特許第6263448号(P6263448)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6263448
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】配線ケーブルの整線具
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/30 20060101AFI20180104BHJP
   H05K 7/18 20060101ALI20180104BHJP
【FI】
   H02G3/30
   H05K7/18 E
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-143193(P2014-143193)
(22)【出願日】2014年7月11日
(65)【公開番号】特開2016-19453(P2016-19453A)
(43)【公開日】2016年2月1日
【審査請求日】2017年2月15日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 展示会名 INTEROP TOKYO 2014 開催場所 住 所 千葉県千葉市美浜区中瀬2丁目1 幕張メッセ 開催日 平成26年6月9日〜13日 5日間
(73)【特許権者】
【識別番号】000181572
【氏名又は名称】篠原電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148138
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡
(72)【発明者】
【氏名】篠原 基一郎
【審査官】 木村 励
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3180813(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3121054(JP,U)
【文献】 特開2005−312215(JP,A)
【文献】 2014展示会用 データセンターソリューションのご紹介,[online],篠原電機株式会社技術開発室,2014年 6月11日,p.25,[平成29年11月17日検索],インターネット<URL:www.ip-core.jp/doc/14/interop/07.pdf>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/30
H05K 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数個の内部機器(2・3)を収容する筐体(1)の内壁に固定される整線ベース(10)と、整線ベース(10)に装着されて、内部機器(2・3)に接続された配線ケーブル(4)のケーブル束(C)を導出案内するケーブルホルダー(11)とを備えており、
整線ベース(10)には、ケーブルホルダー(11)を着脱するための装着部(18)の一群が設けられており、
ケーブルホルダー(11)は、ケーブル束(C)を支持するホルダー本体(20)と、ホルダー本体(20)と一体に設けられる平坦な取付けベース(21)と、取付けベース(21)に設けられて前記装着部(18)に着脱される複数の掛止体(22・23)と、ケーブル束(C)の出入口(24)とを備えており、
掛止体(22・23)を装着部(18)に係合装着することにより、ケーブルホルダー(11)を整線ベース(10)の任意位置に装着することができ、
整線ベース(10)が、交差配置される多数個の格子材(15)を備えた格子体(16)と、格子体(16)を支持する周囲枠(17)とで構成されて、周囲枠(17)が筐体(1)の内壁に装着具(13)で固定されており、
ケーブルホルダー(11)の取付けベース(21)の両端に、装着部(18)に掛止装着される掛止体(22・23)がそれぞれ形成されており、
格子体(16)が金属線材(15)の一群を縦横に交差配置して構成されており、金属線材(15)の縦方向の隣接間隔と横方向の隣接間隔が同じに設定されており、
ケーブルホルダー(11)のホルダー本体(20)の外面の2か所に、取付けベース(21)が互いに直交する状態で設けられて、両取付けベース(21)のそれぞれに、金属線材(15)の縦横の隣接間隔に対応した掛止体(22・23)が形成されており、
複数種のケーブル束(C)を整線ベース(10)に装着した多数個のケーブルホルダー(11)で、配線ケーブル(4)の系統や機能に応じて分別保持した状態で導出案内することを特徴とする配線ケーブルの整線具。
【請求項2】
ホルダー本体(20)の出入口(24)に、互いに係合してホルダー本体(20)の拡開変形を規制する規制爪(25・26)が設けてある請求項1に記載の配線ケーブルの整線具。
【請求項3】
ケーブルホルダー(11)のホルダー本体(20)が四角枠状に形成されて、ホルダー本体(20)および規制爪(25・26)の内外面に周回リブ(27)が突設されており、
付けベース(21)が、前記周回リブ(27)と、同リブ(27)と交差する複数の横リブ(28)を介してホルダー本体(20)と一体化してある請求項に記載の配線ケーブルの整線具。
【請求項4】
ホルダー本体(20)の出入口(24)における規制爪(25・26)の係合位置が、ホルダー本体(20)の上下中央より上側に設けられており、
内側の規制爪(26)と同爪(26)に連続するホルダー本体(20)の長さ(H2)を、外側の規制爪(25)と同爪(25)に連続するホルダー本体(20)の長さ(H1)より大きく設定して、内側の規制爪(26)と同爪(26)に連続するホルダー本体(20)の弾性変形を容易化している請求項2または3に記載の配線ケーブルの整線具。
【請求項5】
筐体(1)は、多数個のサーバー(2)を収容するサーバーラックであり、当該サーバーラック(1)の内壁に整線ベース(10)が固定されており、
サーバー(2)に接続された配線ケーブル(4)のケーブル束(C)を、整線ベース(10)に装着した多数個のケーブルホルダー(11)で縦横に導出案内して、各ケーブル束(C)の接続端がサーバーラック(1)の外へ取出してある請求項1から4のいずれかひとつに記載の配線ケーブルの整線具
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばサーバーラック内のサーバーから導出される配線ケーブルの一群を、各ケーブルの系統や機能などに応じて整然と配置するための配線ケーブルの整線具に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の配線ケーブルの整線具(配線・配管材引出装置)は、例えば特許文献1に開示されている。横方向へ導出された配線ケーブルを支持する受具と、受具に掛止装着されて、縦方向へ導出された配線ケーブルを支持する支持具とで構成される。受具は、平行に配置される前後一対の異形筋線材と、これらの線材の間に一定間隔おきに溶接されるコ字状の子筋線材と、異形筋線材と平行に配置されて子筋線材の底枠部分に溶接される複数の親筋線材とで樋状に形成される。支持具は、フック状の固定部と、固定部の下側に延びる当接部と、当接部の下端から連出される平面視がコ字状の支持部とを、一筆書き状に折曲げて形成される。支持具は、その固定部を異形筋線材に掛止し、当接部を親筋線材で受止めた状態で、受具の長手方向の任意位置に装着することができ、固定部をかしめることにより受具と一体化される。
【0003】
同様の整線具(配線保持装置)は、特許文献2にも見ることができる。特許文献2では、左右一対の側部支持体と、同支持体の背面上下に連結される横架材と、側部支持体の間に配置される天板、上棚、中間棚などでサーバーラックを構成し、横架材に整線具を装着している。整線具は、左右一対の水平線条体と、水平線条体の突端に連続して起立する起立線条体と、起立線条体の上端同士を繋ぐ連結線条体と、水平線条体の基端から下向きに延びる垂下線条体と、垂下線条体の下端から外側方へ曲がって上方に延びる上昇線条体とを一筆書き状に折曲げて形成される。横架材は断面C状のチャンネル材で形成されており、その取付け溝内に垂下線条体と上昇線条体を係合し、水平線条体の基端部分を取付け溝内の開口に臨む下起立壁で受止めることにより、整線具を横架材の左右方向の任意位置に装着できる。横架材に装着した整線具は、その水平線条体と、門型に連続する起立線条体および連結線条体が横架材の後方へ突出しており、この突出枠部分で横方向へ導出された配線ケーブルを支持し、あるいは、縦方向へ導出された配線ケーブルを突出枠部分の内部に通すことにより、配線ケーブルの配線形態を整えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4939675号公報(段落番号0040〜0046、図1
【特許文献2】特開2001−104072号公報(段落番号0011〜0015、図3
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の整線具は、樋状の受具の外側面に装着して使用され、受具は、工場などの建物の天井下や建物壁に沿って配置してある。このように、受具とは別に引出装置を設け、受具から下方の電気盤へ向かって垂下導出される配線ケーブルの屈曲部を引出装置の支持部で支持すると、配線ケーブルの垂下導出部が急激に折曲がるのを防止して、配線ケーブルを保護することができる。しかし、この整線具は、あくまでも工場などの建物の天井下や建物壁に沿って配置される、いわば外部配線用の整線具でしかなく、とくに受具の幅寸法が大きいため、例えばサーバーラックの内部配線の整線具として使用するのには適さない。また、固定部を受け具の異形筋線材にかしめ固定するので、サーバーの増設や交換に伴って、引出装置の固定位置を変更して配線ケーブルの配線形態を変更する場合に多くの手間が掛かる。
【0006】
特許文献2によれば、必要に応じて整線具の横架材に対する装着位置を左右方向へ自由に変更できるので、サーバーの増設や交換に伴って、配線ケーブルの配線形態を変更する場合の手間を軽減できる。また、必要があれば、側部支持体に対する横架材の連結位置を上下に変更して、横方向へ導出される配線ケーブルの支持高さを変更することができる。しかし、横架材の連結位置を上下に変更するには、横架材を側部支持体から取外して、装着位置を変更したうえで再び側部支持体に連結する必要があるので、一連の作業が大掛かりになり、多くの手間が掛かる。
【0007】
例えば、サーバーラックの内部には、多数個のサーバーと、各サーバーの作動状態を制御するホストマシンあるいはハブなどが多段状に収容してあり、これらの機器にはそれぞれ電力ケーブルや通信ケーブルが接続されている。これらの配線ケーブルは、各ケーブルの系統や機能などに応じて集約され、結束バンドで束ねた状態でサーバーラック内から、サーバーラックの外部に設けたケーブルラックへと導出される。多くの場合、結束バンドでまとめられたケーブル束は、サーバーラックの内部の支柱を利用して止め付けるが、支柱の数が少ないため、すべてのケーブル束を整然と分別した状態で配置することができない。そのため、サーバーの増設や交換を行うときに、配線ケーブルの追加やケーブル束からの取外しを簡便にしかも迅速に行うことが難しい。
【0008】
本発明は、上記のような配線ケーブルの雑然とした配線形態を一掃して、系統や機能などに応じてケーブル束を整然と配置でき、しかも、内部機器の増設や交換に伴うケーブル束の配線形態を容易に変更できる配線ケーブルの整線具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る配線ケーブルの整線具は、多数個の内部機器2・3を収容する筐体1の内壁に固定される整線ベース10と、整線ベース10に装着されて、内部機器2・3に接続された配線ケーブル4のケーブル束Cを導出案内するケーブルホルダー11とを備えている。整線ベース10には、ケーブルホルダー11を着脱するための装着部18の一群が設けられている。ケーブルホルダー11は、ケーブル束Cを支持するホルダー本体20と、ホルダー本体20と一体に設けられる平坦な取付けベース21と、取付けベース21に設けられて前記装着部18に着脱される複数の掛止体22・23と、ケーブル束Cの出入口24とを備えている。掛止体22・23を装着部18に係合装着することにより、ケーブルホルダー11は整線ベース10の任意位置に装着することができる。整線ベース10は、交差配置される多数個の格子材15を備えた格子体16と、格子体16を支持する周囲枠17とで構成されて、周囲枠17が筐体1の内壁に装着具13で固定されている。ケーブルホルダー11の取付けベース21の両端に、格子材15に掛止装着される掛止体22・23がそれぞれ形成されている。格子体16は、金属線材15の一群を縦横に交差配置して構成する。金属線材15の縦方向の隣接間隔と横方向の隣接間隔は同じに設定されている。ケーブルホルダー11のホルダー本体20の外面の2か所に、取付けベース21が互いに直交する状態で設けられて、両取付けベース21のそれぞれに、金属線材15の縦横の隣接間隔に対応した掛止体22・23が形成されている。そして、複数種のケーブル束Cを整線ベース10に装着した多数個のケーブルホルダー11で、配線ケーブル4の系統や機能に応じて分別保持した状態で導出案内することを特徴とする。
【0010】
ホルダー本体20の出入口24に、互いに係合してホルダー本体20の拡開変形を規制する規制爪25・26が設けてられている。
【0013】
ケーブルホルダー11のホルダー本体20を四角枠状に形成して、ホルダー本体20および規制爪25・26の内外面に周回リブ27を突設する。取付けベース21は、周回リブ27と、同リブ27と交差する複数の横リブ28を介してホルダー本体20と一体化する。
【0014】
ホルダー本体20の出入口24における規制爪25・26の係合位置を、ホルダー本体20の上下中央より上側に設ける。内側の規制爪26と同爪26に連続するホルダー本体20の長さH2を、外側の規制爪25と同爪25に連続するホルダー本体20の長さH1より大きく設定して、内側の規制爪26と同爪26に連続するホルダー本体20の弾性変形を容易化している。
【0015】
整線ベース10は、多数個のサーバー2を収容するサーバーラック1の内壁に固定する。サーバー2に接続された配線ケーブル4のケーブル束Cを、整線ベース10に装着した多数個のケーブルホルダー11で縦横に導出案内して、各ケーブル束Cの接続端をサーバーラック1の外へ取出す。
【発明の効果】
【0016】
本発明においては、装着部18の一群を備えている整線ベース10と、同ベース10に装着されて、ケーブル束Cを導出案内するケーブルホルダー11とで整線具を構成した。また、ケーブル束Cを支持するホルダー本体20と、平坦な取付けベース21と、装着部18に着脱される複数の掛止体22・23などでケーブルホルダー11を構成し、同ホルダー11にケーブル束Cの出入口24を設けるようにした。こうした整線具によれば、ケーブルホルダー11の整線ベース10に対する装着位置を変更することで、ケーブル束Cの配線形態を自由に調整できる。従って、本発明の整線具によれば、整線ベース10に装着した多数個のケーブルホルダー11に沿ってケーブル束Cを通線することにより、配線ケーブル4の系統や機能に応じて複数種のケーブル束Cを分別保持した状態で整然と配置できる。また、ケーブル束Cが配線ケーブル4の系統や機能に応じて集約されるので、内部機器2・3の追加や交換に伴って配線ケーブル4を追加する際の配線間違いをよく防止できる。とくに、ケーブル束Cが色別に集約してある場合には、その色を一見するだけで配線ケーブル4の系統や機能を識別できるので、配線間違いをさらに確実に防止できる。また、ケーブル束Cの重量を複数のケーブルホルダー11で支持し、さらにケーブル束Cをケーブルホルダー11で位置保持した状態で、不要な配線ケーブル4をケーブル束Cから抜外すことができるので、配線ケーブル4の抜外し作業をより少ない手間で的確に行える。
【0017】
ホルダー本体20の出入口24に規制爪25・26を設けると、ケーブル束Cを支持するホルダー本体20が、ケーブル束Cの重量で拡開変形するのを、互いに係合する規制爪25・26で規制できる。従って、ホルダー本体20に通線したケーブル束Cを、ホルダー本体20で確実に保持して、ケーブル束Cの配線形態を常に整然とした状態に維持できる。ケーブル束Cが出入口24からはみ出ることもない。また、規制爪25・26のいずれか一方を弾性変形させて出入口24を広げることにより、ケーブル束Cをホルダー本体20内に収容して簡単に通線することができる。
【0018】
交差配置される多数個の格子材15を備えた格子体16と、格子体16を支持する周囲枠17とで整線ベース10を構成すると、取付けベース21の両端に設けた掛止体22・23を上下あるいは左右に隣接する格子材15に掛止するだけで、ケーブルホルダー11を格子体16に簡単に装着できる。また、掛止体22・23を格子材15から抜外すことにより、ケーブルホルダー11を格子体16から簡単に取外すことができるので、ケーブルホルダー11の整線ベース10に対する着脱を簡便に行える。使用時には、周囲枠17を装着具13で固定して、整線ベース10を筐体1の内壁に取付けるので、ケーブルホルダー11を整線ベース10の任意の位置に装着する際に、装着具13が邪魔になることもない。
【0019】
金属線材15の一群を縦横に交差配置して格子体16を構成し、金属線材15の縦方向の隣接間隔と横方向の隣接間隔を同じに設定すると、装着部18を正方形状に形成して、ケーブルホルダー11の装着部18に対する装着姿勢を縦横いずれにも変更できる。また、ホルダー本体20の外面の2か所に取付けベース21を設け、両取付けベース21のそれぞれに掛止体22・23を設けると、ケーブルホルダー11の装着部18に対する装着姿勢をさらに多様に変更して、出入口24の向きをホルダー本体20の前、上、下、左、右などに変更できる。従って、コード束Cの配線形態やユーザーの好みに応じて、ケーブルホルダー11の装着姿勢と装着位置を変更し、ケーブル束Cを縦方向や横方向へ導出案内してコード束Cの配線形態を最適化できる。縦導出用のケーブルホルダーと横導出用のケーブルホルダーを別途設ける場合に比べて、整線構造を簡素化して低コスト化できる利点もある。
【0020】
ホルダー本体20および規制爪25・26の内外面に周回リブ27を突設し、周回リブ27と複数の横リブ28を介して、取付けベース21をホルダー本体20と一体化すると、周回リブ27および横リブ28によって、ホルダー本体20と取付けベース21の構造強度を増強できる。従って、ケーブル束Cを支持するときのホルダー本体20の耐荷重を向上して、より多くのケーブル束Cをケーブルホルダー11に通線できる。
【0021】
内側の規制爪26およびホルダー本体20の長さH2を、外側の規制爪25およびホルダー本体20の長さH1より大きく設定すると、内側の規制爪26およびホルダー本体20のモーメントアームを大きくして、より小さな力で規制爪26を弾性変形できる。従って、ホルダー本体20の出入口24におけるケーブル束Cの通線を迅速にしかも簡便に行える。また、規制爪26側の長さH2が、規制爪25側の長さH1より大きいので、両規制爪25・26の係合が解除された場合でも、ケーブル束Cを規制爪26で受止めて、ケーブル束Cが出入口24からはみ出し、あるいは脱落するのをよく防止できる。
【0022】
整線ベース10をサーバーラック1の内壁に固定し、サーバー2から導出されたケーブル束Cを、整線ベース10に装着したケーブルホルダー11で縦横に導出案内してサーバーラック1の外へ取出すと、サーバーラック1の内部においてケーブル束Cが雑然と入り乱れた状態で配線されるのを一掃できる。また、サーバーラック1内の配線ケーブル4を整然と配線できるので、サーバー2と配線ケーブル4の接続状態の確認や、発熱に伴うケーブル劣化などの保守管理を手際よく行える。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明に係る整線具を示す図2におけるA−A線矢視図である。
図2】本発明に係る整線具の適用例を示すサーバーラックの内部側面図である。
図3】本発明に係る整線具の分解斜視図である。
図4図1におけるB−B線断面図である。
図5】本発明に係るケーブルホルダーの外観六面図と断面図である。
図6】整線具を構成する装着具の別の実施例を示す斜視図および縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(実施例1) 図1ないし図5は、本発明に係る配線ケーブル用の整線具の実施例を示す。本発明における前後、左右、上下とは、図1から図3に示す交差矢印と、各矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従う。図2は整線具の適用例であるサーバーラック(筐体)1の概略構造を示す内部側面図である。サーバーラック1は、上下に長い中空の四角箱状に構成されており、ラック内に設置したフレームに一群のサーバー(内部機器)2やホストマシン(内部機器)3などが多段状に収容してある。
【0025】
サーバー2やホストマシン3から導出された電力ケーブルや通信ケーブルなどの配線ケーブル4の一群を、各ケーブルの系統や機能などに応じて整然と配置するために、サーバーラック1の前後壁の内面の上下に4個の整線構造が配置してある。サーバーラック1の左右側面にはメンテナンス用のドア(図示されていない)が開閉可能に設けてあり、このドアを開放することによりサーバー2やホストマシン3の点検や交換を行うことができる。配線ケーブル4は、その系統や機能などに応じて赤・青・黄色・緑・灰色などの異なる色に着色されており、異なる色ごとに結束バンド5で結束されてケーブル束Cとしてまとめられている(図1参照)。なお、サーバーラック1は、その前後壁が隣接する状態で直線列状に配置されてラック列を構成しており、メンテナンス用のドアは、隣接するラック列の間の通路に臨ませてある。
【0026】
図1において整線構造を構成する整線具は、サーバーラック1の前後壁の内面に固定される整線ベース10と、整線ベース10に装着されて、配線ケーブル4のケーブル束Cを導出案内する多数個のケーブルホルダー11と、整線ベース10を横枠12に固定する装着具13などで構成する。横枠12は、断面がC字状のアルミニウム製のチャンネル材からなり、その開口面がサーバーラック1の前後壁に接合する状態で固定してある。
【0027】
整線ベース10は、互いに交差配置される多数個の金属線材(格子材)15で構成される格子体16と、格子体16を支持する周囲枠17とで構成してある。詳しくは、直線状の金属線材15の一群を一定間隔おきに縦横に交差配置し、金属線材15の交差部分を溶接して格子体16を構成している。格子体16と周囲枠17の交差部分も溶接してある。金属線材15の縦方向の隣接間隔と横方向の隣接間隔とは同じに設定されており、これに伴い格子体16に正方形状の装着部18が縦横に連続する状態で形成される。周囲枠17は、金属線材15より大きな直径の丸棒材で上下に長い四角枠状に形成してあり、棒端同士を溶接して無端枠状に形成してある。金属線材15の一群で構成した格子体16と、格子体16を支持する周囲枠17とで整線ベース10を構成するので構造に無駄がない。縦横寸法が異なる整線ベース10を複数種用意しておくことにより、配線すべきケーブル束Cの数や配線形態に適合した整線ベース10を使用することができる。
【0028】
図3においてケーブルホルダー11は、ケーブル束Cを支持するホルダー本体20と、ホルダー本体20と一体に設けられる平坦な取付けベース21と、取付けベース21の両端に設けられる第1、第2の掛止爪(掛止体)22・23と、ホルダー本体20の前端に形成されるケーブル束Cの出入口24とを備えたプラスチック成型品からなる。この実施例では、ホルダー本体20を四角枠状に形成して、ホルダー本体20の後枠部と上枠部のそれぞれに取付けベース21を互いに直交する状態で設け、両取付けベース21のそれぞれに第1、第2の掛止爪22・23を設けるようにした。また、ホルダー本体20の出入口24に、ホルダー本体20と同じ幅の規制爪25・26を内外に重なる状態で設けて、両爪25・26が互いに係合することにより、ホルダー本体20がケーブル束Cの重量で拡開変形するのを規制できるようにした。ホルダー本体20および規制爪25・26の内外面には周回状に補強リブ(周回リブ)27が突設されており、この補強リブ27と、同リブ27と直交する3個の横リブ28を介して、両取付けベース21がホルダー本体20と一体化してある。このように、補強リブ27と横リブ28を介して両取付けベース21をホルダー本体20と一体化すると、ホルダー本体20および取付けベース21の構造強度を増強して、ホルダー本体20の耐荷重を向上することができる。
【0029】
図4に示すように、後枠側の取付けベース21において、第1、第2の両掛止爪22・23はそれぞれ逆U字状に形成してある。両掛止爪22・23のうち上側の第1掛止爪22は、下向きの爪先の内面側に斜めの案内面30と係合突起31が設けてあるのに対し、第2掛止爪23は、取付けベース21側の爪先の下端に斜めの案内面32を設け、残る爪先の内面側に係合突起33が設けてある。第1、第2の両掛止爪22・23の爪溝の上下ピッチは、金属線材15の縦横の隣接間隔に対応させてある。案内面30・32は、両掛止爪22・23の装着部18に対する掛止装着を円滑化するために設けてあり、係合突起31・33は、装着部18に掛止した両掛止爪22・23が装着部18から分離するのを規制するために設けてある。
【0030】
上枠側の取付けベース21においては、後枠側の取付けベース21と同様に、第1、第2の両掛止爪22・23をそれぞれ横臥U字状に形成するが、取付けベース21の前端に第1掛止爪22を設け、同ベース21の後端に第2掛止爪23を設ける。前側の第1掛止爪22は、後向きの爪先の内面側に斜めの案内面30と係合突起31が設けてあるのに対し、第2掛止爪23は、取付けベース21側の爪先の後端に斜めの案内面32を設け、残る爪先の内面側に係合突起33が設けてある。上枠側の取付けベース21における、第1、第2の両掛止爪22・23の爪溝の前後ピッチは、金属線材15の縦横の隣接間隔に対応させてある。案内面30・32は、両掛止爪22・23の装着部18に対する掛止装着を円滑化するために設けてあり、係合突起31・33は、装着部18に掛止した両掛止爪22・23が装着部18から分離するのを規制するために設けてある。
【0031】
規制爪25・26の内外の重なり部分には、互いに係合する係合爪34・35が相手方へ向かって突設してある。また、ホルダー本体20の出入口24における規制爪25・26の係合位置は、ホルダー本体20の上下中央より上側に設けてある。これに伴い、内側の規制爪26と同爪26に連続するホルダー本体20の前枠部分の長さH2が、外側の規制爪25と同爪25に連続するホルダー本体20の前枠部分の長さH1より大きく設定される(図4参照)。このように、内側の規制爪26の前枠部分の長さH2を、外側の規制爪25の前枠部分の長さH1より大きく設定すると、内側の規制爪26と同爪26に連続するホルダー本体20を弾性変形しやすくして、ケーブル束Cのホルダー本体20に対する通線を簡便に行うことができる。また、内側の規制爪26がわずかに後傾させてあることも、規制爪26の後向きの弾性変形を容易化することに役立っている。
【0032】
図3において装着具13は、周囲枠17が嵌まり込む断面がC字状の装着枠38と、装着枠38の上下に連続する締結座39とを一体に備えたプレス金具からなる。図1に示すように、周囲枠17の上辺部の左右2個所を装着枠38に嵌め込み、上下の締結座39を横枠12にあてがった状態で、締結座39に挿通したビス40を横枠12にねじ込むことにより、整線ベース10を横枠12に仮固定できる。同様にして、周囲枠17の下辺部の左右2個所を装着枠38に嵌め込み、上下の締結座39を横枠12にあてがった状態で、締結座39に挿通したビス40を横枠12にねじ込むことにより、整線ベース10を横枠12に固定できる。
【0033】
以上のように構成した整線具は以下の要領で使用する。まず、サーバー2やホストマシン3などから導出した配線ケーブル4の一群を、各ケーブルの系統や機能などに応じて結束バンド5で束ねてケーブル束Cを形成する。次に、ケーブル束Cの配線形態に沿って、ケーブルホルダー11を格子体16の装着部18に掛止装着する。このとき、ケーブル束Cを横方向へ導出する場合には、図3に示すように、ホルダー本体20の後枠側の取付けベース21に設けた第1掛止爪22と第2掛止爪23を、上下に隣接する装着部18に掛止装着する。また、ケーブル束Cを縦方向へ導出する場合には、図1に示すように、ホルダー本体20の後枠側の取付けベース21に設けた第1掛止爪22と第2掛止爪23を、左右に隣接する装着部18に掛止装着する。
【0034】
図1に示す例では、ケーブル束Cを横方向へ導出するための2個のケーブルホルダー11を整線ベース10の上下に装着し、ケーブル束Cを縦方向へ導出するための1個のケーブルホルダー11を、整線ベース10の上下中途部に装着した。最後に、ケーブル束Cを内側の規制爪26にあてがった状態で、ホルダー本体20の内部へ向かって押込み操作することにより、規制爪26を後向きに弾性変形させながら、ケーブル束Cをホルダー本体20の内部に通して通線することができる。さらに、全てのホルダー本体20にケーブル束Cを通線することにより、ケーブル束Cのそれぞれを整然と分別した状態でクランク状に配置できる。整線構造から導出されたケーブル束Cは、一つにまとめられてサーバーラック1の周囲壁に開口された配線口から導出され、サーバーラック1と天井壁との間に配置したケーブルラック(図示していない)に収容されて、ラック内のケーブルとコネクターを介して接続される。
【0035】
サーバー2の増設や交換を行う場合には、配線ケーブル4を追加し、あるいは不要な配線ケーブル4をケーブル束Cから取外す。例えば、サーバー2を増設する場合には、新規なサーバー2をフレームに搭載した後、電力ケーブルや通信ケーブルなどの配線ケーブル4に設けられたコネクターをサーバーに接続する。次に、系統ごとに束ねられたケーブル束Cの結束バンド5を開放して、サーバー2から導出した配線ケーブル4を同じ系統のケーブル束Cに沿わせ、再び結束バンド5で結束する。さらに、内側の規制爪26を弾性変形させながら、配線ケーブル4をケーブルホルダー11に通す。以後、結束バンド5の開放および再結束と、配線ケーブル4をケーブルホルダー11に通す作業を行うことにより、新規な配線ケーブル4を既存のケーブル束Cに集約することができる。予め、全ての結束バンド5を開放しておいて、配線ケーブル4をケーブルホルダー11に通線したのち、結束バンド5を再結束してもよい。不要な配線ケーブル4をケーブル束Cから取外す場合には、全ての結束バンド5を開放した状態で、配線ケーブル4をケーブルホルダー11から抜外す。このとき、ケーブル束Cの重量が複数のケーブルホルダー11で支持され、さらにケーブル束Cがケーブルホルダー11で位置保持されているので、配線ケーブル4の抜外し作業を簡便に行える。
【0036】
ケーブルホルダー11は、図3において上枠側に位置する取付けベース21を使用して整線ベース10に装着することができる。例えば、ケーブル束Cを横方向へ導出する場合には、ホルダー本体20の上枠側の取付けベース21に設けた第1掛止爪22と第2掛止爪23を、上下に隣接する金属線材15からなる装着部18に掛止装着する。この場合のケーブルホルダー11の出入口24は、ホルダー本体20の上側に位置するので、ケーブル束Cを規制爪26にあてがって押下げることにより、ケーブル束Cをホルダー本体20に通すことができる。また、ケーブル束Cを縦方向へ導出する場合には、ホルダー本体20の上枠側の取付けベース21に設けた第1掛止爪22と第2掛止爪23を、左右に隣接する金属線材15からなる装着部18に掛止装着する。この場合のケーブルホルダー11の出入口24は、ホルダー本体20の右または左側面に位置するので、ケーブル束Cを規制爪26にあてがってホルダー本体20の内部へ向かって押込み操作することにより、ケーブル束Cをホルダー本体20に通すことができる。上記のように、ケーブルホルダー11は、ホルダー本体20の後枠側の取付けベース21と、ホルダー本体20の上枠側の取付けベース21のどちらでも装着部18に装着できるので、コード束Cの配線形態やユーザーの好みに応じて、ケーブルホルダー11の装着姿勢を多様に変更することができる。
【0037】
図6は装着具13の別の実施例を示す。そこでは、整線ベース10の周囲枠17を支持するプラスチック製の係止体44と、サーバーラック1の鋼板製の周囲壁に磁気吸着する磁石ユニット45で装着具13を構成した。係止体44は、横長四角形状の係止ベース46と、係止ベース46の前面の左右に突設した掛止腕47を一体に備えており、掛止腕47に周囲枠17を支持する係止溝48が凹み形成してある。磁石ユニット45は、四角ブロック状の永久磁石49と、その磁極に吸着される上下一対の鉄板製の吸着板50と、これらを収容するケース51などで構成してあり、ケース51を係止ベース46に接着固定することにより、磁石ユニット45が係止体44と一体化してある。整線ベース10をサーバーラック1の周囲壁に取付ける場合には、左右一対の装着具13の磁石ユニット45を周囲壁に吸着させ、周囲枠17の上枠を掛止腕47の係止溝48に係止する。さらに、左右一対の装着具13の磁石ユニット45を周囲壁に吸着させ、周囲枠17の下枠を掛止腕47の係止溝48に係止する。
【0038】
上記の実施例では、ホルダー本体20の後側と上側の2か所に取付けベース21を設けたが、その必要はなく、取付けベース21と第1掛止爪22および第2掛止爪23はホルダー本体20の後枠側と上枠側のいずれか1側に設けてあれば足りる。また、上記の実施例では、金属線材15を縦横に交差配置して格子体16を構成したが、その必要はない。例えば、格子体16はプラスチック成型品で形成することができ、その場合には、周囲枠17を格子体16と一体に成形することができる。格子体16には互いに交差配置される多数個の格子材15が一体に形成してある。必要があれば、格子体16が斜めに交差配置された金属線材15および格子材15で構成してあってもよい。
【0039】
整線ベース10は、格子材15や金属線材15の格子体16で構成する必要はなく、装着穴(装着部)18の一群が縦横に形成してある、プラスチック製、金属製、木製などの有孔板で構成することができる。その場合には、ケーブルホルダー11の取付けベース21に、装着穴18に差込み係合される掛止爪(掛止体)22・23を設けて、ケーブルホルダー11を整線ベース10に着脱するとよい。一対の規制爪25・26は、係合爪34・35同士が係合することにより、ホルダー本体20がケーブル束Cの重量で拡開変形するのを規制したが、その必要はない。例えば、一対の規制爪25・26の重なり部分に、連結突起と連結穴とを設けておき、連結突起と連結穴を係合連結することにより、ホルダー本体20の拡開変形を規制してもよい。あるいは、一対の規制爪25・26の片方に差込み枠を設け他方に弾性腕を設けて、弾性腕を差込み枠の内面に差込み係合して、規制爪25・26どうしを連結してもよい。出入口24は、ホルダー本体20の前枠部の上下中途部に設ける必要はなく、前枠部の上部寄り、あるいは下部寄りに設けることができる。
【0040】
ホルダー本体20は四角枠状に形成する必要はなく、D字状、C字状、直交する2個の隣接辺部を備えた台形状などに形成することができる。本発明に係る配線ケーブルの整線構造は、光ケーブルの配線形態を整えるために使用することができる。さらに、金属加工機械の制御盤や、工業用ロボットの制御盤などに適用して、制御盤から導出される配線ケーブルの配線形態を整えるために使用することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 筐体(サーバーラック)
2 内部機器(サーバー)
3 内部機器(ホストマシン)
4 配線ケーブル
10 整線ベース
11 ケーブルホルダー
15 格子材(金属線材)
16 格子体
17 周囲枠
18 装着部
20 ホルダー本体
21 取付けベース
22 掛止体(第1掛止爪)
23 掛止体(第2掛止爪)
24 出入口
25・26 規制爪
C ケーブル束
図1
図2
図3
図4
図5
図6