【実施例】
【0088】
以下に合成例および実施例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下に示す材料、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。なお、発光特性の評価は、ソースメータ(ケースレー社製:2400シリーズ)、半導体パラメータ・アナライザ(アジレント・テクノロジー社製:E5273A)、光パワーメータ測定装置(ニューポート社製:1930C)、光学分光器(オーシャンオプティクス社製:USB2000)、分光放射計(トプコン社製:SR−3)およびストリークカメラ(浜松ホトニクス(株)製C4334型)を用いて行った。
【0089】
(合成例1) 化合物1の合成
【化33】
【0090】
カルバゾール(中間体1)(25.7g、150mmol:ナカライテスク(株)製)、ベンジルクロライド(58.4g、454.5mmol:和光純薬工業(株)製)および水酸化カリウム(41.1g、714.3mmol:ナカライテスク(株)製)のテトラヒドロフラン(250mL:関東化学(株)製)溶液をアルゴン雰囲気下で34時間還流した。次に、室温で放冷後、反応液に水(250mL)とジクロロメタン(200mL)を加えて分液した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒をエバポレーターで留去し、ヘキサンから再結晶を行い、中間体2を白色結晶として得た(30.67g、収率77%)。中間体2(5.1g、19.8mmol)、過ヨウ素酸カリウム(3.6g、16.9mmol:ナカライテスク(株)製)、ヨウ化カリウム(4.4g、32.4mmol:ナカライテスク(株)製)および硫酸(3.1g、31.3mmol:ナカライテスク(株)製)のエタノール(700mL、和光純薬工業(株)製)溶液をアルゴン雰囲気下、遮光下で13時間、55℃で加熱した。次に、室温で放冷後、エタノールをエバポレーターで留去し、残渣にジクロロメタン(300mL)と水(200mL)を加えて分液した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒をエバポレーターで留去し、酢酸エチルとヘキサンの混合溶媒から再結晶を行い、中間体3を白色結晶として得た(9.65g、収率95%)。
中間体3(4.3g、8.5mmol)、ジフェニルアミン(3.2g、18.7mmol:ナカライテスク(株)製)、テトラフルオロホウ酸トリ−tert−ブチルホスフィン(0.40g、0.22mmol:シグマアルドリッチ製)、ナトリウム−tert−ブトキシド(2.8g、29.2mmol:東京化成工業(株)製)およびトリス(ジベンジリデンアセトン)(クロロホルム)パラジウム(0)(0.056g、0.054mmol)のトルエン(200mL:関東化学(株)製)溶液をアルゴン雰囲気下で1時間、80℃で加熱した。次に、室温で放冷後、反応液にトルエン(250mL)と水(200mL)を加えて分液した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒をエバポレーターで留去し、酢酸エチルとヘキサンの混合溶媒から再結晶を行い、中間体4を黒緑色固体として得た(4.24g、収率84%)。
中間体4(3.0g、5.1mmol)アニソール(16mL:シグマアルドリッチ製)溶液を、無水塩化アルミニウム(III)(5.0g、37.8mmol:和光純薬工業(株)製)アニソール(4.7mL:シグマアルドリッチ製)懸濁液に氷冷下で滴下した後、21時間、60℃で加熱した。次に、室温で放冷後、反応液にジクロロメタン(100mL)と水(50mL)を加えて分液し、有機層を5%炭酸水素ナトリウム水溶液(50mL)、飽和食塩水(50mL)で洗った。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒をエバポレーターで留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン40%ヘキサン60%)で精製し、中間体5を黒緑色固体として得た(2.23g、収率76%)。
【0091】
【化34】
【0092】
マグネシウム(4.1g、172.8mmol:和光純薬工業(株)製)にテトラヒドロフラン (15mL)を加え、撹拌しながらジブロモエタン(0.29g、0.0015mmol:和光純薬工業(株)製)を加えた。ここにブロモベンゼン(26.2g、166.8mmol:ナカライテスク(株)製)を室温にて滴下した後、アルゴン雰囲気下で3時間還流した。室温で放冷後、この溶液をシアヌル酸クロリド(中間体6)(8.2g、44.3mmol:東京化成工業(株)製)テトラヒドロフラン(50mL)溶液中に、氷冷下で滴下した後、アルゴン雰囲気下で18時間、35℃に加熱した。室温で放冷後、ジクロロメタン(100mL)、水(40mL)を加え分液した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒をエバポレーターで留去した。残渣の一部(1.35g)をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン20%、ヘキサン80%)で精製し、中間体7を白色固体として得た(1.128g)。
【0093】
【化35】
【0094】
中間体5(2.01g、4.0mmol)、p−ブロモヨードベンゼン(中間体8)(1.37g、4.8mmol:和光純薬工業(株)製)、塩化リチウム(0.15g、7.2mmol:和光純薬工業(株))、炭酸セシウム(1.68g、5.1mmol:東京化成工業(株)製)およびヨウ化銅(0.11g、0.58mmol:関東化学(株)製)ジメチルホルムアミド(35mL:和光純薬工業(株)製)懸濁液をアルゴン雰囲気下で38時間、150℃に加熱した。次に、室温まで放冷後、反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液(30mL)、ジクロロメエタン(100mL)を入れ分液した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン20%、ヘキサン80%)で精製し、中間体9を白色結晶として得た(1.9g、収率71%)。
トリシクロヘキシルホスフィン(0.053g、0.19mmol:strem chemicals製)、トリス(ジベンジリデンアセトン)(クロロホルム)パラジウム(0)(0.043g、0.041mmol)1,4−ジオキサン(15mL:和光純薬工業(株)製)溶液を、室温で30分撹拌した。これに化合物9(1.64g、2.5mmol)、ビス(ピナコラート)ジボロン(0.70g、2.8mmol:和光純薬工業(株)製)、および酢酸カリウム(0.53g、11.0mmol和光純薬工業(株)製)を入れ、アルゴン雰囲気下で18時間、80℃に加熱した。次に、室温まで放冷後、反応液に水(5mL)、トルエン(20mL)を入れ分液した。有機層を飽和食塩水(10mL)で洗った後、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒をエバポレーターで留去し、中間体10を含む混合物を得た(1.6g)。
中間体10を含む混合物(1.6g)、2−クロロ−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン(0.0787g、2.9mmol)、リン酸カリウム(1.0g、4.7mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)(クロロホルム)パラジウム(0)(0.014g、0.014mmol)および2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニル(0.027g、0.067mmol)をトルエン(5mL)水(0.5mL)混合溶媒中に溶解させ、100℃で2時間加熱した。室温まで放冷後、反応液をジクロロメタンで薄め、シリカゲルカラム中を通した。この溶液をエバポレーターで留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン20%、ヘキサン80%)で精製した後、ジクロロメタン、ヘキサン混合溶媒から2回再結晶を行い、化合物1を黄色結晶として得た(0.98g)。さらに、この結晶を昇華精製し、化合物1を黄色固体として得た(0.70g)。
mp265℃;
1H-NMR(300MHz Acetone D6):δ9.143(d, J=8.7Hz, 2H)、8.931(dd, J
1=8.0Hz, J
2=1.4Hz,4H)、8.003(d, J=8.7, 2H)、7.944(d, J=1.8Hz, 2H)、7.733-7.650(m, 6H)、7.628(s, 2H)、7.311(d, J=2.4Hz, 2H)、7.278-7.212(m,10H)、7.072-6.930(m,10H)
【0095】
(合成例2) 化合物2の合成
【化36】
【0096】
アルゴン雰囲気下、中間体6(1.20g、2.40mmol)、1−ブロモ−4−ヨード−2−メチルベンゼン(中間体11)(852mg、2.88mmol)、L−プロリン(110mg、0.96mmol:和光純薬工業(株)製)、炭酸カリウム(1.68g、4.80mmol:和光純薬工業(株)製)およびヨウ化銅(91.4mg、0.48mmol:和光純薬工業(株)製)ジメチルホルムアミド(2.4mL:和光純薬工業(株)製)懸濁液をアルゴン雰囲気下で48時間、110℃に加熱した。次に、室温まで放冷後、反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液(30mL)、ジクロロメエタン(100mL)を入れ分液した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン20%、ヘキサン80%)で精製し、中間体12を淡黄色結晶として得た(1.43g、収率89%)
1H NMR (600 MHz, CDCl
3): δ7.75-7.73 (m, 3H),7.45(d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.31-7.27 (m, 3H),7.23-7.18 (m, 10H), 7.06 (d, J= 7.8 Hz, 8H),6.93 (t, J = 7.5 Hz, 4H), 2.50 (s, 3H)
【0097】
アルゴン雰囲気下、中間体12(1.20g、1.79mmol)をシクロペンチルメチルエーテル(17mL:和光純薬工業(株)製)に溶解させ0℃に冷却した。これにn−ブリルリチウムのヘキサン溶液(1.6M、1.23mL、1.97mmol:和光純薬工業(株)製)を滴下し、0℃で1.5時間撹拌した。この溶液にトリブチルスズクロリド(699mg、2.15mmol:シグマアルドリッチ製)を滴下し、10時間、室温で撹拌した。反応液に水(30mL)、トルエン(30mL)を入れ分液した。有機層を飽和食塩水(20mL)で洗った後、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒をエバポレーターで留去し、中間体13を含む混合物を得た(1.4g)。この混合物は、精製をせずに次の反応に用いた。
【0098】
アルゴン雰囲気下、中間体13を含む混合物(1.4g)、中間体14(574mg、2.15mmol)、フッ化セシウム(599mg、3.94mmol:和光純薬工業(株)製)、トリス(ジベンジリデンアセトン)(クロロホルム)パラジウム(0)(27.9mg、0.027mmol)および2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル(52.4mg、0.11mmol:シグマアルドリッチ製)を1,4−ジオキサン(1.8mL:和光純薬工業(株)製)に溶解させ、80℃で16時間加熱した。室温まで放冷後、反応液をジクロロメタンで薄め、シリカゲルカラム中を通した。この溶液をエバポレーターで留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン20%、ヘキサン80%)で精製した後、ジクロロメタン、ヘキサン混合溶媒から再結晶を行い、化合物2を黄色結晶として得た(0.90g、61%)。
1H NMR (600 MHz, CDCl
3): δ8.78 (d, J = 6.6 Hz, 4H), 8.60 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.79 (d, J = 6.6 Hz, 2H), 7.67-7.56 (m, 8H), 7.27-7.24 (m, 4H), 7.24-7.18 (m, 8H), 7.09 (d, J = 8.4 Hz, 8H), 6.95 (t, J = 7.5 Hz, 4H), 2.98 (s, 3H)
【0099】
(合成例3) 化合物3の合成
【化37】
【0100】
アルゴン雰囲気下、中間体6(1.20g、2.40mmol)、2−ブロモ−5−ヨード−1,3−ジメチルベンゼン(中間体15)(893mg、2.88mmol)、L−プロリン(110mg、0.96mmol:和光純薬工業(株)製)、炭酸カリウム(1.68g、4.80mmol:和光純薬工業(株)製)およびヨウ化銅(91.4mg、0.48mmol:和光純薬工業(株)製)ジメチルホルムアミド(2.4mL:和光純薬工業(株)製)懸濁液をアルゴン雰囲気下で48時間、110℃に加熱した。次に、室温まで放冷後、反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液(30mL)、ジクロロメエタン(100mL)を入れ分液した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン20%、ヘキサン80%)で精製し、中間体16を淡黄色結晶として得た(1.49g、収率91%)
1H NMR (600 MHz, CDCl
3): δ7.75 (s, 2H), 7.31-7.27(m, 4H), 7.23-7.16 (m, 10H), 7.06 (d, J = 7.8 Hz, 8H), 6.93 (t, J = 7.2 Hz, 4H), 2.52 (s, 6H)
【0101】
アルゴン雰囲気下、中間体16(1.22g、1.79mmol)をシクロペンチルメチルエーテル(17mL:和光純薬工業(株)製)に溶解させ0℃に冷却した。これにn−ブリルリチウムのヘキサン溶液(1.6M、1.23mL、1.97mmol:和光純薬工業(株)製)を滴下し、0℃で1.5時間撹拌した。この溶液にトリブチルスズクロリド(699mg、2.15mmol:シグマアルドリッチ製)を滴下し、10時間、室温で撹拌した。反応液に水(30mL)、トルエン(30mL)を入れ分液した。有機層を飽和食塩水(20mL)で洗った後、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒をエバポレーターで留去し、中間体17を含む混合物を得た(1.4g)。この混合物は、精製をせずに次の反応に用いた。
【0102】
アルゴン雰囲気下、中間体17を含む混合物(1.4g)、中間体7(574mg、2.15mmol)、フッ化セシウム(599mg、3.94mmol:和光純薬工業(株)製)、トリス(ジベンジリデンアセトン)(クロロホルム)パラジウム(0)(27.9mg、0.027mmol)および2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル(52.4mg、0.11mmol:シグマアルドリッチ製)を1,4−ジオキサン(1.8mL:和光純薬工業(株)製)に溶解させ、80℃で16時間加熱した。室温まで放冷後、反応液をジクロロメタンで薄め、シリカゲルカラム中を通した。この溶液をエバポレーターで留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン20%、ヘキサン80%)で精製した後、ジクロロメタン、ヘキサン混合溶媒から再結晶を行い、化合物3を黄色結晶として得た(0.87g、58%)。
1H NMR (600 MHz, CDCl
3):δ8.75 (d, J = 7.8 Hz, 4H), 7.79 (d, J = 1.8 Hz, 2H), 7.64 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 7.59 (t, J = 7.5 Hz, 4H), 7.48 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.43 (s, 2H), 7.28-7.24 (m, 2H), 7.22 (t, J = 8.1 Hz, 8H), 7.09 (d, J = 8.4 Hz, 8H), 6.94 (t, J = 7.5 Hz, 4H), 2.44 (s, 6H)
【0103】
(合成例4) 化合物4の合成
【化38】
【0104】
アルゴン雰囲気下0℃で、NaH(40%のミネラルオイル含有、63.3mg、2.64mmol:和光純薬工業(株)製)とジメチルホルムアミド(2.4mL:和光純薬工業(株)製)の懸濁液に、中間体6(1.20g、2.40mmol)を加え、30分間撹拌した。この溶液に4−ブロモ−1−フルオロ−2−メチルベンゼン(中間体18)(2.25g、12.0mmol)を加え、48時間、150℃に加熱した。次に、室温まで放冷後、反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液(30mL)、ジクロロメエタン(100mL)を入れ分液した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン20%、ヘキサン80%)で精製し、中間体19を淡黄色結晶として得た(1.49g、収率93%)
1H NMR (600 MHz, CDCl
3): δ7.77 (s, 2H), 7.66-7.61(m, 1H), 7.54-7.49 (m 1H), 7.28-7.14 (m, 13H),7.07 (d, J = 7.8 Hz, 8H), 6.93 (t, J = 7.5 Hz, 4H), 2.07 (s, 3H)
【0105】
アルゴン雰囲気下、トリシクロヘキシルホスフィン(30.8mg、0.11mmol:strem chemicals製)、トリス(ジベンジリデンアセトン)(クロロホルム)パラジウム(0)(27.9mg、0.027mmol)1,4−ジオキサン(10mL:和光純薬工業(株)製)溶液を、室温で30分撹拌した。これに中間体19(1.20g、1.79mmol)、ビス(ピナコラート)ジボロン(546mg、2.15mmol:東京化成工業(株)製)、および酢酸カリウム(351mg、3.58mmol和光純薬工業(株)製)を入れ、18時間、80℃に加熱した。次に、室温まで放冷後、反応液に水(5mL)、トルエン(20mL)を入れ分液した。有機層を飽和食塩水(10mL)で二回洗った後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒をエバポレーターで留去し、中間体20を含む混合物を得た(1.5g)。この混合物は、精製をせずに、次の反応に用いた。
【0106】
アルゴン雰囲気下、中間体20を含む混合物(1.5g)、中間体7(574mg、2.15mmol)、リン酸カリウム(758mg、3.58mmol:和光純薬工業(株)製)、トリス(ジベンジリデンアセトン)(クロロホルム)パラジウム(0)(27.9mg、0.027mmol)および2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニル(45.2mg、0.11mmol:和光純薬工業(株)製)をトルエン(1.0mL)水(0.1mL)混合溶媒中に溶解させ、100℃で16時間加熱した。室温まで放冷後、反応液をジクロロメタンで薄め、シリカゲルカラム中を通した。この溶液をエバポレーターで留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン20%、ヘキサン80%)で精製した後、ジクロロメタン、ヘキサン混合溶媒から再結晶を行い、化合物4を黄色結晶として得た(0.84g、57%)。
1H NMR (600 MHz, CDCl
3):δ8.88 (s, 1H), 8.85-8.76 (m, 5H), 7.81 (s, 2H), 7.67-7.58 (m, 8H), 7.24-7.6.94 (m, 23H), 2.29 (s, 3H)
【0107】
(合成例5) 化合物5の合成
【化39】
【0108】
アルゴン雰囲気下0℃で、NaH(40%のミネラルオイル含有、63.3mg、2.64mmol:和光純薬工業(株)製)とジメチルホルムアミド(2.4mL:和光純薬工業(株)製)の懸濁液に、中間体6(1.20g、2.40mmol)を加え、30分間撹拌した。この溶液に5−ブロモ−2−フルオロ−1,3−ジメチルベンゼン(中間体21)(4.85g、24.0mmol)を加え、48時間、150℃に加熱した。次に、室温まで放冷後、反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液(30mL)、ジクロロメエタン(100mL)を入れ分液した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン20%、ヘキサン80%)で精製し、中間体22を淡黄色結晶として得た(1.44g、収率88%)。
1H NMR (600 MHz, CDCl
3): δ7.78 (s, 2H), 7.44(s, 2H), 7.24-7.22 (m 8H),7.07 (d, J = 7.8 Hz, 8H), 6.93 (t, J = 7.2 Hz, 4H), 6.82 (d, J = 9.0 Hz, 2H), 1.93 (s, 6H)
【0109】
アルゴン雰囲気下、トリシクロヘキシルホスフィン(30.8mg、0.11mmol:strem chemicals製)、トリス(ジベンジリデンアセトン)(クロロホルム)パラジウム(0)(27.9mg、0.027mmol)1,4−ジオキサン(10mL:和光純薬工業(株)製)溶液を、室温で30分撹拌した。これに中間体22(1.20g、1.79mmol)、ビス(ピナコラート)ジボロン(546mg、2.15mmol:東京化成工業(株)製)、および酢酸カリウム(351mg、3.58mmol和光純薬工業(株)製)を入れ、18時間、80℃に加熱した。次に、室温まで放冷後、反応液に水(5mL)、トルエン(20mL)を入れ分液した。有機層を飽和食塩水(10mL)で二回洗った後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒をエバポレーターで留去し、中間体23を含む混合物を得た(1.5g)。この混合物は、精製をせずに、次の反応に用いた。
【0110】
アルゴン雰囲気下、中間体23を含む混合物(1.5g)、中間体7(574mg、2.15mmol)、リン酸カリウム(758mg、3.58mmol:和光純薬工業(株)製)、トリス(ジベンジリデンアセトン)(クロロホルム)パラジウム(0)(27.9mg、0.027mmol)および2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニル(45.2mg、0.11mmol:和光純薬工業(株)製)をトルエン(1.0mL)水(0.1mL)混合溶媒中に溶解させ、100℃で16時間加熱した。室温まで放冷後、反応液をジクロロメタンで薄め、シリカゲルカラム中を通した。この溶液をエバポレーターで留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン20%、ヘキサン80%)で精製した後、ジクロロメタン、ヘキサン混合溶媒から再結晶を行い、化合物5を黄色結晶として得た(0.88g、60%)。
1H NMR (600 MHz, CDCl
3): δ8.82 (d, J = 6.6 Hz, 4H), 8.66 (s, 2H), 7.82 (s, 2H), 7.67-7.58 (m, 8H), 7.22 (t, J = 8.1 Hz, 8H), 7.10 (d, J = 7.8 Hz, 8H), 6.97-6.85 (m, 6H), 2.14 (s, 6H)
【0111】
(実施例1) 有機フォトルミネッセンス素子の作製と評価(溶液)
Ar雰囲気のグローブボックス中で化合物1のトルエン溶液(濃度10
−5mol/L)を調製し、370nm励起光による発光スペクトルを測定した。結果を
図2に示す。また、Arでバブリングして発光波長550nmの過渡減衰曲線を300Kで測定した結果を
図3に示す(τ1=14.3ns、τ2=3.3μs)。この過渡減衰曲線は、化合物に励起光を当てて発光強度が失活してゆく過程を測定した発光寿命測定結果を示すものである。通常の一成分の発光(蛍光もしくはリン光)では発光強度は単一指数関数的に減衰する。これは、グラフの縦軸がセミlog である場合には、直線的に減衰することを意味している。化合物1の過渡減衰曲線では、観測初期にこのような直線的成分(蛍光)が観測されているが、それ以降は直線性から外れる成分が現れている。これは遅延成分の発光であり、初期の成分と加算される信号は、長時間側に裾をひくゆるい曲線になる。このように発光寿命を測定することによって、化合物1は蛍光成分のほかに遅延成分を含む発光体であることが確認された。フォトルミネッセンス量子収率は、O
2バブリングで26%、バブリングなしで48%、N
2バブリングで65%であった。
また、化合物2のトルエン溶液(濃度10
−5mol/L)を調製し、吸収発光スペクトルを測定した結果を
図4に示す。また、ArバブリングなしとArバブリングありの条件下で測定したピーク発光波長の過渡減衰曲線を
図5に示す。Arバブリングありの条件下での測定において遅延蛍光が認められた。フォトルミネッセンス量子収率は、Arバブリングなしで47%、Arバブリングありで84%であった。
また、化合物3のトルエン溶液(濃度10
−5mol/L)を調製し、吸収発光スペクトルを測定した結果を
図6に示す。また、ArバブリングなしとArバブリングありの条件下で測定したピーク発光波長の過渡減衰曲線を
図7に示す。Arバブリングありの条件下での測定において遅延蛍光が認められた。フォトルミネッセンス量子収率は、Arバブリングなしで11%、Arバブリングありで42%であった。
また、化合物4のトルエン溶液(濃度10
−5mol/L)を調製し、吸収発光スペクトルを測定した結果を
図8に示す。また、ArバブリングなしとArバブリングありの条件下で測定したピーク発光波長の過渡減衰曲線を
図9に示す。Arバブリングありの条件下での測定において遅延蛍光が認められた。フォトルミネッセンス量子収率は、Arバブリングなしで31%、Arバブリングありで60%であった。
また、化合物5のトルエン溶液(濃度10
−5mol/L)を調製し、吸収発光スペクトルを測定した結果を
図10に示す。また、ArバブリングなしとArバブリングありの条件下で測定したピーク発光波長の過渡減衰曲線を
図11に示す。Arバブリングありの条件下での測定において遅延蛍光が認められた。フォトルミネッセンス量子収率は、Arバブリングなしで15%、Arバブリングありで53%であった。
【0112】
(比較例1)
化合物1のかわりに下記の化合物Aを用いて実施例1と同じ方法によりトルエン溶液を調製した。吸収発光スペクトルを
図12に示す。また、実施例1と同じ条件にて得た過渡減衰曲線を
図13に示す。遅延蛍光は認められなかった。
【化40】
【0113】
(実施例2) 有機フォトルミネッセンス素子の作製と評価(薄膜)
石英基板上に真空蒸着法にて、真空度10
−4Pa以下の条件にて化合物1の薄膜を50nmの厚さで形成して有機フォトルミネッセンス素子とした。作製した有機フォトルミネッセンス素子について、330nm励起光による発光スペクトルを測定した結果を
図2に示す。
石英基板上に真空蒸着法にて、真空度10
−4Pa以下の条件にて化合物1とCBPとを異なる蒸着源から蒸着し、化合物1の濃度が6.0重量%である薄膜を100nmの厚さで形成して有機フォトルミネッセンス素子とした。作製した有機フォトルミネッセンス素子について、330nm励起光による発光スペクトルを測定した結果を
図14に示す。
【0114】
(実施例3) 有機エレクトロルミネッセンス素子の作製と評価
膜厚50nmのインジウム・スズ酸化物(ITO)からなる陽極が形成されたガラス基板上に、各薄膜を真空蒸着法にて、真空度10
−4Pa以下で積層した。まず、ITO上にα−NPDを100nmの厚さに形成した。次に、化合物1とCBPを異なる蒸着源から共蒸着し、40nmの厚さの層を形成して発光層とした。この時、化合物1の濃度は6.0重量%とした。次に、BAlqを30nmの厚さに形成し、さらに8−ヒドロキシキノリノァートリチウム(Liq)を1nm真空蒸着し、次いでアルミニウム(Al)を80nmの厚さに蒸着することにより陰極を形成し、有機エレクトロルミネッセンス素子1とした。
α−NPDのかわりにTAPCを用いた点だけを変更して、同様の手順により有機エレクトロルミネッセンス素子2を作製した。
α−NPDのかわりにTAPCを用いるとともに、BAlqのかわりにBmPyPhBを用いた点だけを変更して、同様の手順により有機エレクトロルミネッセンス素子3を作製した。
作製した有機エレクトロルミネッセンス素子の発光スペクトルを
図15に示す。素子1〜3ともに発光スペクトルは重なり合った。
図16に電流密度−電圧特性を示し、
図17に電流密度−外部量子効率特性を示す。
また、α−NPDのかわりにTAPCを用いるとともに、化合物1の濃度を6.0重量%から9.0重量%とした点だけを変更して、素子1と同様の手順により有機エレクトロルミネッセンス素子4を作製した。この素子4は、外部量子効率29.6%を達成した。
素子1〜4はいずれも高い外部量子効率を達成している。仮に発光量子効率が100%の蛍光材料を用いてバランスの取れた理想的な有機エレクトロルミネッセンス素子を試作したとすると、光取り出し効率が20〜30%であれば、蛍光発光の外部量子効率は5〜7.5%となる。この値が一般に、蛍光材料を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子の外部量子効率の理論限界値とされている。本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子1〜4は、理論限界値を超える高い外部量子効率を実現している点で極めて優れている。
【0115】
(比較例2) 有機エレクトロルミネッセンス素子の作製と評価
実施例3における素子1の作製において用いた化合物1のかわりにIr(ppy)
3を用いた点だけを変更して比較用の有機エレクトロルミネッセンス素子(比較素子)を作製した。作製した比較素子の電流密度−電圧特性を
図16に示し、電流密度−外部量子効率特性を
図17に示す。図から明らかなように、比較素子よりも素子1〜4の外部量子効率の方がかなり大きいことが確認された。また、電流効率に関しても、比較素子よりも素子1〜4の外部量子効率の方がかなり高いことが確認された。
【0116】
【化41】