【実施例1】
【0012】
図1は本発明に係るエレベーター装置を模式的に示す図であり、
図2は本発明に係るエレベーター装置を模式的に示す上面図である。
図1及び
図2に示すように、本発明に係るエレベーター装置100は、昇降路壁1(前側壁1a、横側壁1b、後側壁1c(
図2))により囲まれて形成される昇降路2内に、乗客を乗せる乗りかご3と、主ロープ31を介して乗りかご3と接続されたつり合いおもり4と、主ロープ31が巻きかけられたシーブ(図示せず)を有する巻上機32とを有する。さらに、昇降路2の昇降路壁1に設けたレール支持部材(図示せず)を介して昇降路2内に垂直方向に設置された左右一対のかご用ガイドレール(以下、ガイドレールとも称する)5と、昇降路壁1に設けたレール支持部材(図示せず)を介して昇降路2内に垂直方向に設置された左右一対のおもり用ガイドレール6とを備えている。乗りかご3は、かごドア33を有し、かごドア33は前側壁1aに対向する。
【0013】
そして、乗りかご3は、ガイドシュー(図示せず)を介してかご用ガイドレール5により案内されて上下方向に昇降移動すると共に、つり合いおもり4は、ガイドシュー(図示せず)を介しておもり用ガイドレール6により案内されて上下方向に昇降移動する。
【0014】
かご用ガイドレール5には、ガイドレール5に直交するように、ブラケット7a及び7bが支持されており、このブラケット7a及び7bには、昇降路2内に設けられる塔内機器(例えば、インダクタープレート8、調速機ロープ振れ止め9、制御ケーブルサポート10、金網11、制御箱12、及び位置検出スイッチ13等(
図2))が取付けられている。本実施例では、ブラケット7aは、乗りかご3のかごドア33方向に延長された前側ブラケットであり、ブラケット7bは、乗りかご3のかごドア33と反対方向に延長された後側ブラケットである。
【0015】
また、本実施例では長尺物として、主ロープ31や、乗りかご3に設けられたテールコード17やケーブル(図示せず)及び調速機ロープ(図示せず)が昇降路2内に設けられている。
【0016】
さらに、昇降路壁1aとブラケット7a及び昇降路壁1cとブラケット7bとの間には、ブラケット7a及び7bに長尺物が引っ掛ることを防止するためにそれぞれ保護線14a及び14bが設けられている。
【0017】
図3は
図2におけるエレベーター装置の要部拡大上面図である。前側ブラケット7aの一端は、ガイドレール5に固定されており、他端(前側壁1a側の端部)は直交部材15を有する。直交部材15は、保護線支持部18を有し、前側ブラケット7aに直交するよう、横側壁1bに向かって延長された部材である。保護線14aの一端は、前側ブラケット17aの端部(ガイドレール5に固定されている側の端部)に固定され、前側壁1aに向かって、前側ブラケット7aの延伸方向に沿って引き回され、直交部材15の保護線支持部18に支持され(直交部材15に係止され)前側壁1aに固定される。
【0018】
上記のように保護線14aを張ることで、ブラケット7aに長尺物が引っ掛ることを防止することができる。すなわち、ブラケット7aと昇降路壁1aとの間から、長尺物がブラケット7aに回り込むことを防ぐことができる。また、上記態様によれば、ブラケット7aにたわみを極力発生させずに保護線14aを張ることができる。
【0019】
ここで、従来の態様について説明する。
図4は従来の保護線取付け構造を模式的に示す上面図である。
図4に示すように、保護線14aの一端がブラケット7aの端部(前側壁1a側)に固定され、他端が前側壁1aに固定されている。すなわち、保護線14aは、ブラケット7aから前側壁1aに直接設けられている。
【0020】
図5は乗りかご3に出入口機器等の突起物16がある場合の従来の保護線取付け構造を模式的に示す上面図である。乗りかご3のかごドア付近には、出入口機器等の突起物16がある。この場合、保護線14aは、この突起物16を避けるように張られる。ブラケット7aと保護線14aのなす角度θが、0°に近い角度で保護線14aを張れる場合は問題ない。しかし、
図5のように、突起物16がある場合、θを0°に近い角度で保護線14aを張ることはできず、θが大きくなると保護線14aの張力T1の分力F1により、ブラケット7aにたわみが発生してしまう。
【0021】
図6は乗りかご3に出入口機器16等の突起物がある場合の本発明に係る保護線取付け構造を模式的に示す上面図である。本発明では、ブラケット7aの端部に直交部材15を設けることで、ブラケット7aと保護線14aのなす角度θは0°に近い角度にすることができる。すなわち、ブラケット7aと、保護線支持部18から昇降路壁1aの間の保護線14aとがほぼ平行となる。この結果、ブラケット7aのたわみを低減することができ、インダクタープレートの検出精度の低下等を防止することができる。直交部材15の長さを調節することにより、ブラケット7aと、保護線支持部18から昇降路壁1aの間の保護線14aのなす角度θを適宜調整することができる。なお、この場合でも保護線14aの張力T2の分力F2により直交部材15にたわみが発生し、ブラケット17aがわずかにたわむが、分力F2によるブラケット17aのたわみは上記F1と比較して無視できるほど小さいため、問題になることはない。
【0022】
上述した実施例では、乗りかご3がかごドア33側に突起物を有することが多い点を考慮して、前側ブラケット17aに直交部材15を設けたが、直交部材15を設ける位置に特に限定は無く、ブラケットから昇降路内の突起物を避けて昇降路壁へ保護線を張る必要がある場合に、どの位置のブラケットにも適用できることは言うまでもない。
【0023】
以上、本発明によれば、ブラケットにたわみを極力発生させずに保護線を張ることができるエレベーター装置を提供することができることが示された。
【0024】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記実施例は本発明を分かりやすく説明する為に詳細に説明したものであり、必ずしも説明したすべての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。