【実施例】
【0030】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0031】
本実施例は、前後左右の四隅に配される支柱1を介して枠形成体2が上下に設けられてこの上下の枠形成体2間に引出しケース収納部3が設けられる枠状本体部4と、この枠状本体部4の引出しケース収納部3に引き出し自在に設けられる引出しケース5とからなる引き出し式収納ケースである。尚、本実施例では後述するように合計3つの引出しケース5が引き出し自在に設けられる所謂三段構造の引き出し式収納ケースであるが、一段でも2段でも4段以上の構造でも良い。
【0032】
以下、本実施例に係る構成各部について詳細な説明をする。
【0033】
枠状本体部4は、
図1,2に図示ししたように適宜な合成樹脂製の部材で形成されたものであり、前後左右の四隅に配される支柱1夫々の上下両端の差し込み端部1aを、上下に配される枠形成体2夫々の差し込み係合部2aに差し込んで該枠形成体2が支柱1を介して上下に組み付け構築される構成である。
【0034】
本実施例では、枠状本体部4は、支柱1を介して合計4つの枠形成体2が上下に設けられてこの上下の各枠体形成体2間に合計三つの引き出しケース収納部3が設けられた構成であり、この枠形成体2のうち最上段の枠形成体2は天板体であり、その他の枠形成体2は引出しケース5を受ける受体であり、支柱1は受体としての枠形成体2の中央開口部2bに分離自在に該枠形成体2(受体)と同時成形したものである。
【0035】
具体的には、
図5,6に図示したように、この枠形成体2と同時成形された支柱1をこの枠形成体2の中央開口部2bから取り外し、この支柱1の下側に設けられた差し込み端部1aを枠形成体2上面側の差し込み係合部2aに差し込み、上側の差し込み端部1aをこの枠形成体2の上側に配設する上側の枠形成体2の裏面側の差し込み係合部2aに差し込み枠状本体部4を組み付け構築するように構成している。
【0036】
本実施例では、枠形成体2の四隅に角筒状の連結筒を一体成形し、この連結筒の途中に底部を形成して、上面側と裏面側に支柱1のこれと同形に形成した差し込み端部1aを内側に差し込む差し込み係合部2aを設けている。
【0037】
即ち、本実施例では、枠形成体2の上面側の差し込み係合部2aとその裏面側の差し込み係合部2aとを同形とすると共に、これに差し込み係止する支柱1の下端の差し込み端部1aも上端の差し込み端部1aも同形とした構成としている。尚、天板を構成する枠形成体2は、上面側には差し込み係合部2aを設けず裏面側のみ差し込み係合部2aを設けている。
【0038】
また、本実施例では、ユーザーが組み付け構築し易いように、前述のように支柱1の上側の差し込み端部1aの形状と下側の差し込み端部1aの形状を同一に設定すると共に、この各差し込み端部1aが差し込まれる枠形成体2の上面側の差し込み係合部2aと裏面側の差し込み係合部2aの形状を同一に設定している。
【0039】
従って、本実施例では、前後左右の1種類合計4本の支柱1を、その枠形成体2の中央開口部2bスペースを利用して枠形成体2と共に同時成形し、組み付け構築する際にこれら支柱1を取り外して順次枠形成体2に差し込み係止して構築するように構成している。
【0040】
また、本実施例では、枠形成体2の中央開口部2bの縁部にランナー部2cを設けて、この中央開口部2b内に架設状態に支柱1を複数並設状態に設け、ランナー部2cは、中央開口部2bの縁部から先端側程径小となる膨出状態に突出する形状に設定した膨出先端部2c’で構成し、この膨出先端部2c’から更に先端側程径小となる小突起状の小ランナー部2c”を介して支柱1に溶融樹脂が支柱用キャビティーに注入され支柱1が枠形成体2と同時に樹脂成形されるように構成している。
【0041】
このランナー部2cを膨出先端部2c’により構成したことで、中央開口部2bの縁部と支柱1の端部とを離間させながらもこのランナー部2cが必ず縁部側に残るように構成している。
【0042】
即ち、支柱1を回動させることでこの膨出先端部2c’若しくは膨出先端部2c’に設けた小ランナー部2c”の先端から切断分離され、この膨出先端部2c’及び小ランナー部2c”を枠形成体2の中央開口部2bの縁部に残したまま各支柱1を取り外せるように構成している。
【0043】
更に説明すると、中央開口部スペースを利用して四本の支柱1をランナー部2cを介して枠形成体2と共に同時形成するが、成形後支柱1を取り外し操作し易いように、中央開口部2bと支柱1との間隔を保つものの、支柱1のゲート部分を近づけるために、ランナー部2cとして膨出先端部2c’を形成するが、この膨出先端部2c’を先端側程径大となる膨出形状とすることで、支柱1を取り外す際にこの支柱1を回動する際に伝わるねじれ強度を大きくしてこの膨出先端部2c’がバリとして支柱1の方に残らずに中央開口部2bの縁部に残るようにしている。
【0044】
具体的には膨出先端部2cを円弧状に盛り出たような形状とし、更にはその突出縁に円弧状にリブを形成して、その剛性を高め、ねじれ強度を大きくし、支柱1へのゲート部分(突出するランナー部2c)が支柱1に近づくようにしつつねじれ強度を上げて、決して支柱1のバリとしてこのゲート部分(ランナー部2c)が支柱1と一緒に取り去られないようにしている。
【0045】
しかも本実施例では更にこの膨出先端部2c’の突出先端部に先端側程径小な小ランナー部2c”を設けて、この小ランナー部2c”を介して支柱1に溶融樹脂を送り込むようにしているため、非常に支柱1を回し取り易く、バリが残らずきれいに取り外せるようにしている。
【0046】
即ち、この大きな膨出先端部2cはねじれ強度を高めて中央開口部2bの縁部との接合強度を高くすることで、この膨出先端部2c’は縁部から取り外れず必ず縁部に残るように構成して、たとえバリが出るとしてもこれよりも極めて径小で短い小ランナー部2c”としている。
【0047】
しかも本実施例では、この小ランナー部2c”も小さく短い形状ながらも膨出先端部2c’側が太く、支柱1先端面側を細くしているため、この小ランナー部2c”も膨出先端部2c’側に残り支柱1と共に外れてバリとならないように構成し、支柱1を手で回し易くすると共に、確実に全くバリが生じずきれいに手で回し取れるようにしている。
【0048】
また、本実施例は、左右両側面における前後の支柱1と上下の枠形成体2とで囲まれた枠状本体部4の左右の側面開口部6夫々を閉塞する合計六枚の側面閉塞板7が備えられ、上下の枠形成体2の一方に対して側面閉塞板7の上下端部の一方を傾動回動自在に連結する第一連結手段が備えられているとともに、この第一連結手段を介して枠形成体2に連結した側面閉塞板7を傾動回動させた際、側面閉塞板7の上下端部の他方が上下の枠形成体2の他方と乗り越え係合する第二連結手段が備えられている。
【0049】
具体的には、側面閉塞板7は、
図1,2,4に図示したように適宜な合成樹脂製の部材で形成された方形板状体であり、引出しケース5内に収納し得る大きさであって、枠状本体部4の側面開口部6と合致する大きさ及び形状であり、更に、枠状本体部4の側面開口部6を閉塞した際、側面閉塞板7の外表面は支柱1及び上下の枠形成体2夫々の端面(外表面)と面一状態となる形状に設定されている。
【0050】
第一連結手段は、上下の枠形成体2の一方に設けられた第一側面係止部8に遊嵌係合する第一側面係合部9が側面閉塞板7の上下端部の一方に設けられた構成であり、第一側面係止部8は、上下の枠形成体2同士の互いに対向する側面側内縁部の一方に凹状部若しくは凸状部を設けて構成され、この第一側面係止部8に遊嵌係合する凸状部若しくは凹状部を側面閉塞板7の上下端部の一方に設けて第一側面係合部9は構成されている。
【0051】
本実施例では、枠形成体2の左右の側面側内縁部の上面前後位置に合計二つの凹状部を設けて第一側面係止部8を構成し、側面閉塞板7の下端部の長さ方向前後位置に合計二つの凸状部を設けて第一側面係合部9を構成している。尚、枠形成体2に第一側面係合部9を設け且つ側面閉塞板7に第一側面係止部8を設けても良い。
【0052】
尚、側面閉塞板7が枠形成体2に対して傾動回動する構造として、前述した凸と凹の遊嵌係合による構造に限らず、例えば凸の樹脂変形による構造でも良いし、枢着軸を備えたヒンジ構造を設けた構造としても良い。
【0053】
第二連結手段は、
図7,8に図示したように側面閉塞板7の上下端部の他方に設けられた第二側面係止部10と乗り越え係合する第二側面係合部11が上下の枠形成体2の他方に設けられた構成であり、第一連結手段を介して枠形成体2に連結した側面閉塞板7を傾動回動させた際、第二側面係合部11若しくは第二側面係止部10が乗り上がり摺動する上り傾斜部10aと、この上り傾斜部10aを乗り越えた際に落ち込み係合する落ち込み部10bが第二側面係止部10若しくは第二側面係合部11に設けられている。
【0054】
本実施例では、側面閉塞板7の上端部に第二側面係止部10が設けられ、枠形成体2の側面部の裏面部に第二側面係合部11が設けられ、この第二側面係合部11は該枠形成体2の周面部に垂設される側壁板の下縁で構成されている。尚、側面閉塞板7に第二側面係合部11を設け且つ枠形成体2に第二側面係止部10を設けても良い。
【0055】
また、枠形成体2の裏面部には、第二側面係合部11が第二側面係止部10の落ち込み部10bに落ち込んだ状態において側面閉塞板7の内面を支持するリブ状の支持部2dが設けられている。
【0056】
また、本実施例は、背面における左右の支柱1と上下の枠形成体2とで囲まれた枠状本体部4の背面開口部12夫々を閉塞する合計三枚の背面閉塞板13が備えられ、上下の枠形成体2の一方に対して背面閉塞板13の上下端部の一方を傾動回動自在に連結する第三連結手段が備えられているとともに、この第三連結手段を介して前記枠形成体2に連結した背面閉塞板13を傾動回動させた際、背面閉塞板13の上下端部の他方が上下の枠形成体2の他方と乗り越え係合する第四連結手段が備えられている。
【0057】
具体的には、背面閉塞板13は、
図2,4に図示したように適宜な合成樹脂製の部材で形成された方形板状体であり、引出しケース5内に収納し得る大きさであって、枠状本体部4の背面開口部12と合致する大きさ及び形状であり、更に、枠状本体部4の背面開口部12を閉塞した際、背面閉塞板13の外表面は支柱1及び上下の枠形成体2夫々の端面(外表面)と面一状態となる形状に設定されている。
【0058】
第三連結手段は、上下の枠形成体2の一方に設けられた第一背面係止部14に遊嵌係合する第一背面係合部15が背面閉塞板13の上下端部の一方に設けられた構成であり、第一背面係止部14は、上下の枠形成体2同士の互いに対向する側面側内縁部の一方に凹状部若しくは凸状部を設けて構成され、この第一背面係止部14に遊嵌係合する凸状部若しくは凹状部を背面閉塞板13の上下端部の一方に設けて第一背面係合部15は構成されている。
【0059】
本実施例では、枠形成体2の背面側内縁部の上面左右位置に合計二つの凹状部を設けて第一背面係止部14を構成し、背面閉塞板13の下端部の長さ方向左右位置に合計二つの凸状部を設けて第一背面係合部15を構成している。尚、枠形成体2に第一背面係合部15を設け且つ背面閉塞板13に第一背面係止部14を設けても良い。
【0060】
尚、背面閉塞板13が枠形成体2に対して傾動回動する構造として、前述した凸と凹の遊嵌係合による構造に限らず、例えば凸の樹脂変形による構造でも良いし、枢着軸を備えたヒンジ構造を設けた構造としても良い。
【0061】
第四連結手段は、背面閉塞板13の上下端部の他方に設けられた第二背面係止部16と乗り越え係止する第二背面係合部17が上下の枠形成体2の他方に設けられた構成であり、第三連結手段を介して枠形成体2に連結した背面閉塞板13を傾動回動させた際、第二背面係合部17若しくは第二背面係止部16が乗り上がり摺動する上り傾斜部16aと、この上り傾斜部16aを乗り越えた際に落ち込み係合する落ち込み部16bとが第二背面係止部16若しくは第二背面係合部17に設けられている。
【0062】
本実施例では、背面閉塞板13の上端部に第二背面係止部16が設けられ、枠形成体2の背面部の裏面部に第二背面係合部17が設けられ、この第二背面係合部17は該枠形成体2の周面部に垂設される背壁板の下縁で構成されている。尚、背面閉塞板13に第二背面係合部17を設け且つ枠形成体2に第二背面係止部16を設けても良い。
【0063】
また、枠形成体2の裏面部には、第二背面係合部17が第二背面係止部16の落ち込み部16bに落ち込んだ状態において背面閉塞板13の内面を支持するリブ状の支持部(図示省略)が設けられている。
【0064】
符号18は、最下段の枠形成体2の裏面側の差し込み係合部2aに差し込み連結される脚体である。
【0065】
引出しケース体5は、
図1〜3に図示したように適宜な合成樹脂製の部材で一体成形したものであり、夫々方形板状の正面部5a,底面部5b,左右側面部5c・5c及び背面部5dとから成り、上部開口部5’を有する箱状体である。
【0066】
本実施例では、引出しケース5を3つ備えており、枠状本体部4の各引出しケース収納部3夫々に引き出し自在に設けられる。
【0067】
また、引出しケース5は、正面部5aに適宜な合成樹脂製の正面化粧板5Aが嵌め込み係合連結可能に設けられている。この正面化粧板5Aは引出しケース5内に収納し得る大きさである。
【0068】
また、引出しケース5同士は、一の引出しケース5の上部開口部5’から他の引出しケース5を入れ子状態(ネスティング状態)に上下に積層し得るように構成されている。
【0069】
以上の構成から成る本実施例に係る引き出し式収納ケースは、各パーツ(中央開口部2bに支柱1が配された状態の枠形成体2,側面閉塞板7,背面閉塞板13,引出しケース5に組み付け前の正面化粧板5A及び脚体18)が分割されたコンパクトな状態にできる。
【0070】
具体的には、
図9,10は組み立て前の状態(出荷時の梱包された状態)を図示しており、中央開口部2bに支柱1が配された受板としての三枚の枠形成体2を積層し、この枠形成体2の上部に入れ子状態に上下に積層した三つの引出しケース5が載置され(最上段の引出しケース5には四つの脚体18,六枚の側面閉塞板7,三枚の背面閉塞板13及び一枚の正面化粧板5Aが収納され、且つ、最上段の引出しケース5の上部開口部5’には二枚の正面化粧板5Aが架設状態に載置されている。)、この引出しケース5(正面化粧板5A)の上部に、天板としての一枚の枠形成体2が載置され、この状態で梱包用ボックス19(段ボール箱)に収納される。
【0071】
従って、仮に側面閉塞板7及び背面閉塞板13が本実施例のように別パーツでなく、支柱1や枠形成体2と一体成形の構造の場合、引出しケース5には収納できず梱包する際には嵩張って大きくなってしまう。
【0072】
この点、本実施例は、側面閉塞板7及び背面閉塞板13を支柱1と別パーツとし且つ引出しケース5内に収納し得る大きさに設定することで前述したようなコンパクトな状態を実現することができ、梱包時にも有用な構造となる。
【0073】
本実施例は上述のように構成したから、枠状本体部4の側面開口部6を側面閉塞板7で閉塞する場合、第一連結手段を介して下側の枠形成体2に対して側面閉塞板7の下端部を傾動回動自在に連結し、この状態で、枠形成体2に連結した側面閉塞板7を傾動回動(擺動)させた際、第二連結手段を介して側面閉塞板7の上端部が上側の枠形成体2と乗り越え係合する。
【0074】
つまり、予め上下の枠形成体2を支柱1を介して組み付けておき、この状態で側面閉塞板7を下側の枠形成体2に連結した状態で傾動回動させるだけの動作で、該側面閉塞板7を枠状本体部4の側面開口部6に設けることができ、所謂ワンタッチで迅速且つ確実に枠状本体部4の側面開口部6を側面閉塞板7で閉塞することができる。
【0075】
従って、引き出し式収納ケースの組み立て作業が極めて迅速且つ良好に行える。
【0076】
また、本実施例は、枠状本体部4の側面開口部6が側面閉塞板7で閉塞されることで、スッキリとした美感を呈して体裁が良く、しかも、引出しケース収納部3内への埃の侵入を抑制し得るなど、優れた機能を発揮することになる。
【0077】
また、本実施例は、コンパクトな梱包状態が得られることになり、より一層商品価値の高いものとなる。
【0078】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。