(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
水平面内における第1方向に移動し、かつ、車両の前後方向または左右方向を水平面内における前記第1方向と交差する第2方向に一致させるようにして前記車両を載置することができる搬送台車を配置するステップと、
前記搬送台車の、前記第2方向における一方の端部の近傍に位置して前記搬送台車を前記第1方向に移動させる第1車輪と、前記第2方向における他方の端部の近傍に位置して前記搬送台車を前記第1方向に移動させる第2車輪と、を駆動するステップと、
前記搬送台車の、前記第2方向における一方の端部の近傍に位置して前記第1車輪の走行路に設けられた第1ドグを検出する第1位置センサと、前記第2方向における他方の端部の近傍に位置して前記第2車輪の走行路に設けられた第2ドグを検出する第2位置センサと、による検知を可能とするステップと、
前記搬送台車を前記車両の載置領域に対応する位置に停止させる際に、前記第1車輪と前記第2車輪とを独立に駆動することにより、前記載置領域の中心軸と前記第2方向とが平行となるように前記搬送台車を停止させるステップと、
を備え、
前記第1車輪と前記第2車輪とを駆動して前記搬送台車を前記載置領域に向けて第1速度で駆動し、
前記第1位置センサ及び前記第2位置センサのいずれか一方を先に検知したことにより、前記第1車輪と前記第2車輪とを前記第1速度よりも小さい所定の第2速度に減速して前記載置領域へ向けて駆動し、
前記搬送台車を停止させるステップは、前記第1位置センサが前記第1ドグに対応する位置となるように前記第1車輪を駆動し、かつ、前記第2位置センサが前記第2ドグに対応する位置となるように前記第2車輪を駆動することで、前記載置領域の中心軸と前記第2方向とが平行となるように前記搬送台車を停止させるステップである、
駐車システムにおける搬送台車の停止方法。
水平面内における第1方向に移動し、かつ、車両の前後方向または左右方向を水平面内における前記第1方向と交差する第2方向に一致させるようにして前記車両を載置することができる搬送台車を配置するステップと、
前記搬送台車の、前記第2方向における一方の端部の近傍に位置して前記搬送台車を前記第1方向に移動させる第1車輪と、前記第2方向における他方の端部の近傍に位置して前記搬送台車を前記第1方向に移動させる第2車輪と、を駆動するステップと、
前記搬送台車の、前記第2方向における一方の端部の近傍に位置して前記第1車輪の走行路に設けられた第1ドグを検出する第1位置センサと、前記第2方向における他方の端部の近傍に位置して前記第2車輪の走行路に設けられた第2ドグを検出する第2位置センサと、による検知を可能とするステップと、
前記搬送台車を前記車両の載置領域に対応する位置に停止させる際に、前記第1車輪と前記第2車輪とを独立に駆動することにより、前記載置領域の中心軸と前記第2方向とが平行となるように前記搬送台車を停止させるステップと、
を備え、
前記第1車輪と前記第2車輪とを駆動して前記搬送台車を前記載置領域に向けて第1速度で駆動し、
前記第1位置センサ又は前記第2位置センサのいずれかの検知により、検知した側の車輪は前記第1速度よりも小さい所定の第2速度に減速して前記載置領域へ向けて駆動し、
前記第1位置センサによる前記第1ドグの検知又は前記第2位置センサによる前記第2ドグのいずれかの検知により、検知した側の車輪は停止し、検知していない側の車輪の駆動は継続し、
前記第1位置センサによる前記第1ドグの検知及び前記第2位置センサによる前記第2ドグの検知の両方の検知によって前記搬送台車を停止させる、
駐車システムにおける搬送台車の停止方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明者らは、駐車システムにおいて、搬送台車と載置領域(車両を格納しておく領域)との間で車両を搬出入する搬出入装置を搬送台車上に備える構成に着目し、その具体的な実施方法を鋭意検討した。その結果、以下の知見を得た。
【0012】
かかる搬出入装置を備えた駐車システムでは、例えば、パレットレス型駐車システムの場合、車両の搬出入を安全かつ確実に行うために、搬送台車上および載置領域上での車両の位置決め精度を高くする必要がある。位置決め精度を高くする方法として、第一に、搬送台車の走行路の直線性を高くする等、高精度に施工することが考えられる。しかしながら、走行路の施工精度を高くすることは現実には困難であり、施工コストを増加させる。よって、車両の位置決め精度を高くしながらも、搬送台車の走行路について要求される施工精度を低く抑えること、すなわち施工上の余裕度を向上する必要がある。
【0013】
パレット型駐車システムの場合でも、例えば、パレットをガイドするレール等に余分な負荷がかからないようにするために、原則、搬送台車の走行路を高精度に施工することが必要となる。しかしながら、走行路の施工精度を高くすることはやはり困難であり、施工コストを増加させる。よって、パレット型駐車システムにおいても、例えば、パレットをガイドするレール等に余分な負荷がかからないようにしつつ、搬送台車の走行路について要求される施工精度を低く抑えること、すなわち施工上の余裕度を向上する必要がある。
【0014】
かかる課題を解決すべく、更に詳細な検討が加えられた結果、本発明者らは、走行路の施工精度が不十分な場合に問題が生じる原因が、搬送台車と載置領域とがなす角度のばらつきにあることを突き止めた。
【0015】
例えば、パレットレス型駐車システムにおいて、搬送台車の走行方向と、載置領域の中心軸(載置領域の中心を通り、車両Vの搬出入方向に延びる仮想の軸線)とが直交する構成を考える。この場合に、走行路の施工精度が不十分で走行路の直線性が低いと、搬送台車が目標となる載置領域に対応する位置で停止しても搬送台車の左右の車輪の位置がずれ、搬送台車と載置領域とが正対しない場合がある。このとき、搬送台車の左右軸と載置領域の中心軸とは平行とならない。そのまま搬送台車と載置領域との間で車両を搬出入してしまうと、搬送台車上あるいは載置領域上で車両が斜めになり、車両の搬出入を安全かつ確実に行えなくなる場合が生じうる。かかる問題は、搬送台車の左右軸と載置領域の中心軸とが平行となるように搬送台車の角度を微調整することで、軽減されうる。よって、そのような微調整が可能な構成とすれば、搬送台車の走行路について施工上の余裕度を向上することができる。
【0016】
あるいは例えば、パレット型駐車システムにおいて、搬送台車の走行方向と、載置領域の中心軸とが直交する構成を考える。かかる構成でも、搬送台車の左右軸と目標となる載置領域の中心軸とが平行とならないと、搬送台車と載置領域との間で車両を搬出入する際に、パレットをガイドするレール等に余分な負荷がかかることになる。かかる問題は、搬送台車の左右軸と載置領域の中心軸とが平行となるように搬送台車の角度を微調整することで、軽減されうる。よって、そのような微調整が可能な構成とすれば、搬送台車の走行路について施工上の余裕度を向上することができる。
【0017】
そこで本発明者らは、例えば、搬送台車の左右に車輪を設け、該左右の車輪を独立して駆動することにより、搬送台車の左右軸と載置領域の中心軸とが平行となるように搬送台車を停止させることができることに想到した。本発明は、以上のような基礎的な知見に基づいて完成されたものである。
【0018】
なお、搬送台車の走行方向と、載置領域の中心軸とが直交しない構成であっても、載置領域に対する搬送台車の角度が不適切な場合には、同様な問題が発生しうる。かかる構成でも、左右の車輪を独立して駆動することにより、載置領域に対する搬送台車の角度を適宜に調整すれば、問題を軽減できる。よって、そのような調整が可能な構成とすれば、搬送台車の走行路について施工上の余裕度を向上することができる。
【0019】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、以下では全ての図を通じて同一又は対応する構成部材には同一の参照符号を付して、その説明については省略する。なお、本実施形態では、格納スペースの所望の載置領域に載置させる車両として自動車を例に挙げて説明するが、車両は自動車に限定されるものではなく、軌道上を走行する鉄道車両などであってもよい。
【0020】
(第1実施形態)
第1実施形態の駐車システムは、水平面内における第1方向に移動し、かつ、車両の前後方向または左右方向を水平面内における第1方向と交差する第2方向に一致させるようにして車両を載置することができる搬送台車と、搬送台車の上に設けられ、搬送台車と車両を格納するための載置領域との間で、第2方向に車両を搬出入する搬出入装置とを備え、搬送台車は、第2方向における搬送台車の一方の端部の近傍に位置して該一方の端部を第1方向に移動させる第1車輪と、第2方向における搬送台車の他方の端部の近傍に位置して該他方の端部を第1方向に移動させる第2車輪と、第1車輪と第2車輪とを独立に駆動可能な駆動源と、第1車輪と第2車輪とを独立に駆動するように駆動源を制御可能な制御器とを備える。
【0021】
「駐車システム」は、載置領域や搬送台車の走行路を含まない、いわゆる「搬器」として実施されてもよいし、載置領域や搬送台車の走行路を含む、いわゆる「駐車場」として実施されてもよい。「駐車システム」がいわゆる「駐車場」である場合、平面駐車場であってもよいし、立体駐車場であってもよい。
【0022】
「第1車輪と第2車輪とを独立に駆動するように駆動源を制御可能」とは、例えば、制御器が、第1車輪の回転速度と回転方向を第2車輪の回転速度と回転方向と異ならせることが可能であること、第1車輪を固定した状態で第2車輪を駆動することが可能であること、第1車輪を回転自由にした状態で第2車輪を駆動することが可能であること等を意味する。なお、制御器は、第1車輪と第2車輪とを同期させて駆動可能であってもよい。すなわち、制御器は、第1車輪の回転速度と回転方向を第2車輪の回転速度と回転方向と一致させることが可能であってもよい。
【0023】
第1実施形態の駐車システムにおける搬送台車の停止方法は、水平面内における第1方向に移動し、かつ、車両の前後方向または左右方向を水平面内における第1方向と交差する第2方向に一致させるようにして車両を載置することができる搬送台車を用意するステップと、搬送台車に、第2方向における搬送台車の一方の端部の近傍に位置して該一方の端部を第1方向に移動させる第1車輪と、第2方向における搬送台車の他方の端部の近傍に位置して該他方の端部を第1方向に移動させる第2車輪とを設けるステップと、搬送台車を車両の載置領域に対応する位置に停止させる際に、第1車輪と第2車輪とを独立に駆動することにより、載置領域の中心軸と第2方向とが平行となるように搬送台車を停止させるステップと、を備える。
【0024】
かかる構成では、第1車輪と第2車輪とを独立に駆動することで、載置領域に対する搬送台車の角度を適宜に微調整できる。このため、例えば、搬送台車の走行路の直線性が高くなくても、搬送台車と載置領域との間で、適切な向きで車両を搬出入できる。よって、搬送台車上に搬送台車と載置領域との間で車両を搬出入する搬出入装置を備えた駐車システムにおいて、搬送台車の走行路についての施工上の余裕度を向上できる。
【0025】
上記駐車システムおよび方法において、駐車システムがパレットレス型駐車システムであってもよい。
【0026】
[装置構成]
図1は、第1実施形態の駐車システムの概略構成の一例を示す図である。以下、
図1を参照しつつ、第1実施形態の駐車システム100について説明する。
【0027】
図1に示すように、駐車システム100は、搬送台車10と、搬出入装置12と、第1車輪14と、第2車輪16と、駆動源18と、制御器26とを備える。
【0028】
搬送台車10は、水平面内における第1方向30に移動し、かつ、車両Vの前後方向または左右方向を水平面内における第1方向30と交差する第2方向32に一致させるようにして車両Vを載置することができるように構成されている。
図1では、搬送台車10に載置される車両Vの位置を二点鎖線で示している。
図1では、車両Vの前後方向が第2方向32に一致しているが、例えば、車両Vの左右方向が第2方向32に一致するように構成されてもよい。なお、搬送台車10は、水平面内における第1方向30に移動し、かつ、車両Vの前後方向を水平面内における第1方向30と交差する第2方向32に一致させるようにして車両Vを載置することができてもよい。
【0029】
搬出入装置12は、搬送台車10の上に設けられ、搬送台車10と車両Vを格納するための載置領域50との間で、第2方向32に車両Vを搬出入する。搬出入装置12は、例えば、車両Vを持ち上げた状態で第2方向に伸縮することで、車両を搬出入する。載置領域50は、個々の車両Vが格納される領域であって、格納スペース60の一部をなす。格納スペース60は、1以上の載置領域50を有する。
【0030】
駐車システム100がパレットレス型駐車システムの場合、搬出入装置12は、具体的には例えば、車両Vの下部に挿入され、車両Vの4個のタイヤを掴んで持ち上げることで、車両Vを移動させてもよい。あるいは駐車システム100がパレット型駐車システムの場合、搬出入装置12は、具体的には例えば、図示されないパレット上に載せられた車両Vをパレットごとスライドさせて移動させてもよい。
【0031】
載置領域50は、駐車システム100の一部であってもよいし、一部でなくてもよい。
図1に示す例では、載置領域50は、搬送台車10の走行レーンの両側に設けられた格納スペース60を区切ることで形成されている。隣接する載置領域50の間には、壁や線などによる区切りがあってもなくてもよい。
図1では左右の載置領域50が真正面に正対しているが、左右の載置領域50が互い違いにずれていてもよい。左側または右側の一方にのみ載置領域50が配置されていてもよい。載置領域50の数は、1個でもよいし複数でもよい。
【0032】
搬送台車10は、第1車輪14と、第2車輪16と、駆動源18とを備える。
【0033】
第1車輪14は、第2方向32における搬送台車10の一方の端部(
図1における右側)の近傍に位置して該一方の端部を第1方向30に移動させる。例えば、第2車輪16を固定して第1車輪14のみを駆動すれば、搬送台車10の第1車輪14側の端部は第2車輪16を中心とする円の接線方向、すなわち第1方向30に沿って移動する。
【0034】
第2車輪16は、第2方向32における搬送台車10の他方の端部(
図1における左側)の近傍に位置して該他方の端部を第1方向30に移動させる。例えば、第1車輪14を固定して第2車輪16のみを駆動すれば、搬送台車10の第2車輪16側の端部は第1車輪14を中心とする円の接線方向、すなわち第1方向30に沿って移動する。
【0035】
駆動源18は、第1車輪14と第2車輪16とを独立に駆動可能に構成されている。駆動源18は、例えば、第1車輪14と第2車輪16とにそれぞれ対応するように設けられた合計2個のモーター及びブレーキとで構成されてもよい。あるいは例えば、1個のモーターとクラッチ及びブレーキとを備え、1個のモーターで第1車輪14と第2車輪16とを独立に駆動してもよい。
【0036】
搬送台車10は、図示されない他の車輪を備えていてもよい。搬送台車10は、例えば、4輪であってもよい。該他の車輪は、駆動源18により駆動されてもよいし、他の駆動源により駆動されてもよいし、いずれの駆動源にも接続されず受動的に回転するものであってもよい。
【0037】
制御器26は、第1車輪14と第2車輪16とを独立に駆動するように駆動源18を制御できる。制御器26は、制御機能を有するものであればよく、演算処理部(図示せず)と、制御プログラムを記憶する記憶部(図示せず)とを備えうる。演算処理部としては、MPU、CPUが例示される。記憶部としては、メモリが例示される。制御器は、集中制御を行う単独の制御器で構成されていてもよく、互いに協働して分散制御を行う複数の制御器で構成されていてもよい。
【0038】
[搬送台車の角度を調整する原理]
図2Aは、第1実施形態の駐車システムにおいて搬送台車と載置領域との角度が適正な状態の一例を示す図である。
図2Bは、第1実施形態の駐車システムにおいて搬送台車と載置領域との角度がずれた状態の一例を示す図である。以下、
図2A、
図2Bを参照しつつ、第1実施形態の駐車システム100において搬送台車10の角度を調整する方法を説明する。
【0039】
図2Aにおいて、搬送台車10と載置領域50との角度は適正である。すなわち、搬送台車10の水平面内における移動方向を第1方向30とし、搬送台車10の上に載置された車両Vの前後軸(車両Vの中心を通り、車両Vの前後方向に延びる仮想の軸線)が第1方向30と交差する第2方向32に平行であるとき、載置領域50の中心軸34と車両Vの前後軸とがいずれも第2方向に平行であって一致している。
【0040】
搬送台車10と載置領域50との角度が適正な状態では、搬出入装置12が車両Vを載置領域50へと搬出すれば、車両Vは載置領域50において適正な位置に格納される。また、かかる状態では、車両Vが載置領域50の適正な位置に格納されていれば、搬出入装置12が車両Vを載置領域50から搬送台車10上の適正な位置へと搬入される。よって、車両の搬出入を安全かつ確実に行うことができる。
【0041】
図2Bにおいて、搬送台車10と載置領域50との角度は不適正である。すなわち、搬送台車10の水平面内における移動方向を第1方向30とし、搬送台車10の上に載置された車両Vの前後軸が第1方向30と交差する第2方向32に平行であるとき、載置領域50の中心軸34と車両Vの前後軸とは平行でなく、一致もしていない。
【0042】
搬送台車10と載置領域50との角度が不適正な状態では、搬出入装置12が車両Vを載置領域50へと搬出しても、車両Vは載置領域50において不適正な位置に格納されてしまう。具体的には例えば、斜めに駐車されてしまう。また、かかる状態では、車両Vが載置領域50の適正な位置に格納されていても、搬出入装置12が車両Vを載置領域50から搬送台車10上に搬入すると、車両Vが搬送台車10上の不適正な位置に載置されてしまう。具体的には例えば、車両が斜めに搬入されてしまう。このようなずれが、複数回の搬出入によって累積すれば、車両の角度は本来の想定から大きく外れ、異常な角度になる可能性もある。よって、車両の搬出入を安全かつ確実に行うことができない。
【0043】
そこで、駐車システム100は、制御器26が駆動源18を制御して第1車輪14と第2車輪16とを独立に駆動することで、搬送台車10と載置領域50との角度を調整する。すなわち、
図2Bの状態において、制御器26は、例えば、第2車輪16のみを正方向に駆動して、搬送台車10の第2車輪16側の端部のみを第1方向30に沿って(
図2Bにおける上方へと)移動させる。これにより、搬送台車10と載置領域50との角度を適正にすることができる。なお、搬送台車10を
図2Bにおける上方へと移動させる方向を、正方向とする。
【0044】
あるいは制御器26は、例えば、第1車輪14のみを逆方向に駆動して、搬送台車10の第1車輪14側の端部のみを第1方向30に沿って(
図2Bにおける下方へと)移動させてもよい。かかる方法でも、搬送台車10と載置領域50との角度を適正にすることができる。なお、搬送台車10を
図2Bにおける下方へと移動させる方向を、逆方向とする。
【0045】
あるいは制御器26は、例えば、第1車輪14を逆方向に駆動すると共に第2車輪16を正方向に駆動することで、搬送台車10の第2車輪16側の端部を
図2Bにおける上方へと移動させると共に搬送台車10の第1車輪14側の端部を
図2Bにおける下方へと移動させる。かかる方法でも、搬送台車10と載置領域50との角度を適正にすることができる。
【0046】
搬送台車10と載置領域50との角度が適正であるか否かは、どのような方法で判定してもよい。例えば、作業者が目視で判定してもよいし、何らかのセンサを用いて自動的に判定がされてもよい。
【0047】
判定方法の他の例としては、例えば、[1]走行路にセンサを設け、搬送台車にドグを設ける方法、[2]走行路または搬送台車に車輪付きエンコーダを設け、相対移動量を測定する方法、[3]走行路の始端または終端から2個の測距センサで搬送台車の正面両側を測定する方法、[4]搬送台車にカメラを搭載し、走行路の底面に第2方向に平行な線を描き、線を撮影した画像を処理して傾きを検出する方法、[5]走行路の上または下から撮像し、台車にマーカーを描き(ただし、無くてもよい)、画像処理で傾きを検出する方法、等が挙げられる。
【0048】
このように、駐車システム100では、仮に搬送台車10の走行路の施工精度が低くても、搬送台車10と載置領域50との角度を調整することで、車両Vの搬出入を安全かつ確実に行うことができる。よって、搬送台車10の走行路について施工上の余裕度が向上された駐車システムを提供することができる。
【0049】
なお、角度の調整と同時に、あるいはこれと前後して、搬送台車10と載置領域50との
図2Bにおける上下方向の位置を調整してもよい。該調整を、第1車輪14と第2車輪16とを同時に同一方向に駆動することで行ってもよい。
【0050】
[搬送台車の停止方法]
図3は、第1実施形態の駐車システムにおける搬送台車の停止方法の一例を示すフローチャートである。以下、
図3を参照しつつ、第1実施形態の駐車システム100における搬送台車の停止方法について説明する。
【0051】
まず、ステップS11において、水平面内における第1方向30に移動し、かつ、車両Vの前後方向または左右方向を水平面内における第1方向30と交差する第2方向32に一致させるようにして車両を載置することができる搬送台車10を用意する。
【0052】
次に、ステップS12において、搬送台車10に、第2方向32における搬送台車10の一方の端部の近傍に位置して該一方の端部を第1方向30に移動させる第1車輪14と、第2方向32における搬送台車10の他方の端部の近傍に位置して該他方の端部を第1方向30に移動させる第2車輪16とを設ける。
【0053】
最後に、ステップS13において、搬送台車10を車両Vの載置領域50に対応する位置に停止させる際に、制御器26が駆動源18を制御することで第1車輪14と第2車輪16とを独立に駆動することにより、載置領域50の中心軸34と第2方向32とが平行となるように搬送台車10を停止させる。停止の際には、上述したように、搬送台車10と載置領域50との角度の調整が行われることで、載置領域50の中心軸34と第2方向32とが平行にされる。
【0054】
かかる方法では、仮に搬送台車10の走行路の施工精度が低くても、搬送台車10と載置領域50との角度を調整することで、車両Vの搬出入を安全かつ確実に行うことができる。よって、搬送台車10の走行路について施工上の余裕度が向上された駐車システムを提供することができる。
【0055】
(第2実施形態)
第2実施形態の駐車システムは、第1実施形態の駐車システムにおいて、搬送台車の第2方向における一方の端部の近傍に位置して、第1車輪の走行路に設けられた第1ドグを検出する、第1位置センサと、搬送台車の第2方向における他方の端部の近傍に位置して、第2車輪の走行路に設けられた第2ドグを検出する、第2位置センサとを備え、制御器は、第1位置センサおよび第2位置センサの検出結果に基づいて第1車輪と第2車輪とを独立に駆動するように駆動源を制御可能に構成されている。
【0056】
「走行路に設けられた」とは、ドグと走行路とが物理的に接続されていることを必ずしも意味しない。ドグは、走向路上の搬送台車の位置を検出できる位置に設けられていればよい。
【0057】
「第1位置センサおよび第2位置センサの検出結果に基づいて第1車輪と第2車輪とを独立に駆動する」とは、例えば、第1車輪の駆動制御が、第1位置センサおよび第2位置センサ両方の検出結果に基づいて行なわれてもよいし、第1位置センサのみの検出結果に基づいて行なわれてもよいし、第2位置センサのみの検出結果に基づいて行われてもよいし、状況に応じてそれらが切り替えられてもよい。第2車輪の駆動制御は、第1位置センサおよび第2位置センサ両方の検出結果に基づいて行なわれてもよいし、第1位置センサのみの検出結果に基づいて行なわれてもよいし、第2位置センサのみの検出結果に基づいて行なわれてもよいし、状況に応じてそれらが切り替えられてもよい。
【0058】
第2実施形態の駐車システムにおける搬送台車の停止方法は、搬送台車に、第2方向における一方の端部の近傍に位置して、第1車輪の走行路に設けられた第1ドグを検出する、第1位置センサと、第2方向における他方の端部の近傍に位置して、第2車輪の走行路に設けられた第2ドグを検出する、第2位置センサと、を設けるステップを備え、搬送台車を停止させるステップは、第1位置センサが第1ドグに対応する位置となるように第1車輪を駆動し、かつ、第2位置センサが第2ドグに対応する位置となるように第2車輪を駆動することで、載置領域の中心軸と第2方向とが平行となるように搬送台車を停止させるステップである。
【0059】
かかる構成では、第1実施形態で得られる効果に加え、さらに、第1位置センサおよび第2位置センサを用いることで、載置領域に対する搬送台車の角度を適正な値へと容易に微調整できる。よって、搬送台車上に搬送台車と載置領域との間で車両を搬出入する搬出入装置を備えた駐車システムにおいて、搬送台車の走行路についての施工上の余裕度をより容易に向上できる。
【0060】
上記駐車システムおよび方法において、前記第1位置センサおよび前記第2位置センサはいずれも反射式距離センサであってもよい。
【0061】
上記駐車システムおよび方法において、前記第1位置センサおよび前記第2位置センサはいずれも光学反射式距離センサであってもよい。
【0062】
かかる構成では、センサとドグとの距離に関する余裕度が高いため、搬送台車の走行路についての施工上の余裕度をさらに向上できる。
【0063】
[装置構成]
図4は、第2実施形態の駐車システムの概略構成の一例を示す図である。以下、
図2を参照しつつ、第2実施形態の駐車システム200について説明する。
【0064】
図4に示すように、駐車システム200は、搬送台車10と、搬出入装置12と、第1車輪14と、第2車輪16と、駆動源18と、第1位置センサ22と、第2位置センサ24と、制御器26とを備える。
【0065】
第1位置センサ22は、搬送台車10の第2方向32における一方の端部の近傍に位置する。第1位置センサ22は、第1車輪14の走行路56に設けられた第1ドグ52を検出する。第1位置センサ22は、例えば、反射式距離センサとすることができる。反射式距離センサは、超音波反射式距離センサとしてもよいし、光学反射式距離センサとしてもよい。第1位置センサ22は、制御器26と通信可能に接続されている。
【0066】
走行路56は、床の一部であってもよいし、レール等であってもよい。搬送台車10の走行レーンが格納スペース60よりも深く掘られている場合には、走行路56は格納スペース60と走行レーンとの境界部分に形成される肩部であってもよい。走行路56は、駐車システム200の一部であってもよいし、一部でなくてもよい。
【0067】
第1ドグ52は、例えば、走行路56に取り付けられた断面L字形の板とすることができる。この場合、第1ドグ52がある部位と、それ以外の部位とで、第1位置センサ22と走行レーン(ドグを含む)との間の距離は大きく変化する。該距離の変化が、第1位置センサ22で検出されうる。第1ドグ52は、駐車システム200の一部であってもよいし、一部でなくてもよい。
【0068】
第2位置センサ24は、搬送台車10の第2方向32における他方の端部の近傍に位置する。第2位置センサ24は、第2車輪16の走行路58に設けられた第2ドグ54を検出する。第2位置センサ24は、例えば、反射式距離センサとすることができる。反射式距離センサは、超音波反射式距離センサとしてもよいし、光学反射式距離センサとしてもよい。第2位置センサ24は、制御器26と通信可能に接続されている。
【0069】
走行路58は、床の一部であってもよいし、レール等であってもよい。搬送台車10の走行レーンが格納スペース60よりも深く掘られている場合には、走行路58は格納スペース60と走行レーンとの境界部分に形成される肩部に配置されたH形鋼であってもよい。走行路58は、駐車システム200の一部であってもよいし、一部でなくてもよい。
【0070】
第2ドグ54は、例えば、走行路58に取り付けられた断面L字形の板とすることができる。この場合、第2ドグ54がある部位と、それ以外の部位とで、第2位置センサ24と走行レーン(ドグを含む)との間の距離は大きく変化する。該距離の変化が、第2位置センサ24で検出されうる。第2ドグ54は、駐車システム200の一部であってもよいし、一部でなくてもよい。
【0071】
第2実施形態では、制御器26が、第1位置センサ22および第2位置センサ24の検出結果に基づいて駆動源18を制御する。よって、例えば、第1位置センサ22が第1ドグ52を検出するまで第1車輪14を駆動し、第2位置センサ24が第2ドグ54を検出するまで第2車輪16を駆動する。これにより、容易に、載置領域50の中心軸34と車両Vの前後軸とがいずれも第2方向に平行であって一致するように、搬送台車10の位置および角度を調整できる。
【0072】
以上の構成を除き、第2実施形態の駐車システム200は第1実施形態の駐車システム100と同様の構成とすることができる。よって、
図1と
図4とで共通する構成要素については同一の符号および名称を付して、詳細な説明を省略する。
【0073】
[搬送台車の停止方法]
図5は、第2実施形態の駐車システムにおける搬送台車の停止方法の一例を示すフローチャートである。以下、
図5を参照しつつ、第2実施形態の駐車システム200における搬送台車の停止方法について説明する。
【0074】
まず、ステップS21において、水平面内における第1方向30に移動し、かつ、車両Vの前後方向または左右方向を水平面内における第1方向30と交差する第2方向32に一致させるようにして車両を載置することができる搬送台車10を用意する。
【0075】
次に、ステップS22において、搬送台車10に、第2方向32における搬送台車10の一方の端部の近傍に位置して該一方の端部を第1方向30に移動させる第1車輪14と、第2方向32における搬送台車10の他方の端部の近傍に位置して該他方の端部を第1方向30に移動させる第2車輪16とを設ける。
【0076】
次に、ステップS23において、搬送台車10の第2方向32における一方の端部の近傍に位置するように、かつ、第1車輪14の走行路56に設けられた第1ドグ52を検出するように、第1位置センサ22を設ける。また、搬送台車10の第2方向32における他方の端部の近傍に位置するように、かつ、第2車輪16の走行路58に設けられた第2ドグ54を検出する、第2位置センサ24と、を設ける。
【0077】
最後に、ステップS24において、搬送台車10を車両Vの載置領域50に対応する位置に停止させる際に、制御器26が駆動源18を制御し、第1位置センサ22が第1ドグ52に対応する位置となるように第1車輪14を駆動し、かつ、第2位置センサ24が第2ドグ54に対応する位置となるように第2車輪16を駆動することで、載置領域50の中心軸34と第2方向32とが平行となるように搬送台車10を停止させる。
【0078】
かかる方法では、仮に搬送台車10の走行路56、58の施工精度が低くても、搬送台車10と載置領域50との角度と位置とを容易に調整することができ、車両Vの搬出入を安全かつ確実に行うことがより容易となる。よって、搬送台車10の走行路56、58について施工上の余裕度が向上された駐車システムをより容易に提供することができる。
【0079】
第2実施形態においても、第1実施形態と同様の変形が可能である。
【0080】
例えば、
図4では、車両Vの前後方向が第2方向32に一致しているが、例えば、車両Vの左右方向が第2方向32に一致するように構成されてもよい。
【0081】
(第1実施例)
第1実施例として、第2実施形態の実施例を説明する。
図6は、第1実施例の駐車システムの概略構成を示す模式図である。以下、
図6を参照しつつ、第1実施例の駐車システム200Aについて説明する。
【0082】
駐車システム200Aは、パレットレスな格納スペース160における所望の載置領域150に車両Vを搬送することができる機械式駐車装置である。駐車システム200Aは、いわゆる平面往復式の機械式駐車装置である。
図6は、第1実施例の駐車システム200Aの要部構成を模式的に示す図である。
【0083】
図6に示すように、第1実施例の駐車システム200Aは、入出庫室40と、昇降装置43と、搬器103と、走行レーン104と、格納スペース160とを備えている。
【0084】
駐車システム200Aは、入出庫室40に入庫した自動車Vを地下の所定階まで昇降装置43により降下させる。そして、この降下させた自動車Vを地下に形成された格納スペース160における所望の載置領域150に、搬器103により移動させることができる。地下の各階には、自動車Vを駐車させるための空間である格納スペース160が、搬器103を移動させるための走行レーン104を挟み込むように形成されている。また搬器103は、走行レーン104における所定位置で停止すると、搬送台車110と載置領域150との間で自動車Vの搬出および搬入を行う。
【0085】
載置領域150と格納スペース160とは、第2実施形態の載置領域50と格納スペース60と同様に構成することができる。格納スペース160は、複数の載置領域150を備える。
【0086】
入出庫室40内には、入庫した自動車Vの位置を計測するための側位置センサ41および車輪位置検知センサ42が設けられている。駐車システム200Aでは、これら側位置センサ41および車輪位置検知センサ42による計測結果に基づき入出庫室40内における自動車Vの駐車位置を把握することができる。
【0087】
昇降装置43は、車両Vの前輪対と後輪対とをそれぞれ独立して左右に移動させる位置調整装置(図示せず)を備えている。入出庫室40に車両が乗り入れられると、車両は所望の前後位置まで誘導されて停止される。その後、側位置センサ41と車輪位置検知センサ42との検出結果に基づいて位置調整装置を制御することで、車両Vの前後軸が昇降装置43の中心軸と一致させられる。かかる制御により、地下の所定階に降下された車両Vの前後軸は、搬出入装置112の中心軸(搬出入装置112の中心を通り、搬出入装置112が搬出入時に伸縮する方向に延びる仮想の軸線)と一致する。
【0088】
搬器103は、搬送台車110と、搬出入装置112と、第1車輪114と、第2車輪116と、駆動源118Aと、駆動源118Bと、第3車輪115と、第4車輪117と、制御器126とを備えている。
【0089】
第1車輪114および第2車輪116は、それぞれ、第2実施形態の第1車輪14および第2車輪16と同様に構成することができる。第1車輪114および第2車輪116は、搬送台車110の移動方向である第1方向における搬送台車110の一方側において、該第1方向と直交する第2方向における搬送台車110の両側にそれぞれ配置されている。
【0090】
第1実施例の駆動源は、第1車輪114を駆動する駆動源118Aと、第2車輪116を駆動する駆動源118Bとを備えている。駆動源118A、118Bとしては、例えばブレーキ付ギヤードモータ(減速機付モータ)が使用できる。ブレーキおよび減速機の有無やモータと一体か否かについては限定されない。
【0091】
第3車輪115および第4車輪117は、搬送台車110の移動方向である第1方向における搬送台車110の他方側において、第2方向における搬送台車110の両側にそれぞれ配置されている。第3車輪115および第4車輪117は、軸受によって回転可能に保持されており、駆動源には接続されていない。
【0092】
搬送台車110は、第1車輪114と第2車輪116と第3車輪115と第4車輪117とで走行路上に支持されて、走行路上を移動する。本実施例における走行路は、格納スペース160と走行レーン104との境界部分に形成される肩部に配置されたH形鋼である。その他の点については、搬送台車110は第2実施形態の搬送台車10と同様に構成することができる。
【0093】
制御器126は、第2実施形態の制御器26と同様に構成することができる。制御器126は、駆動源118Aと駆動源118Bとをそれぞれ独立に制御することで、第1車輪114と第2車輪116とをそれぞれ独立に駆動する。第1実施例では、制御器126が搬出入装置112も制御する。
【0094】
搬出入装置112は、搬送台車110と昇降装置43との間または搬送台車110と格納スペース160における載置領域150との間で車両Vを移動させる。搬出入装置112は、搬送台車110上に設けられている。搬出入装置112は、搬送台車110上から車両Vの進行方向の前後に移動する。搬出入装置112は、例えば、昇降装置43または載置領域150に載置されている車両Vの車体下部に出し入れ可能となっている。
【0095】
搬出入装置112は、搬送台車110から載置領域150に載置されている車両Vの下側まで延びる。搬出入装置112は、車両Vを持ち上げたまま収縮することで、車両Vを載置領域150から搬送台車110の上へと搬入する。搬出入装置112は、車両Vを持ち上げたまま伸長することで、車両Vを搬送台車110の上から載置領域150へと搬出する。搬送台車110が移動するときには、搬出入装置112は車両を持ち上げたままの状態にある。その他の点については、搬出入装置112は第2実施形態の搬出入装置12と同様に構成することができる。
【0096】
搬送台車110は、地下に設けられた走行レーン104を移動し、車両Vを所定位置まで移動させる。なお、
図6では、搬送台車110のセンサ系については省略して図示している。走行レーン104において搬送台車110が停止できる所定位置にはドグ(
図7)がそれぞれ設けられており、搬送台車110に搭載されたセンサ(
図7)が指定されたドグを検知することで搬送台車110を該指定された位置に停止させることができる。なお、ドグは、走行レーン104の側部に設けられた突起物で実現できる。第1実施例では、金属板を矩形状に折り曲げて形成することができる。
【0097】
図7Aは、第1実施例の駐車システムにおける第1位置センサの概略構成を示す模式図である。
【0098】
駐車システム200Aは、2個の第1位置センサ122A、122Bを備えている。第1位置センサ122A、122Bは、光学反射式距離センサであり、発光部から射出された光を、対向面で反射させ、受光部で受光することにより、センサから対向面までの距離を検出する。
【0099】
送受光式位置センサは、発光部と受光部との間の光路に遮蔽物からなるドグが入り込んだ際に、受光部で受光する光量が減少することを利用して、位置を検出する。かかる構成では、搬送台車の走行路について施工上の余裕度を向上するためには、ドグの位置がずれても支障がないように、発光部と受光部との間の空間を大きく取る必要があり、位置センサ部分が巨大化する。
【0100】
反射式距離センサを用いる場合には、位置検出のためにドグを発光部と受光部との間に挟む必要がないため、ドグの位置がずれても大きな支障が発生しない。よって、位置センサ部分が巨大化することもなく、搬送台車の走行路について施工上の余裕度をより容易に向上することができる。第1実施例では、光学反射式距離センサを用いていることから、同様の効果が得られる。
【0101】
第1ドグ152は、走行レーン104の側部に設けられた突起物であって、金属板を矩形状に折り曲げて形成されうる。第1位置センサ122A、122Bは、それぞれ独立して、センサから対向面までの距離を検出する。例えば、
図7Aのように、第1位置センサ122A、122Bの両方が第1ドグ152に対向している場合、いずれのセンサもONとなる。
【0102】
一方、
図7Aよりも搬送台車110が下方にあり、第1位置センサ122Aのみが第1ドグ152と対向し、第1位置センサ122Bの正面に第1ドグ152が存在しない場合には、第1位置センサ122AのみがONとなり、第1位置センサ122BはOFFとなる。逆に、
図7Aよりも搬送台車110が上方にあり、第1位置センサ122Bのみが第1ドグ152と対向し、第1位置センサ122Aの正面に第1ドグ152が存在しない場合には、第1位置センサ122BのみがONとなり、第1位置センサ122AはOFFとなる。
【0103】
第1位置センサ122A、122Bは、いずれも制御器126と通信可能に接続されており、検出結果を制御器126に送信する。制御器126は、第1位置センサ122A、122Bの検出結果に基づいて、第1車輪114の回転を制御する。その他の点については、第1位置センサ122A、122Bは、第2実施形態の第1位置センサ22と同様に構成することができる。
【0104】
図7Bは、第1実施例の駐車システムにおける第2位置センサの概略構成を示す模式図である。
【0105】
駐車システム200Aにおいて、第2位置センサは2個の第2位置センサ124A、124Bで構成されている。第2位置センサ124A、124Bは、光学反射式距離センサであり、発光部から射出された光を、対向面で反射させ、受光部で受光することにより、センサから対向面までの距離を検出する。
【0106】
第2ドグ154は、走行レーン104の側部に設けられた突起物であって、金属板を矩形状に折り曲げて形成されうる。第2位置センサ124A、124Bは、それぞれ独立して、センサから対向面までの距離を検出する。例えば、
図7Bのように、第2位置センサ124A、124Bの両方が第2ドグ154に対向している場合、いずれのセンサもONとなる。
【0107】
一方、
図7Bよりも搬送台車110が下方にあり、第2位置センサ124Aのみが第2ドグ154と対向し、第2位置センサ124Bの正面に第2ドグ154が存在しない場合には、第2位置センサ124AのみがONとなり、第2位置センサ124BはOFFとなる。逆に、
図7Bよりも搬送台車110が上方にあり、第2位置センサ124Bのみが第2ドグ154と対向し、第2位置センサ124Aの正面に第2ドグ154が存在しない場合には、第2位置センサ124BのみがONとなり、第2位置センサ124AはOFFとなる。
【0108】
第2位置センサ124A、124Bは、いずれも制御器126と通信可能に接続されており、検出結果を制御器126に送信する。制御器126は、第2位置センサ124A、124Bの検出結果に基づいて、第2車輪116の回転を制御する。その他の点については、第2位置センサ124A、124Bは、第2実施形態の第2位置センサ24と同様に構成することができる。
【0109】
図8は、第1実施例の駐車システムにおける搬送台車の停止方法を示すフローチャートである。以下、
図8を参照しつつ、第1実施例の駐車システムにおける搬送台車の停止方法について説明する。なお、該方法は、制御器126が駆動源118Aと駆動源118Bとを制御することで実行されうる。
【0110】
第2実施形態と同様、予め、搬送台車110と、第1車輪114と、第2車輪116と、第1位置センサ122A、122Bと、第2位置センサ124A、124Bとが設けられる。
【0111】
搬送台車110を所望の載置領域150まで移動させる指令を受領すると、制御器126は、まず、ステップS101において、当該載置領域150に対応する走行レーン104上の停止位置までの搬送距離を演算する。
【0112】
次に、ステップS102において、制御器126は駆動源118Aと駆動源118Bとを制御して、最大速度で当該載置領域150へ向けて第1車輪114と第2車輪116とを駆動する。
【0113】
次に、ステップS103において、制御器126は、駆動源118Aと駆動源118Bとが備えるエンコーダを用いて、ステップS101で演算した搬送距離から所定距離(例えば、50cm)を差し引いた距離だけ第1車輪114と第2車輪116とを駆動したか否かの判定を行う。該判定の結果がNOであれば、最大速度での両輪の駆動が継続される。
【0114】
ステップS103の判定結果がYESになると、ステップS104に進み、制御器126は、駆動源118Aと駆動源118Bを制御して、第1減速速度で当該載置領域150へ向けて第1車輪114と第2車輪116とを駆動する。第1減速速度は、最大速度よりも小さい所定の速度である。なお、S102の最大速度、S103の所定距離は必ずしも一定でなくてもよく、S101の搬送距離やその他の条件によって可変としてもよい。
【0115】
次に、ステップS105において、制御器126は、センサ122A、122B、124A、124BのうちONとなっているセンサがあるか否かの判定を行う。該判定の結果がNOであれば、第1減速速度での両輪の駆動が継続される。
【0116】
ステップS105の判定結果がYESになると、ステップS106に進み、制御器126は、駆動源118Aと駆動源118Bを制御して、第2減速速度で当該載置領域150へ向けて第1車輪114と第2車輪116とを駆動する。第2減速速度は、第1減速速度よりも小さい所定の速度である。
【0117】
次に、ステップS107において、制御器126は、センサ122A、122B、124A、124BのうちONとなっているセンサが3個以上あるか否かの判定を行う。該判定の結果がNOであれば、第2減速速度での両輪の駆動が継続される。
【0118】
ステップS107の判定結果がYESになると、ステップS108に進み、制御器126は、第1車輪114と第2車輪116との駆動を停止する。このとき、慣性の影響で搬送台車110は若干進行方向へと移動する。
【0119】
次に、ステップS109において、制御器126は、センサ122A、122B、124A、124Bが全てONとなっているか否かの判定を行う。該判定の結果がYESであれば停止動作が終了する(エンド)。
【0120】
ステップS109の判定結果がNOであれば、ステップS110に進み、制御器126は、センサ122A、122B、124A、124BのうちOFFとなっているセンサの側の車輪、すなわち第1車輪114および第2車輪116のいずれか一方、を再度駆動する。
【0121】
次に、ステップS111において、制御器126は、センサ122A、122B、124A、124Bが全てONとなっているか否かの判定を行う。該判定結果がNOであれば、ステップS110に戻り、OFFとなっているセンサの側の車輪の駆動が継続される。ステップS111の判定の結果がYESであれば車輪の駆動を停止し(ステップS112)、停止動作が終了する(エンド)。
【0122】
(第2実施例)
第2実施例は、第1実施例において搬送台車の停止方法を変形したものである。具体的には第2実施例は、第1実施例のように両駆動輪を同時に停止してから搬送台車の位置を補正するのではなく、それぞれの駆動輪を個別に正規の位置で停止させることで結果として位置ずれを生じさせないようにしたものである。
【0123】
第2実施例の駐車システムの装置構成は、第1実施例と同様とすることができる。よって、両者において共通する構成要素については同一の符号および名称を付して、図示および詳細な説明を省略する。
【0124】
図9は、第2実施例の駐車システムにおける搬送台車の停止方法を示すフローチャートである。以下、
図9を参照しつつ、第2実施例の駐車システムにおける搬送台車の停止方法について説明する。
【0125】
第2実施例において、第1実施例のステップS101からS104までのステップは同様とすることができるので、説明を省略する。
【0126】
ステップS104において、第1減速速度で当該載置領域150へ向けて第1車輪114と第2車輪116とが駆動されると、第1車輪114側の制御(ステップS113〜S116)と、第2車輪116側の制御(ステップS117〜S120)とが並列的に行われる。
【0127】
第1車輪114側の制御において、まず、制御器126は、ステップS113において、第1位置センサ122A、122BのうちONとなっているセンサがあるか否かの判定を行う。判定結果がNOの場合には、第1減速速度での第1車輪114の駆動が継続される。
【0128】
ステップS113の判定結果がYESになると、ステップS114に進み、制御器126は、第2減速速度で第1車輪114を駆動する。
【0129】
次に、ステップS115において、制御器126は、第1位置センサ122A、122BのいずれもがONになっているか否かの判定を行う。判定結果がYESの場合には、ステップS116に進み、第1車輪114の駆動が停止される。
【0130】
ステップS115の判定結果がNOの場合には、第2減速速度での第1車輪114の駆動が継続され、再びステップS115の判定が行われる。
【0131】
第2車輪116側の制御において、まず、制御器126は、ステップS117において、第2位置センサ124A、124BのうちONとなっているセンサがあるか否かの判定を行う。判定結果がNOの場合には、第1減速速度での第2車輪116の駆動が継続される。
【0132】
ステップS117の判定結果がYESになると、ステップS118に進み、制御器126は、第2減速速度で第2車輪116を駆動する。
【0133】
次に、ステップS119において、制御器126は、第2位置センサ124A、124BのいずれもがONになっているか否かの判定を行う。判定結果がYESの場合には、ステップS120に進み、第2車輪116の駆動が停止される。
【0134】
ステップS119の判定結果がNOの場合には、第2減速速度での第2車輪116の駆動が継続され、再びステップS119の判定が行われる。
【0135】
ステップS116での第1車輪114の停止と、ステップS120での第2車輪116の停止とがいずれも完了すると、停止動作が終了する(エンド)。
【0136】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造および/又は機能の詳細を実質的に変更できる。