(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら従来の成形品取出機では、設定条件が変わったことにより消費電力がどの程度削減できているのか、ユーザは確認することはできなかった。また従来の成形品取出機では、使用する複数のエアー装置におけるエアー消費量もユーザは確認することはできなかった。そのためユーザが、取り出し対象とする成形品に応じて、成形品取出機全体でのエネルギー消費量を削減しようと思っても、どのように設定条件を変えればよいのかが従来は判らなかった。そこで従来は、積極的にエネルギー消費量を削減しようとすると、取り出し対象とする成形品が変わるたびに、成形品取出機のメンテナンスを行う会社に相談して、好ましい設定条件を設定し直す必要があった。また従来は、設定条件に応じたエアー消費量をユーザが知ることができなかったために、工場内で複数台の成形品取出機を使用する場合には、特にコンプレッサを必要以上の能力で運転しなければならなかった。総合的なエネルギー消費量を知るためには、電力計や流量計等の測定器を成形品取出機ごとに設置すればよいが、費用がかかる上、各種の測定器の表示の個別確認作業に手間を要する問題が生じる。
【0005】
本発明の目的は、測定器を用いずに、設定条件に応じたエアー消費量及び電力消費量をユーザに知らせることを可能にして、総合的にエネルギー消費量を削減する設定条件をユーザ自身が設定することができる成形品取出機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の成形品取出機は、表示部を備えて成形品取出機の動作を設定する機能を有するコントローラと、動力源としてエアーを用いる複数のエアー装置と、駆動源として電気を用いる複数の電気装置とを備えている。本発明の取出機はさらに、消費量情報記憶部と、消費量演算部と、表示動作制御部とを備えている。消費量情報記憶部は、複数のエアー装置のそれぞれについての設定条件とエアー消費量の関係に関する個別エアー消費量情報を記憶する。消費量情報記憶部はまた、複数の電気装置のそれぞれについての設定条件と電力消費量の関係に関する個別電力消費量情報を記憶する。消費量演算部は、コントローラから入力された複数のエアー装置の設定条件及び複数の電気装置の設定条件と消費量情報記憶部に記憶されている個別エアー消費量情報及び個別電力消費量情報とに基づいて、所定の期間当たりのエアー消費量及び電力消費量を演算する。そして表示動作制御部は、消費量演算部の演算結果を表示部に表示する。このように構成すると、複数のエアー装置及び複数の電気装置のそれぞれの設定条件に応じたエアー消費量及び電力消費量を、測定器を用いて測定することなく表示できる。そのため、本発明によれば、測定器を用いずに、設定条件に応じた所定の期間当たりのエアー消費量及び電力消費量をユーザに知らせることが可能になる。そしてユーザは、ユーザ自身が設定した設定条件における、所定の期間当たりのエアー消費量及び電力消費量を表示部の表示により知ることにより、設定条件の妥当性を確認することができる。その結果、総合的にエネルギー消費量を削減する設定条件をユーザ自身で設定することが可能になる。この所定の期間は任意であるが、例えば所定の期間を1成形サイクルにすると、設定条件の妥当性をより感覚的に確認することができる。また所定の期間を単位時間あたりにしても、設定条件の妥当性をより感覚的に確認することができる。
【0007】
個別電力消費量情報には、電気装置としてのモータの電力消費量情報と、モータ以外の電気装置の電力消費量情報とを含めることができる。この場合、モータの電力消費量情報には少なくともモータが動作状態にあるとき及び待機状態にあるときの電力消費量情報を含める。そして、モータ以外の電気装置の電力消費量情報には、モータ以外の電気装置が動作状態にあるときの電力消費量情報を含める。成形品取出機では、1成形サイクルの動作中において、モータは動作状態と待機状態となり、待機状態においても電力を消費している。またモータ以外の電気装置では、動作状態(オン状態)以外では、電力の消費は無いかまたは無いに等しい。そのためモータが動作状態であるとき及び待機状態にあるときの電力消費量情報とモータ以外の電気装置が動作状態であるときの電力消費量情報に基づいて、電力消費量を演算すれば、測定器を用いない場合でも、より高い精度で1成形サイクル当たりの電力消費量を演算により求めることができる。
【0008】
個別電力消費量情報が、電気装置としてのモータの電力消費量情報と、モータ以外の電気装置の電力消費量情報とを含む場合には、消費量演算部は、動作状態にあるモータから得られる情報を考慮して電力消費量情報を演算することが好ましい。このように構成すると、モータ及びモータ以外の電気装置がそれぞれ動作状態であるか、あるいは待機状態であるかを正確に判別することができるので、電力消費量の演算精度を高めることが可能となる。
【0009】
消費量演算部は、1成形サイクルの動作が終了するたびに演算を実行するのが好ましい。このようにすると動作状態にあるモータから得られる情報を考慮したより正確な演算結果を表示することができる。またこの場合には、表示動作制御部を、表示部への表示が指令されているときには、表示部への表示を継続するように構成する。このように構成すると、使用者による設定変更に応じて表示されるエアー消費量及び電力消費量が1成形サイクル毎に変更されるので、エアー消費量及び電力消費量を節約したことを使用者が直ちに実感することができる。
【0010】
消費量演算部は、成形品取出機の動作に同期して動作中における瞬時電力を演算してもよい。この場合には、表示動作制御部を、瞬時電力を表示部に電力消費量と一緒に表示するように構成する。このように構成すると、1成形サイクルの動作中は変動しない電力消費量とは別に瞬時電力が表示されるので、1成形サイクルの動作中での各電気装置の動作状態あるいは待機状態に応じた消費電力の変化を使用者に同時に実感させることができる。
【0011】
消費量情報記憶部は、コントローラに設けておいてもよい。このように構成すると、演算のための信号処理が簡単となる。消費量情報記憶部は、複数の電気装置に設けてもよい。このように構成すると、複数の電気装置から情報を得る場合には、電気装置側で収集した情報を情報記憶部に記憶しておくことにより、情報の収集が容易になる。
【0012】
表示動作制御部によるエアー消費量及び電力消費量の表示は、任意の態様とすることができる。例えば、エアー消費量及び電力消費量を同時に表示してもよいし、エアー消費量及び電力消費量を個別に交互に表示するようにしてもよい。また、使用者の操作により、エアー消費量を表示するかあるいは電力消費量を表示するかを切り替えることができるようにしてもよい。
【0013】
具体的な表示部としては、表示画面を備えたものとすることができる。また、エアー消費量及び電力消費量の表示画面への表示及び瞬時電力の表示画面への表示も任意の表示形式を採用することができる。例えば表示動作制御部は、エアー消費量及び電力消費量については、1成形サイクルの動作ごとの値であり1成形サイクルの動作中は変動しないので、数値表示するようにしてもよい。また瞬時電力は、リアルタイムに数値が変動するので、数値の変動を実感できるように、棒グラフ表示とするのが好ましい。このように構成すると、エアー消費量及び電力消費量の変動は定量的な表示とし、瞬時電力の変動は感覚的な表示とすることにより、見る者に的確に情報を提示することができる。
【0014】
消費
量情報記憶部は、成形品取出機に新たに追加されたエアー装置の個別エアー消費量情報及び成形品取出機に新たに追加された電気装置の個別電力消費量情報を追加記憶する機能を有することができる。このように構成すると、成形品取出機にエアー装置または電気装置を追加しても、その追加を反映したエアー消費量及び電力消費量の演算が行われるため、エアー装置または電気装置の追加による演算精度の低下を防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下図面を参照して、本発明の成形品取出機の実施の形態の一例を詳細に説明する。
図1は本実施の形態の成形品取出機1の全体構成を示す図である。成形品取出機1は、トラバース型の成形品取出機であり、図示されていない成形機の固定プラテンに基部が支持される。
【0017】
図1に示す成形品取出機1は、本体部3と、コントローラ5から構成される。コントローラ5は、本体部3とケーブルを介して通信接続されている。また、コントローラ5の前面には、タッチパネル式の表示画面7が設けられている。表示画面7には、各種画面が表示され、操作者は画面にタッチ操作を行うことにより、本体部3及びコントローラ5の設定を変更する。なお、本実施の形態においては、本体部3と、コントローラ5とをケーブルによって通信接続しているが、無線により通信接続してもよいのは勿論である。
【0018】
本体部3は、横行軸11と、第1の走行体13と、引き抜き軸15と、成形品吸着用昇降ユニット17と、ランナ用昇降ユニット19とを備えている。横行軸11は、図示しない成形機の長手方向に水平に直交したX軸方向に延設される片持ビーム構造を有している。第1の走行体13は、横行軸11に支持されており、サーボモータを駆動源として横行軸11に沿ってX軸方向に進退する。引き抜き軸15は、第1の走行体に設けられており、成形機の長手方向と平行なY軸方向に延びている。
【0019】
成形品吸着用昇降ユニット17は、第2の走行体17aと、昇降軸17bとを備えている。第2の走行体17aは、引き抜き軸15に支持されて、エアーシリンダー装置からなる駆動源により長手方向と平行なY軸方向に進退する。昇降軸17bは、第2の走行体17aに支持されており、エアーシリンダー装置からなる駆動源によりZ軸方向に昇降する。昇降軸17bの先端には、真空発生装置からなる駆動源により成形品を吸着する成形品吸着ヘッド17cを備えている。
【0020】
ランナ用昇降ユニット19は、第3の走行体19aと、昇降軸19bとを備えている。第3の走行体19aは、引き抜き軸15に支持されて、エアーシリンダー装置からなる駆動源により長手方向と平行なY軸方向に進退する。昇降軸19bは、第3の走行体19aに支持されており、エアーシリンダー装置からなる駆動源によりZ軸方向に昇降する。昇降軸19bの先端には、エアーシリンダー装置からなる駆動源によりランナを把持するランナチャック19cを備えている。なお成形品取出機1の動作は公知であるため説明は省略する。
【0021】
図2は、測定器を用いることなくエア−消費量及び電力消費量を演算することができる本発明の成形品取出機の実施の形態の本体部3及びコントローラ5に内蔵された信号処理回路の主要部の構成の一例を示すブロック図である。本体部3は、第1乃至第nのエアー装置21と、第1乃至第mの電気装置22とを備えている。但しn及びmは、正の整数である。第1乃至第nのエアー装置21には、後述するように、成形品吸着用昇降ユニット17の第2の走行体17a及び昇降軸17b並びにランナ用昇降ユニット19の走行体19a及び昇降軸19bの駆動源であるエアーシリンダー装置及び真空発生装置等が含まれる。第1乃至第mの電気装置22には、後述するように第1の走行体13の駆動源であるサーボモータ等の各種のモータと、エアーシリンダー装置及び真空発生装置を作動させるためのバルブのスイッチ等のモータ以外の各種の電気装置が含まれる。これら第1乃至第nのエアー装置21及び第1乃至第mの電気装置22は、コントローラにより設定条件に応じて制御装置20によって動作が制御される。
【0022】
コントローラ5は、表示画面7(
図1)を有する表示部29と、設定部31と、個別電力消費量情報を記憶する個別電力消費量情報記憶部23と個別エアー消費量情報を記憶する個別エアー消費量情報記憶部25とからなる消費量情報記憶部27と、表示動作制御部33と、消費量演算部35とを少なくとも備えている。設定部31は、使用者の入力に応じて複数のエアー装置及び複数の電気装置のそれぞれについての設定条件を含む成形品の取り出し動作及び各動作の動作モードを設定する。消費量演算部35は、少なくとも設定部31の設定と、個別電力消費量情報記憶部23に記憶された個別電力消費量情報と個別エアー消費量情報記憶部25に記憶された個別エアー消費量情報とに基づいて、1成形サイクルの取り出し操作が終了するたびに、1成形サイクル当たりのエアー消費量及び電力消費量を演算する。消費量演算部35はまた、成形品取出機の動作に同期して動作中における瞬時電力を演算する。表示動作制御部33は、消費量演算部35が演算したエアー消費量及び電力消費量及び瞬時電力を表示部29の表示画面7に表示する。本実施の形態の表示動作制御部33は、表示部29への表示が設定部31からの設定によって指令されているときには、表示部29への表示を継続するように構成されている。
【0023】
次に測定器を用いることなく、エアー消費量を演算する場合の具体的な演算について
図3及び
図4(A)及び(B)を用いて説明する。
図3には本実施の形態の成形品取出機1で使用する6台のエアー装置と、6台のエアー装置の駆動源と、この駆動源の付帯ユニットとの関係を示す表である。
図3に示すように本実施の形態では、付帯ユニットとしてのバルブ1乃至5でそれぞれ作動するエアシリンダを駆動源とする第2の走行体17a、第3の走行体19a、昇降軸17b、昇降軸19b及びランナチャック19cと、付帯ユニットとしてのバルブ6で作動する真空発生装置を駆動源とする成形品吸着ヘッド17cとを複数のエアー装置として備えている。
【0024】
図4(A)は、個別エアー消費量情報記憶部25に記憶される各エアー装置の設定条件に対応した個別エアー消費量情報の例を示している。個別エアー消費量情報は、成形品取出機1の各エアー装置が消費するエアー量を、設定条件に応じて予め測定して得た値である。ここでシリンダによる動作では、1回バルブをオンにすれば、動作状態が継続される。そのため、シリンダ1乃至5についてのエアー消費量の単位は、バルブを1回オンにした場合に消費されるエアー量として示されている。これに対して、真空発生装置による動作では、成形品を吸着ヘッドに吸着している状態を維持するために、継続的にバルブをオンしておく必要がある。そのため、真空発生装置についてのエアー消費量の単位は、バルブを1秒間オンにした場合に消費されるエアー量として示されている。また本実施の形態では、
図4(A)に示すように、成形品取出機に追加することができるエアー装置(追加エアシリンダ6及び追加真空発生装置)の個別エアー消費量情報も個別エアー消費量情報記憶部25に追加記憶される。
【0025】
図4(B)には、通常モードにおける1成形サイクルで使用されるシリンダ及び真空発生装置と、エアー消費量との関係の一例を示している。説明を簡単にするために、
図4(B)に示す例ではランナ用昇降ユニット19(即ちシリンダ2、シリンダ4及びシリンダ5)を使用しない成形サイクルとしてある。
図4(B)の例では、1成形サイクルの所要時間が12秒であり、この1成形サイクルの間に、シリンダ1ではバルブ1が2回オンとなり、シリンダ3ではバルブ3が2回オンとなり、真空発生装置は、3秒間と2秒間の2回バルブ6がオンとなっている。消費量演算部35は、1成形サイクルの間に各エアー装置で消費されたエアー消費量を演算する。即ち、真空発生装置で(3秒間+2秒間)×2リットル=10リットルのエアーが消費されたと演算する。また、1成形サイクルの間に、シリンダ1で2回×2リットル=4リットル、シリンダ3で2回×3=6リットルのエアーが消費されたと演算する。そして、1成形サイクル全体では、10+4+6=20リットルのエアーが消費されたと演算する。表示動作制御部33は、消費量演算部35の演算結果を表示画面7に表示する。本実施の形態では、1分当たり及び1成形サイクル(所定の期間当たり)のエアー消費量を表示する。そのため、20リットル×(60÷12)=100リットル/分という情報が表示画面7に表示される。また、現在のエアー消費量としいて1成形サイクルのエアー消費量である20リットルが表示される。なお、ランナ用昇降ユニット19(即ちシリンダ2、シリンダ4及びシリンダ5)を使用する場合または形品取出機1に追加エアシリンダ6または追加真空発生装置を追加して使用する場合には、各エアー装置について1成形サイクルで使用するエアー消費量を
図4(B)の場合と同様に求めておき、演算に使用すればよい。
【0026】
次に測定器を用いることなく、電力消費量を具体的に演算することについて説明する。
図5には電源に接続された本実施の形態の成形品取出機1で使用する複数の電気装置が示されている。
図5に示すように、本実施の形態では、成形品取出機1で使用する複数の電気装置を、モータと、モータ以外の電気装置とに分けており、個別電力消費量情報記憶部23には、モータの
電力消費情報と、モータ以外の電気装置の電力消費情報がそれぞ記憶されている。また消費量演算部35は、1成形サイクル当たりのモータの電力消費量及びモータ以外の電気装置の電力消費量をそれぞれ演算して総計を電力消費量情報として出力する。
【0027】
図6(A)には、本実施の形態の個別電力消費量情報記憶部23に記憶されるモータ以外の電気装置の個別電力消費
量情報が示されている。本実施の形態では、成形品取出機の電源をオン状態にしたときに消費する電力を「通常時の基本電力」とし、コントローラのバックライトをオン状態としているときに増加する電力、エアー装置の各バルブをオン状態としているときに増加する電力をモータ以外の電気装置の個別電力消費
量情報としてコントローラ内に構成された個別電力消費量情報記憶部23に記憶している。また本実施の形態では、成形品取出機に追加することができる電気装置の個別
電力消費量情報も個別電力消費量情報記憶部23に追加可能になっている。各電気装置の個別電力消費
量情報は、各電気装置をオン状態にした場合に、例えば予め定めた単位時間当たり(本実施の形態では0.1秒毎)に増加する電力を予め測定した値である。
【0028】
消費量演算部35は、予め定めた単位時間即ち0.1秒ごとに、モータ以外の各電気装置がオン状態であるか否かを確認する。オン状態の電気装置があった場合には、対応するon時消費電力を、通電時の基本電力(Pbase)に加算して、モータ以外の電気装置の瞬時電力とする。例えば、バックライトと、バルブ3がon状態の場合には、Pbase+Pbk+Pv3を瞬時電力とする。消費量演算部35は、1成形サイクルを通じて予め定めた単位時間毎に瞬時電力を演算し、演算した瞬時電力を積算して、1成形サイクル当たりの消費電力を演算している。
【0029】
次にモータの電力消費量の具体的な演算について説明する。
図6(B)には、本実施の形態で使用されるモータの1成形サイクルの動作のパターンの一例が記載されている。
図6(B)の例では、モータは、第1の待機状態→第1の加速状態→第1の定速状態→第1の減速状態→第2の待機状態→第2の加速状態→第2の定速状態→第2の減速状態→第3の待機状態というパターンで動作する。このモータの動作は、予め定めた速度及び加速度についての速度指令プログラムによって定められている。そこで、本実施の形態の個別電力消費量情報記憶部23は、モータの速度を定める速度指令に対応させて電力消費力情報を記憶している。
図6(C)には、モータの速度指令に対応する電力消費量情報の一例が示されている。第1乃至第3の待機状態では、単位時間あたりの消費電力に変動がないので、第1乃至第3の待機状態の消費電力Pwaは固定された数値である。同様に、第1の定速状態及び第2の定速状態も単位時間あたりのモータの消費電力に変動がないので、第1の定速状態の消費電力はPnr1及び第2の定速状態の消費電力はPnr2はそれぞれ固定された数値である。これに対して第1の加速状態では、モータの速度の変化によりモータの消費電力は変動する。同様に第1の減速状態、第2の加速度状態及び第2の減速状態では、モータの速度の変化によりモータの消費電力は変動する。従って
図6(C)に示す第1の加速状態の消費電力Pac1、第1の減速状態の消費電力Pac2、第2の加速状態の消費電力Pac3及び第4の減速状態の消費電力Pac4は、モータの速度に応じて変動する。個別電力消費量情報記憶部23は、モータの速度指令に応じた消費電力をそれぞれ記憶している。
図6(D)には、モータの速度指令と、加速状態または減速状態の消費電力の関係の一例として、モータの速度指令と、第1の加速状態の消費電力Pac1との関係を示してある。
【0030】
消費量演算部35は、まず、1成形サイクルの開始時に電力積算値をリセットして0にする。次いで消費量演算部35は、予め定めた単位時間即ち0.1秒ごとに、モータが動作状態のどの動作モードであるかあるいは待機状態であるかを確認する。モータが第1乃至第3のいずれかの待機状態であった場合には、消費量演算部35はPwaの値を瞬時の消費電力(瞬時電力)として電力積算値に積算する。モータが第1の定速状態であった場合には、消費量演算部35はPnr1の値を電力積算値に積算する。モータが第2の定速状態であった場合には、消費量演算部35はPnr2の値を電力積算値に積算する。
【0031】
モータが第1の加速状態であった場合には、消費量演算部35はモータの速度に応じた瞬時の消費電力(瞬時電力)を電力積算値に積算していく。例えば、速度がv2の場合には、消費電力Pac1−2を電力積算値に積算する。同様にモータが第1の減速状態、第2の加速状態または第2の減速状態であった場合には、消費量演算部35はモータの速度に応じた消費電力Pac2、Pac3またはPac4を電力積算値に積算していく。消費量演算部35は、1成形サイクルを通じて予め定めた単位時間毎に瞬時電力を演算し、演算した瞬時電力を積算して、1成形サイクル当たりの消費電力を演算している。本実施の形態ではさらに、1成形サイクルが完了したときに、電力積算値を1成形サイクルの所要時間で除算することにより、モータで消費された電力(平均消費電力)を演算している。
【0032】
なお測定器を用いずに、電力消費量を演算する際に試用する演算方法は、上記の例に限定されるものではない。本実施の形態のように、個別電力消費量情報に、電気装置としてのモータの電力消費量情報と、モータ以外の電気装置の電力消費量情報とを分けて記憶する場合には、消費量演算部35は、動作状態にあるモータから得られる情報(実際の動作時間や、回生電力に関する情報等)を考慮して電力消費量情報を演算することが好ましい。このように構成すると、モータ及びモータ以外の電気装置がそれぞれ動作状態であるか、あるいは待機状態であるかを正確に判別することができるので、電力消費量の演算精度を高めることが可能となる。この場合には、個別電力消費量情報記憶部23の一部が、モータの駆動装置内の記憶手段により構成されていてもよいのは勿論である。
【0033】
消費量演算部は、1成形サイクルの動作が終了するたびに演算を実行するのが好ましい。このようにすると特に動作状態にあるモータから得られる情報を考慮したより正確な演算結果を表示することができる。またこの場合には、表示動作制御部を、表示部への表示が指令されているときには、表示部への表示を継続するように構成する。このように構成すると、使用者による設定変更に応じて表示されるエアー消費量及び電力消費量が1成形サイクル毎に変更されるので、エアー消費量及び電力消費量を節約したことを使用者が直ちに実感することができる。
【0034】
消費量演算部35は、演算したモータの電力消費量力と、モータ以外の電気装置の電力消費量とを積算して成形品取出機1の電力消費量を演算する。また消費量演算部35は、演算したモータの瞬時電力と、モータ以外の電気装置の瞬時電力とを積算して成形品取出機1の消費電力を演算する。なお、成形品取出機1に追加エアシリンダまたは追加モータ装置を追加して使用する場合には、各電気装置について1成形サイクルで使用する電気消費量を
図5及び
図6(A)、(B)の場合と同様に求めて、加算すればよい。
【0035】
図7には、消費量演算部35の演算結果に基づいて表示動作制御部33が表示部29の表示画面7に表示する表示画像の一例を示す図である。
図7の例では、エアー消費量及び電力消費量が同時に数値で表示されており、瞬時電力が棒グラフで表示されている。なお、エアー消費量及び電力消費量を同時に表示にしなくともよい。