特許第6263447号(P6263447)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6263447
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】超音波診断装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/14 20060101AFI20180104BHJP
【FI】
   A61B8/14
【請求項の数】15
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2014-133452(P2014-133452)
(22)【出願日】2014年6月30日
(65)【公開番号】特開2016-10523(P2016-10523A)
(43)【公開日】2016年1月21日
【審査請求日】2016年9月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】300019238
【氏名又は名称】ジーイー・メディカル・システムズ・グローバル・テクノロジー・カンパニー・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(72)【発明者】
【氏名】小出 徹雄
(72)【発明者】
【氏名】橋本 浩
(72)【発明者】
【氏名】関 正志
【審査官】 樋熊 政一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−150787(JP,A)
【文献】 特開2014−036754(JP,A)
【文献】 特開2002−102223(JP,A)
【文献】 特開平09−201358(JP,A)
【文献】 特開2010−194146(JP,A)
【文献】 特開2009−090120(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/059668(WO,A1)
【文献】 特開2012−055346(JP,A)
【文献】 特表2006−508731(JP,A)
【文献】 特開2008−086742(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/164892(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00−8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体に対する超音波の送受信を行なう超音波プローブと、
該超音波プローブによる超音波の走査面の移動を検出する移動検出部と、
前記被検体に対する第一の三次元超音波走査における複数の第一走査面の位置情報を記憶する記憶部と、
該記憶部に記憶された前記位置情報に基づいて、前記複数の第一走査面の位置を示す第一画像を表示部に表示させ、操作者が前記超音波プローブを動かして前記被検体に対する第二の三次元超音波走査を行なうことによって形成される複数の第二走査面の位置を示す第二画像を、前記移動検出部の検出情報に基づいて前記表示部に表示させる画像表示制御部であって、前記第一走査面と前記第二走査面の位置関係が互いに対応するように前記第一画像及び前記第二画像を表示させる画像表示制御部と、
を備え
前記第一画像は、所定時間毎の前記第一走査面の位置を示し、
前記第二画像は、所定時間毎の前記第二走査面の位置を示し、
前記第一画像及び前記第二画像は、互いに時間的に対応する前記第一走査面及び前記第二走査面を示しており、
前記画像表示制御部は、前記被検体における前記複数の第一走査面同士の相対的位置関係に対応する位置関係を有するように前記第一画像を表示させ、前記被検体における前記複数の第二走査面同士の相対的位置関係に対応する位置関係を有するように前記第二画像を表示させる、ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
前記第一の三次元超音波走査は、前記超音波プローブを動かして前記第二の三次元超音波走査とは別に前記被検体に対して行われた走査であり、前記第一走査面の位置情報は、前記超音波プローブによって前記第一の三次元超音波走査が行われた時における前記移動検出部の検出情報に基づいて特定されることを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記第一の三次元超音波走査は、仮想の超音波走査であり、前記第一走査面の位置情報は、予め設定されて前記記憶部に記憶された情報であることを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記移動検出部は、所定の点を原点とする座標系における前記第二走査面の位置を検出するものであり、
前記第一走査面の位置情報は、前記所定の点を原点とする座標系における位置情報であり、
前記画像表示制御部は、前記所定の点を原点とする座標系において特定される前記第一走査面及び前記第二走査面の位置に基づいて、前記第一画像及び前記第二画像を表示させる
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記画像表示制御部は、複数の前記第一走査面のうち走査開始面である第一走査開始面と、複数の前記第二走査面のうち前記第一走査開始面と前記被検体において同一の位置であって走査開始面である第二走査開始面とを、前記表示部において同じ位置に表示させ、前記記憶部の位置情報から特定される複数の前記第一走査面の相対的な位置関係に基づいて、前記第一走査開始面を除く他の前記第一走査面を表示させ、前記移動検出部による検出情報から特定される複数の前記第二走査面の相対的な位置関係に基づいて、前記第二走査開始面を除く他の前記第二走査面を表示させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項6】
互いに時間的に対応する前記第一走査面と前記第二走査面との位置関係に基づいて、前記超音波プローブの動きを評価する評価部と、
該評価部の評価結果を報知する報知部と、
を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項7】
前記移動検出部は、磁気発生部と、前記超音波プローブに設けられ前記磁気発生部の磁気を検出する磁気検出部と、該磁気検出部の磁気検出信号に基づいて、前記磁気発生部を原点とする座標系における前記走査面の位置を特定する位置特定部とを含んで構成されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項8】
前記移動検出部は、前記超音波プローブに設けられた加速度センサと、該加速度センサの検出信号に基づいて、前記走査面の移動を算出する移動算出部とを含んで構成されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項9】
前記移動検出部は、前記超音波プローブに設けられ可視光又は可視光以外の波長の光を発する発光部と、該発光部の光を検出する光検出部の検出信号に基づいて、前記走査面の移動を算出する移動算出部と、を含んで構成されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項10】
前記移動検出部は、異なる超音波の走査面における超音波画像の相関に基づいて、前記異なる超音波の走査面の間の距離を検出することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項11】
前記第一画像は、前記第一の三次元超音波走査の三次元領域を示す第一の三次元領域画像を含み、
前記第二画像は、前記第二の三次元超音波走査が行われた三次元領域を示す第二の三次元領域画像を含む
ことを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項12】
前記第二の三次元領域画像が示す第二の三次元領域が、前記第一の三次元領域画像が示す第一の三次元領域よりも小さい場合、警告を報知する警告報知部を備えることを特徴とする請求項11に記載の超音波診断装置。
【請求項13】
前記第二の三次元領域が、前記第一の三次元領域よりも小さく、該第一の三次元領域において前記第二の三次元超音波走査が行われていない未走査領域が存在している場合、該未走査領域への前記超音波プローブによる超音波の走査を誘導するガイド情報を報知するガイド情報報知部を備えることを特徴とする請求項11又は12に記載の超音波診断装置。
【請求項14】
前記第一の三次元領域に、前記第二走査面が含まれていない場合に、警告を報知する警告報知部を備えることを特徴とする請求項12に記載の超音波診断装置。
【請求項15】
被検体に対する超音波の送受信を行なう超音波プローブによる超音波の走査面の移動を検出する移動検出機能と、
前記被検体に対する第一の三次元超音波走査における複数の第一走査面の位置情報に基づいて、前記複数の第一走査面の位置を示す第一画像を表示部に表示させ、操作者が前記超音波プローブを動かして前記被検体に対する第二の三次元超音波走査を行なうことによって形成される複数の第二走査面の位置を示す第二画像を、前記移動検出機能の検出情報に基づいて前記表示部に表示させる画像表示制御機能であって、前記第一走査面と前記第二走査面の位置関係が互いに対応するように前記第一画像及び前記第二画像を表示させる画像表示制御機能と、
を超音波診断装置のプロッセッサーに実行させるプログラムであって、
前記第一画像は、所定時間毎の前記第一走査面の位置を示し、
前記第二画像は、所定時間毎の前記第二走査面の位置を示し、
前記第一画像及び前記第二画像は、互いに時間的に対応する前記第一走査面及び前記第二走査面を示しており、
前記画像表示制御機能は、前記被検体における前記複数の第一走査面同士の相対的位置関係に対応する位置関係を有するように前記第一画像を表示させ、前記被検体における前記複数の第二走査面同士の相対的位置関係に対応する位置関係を有するように前記第二画像を表示させる、
プログラム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作者が超音波プローブを動かすことによって超音波の走査を三次元的に行なう超音波診断装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置では、超音波プローブから被検体内に超音波を送信し、被検体内から反射されてくるエコー信号を超音波プローブで受信する。そして、受信したエコー信号に基づいてBモード画像などの超音波画像が作成され表示される。
【0003】
このような超音波診断装置において、三次元の領域に対する超音波の送受信を行なって超音波のボリュームデータを取得する場合がある。このボリュームデータは、メカニカル3Dプローブなどの3Dプローブによって取得される場合もあるが、操作者が超音波プローブの角度を変えたり、移動させたりして、三次元の領域に対する超音波の送受信を行なって超音波のボリュームデータを取得する場合もある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4137516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように操作者が超音波プローブを動かして超音波のボリュームデータを取得する場合、特に初心者は超音波プローブの動かし方が不慣れであり、例えば、熟練者と比較して超音波プローブの動かし方が速すぎたり遅すぎたりする場合がある。また、初心者が熟練者とは異なる領域に対する超音波の走査を行なう場合もある。そこで、操作者が超音波プローブを動かすことによって三次元超音波走査を行なう場合に、未熟な操作者を支援する手段が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するためになされた一の観点の発明は、被検体に対する超音波の送受信を行なう超音波プローブと、この超音波プローブによる超音波の走査面の移動を検出する移動検出部と、前記被検体に対する第一の三次元超音波走査における複数の第一走査面の位置情報を記憶する記憶部と、この記憶部に記憶された前記位置情報に基づいて、前記第一走査面の位置を示す第一画像を表示部に表示させ、操作者が前記超音波プローブを動かして前記被検体に対する第二の三次元超音波走査を行なうことによって形成される複数の第二走査面の位置を示す第二画像を、前記移動検出部の検出情報に基づいて前記表示部に表示させる画像表示制御部であって、前記第一走査面と前記第二走査面の位置関係が互いに対応するように前記第一画像及び前記第二画像を表示させる画像表示制御部と、を備えることを特徴とする超音波診断装置である。
【発明の効果】
【0007】
上記観点の発明によれば、前記第一走査面と前記第二走査面の位置関係が互いに対応するように前記第一画像及び前記第二画像が表示される。例えば、所定時間毎の前記第一走査面の位置情報が、理想的な超音波プローブの動きに対応したものであり、所定時間毎の前記第二走査面の位置情報が、未熟な操作者による超音波プローブの動きに伴うものである場合、未熟な操作者は前記第一画像と前記第二画像を比較することにより、理想的な超音波プローブの動きを知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第一実施形態における超音波診断装置の概略構成の一例を示すブロック図である。
図2図1に示された超音波診断装置における表示処理部の構成を示すブロック図である。
図3】表示部に表示された第一画像を示す図である。
図4】互いに隣り合う第一走査面の時間間隔を説明する図である。
図5】第一画像とともに第二画像が表示された表示部を示す図である。
図6】互いに隣り合う第一走査面の時間間隔と互いに隣り合う第二走査面の時間間隔とを説明する図である。
図7】第一の三次元領域画像を含む第一画像と第二の三次元領域画像を含む第二画像が表示された表示部を示す図である。
図8】警告画像が表示された表示部を示す図である。
図9】ガイド画像が表示された表示部を示す図である。
図10】第一実施形態の第二変形例における表示処理部の構成を示すブロック図である。
図11】第一実施形態の第二変形例において、第一走査面と第二走査面の距離の一例を説明する図である。
図12】第一実施形態の第二変形例において、第一走査面と第二走査面のうち一方を他方に投影した場合の両者の重なった部分の一例を示す図である。
図13】第一実施形態の第二変形例において、警告画像が表示された表示部を示す図である。
図14】第一実施形態の第三変形例における制御部の機能を示すブロック図である。
図15】本発明の第二実施形態における超音波診断装置の概略構成の一例を示すブロック図である。
図16図15に示された超音波診断装置における表示処理部の構成を示すブロック図である。
図17】本発明の第三実施形態における超音波診断装置の概略構成の一例を示すブロック図である。
図18】第一画像及び第二画像とともに速度変化画像が表示された表示部を示す図である。
図19図18に示された速度変化画像の拡大図である。
図20】超音波プローブの移動を説明する図である。
図21】数値を含む速度変化画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
(第一実施形態)
先ず、第一実施形態について説明する。図1に示す超音波診断装置1は、超音波プローブ2、送受信ビームフォーマ3、エコーデータ処理部4、表示処理部5、表示部6、操作部7、制御部8、記憶部9を備える。
【0010】
前記超音波プローブ2は、アレイ状に配置された複数の超音波振動子(図示省略)を有して構成され、この超音波振動子によって被検体に対して超音波を送信し、そのエコー信号を受信する。
【0011】
前記超音波プローブ2には、例えばホール素子で構成される前記磁気センサ10が設けられている。この磁気センサ10により、例えば磁気発生コイルで構成される磁気発生部11から発生する磁気が検出されるようになっている。前記磁気センサ10における検出信号は、前記表示処理部5へ入力されるようになっている。前記磁気センサ10における検出信号は、図示しないケーブルを介して前記表示処理部5へ入力されてもよいし、無線で前記表示処理部5へ入力されてもよい。前記磁気発生部11及び前記磁気センサ10は、後述のように前記超音波プローブ2の位置(前記超音波プローブ2の傾きを含む)を検出するために設けられている。前記磁気センサ10は、本発明における磁気検出部の実施の形態の一例である。また、前記磁気発生部11は、本発明における磁気発生部の実施の形態の一例である。
【0012】
前記送受信ビームフォーマ3は、前記超音波プローブ2から所定の走査条件で超音波を送信するための電気信号を、前記制御部8からの制御信号に基づいて前記超音波プローブ2に供給する。また、前記送受信ビームフォーマ3は、前記超音波プローブ2で受信したエコー信号について、A/D変換、整相加算処理等の信号処理を行ない、信号処理後のエコーデータを前記エコーデータ処理部4へ出力する。
【0013】
前記エコーデータ処理部4は、前記送受信ビームフォーマ3から出力されたエコーデータに対し、超音波画像を作成するための処理を行なう。例えば、前記エコーデータ処理部4は、対数圧縮処理、包絡線検波処理等のBモード処理を行ってBモードデータを作成する。
【0014】
前記表示処理部5は、図2に示すように、位置特定部51、超音波画像データ作成部52、画像表示制御部53を有する。前記位置特定部51は、前記磁気センサ10からの磁気検出信号に基づいて、前記磁気発生部11を原点とする三次元空間の座標系における前記超音波プローブ2の位置情報(以下、「プローブ位置情報」と云う)を算出する。さらに、前記位置特定部51は、前記プローブ位置情報に基づいてエコー信号の前記三次元空間の座標系における位置情報を算出する。この位置情報の算出により、前記超音波プローブ2による超音波の走査面の前記三次元空間の座標系における位置情報が特定される。前記磁気センサ10は、本発明における磁気検出部の実施の形態の一例である。また、前記磁気発生部11は、本発明における磁気発生部の実施の形態の一例である。前記位置特定部51は、本発明における位置特定部の実施の形態の一例である。また、前記磁気発生部11を原点とする三次元空間の座標系は、本発明において、所定の点を原点とする座標系の実施の形態の一例である。
【0015】
前記超音波画像データ作成部52は、前記エコーデータ処理部4から入力されたデータを、スキャンコンバータ(Scan Converter)によって走査変換して超音波画像データを作成する。例えば、前記超音波画像データ作成部52は、Bモード画像データを走査変換してBモード画像データを作成する。前記スキャンコンバータによる走査変換前のデータをローデータ(raw data)というものとする。
【0016】
前記画像表示制御部53は、前記超音波画像データに基づいて前記表示部6に超音波画像を表示させる。超音波画像は、例えば前記Bモード画像データに基づくBモード画像である。
【0017】
また、前記画像表示制御部53は、後述の図3及び図5等に示すように、所定時間毎の第一走査面SP1の位置を示す第一画像G1を前記表示部6に表示させる。また、前記画像表示制御部53は、三次元領域における前記超音波プローブ2の動きに伴って位置が変化する超音波の第二走査面SP2の所定時間毎の位置を示す第二画像G2を前記表示部6に表示させる。詳細は後述する。前記三次元領域は、前記磁気発生部11を原点とする三次元空間の座標系における領域である。前記画像表示制御部53は、本発明における画像表示制御部の実施の形態の一例である。
【0018】
前記表示部6は、LCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)などである。前記操作部7は、操作者が指示や情報を入力するためのキーボード及びポインティングデバイス(図示省略)などを含んで構成されている。
【0019】
前記制御部8は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサーである。この制御部8は、前記記憶部9に記憶されたプログラムを読み出し、前記超音波診断装置1の各部を制御する。例えば、前記制御部8は、前記記憶部9に記憶されたプログラムを読み出し、読み出されたプログラムにより、前記送受信ビームフォーマ3、前記エコーデータ処理部4及び前記表示処理部5の機能を実行させる。
【0020】
前記制御部8は、前記送受信ビームフォーマ3の機能のうちの全て、前記エコーデータ処理部4の機能のうちの全て及び前記表示処理部5の機能のうちの全ての機能をプログラムによって実行してもよいし、一部の機能のみをプログラムによって実行してもよい。前記制御部8が一部の機能のみを実行する場合、残りの機能は回路等のハードウェアによって実行されてもよい。
【0021】
なお、前記送受信ビームフォーマ3、前記エコーデータ処理部4及び前記表示処理部5の機能は、回路等のハードウェアによって実現されてもよい。
【0022】
前記記憶部9は、HDD(Hard Disk Drive:ハードディスクドライブ)や、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等の半導体メモリ(Memory)などである。前記記憶部9には、前記制御プログラムの他、前記第一走査面SP1の所定時間毎の位置情報が記憶されている。この第一走査面の所定時間毎の位置情報は、前記磁気発生部11を原点とする三次元空間の座標系における位置情報であってもよいし、複数の前記第一走査面の互いの位置関係を特定する相対的な位置情報であってもよい。
【0023】
さて、本例の超音波診断装置1の作用について説明する。先ず、熟練の操作者が、前記超音波プローブ2によって被検体Pの所定の部位に対し、超音波の走査を行なう。熟練の操作者を第一操作者OP1と云うものとする。第一操作者OP1は、前記超音波プローブ2を動かして、三次元領域の複数の走査面について超音波の走査を行なう。前記第一操作者OP1による走査面を第一走査面SP1と云うものとする。また、前記第一操作者OP1による超音波の走査を第一の三次元超音波走査と云うものとする。
【0024】
前記超音波プローブ2によって取得されたエコー信号に基づくデータは、前記記憶部9に記憶される。この記憶部9に記憶されるデータは、ローデータであってもよいし、超音波画像データであってもよい。また、前記記憶部9には、前記エコー信号に基づくデータの他、このエコー信号に基づくデータの位置情報も記憶される。この位置情報は、前記位置特定部51によって得られた位置情報であり、前記磁気発生部11を原点とする三次元空間の座標系における位置情報である。また、前記位置情報は、前記エコー信号の取得時間に関する時間情報とともに記憶される。これにより、前記三次元領域における複数の第一走査面SP1の所定時間毎の位置情報が記憶されたことになる。
【0025】
次に、前記被検体Pにおいて、前記第一操作者OP1が超音波の送受信を行なった部位と同じ部位について、未熟な操作者が超音波の送受信を行なう。未熟な操作者を第二操作者OP2と云うものとする。
【0026】
詳細に説明すると、先ず第二操作者OP2は、第一操作者OP1が超音波の送受信を開始した走査面SP1と被検体Pにおいて同一の面について、前記超音波プローブ2による超音波の送受信を行なう。第二操作者OP2は、例えば前記超音波プローブ2で得られたエコー信号に基づくリアルタイム(real time)のBモード画像を見ながら、同一面か否かを判断する。
【0027】
第二操作者OP2は、同一面であると判断した後、前記超音波プローブ2を動かしながら、三次元領域の複数の走査面について超音波の送受信を開始する。第二操作者OP2は、三次元領域についての超音波の送受信を開始する前に、前記操作部7において、開始ボタンを押す。この開始ボタンが押されると、前記画像表示制御部53は、図3に示すように、所定時間t毎の前記第一走査面SP1の位置を示す第一画像G1を前記表示部6に表示させる。第一画像G1は、前記第一走査面SP1の輪郭を示す第一輪郭線OL1を含む。
【0028】
図3では、前記第一走査面SP1として、四つの第一走査面SP1A〜SP1Dが示されている。ちなみに、前記第一走査面SP1Aが、第一操作者OP1が超音波の走査を開始した面である。前記第一走査面SP1Aは、本発明における第一走査開始面の実施の形態の一例である。図4に示すように、互いに隣り合う第一走査面SP1の時間間隔は、前記所定時間tになっている。
【0029】
前記画像表示制御部53は、前記記憶部9に記憶された前記第一走査面SP1の所定時間t毎の位置情報によって特定される位置関係になるように前記第一走査面SP1A〜SP1Dを表示させる。
【0030】
前記第一画像G1が表示されると、前記第二操作者OP2は、前記超音波プローブ2を動かしながら、三次元領域の複数の走査面について超音波の送受信を行なう。前記第二操作者OP2による走査面を第二走査面SP2と云うものとする。前記第二操作者OP2による超音波の走査を、第二の三次元超音波走査と云うものとする。
【0031】
前記画像表示制御部53は、図5に示すように、前記超音波プローブ2の動きに伴って位置が変化する前記第二走査面SP2の所定時間t毎の位置を示す第二画像G2を前記表示部6に表示させる。前記画像表示制御部53は、前記位置特定部51によって特定される走査面の位置情報に基づいて、前記第二画像G2を表示させる。前記第二画像G2は、前記第二走査面SP2の輪郭を示す第二輪郭線OL2を含んでいる。この第二輪郭線OL2は、前記第一輪郭線OL1とは異なる色で表示されていてもよい。ちなみに、前記第一輪郭線OL1は、図において破線で示されているが、実線であってもよい。
【0032】
図5では、前記第二走査面SP2として、四つの第二走査面SP2A〜SP2Dが示されている。前記第二走査面SP2Aが、第二操作者OP2が超音波の走査を開始した面である。前記第二走査面SP2Aは、本発明における第二走査開始面の実施の形態の一例である。前記画像表示制御部53は、前記第一走査面SP1と前記第二走査面SP2の所定時間t毎の位置関係が互いに対応するように前記第一画像G1及び前記第二画像G2を表示させる。具体的には、前記第一走査面SP1A及び前記第二走査面SP2A、前記第一走査面SP1B及び前記第二走査面SP2B、前記第一走査面SP1C及び前記第二走査面SP2C、前記第一走査面SP1D及び前記第二走査面SP2Dが、同一時刻の走査面である。そして、図6に示すように、互いに隣り合う第一走査面SP1の時間間隔は、前記所定時間tになっているとともに、互いに隣り合う第二走査面SP2の時間間隔は、前記所定時間tになっている。
【0033】
ちなみに、前記第一操作者OP1による超音波の送受信の時と、前記第二操作者OP2による超音波の送受信の時とで、前記被検体Pの位置が変わっていてもよいし、変わっていなくてもよい。前記被検体Pの位置が変わっていない場合、前記記憶部9に記憶された前記第一走査面SP1の位置情報と、前記位置特定部51によって特定されるリアルタイムの前記第二走査面SP2の位置情報において、被検体Pにおける同一部分は、ともに前記磁気発生部11を原点とする座標系において、同一座標になる。従って、前記画像表示制御部53は、前記記憶部9に記憶された位置情報と前記位置特定部51で得られる位置情報により、前記磁気発生部11を原点とする座標系において特定される前記第一走査面SP1及び前記第二走査面SP2の位置に基づいて、前記第一画像G1及び前記第二画像G2を表示させる。これにより、前記第一走査面SP1及び前記第二走査面SP2を、互いに位置関係が対応するように表示することができる。
【0034】
一方、前記被検体Pの位置が変わった場合であっても、前記画像表示制御部53は、前記第一走査面SP1及び前記第二走査面SP2を、互いに位置関係が対応するように表示することができる。具体的には、前記記憶部9の位置情報に基づいて、複数の前記第一走査面SP1同士の相対的な位置関係を特定することができる。また、前記位置特定部51で特定される前記第二走査面SP2の位置情報に基づいて、複数の前記第二走査面SP2同士の相対的な位置関係を特定することができる。
【0035】
従って、例えば複数の前記第一走査面SP1のうち走査開始面である前記第一走査面SP1Aと、複数の前記第二走査面SP2のうち走査開始面である前記第二走査面SP2Aの位置が、被検体において同一であれば、前記画像表示制御部53は、前記記憶部9に記憶された位置情報と前記位置特定部51で特定される位置情報とに基づいて前記第一走査面SP1及び前記第二走査面SP2を表示させることにより、これら第一走査面SP1及び第二走査面SP2を、互いに位置関係が対応するように表示することができる。
【0036】
より詳細には、前記画像表示制御部53は、前記第一走査面SP1A及び前記第二走査面SP2Aを、前記表示部6において同じ位置に表示させる。また、前記画像表示制御部53は、前記記憶部9に記憶された位置情報から特定される前記第一走査面SP1A〜SP1Dの相対的な位置関係に基づいて、前記第一走査面SP1Aを除く他の前記第一走査面SP1B,SP1C,SP1Dを前記表示部6に表示させる。また、前記画像表示制御部53は、前記位置特定部51で得られる位置情報から特定される前記第二走査面SP2A〜SP2Dの相対的な位置関係に基づいて、前記第二走査面SP2Aを除く他の前記第二走査面SP2B,SP2C,SP2Dを前記表示部6に表示させる。これにより、前記第一走査面SP1及び前記第二走査面SP2を、互いに位置関係が対応するように表示することができる。
【0037】
図5及び図6において、同一時刻の第一走査面SP1及び第二走査面SP2のうち、前記第一走査面SP1A及び前記第二走査面SP2A、前記第一走査面SP1D及び前記第二走査面SP2Dは、同一の位置になっているが、他の第一走査面SP1及び第二走査面SP2は、異なる位置になっている。これは、第一操作者OP1による超音波プローブ2の動かし方と、第二操作者OP2による超音波プローブ2の動かし方とが異なることを意味する。具体的には、前記第一走査面SP1A〜SP1Dの間隔は等しくなっているので、第一操作者OP1は、前記超音波プローブ2を一定の速さで動かしている。
【0038】
一方、前記第二走査面SP2A〜SP2Dの間隔は等しくなっていない。前記第二走査面SP2A及び前記第二走査面SP2Bの間隔が他に比べて一番小さく、前記第二走査面SP2B及び前記第二走査面SP2Cの間隔、前記第二走査面SP2C及び前記第二走査面SP2Dの間隔の順で広くなる。これは、第二操作者OP2は、前記超音波プローブ2を一定の速さで動かせておらず、徐々に動かし方が速くなっていることを示している。
【0039】
このように、本例では前記第一画像G1及び前記第二画像G2が表示されることにより、未熟な操作者は、自己の超音波プローブ2の動きを、熟練の操作者の動きと比較することができ、理想的な超音波プローブ2の動きを知ることができる。従って、未熟な操作者は、前記第一画像G1及び前記第二画像G2において、前記第二走査面SP2が、対応する時刻の第一走査面SP1と一致するかほぼ一致するようになるまで、超音波の送受信をやり直すことにより、超音波プローブ2の動かし方を、熟練の操作者と同じかほぼ同じものとすることができる。
【0040】
ちなみに、前記被検体Pにおける前記所定の部位について超音波の走査が行われた後に、別の部位について超音波の走査が行われる場合、再び上述と同様に前記第一操作者OP1による超音波の走査が行われた後に、前記第二操作者OP2による超音波の走査が行われる。
【0041】
次に、第一実施形態の変形例について説明する。先ず、第一変形例について説明する。前記画像表示制御部53は、前記第一画像G1の一部として、図7に示すように、第一の三次元領域画像RE1を表示させてもよい。この第一の三次元領域画像RE1は、前記第一操作者OP1による前記第一の三次元超音波走査の領域の輪郭を示す線(図7では破線)である。前記画像表示制御部53は、前記記憶部9に記憶された位置情報(前記第一操作者OP1によって得られたエコー信号に基づくデータの位置情報)に基づいて、前記第一の三次元領域画像RE1を表示させる。
【0042】
また、前記画像表示制御部53は、前記第二画像G2の一部として、第二の三次元領域画像RE2を表示させてもよい。この第二の三次元領域画像RE2は、前記第二操作者OP2による前記第二の三次元超音波走査の領域の輪郭を示す線(図7では実線)である。前記画像表示制御部53は、前記位置特定部51で得られる位置情報に基づいて、前記第二の三次元領域画像RE2を表示させる。
【0043】
図7では、前記第二操作者OP2による超音波の走査領域は、前記第二走査面SP2Aから前記第二走査面SP2Dまでである。この第二操作者OP2による第二走査面SP2Aから第二走査面SP2Dまでの走査領域を、第二の三次元領域と云うものとする。
【0044】
一方、第一操作者OP1による超音波の走査領域は、前記第一走査面SP1Aから前記第一走査面SP1Dまでの領域である。この第一操作者OP1による第一走査面SP1Aから第一走査面SP1Dまでの走査領域を、第一の三次元領域と云うものとする。
【0045】
図7において、前記第二の三次元領域は前記第一の三次元領域よりも小さくなっており、前記第一の三次元領域において、前記第二操作者OP2による超音波の走査が行われていない未走査領域Xが存在している。この場合、図8に示すように、前記画像表示制御部53は、警告画像ALを前記表示部6に表示させてもよい。この警告画像ALは、前記第二操作者OP2による超音波の走査領域が、前記第一操作者OP1による超音波の走査領域に対して不十分であり、前記未走査領域Xがあることを示す文字からなる。ただし、前記警告画像ALは一例であり、図8に示された文字からなる画像に限られるものではない。前記警告画像ALが表示される表示部6は、本発明における警告報知部の実施の形態の一例である。
【0046】
ただし、前記警告画像ALの代わりに、超音波診断装置1のスピーカーから音が出力されてもよい。
【0047】
また、上述のように、未走査領域Xが存在している場合、前記画像表示制御部53は、図9に示すように、ガイド画像GDを前記表示部6に表示させてもよい。前記ガイド画像GDは、前記未走査領域Xへの前記超音波プローブ2による超音波の走査を、前記第二操作者OP2に対して誘導する矢印の画像である。前記ガイド画像GDの矢印の方向は、超音波プローブ2を動かす方向になっている。
【0048】
前記ガイド画像GDは、前記警告画像ALとともに表示されてもよい。
【0049】
次に、第二変形例について説明する。前記表示処理部5は、図10に示すように、位置特定部51、超音波画像データ作成部52、画像表示制御部53のほか、評価部54を有する。この評価部54は、互いに時間的に対応する前記第一走査面SP1と前記第二走査面SP2との位置関係に基づいて、前記超音波プローブ2の動きを評価する。前記評価部54は、本発明における評価部の実施の形態の一例である。
【0050】
前記評価部54についてより詳細に説明する。前記互いに時間的に対応する前記第一走査面SP1と前記第二走査面SP2との位置関係は、互いに時間的に対応する前記第一走査面SP1と前記第二走査面SP2との距離である。また、互いに時間的に対応する前記第一走査面SP1と前記第二走査面SP2のうち、一方を他方に投影した場合の両者の重なり度合も、前記位置関係である。
【0051】
前記評価部54は、互いに時間的に対応する前記第一走査面SP1及び前記第二走査面SP2の距離Dを算出する。この距離Dは、互いに時間的に対応する前記第一走査面SP1及び前記第二走査面SP2の最短距離であってもよい。前記距離Dは、前記記憶部9に記憶された位置情報及び前記位置特定部51で得られた位置情報に基づいて算出される。具体的には、前記評価部54は、前記第一走査面SP1A及び前記第二走査面SP2Aの距離、前記第一走査面SP1B及び前記第二走査面SP2Bの距離、前記第一走査面SP1C及び前記第二走査面SP2Cの距離、前記第一走査面SP1D及び前記第二走査面SP2Dの距離を算出する。図11では、前記第一走査面SP1A及び前記第二走査面SP2Aの距離と、前記第一走査面SP1D及び前記第二走査面SP2Dの距離は零である。また、前記第一走査面SP1B及び前記第二走査面SP2Bの距離はdbであり、前記第一走査面SP1C及び前記第二走査面SP2Cの距離はdcである。
【0052】
また、前記評価部54は、互いに時間的に対応する前記第一走査面SP1と前記第二走査面SP2の重なった部分の面積Sを算出する。具体的には、前記評価部54は、前記第一走査面SP1A及び前記第二走査面SP2Aの重なった部分の面積S、前記第一走査面SP1B及び前記第二走査面SP2Bの重なった部分の面積S、前記第一走査面SP1C及び前記第二走査面SP2Cの重なった部分の面積S、前記第一走査面SP1D及び前記第二走査面SP2Dの重なった部分の面積Sを算出する。図12では、前記第一走査面SP1Bと前記第二走査面SP2Bの重なった部分PP(斜線で示された部分)が示されている。前記評価部54は、前記重なった部分PPの面積Sを算出する。
【0053】
ただし、互いに時間的に対応する前記第一走査面SP1と前記第二走査面SP2とが同一面にない場合、前記評価部54は、前記第一走査面SP1と前記第二走査面SP2のうち、一方を他方に投影した場合の両者の重なった部分の面積S′を算出する。
【0054】
前記評価部54は、前記距離Dが所定の閾値Dthを超えているか、または前記面積Sが所定の閾値Sthを下回っている走査面の数Nを特定する。前記所定の閾値Dthは、互いに時間的に対応する前記第一走査面SP1及び前記第二走査面SP2の距離が大きすぎず、前記第二操作者OP2による超音波の走査が、ほぼ理想的な超音波プローブ2の動かし方で行われていると認められる値に設定される。また、前記所定の閾値Sthは、互いに時間的に対応する前記第一走査面SP1及び前記第二走査面SP2の面方向のずれが大きすぎず、前記第二操作者OP2による超音波の走査の位置が、前記第一操作者OP1による超音波の走査の位置とほぼ同じ位置であると認められる値に設定される。
【0055】
前記評価部54は、特定された前記走査面の数Nが所定の閾値Nth以上であるか否かを判定する。前記所定の閾値Nthは、前記第二操作者OP2による第二の三次元超音波走査における走査面の移動速度や走査の位置が、前記第一操作者OP1による第一の三次元超音波走査における走査面の移動速度や走査の位置が異なっており、走査をやり直すべきと認められる値に設定される。
【0056】
前記評価部54により、前記走査面の数Nが所定の閾値Nth以上であると判定された場合、前記画像表示制御部53は、図13に示すように警告画像AL′を前記表示部6に表示させる。この警告画像AL′は、前記第二操作者OP2による前記超音波プローブ2の動かし方が理想的ではないために、超音波の走査をやり直すよう指示する文字からなる。ただし、警告画像AL′は一例であり、前記第二操作者OP2による前記超音波プローブ2の動かし方が理想的ではないことを伝えるものであればよい。前記警告画像AL′が表示される表示部6は、本発明における評価部の評価結果を報知する報知部の実施の形態の一例である。
【0057】
次に、第三変形例について説明する。前記第一操作者OP1による超音波の走査が行われずに、前記第一走査面SP1が設定されてもよい。この場合、前記第一操作者OP1による超音波の走査の代わりに、例えば、前記超音波診断装置1や、超音波診断装置1とは別のワークステーションなどの装置において、前記第一走査面SP1の設定が行われてもよい。
【0058】
例えば、前記超音波診断装置1において前記第一走査面SP1の設定が行われる場合について説明する。図14に示すように、前記制御部8は、走査面設定部81の機能をプログラムによって実行する。
【0059】
操作者は、超音波の走査を行なう三次元領域を設定する入力を、前記操作部7において行なう。例えば、前記表示部6に、前記三次元領域の輪郭を示す画像が表示され、この画像を操作者が前記操作部7において調整する入力を行なうことによって、前記三次元領域が設定されてもよい。この三次元領域は、熟練の操作者による仮想の第一の三次元超音波走査が行われる場合の領域である。このようにして仮想の三次元領域が設定されると、前記走査面設定部81は、前記三次元領域において第一走査面SP1を設定する。例えば、前記第一走査面SP1は、熟練の操作者によって前記超音波プローブ2が動かされた場合のように、所定の間隔でなおかつ等間隔となるように設定される。
【0060】
前記走査面設定部81によって設定された第一走査面SP1の位置情報は、前記記憶部9に記憶される。この第一走査面SP1の位置情報は、第一走査面SP1同士の相対的な位置関係の情報である。
【0061】
このようにして前記記憶部9に記憶された位置情報に基づいて前記第一画像G1が表示される場合、前記画像表示制御部53は、前記第一走査面SP1A及び前記第二走査面SP2Aを、前記表示部6において同じ位置に表示させる。また、前記画像表示制御部53は、他の第一走査面SP1B,SP1C,SP1Dを、前記記憶部9に記憶された位置情報から特定される第一走査面SP1A〜SP1Dの相対的な位置関係に基づいて表示させ、他の第二走査面SP2B,SP2C,SP2Dを、前記位置特定部51で得られる位置情報から特定される第二走査面SP2A〜SP2Dの相対的な位置関係に基づいて表示させる。
【0062】
(第二実施形態)
次に第二実施形態について説明する。ただし、第一実施形態と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0063】
本例の超音波診断装置20は、図15に示すように、前記超音波プローブ2に加速度センサ21が設けられている。この加速度センサ21は、例えば前記超音波プローブ2を構成する筐体の内部に設けられていてもよい。前記加速度センサ21の検出信号は、前記表示処理部5に入力されるようになっている。前記加速度センサ21は、本発明における加速度センサの実施の形態の一例である。
【0064】
本例では、前記表示処理部5は、図16に示すように、前記位置特定部51の代わりに移動算出部55を有している。この移動算出部55は、本発明における移動算出部の実施の形態の一例である。
【0065】
前記移動算出部55は、前記加速度センサ21の検出信号に基づいて、前記超音波プローブ2の移動を算出する。具体的には、前記移動算出部55は、前記超音波プローブ2の移動距離や移動方向を算出する。前記加速度センサ21と超音波の走査面との位置関係が予め特定されている場合、前記超音波プローブ2の移動が算出されることによって、超音波の走査面の移動が算出されることになる。これにより、超音波の走査面の所定時間毎の位置が特定される。
【0066】
本例では、前記画像表示制御部53は、前記移動算出部55によって算出される走査面の移動情報に基づいて、前記第二画像G2を表示させる。本例においても、複数の前記第一走査面SP1のうち走査開始面である前記第一走査面SP1Aと、複数の前記第二走査面SP2のうち走査開始面である前記第二走査面SP2Aの位置が、被検体において同一であるものとする。前記画像表示制御部53は、前記第一走査面SP1A及び前記第二走査面SP2Aを、前記表示部6において同じ位置に表示させる。また、前記画像表示制御部53は、他の第一走査面SP1B,SP1C,SP1Dを、前記記憶部9に記憶された位置情報から特定される第一走査面SP1A〜SP1Dの相対的な位置関係に基づいて表示させ、他の第二走査面SP2B,SP2C,SP2Dを、前記移動算出部51で得られる位置情報から特定される第二走査面SP2A〜SP2Dの相対的な位置関係に基づいて表示させる。
【0067】
以上説明した本例によっても、第一実施形態と同様に、互いに位置関係が対応するように前記第一走査面SP1及び前記第二走査面SP2が表示されるので、第一実施形態と同一の効果を得ることができる。
【0068】
なお、本例も、第一実施形態の変形例と同様に変形して実施されてもよい。
【0069】
(第三実施形態)
次に第三実施形態について説明する。ただし、第一、第二実施形態と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0070】
本例の超音波診断装置30は、図17に示すように、前記超音波プローブ2に発光部31が設けられている。この発光部31は、可視光又は赤外線などの可視光以外の波長の光を発する。前記発光部31は、例えば前記超音波プローブ2を構成する筐体の表面に設けられていてもよい。前記発光部31は、本発明における発光部の実施の形態の一例である。
【0071】
前記発光部31からの光は、カメラ(camera)32によって検出される。このカメラ32の検出信号は、前記表示処理部5に入力されるようになっている。前記カメラ31は、本発明における光検出部の実施の形態の一例である。
【0072】
本例においても、前記表示処理部5は、前記移動算出部55を有する。本例では、この移動算出部55は、前記カメラ32からの検出信号に基づいて、前記超音波プローブ2の移動距離や移動方向を算出する。具体的には、前記移動算出部55は、前記超音波プローブ2の表面から発せられる光の動きによって、前記超音波プローブ2の移動距離や移動方向を算出する。
【0073】
本例においても、前記第二実施形態と同様にして前記第一画像G1及び前記第二画像G2が表示される。従って、本例によっても、前記第一、二実施形態と同一の効果を得ることができる。
【0074】
なお、本例も、第一実施形態の変形例と同様に変形して実施されてもよい。
【0075】
以上、本発明を前記実施形態によって説明したが、本発明はその主旨を変更しない範囲で種々変更実施可能なことはもちろんである。例えば、前記第二操作者OP2による超音波の走査面が、複数の前記第一走査面SP1からなる第一の三次元領域に含まれていない場合、前記表示画像制御部53は、その旨を示す文字からなる警告画像を前記表示部6に表示させてもよい。この場合、前記表示画像制御部53は、前記記憶部9の位置情報と、前記位置特定部51又は前記移動算出部55で得られる位置情報に基づいて、前記警告画像を前記表示部6に表示させる。ただし、第一操作者OP1による第一の超音波三次元走査の時と、前記第二操作者OP2による第二の超音波三次元走査の時とで、前記被検体Pの位置が変わっていない場合、または複数の前記第一走査面SP1のうち走査開始面である前記第一走査面SP1Aと、複数の前記第二走査面SP2のうち走査開始面である前記第二走査面SP2Aの位置が、被検体において同一である場合に限られる。
【0076】
また、前記移動算出部55は、前記加速度センサ21の検出信号又は前記カメラ32の検出信号に基づく前記超音波プローブ2の移動の算出の代わりに、異なる超音波の走査面における超音波画像の相関に基づいて、異なる前記走査面の間の距離を算出してもよい。ただし、上記各実施形態とは異なり、前記超音波プローブ2が平行に移動しながら三次元超音波走査を行なう場合に限られるものとする。
【0077】
また、前記画像表示制御部53は、図18に示すように、前記超音波プローブ2の移動速度の時間変化を示す速度変化画像GVを前記表示部6に表示させてもよい。前記速度変化画像GVは、前記第一画像G1及び前記第二画像G2とともに表示されている。前記速度変化画像GVは、第一速度変化画像GV1、第二速度変化画像GV2及び第三速度変化画像GV3を有する。第一速度変化画像GV1、第二速度変化画像GV2及び第三速度変化画像GV3は、図19に拡大して示すように、横軸が時間t、縦軸が速度vになっている。
【0078】
前記速度変化画像GVは、前記超音波プローブ2が、被検体との当接面において、図20に示すようにY軸方向に移動してこのY軸方向において複数の走査面が形成される場合における前記超音波プローブ2の移動速度の時間変化を示す。前記図20に示すように前記超音波プローブ2が移動することにより、互いに平行な複数の走査面が得られる。従って、前記第一画像G1及び前記第二画像G2において、複数の走査面SP1の各々及び複数の走査面SP2の各々は互いに平行に表示されている。
【0079】
前記第一速度変化画像GV1は、Y軸方向の前記超音波プローブ2の移動速度の時間変化を示す。前記第二速度変化画像GV2は、X軸方向における前記超音波プローブ2の移動速度の時間変化を示す。また、前記第三速度変化画像GV3は、Z軸方向における前記超音波プローブ2の移動速度の時間変化を示す。
【0080】
X軸方向は、前記超音波プローブ2のアジマス(azimuth)方向である。Y軸方向は、前記超音波プローブ2のエレベーション(elevation)方向である。Z軸方向は、超音波が送信される方向である。
【0081】
前記第一速度変化画像GV1は第一グラフgr1を含む。前記第二速度変化画像GV2は第二グラフgr2を含む。前記第三速度変化画像GV3は第三グラフgr3を含む。前記第一グラフgr1、前記第二グラフgr2、前記第三グラフgr3は、例えば第二操作者OP2が前記超音波プローブ2を移動させた時における前記超音波プローブ2の移動速度の時間変化を示す。
【0082】
また、前記第一速度変化画像GV1は、破線で示された水平方向の直線lを含む。この直線lは、熟練の操作者による理想の前記超音波プローブ2の移動速度の時間変化を示す。また、前記第二速度変化画像GV2において、速度が零である横軸は、X軸方向へ前記超音波プローブ2がぶれておらず、熟練の操作者による理想の前記超音波プローブ2の動かし方を示している。また、前記第三速度変化画像GV3において、速度が零である横軸は、Z軸方向へ前記超音波プローブ2が動いておらず、熟練の操作者による理想の前記超音波プローブ2の動かし方を示している。
【0083】
ただし、前記直線lは表示されなくてもよい。また、前記第一画像G1は表示されなくてもよい。
【0084】
前記速度変化画像GVは、記超音波プローブ2の移動速度を示す数値を含んでいてもよい。例えば図21に示された速度変化画像GVは、前記超音波プローブ2のY軸方向の速度を示す数値Fを含んでいる。数値Fは、現在の前記超音波プローブ2の速度を示す数値F1(図21において「Cur」の欄)、前記超音波プローブ2の移動開始から現在までの前記超音波プローブ2の最大の速度を示す数値F2(図21において「Max」の欄)、前記超音波プローブ2の移動開始から現在までの前記超音波プローブ2の最小の速度を示す数値F3(図21において「Min」の欄)、前記超音波プローブ2の移動開始から現在までの前記超音波プローブ2の平均の速度を示す数値F4(図21において「Ave」の欄)である。前記超音波プローブ2のX軸方向及びZ軸方向の速度が数値で表示されてもよい。
【0085】
このように前記第一速度変化画像GV1、前記第二速度変化画像GV2及び前記第三速度変化画像GV3が表示されることにより、未熟な操作者は、前記第一グラフgr1が前記直線lに沿い、前記第二グラフgr2が横軸に沿い、なおかつ前記第三グラフgr3が横軸に沿うように前記超音波プローブ2を移動させることにより、熟練の操作者のように超音波プローブ2を移動させることができる。
【符号の説明】
【0086】
1,20,30 超音波診断装置
2 超音波プローブ
6 表示部
9 記憶部
10 磁気センサ
11 磁気発生部
21 加速度センサ
31 発光部
32 カメラ
51 位置特定部
53 画像表示制御部
54 評価部
55 移動算出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21