(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
===開示の概要===
本明細書及び図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
即ち、グリップと、内周面から外周面まで貫通する貫通孔が複数設けられた環状のフレームと、前記グリップと前記フレームとをシャフト軸方向に連結するシャフトと、を備え、前記フレームは、当該フレームの外周面であって前記シャフト軸方向における前記シャフト寄りに、前記フレームとは材質の異なる後端側装着物であって前記フレームに張設されるストリングが掛かる後端側装着物が取り付けられる後端側装着部を有することを特徴とするラケットである。
このようなラケットによれば、フレームとは材質の異なる後端側装着物を取り付けることができるので、後端側装着物を介してストリングが張設されると、材質の異なる後端側装着物ごとに異なる反発特性でシャトルを打つことができるようになる。すなわち、様々な材料の後端側装着物を交換可能に取り付けることができるので、プレーヤーがラケットの特性を調整することができる。このとき、後端側装着部はフレームにおいてシャフト側に設けられるので、ラケットの操作性、振り抜きやすさを犠牲にすることなく、ラケットの特性を調整することができる。
【0012】
また、かかるラケットであって、前記フレームの外周面であって前記シャフト軸方向における前記シャフト寄りに後端側グロメットを備え、前記後端側グロメットは、前記後端側装着部の位置を制限する位置に設けられることを特徴とするラケットである。
このようなラケットによれば、後端側グロメットが後端側装着部の位置を制限するので、後端側装着物の取り付け位置を所定の位置に制限することができる。後端側装着物の取り付け位置は、ラケットにより適切な位置が決まっているところ、上記のようにすることで、後端側装着部の位置を制限することができるので、後端側装着物を適切な位置にのみ取り付けることができる。
【0013】
また、かかるラケットであって、前記後端側グロメットは、第1後端側グロメットと第2後端側グロメットとを含み、前記後端側装着部は、前記フレームの外周面において前記第1後端側グロメットと前記第2後端側グロメットとの間に設けられることを特徴とするラケットである。
このようなラケットによれば、第1後端側グロメットと第2後端側グロメットとの間の位置に後端側装着部の位置を制限することができる。後端側装着物の取り付け位置は、ラケットにより適切な位置が決まっているところ、このようにすることで、後端側装着部の位置を制限することができるので、後端側装着物を適切な位置にのみ取り付けることができる。
【0014】
また、かかるラケットであって、前記後端側装着部は、前記複数の貫通孔のうち少なくとも2つの貫通孔を含み、前記少なくとも2つの貫通孔は、前記後端側装着物に設けられた少なくとも2つの突起部であってストリングが挿通される突起部を挿通可能に形成されることを特徴とするラケットである。
このようなラケットによれば、後端側装着物の少なくとも2つの突起部を後端側装着部の少なくとも2つの貫通孔に挿通することができ、さらに後端側装着物に設けられる少なくとも2つの突起部にストリングを挿通することができるので、挿通側装着物を適切に挿通側装着部に固定することができる。また、少なくとも2つの突起部の挿通孔を跨ぐようにストリングが張設されることで、後端側装着物からの反力がストリングに反映されることになる。よって、後端側装着物を他の材質のものに交換することにより、その反力も異なるようになることから、後端側装着物の交換によりラケットの特性を変化させやすくすることができる。
【0015】
また、かかるラケットであって、前記フレームは、当該フレームの外周面であって前記シャフト軸方向における前記シャフト寄りとは逆寄りに、前記フレームとは材質の異なる先端側装着物であって前記フレームに張設されるストリングが掛かる先端側装着物が取り付けられる先端側装着部を有することを特徴とするラケットである。
このようなラケットによれば、さらに、先端側装着物を取り付けて、ラケットの特性、特にスマッシュのパワー、スピードを増すような調整をすることができる。また、先端側装着物のみを取り付けた場合、ラケットの操作性が悪くなるが、このラケットは後端側装着物を取り付けているので操作性を損なわず、かつスマッシュのパワー、スピードを増すことができる。
【0016】
また、かかるラケットであって、前記フレームの外周面であって前記シャフト軸方向における前記逆寄りに先端側グロメットを備え、前記先端側グロメットは、前記先端側装着物の取り付けられる位置を規定する前記先端側装着部を有することを特徴とするラケットである。
このようなラケットによれば、グロメットに先端側装着部を有し、グロメットが先端側装着物の取り付けられる位置を規定するので、先端側装着物が取り付けられる位置を適切な位置に制限することができる。
【0017】
また、かかるラケットであって、前記先端側グロメットは、前記先端側装着物の前記フレームの周方向の移動を制限する係合部を備えることを特徴とするラケットである。
このようなラケットによれば、先願側グロメットが、フレームの周方向について先端側装着物の移動を制限する係合部を有するので、先端側装着物が移動してしまうのを抑制することができる。
【0018】
===バドミントンラケット1===
図1Aは、本実施形態におけるバドミントンラケット1の平面図である。
図1Bは、本実施形態におけるバドミントンラケット1の側面図である。バドミントンラケット1(以下、単に、「ラケット1」ということがある)は、環状のフレーム10とシャフト20とグリップ30を備える。シャフト20は、環状のフレーム10とグリップ30とを連結する。フレーム10およびシャフト20は、例えば、カーボンファイバーを成形することにより製造される。
【0019】
ラケット1は、左右対称の形状を有している。よって、以下、左右のうちいずれか一方について説明を行う。ラケット1のフレーム10には、先端側グロメット51と後端側グロメット52が取り付けられる。先端側グロメット51は、フレーム10の中心よりも先端側に取り付けられるグロメットである。後端側グロメット52は、フレーム10の中心よりも後端側(シャフト側)に取り付けられるグロメットである。
【0020】
先端側グロメット51は、
図1Aを参照すると2つのグロメットからなるように見えるが、先端側グロメット51はフレーム10の外周に設けられた凹部に嵌め込まれるため、その一部が正面図からは確認できないだけで、
図1Bに示すように1つのグロメットからなる。すなわち、ラケット1には、左右合計で2つの先端側グロメット51が取り付けられる。
【0021】
また、後端側グロメット52は、それぞれ第1後端側グロメット52Aと第2後端側グロメット52Bとを含む。第1後端側グロメット52Aは、第2後端側グロメット52Bよりも、シャフト軸方向において先端側に設けられる後端側グロメットである。第2後端側グロメット52Bは、よりシャフト20に近い位置に設けられるグロメットである。
【0022】
図2は、バドミントンラケット1のフレーム10の拡大図である。
図2には、フレーム10の正面図における拡大図が示されている。また、フレーム10に取り付けられる先端側グロメット51と後端側グロメット52(第1後端側グロメット52A、第2後端側グロメット52Bを含む)も示されている。そして、さらに、先端側重量可変部品61と、後端側重量可変部品62が示されている。
【0023】
ラケット1における先端側グロメット51には、先端側重量可変部品装着部51aが設けられる。また、ラケット1には、後端側重量可変部品装着部10aが設けられる。先端側重量可変部品装着部51には、先端側重量可変部品61が装着される。後端側重量可変部品装着部52には、後端側重量可変部品62が装着される。
【0024】
先端側グロメット51は、
図2に示すフレーム10の正面視において、その端部側(先端側、後端側)から先端側重量可変部品装着部51に向かうにつれて、徐々にその高さが高くなるような厚さに形成されている。そして、先端側重量可変部品装着部51に、先端側重量可変部品61が装着されると、
図2に示すフレーム10の正面視において、破線で示すように、先端側グロメット51における先端側重量可変部品装着部51の段差がほぼなくなる。すなわち、先端側グロメット51と先端側重量可変部品61とが一体となり、フレーム10の円周方向において段差のないほぼ連続的な形状となる。このように段差が極めて少ない形状とすることで、ラケット1を振り抜いたときにおける空気抵抗を小さくすることができる。
【0025】
また、第1後端側グロメット52Aにおいても、
図2に示すフレーム10の正面視において、後端側重量可変部品装着部10aに向かうにつれて、徐々にその高さが高くなるような厚さに形成されている。また、第2後端側グロメット52Bにおいても、
図2に示すフレーム10の正面視において、後端側重量可変部品装着部10aに向かうにつれて、徐々にその高さが高くなるような厚さに形成されている。
【0026】
そして、後端側重量可変部品装着部10aに、後端側重量可変部品62が装着されると、
図2に示すフレーム10の正面視において、後端側グロメット52(第1後端側グロメット52A、第2後端側グロメット52B)と先端側重量可変部品装着部10aとの間の段差がほぼなくなり、フレーム10の円周方向において段差の少ない形状とすることができる。このように段差の少ない形状とすることで、ラケット1を振り抜いたときにおける空気抵抗を小さくすることができる。
【0027】
また、
図2には、先端側グロメット51における略三角形状部51iが示されている。
図2に示されるように、略三角形状部51iは、その底辺がフレーム10の円周外径線に沿い、その頂点がフレーム10の円周外径線よりもフレーム10の内側に設けられるような形状を有している。このようにすることで、ラケット1を振り抜いたときに、空気は、略三角形状部51iの頂点から、略三角形状部51iの底辺以外の辺に沿って、符号Sが示すような方向に抜けていく。このため、ラケットを振り抜いたときにおける空気抵抗を小さくすることができる。
【0028】
図3Aは、先端側重量可変部品61の平面図である。
図3Bは、先端側重量可変部品61の側面図である。以下、これらの図を参照しつつ、先端側重量可変部品61の各部について説明する。
【0029】
図3Bに示されるように、先端側重量可変部品61は先端側グロメット51に沿うように湾曲した先端側重量可変部品基底部61bを有している。そして、先端側重量可変部品基底部61bの上端側(
図3Bにおいて上側)から4つの先端側重量可変部品突起部61cが突出する。また、先端側重量可変部品基底部61bの下端側(
図3Bにおいて下側)からも4つの先端側重量可変部品突起部61cが突出している。これら計8つの先端側重量可変部品突起部61cは、先端側重量可変部品基底部61bの湾曲内側に突出しており、後述するグロメット側突起挿入部51cに挿入される。
【0030】
また、上端側の4つの先端側重量可変部品突起部61cと、下端側の4つの先端側重量可変部品突起部61cと、の間であって、先端側重量可変部品基底部61bの湾曲内側には、4つの先端側重量可変部品凹部61gが形成されている。これら4つの先端側重量可変部品凹部61gには、後述するグロメット側突起部51gが挿入される。
【0031】
また、4つの先端側重量可変部品凹部61gのそれぞれの間には、それぞれ一つの先端側重量可変部品挿通孔61hを有している。また、上端側の先端側重量可変部品突起部61cと、最も上端寄りの先端側重量可変部品凹部61gとの間には2つの先端側重量可変部品挿通孔61hを有している。また、最も下端寄りの先端側重量可変部品凹部61gと下端側の先端側重量可変部品突起部61cとの間には1つの先端側重量可変部品挿通孔61hを有している。さらに、下端側の先端側重量可変部品突起部61cよりも下端側に1つの先端側重量可変部品挿通孔61hを有している。
【0032】
また、
図3Aに示されるように、先端側重量可変部品61は、先端側重量可変部品基底部61bの先端側に2つの先端側重量可変部品上端傾斜部61eを有する。さらに、先端側重量可変部品61は、先端側重量可変部品基底部61bの下端側に2つの先端側重量可変部品下端傾斜部61fを有する。これら、先端側重量可変部品上端傾斜部61eと、先端側重量可変部品下端傾斜部61fは、それぞれ、後述するように、グロメット上側傾斜部51eと、グロメット下側傾斜部51fとに接する。
【0033】
図4Aは、先端側重量可変部品61が取り付けられる前のフレーム10の一部拡大図である。
図4Bは、先端側重量可変部品61が取り付けられたフレーム10の一部拡大図である。
図4Aおよび
図4Bは、それぞれ、前述の
図2で示されたV1の角度からフレーム10を視認したときの図である。
図4Aには、フレーム10と先端側グロメット52が示されている。さらに、
図4Bには、先端側重量可変部品61が示されている。
【0034】
先端側グロメット51は、不図示の複数の突起部を有する。そして、これら複数の突起部には、ストリングを挿通可能な挿通孔が設けられている。先端側グロメット51の複数の突起部の並ぶピッチの組み合わせは、フレーム10の特定の位置における貫通孔の並ぶピッチの組み合わせにのみ一致しており、これにより、先端側グロメット51はフレーム10の特定の位置にしか取り付けができないようになっている。
【0035】
図4Aに示されるように、先端側グロメット51は、フレーム10に取り付けられるように湾曲した先端側グロメット基底部51bを有する。そして、先端側グロメット基底部51bの外周側には、前述の先端側重量可変部品61が装着される部位である先端側重量可変部品装着部51aが設けられる。先端側重量可変部品装着部51aの位置は、グロメット側突起挿入部51c、グロメット側突起部51g、グロメット上側傾斜部51e、および、グロメット下側傾斜部51fによって規定される。
【0036】
また、先端側グロメット51は、先端側グロメット基底部51bの上端側に2箇所のグロメット側突起挿入部51cを有する。グロメット側突起挿入部51cは、それぞれ2つの先端側重量可変部品突起部61gを挿入可能な形状を有している。1つのグロメット側突起挿入部51cに2つの先端側重量可変部品突起部61gが挿入される際、2つの先端側重量可変部品突起部61cがそれぞれ互いに近づくように若干ながら弾性変形して1つのグロメット側突起挿入部51cに挿入される。そして、その弾性力により先端側重量可変部品61が先端側グロメット51に固定される。
【0037】
また、先端側グロメット51は、先端側グロメット基底部51bの下端側にも2箇所のグロメット側突起挿入部51cを有している。やはりここでも、グロメット側突起挿入産51cは、それぞれ2つの先端側重量可変部品突起部61gを挿入可能な形状を有している。1つのグロメット側突起挿入部51cに2つの先端側重量可変部品突起部61gが挿入される際、2つの先端側重量可変突起部61cがそれぞれ互いに近づくように若干ながら弾性変形して1つのグロメット側突起挿入部51cに挿入される。
【0038】
先端側グロメット基底部51bには、上端側の2つのグロメット側突起挿入部51cと、下端側の2つのグロメット側突起挿入部51cと、の間に、4つのグロメット側突起部51gを有している。これら4つのグロメット側突起部51gは、それぞれ先端側重量可変部品凹部61gに挿入される。
【0039】
4つのグロメット側突起部51gのそれぞれの間には、それぞれ1つのグロメット側挿通孔51hが形成されている。また、上端側のグロメット側突起挿入部51cと、最も上端寄りのグロメット側突起部51gと、の間には、2つのグロメット側挿通孔51hが形成されている。また、最も下端寄りのグロメット側突起部51gと、下端側のグロメット側突起挿入部51gと、の間には1つのグロメット側挿通孔51hが形成されている。
【0040】
また、
図4Aに示されるように、先端側グロメット51は、先端側グロメット基底部51bの先端側に2つのグロメット上側傾斜部51eを有する。また、先端側グロメット51は、先端側グロメット基底部51bの下端側に2つのグロメット下側傾斜部51fを有する。
【0041】
先に説明を行った、先端側グロメット51におけるグロメット側突起挿入部51cの位置およびグロメット側突起部51gの位置は、取り付けられる先端側重量可変部品61における先端側重量可変部品突起部61cの位置および先端側重量可変部品凹部61gの位置とそれぞれ一致する。そのため、グロメット側突起挿入部51cに先端側重量可変部品突起部61cが挿入されると、先端側重量可変部品凹部61gにグロメット側突起部51gが適切に挿入されることになる。
【0042】
また、このとき、先端側グロメット51におけるグロメット側挿通孔51hの位置と、先端側重量可変部品61の先端側重量可変部品挿通孔61hの位置とがほぼ一致する。よって、孔の位置が一致したグロメット側挿通孔51fと先端側重量可変部品挿通孔61fにストリングを挿通させることができ、ストリングの張力を利用して両者を適切に固定することができる。このとき、先端側重量可変部品挿通孔61hには、所謂縦ストリング(シャフト軸方向に沿う方向に張られるストリング)と横ストリング(縦ストリングと交差する方向に張られるストリング)が挿通される。なお、これに対し、後述する後端側重量可変部品62の後端側重量可変部品突起部62cに挿通されるのは縦ストリングだけである。
【0043】
ストリングが張設されると、ストリングが先端側重量可変部品61を先端側重量可変部品装着部51aに押しつける。すると、ストリングは、先端側重量可変部品61の反力を受けることになる。反力は、先端側重量可変部品61の材料によって異なるため、先端側重量可変部品61の材質を異なるものへと交換することによって、ラケット1の打感等の特性を異ならせることができる。
【0044】
また、先端側グロメット51に先端側重量可変部品61を取り付けると、グロメット上側傾斜部51eに先端側重量可変部品上端傾斜部61eが接し、グロメット下側傾斜部51fに先端側重量可変部品下端傾斜部61fが接することになる。
【0045】
図4Aに示されるように、先端側グロメット51におけるグロメット上側傾斜部51eは、シャフト軸方向に対して若干傾斜しており、その傾斜角度は、先端側重量可変部品61を先端側グロメット51に取り付けたときに、先端側重量可変部品上端傾斜部51eの有する傾斜角度とほぼ一致する。また、先端側グロメット51におけるグロメット下側傾斜部51fも、シャフト軸方向に対して若干傾斜しており、その傾斜角度は、先端側重量可変部品61を先端側グロメット51に取り付けたときに、先端側重量可変部品下端傾斜部61fの有する傾斜角度とほぼ一致する。
【0046】
このようにすることで、グロメット上側傾斜部51eとグロメット下側傾斜部51fがそれぞれ先端側重量可変部品上端傾斜部61eと先端側重量可変部品下端傾斜部61fに係合し、先端側重量可変部品61の先端側グロメット51に対する移動を制限する。よって、シャトルの打撃時に衝撃が加わったとしても先端側重量可変部品61が移動してしまうのを抑制することができる。
【0047】
また、上記のように、先端側グロメット51が先端側重量可変部品61の取り付けられる位置を規定する先端側重量可変部品装着部51aを有するので、先端側重量可変部品61が取り付けられる位置を適切な位置に制限することができる。
【0048】
また、
図4Aおよび
図4Bには、略三角形状部51iが示されている。また、
図4Aおよび
図4Bには、ラケット1を振り抜いたときにおける空気の流れSが示されている。前述のように、先端側グロメット51は、略三角形状部51iを有しているので、先端側重量可変部品61を装着していない場合においても、ラケット1を振り抜いたときに
図4Aの符号Sに示すような空気の流れを形成することができる。すなわち、空気を適切に逃がすことができるので、ラケット1を振り抜いたときにおける空気抵抗を小さくすることができる。
【0049】
また、先端側重量可変部品61が装着されたときにおいては、
図4Bに示されるように、フレーム10の一方の面側の略三角形状部51iと他方の面側の略三角形状部51iとに挟まれる位置に先端側重量可変部品61が配置されるので、先端側重量可変部品61自体が符号Sに示す空気の流れを邪魔することがない。よって、ラケット1を振り抜いたときにおける空気抵抗を小さくすることができる。
【0050】
図5Aは、後端側重量可変部品62の平面図である。
図5Bは、後端側重量可変部品62の側面図である。後端側重量可変部品62は、後端側重量可変部品基底部62bと後端側重量可変部品突起部62cとを有する。後端側重量可変部品基底部62bは、後端側重量可変部品62がフレーム10に取り付けられたときに、フレーム10の外周に密着する部位であり、後端側重量可変部品突起部62cは、後述する後端側重量可変部品装着部10aの貫通孔10bに挿入される部位である。
【0051】
図6Aは、後端側重量可変部品62が取り付けられる前のフレーム10の一部拡大図である。
図6Bは、後端側重量可変部品62が取り付けられたフレーム10の一部拡大図である。
図6Aおよび
図6Bは、それぞれ、前述の
図2で示されたV2の角度からフレーム10を視認したときの図である。
図6Aには、フレーム10と第1後端側グロメット52Aと第2後端側グロメット52Bが示されている。
図6Bには、さらに、後端側重量可変部品62が示されている。
【0052】
第1後端側グロメット52Aは、不図示の複数の突起部を有する。そして、これら複数の突起部には、ストリングを挿通可能な挿通孔が設けられている。また、第2後端側グロメット52Bも、不図示の複数の突起部を有する。そして、これらの複数の突起部にも、ストリングを挿通可能な挿通孔が設けられている。
【0053】
第1後端側グロメット52Aの複数の突起部は、突起部のピッチおよびフレーム10における貫通孔の径による制限により、フレーム10の特定の位置にしか取り付けができないようになっている。また、同様に、第2後端側グロメット52Bの複数の突起部も、突起部のピッチおよびフレーム10における貫通孔の径による制限により、フレーム10の特定の位置にしか取り付けができないようになっている。
【0054】
第1後端側グロメット52Aと第2後端側グロメット52Bは、後端側重量可変部品62が取り付けられる後端側重量可変部品装着部10aの位置を規定する。後端側重量可変部品装着部10aは、フレーム10の外周面において、第1後端側グロメット52Aと第2後端側グロメット52Bとの間に挟まれる部位である。
【0055】
後端側重量可変部品装着部10aは、第1後端側グロメット52Aと第2後端側グロメット52Bとの間に挟まれる位置の貫通孔10bを含む。この後端側重量可変部品装着部10aの2つの貫通孔10bのピッチは、2つの後端側重量可変部品突起部62cのピッチと等しい。そして、フレーム10の貫通孔とグロメットの挿通孔のピッチ、および、フレーム10の貫通孔とグロメットの挿通孔の径による制限により、後端側重量可変部品62は後端側重量可変部品装着部10aにしか取り付けができないようになっている。換言すれば、2つの後端側重量可変部品突起部62cは、これら2つの貫通孔10bにしか挿通することができない。
【0056】
また、
図6Aを参照すると、第1後端側グロメット52Aは、最大幅部から上端側に向かうにつれて幅が徐々に細くなる形状となっている。また、第1後端側グロメット52Aは、下端側において窪み部を有するものの、やはり、最大幅部から下端側に向かうにつれて幅が徐々に細くなる形状を有している。このようにすることによって、後端側重量可変部品62を装着していないときにおいても、ラケット1を振り抜いたときに、符号Sで示すような空気の流れを形成することができる。すなわち、空気を逃がすことができるので空気抵抗を小さくすることができる。
【0057】
また、
図6Bに示すように、後端側重量可変部品62を装着した場合においては、第1後端側グロメット52Aの最大幅部から後端側重量可変部品62と第2後端側グロメット52Bにかけて、徐々に幅が細くなっている。そのため、ラケット1を振り抜いたときに、符号Sに示すような空気の流れを形成することができる。すなわち、空気を逃がすことができるので、空気抵抗を小さくすることができる。
【0058】
図6Cは、後端側重量可変部品62におけるストリング40の張り方の説明図である。後端側重量可変部品突起部62cには、ストリングを通す突起部挿通孔62dが設けられている。そして、突起部挿通孔62にストリング40を挿通させるときには、
図6Cに示されるように、2つの突起部挿通孔62を跨ぐようにストリング40が張設される。このようにすることで、後端側重量可変部品62を後端側重量可変部品装着部10aに確実に固定することができる。
【0059】
また、ストリング40が後端側重量可変部品62を後端側重量可変部品装着部10aに押しつけるように張設されているので、ストリング40は後端側重量可変部品62からの反力を受けることになる。反力は、後端側重量可変部品62の材料によって異なるため、後端側重量可変部品62を材質の異なるものへと交換することによって、ラケット1の打感等の特性を異ならせることができる。なお、このことは、先端側重量可変部品61においても同様に当てはまる。
【0060】
上記のように、後端側重量可変部品62はシャフト20に近い位置に取り付けられるようになっている。そして、後端側重量可変部品62には、縦ストリングのみが挿通される。シャフト20に近い位置の縦ストリングは、ラケット1のスイートスポットに影響を与えやすいストリングであるため、後端側重量可変部品62を材質の異なるものへと交換することによって、ラケット1の打感等の特性をより変化しやすくすることができる。
【0061】
また、後端側重量可変部品装着部10aがフレーム10において後端側(シャフト20側)に設けられているので、フレーム10の後端側に後端側重量可変部品62を取り付けることができ、ラケット1の操作性、振り抜きやすさを損なうことなくラケット1の特性を調整することができる。また、後端側重量可変部品62の適切な取り付け位置は、
図6Aおよび
図6Bにおいて示される後端側重量可変部品装着部10aとされている。そのため、本実施形態では、前述のように、第1後端側グロメット52Aと第2後端側グロメット52Bを、フレーム10の後端側に取り付けることとし、これらの間にのみ、先端側重量可変部品61を取り付けられるようにしている。
【0062】
このように、本実施形態におけるラケット1によれば、第1後端側グロメット52Aと第2後端側グロメット52Bとが、後端側重量可変部品装着部10aの位置を制限するので、先端側重量可変部品61の取り付け位置を所定の位置に制限することができる。後端側重量可変部品装着部10aの取り付け位置は、前述のように、ラケット1により適切な位置が決まっているところ、上記のようにすることで、後端側重量可変部品装着部10aの位置を制限することができるので、後端側重量可変部品61を適切な位置にのみ取り付けることができる。
【0063】
また、本実施形態におけるラケット1によれば、前述のように、先端側重量可変部品61がフレーム10の先端側に装着され、これによりラケットの特性、特にスマッシュのパワー、スピートを増すような調整をすることができる。このとき、先端側重量可変部品61のみを装着した場合にはラケット1の操作性が悪化するおそれがあるが、本実施形態におけるラケット1はフレーム10の後端側に後端側重量可変部品61を装着することができるので、操作性を損なわず、かつ、スマッシュのパワー、スピードを増すことができる。
【0064】
次に、先端側重量可変部品61と後端側重量可変部品62の材料について説明する。先端側重量可変部品61および後端側重量可変部品62の材料としては、例えば、ナイロン等を採用することができる。また、以下に、先端側重量可変部品61および後端側重量可変部品62で採用される材料の引張弾性率の一例を示す。
【0066】
このように、予め、材料を異ならせて製造された先端側重量可変部品61や後端側重量可変部品62を用意しておき、これをラケット1に適宜選択して交換することで、引張弾性率が異なる先端側重量可変部品61や後端側重量可変部品62の特性を導入したラケット1を使用することができるようになる。すなわち、先端側重量可変部品61を他の材料の先端側重量可変部品61と交換することで、異なる特性を有するラケット1に変化させることができることになる。また、後端側重量可変部品62を他の材料の後端側重量可変部品62と交換することで、異なる特性を有するラケット1へと変化させることができることになる。
【0067】
ラケット1の特性が異なると、シャトルを打ったときの打感が変化する。また、スマッシュを打ったときにおけるシャトルの初速も変化することになる。よって、プレーヤーは自己の好みの打感を有するように先端側重量可変部品61や後端側重量可変部品62を選択して取り付け、好みの特性を有するラケット1を用いてプレーを行うことができる。
【0068】
なお、使用される材料が異なれば、これに伴って重量も異なることになる。例えば、先端側重量可変部品61には、0.2〜0.4gのものを採用することができる。また、後端側重量可変部品62には、0.2〜0.3gのものを採用することができる。
【0069】
本実施形態におけるラケット1によれば、重量可変部品を後端側に取り付けることとしているので、スイングウェイトを分散させ振り抜きやすさを維持しつつ、ラケット1の特性を変化させることができる。
【0070】
また、
図2に示されるように、先端側重量可変部品61が先端側グロメット51に取り付けられると、これらは外周面においてほぼ一体化されたように流線型を有する形状となる。このため、ラケット1を振り抜いたときにおける空気抵抗を小さくすることができる。また、後端側重量可変部品62の高さが、第1後端側グロメット52Aおよび第2後端側グロメット52Bの高さとほぼ一致するため、この点においても空気抵抗を小さくすることができている。さらに、後端側重量可変部品62においては、後端側重量可変部品基底部62bは、後端側重量可変部品62がフレーム10に取り付けられたときに、フレーム10の外周に密着する形状を有しているため、この点においても空気抵抗を小さくすることができている。
【0071】
===その他の実施形態===
上記の実施形態では、先端側重量可変部品61も取り付けることができるラケット1を説明したが、後端側重量可変部品62を取り付け可能な後端側重量可変部品装着部10aのみを有するラケット1であってもよい。
【0072】
また、後端側重量可変部品装着部10aは、第1後端側グロメット52Aと第2後端側グロメット52Bとでその位置が規定されていたが、1つの後端側グロメットによりその位置が規定されることとしてもよい。すなわち、第2後端側グロメット52Bを有さず、シャフト20に最も近い位置を後端側重量可変部品装着部10aとすることもできる。
【0073】
また、上記の実施形態では、先端側重量可変部品61を先端側グロメット51上に取り付ける構成としたが、後端側重量可変部品62の取り付け手法と同様に、フレーム10に直接取り付ける構成としてもよい。また、上記の実施形態では、後端側重量可変部品62をフレーム10に直接取り付ける構成としたが、先端側重量可変部品61の取り付け手法と同様にグロメット上に取り付ける構成としてもよい。
【0074】
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
【0075】
すなわち、上記の実施形態では、フレーム10内にストリングを張設していないラケット1を例に説明を行ったが、ストリングが張られたラケット1でもよいことは言うまでもない。
【0076】
また、ラケット1は、後端側重量可変部品装着部10aを有していればよく、仮に、後端側重量可変部品62を後端側重量可変部品装着部10aに装着していなくても、本実施形態の範疇である。
【0077】
上記の実施形態においては、ラケットの一例としてバドミントンラケットで説明を行ったが、上記技術の適用はバドミントンラケットに限定されるものではない。たとえば、テニスやスカッシュ等のラケットにも適用することができる。