(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記本体フレームは、シート幅方向の左右側方に配置され、シート前後方向に延びているサイドフレームと、左右の前記サイドフレームの前方部分を連結するパンフレームと、左右の前記サイドフレームの後方部分を連結する後方フレームと、を有し、
前記弾性支持部材は、前記パンフレームと前記後方フレームを連結するためにシート前後方向に延出し、
前記前方検出センサにおいて前記第1検出部及び前記第2検出部が、前記パンフレームの一部と上下方向において重なる位置に配置されていることを特徴とする請求項4に記載の車両用シート。
前記前方検出センサにおいて前記第2伝送部のうち前記センサ通過穴を通過する部分は、前記パンフレームよりもシート後方位置に配置されていることを特徴とする請求項5に記載の車両用シート。
前記センサ通過穴は、前記クッション材の厚み方向において該クッション材の表面から裏面に向かうに従って大きくなるように形成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の車両用シート。
【背景技術】
【0002】
従来、シートベルト装置やエアバッグ装置等の各種安全装置の性能を向上させるために、着座者がシートに着座した際に着座圧を検出する着座検出センサを備えた車両用シートが知られている。
このような車両用シートでは、一般にシートクッションの着座面の直下位置に着座検出センサが取り付けられている。一方で、着座検出センサが着座圧を検出した際に出力する検出信号を受信する機器(例えば制御装置)については、着座検出センサから離れた位置に配置されており、例えば、着座面を構成するクッション材の裏面側(着座面とは反対側)に配置されている。こうした場合には、圧力センサから出力された検出信号の伝送路を極力短くするために、クッション材に貫通穴を形成し、当該貫通穴に伝送路を通す構成となっている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
特許文献1に記載の着座センサ付き車両用シートでは、クッション材の表面に形成された表皮つり込み溝をシート前後方向に跨ぐようにして着座センサが取り付けられている。
また、クッション材において表皮吊りこみ溝が形成された部分には、さらに着座センサの伝送路を通すための貫通穴が形成されている。
上記構成において、一般に表皮吊りこみ溝は、着座圧が加わり易い着座者のヒップポイントの位置辺りに形成されていることから、着座センサの検出性能を確保し易い配置となっている。また上記貫通穴の配置によって、着座センサの伝送路をできる限り短くすることができる。
【0004】
特許文献2に記載の乗員検知センサ付き車両用シートでは、クッション材の表面に形成された表皮つり込み溝をやや避けた位置に乗員検知センサが1つ取り付けられている。
また、クッション材において乗員検知センサが取り付けられた部分の真下には、乗員検知センサの伝送路を通すための貫通穴が形成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、このような着座検出センサ付きシートでは、センサの検出性能を確保しながらも、着座者による繰り返しの着座圧に伴ってセンサの検出部分が変形してしまうことや位置ずれを発生してしまうことがないように工夫する必要があった。
しかしながら、特許文献1のような着座検出センサ付きシートでは、クッション材の表面において表皮吊り込み溝を跨ぐ位置にセンサが取り付けられているために、着座圧によって表皮吊りこみ溝が大きく弾性変形したときに、センサの一部が挟まれる等して変形や位置ずれをおこしてしまう虞があった。また、クッション材の表面上に載置されるセンサの検出部分について保持性に劣る虞があった。
【0007】
また特許文献2のような着座検出センサ付きシートについても、クッション材の表面において表皮吊り込み溝をやや避けた位置にセンサが配置されているものの、センサの検出部分の真下に貫通穴が形成されているため、クッション材による保持性に劣る虞があった。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、検出センサの検出性能を確保しながらも、当該検出センサの変形や位置ずれを抑制することが可能な検出センサ付きの車両用シートを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、クッション材の表面上に載置される検出センサの検出部分の保持性を向上させた検出センサ付きの車両用シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題は、本発明の車両用シートによれば、
シートクッションのクッション材と、該クッション材を被覆する表皮材の間に取り付けられ、着座者が
前記シート
クッションに着座していることを検出する検出センサを備えた車両用シートであって、前記クッション材の表面には、前記表皮材の端末を吊りこむための表皮吊り込み溝と、前記クッション材の厚み方向に貫通して形成され、前記検出センサの一部を通すためのセンサ通過穴と、が形成され、前記検出センサは、複数からなり、シート前後方向において前記表皮吊り込み溝を介して互いに反対側の位置に配置され、複数の前記検出センサのそれぞれは、着座者がシートに着座した際に変化する対象値を検出する第1検出部及び第2検出部と、該第1検出部及び
該第2検出部が前記対象値を検出した際に出力する検出信号の伝送路を構成するための伝送部と、を備え、該伝送部は、前記第1検出部と前記第2検出部を連結するように延びている第1伝送部と、該第1伝送部と、前記伝送部を通じて前記検出信号を受信する受信部とを連結するために、前記センサ通過穴を通過して延びている第2伝送部と、を有し、前記第1伝送部と、前記第2伝送部のうち前記センサ通過穴を通過する部分とが、シート前後方向において異なる位置に配置されて
おり、複数の前記検出センサは、前方検出センサと、該前方検出センサよりもシート後方に配置される後方検出センサとを含み、前記前方検出センサ及び前記後方検出センサのそれぞれに対して、前記センサ通過穴は、前記第1伝送部と前記第2伝送部の連結部に対しシート後方に配置され、前記前方検出センサ及び前記後方検出センサのそれぞれにおいて、前記第2伝送部のうち前記第1伝送部から前記センサ通過穴まで伸長している部分は、前記第1伝送部からシート後方に向かって直線的に伸長していること、により解決される。
【0010】
上記のように、前記検出センサは、複数からなり、シート前後方向において前記表皮吊り込み溝を介して互いに反対側の位置に配置されているため、複数の検出センサによって検出性能を確保することができ、かつ、着座圧によって表皮吊りこみ溝が大きく弾性変形した場合でも、検出センサの一部が挟まれることがなく検出センサの変形や位置ずれを抑制することが可能な車両用シートを実現することができる。
また上記のように、各検出センサの第1伝送部と、第2伝送部のうちセンサ通過穴を通過する部分とが、シート前後方向において異なる位置に配置されているため、従来のように検出センサの検出部分の真下にセンサ通過穴が形成されている場合と比較して、クッション材による検出部分の保持性を向上させることができる。その結果、検出センサの変形や位置ずれを一層抑制することができる。
また、従来のように検出センサの検出部分の真下にセンサ通過穴が隠れるようにして形成されている場合と比較して、本発明では各検出センサの取り付け位置の目視確認がし易くなる。
【0011】
このとき、前記第1検出部と前記第2検出部は、シート幅方向に所定の間隔を空けて配置され、前記第2伝送部のうち前記センサ通過穴を通過する部分は、シート幅方向において前記第1検出部と前記第2検出部の間に配置されていると良い。
上記構成により、複数の検出センサによって検出性能を確保しながらも、検出センサの大型化を抑制してコンパクトな配置を実現できる。
【0012】
このとき
、前記前方検出センサ及び前記後方検出センサの少なくとも一方において、前記第2伝送部のうち前記センサ通過穴を通過する部分は、シート前後方向において前記第1伝送部に対して前記表皮吊り込み溝とは反対側の位置に配置されていると良い。
上記構成により、複数の検出センサが表皮吊り込み溝を間に挟む位置に取り付けられるにあたって、各検出センサの取り付けのために形成されるセンサ通過穴を表皮吊り込み溝から極力遠ざけた位置に配置することができる。そうすることで、着座圧によって表皮吊り込み溝周辺が大きく弾性変形することを抑制でき、その結果、検出センサの変形や位置ずれを抑制することができる。
【0013】
このとき、骨格となるクッションフレームを備え、該クッションフレームは、枠状体からなる本体フレームと、該本体フレームにおいて所定方向の一方部分と他方部分とに架け渡され、着座者を支持するための複数の弾性支持部材と、を備え、前記第2伝送部は、前記クッション材の裏面に沿って延出し、複数の前記弾性支持部材の間に配置されていると良い。
上記構成により、検出センサの第2伝送部が弾性支持部材に干渉してしまうことを避けることができるため、第2伝送部の変形や位置ずれを抑制し、異音の発生も抑制できる。
【0014】
このとき、前記本体フレームは、シート幅方向の左右側方に配置され、シート前後方向に延びているサイドフレームと、左右の前記サイドフレームの前方部分を連結するパンフレームと、左右の前記サイドフレームの後方部分を連結する後方フレームと、を有し、前記弾性支持部材は、前記パンフレームと前記後方フレームを連結するためにシート前後方向に延出し、前記前方検出センサにおいて前記第1検出部及び前記第2検出部が、前記パンフレームの一部と上下方向において重なる位置に配置されていると良い。
上記のように、前方検出センサにおいて第1検出部及び第2検出部が、クッション材及びパンフレームによって下方から安定して保持されることになる。その結果、第1検出部及び第2検出部の検知性能を安定して確保することができる。
【0015】
このとき、前記前方検出センサにおいて前記第2伝送部のうち前記センサ通過穴を通過する部分は、前記パンフレームよりもシート後方位置に配置されていると良い。
一般に検出センサの第2伝送部は、クッション材のセンサ通過穴を通過してパンフレームの底面に回り込むように延出し、パンフレームの底面に設けられた受信部に接続されているところ、上記構成であれば、第2伝送部の長さを極力短くすることができ、検出センサをコンパクトに配置することができる。
【0016】
このとき、前記センサ通過穴は、前記クッション材の厚み方向において該クッション材の表面から裏面に向かうに従って大きくなるように形成されていると良い。
上記構成により、着座圧によってクッション材のうち特に表皮吊り込み溝周辺が大きく弾性変形した場合でも、第2伝送部のうちセンサ通過穴を通過する部分に対して加わる荷重を逃がし易くすることができる。
このとき、前記第2伝送部は、導電シート上に導電線が接着されてなる第1部分と、前記導電線が束ねられてワイヤーハーネスとなる第2部分と、を有し、前記第2部分は、前記第1部分から下方に延出する部分と、シート前方に屈曲する部分と、前記パンフレームの底面に沿って延出する部分と、前記パンフレームに掛け止めされる部分と、を有すると良い。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、複数の検出センサによって検出性能を確保することができ、かつ、着座圧によって表皮吊りこみ溝が大きく弾性変形した場合でも、検出センサの一部が挟まれることがなく検出センサの変形や位置ずれを抑制可能な車両用シートとなる。
また、従来のように検出センサの検出部分の真下にセンサ通過穴が形成されている場合と比較して、クッション材による検出部分の保持性を向上できる。その結果、検出センサの変形や位置ずれを一層抑制できる。
また、従来のように検出センサの検出部分の真下にセンサ通過穴が隠れるようにして形成されている場合と比較して、本発明では各検出センサの取り付け位置の目視確認がし易くなる。
【0018】
本発明によれば、複数の検出センサによって検出性能を確保しながらも、検出センサの大型化を抑制してコンパクトな配置を実現できる。
本発明によれば、着座圧によって表皮吊り込み溝周辺が大きく弾性変形することを抑制でき、その結果、検出センサの変形や位置ずれを抑制できる。
本発明によれば、第2伝送部の変形や位置ずれを抑制し、異音の発生も抑制できる。
【0019】
本発明によれば、前方検出センサにおいて第1検出部及び第2検出部が、クッション材及びパンフレームによって下方から安定して保持され、検知性能を安定して確保できる。
本発明によれば、第2伝送部の長さを極力短くすることができ、検出センサをコンパクトに配置できる。
本発明によれば、第2伝送部のうちセンサ通過穴を通過する部分に対して加わる荷重を逃がし易くすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について、
図1〜
図6を参照しながら説明する。
本実施形態は、クッション材と表皮材の間に検出センサを備えた車両用シートであって、クッション材の表面上には、表皮吊り込み溝と、センサ通過穴とが形成され、2つの検出センサは、表皮吊り込み溝を介して互いに反対側の位置に配置され、各検出センサは、着座者がシートに着座した際に変化する対象値を検出する第1検出部及び第2検出部と、検出信号の伝送路を構成するための伝送部と、を備えており、この伝送部は、第1検出部及び第2検出部を連結する第1伝送部と、第1伝送部及び受信部を連結するために、センサ通過穴を通過して延びている第2伝送部と、を有しており、第1伝送部と、第2伝送部のうちセンサ通過穴を通過する部分とが、異なる位置に配置されていることを特徴とする車両用シートの発明に関するものである。
なお、車両用シートのシートバックに対して着座者が着座する側がシート前方側となる。
【0022】
本実施形態の車両用シートSは、
図1に示すように、シートクッション1と、シートバック2と、ヘッドレスト3とを有するシート本体と、シート本体の内部に取り付けられ、着座者がシートに着座していることを検出するシート状の検出センサ30と、から主に構成されている。
また検出センサ30は、
図6に示すように、制御装置40及び電源50とワイヤーハーネスを介して電気的に接続されている。
【0023】
シートクッション1は、乗員を下方から支持する着座部であって、
図1に示すように、骨格となるクッションフレーム10上にクッション材1aを載置して表皮材1bで被覆されて構成されている。
クッション材1aは、発泡ウレタン等からなるパッド部材であって、
図2に示すように、シート幅方向の中央部分にあるクッション本体部と、クッション本体部のシート幅方向の外側にある左右のクッションサイド部(サイドボルスター部)と、から構成されている。
クッション材1aの表面上には、クッション本体部を前方部分と後方部分とに区分けするようにシート幅方向に沿って延びている表皮吊り込み溝1aaと、クッション本体部と左右のクッションサイド部を区分けするようにシート前後方向に沿って延びている左右の表皮吊り込み溝1abと、左右の表皮吊り込み溝1abの後端部を連結するようにシート幅方向に沿って延びている表皮吊り込み溝1acと、が形成されている。
またクッション材1aの表面上には、シート前後方向において表皮吊り込み溝1aaを介して互いに反対側の位置に設けられ、クッション材1aの厚み方向に貫通して形成され、検出センサ30の一部を通すためのセンサ通過穴1adが2つ形成されている。
【0024】
シートバック2は、着座者の背中を後方から支持する背もたれ部であって、
図1に示すように、骨格となるバックフレーム20にクッション材2aを載置して表皮材2bで被覆されて構成されている。
クッション材2aは、シート幅方向の中央部分にあるクッション本体部と、シート幅方向の外側にある左右のクッションサイド部と、から構成されている。
クッション材2aの表面上には、
図1に示すように、クッション本体部を上方部分と中央部分と下方部分とに区分けするようにシート幅方向に沿って延びている上下の表皮吊り込み溝2aaと、クッション本体部と左右のクッションサイド部を区分けするように上下方向に沿って延びている左右の表皮吊り込み溝2abと、が形成されている。
【0025】
クッションフレーム10は、
図3に示すように、左右側方に配置され、シート前後方向に延びているサイドフレーム11と、各サイドフレーム11の前方部分を連結するパンフレーム12と、各サイドフレーム11の後方部分を連結する後方フレーム13と、パンフレーム12と後方フレーム13とに架け渡され、蛇状に延びている複数の弾性バネ14と、から主に構成されている。
なお、サイドフレーム11、パンフレーム12、及び後方フレーム13を組み合わせた枠状体のフレームが本体フレームに相当し、弾性バネ14が弾性支持部材に相当する。
【0026】
パンフレーム12は、
図3に示すように、着座者の大腿部を支持するフレームであって、略矩形状のプレート体からなり、シート幅方向の両端部分が、サイドフレーム11の上面に載置されて取り付けられている。
弾性バネ14は、
図3、
図4に示すように、着座者の臀部を支持する弾性支持部材であって、シート幅方向において所定の間隔を空けて複数設けられている。
弾性バネ14は、その前端部分がパンフレーム12上面に形成された不図示の掛け止め穴に掛け止めされ、その後端部分がパイプ状の後方フレーム13にフック状に引っ掛けられて構成されている。
【0027】
バックフレーム20は、矩形状の枠状体からなり、左右側方に配置されるバックサイドフレーム21と、各バックサイドフレーム21の上端部分を連結する逆U字形状の上部フレームと、各バックサイドフレーム21の下端部分を連結する略プレート形状の下部フレームと、各バックサイドフレーム21に架け渡され、蛇状に延びている複数の弾性バネと、から主に構成されている。
【0028】
検出センサ30は、
図1に示すように、着座者がシートに着座した際にシートクッション1の着座面に加わる着座圧を検出するシート状の圧力センサであって、クッション材1aと表皮材1bの間に取り付けられ、シート幅方向の中央部分に配置されている。
ここで着座圧とは、着座者がシートクッション1上に着座した状態において当該着座者の生理的活動、具体的には呼吸に応じて周期に変化する値であり、圧力センサによって検出される対象値である。
【0029】
検出センサ30は、複数からなり、
図2に示すように、シート前後方向において表皮吊り込み溝1aaを介して互いに反対側の位置に配置される前方検出センサ30aと後方検出センサ30bと、から構成されている。
前方検出センサ30a及び後方検出センサ30bは、シート前後方向において表皮吊り込み溝1aaに近づけた位置にそれぞれ配置され、着座者のヒップポイントの位置又はヒップポイント近辺に相当する位置にそれぞれ配置されている。
そして前方検出センサ30aと後方検出センサ30bは、それぞれ独立して着座圧を検出し、検出結果に基づく検出信号を出力する。
【0030】
検出センサ30は、
図2、
図5に示すように、略T字形状からなり、着座者がシートに着座した際に変化する着座圧を検出する第1検出部31及び第2検出部32と、第1検出部31及び第2検出部32が着座圧を検出した際に出力する検出信号の伝送路を構成するための伝送部として第1伝送部33及び第2伝送部34と、を備えている。
第1検出部31及び第2検出部32は、導電シート上に接着される感圧スイッチであって、シート幅方向に所定の間隔を空けて配置されている。
【0031】
第1伝送部33は、
図3に示すように、導電シート上に伝送路となる導電線が接着されたものであって、第1検出部31と第2検出部32を連結し、シート幅方向に沿って延びている。
第2伝送部34は、導電シート上に導電線が接着されてなる第1部分34aと、導電線が束ねられてワイヤーハーネスとなる第2部分34bと、から構成されている。そして、第1伝送部33と、検出信号を受信する制御装置40とを連結するために、クッション材1aのセンサ通過穴1adを通過して延びている。
詳しく言うと、第2伝送部34のうち第1部分34aは、
図3に示すように、第1伝送部33のシート幅方向の中央部分から連続してシート前後方向の一方の向きに延出し、その延出先端部が下方に屈曲してセンサ通過穴1adを通過するように延びている。
そして第2伝送部34のうち第2部分34bは、
図4に示すように、第1部分34aから連続して下方に延出し、その延出部分がシート前方に屈曲してパンフレーム12の底面に沿ってさらに延出し、その延出先端部がカプラ35を介してパンフレーム12に掛け止めされている。
なお、カプラ35の先にはさらに不図示のワイヤーハーネスが延びて制御装置40と接続されている。
【0032】
第2伝送部34のうち第2部分34bは、
図4に示すように、パンフレーム12の底面に設けられたクリップ部材12a、12b、12c、12dによって保持された状態で、パンフレーム12の底面に沿って適宜屈曲しながら延びている。
また第2部分34bの延出先端部にあるカプラ35は、パンフレーム12のうち、シート幅方向の中央部分よりもやや外側にずらした位置に取り付けられている。
【0033】
上記構成において、
図2に示すように、検出センサ30のうち第1伝送部33と、第2伝送部34のうちセンサ通過穴1adを通過する第1部分34aとが、シート前後方向において異なる位置に配置されている。
詳しく言うと、前方検出センサ30aでは、第2伝送部34のうちセンサ通過穴1adを通過する部分が、シート前後方向において第1伝送部33と表皮吊り込み溝1aaの間に配置されている。そして後方検出センサ30bでは、第2伝送部34のうちセンサ通過穴1adを通過する部分が、シート前後方向において第1伝送部33に対して表皮吊り込み溝1aaとは反対側の位置に配置されている。
そのため、前方検出センサ30aについては、第2伝送部34のうち第2部分34bが、上下方向においてパンフレーム12と重ならない位置となり、第2部分34bがパンフレーム12の底面に回し込み易くなる。そして後方検出センサ30bについては、センサ通過穴1adが表皮吊り込み溝1aaから極力遠ざけた位置に配置されることから、着座圧によって表皮吊り込み溝1aa周辺が大きく弾性変形することを抑制できる。
【0034】
また上記構成において、
図3に示すように、第2伝送部34が通過するセンサ通過穴1adは、クッション材1aの表面から裏面に向かうに従って大きくなるように形成されている。詳しく言うと、センサ通過穴1adがシート後方側に向かってテーパー状に拡がるように形成されている。
そのため、着座圧によって表皮吊り込み溝1aa周辺が大きく弾性変形した場合でも、第2伝送部34のうちセンサ通過穴1adを通過する部分に対して加わる着座荷重を逃がし易くすることができる。
【0035】
また上記構成において、
図4に示すように、第2伝送部34のうち第2部分34bが、クッション材1aの裏面に沿って延出し、複数の弾性バネ14の間に配置されている。
そのため、検出センサ30の第2伝送部34が弾性バネ14に干渉してしまうことを避けることができ、第2伝送部34の変形や位置ずれを抑制し、異音の発生も抑制できる。
【0036】
制御装置40は、
図6に示すように、検出センサ30から出力される検出信号を受信する受信部に相当し、電気制御を総合的に実行する中枢機能となるECU(Electronic Control Unit)である。
制御装置40は、検出センサ30a、30bによって出力された検出信号を受信して、着座者がシートに着座しているか否かを判定し、その判定結果に基づいて不図示のシートベルト装置やエアバッグ装置等の各種安全装置に向けて作動信号を送信する。例えば、着座者にシートベルトの装着を報知するように、またはエアバッグ装置を作動させるように制御する。
電源50は、板形状の充電バッテリーからなり、検出センサ30及び制御装置40に電力を供給するものである。
なお、制御装置40及び電源50は、車両用シートS内部に取り付けられていても良いし、車両用シートS外部に取り付けられていても良い。
【0037】
<その他の実施形態>
上記実施形態において、検出センサ30は、圧力センサからなるが、当該圧力センサの種類として、ピエゾセンサ式の圧力センサ、半導体ピエゾ抵抗式の圧力センサ、歪みゲージ式の圧力センサ、静電容量式の圧力センサ、またはシリコンレゾナント式の圧力センサ等を適宜採用することができる。
また、検出センサ30は、圧力センサに特に限定されることなく、着座者がシートに着座した際に変化する対象値を検出するものであれば変更可能である。例えば、着座者の骨格形状(着座者の身体中、シートに接している部位の骨格形状)に応じた値を検出する形状センサ、着座者の身体電位を検出する電位センサ等を利用してもよい。
【0038】
上記実施形態において、
図1に示すように、検出センサ30は、シートクッション1の内部に取り付けられているが、特に限定されることなく、シートバック2の内部に取り付けられていても良い。
【0039】
上記実施形態において、
図2に示すように、前方検出センサ30a及び後方検出センサ30bは、それぞれT字形状からなり、同じ方向を向いた形で並べられているが、特に限定されることなく変更可能である。
すなわち、前方検出センサ30a及び後方検出センサ30bが、表皮吊り込み溝1aaを境にして互いに対称となる形で並べられていても良い。
そうすることで、前方検出センサ30a及び後方検出センサ30bに対してそれぞれ形成されるセンサ通過穴1adが、それぞれ表皮吊り込み溝1aaから遠ざけた位置に配置されることになる。その結果、着座圧によって表皮吊り込み溝1aa周辺が大きく弾性変形することを一層抑制できる。
【0040】
上記実施形態において、
図3に示すように、クッションフレーム10の弾性バネ14は、シート前後方向に延出しているが、特に限定されることなく変更可能であって、例えば、左右のサイドフレーム11に架け渡され、シート幅方向に延出していても良い。
この場合、検出センサ30の第2伝送部34が、クッション材1aの裏面において複数の弾性バネ14の間を通すためにシート幅方向に沿って延びていても良い。
【0041】
上記実施形態では、具体例として自動車に用いられる車両用シートについて説明したが、特に限定されることなく、電車、バス等に用いられる車両用シートのほか、飛行機、船等に用いられる乗り物用シートとしても利用することができる。
また、乗り物用シートのほか、映画館、プラネタリウム等の商業施設、病院待合室等の公共施設の室内、又は室外に広く用いられるシートとしても利用可能である。
【0042】
本実施形態では、主として本発明に係る車両用シートに関して説明した。
ただし、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。