特許第6263438号(P6263438)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6263438航空機搭載電子システムの多段フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイのハードウェア要件の評価および検証
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6263438
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】航空機搭載電子システムの多段フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイのハードウェア要件の評価および検証
(51)【国際特許分類】
   G06F 17/50 20060101AFI20180104BHJP
【FI】
   G06F17/50 664P
   G06F17/50 670G
   G06F17/50 672C
【請求項の数】14
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-98218(P2014-98218)
(22)【出願日】2014年5月12日
(65)【公開番号】特開2015-18541(P2015-18541A)
(43)【公開日】2015年1月29日
【審査請求日】2016年11月15日
(31)【優先権主張番号】13/940,863
(32)【優先日】2013年7月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500107762
【氏名又は名称】ハミルトン・サンドストランド・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】HAMILTON SUNDSTRAND CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】カーク エー.リルストーレン
【審査官】 合田 幸裕
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−164056(JP,A)
【文献】 特表2004−538628(JP,A)
【文献】 特開2001−189387(JP,A)
【文献】 特開2006−318447(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 17/50
IEEE Xplore
JSTPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
統合化システムで使用するためのフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイの検証方法であって、
前記フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイの要件の集合から、前記要件のうち、前記統合化システムの力学による影響を受けない第1の集合を選択することと、
前記フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイの要件の集合から、前記要件のうち、前記統合化システムの力学による影響を受ける第2の集合を選択することと、
前記要件の前記第1の部分集合を検証する、チップテスターを使用して、前記フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ上の第1のハードウェア試験を実行することと、
前記フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイが前記統合化システム内に取り付けられている状態で、前記フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ上で第2のハードウェア試験を実行し、前記第2の部分集合の前記要件を検証することとを含む方法。
【請求項2】
レジスタ転送レベルのシミュレーションを使用して、入力ベクトルの集合をコンピュータシステム上で生成することと、前記レジスタ転送レベルのシミュレーションを使用して、前記それぞれの入力ベクトルに対して、前記コンピュータシステム上で、検証ベクトルの集合を生成することとをさらに含み、
前記フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ上で第1のハードウェア試験を実行することが、前記入力ベクトルを、前記チップテスターを使用して、前記フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイに提供することと、前記フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイの出力を、前記コンピュータシステムを使用して、前記検証ベクトルと比較し、前記要件の前記第1の部分集合を検証することとを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記レジスタ転送レベルのシミュレーションを実行して、前記フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイにロードされた設計を検証することをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイの出力を、前記検証ベクトルと比較することが、前記出力ベクトルを、前記コンピュータシステム上で実行されるベクトル試験ソフトウェアを使用して、検証ベクトルと比較することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記要件の前記第1の部分集合のいずれも、タイミング要件、調停要件、ハードウェア/ソフトウェア統合化要件、外部論理制御要件、試験モード機能要件、閉ループ動作要件、および過渡応答要件のいずれも含まないことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第2の部分集合の前記要件の各々が、タイミング要件、調停要件、ハードウェア/ソフトウェア統合化要件、外部論理制御要件、試験モード機能要件、閉ループ動作要件および過渡応答要件の1つまたは複数を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
航空機搭載統合化システムで使用するためのフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイを検証するためのシステムであって、
独立型チップテスターであって、第1の集合の要件を検証するために、前記フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイが独立型チップテスターとインターフェースで連結されていることを特徴とする独立型チップテスター
統合化システム試験環境であって、第2の集合の要件を検証するために、前記フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイが前記統合化システムの中に取り付けられている状態で、前記フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ上で試験の集合が実行される統合化システム試験環境
とを含み、
前記第1の集合の要件が、前記統合化システムの力学による影響を受けず、前記第2の集合の要件が、前記統合化システムの力学による影響を受けることを特徴とする、システム。
【請求項8】
被試験デバイスのシミュレーションを実行するためのコンピュータシステムをさらに含み、前記コンピュータシステムが前記シミュレーションに基づいて入力ベクトルおよび検証ベクトルを生成し、前記入力ベクトルが前記フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイに提供され、前記第1の集合の要件が検証されることを特徴とする、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記独立型チップテスターが、前記フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイの出力に基づいて出力ベクトルを生成するベクトル試験ソフトウェアをさらに含み、前記ベクトル試験ソフトウェアが、前記検証ベクトルを、前記出力ベクトルと比較して、前記第1の集合の要件を検証することを特徴とする、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記ベクトル試験ソフトウェアが前記コンピュータシステムにインストールされていることを特徴とする、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記コンピュータシステムが、試験ベンチに基づいて前記被試験デバイスのシミュレーションを実行するように構成されていることを特徴とする、請求項8に記載のシステム。
【請求項12】
前記入力ベクトルが前記試験ベンチに基づいてさらに生成されることを特徴とする、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1の集合の要件がどれも、タイミング要件、調停要件、ハードウェア/ソフトウェア統合化要件、外部論理制御要件、試験モード機能要件、閉ループ動作要件または過渡応答要件を含まないことを特徴とする、請求項7に記載のシステム。
【請求項14】
前記第2の集合の要件の各々が、タイミング要件、調停要件、ハードウェア/ソフトウェア統合化要件、外部論理制御要件、試験モード機能要件、閉ループ動作要件および過渡応答要件の1つまたは複数を含むことを特徴とする、請求項7に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はハードウェア検証に関係し、具体的には、航空機搭載電子システムに対するフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)の要件を評価および検証する方法に関係する。
【背景技術】
【0002】
FPGAは、例えば、航空機の電子システムを含め、多種多様な用途で活用されている。これらのFPGAの機能性を検証することは、重要な工程である。検証工程には、物理装置がFPGAの要件を適正に実現することの検証と物理装置がシステムと適切に統合していることの検証とが含まれる。
【0003】
ハードウェア試験基準は、例えば、航空機搭載電子ハードウェアの設計保証の手引きを定義する航空無線技術委員会(RTCA)業界標準DO−254により定義され得る。DO−254標準には、要件に基づくハードウェア検証ならびに堅牢性に基づく検証に対する仕様が含まれる。要件に基づく検証には、FPGAの運用を定義する要件の検証も含まれる。堅牢性に基づく検証は、境界および異常な動作条件も取り扱い対象とする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
統合化システムでの使用向けのフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイを検証する方法には、そのフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイの要件の集合から、統合化システムの動力学による影響を受けない第1の部分集合の要件を選択することと、そのフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイの要件の集合から、統合化システムの動力学による影響を受ける第2の部分集合の要件を選択することと、第1の部分集合の要件を検証するハードウェア試験を、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ上でチップテスターを使用して実行することと、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイが統合化システムにインストールされている状態で、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ上でハードウェア試験を実行して、第2の部分集合の要件を検証することとが含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイの検証を実行するためのシステムを示す図である。
図2】フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイの検証を実行するための方法を示すフローチャートである。
図3】フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイの要件を評価するための方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0006】
チップレベルのテスターによるハードウェア試験もしくは完全統合化試験のいずれかまたは両方の要件を選択することも含む航空機搭載電子システム用のフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)の要件を評価および検証するための方法が本明細書に開示される。各要件ごとに「意図された動作環境」を決定するために、FPGA要件に対する解析を実施する。FPGAの統合先のシステムの力学に依存しない要件は、独立型のチップ試験を使用して実施され、検証される。次いで、FPGAの統合先のシステムの力学に依存する要件を検証するために、完全システム統合化試験が活用される。過去において、認証機関は、航空機搭載電子システムのFPGAの検証には、チップレベルの試験の使用は許可していなかった。各FPGA要件を評価し、独立型チップ試験を使用して、システムの力学による影響を受けない要件を検証することにより、完全システム統合化試験を用いて検証する必要のある試験事例の量を大幅に減らしながら、航空機搭載の電子ハードウェアの認証要件を満たし得る。完全システム統合化試験は費用と時間がかかる工程である。完全システム統合化試験を使用して検証する必要のあるFPGA要件の量を減らすことにより、FPGAの検証の時間とコストを大幅に減少できる。
【0007】
図1は、FPGA12の検証を実行するためのシステム10を示すブロック図である。システム10は、シミュレーション環境14、独立型チップ試験環境16および統合化システム18を含む。シミュレーション環境14は、レジスタ転送レベル(RTL)シミュレーションソフトウェア20、入力ベクトル22、検証ベクトル24、ならびに設計および試験ベンチ26を含む。シミュレーション環境14は、例えば、第1のコンピュータシステム上に実現され得る。独立型チップ試験環境16は、独立型チップテスター28およびベクトル試験ソフトウェア30を含む。独立型チップ試験環境16は、例えば、第2のコンピュータシステム上に実現され得る。独立型チップテスター28は、FPGA12とインターフェースを確立して、FPGA12の入力および出力に対して完全な制御を提供することの可能な任意のハードウェアとすることができる。独立型チップ試験環境16は、出力ベクトル32を生成する。第1のコンピュータシステムおよび第2のコンピュータシステムは、同一のコンピュータシステムとして実現されても、実現されなくてもよい。統合化システム18は、例えば、FPGA12が設計された対象の航空ガスタービンエンジン制御システムまたは任意の他のシステムとすることができる。インターフェースされた独立型チップテスター28として図示されているが、FPGA12は、完全システム統合化試験中に統合化システム18に取り付けられる。FPGAを検証するためのシステムとして図示されているが、システム10は、統合化システム18で使用するための任意のデジタル論理回路を検証する目的に使用することもできる。
【0008】
シミュレーション環境14は、ソフトウェアにおける被試験デバイス(DUT)を検証する目的に使用される。設計および試験ベンチ26は、例えば、FPGA12用DUTならびに試験ベンチを含む電子文書である。DUTは、例えば、ハードウェア記述言語(HDL)を使用して規定され得る。RTLシミュレーションソフトウェア20は、設計および試験ベンチ26をロードし、シミュレーションにおいてDUTを試験し、検証する。シミュレーションにおける試験および検証は、任意の周知の方法を使用して遂行される。RTLシミュレーションソフトウェア20は、DUTに規定されたHDLに基づいてハードウェア設計をシミュレートすることの可能な任意のシミュレーションソフトウェアである。レジスタ転送レベルのシミュレーションソフトウェアとして記述されているが、シミュレーションソフトウェア20は、任意の物理アブストラクションのレベルでDUTをシミュレートすることの可能な任意のソフトウェアとすることができる。
【0009】
RTLシミュレーションソフトウェア20は、入力ベクトル22および検証ベクトル24を作成する。入力ベクトル22は、設計および試験ベンチ26に規定された試験ベンチに基づいて作成される。入力ベクトル22は、FPGA12の入力ピンの状態を表現する。検証ベクトル24は、入力ベクトル22の各々についてFPGA12の出力ピンの状態に対応する。検証ベクトル24は、FPGA設計のシミュレーションおよび試験の最中に、RTLシミュレーションソフトウェア20により生成される。RTLシミュレーションソフトウェア20は、DUTがFPGA12の設計の要件を適正に実現しているかを検証する。
【0010】
独立型チップ試験環境16は、意図された動作環境が、FPGA12が統合化されているシステムに依存しない要件について、FPGA12上で設計26のハードウェア実装を検証する目的に使用されるハードウェア環境である。独立型チップ試験環境16は、FPGA12のチップレベルの試験を行うことが可能な任意の環境である。ある実施形態において、FPGA12は、任意の周知の合成ツールおよび配置配線ツールを使用して、DUTに基づく「バーンファイル」を使用して構成される。FPGA12は、独立型チップ試験のために、独立型チップテスター28に取り付け/接続される。入力ベクトル22は、その各入力ピン上のFPGA12の入力に適用され、FPGA12は、その各出力ピン上で出力32を提供する。次いで、出力32が検証ベクトル24と比較され、試験が成功したかどうかが判定される。独立型チップ試験環境16は、障害状態および異常動作状態の堅牢なカバー範囲を可能にする、FPGA12の入力および出力に対する完全制御を提供する。
【0011】
ある実施形態では、独立型チップ試験環境16は、コンピュータシステム内に取り付けられ得るマザーボードおよびドーターボードを含む。FPGA12は、独立型チップ試験中に、ドーターボードとインターフェースを確立する。マザーボードは、ドーターボードとインターフェースを確立し、ベクトル試験ソフトウェア30からFPGA12へと入力ベクトル22を提供する。マザーボードは、ドーターボードから出力ベクトル32を受信し、ベクトル試験ソフトウェア30に出力ベクトル32を提供する。ベクトル試験ソフトウェア30は、出力ベクトル32を検証ベクトル24と比較し、FPGA12上での設計26のハードウェア実装を検証する。
【0012】
FPGA12の要件の解析は、統合化システム18上で完全システム統合化試験を使用して検証すべき要件を決定し、選択するために実施される。FPGA要件は、2つのカテゴリーに分類され得る。第1のカテゴリーは、統合化システム18の力学による影響を受けない要件である。この第1のカテゴリーの場合、DO−254に定義されているように、「意図された動作環境」の境界は、FPGA12そのものに限定される。これらの要件は、明示的、確定的かつFPGA入力に関してタイミングに依存しない基本的なFPGA機能を定義する。これらの要件の検証は、合成ツールおよび配置配線ツールにより提供された、FPGA12にプログラミングされた「バーンファイル」が、DUTのHDLにより記述されるゲートレベルの論理を正確に実現することを保証するために実施される。例えば、リセット時に設定される信号、等式に基づいて駆動される出力、内部信号に基づいて駆動されるクロックなどの要件は、このカテゴリーに分類される試験事象の例である。このカテゴリーに入る試験は、独立型チップ試験環境16のみを使用して実行および検証することが可能である。
【0013】
試験の第2のカテゴリーは、統合化システム18の力学による影響を受ける要件を含む。このカテゴリーの場合、FPGA12の外部の統合化システム18の動作は、FPGA12の動作および結果に影響を及ぼすため、DO−254に定義されているように、「意図された動作環境」の境界は、統合化システム全体18を含むように拡張される。これらの要件は、閉ループ動作またはタイミングパラメタなど、システム全体の動作方法に依存する複雑または動的なFPGA機能を定義する。これらの要件の検証は、FPGA12の実装が、統合化システム18と適正に統合化されていることを確認することを目的としている。例えば、デグリッチする必要のあるFPGA入力、統合的にフィルタリングする必要のあるAC入力、または所定の期間、監視する必要のあるFPGA入力などの試験事例は、すべて統合化システム18の力学に依存するため、統合化システム18上で試験する必要がある。DO−254に関係して記述したが、FPGA要件の解析は、任意の航空機搭載電子ハードウェア認証仕様を使用して実施され得る。
【0014】
第2のカテゴリーに分類される選択された要件の群に対して、完全システム統合化試験を実施するために、FPGA12は、統合化システム18内に取り付けられる。FPGA12は、任意の周知の方法を使用して、統合化システム18内で試験され得る。統合化システム18上での完全システム試験と独立型チップ試験環境16の両方を使用して検証を実施することにより、FPGA12のすべての要件および態様を、各要件の「意図された動作環境」において、ハードウェアで完全に試験することが可能である。故障状態の多くは、統合化システム18の完全システム試験では試験することができないため、過去においては、シミュレーションのみで試験されてきた。独立型チップ試験環境16を使用することにより、独立型チップ試験環境16のFPGA12の入力および出力の完全な制御によって、故障状態は、ハードウェアで完全に試験することが可能になった。
【0015】
統合化システム18上での完全システム試験は、高額な出費を招き、相当な時間を必要とする可能性がある。過去においては、DO−254標準またはその他の航空機搭載電子ハードウェア認証標準の下でのFPGA12の検証は、統合化システム18上ですべてのハードウェア試験を実施することを伴った。第1のカテゴリーに分類される試験事象は、統合化システム18の力学に依存しないため、これらの試験事象は、航空機搭載電子ハードウェア認証標準に依然として準拠していながら、独立型チップ試験環境16内で実行および検証されることが可能である。統合化システム18上で実行する試験事象の数を減らすことにより、航空機搭載電子ハードウェア認証標準を依然として満足させながら、FPGA12を検証するための時間およびコストを大幅に減少させることが達成される。
【0016】
図1を引き続き参照するが、図2はPGA12の検証を実施するための方法50を示すフローチャートである。ステップ52において、設計および試験ベンチ26は、RTLシミュレーションソフトウェア20を使用して実行される。入力ベクトル22および検証ベクトル24は、RTLシミュレーションソフトウェア20によって生成される。ステップ54にて、RTLシミュレーションソフトウェア20上で実行されたシミュレーションが成功したかどうかが判定される。シミュレーションが失敗した場合、方法50はステップ68に進み、FPGA12の検証が失敗したことを表す。シミュレーションが成功した場合、方法50はステップ56に進む。ステップ56にて、FPGA12は、RTLシミュレーションソフトウェア20により生成された入力ベクトル22を使用して、独立型チップ試験環境16内で試験される。出力ベクトル32は試験中に生成される。出力ベクトル32は、RTLシミュレーションソフトウェア20により生成された検証ベクトル24と比較される。ステップ58にて、出力ベクトル32が検証ベクトル24に一致すると、方法50はステップ60に進む。出力ベクトル32が検証ベクトル24に一致しない場合、方法50はステップ68に進み、FPGA12の検証が失敗したことを表す。ステップ60にて、統合化システム18の力学に依存する要件の部分集合が決定される。ステップ60にて実施された評価の実施形態については、図3でより詳しく示す。ステップ62にて、要件の識別された部分集合を検証するために開発された試験が統合化システム18上で実行される。ステップ64にて、統合化システム試験が成功すると、方法50はステップ66に進み、FPGA12の検証が成功したことになる。統合化システム試験が失敗した場合、方法50はステップ68に進み、FPGA12の検証が失敗したことを表す。ステップ60にて示しているが、所望の試験事象を含む試験計画は、方法50の実行の前に生成される可能性があるため、統合化システム要件の選択は、方法50内の任意の時点で実施することが可能である。
【0017】
図3は、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイの要件を評価するための方法80を示すフローチャートである。FPGA要件が統合化システム18の力学による影響を受けるかどうかを判定するための評価基準は、特にタイミング、調停、ハードウェア/ソフトウェア統合化、外部制御、試験モード機能、閉ループ動作および過渡応答基準を含み得る。
【0018】
ステップ82にて、FPGA要件が時間に基づく要件であるかが判定される。タイミング基準は、統合化システム18の適正な動作に不可欠な重要なタイミングパラメタを定義する要件を取り扱い対象とする。例えば、外部ランダム・アクセス・メモリのアクセスに対する書込みサイクルのタイミングは、統合化システム18の力学に依存する。要件がタイミングを定義している場合、方法80はステップ98に進み、FPGA要件が統合化システム18上での試験に選択される。要件がタイミングを定義していない場合、方法80はステップ84に進む。
【0019】
ステップ84にて、FPGA要件が調停に基づく要件かどうかが判定される。調停制御基準は、外部調停制御を定義する要件を取り扱い対象とする。例えば、少なくとも1つの外部バス要求元によるFPGA12に対して外部の共有データバスの適正なアクセスは、統合化システム18の力学に依存する。要求が調停を定義している場合、方法80はステップ98に進み、FPGA要件が統合化システム18上での試験に選択される。要件が調停を定義していない場合、方法80はステップ86に進む。
【0020】
ステップ86にて、FPGA要件がハードウェア/ソフトウェア統合化に基づく要件かどうかが判定される。ハードウェア/ソフトウェア統合化基準は、ソフトウェアによる内部FPGAレジスタからの読取りなど、ハードウェアとソフトウェアとの統合化を定義する要件を取り扱い対象とする。要件がハードウェア/ソフトウェア統合化を定義している場合、方法80はステップ98に進み、FPGA要件が統合化システム18上での試験に選択される。要件が調停を定義していない場合、方法80はステップ88に進む。
【0021】
ステップ88にて、FPGA要件が外部制御論理を定義しているかどうかが判定される。外部制御基準は、外部的に管理される構成要素に対する制御を定義する要件を取り扱い対象とする。例えば、イーサーネットの制御装置の自動構成設定は、統合化システム18の力学による影響を受ける。要件が外部制御論理を定義している場合、方法80はステップ98に進み、FPGA要件が統合化システム18上での試験に選択される。要件が外部制御論理を定義していない場合、方法80はステップ90に進む。
【0022】
ステップ90にて、FPGA要件が試験モード機能を定義しているかどうかが判定される。試験モード機能基準は、正常なシステム動作中にロックアウトされる機能を定義する要件を取り扱い対象とする。例えば、シミュレーション中には有効にされるが、統合化システム18上では有効にされるべきではない試験モードは、統合化システム18内部で試験すべき要件である。要件が試験モード機能を定義している場合、方法80はステップ98に進み、FPGA要件が統合化システム18上での試験に選択される。要件が試験モード機能を定義していない場合、方法80はステップ92に進む。
【0023】
ステップ92にて、FPGA要件が閉ループ動作を定義しているかどうかが判定される。閉ループ動作基準は、統合化システム18の力学に依存するもしくは定義するループフィードバックまたは閉ループ制御に基づいて出力を定義する要件を取り扱い対象とする。要件が閉ループ動作を定義している場合、方法80はステップ98に進み、FPGA要件が統合化システム18上での試験に選択される。要件が閉ループ動作を定義していない場合、方法80はステップ94に進む。
【0024】
ステップ94にて、FPGA要件が過渡応答要件であるかどうかが判定される。過渡応答基準は、入力過渡に対するFPGA12の応答を定義する要件を取り扱い対象とする。例えば、FPGA12の入力信号に実装されるフィルターは、統合化システム18の力学による影響を受ける。要件が過渡応答を定義する場合、方法80はステップ98に進み、FPGA要件が統合化システム18上での試験に選択される。要件が過渡応答を定義していない場合、方法80はステップ96に進み、要件が独立型チップ試験環境16による検証のために選択される。
【実施例】
【0025】
以下は本発明の可能な実施形態の非排他的な説明である。
【0026】
統合化システムでの使用向けのフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイを検証する方法は、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイの要件の集合から、統合化システムの力学による影響を受けない第1の部分集合の要件を選択することと、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイの要件の集合から、統合化システムの力学による影響を受ける第2の部分集合の要件を選択することと、第1の部分集合の要件を検証する、チップテスターを使用して、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ上でハードウェア試験を実行することと、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイが統合化システム内に設置されている状態で、第2の部分集合の要件を検証するために、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ上でハードウェア試験を実行することとを含む。
【0027】
直前の段落の方法は、追加的および/または代替的に、以下の機能、構成および/または追加構成要素のいずれか1つまたは複数を含むことができる。
【0028】
本方法は、コンピュータシステム上で、レジスタ転送レベルのシミュレーションを使用して、入力ベクトルの集合を生成することと、コンピュータシステム上で、レジスタ転送レベルのシミュレーションを使用して、各入力ベクトルに対して検証ベクトルの集合を生成することとをさらに含む。フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ上でのハードウェア試験の実行は、チップテスターを使用して、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイに入力ベクトルを提供することと、第1の部分集合の要件を検証するために、コンピュータシステムを使用して、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイの出力を検証ベクトルと比較することとを含む。
【0029】
本方法は、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイにロードされた設計を検証するために、レジスタ転送レベルのシミュレーションを実行することをさらに含む。
【0030】
フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイの出力の検証ベクトルとの比較は、コンピュータシステム上で実行されるベクトル試験ソフトウェアを使用して、検証ベクトルと出力ベクトルを比較することを含む。
【0031】
第1の部分集合の要件はいずれも、タイミング要件、調停要件、ハードウェア/ソフトウェア統合化要件、外部論理制御要件、試験モード機能要件、閉ループ動作要件または過渡応答要件を含まない。
【0032】
第2の部分集合の要件の各々は、タイミング要件、調停要件、ハードウェア/ソフトウェア統合化要件、外部論理制御要件、試験モード機能要件、閉ループ動作要件および過渡応答要件の1つまたは複数を含む。
【0033】
航空機搭載統合化システムでの使用向けのフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイを検証するためのシステムは、特に、独立型チップテスターおよび統合化システム試験環境を含む。フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイは独立型チップテスターとインターフェースを確立し、第1の集合の要件を検証する。フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイが統合化システム内に取り付けられた状態で、試験の集合がフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ上で実行され、第2の集合の要件が検証される。第1の集合の要件は、統合化システムの力学による影響を受けず、第2の集合の要件は統合化システムの力学による影響を受ける。
【0034】
直前の段落のシステムは、追加的および/または代替的に、以下の機能、構成および/または追加構成要素のいずれか1つまたは複数を含むことができる。
【0035】
被試験デバイスのシミュレーションを実行するコンピュータシステム。コンピュータシステムはシミュレーションに基づいて、入力ベクトルおよび検証ベクトルを生成する。入力ベクトルがフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイに提供され、第1の集合の要件を検証する。
【0036】
独立型チップテスターは、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイの出力に基づいて、出力ベクトルを生成するベクトル試験ソフトウェアをさらに含む。ベクトル試験ソフトウェアは、検証ベクトルを出力ベクトルと比較し、第1の集合の要件を検証する。
【0037】
ベクトル試験ソフトウェアは、コンピュータシステムにインストールされる。
【0038】
コンピュータシステムは、試験ベンチに基づいて、被試験デバイスのシミュレーションを実行するように構成される。
【0039】
入力ベクトルは、試験ベンチに基づいてさらに生成される。
【0040】
第1の集合の要件は、いずれも、タイミング要件、調停要件、ハードウェア/ソフトウェア統合化要件、外部論理制御要件、試験モード機能要件、閉ループ動作要件または過渡応答要件を含まない。
【0041】
第2の集合の要件の各々は、タイミング要件、調停要件、ハードウェア/ソフトウェア統合化要件、外部論理制御要件、試験モード機能要件、閉ループ動作要件および過渡応答要件の1つまたは複数を含む。
【0042】
航空機搭載電子ハードウェア標準との適合性についてフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイを検証するための方法は、特に、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイの第1の集合の要件を選択することと、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイの第2の集合の要件を選択することと、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイを独立型チップテスターに取り付けることと、独立型チップテスターにより、第1の集合の要件を検証することと、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイを統合化システムに取り付けることと、統合化システム上で試験を実行し、第2の集合の要件を検証することを含む。第1の集合の要件は、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイが設計されている対象の統合化システムの力学に依存しない。第2の集合の要件は、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイが設計されている対象の統合化システムの力学に依存する。
【0043】
直前の段落の方法は、追加的および/または代替的に、以下の機能、構成および/または追加構成要素のいずれか1つまたは複数を含むことができる。
【0044】
本方法は、コンピュータシステム上で実行されるシミュレーションソフトウェアおよび試験ベンチを使用して、被試験デバイスのシミュレーションを実行することと、シミュレーションおよび試験ベンチの結果に基づいて入力ベクトルおよび検証ベクトルを生成することと、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイが独立型チップテスターに取り付けられた状態で、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイに入力ベクトルを提供することと、独立型チップテスターに取り付けられた状態で、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイにより生成される出力ベクトルを検証ベクトルと比較することとをさらに含む。
【0045】
出力ベクトルの比較は、出力ベクトルを検証ベクトルと比較して、第1の集合の要件を検証することを含む。
【0046】
出力ベクトルの比較は、コンピュータシステム上で実行されるベクトル試験ソフトウェアを使用して、出力ベクトルを検証ベクトルと比較することを含む。
【0047】
第1の集合の要件は、いずれも、タイミング要件、調停要件、ハードウェア/ソフトウェア統合化要件、外部論理制御要件、試験モード機能要件、閉ループ動作要件または過渡応答要件を含まない。
【0048】
第2の集合の要件の各々は、タイミング要件、調停要件、ハードウェア/ソフトウェア統合化要件、外部論理制御要件、試験モード機能要件、閉ループ動作要件および過渡応答要件の1つまたは複数を含む。
【0049】
本発明を例示的な実施形態(単数または複数)を参照しながら記述してきたが、当業者には、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更を加えることが可能であり、同様のものをそれらの要素の代わりに使用し得ることは理解されるであろう。さらに、特定の状況または材料を本発明の教えに適合させるために、本発明の基本的な範囲から逸脱することなく、多数の改変を加えることができる。したがって、本発明は開示された具体的な単数または複数の実施形態に制限されるものではなく、本発明は、付属する特許請求の範囲内に入るあらゆる実施形態を含むものとする。
図1
図2
図3