特許第6263412号(P6263412)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6263412
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】換気システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/007 20060101AFI20180104BHJP
【FI】
   F24F7/007 B
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-31113(P2014-31113)
(22)【出願日】2014年2月20日
(65)【公開番号】特開2015-155779(P2015-155779A)
(43)【公開日】2015年8月27日
【審査請求日】2016年11月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】504093467
【氏名又は名称】トヨタホーム株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】山下 真司
【審査官】 河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2012/0016546(US,A1)
【文献】 国際公開第2013/140536(WO,A1)
【文献】 特開2006−038364(JP,A)
【文献】 特開2005−048996(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/076835(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0080424(US,A1)
【文献】 米国特許第06215407(US,B1)
【文献】 特開2009−138352(JP,A)
【文献】 特開2012−233408(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/007
F24F 7/06
E04H 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の駆動力で発電する発電手段が置かれる空間に設けられた換気手段と、
前記発電手段から建物に供給される電流を検知する電流検知手段と、
前記空間内の炭化水素の濃度を検知する炭化水素検知手段と、
前記電流検知手段が前記発電手段から前記建物に供給される電流を検知し、かつ前記炭化水素検知手段が検知した前記空間内の炭化水素の濃度が所定の値以上の場合に前記換気手段を作動させる制御手段と、
を備えた換気システム。
【請求項2】
内燃機関の駆動力で発電する発電手段が置かれる空間に設けられた換気手段と、
前記発電手段から建物へ電力を供給するためのケーブルが接続されたときにオンとなる接続検知手段と、
前記空間内の炭化水素の濃度を検知する炭化水素検知手段と、
前記接続検知手段がオンになり、かつ前記炭化水素検知手段が検知した前記空間内の炭化水素の濃度が所定の値以上の場合に前記換気手段を作動させる制御手段と、
を備えた換気システム。
【請求項3】
換気手段操作スイッチをさらに備え、
前記制御手段は、前記換気手段操作スイッチがオンになった場合は前記換気手段を作動させ、
前記換気手段操作スイッチがオフになった場合は、前記炭化水素検知手段が検知した前記空間内の炭化水素の濃度が前記所定の値未満であれば前記換気手段を停止し、前記炭化水素検知手段が検知した前記空間内の炭化水素の濃度が前記所定の値以上であれば該炭化水素の濃度が前記所定の値未満になるまで前記換気手段の作動を継続する請求項又はに記載の換気システム。
【請求項4】
換気手段操作スイッチと、
前記発電手段から建物へ電力を供給するためのケーブルが接続されたときにオンとなる接続検知手段と、をさらに備え、
前記電流検知手段が前記発電手段から前記建物に供給される電流を検知した場合又は前記接続検知手段がオンになっている場合には、前記制御手段は前記換気手段操作スイッチがオフ操作されても前記換気手段の作動を継続する請求項に記載の換気システム。
【請求項5】
換気手段操作スイッチと、
前記発電手段から建物に供給される電流を検知する電流検知手段と、をさらに備え、
前記電流検知手段が前記発電手段から前記建物に供給される電流を検知した場合又は前記接続検知手段がオンになっている場合には、前記制御手段は前記換気手段操作スイッチがオフ操作されても前記換気手段の作動を継続する請求項に記載の換気システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、換気システムに関する。
【背景技術】
【0002】
HV(Hybrid Vehicle)又はPHV(Plug-in Hybrid Vehicle)等のように、エンジンの駆動力で車載のモータを回転させて当該モータを発電機として使用し、発電した電力を建物へ供給可能な車両がある。HV又はPHV等の車両は、建物の近傍又は建物に隣接して設けられたガレージでエンジンを駆動して発電することが少なくない。
【0003】
ガレージは、車両及び車両と建物とを電気的に接続する電気系統を風雨から保護するために、閉鎖的な空間を構成するが、かかる閉鎖的な空間では、車両のエンジンを駆動した場合の排気ガスの換気が問題となる。特許文献1では、ガレージ内の車両のエンジン始動に関連付けて換気装置を作動させるガレージが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−138352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、例えば、リモコンによる車両のエンジン始動要求を受信して換気装置を作動させているが、リモコンの信号を受信し、受信した信号に基づいて換気装置を制御する構成が複雑であるという問題があった。また、換気装置が作動するきっかけが車両専用のリモコンからの信号なので、当該車両以外の発電装置には対応しておらず、当該車両以外の発電装置を使用した場合には、ガレージ内の換気がなされないという問題があった。
【0006】
特許文献1とは別に、車両のエンジンから排出される一酸化炭素(CO)をセンサで探知し、ガレージ内のCOの濃度が一定水準以上となった場合に換気装置を作動させる技術もある。しかしながら、COを検知するCOセンサは一般に高価であり、換気装置のシステムに組み込むと、排気装置のシステムのコストが高くなるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記事実を考慮して成されたもので、内燃機関を用いた発電装置の排気ガスを効果的に排出できる換気システムを簡易かつ安価な構成で提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための請求項1の発明は、内燃機関の駆動力で発電する発電手段が置かれる空間に設けられた換気手段と、前記発電手段から建物に供給される電流を検知する電流検知手段と、前記空間内の炭化水素の濃度を検知する炭化水素検知手段と、前記電流検知手段が前記発電手段から前記建物に供給される電流を検知し、かつ前記炭化水素検知手段が検知した前記空間内の炭化水素の濃度が所定の値以上の場合に前記換気手段を作動させる制御手段と、を備える。
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、発電手段が発電を開始したことを検知し、かつ空間内の炭化水素の濃度が所定の値以上となった場合に、換気手段を作動させることができる。
【0012】
上記課題を解決するための請求項の発明は、内燃機関の駆動力で発電する発電手段が置かれる空間に設けられた換気手段と、前記発電手段から建物へ電力を供給するためのケーブルが接続されたときにオンとなる接続検知手段と、前記空間内の炭化水素の濃度を検知する炭化水素検知手段と、前記接続検知手段がオンになり、かつ前記炭化水素検知手段が検知した前記空間内の炭化水素の濃度が所定の値以上の場合に前記換気手段を作動させる制御手段と、を備える。
【0013】
請求項に記載の発明によれば、発電手段と建物とが電気的に接続されたことを検知し、かつ空間内の炭化水素の濃度が所定の値以上となった場合に、換気手段を作動させることができる。
【0014】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、換気手段操作スイッチをさらに備え、前記制御手段は、前記換気手段操作スイッチがオンになった場合は前記換気手段を作動させ、前記換気手段操作スイッチがオフになった場合は、前記炭化水素検知手段が検知した前記空間内の炭化水素の濃度が前記所定の値未満であれば前記換気手段を停止し、前記炭化水素検知手段が検知した前記空間内の炭化水素の濃度が前記所定の値以上であれば該炭化水素の濃度が前記所定の値未満になるまで前記換気手段の作動を継続する。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、換気手段操作スイッチによる換気手段の作動開始及び作動停止の操作が可能となる。また、換気手段操作スイッチによって換気手段の作動を停止させる操作がなされた場合であっても、空間内の炭化水素の濃度が所定の値以上の場合には、換気手段の作動を継続する。
【0016】
請求項4の発明は、請求項1に記載の発明において、換気手段操作スイッチと、前記発電手段から建物へ電力を供給するためのケーブルが接続されたときにオンとなる接続検知手段と、をさらに備え、前記電流検知手段が前記発電手段から前記建物に供給される電流を検知した場合又は前記接続検知手段がオンになっている場合には、前記制御手段は前記換気手段操作スイッチがオフ操作されても前記換気手段の作動を継続する。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、発電手段が発電中は換気手段の作動を継続することができる。
【0018】
請求項5の発明は、請求項2に記載の発明において、換気手段操作スイッチと、前記発電手段から建物に供給される電流を検知する電流検知手段と、をさらに備え、前記電流検知手段が前記発電手段から前記建物に供給される電流を検知した場合又は前記接続検知手段がオンになっている場合には、前記制御手段は前記換気手段操作スイッチがオフ操作されても前記換気手段の作動を継続する。
【0019】
請求項に記載の発明によれば、発電手段が発電中は換気手段の作動を継続することができる。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、請求項1に記載の発明は、発電手段からの電流を検知する電流検知手段と、一酸化炭素を検知する検知手段よりも安価な炭化水素検知手段と、を用いる簡易かつ安価な構成である。したがって、内燃機関を用いた発電装置の排気ガスを効果的に排出できる換気システムを簡易かつ安価な構成で提供できるという効果を有する。
【0022】
請求項に記載の発明は、発電手段と建物との接続を検知する接続検知手段を用いる簡易かつ安価な構成である。したがって、内燃機関を用いた発電装置の排気ガスを効果的に排出できる換気システムを簡易かつ安価な構成で提供できるという効果を有する。
【0023】
請求項3に記載の発明によれば、換気手段を停止させるスイッチが操作されても、空間内の炭化水素の濃度が所定の値未満となるまで換気手段の作動を継続するので、発電装置の排気ガスを効果的に排出できるという効果を有する。
【0024】
請求項4に記載の発明によれば、発電手段が発電を開始したことを検知した場合は、換気手段を停止させるスイッチが操作されても、換気手段の作動を継続することができる。
【0025】
請求項に記載の発明によれば、発電手段が発電を開始したことを検知した場合は、換気手段を停止させるスイッチが操作されても、換気手段の作動を継続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る換気システムの一例を示す概略図である。
図2】車両又は発電装置に搭載されているガソリンエンジンにおける空燃比と排気ガスの各成分の濃度との関係の一例を示す図である。
図3】本発明の第1の実施の形態に係る換気システムの制御の一例を示すフローチャートである。
図4】本発明の第1の実施の形態の変形例に係る換気システムを示す概略図である。
図5】本発明の第2の実施の形態に係る換気システムの一例を示す概略図である。
図6】本発明の第2の実施の形態の変形例に係る換気システムを示す概略図である。
図7】本発明の第2の実施の形態のもう一つの変形例に係る換気システムを示す概略図である。
図8】本発明の第2の実施の形態に係る換気システムの制御の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
[第1の実施の形態]
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係る換気システム40の一例を示す概略図である。
【0028】
図1に示したように、本実施の形態では、系統電力12からの電力が、建物10の分電盤14に供給されている。分電盤14は、複数の分岐回路20を有し、系統電力12から供給された電力を複数の分岐回路20によって建物10の各所に分配する。図1では、複数存在する分岐回路20のうちの1系統が、切替開閉器22を介して、建物10内の照明24及びコンセント26等に供給されている。
【0029】
切替開閉器22は、照明24等の建物10内の電力負荷手段に供給する電力を、分電盤14を介した系統電力12とガレージ60にある発電装置が発電した電力とから択一的に選択するスイッチである。切替開閉器22のガレージ60側には、発電装置から建物10に供給される電力を検知する電流センサ28が設けられている。なお、車両62等の発電装置は、切替開閉器22に電気的に接続されている外部給電用インレット34へ、外部給電用ケーブル32を介して電気的に接続される。
【0030】
本実施の形態では、切替開閉器22、照明24等の電力負荷手段、コンセント26、電流センサ28、外部給電用ケーブル32及び外部給電用インレット34とで、非常時に電力を建物10に供給するための非常時給電システム30を構成する。
【0031】
換気システム40は、ガレージ60内の換気をする換気扇42と、換気扇42をオン又はオフにする制御をする制御回路44と、制御回路44の制御に従って切替開閉器22を介して供給された電力をオン又はオフにするリレースイッチ46とを含んでいる。また、制御回路44には、前述の電流センサ28が接続されると共に、ガレージ内の炭化水素(HC)を検知するHCセンサ48及び換気扇42を作動させるための換気扇駆動選択スイッチ50が接続されている。
【0032】
HCセンサ48は、例えば、通電している白金線に炭化水素の分子が接触して、白金線を構成する白金の触媒作用により当該炭化水素の分子が酸化した際の熱による白金線の電気抵抗値の変化に基づいて炭化水素の検知をするセンサである。本実施の形態では、一酸化炭素を検知するCOセンサではなく、より安価なHCセンサを採用し、制御回路44は、HCセンサが出力した信号に基づいて、換気扇42の作動の要否を判定する。
【0033】
図2は、車両又は発電装置に搭載されているガソリンエンジンでの空燃比と排気ガスの各成分の濃度との関係の一例を示す図である。図2では、理論空燃比である14.7よりもガソリン成分が薄くなるほど一酸化炭素の濃度を示すCOの値は低下するのに対し、炭化水素の濃度を示すHCの値は空燃比16.0近傍を境に増加に転じる点で、COとHCとでは増減傾向が異なる。しかしながら、混合気のガソリン成分が理論空燃比よりも濃い場合には各々の増減傾向が一致し、理論空燃比よりもガソリン成分が濃くなるに従ってCO及びHCの値は急激に増加する。
【0034】
本実施の形態では、一例として、ガレージ60内の炭化水素の濃度が図2における理論空燃比での濃度である10ppmを超えた場合に換気扇42を作動させる。
【0035】
換気扇駆動選択スイッチ50は、オンになると、換気扇42を作動させる指令を制御回路44に出力する。制御回路44は、換気扇駆動選択スイッチ50がオンになった場合は換気扇42を作動させる。また、制御回路44は、換気扇駆動選択スイッチ50がオフになった場合は、HCセンサ48が検知したガレージ60内の炭化水素の濃度が所定の値未満であれば換気扇42を停止する。また、制御手段44は、HCセンサ48が検知したガレージ60内の炭化水素の濃度が所定の値以上であれば当該炭化水素の濃度が所定の値未満になるまで換気扇42の作動を継続する
【0036】
ガレージ60内にある車両62は、発電した電力を建物10に供給できる、発電装置として使用可能なHV又はPHV等である。車両62は、エンジン64の駆動力でモータ66を回転させて発電する。発電による電力は、ECU(Electronic Control Unit)68に制御された分配器70を介して、車載蓄電池72に蓄えられるか、外部給電用ターミナル74と外部給電用ケーブル32と外部給電用インレット34と切替開閉器22とを介して建物10に供給される。分配器70にはインバータ等の変換手段があり、モータ66が発電した電力を車載蓄電池72の充電に適した電圧の直流に変換する。また、分配器70は、外部給電用ターミナル74を介して建物10に電力を供給する場合には、モータ66が発電した電力を、例えば、100Vで50Hzの交流に変換する。
【0037】
図3 本実施の形態に係る換気システムの制御の一例を示すフローチャートである。ステップ200では、電流センサ28が発電装置から供給される電力の電流を検知して給電検出信号を出力しているか否かの監視を開始する。ステップ202では、給電検出信号の有無を判定し、否定判定の場合には常時制御に移行し、ステップ204で換気扇駆動選択スイッチ50がオンになったことを示す換気設備駆動信号の有無を判定し、肯定判定の場合には、換気扇42を作動させる。ステップ204で否定判定の場合には、ステップ208を経て処理を終了する。
【0038】
ステップ202で肯定判定の場合には、非常時制御に移行し、ステップ210でHCセンサ48の信号を監視する。ステップ212では、HCセンサ48が出力した信号が示す炭化水素の濃度が一定の値以上か否かを判定する。かかる一定の値は、例えば、前述のように10ppmとする。
【0039】
ステップ212で肯定判定の場合には、ステップ214で換気扇42を作動させる。このときに、ステップ212で検知した炭化水素の濃度が特に高かった場合、例えば、一定の値である10ppmの2倍である20ppmを超えたような場合は、換気扇42をより高速で作動させてもよい。
【0040】
ステップ216では、HCセンサ48が出力した信号が示す炭化水素の濃度が一定の値以上か否かを判定し、肯定判定の場合には手順をステップ218に移行させ、否定判定の場合には、HCセンサ48が出力した信号が示す炭化水素の濃度が一定の値未満となるまで換気扇42の作動を継続する。
【0041】
ステップ218では、換気扇駆動選択スイッチ50がオンになったことを示す換気設備駆動信号の有無を判定し、肯定判定の場合には、換気扇42の作動を継続する。ステップ218で否定判定の場合には、ステップ208で換気扇42を停止して処理を終了する。
【0042】
以上説明したように、本実施の形態は、電流センサ28がガレージ60内の車両62等の発電装置から電力が供給されているか否かを検知し、さらにHCセンサ48が検知した炭化水素濃度が一定の値を超えた場合に換気扇を作動させる簡素な構成である。また、電流センサ28及びHCセンサ48は、COセンサに比して廉価なので、本実施の形態に係る換気システム40はCOセンサを使用したシステムよりも低コストで構築できる。その結果、本実施の形態によれば、内燃機関を用いた発電装置の排気ガスを効果的に排出できる換気システムを簡易かつ安価な構成で提供することが可能になる。
【0043】
なお、本実施の形態では、車両62を発電装置とし、車両62が置かれたガレージ60に本実施の形態に係る換気システム40を設置したが、本実施の形態において、発電装置は車両62に、設置場所はガレージ60に各々限定されない。発電装置は排気ガスを排出する内燃機関を用いたものであって、当該内燃機関を用いた発電装置が設置される空間であれば本実施の形態に係る排気システムは設置可能である。
【0044】
次に、図4を用いて、第1の実施の形態の変形例を説明する。図4は、本発明の第1の実施の形態の変形例に係る換気システム140を示す概略図である。建物100に設けられた換気システム140は、電流センサ28に代えて、外部給電用インレット134に外部給電用ケーブル32が接続されるとオンになる外部給電接続検出スイッチ136が設けられている。給電用インレット134に外部給電接続検出スイッチ136が設けられたことで、非常時給電システム130及び換気システム140の構成が第1の実施の形態と相違するが、その他の構成については第1の実施の形態と同様である。これ第1の実施の形態と同一の構成については、第1の実施の形態と同一の符号を付して、詳細な説明は省略する。
【0045】
外部給電接続検出スイッチ136は、押下されるとオンになるスイッチであって、図4で、外部給電用ケーブル32が外部給電用インレット134に接続されると、外部給電用ケーブル32のコネクタで押されてオンになる。制御回路44は、図3のフローチャートのステップ200,202,218の各々において、電流センサ28からの給電検出信号に代えて、外部給電接続検出スイッチ136からの接続検出信号に基づいて換気扇42の作動の制御を行う。コネクタが接続されてオンになるスイッチを用いることで、車両62等の発電装置が接続されたことを確実に検出できる。
【0046】
[第2の実施の形態]
続いて、本発明の第2の実施の形態について説明する。図5は、本実施の形態に係る換気システム240の一例を示す概略図である。本実施の形態に係る換気システム240は、図1に示した第1の実施の形態に係る換気システム40から、HCセンサ48を省略したものである。HCセンサ48を有しない点以外は、本実施の形態に係る換気システム240の構成は、第1の実施の形態に係る換気システムと同様であり、各構成には同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0047】
ただし、制御回路44は、換気扇駆動選択スイッチ50がオン操作された場合又は電流センサ28が、発電装置である車両62からの給電を検知した場合に、リレースイッチ46をオンにして換気扇42を作動させる。また、制御回路44は、電流センサ28が、車両62からの給電を検知している間は、換気扇駆動選択スイッチ50の操作にかかわらずリレースイッチ46をオンにして換気扇42の作動を継続する。
【0048】
図6は、本発明の第2の実施の形態の変形例に係る換気システム340を示す概略図である。第2の実施の形態の変形例に係る換気システム340は、電流センサ28が検知した信号を増幅器340によって増幅し、増幅した信号によってリレー346をオンにして換気扇42を作動させる。電流センサ28が、発電装置である車両62からの給電を検知している間は、リレースイッチ46をオンにして換気扇42の作動を継続することができる。
【0049】
図7は、本発明の第2の実施の形態のもう一つの変形例に係る換気システム440を示す概略図である。換気システム440は、図4に示した換気システム140から、HCセンサ48を省略したものである。HCセンサ48を有しない点以外は、換気システ440の構成は、図4の換気システム140と同様であり、各構成には同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0050】
第2の実施の形態のもう一つの変形例に係る換気システム440は、外部給電用ケーブル32が外部給電用インレット134に接続されると、外部給電用ケーブル32のコネクタで押されて外部給電接続検出スイッチ136がオンになる。制御回路444は、外部給電接続検出スイッチ136がオンになった場合にリレースイッチ46をオンにして換気扇42を作動させる。また、制御回路444は、外部給電接続検出スイッチ136がオンになっている間は、換気扇駆動選択スイッチ50の操作にかかわらずリレースイッチ46をオンにして換気扇42の作動を継続する。
【0051】
図8は、本発明の第2の実施の形態に係る換気システムの制御の一例を示すフローチャートである。ステップ800では、電流センサ28からの給電検出信号又は外部給電接続検出スイッチ136がオンになったことを示す接続検出信号の有無を判定する。ステップ800で否定判定の場合には、ステップ802で換気扇駆動選択スイッチ50がオンになったことを示す換気設備駆動信号の有無を判定し、肯定判定の場合には、ステップ804で換気扇42を作動させる。ステップ800で否定判定の場合も、ステップ804で換気扇42を作動させる。ステップ802で否定判定の場合には、換気扇42を停止して処理を終了する。
【0052】
ステップ806では、電流センサ28からの給電検出信号又は外部給電接続検出スイッチ136がオンになったことを示す接続検出信号の有無を判定する。ステップ806で否定判定の場合には、ステップ808で換気扇駆動選択スイッチ50がオンになったことを示す換気設備駆動信号の有無を判定し、否定判定の場合には、換気扇42を停止して処理を終了する。また、ステップ806又はステップ808で肯定判定の場合には、換気扇42の作動を継続する。
【符号の説明】
【0053】
10 建物
12 系統電力
14 分電盤
20 分岐回路
22 切替開閉器
28 電流センサ
30 非常時給電システム
32 外部給電用ケーブル
34 外部給電用インレット
40 換気システム
42 換気扇
44 制御回路
46 リレースイッチ
48 HCセンサ
50 換気扇駆動選択スイッチ
60 ガレージ
62 車両
100 建物
130 非常時給電システム
134 外部給電用インレット
134 給電用インレット
136 外部給電接続検出スイッチ
140 換気システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8