公開番号】特開2015-153776(P2015-153776A)
(43)【公開日】2015年8月24日
【審査請求日】2017年1月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000167200
【氏名又は名称】光洋サーモシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】特許業務法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森本 篤史
(72)【発明者】
【氏名】小窪 正範
【審査官】
河合 俊英
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭63−201325(JP,U)
【文献】
実開昭57−024500(JP,U)
【文献】
実開昭57−130197(JP,U)
【文献】
特開平02−306619(JP,A)
【文献】
特開2001−185501(JP,A)
【文献】
特開平08−162421(JP,A)
【文献】
特開2000−260724(JP,A)
【文献】
特開2000−018212(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/22
F27D 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端が閉じられるとともに他端には開口が形成され、熱処理されるワークが前記開口を通して収容されるプロセスチューブと、当該プロセスチューブの開口を開閉する扉と、前記開口を開閉するように前記扉を動作させる開閉機構とを備え、
前記扉は、前記プロセスチューブ側に配置される内面部材、前記内面部材の外側に配置される断熱材、及び前記断熱材の外側に配置されて前記内面部材及び前記断熱材を保持する扉フレームを有し、
前記開閉機構は、扉傾斜調整部材を介して先端部に前記扉フレームを支持し、前記扉とともに前記プロセスチューブに接近する一方向とプロセスチューブから遠ざかる他方向に駆動される駆動アームと、前記駆動アームを駆動する駆動手段と、を有し、前記駆動手段の駆動力によって前記扉を駆動して前記プロセスチューブの開口を開放または閉鎖するように構成されており、
前記扉傾斜調整部材は、前記駆動アームの前記先端部に傾斜可能に支持されるとともに、前記扉フレームに取り付けられ、前記扉を傾斜調整可能に支持し、
前記駆動手段は、往復動するピストンロッドと、前記ピストンロッドを収納するシリンダチューブと、を含み、前記ピストンロッドが前記シリンダチューブに対して進出、後退したときに前記ピストンロッド及び前記シリンダチューブが前記駆動アームと共に揺動するように、前記ピストンロッド及び前記シリンダチューブはそれぞれ、それらの長手方向における異なる位置にて前記駆動アームに連結されている、熱処理装置。
【請求項2】
前記駆動アームが、前記プロセスチューブの開口を閉じる前記扉の面と略平行に延びるように設けられた、請求項1に記載の熱処理装置であって、
当該熱処理装置に対して固定された固定ブラケットの一端部には、前記駆動アームと第1リンクとが供回りするように、前記駆動アームの基端部と前記第1リンクの一端部とが回転可能に支持され、
前記固定ブラケットの他端部に前記シリンダチューブが回転可能に支持されるとともに、前記ピストンロッドの先端部に前記第1リンクの他端部が回転可能に連結され、
前記固定ブラケットは、前記一端部が前記他端部より前記プロセスチューブに近い位置となるように設けられる、請求項1に記載の熱処理装置。
【請求項3】
前記扉傾斜調整部材は、前記駆動アームの前記先端部に取り付けられたロッドエンド軸受と、前記ロッドエンド軸受により軸心が傾斜可能に支持される揺動軸と、を備え、前記揺動軸が前記扉フレームに取り付けられる、請求項1又は2に記載の熱処理装置。
【請求項4】
前記揺動軸の扉フレームに取り付けられた一端部に対する反対側の他端部には、角度調節ヘッドが設けられ、
前記角度調節ヘッドが貫通し、かつ前記角度調節ヘッドの傾斜を許容する大きさの開口が形成された角度調節ブロックが、前記駆動アームの前記先端部に取り付けられる、請求項3に記載の熱処理装置。
【請求項5】
前記扉フレーム及び前記駆動アームには、前記扉における前記プロセスチューブの開口を閉じる面の中心より偏心した位置に、前記扉の中心回りの回転を規制する扉回転規制部材が設けられる、請求項4に記載の熱処理装置。
【請求項6】
前記扉回転規制部材は、前記扉フレームまたは前記駆動アームのいずれか一方に設けられた回転規制ヘッドと、前記扉フレームまたは前記駆動アームの他方に設けられ、前記回転規制ヘッドが貫通するとともに、前記回転規制ヘッドの回転を一定範囲に規制する大きさの開口が形成された回転規制板と、を備える、請求項5に記載の熱処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、シリコン基板などのワークに対して熱処理を行うための熱処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池セルなどの製造プロセスでは、ワークであるシリコン基板(半導体ウエハ)の表面に不純物を拡散させる拡散処理等の熱処理が施される。この熱処理を行うための熱処理装置は、ワークを収容して熱処理を施すためのプロセスチューブ及びヒータを備えている。
【0003】
プロセスチューブは、例えば石英チューブであり、複数枚の半導体ウエハを互いに間に所定の間隙を設けて保持したボートを内部に収容する。ヒータは、プロセスチューブの外側を囲うように配置され、プロセスチューブの内部を所定の温度に加熱する。
【0004】
プロセスチューブの一端には、ボートが出し入れされる開口が形成されており、この開口を開閉する扉が設けられている。扉によって開口を閉鎖することにより、プロセスチューブの内部が密閉される(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
半導体ウエハの拡散処理時には、密閉されたプロセスチューブ内に例えばオキシ塩化リン(POCl
3)、三臭化ホウ素(BBr
3)などのガスが導入される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−185501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
扉は、内面が高温のプロセスチューブ内に露出する一方、外面が外気に晒されて冷却される。このため、扉の内面と外面との間の断熱が十分でないと、熱処理プロセス中にプロセスチューブの開口近傍が扉を介して冷却される。また、扉の内面とプロセスチューブの端面との密着性が十分でないと、両者の間隙からプロセスチューブ内に侵入する外気によってプロセスチューブの開口近傍が冷却される。半導体ウエハの拡散処理中にプロセスチューブの開口近傍が冷却されると、扉の内面やプロセスチューブの開口近傍にPOCl
3由来の五酸化二リン(P
2O
5)の析出を招く。また、プロセスチューブ内に侵入した外気に含まれる水蒸気とプロセスチューブ内のPOCl
3やP
2O
5との反応によって発生したリン酸水溶液が、扉を支持する金属製フレームに腐食を生じさせたり、プロセスチューブ内のワークを汚染する虞がある。
【0008】
この発明の目的は、扉の内面と外面との間を確実に断熱するとともに、扉の内面とプロセスチューブの端面との密閉性を高めることにより、フレームの腐食やワークの汚染の原因となる副生成物の発生を抑制できる熱処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明熱処理装置はプロセスチューブ、扉、開閉機構及び扉傾斜調整部材を備える。
【0010】
プロセスチューブは、筒状を呈し、一端が閉じられるとともに他端には開口(炉口)が形成されており、開口を通して熱処理されるワークが内部に収容される。扉はプロセスチューブの開口を開閉する。
【0011】
扉は、内面部材、断熱材及び扉フレームを有する。内面部材は、プロセスチューブ側に配置される。断熱材は、内面部材の外側に配置される。扉フレームは、断熱材の外側に配置されて内面部材及び断熱材を保持する。
【0012】
開閉機構は、駆動アーム及び駆動手段を有する。駆動アームは先端に扉フレームを支持する。扉アームは扉とともにプロセスチューブに接近する一方向とプロセスチューブから遠ざかる他方向に駆動される。駆動手段はその駆動力によって駆動アームを駆動し、扉を動作させてプロセスチューブの開口を開放または閉鎖するように構成される。
【0013】
扉傾斜調整部材は、扉を傾斜調整可能に支持する。扉駆動アームの先端に傾斜可能に支持されるとともに、扉フレームに取り付けられる。
【0014】
この構成によると、扉に断熱材が内蔵されるので、扉の内側と外側で温度差があっても、扉内面の内面部材の温度の低下が抑制される。これにより、プロセスチューブの炉口の近傍に拡散用ガス由来の副生成物が析出することが防止される。
【0015】
断熱材と内面部材とは、扉フレームに保持される構造である。したがって、扉が断熱材を備える構造であっても扉外面の扉フレームを駆動アームの先端に支持して回動自在にする開閉機構により、支障なく扉を開閉できる。
【0016】
また、駆動アームの先端に設けられて扉を傾斜可能に支持する扉傾斜調整部材により、プロセスチューブの炉口の形状に沿って扉内面の内面部材が追従する形で密閉性を高めることができる。これにより、プロセスチューブの炉口からの大気の侵入が防止され、大気と反応して生成する、扉を腐食させたり炉内を汚染させたりする原因となる副生成物の発生を防止することができる。
【0017】
扉傾斜調整部材は、前記駆動アームの先端に取り付けられたロッドエンド軸受と、該ロッドエンド軸受により軸心が傾斜可能に支持される揺動軸とを備える構成が挙げられる。なお、揺動軸は扉フレームに取り付けられる。
【0018】
扉傾斜調整部材は、さらに追加的に、次のような角度調整ヘッド及び角度調整ブロックを追加的に備えることもできる。角度調整ヘッドは、揺動軸における扉フレームに取り付けられた一端部に対する反対側の他端部に設けられる。角度調節ブロックには開口が形成される。この開口の大きさは、角度調節ヘッドが貫通し、かつ角度調節ヘッドの傾斜を許容する大きさに設定される。
【0019】
前記扉フレーム及び前記駆動アームには、扉におけるプロセスチューブの開口を閉じる面の中心より偏心した位置に、扉の中心回りの回転を規制する扉回転規制部材が設けられる。
【0020】
これによると、扉傾斜調整部材が簡素に実現される。一方で、揺動軸に取り付けられた角度調節ヘッドが、角度調節ブロックの開口内で揺動軸の軸回りに回転することが許容されることで、プロセスチューブの炉口と扉内面の内面部材との摺り合わせ状態が変更され、開閉を繰り返すことで密閉性が低下することが考えられる。
【0021】
そこで、扉フレームと駆動アームとに、扉の回転を規制する扉回転規制部材を設けることで、プロセスチューブの炉口と扉内面の内面部材との摺り合わせの再現性を保ち、密閉性の低下を防ぐことができる。扉は扉の中心の回りに回転するので、扉回転規制部材は前記扉におけるプロセスチューブの開口を閉じる面の中心より偏心した位置に設けることが望ましい。
【0022】
前記扉回転規制部材の構成は、次のような回転規制ヘッド及び回転規制板を備える構成が挙げられる。回転規制ヘッドは、扉フレームまたは駆動アームのいずれか一方に設けられ。回転規制板は、扉フレームまたは駆動アームの他方に設けられ、回動規制ヘッドが貫通するとともに、回転規制ヘッドの回転を一定範囲に規制する大きさの開口が形成される。
【0023】
前記駆動手段は次のようなシリンダ機構によって構成される。シリンダ機構は往復動するピストンロッドと、該ピストンロッドを収納するシリンダチューブとを備え、流体圧の供給を受けてピストンロッドがシリンダチューブに対して進出、後退して駆動力を生ずるものである。駆動アームの基端は前記ピストンロッドに連結され、駆動力が駆動アームに伝達される。
【0024】
駆動アームの回転を実現する構成は次のようになっている。駆動アームは、プロセスチューブの開口を閉じる扉の面と略平行に延びるように設けられる。駆動アーム基端部には、駆動アームと供回りする第1リンクが設けられる。固定ブラケットが熱処理装置に固定される。固定ブラケットの一端部に、駆動アームの基端部と第1リンクの一端部とが回転可能に支持される。固定ブラケットの他端部に、固定ブラケットの他端部にはシリンダチューブが回転可能に支持される。第1リンクの他端部は、互いに回転可能に前記ピストンロッドの先端部と連結される。固定ブラケットは、一端部が他端部よりプロセスチューブに近い位置となるように設けられる。
【発明の効果】
【0025】
この発明によれば、扉内面の内面部材の温度低下を抑制しながらプロセスチューブの炉口と扉内面の内面部材との密閉を保つことができる。これにより、プロセスチューブの炉口付近への拡散用ガス由来の副生成物の析出と炉口からの大気の侵入の両方が抑制され、扉の腐食や炉内汚染の原因物質の生成が防止され、メンテナンス周期を長くすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】この発明の実施形態に係る熱処理装置の要部を示す平面図である。
【
図2】扉及び駆動アームを示す一部破断平面図である。
【
図3】扉傾斜調整部材の構成を示す
図2の矢視III−III線断面図である。
【
図5】扉回転規制部材の構成を示す
図2の矢視V−V線断面図である。
【
図6】開閉機構、扉傾斜調整部材及び扉回転規制部材の構成を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、図面を参照して、この発明の実施の形態に係る熱処理装置を説明する。
【0028】
熱処理装置1は、一例として、この発明のプロセスチューブである石英チューブ2をその長手方向を水平に配置した横型炉として構成されており、
図1に示すように、ワークWが収容される拡散室3を形成した石英チューブ2の開口(炉口)2Aに扉10を、開閉機構20を用いて開閉可能に設けた基本構造を有する。ワークWは例えば、太陽電池セル用の矩形のシリコン基板である。ボート4は複数枚のワークWを垂直に等間隔に配列された状態に保持し、走行輪によって走行して炉口2Aを介して拡散室3にワークWを搬出入する。
【0029】
拡散室3には、
図1では省略された石英チューブ2の閉じられた一端側に設置される拡散用ガス気流導入装置(不図示。)を用いて拡散源(例えば、POCl
3)を含む拡散用ガスが導入される。
【0030】
拡散用ガス気流導入装置は、具体的には、ソースガスにより液体拡散源をバブリングさせ、液体拡散源の飽和蒸気を含むソースガスをキャリアガスに合流して拡散用ガス気流とし、この拡散用ガス気流を石英チューブ2の一端から導入するように構成される。
【0031】
石英チューブ2の炉口2Aの近傍周面には排気管5が接続される。ワークWの処理に供された拡散用ガスは排気管5から炉外に排気される。炉口2Aから拡散用ガスのガス漏れを防ぐために拡散室3は負圧になっている。
【0032】
石英チューブ2の外周には加熱装置が配置される。加熱装置は例えば、図示の如くヒータ7を備える構成が採用される。加熱装置の動作によって加熱された拡散室3に拡散用ガス導入装置から拡散源が導入されることで、ワークWに不純物(たとえば、リン)が拡散される処理が行われる。なお、加熱装置は、石英チューブ2とヒータ7との間に均熱管を備えることもできる。
【0033】
石英チューブ2の炉口2Aは開閉式の扉10で塞がれる。扉10は後述する開閉機構20によって回動して炉口2Aを開閉する。
【0034】
図2に示すように、扉10は石英板11、断熱材12及び扉フレーム13を備える。石英板11は石英で作製された円盤であり、この発明の内面部材に相当する。扉フレーム13は石英板及び断熱材を保持する。石英板11は扉10における内面側に存在し、扉10が閉じられたときに石英チューブ2の炉口2Aに押圧される。
【0035】
扉フレーム13は円盤部131と筒状部132が一体化された形状の部材である。扉フレーム13はステンレスなどの剛性を有する材料で形成される。円盤部131は扉10における外面側に存在する。筒状部132は、扉10の側面部を構成する。
【0036】
断熱材12は扉フレーム13の筒状部132とで囲まれた空間に充填される。断熱材12は扉フレーム13の円盤部131と石英板11とで挟まれ、扉フレーム13の筒状部132の外周面と石英板11の周囲部との周方向の複数箇所に取り付けられるストッパー14によって固定される。こうして、石英板11と断熱材12が扉フレーム13に組み付けられる。扉10において、断熱材12は石英板11の拡散室3(
図1参照。)と反対側に配置されることになる。
【0037】
次に開閉機構20の構成を説明する。開閉機構20は、駆動アーム21及び駆動手段23を備える。駆動アーム21は駆動手段23により、扉10とともに石英チューブ2に接近する一方向(
図1矢印R1方向参照。)と石英チューブ2から遠ざかる他方向(同図矢印R2方向参照。)に駆動される。このように駆動アーム21が駆動されることによって扉10を駆動して石英チューブ2の炉口2Aが開放または閉鎖される。
【0038】
本実施形態では、駆動手段23として、往復動するピストンロッド232と、ピストンロッド232を収納するシリンダチューブ231とを備え、流体圧の供給を受けてピストンロッド232がシリンダチューブ231に対して進出、後退して駆動力を伝達するシリンダ機構によって構成される。ここでは、シリンダ機構としてエアシリンダを用いている。
【0039】
駆動アーム21は、石英チューブ2の炉口Aを閉じる扉10の面と略平行に延びるように設けられる。
【0040】
駆動アーム21の基端は第1リンク26及び第2リンク28を介してピストンロッド232の先端に連結される。
【0041】
石英チューブ2の炉口2Aの脇に、固定ブラケット(固定具)27が熱処理装置に対して固定される。固定ブラケット27の長手方向は石英チューブ2の軸方向に直交する方向に規定される。固定ブラケット27は、一端部が他端部より石英チューブ2に近い位置となるように設けられる。その固定ブラケット27の長手方向の一端部及び他端部にそれぞれ第1回動軸24及び第2回動軸25が設けられる。
【0042】
第1回動軸24は固定ブラケット27に固定される円柱状の支柱241と、支柱241の周囲に回転自在に配設された円筒状のスリーブ242と、から構成される。固定ブラケット27の一端部には、駆動アーム21と第1リンク26とが供回りするように第1回動軸24によって駆動アーム21の基端部と第1リンク26の一端部とが回転可能に支持される。
【0043】
第1リンク26の他端部は、互いに回転可能にピストンロッド232の先端部と連結される。第1リンク26の他端部とピストンロッド232の先端部とは、第1リンク26に対して回転可能な第2リンク28を介して連結される。
【0044】
第2回動軸25は固定ブラケット27にピンを凸設し、ピンが嵌合する穴をシリンダチューブ231に設けるなど、単純な凹凸嵌合で実現出来る。固定ブラケット27の他端部には、シリンダチューブ231が第2回動軸25によって回転可能に支持される。
【0045】
駆動手段23は駆動アーム21の回動を自動化する装置である。そして、駆動手段23に関して、ピストンロッド232がシリンダチューブ231より進出すると、駆動アーム21が石英チューブ2の炉口2Aに近づくように回転し、扉10が閉じるように回動する。そして、扉10が炉口2Aに押圧され、石英チューブ2内が密閉される。
【0046】
一方、ピストンロッド232がシリンダチューブ231に対して後退すると、駆動アーム21が石英チューブ2の炉口2Aから遠ざかるように回転し、扉10が開くように回動する。なお、ピストンロッド232がシリンダチューブ231に対して後退すると、駆動アーム21が石英チューブ2の炉口2Aから遠ざかるように回転し、扉10が開くように回動する。なお、駆動手段23を特に図示しないコントローラにより制御するようにすると、駆動アーム21の駆動を自動制御することができる。
【0047】
扉フレーム13は、駆動アーム21の先端に配設される扉傾斜調整部材30によって傾斜(揺動)自在に支持される。
【0048】
具体的には、扉傾斜調整部材30は、
図3に示すように、ロッドエンド軸受31及び揺動軸32を備える。ロッドエンド軸受31は駆動アーム21の先端に取り付けられる。揺動軸32は、ロッドエンド軸受31により軸心が傾斜可能に支持される。揺動軸32は、扉フレーム13の中心に金具321を用いて固定される。金具321で扉フレーム13に固定された揺動軸32は、駆動アーム21の先端上面に取り付けられたロッドエンド軸受31の球面内輪311に挿通される。
【0049】
ロッドエンド軸受31は、公知のロッドエンド軸受(特開2003−247540号公報、実開平2−78808号公報。)を用いて構成することができ、内側に形成された球面状の取付孔に、球面内輪311が揺動可能に保持されている。揺動軸32は、球面内輪311とともに傾斜可能に保持される。
【0050】
揺動軸32の扉フレーム13に取り付けられた一端部に対する反対側の他端部には、角度調節ヘッド33が設けられる。駆動アーム21の先端には角度調節ブロック34が取り付けられる。角度調節ブロック34には角度調節ヘッド33が貫通される開口34Aが形成される。開口34Aの大きさは、角度調節ヘッド33の傾斜を許容する大きさに設定される。
【0051】
以上の扉傾斜調整部材30の構成によって、
図4に示すように、扉10は駆動アーム21に対して傾斜自在に支持される。扉10の傾斜角度の最大αは角度調節ヘッド33の外径と角度調節ブロックの開口34Aの内径との相対関係によって規制(調節)される。
【0052】
さらに、扉フレーム13及び駆動アーム21には、扉10の中心回りの回転を規制する扉回転規制部材40が設けられる。
図6に示すように、扉回転規制部材40は扉10における石英チューブ2の炉口2Aを閉じる面の中心から偏位した位置に設けられて、扉10の回転を規制するものである。
【0053】
本実施形態では、扉回転規制部材40は、
図5に示すように、回転規制ヘッド42及び回転規制板41を備える。回転規制ヘッド42は駆動アーム21に固定される。回転規制板41は扉フレーム13に固定される。なお、これとは逆に、回転規制ヘッド42が扉フレーム13に固定され、回転規制板41が駆動アーム21に固定される構成を採用することも可能である。
【0054】
回転規制板41は、例えば、短冊状の板金をその長手方向の2箇所で略Z字状に曲げ加工して作製される。回転規制ヘッド42は駆動アーム21における扉10と反対側に垂直に固定される支持ブロック43に、扉10の方へ突出するように取付けられる。
【0055】
回転規制板41は、互いに平行になる両端片411,412の一方411を用いて扉フレーム13の円盤部131にビス止めなどで固定される。回転規制板41の他方の端片412に形成された開口41Aに回転規制ヘッド42が貫通される。開口41Aの大きさは、回転規制ヘッド42の回転を一定範囲に規制する大きさに設定される。具体的には、扉10の傾斜角度が前記角度αの範囲で変更可能に回転規制ヘッド42が開口41Aに挿通するように、回転規制ヘッド42と開口41Aとが調整される。
【0056】
以上の扉回転規制部材40の構成により、揺動軸32回りの扉10の回転が規制される。これにより、石英チューブ2の炉口2Aと扉内面の石英板11との摺り合わせの再現性を保つことができる 本発明によると、扉10に断熱材12が内蔵されるので、扉10の内側と外側に温度差があっても、扉内面の石英板11の温度低下が抑制される。これにより、石英チューブ2の炉口2Aの近傍に拡散用ガス由来の副生成物が析出することが防止される。
【0057】
扉10は、扉フレーム13と石英板11との間に断熱材が挟まれる構造である。したがって、扉10が断熱材12を備える構造であっても扉外面の扉フレーム13を駆動アーム21で支持して回動自在にする開閉機構20によって、支障なく扉10を開閉できる。
【0058】
また、駆動アーム21が駆動手段23により石英チューブ2の炉口2A側へ付勢されており、この駆動アーム21の先端に設けられる扉傾斜調整部材30によって扉フレーム13が支持されていることで、石英チューブ2の炉口2Aの形状に沿って扉内面の石英板11が追従する形で両者の密閉性を高めることができる。これにより、石英チューブ2の炉口2Aからの大気の侵入が防止され、大気との反応による副生成物の発生を防止することができ、扉の腐食や炉内の汚染を防ぐことができる。
【0059】
上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、この発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0060】
W…ワーク
1…熱処理装置
2…石英チューブ(プロセスチューブ)
2A…炉口
3…拡散室
4…ボート
5…排気管
6…均熱管
7…ヒータ
10…扉
11…石英板(内面部材)
12…断熱材
13…扉フレーム
14…ストッパー
20…開閉機構
21…駆動アーム
23…駆動手段
26…第1リンク
27…固定ブラケット
28…第2リンク
30…扉傾斜調整部材
31…ロッドエンド軸受
32…揺動軸
33…角度調節ヘッド
34…角度調節ブロック
40…扉回転規制部材
41…回転規制板
42…回転規制ヘッド
43…支持ブロック