【実施例】
【0032】
以下、図面を参照しながら、本発明の再生装置及び配信方法並びにコンピュータプログラムの実施例を説明する。尚、以下では、本発明の再生装置及び方法、並びにコンピュータプログラムが、クラブ(或いは、ディスコ等の舞踏場)において、楽曲に対して様々な特殊効果(イフェクト)を付加しつつ連続的に再生する際に用いられる楽曲再生機器(例えば、DJプレーヤやDJプレーヤの如き動作を行うパソコン)に適用される例を用いて説明を進める。但し、本発明の再生装置及び方法、並びにコンピュータプログラムは、楽曲再生機器以外の任意の再生機器(例えば、映像等の任意のコンテンツを再生可能な再生機器)に適用されてもよい。
【0033】
(1)楽曲再生機器1の構成
図1を参照しながら、本実施例の楽曲再生機器1の構成について説明する。
図1は、本実施例の楽曲再生機器1の構成の一例を示すブロック図である。
【0034】
図1に示すように、楽曲再生機器1は、楽曲格納部11と、キューポイント格納部12と、表示部13と、「操作手段」の一具体例である操作部14と、操作内容解析部15と、「設定手段」の一具体例であるキューポイント解析部16と、「再生手段」の一具体例である楽曲再生部17と、データバス18とを備える。
【0035】
楽曲格納部11は、楽曲再生機器1において再生される楽曲(言い換えれば、楽曲を示す楽曲データ)を格納する。特に、本実施例では、楽曲格納部11は、複数の楽曲を格納することが好ましい。楽曲格納部111は、典型的には、任意の記憶装置(例えば、ハードディスクや半導体メモリ)である。
【0036】
キューポイント情報格納部12は、楽曲格納部11に格納されている複数の楽曲の夫々に予め設定されているキューポイントを格納する。各楽曲には、単一のキューポイントが設定されていてもよい。各楽曲データには、複数のキューポイントが設定されていてもよい。
【0037】
キューポイントは、楽曲中の特定の再生位置(言い換えれば、特定の再生時刻)を特定する情報である。本実施例では、キューポイントは、楽曲の再生を開始する再生位置(言い換えれば、楽曲の再生を開始する再生時刻)を特定する情報であるものとする。
【0038】
キューポイントは、キューポイント解析部16によって設定されてもよい。例えば、キューポイント解析部16は、楽曲格納部11に楽曲が新たに格納される際に、当該新たに格納される楽曲を解析することで、当該新たに格納される楽曲のキューポイントを設定してもよい。或いは、キューポイントは、楽曲再生機器1のユーザ(典型的には、DJ)によって設定されてもよい。例えば、ユーザが操作部14を用いてキューポイントを指定する操作を行った場合には、キューポイント格納部12は、ユーザが操作部14を用いて指定したキューポイントを新たに格納してもよい。
【0039】
表示部13は、楽曲再生機器1の動作に関連する各種情報を表示する。本実施例では特に、表示部13は、楽曲データ格納部11に格納されている複数の楽曲の一覧を示す楽曲リストを表示する。表示部13は、典型的には、液晶ディスプレイ等の表示装置である。
【0040】
操作部14は、ユーザの操作を受け付けるユーザインタフェース装置である。本実施例では特に、操作部14は、表示部13が表示した楽曲リストに対するユーザの操作(例えば、楽曲リストが示す複数の楽曲から任意の楽曲を選択するユーザの操作)を受け付ける。このため、例えば、操作部14は、表示部13の表示画面に重ねて配置される又は一体化される操作子(例えば、タッチパネル)であってもよい。例えば、操作部14は、表示部13の表示画面内で選択位置(例えば、
図3を用いて後述するハイライトやカーソル)を任意に移動させるための操作子(例えば、マウス、操作キー又はタッチパッド等)であってもよい。
【0041】
操作内容解析部15は、操作部14が受け付けたユーザの操作を解析する。本実施例では特に、操作内容解析部15は、操作部14が受け付けたユーザの操作が、表示部13が表示した楽曲リストが示す複数の楽曲から任意の楽曲を選択する操作であるか否かを解析する。操作内容解析部15は、典型的には、楽曲再生装置1が備えるCPUによってコンピュータプログラムが実行されることで当該CPU上に論理的に実現される処理ブロックである。
【0042】
キューポイント解析部16は、楽曲格納部11に格納されている楽曲(特に、キューポイントが設定されていない楽曲)を解析することで、キューポイントを生成する。キューポイント解析部16は、典型的には、楽曲再生装置1が備えるCPUによってコンピュータプログラムが実行されることで当該CPU上に論理的に実現される処理ブロックである。
【0043】
楽曲再生部17は、楽曲格納部11に格納されている楽曲を読み出すと共に、読み出した楽曲を再生する。本実施例では、楽曲再生部17は、ヘッドホン及びスピーカのうちの少なくとも一方を介して楽曲を再生する。その結果、楽曲再生機器1に接続されたヘッドホン及びスピーカのうちの少なくとも一方から、楽曲が流れる。尚、ヘッドホンは、典型的には、楽曲再生装置1のユーザが楽曲を聞くための出力装置である一方で、スピーカは、典型的には、楽曲再生装置1が設置されているクラブの観客が楽曲を聞くための出力装置である。但し、楽曲再生部17は、ヘッドホン及びスピーカの少なくとも一方に加えて又は代えて、ヘッドホン及びスピーカ以外の任意の出力機器を介して楽曲を再生してもよい。楽曲再生部17は、典型的には、楽曲再生装置1が備えるCPUによってコンピュータプログラムが実行されることで当該CPU上に論理的に実現される処理ブロック又は楽曲を再生するための専用のハードウェア回路である。
【0044】
データバス18は、楽曲格納部11と、キューポイント格納部12と、表示部13と、操作部14と、操作内容解析部15と、キューポイント解析部16と、楽曲再生部17とが相互に情報を送受信するための信号経路である。
【0045】
尚、上述の説明では、楽曲再生機器1が、楽曲格納部11、キューポイント格納部12、表示部13、操作部14、操作内容解析部15、キューポイント解析部16及び楽曲再生部17の全てを備える例を示している。しかしながら、楽曲再生機器1は、楽曲格納部11、キューポイント格納部12、表示部13、操作部14、操作内容解析部15、キューポイント解析部16及び楽曲再生部17の少なくとも一部を備えている一方で、楽曲格納部11、キューポイント格納部12、表示部13、操作部14、操作内容解析部15、キューポイント解析部16及び楽曲再生部17の少なくとも他の一部を備えていなくてもよい。例えば、楽曲再生機器1は、キューポイント解析部16を備えていなくてもよい。この場合、楽曲再生機器1は、キューポイント解析部16が行うべき動作及び当該動作に関連する動作(例えば、後述する
図2のステップS15からステップS17までの動作)を行わなくてもよい。楽曲再生機器1が他の構成要素を備えていない場合においても同様に、楽曲再生機器1は、当該他の構成要素が行うべき動作及び当該動作に関連する動作を行わなくてもよい。
【0046】
或いは、楽曲再生機器1が、楽曲格納部11、キューポイント格納部12、表示部13、操作部14、操作内容解析部15、キューポイント解析部16及び楽曲再生部17のうちの少なくとも一部を備える一方で、楽曲再生機器1と有線又は無線のネットワークを介して接続された他の機器が、楽曲格納部11、キューポイント格納部12、表示部13、操作部14、操作内容解析部15、キューポイント解析部16及び楽曲再生部17のうちの少なくとも他の一部を備えていてもよい。例えば、楽曲再生機器1がいわゆるDJコントローラ(例えば、DJプレーヤやミキサーの如き外観を有した、多数の操作子を備えるユーザインタフェース装置)である場合には、楽曲再生機器1が少なくとも表示部13及び操作部14を備えている一方で、楽曲再生機器1に接続された他の機器(例えば、パソコン及びDJプレーヤのうちの少なくとも一方)が、楽曲格納部11、キューポイント格納部12、操作内容解析部15、キューポイント解析部16及び楽曲再生部17のうちの少なくとも一部を備えていてもよい。
【0047】
(2)楽曲再生機器1の動作
続いて、
図2を参照しながら、楽曲再生機器1の動作の流れについて説明する。以下では、楽曲再生機器1の動作のうち楽曲決定動作の流れについて説明する。
図2は、楽曲再生機器1の動作のうち楽曲決定動作の流れの一例を示す。
【0048】
尚、本実施例の「楽曲決定動作」とは、楽曲格納部11に格納された複数の楽曲を、ヘッドホンを介して順次再生することでユーザに聞かせると共に、これら複数の楽曲の中からスピーカを介して再生するべき(つまり、観客に聞かせるべき)一の楽曲を決定する動作を意味するものとする。但し、「楽曲決定動作」は、楽曲格納部11に格納された複数の楽曲の中から所望の楽曲を決定する(言い換えれば、所望の楽曲を抽出する)動作であってもよい。
【0049】
図2に示すように、まず、表示部13は、楽曲格納部11に格納されている複数の楽曲の一覧を示す楽曲リストを表示する(ステップS12)。尚、楽曲リストは、複数の楽曲の全ての一覧を示していてもよい。楽曲リストは、複数の楽曲のうちの少なくとも一部の一覧を示していてもよい。
【0050】
その後、操作内容解析部15は、操作部14が受け付けたユーザの操作が、表示部13が表示した楽曲リストが示す複数の楽曲から任意の楽曲を選択するための選択操作であるか否かを解析する。つまり、操作内容解析部15は、表示部13の表示内容及び操作部14が受け付けたユーザの操作内容を解析することで、楽曲リストが示す複数の楽曲から任意の楽曲が選択されているか否かを判定する(ステップS13)。
【0051】
ここで、
図3を参照しながら、楽曲リストが示す複数の楽曲から任意の楽曲を選択するためのユーザの選択操作について説明する。
図3は、楽曲リストが示す複数の楽曲から任意の楽曲を選択するためのユーザの選択操作を、楽曲リスト上で示す平面図である。
【0052】
図3(a)に示すように、表示部13は、「ABCDE」という名称の楽曲、「FGHIJK」という名称の楽曲及び「LMNOP」という名称の楽曲等を示す楽曲リストを表示しているものとする。尚、
図3(a)に示す楽曲リストは一例に過ぎない。従って、表示部13は、
図3(a)に示す楽曲リストとは異なる形式の楽曲リストを表示してもよい。要は、表示部13は、楽曲を特定可能な何らかの情報を楽曲リストとして表示すれば足りる。
【0053】
図3(b)に示すように、操作部14が操作キーを備えている場合には、ユーザは、選択されている楽曲を示すハイライトを所望方向(例えば、上方向、下方向、右方向又は左方向)に移動させる操作を、選択操作として行ってもよい。この場合、ハイライトが位置する楽曲がユーザによって選択されている楽曲となる。例えば、
図3(b)に示す状態の楽曲リストに対してユーザが操作キーの一例である下キーを押下すれば、ハイライトは、「ABCDE」という名称の楽曲から「FGHIJK」という名称の楽曲へと移動する。このようなユーザの操作は、「FGHIJK」という名称の楽曲を選択する選択操作に相当する。
【0054】
図3(c)に示すように、操作部14がマウスを備えている場合には、ユーザは、マウスの現在位置を実質的に示すカーソルを所望方向に移動させる操作を、選択操作として行ってもよい。この場合、カーソルが位置する楽曲がユーザによって選択されている楽曲となる。例えば、
図3(c)に示す状態の楽曲リストに対してユーザがマウスを下方向に向かって移動すれば、カーソルは、「ABCDE」という名称の楽曲から「FGHIJK」という名称の楽曲へと移動する。このようなユーザの操作は、「FGHIJK」という名称の楽曲を選択する選択操作に相当する。
【0055】
操作部14がタッチパネル若しくはタッチパッド又はその他の操作子を備えている場合においても、ユーザは、ハイライト又はカーソルを移動させることで楽曲を選択してもよい。また、ハイライト又はカーソルを用いて楽曲を選択するユーザインタフェースに限らず、何らかの形式で選択されている楽曲とその他の楽曲とを識別可能なユーザインタフェースが用いられてもよい。
【0056】
尚、選択操作は、できるだけシンプルな、簡略化された又は複雑でない操作であることが好ましい。例えば、選択操作は、ユーザが現在選択している位置(例えば、
図3(b)に示すハイライト又は
図3(c)に示すカーソル)を単に移動させる操作であってもよい。この場合、選択操作は、ユーザの現在の選択位置を単に移動させる一方で、選択位置を移動させた後に選択位置を確定する必要がない操作であってもよい。例えば、
図3(b)に示す例では、選択操作は、ハイライトを移動させるために操作キーを少なくとも1回押下する操作である。言い換えれば、
図3(b)に示す例では、選択操作は、ハイライトを移動させるために操作キーを少なくとも1回押下した後にハイライトの位置を確定させるために確定キー(リターンキー)を押下する必要がない操作である。同様に、
図3(c)に示す例では、選択操作は、マウスを移動させる操作である。言い換えれば、
図3(c)に示す例では、選択操作は、カーソルを移動させるためにマウスを移動させた後にカーソルの位置を確定させるためにマウスのボタンをクリックする必要がない操作である。
【0057】
再び
図2において、ステップS13の判定の結果、ユーザの操作が選択操作でない(つまり、楽曲リストが示す複数の楽曲から任意の楽曲が選択されていない)と判定される場合には(ステップS13:No)、操作内容解析部15は、操作部14が受け付けたユーザの操作が選択操作であるか否かを解析し続ける(ステップS13)。
【0058】
他方で、ステップS13の判定の結果、ユーザの操作が選択操作である(つまり、楽曲リストが示す複数の楽曲から任意の楽曲が選択されている)と判定される場合には(ステップS13:Yes)、楽曲再生部17は、ユーザの操作が選択操作であると判定されると同時に、ヘッドホンを介して、選択されている楽曲の再生を開始する(ステップS14)。特に、楽曲再生部17は、選択されている楽曲の再生を、選択されている楽曲のキューポイント(つまり、選択されている楽曲に予め設定されているキューポイント)から、いわば自動的に開始する(ステップS14)。このため、楽曲再生部17は、ユーザの操作が選択操作であると判定されると同時に、選択されている楽曲のキューポイントをキューポイント格納部12から取得する共に、取得したキューポイントから選択されている楽曲の再生を開始する。
【0059】
尚、「任意の楽曲が選択されていると判定されると同時に、選択されている楽曲の再生を開始する」状態は、「任意の楽曲が選択されていると判定される」動作が行われてから間断なく又は更なるユーザの操作を必要とすることなく「選択されている楽曲のキューポイントを取得し且つ当該取得したキューポイントから選択されている楽曲の再生を開始する」状態を意味する。つまり、「任意の楽曲が選択されていると判定されると同時に楽曲の再生を開始する」状態は、「任意の楽曲が選択されていると判定される」動作と「選択されている楽曲の再生を開始する」動作との間に、選択されている楽曲の再生を開始するために必要最小限の動作(典型的には、更なるユーザの操作を必要としない、楽曲再生機器1の自発的な又は自動的な動作)が補足的に行われることが許容されている状態を意味していてもよい。しかしながら、「任意の楽曲が選択されていると判定されると同時に楽曲の再生を開始する」状態は、文字通り、「任意の楽曲が選択されていると判定された」タイミングと「選択されている楽曲の再生を開始する」タイミングとが寸分の誤差なく一致する状態を意味していてもよい。
【0060】
一方で、楽曲再生部17は、選択されている楽曲のキューポイントを取得できるとは限らない。例えば、楽曲再生部17は、選択されている楽曲のキューポイントがキューポイント格納部12に格納されていない場合には、選択されている楽曲のキューポイントを取得することができない(ステップS15:No)。従って、選択されている楽曲のキューポイントを楽曲再生部17が取得できない場合には(ステップS15:No)、キューポイント解析部16は、選択されている楽曲を解析することで、選択されている楽曲のキューポイントを新たに設定する(ステップS16)。この場合、キューポイント格納部12は、キューポイント解析部16が新たに設定したキューポイントを格納することが好ましい。その後、楽曲再生部17は、選択されている楽曲の再生を、新たに設定されたキューポイントから開始する(ステップS17)。
【0061】
尚、キューポイント解析部16による新たなキューポイントの設定は、公知の手法を用いて行われてもよい。例えば、キューポイント解析部16は、信号レベルが所定レベル以上となる楽曲部分に相当する再生位置を、新たなキューポイントとして設定してもよい。或いは、例えば、キューポイント解析部16は、所定の特性を有する楽曲部分に相当する再生位置を、新たなキューポイントとして生成してもよい。いずれにせよ、キューポイント解析部16は、何らかのキューポイント生成基準に基づいて、新たなキューポイントを設定することが好ましい。
【0062】
その後、操作内容解析部15は、操作部14が受け付けたユーザの操作が、選択されている楽曲をスピーカから流す再生対象楽曲として決定する決定操作であるか否かを判定する。つまり、操作内容解析部15は、選択されている楽曲が、スピーカから流す再生対象楽曲として決定されたか否かを判定する(ステップS18)。
【0063】
例えば、
図3(b)に示すように、操作部14が操作キーを備えている場合には、ユーザは、選択されている楽曲(つまり、ハイライトが位置する楽曲)を再生対象楽曲として決定する決定操作として、確定キーを押下する操作を行ってもよい。或いは、ユーザは、選択されている楽曲(つまり、ハイライトが位置する楽曲)を再生対象楽曲として決定する決定操作として、ハイライトを所定時間以上移動させない操作(つまり、所定時間以上操作キーを押下しない操作)を行ってもよい。
【0064】
例えば、
図3(c)に示すように、操作部14がマウスを備えている場合には、ユーザは、選択されている楽曲(つまり、カーソルが位置する楽曲)を再生対象楽曲として決定する決定操作として、マウスのボタンをクリックする操作を行ってもよい。或いは、ユーザは、選択されている楽曲(つまり、カーソルが位置する楽曲)を再生対象楽曲として決定する決定操作として、カーソルを所定時間以上移動させない操作(つまり、所定時間以上マウスを移動させない操作)を行ってもよい。
【0065】
いずれにせよ、ユーザは、選択されている楽曲を再生対象楽曲として決定する決定操作として、楽曲リストが示す複数の楽曲から任意の楽曲を選択する選択操作とは異なる操作を行うことが好ましい。
【0066】
ステップS18の判定の結果、ユーザの操作が決定操作でない(つまり、選択されている楽曲が再生対象楽曲として決定されていない)と判定される場合には(ステップS18:No)、楽曲再生機器1は、ステップS13以降の動作を繰り返す。つまり、楽曲再生機器1は、選択されている楽曲のキューポイントからの再生を開始する動作を継続する。尚、別の楽曲が新たに選択されている場合には、楽曲再生機器1は、新たに選択されている別の楽曲のキューポイントからの再生を開始する動作を新たに行う。従って、ユーザが複数の楽曲を順次選択する場合には、楽曲再生機器1は、キューポイントから楽曲の再生を開始する動作を、複数の楽曲を対象として順次行う。
【0067】
他方で、ステップS18の判定の結果、ユーザの操作が決定操作である(つまり、選択されている楽曲が再生対象楽曲として決定されている)と判定される場合には(ステップS18:Yes)、楽曲再生部17は、再生対象楽曲の再生を待機する(ステップS19)。具体的には、楽曲再生部17は、所望の再生位置から再生対象楽曲を再生する再生動作を開始する準備(例えば、再生対象楽曲のうちの所望の再生位置付近の楽曲部分のバッファメモリへの読み込み等)を行う。その上で、楽曲再生部17は、再生対象楽曲を実際に再生することなく(つまり、スピーカから実際に再生することなく)、再生対象楽曲の再生の開始を指示するユーザの操作を待つ。その後、再生対象楽曲の再生の開始を指示するユーザの操作が行われた場合には、楽曲再生部17は、再生対象楽曲の再生を開始する。
【0068】
以上説明したように、本実施例の楽曲再生機器1は、ユーザの操作が選択操作である(つまり、楽曲リストが示す複数の楽曲から任意の楽曲が選択されている)と判定されると同時に、ヘッドホンを介して、選択されている楽曲に予め設定されているキューポイントから、選択されている楽曲の再生を開始する。つまり、楽曲再生機器1は、選択操作を受け付けた後に選択されている楽曲の再生を開始するためのユーザの操作を更に受け付けなくても又は受け付ける必要なく、選択されている楽曲の再生を開始することができる。更には、楽曲再生機器1は、選択操作を受け付けた後に選択されている楽曲の再生開始位置を決定するためのユーザの操作を更に受け付けなくても又は受け付ける必要なく、選択されている楽曲に予め設定されているキューポイントから、選択されている楽曲の再生を開始することができる。従って、楽曲再生機器1は、選択されている楽曲の再生を迅速に開始することができる。つまり、楽曲再生機器1は、選択されている楽曲の再生を開始するためのユーザの操作を更に受け付ける必要がある比較例の楽曲再生機器と比較して、楽曲を選択してから当該選択した楽曲の再生を開始するまでに要する時間を短くすることができる。
【0069】
ここで、複数の楽曲を順次選択する選択操作が行われる場合には、楽曲再生機器1は、新たな楽曲を選択する選択操作が行われる都度、当該選択操作が行われると同時に新たに選択された楽曲の再生を開始する。このため、ユーザは、ハイライトを移動させるために操作キーを押下するだけの又はカーソルを移動させるためにマウスを移動させるだけの簡略的な選択操作を行うことで、複数の楽曲を再生しながら当該再生されている楽曲を聞く(例えば、曲調等を確認する)ことができる。その結果、ユーザは、順次再生される楽曲の視聴結果を踏まえて、複数の楽曲の中から再生対象楽曲(つまり、次にスピーカを介して再生するべき楽曲)を容易に決定することができる。特に、本実施例では、楽曲を選択してから当該選択した楽曲の再生を開始するまでに要する時間が短くなるがゆえに、複数の楽曲の中から再生対象楽曲を決定するために要する時間をも当然に短くなる。つまり、ユーザは、複数の楽曲の中から再生対象楽曲(つまり、次にスピーカを介して再生するべき楽曲)を迅速に決定することができる。
【0070】
加えて、本実施例では、キューポイントが予め設定されていない楽曲がユーザによって選択された場合であっても、楽曲再生機器1は、キューポイントを新たに設定することができる。このため、楽曲再生機器1は、キューポイントが予め設定されていない楽曲を選択してから当該選択した楽曲の再生を開始するまでに要する時間をも相応に短くすることができる。
【0071】
特に、楽曲再生機器1は、キューポイントが予め設定されていない楽曲のキューポイントを新たに設定する際には、信号レベルが所定レベル以上となる楽曲部分に相当する位置を新たなキューポイントとして設定することができる。その結果、例えば無音となる楽曲部分から楽曲の再生が開始されることがなくなる。このため、楽曲再生機器1は、当該楽曲再生機器1が途切れない楽曲の再生(言い換えれば、連続的な楽曲の再生)が望ましいDJ機器として用いられる場合に特に有益である。
【0072】
本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴なう再生装置及び方法、並びにコンピュータプログラムもまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。