(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
  熱可塑性ポリウレタンを製造するために用いるポリエーテルジオールa)は、1,4−ブタンジオール単位および/または1,3−プロピレングリコール単位に基づく群の1以上のポリエーテルジオールから選択されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の多層プラスチックフィルム。
  熱可塑性ポリウレタンを製造するために用いる有機ジイソシアネートb)は、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネートまたは1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートを含有する群の1以上のイソシアネートから選択されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の多層プラスチックフィルム。
  熱可塑性ポリウレタンを製造するために用いるジオール連鎖延長剤c)は、1,4−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,2−エチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ジ(β−ヒドロキシエチル)ヒドロキノンまたは1,4−ジ(β−ヒドロキシエチル)ビスフェノールAを含有する群の1以上の連鎖延長剤から選択されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の多層プラスチックフィルム。
  コポリエステルのジオール成分は、10モル%〜35モル%の2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基と65モル%〜90モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール残基、好ましくは15モル%〜35モル%の2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基と65モル%〜85モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール残基、特に好ましくは15モル%〜30モル%の2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基と70モル%〜85モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール残基を含み、ジオール成分のこれら2つの成分のモル%の合計は100モル%となることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の多層プラスチックフィルム。
  全厚みは、300μm〜2000μm、好ましくは400μm〜1500μm、特に好ましくは500μm〜1200μmであることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の多層プラスチックフィルム。
  コア層Aは、250μm〜1600μm、好ましくは350μm〜1400μm、特に好ましくは400μm〜1000μmの層厚みを有することを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載の多層プラスチックフィルム。
  外側層Bはそれぞれ、25μm〜500μm、好ましくは30μm〜300μm、特に好ましくは50μm〜200μmの層厚みを有することを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一項に記載の多層プラスチックフィルム。
【発明を実施するための形態】
【0007】
  したがって、本発明の主題は、
・80℃〜200℃、好ましくは80℃〜170℃、より好ましくは80℃〜150℃のガラス転移温度T
gを有する少なくとも1つのポリカーボネートまたはコポリカーボネートおよび/またはポリエステルまたはコポリエステルを含有するコア層Aを有し、および
・前記コア層は、45ショアD〜85ショアDの硬度を有する少なくとも1つの熱可塑性ポリウレタンおよび/またはポリエステルまたはコポリエステルを含む2つ外側層Bの間に配置される
ことを特徴とする多層プラスチックフィルムである。
 
【0008】
  ガラス転移温度T
gは、中点温度(接線方法)としてT
gの定義で20K/分の加熱速度にて標準DIN  EN  61006によって示差走査熱量法(DSC)によって決定する。
 
【0009】
  好ましくは、本発明によれば、コア層Aは、少なくとも1つのポリエステルあるいはコポリエステルを含み、ポリエステルまたはコポリエステルの固有粘度が0.50dL/g〜1.20dL/gとなり、およびポリエステルまたはコポリエステルは、80℃〜150℃のガラス転移温度T
gを有する。
 
【0010】
  固有粘度は、60/40(重量/重量)フェノール/テトラクロロエタン中で25℃にて0.5g/100mLの濃度にて決定する。
 
【0011】
  好ましくは、本発明によれば、2つの外側層Bは、45ショアD〜85ショアDの硬度を示す少なくとも1つの熱可塑性ポリウレタンを含む。
 
【0012】
  本発明の好ましい実施態様では、多層プラスチックフィルムは、
・0.50dL/g〜1.20dL/gの固有粘度および80℃〜150℃のガラス転移温度T
gを有する少なくとも1つのポリエステルあるいはコポリエステルを含有するコア層Aを有し、および
・このコア層Aは、45ショアDから85ショアDの硬度を有する少なくとも1つの熱可塑性ポリウレタンを含有する2つの外側層Bの間に位置する。
 
【0013】
  適当なおよび好ましいコア層Aのためのポリエステルまたはコポリエステルは、テレフタル酸またはナフタレンジカルボン酸のポリ−または共重縮合、例えば好ましくはポリ−またはコポリエチレンテレフタレート(PETまたはCoPET)、グリコール変性PET(PETG)またはポリ−またはコポリブチレンテレフタレート(PBTまたはCoPBT)、ポリ−またはコポリエチレンナフタレート(PENまたはCoPEN)である。
 
【0014】
  適当なおよび好ましいコア層Aのためのポリカーボネートまたはコポリカーボネートは、500〜100,000、好ましくは10,000〜80,000、特に好ましくは15,000〜40,000の平均分子量M
wを有するポリカーボネートまたはコポリカーボネートである。
 
【0015】
  さらに、少なくとも1つのこのようなポリカーボネートまたはコポリカーボネートを含有するブレンドはコア層Aについて適当であり、好ましい。上記ポリカーボネートまたはコポリカーボネートと少なくとも1つのポリ−またはテレフタル酸の共重縮合物、特に10000〜200000、好ましくは26000〜120000の平均分子量M
wを有するテレフタル酸の少なくとも1つのそのようなポリ−または共重縮合物とのブレンドはまた、さらに適当であり、好ましい。本発明の特に好適である実施態様では、ブレンドはポリカーボネートまたはコポリカーボネートとポリ−またはコポリブチレンテレフタレートとのブレンドである。ポリカーボネートまたはコポリカーボネートとポリ−またはコポリブチレンテレフタレートのそのようなブレンドは、1〜90重量%のポリカーボネートまたはコポリカーボネートおよび99〜10重量%のポリ−またはコポリブチレンテレフタレート、好ましくは1〜90重量%のポリカーボネートおよび99〜10重量%のポリブチレンテレフタレートでのブレンドであってよく、含有量は合計100重量%となる。ポリカーボネートまたはコポリカーボネートとポリ−またはコポリブチレンテレフタレートのそのようなブレンドは、20〜85重量%のポリカーボネートまたはコポリカーボネートおよび80〜15重量%のポリ−またはコポリブチレンテレフタレート、好ましくは20〜85重量%のポリカーボネートおよび80〜15重量%のポリブチレンテレフタレートでのブレンドであってよく、含有量は合計100重量%となる。ポリカーボネートまたはコポリカーボネートとポリ−またはコポリブチレンテレフタレートのそのようなブレンドは、35〜80重量%のポリカーボネートまたはコポリカーボネートおよび65〜20重量%のポリ−またはコポリブチレンテレフタレート、好ましくは35〜80重量%のポリカーボネートおよび65〜20重量%のポリブチレンテレフタレートでのブレンドであってよく、含有量は合計100重量%となる。
 
【0016】
  好ましい実施態様では、特に適当なポリカーボネートまたはコポリカーボネートは芳香族ポリカーボネートまたはコポリカーボネートである。
 
【0017】
  ポリカーボネートまたはコポリカーボネートは、既知の様式での直鎖状または分枝状であってよい。
 
【0018】
  これらのポリカーボネートの製造は、ジフェノール、炭酸誘導体、任意に連鎖停止剤および必要に応じて分枝剤から既知の様式で行うことができる。ポリカーボネートの製造の詳細は、約40年間多くの特許明細書に記載されている。好ましい例として、Schnell、「Chemistry  and  Physics  of  Polycarbonates」、Polymer  Reviews、第9巻、Interscience  Publishers、ニューヨーク、ロンドン、シドニー、1964年、D.Freitag、U.Grigo、P.R.Mueller、H.Nouvertne’、BAYER  AG、「Polycarbonates」、Encyclopedia  of  Polymer  Science  and  Engineering、第11巻、第2版、1988年、第648〜718頁、および最後に、Dres.U.Grigo、K.KirchnerおよびP.R.Mueller、「Polycarbonate」、Becker/Braun、Kunststoff−Handbuch、第3/1巻、Polycarbonate、Polyacetale、Polyester、Celluloseester、Carl  Hanser  Verlag、ミュンヘン、ウィーン、1992年、第117〜299頁が挙げられる。
 
【0019】
  適当なジフェノールは、例えば一般式(III):
HO−Z−OH        (III)
〔式中、Zは、1以上の必要に応じて置換された芳香族環および脂肪族基または脂環式基またはアルキルアリールまたはヘテロ原子を架橋員(bridge  members)として6〜34個の炭素原子を有する芳香族基である〕
で示されるジヒドロキシアリール化合物であってよい。
 
【0020】
  特に好ましいジヒドロキシアリール化合物は、レゾルシノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−ジフェニル−メタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニル−エタン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−1−(1−ナフチル)−エタン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−1−(2−ナフチル)−エタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロパン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−シクロヘキサン、1,1−ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロパン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−シクロヘキサン、1,1−ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−シクロヘキサン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、1,1’−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−3−ジイソプロピルベンゼンおよび1,1’−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−4−ジイソプロピル−ベンゼンである。
 
【0021】
  極めて特に好ましいジヒドロキシアリール化合物は、4,4’−ジヒドロキシフェニル、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンおよびビス−(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサンである。
 
【0022】
  極めて特に好ましいコポリカーボネートは、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサンおよび2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンを用いて製造することができる。
 
【0023】
  適当な炭酸誘導体は、例えばホスゲン、または一般式(IV):
【化1】
〔式中、R、R’およびR’’は、互いに独立して、同一または異なっており、および水素、直鎖または分枝状C
1〜C
34−アルキル、C
7〜C
34−アルキルアリールまたはC
6〜C
34−アリールを表し、およびRは、−COO−R’’’
(式中、R’’’は、水素、直鎖または分枝状C
1〜C
34−アルキル、C
7〜C
34−アルキルアリールまたはC
6〜C
34−アリールであってよい)
を表す〕
で示されるジアリールカーボネートであってよい。
 
【0024】
  特に好ましいジアリール化合物は、ジフェニルカーボネート、4−tert−ブチルフェニルフェニルカーボネート、ジ−(4−tert−ブチルフェニル)カーボネート、ビフェニル−4−イルフェニルカーボネート、ジ−(ビフェニル−4−イル)カーボネート、4−(1−メチル−1−フェニルエチル)−フェニルフェニルカーボネート、ジ−[4−(1−メチル−1−フェニルエチル)−フェニル]カーボネートおよびジ−(メチルサリチレート)カーボネートである。
 
【0025】
  ジフェニルカーボネートは極めて特に好ましい。
 
【0026】
  1種のジアリールカーボネートまたは異なったジアリールカーボネートのいずれを用いてもよい。
 
【0027】
  用いるジアリールカーボネートの製造に使用されなかった1以上のモノヒドロキシアリール化合物を、末端基を制御または変更する連鎖停止剤として更に用いてよい。これらは、一般式(V):
【化2】
(式中、R
Aは、直鎖もしくは分枝状C
1〜C
34−アルキル、C
7〜C
34−アルキルアリール、C
6〜C
34−アリールまたは−COO−R
Dを表し、R
Dは、水素、直鎖もしくは分枝状C
1〜C
34−アルキル、C
7〜C
34−アルキルアリールまたはC
6〜C
34−アリールを表し、
R
B、R
Cは、互いに独立して、同一または異なっており、および水素、直鎖または分枝状C
1〜C
34−アルキル、C
7〜C
34−アルキルアリールまたはC
6〜C
34−アリールを表す)
で示されるモノヒドロキシアリール化合物である。
 
【0028】
  4−tert−ブチルフェノール、4−イソ−オクチルフェノールおよび3−ペンタデシルフェノールが好ましい。
 
【0029】
  適当な分枝剤は、3個以上の官能性基、好ましくは3個以上のヒドロキシル基を有する化合物であってよい。
 
【0030】
  好ましい分枝剤は、3,3−ビス−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロインドールおよび1,1,1−トリス−(4−ヒドロキシフェニル)−エタンである。
 
【0031】
  コア層Aのために、本発明の好ましい実施態様では、ポリ−またはコポリアルキレンテレフタレートは、テレフタル酸またはナフタレンジカルボン酸の重縮合物または共重縮合物として適当である。適当なポリ−またはコポリアルキレンテレフタレートまたはポリ−またはコポリアルキレンナフタレートは、例えば芳香族ジカルボン酸またはその反応性誘導体(例えばジメチルエステルまたは無水物)および脂肪族、脂環式または芳香脂肪族ジオールの反応生成物、およびこれらの反応生成物の混合物である。
 
【0032】
  本発明では、用語「テレフタル酸」は、テレフタル酸それ自体およびその基並びに任意のテレフタル酸誘導体を包含することが意図され、ポリエステルを作るジオールでの反応工程に役立つその関連する酸ハロゲン化物、エステル、ハーフエステル、塩、ハーフ塩、無水物、混合無水物あるいはその混合物またはその基を包含する。1つの実施態様では、下記の少なくとも1つからエステルが選択される:メチル、エチル、プロピル、イソプロピルおよびフェニルエステル。1つの実施態様では、出発物質として、テレフタル酸を使用してよい。別の実施態様では、テレフタル酸ジメチルを、出発物質として使用してよい。別の実施態様では、テレフタル酸およびテレフタル酸ジメチルの混合物を、出発材料としておよび/または中間材料として用いてよい。
 
【0033】
  本発明では、用語「ナフタレンジカルボン酸」は、ナフタレンジカルボン酸それ自体およびその基並びに任意のテレフタル酸誘導体を包含することが意図され、ポリエステルを作るジオールでの反応工程に役立つその関連する酸ハロゲン化物、エステル、ハーフエステル、塩、ハーフ塩、無水物、混合無水物あるいはその混合物またはその基を包含する。1つの実施態様では、下記の少なくとも1つからエステルが選択される:メチル、エチル、プロピル、イソプロピルおよびフェニルエステル。1つの実施態様では、出発物質として、ナフタレンジカルボン酸を使用してよい別の実施態様では、出発物質としてナフタレンジカルボン酸のジメチルエステルを使用してよい。別の実施態様では、テレフタル酸およびナフタレンジカルボン酸のジメチルエステルの混合物を、出発材料としておよび/または中間材料として用いてよい。
 
【0034】
  テレフタル酸あるいはナフタレンジカルボン酸に加えて、本発明に有用なポリ−またはコポリエステルのジカルボン酸成分は、任意に、30モル%まで、好ましくは20モル%まで、より好ましくは10モル%まで、さらに好ましくは5モル%までの1以上の改質性芳香族ジカルボン酸を含むことができる。1つの好ましい実施態様では、本発明に有用なポリ−またはコポリエステルのジカルボン酸成分は、1モル%までの1以上の改質性芳香族ジカルボン酸を含んでなる。別の好ましい実施態様では、本発明に有用なポリ−またはコポリエステルのジカルボン酸成分は、0モル%の改質性芳香族ジカルボン酸を含んでなる。したがって、存在すれば、1以上の改質性芳香族ジカルボン酸の量は、例えば0.01〜30モル%、好ましくは0.01〜20モル%、より好ましくは0.01〜10モル%、さらに好ましくは0.01〜5モル%を含む任意のこれらの上記終点値の範囲であってよく、好ましい実施態様では、0.01〜1モルである。一実施態様では、本発明に用い得る改質性芳香族ジカルボン酸としては、これらに限定されないが、20個まで、好ましくは8〜14個の炭素原子を有するものが挙げられ、これらは、直鎖、パラ−配向または対称であってよい。本発明に用い得る改質性芳香族ジカルボン酸の例としては、これらに限定されないが、フタル酸、イソフタル酸、4、4’−ビフェニルジカルボン酸、1,4−、1,5−、2,6−、2,7−ナフタレンジカルボン酸(ポリ−またはコポリアルキレンテレフタレートの場合)、テレフタル酸(ポリ−またはコポリアルキレンナフタレートの場合)、およびトランス−4,4’−スチルベンジカルボン酸およびこれらのエステルが挙げられる。
 
【0035】
  本発明に有用なコポリエステルのカルボン酸成分は、任意に10モル%まで、例えば5モル%まで、または好ましくは1モル%までの1以上の2〜16個の炭素原子を含有する脂肪族ジカルボン酸、例えばマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、コルク酸、アゼライン酸、セバシン酸、シクロヘキサン二酢酸およびドデカン二酸ジカルボン酸でさらに改質することができる。しかし、別の実施態様は、0モル%改質性脂肪族ジカルボン酸を含有する。したがって、存在すれば、1以上の改質性脂肪族ジカルボン酸の量は、例えば0.01〜10モル%、好ましくは0.1〜10モル%を含む任意のこれらの上記終点値の範囲であってよい。
 
【0036】
  好ましいポリ−またはコポリアルキレンテレフタレートまたはポリ−またはコポリアルキレンナフタレートは、ジオール成分に対して少なくとも70モル%、好ましくは少なくとも80モル%のエチレングリコール、ブタンジオール−1,4、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールおよび/または1,4−シクロヘキサンジメタノール残基を含有する。
 
【0037】
  好ましいポリ−またはコポリアルキレンテレフタレートまたはポリ−またはコポリアルキレンナフタレートは、エチレングリコールに加えて、ブタンジオール−1,4、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールおよび/または1,4−シクロヘキサンジメタノール残基を30モル%、好ましくは20モル%までの他の3〜12個の炭素原子を有する脂肪族ジオール、6〜21個の炭素原子を有する脂環式ジオール、例えばプロパンジオール−1,3、2−エチルプロパンジオール−1,3、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール−1,5、ヘキサンジオール−1,6、シクロヘキサンジメタノール−1,4、3−メチルペンタンジオール−2,4、2−メチルペンタンジオール−2,4、2,2,4−トリメチルペンタンジオール−1,3および2−エチルヘキサンジオール1,6、2,2−ジエチルプロパンジオール−1,3、ヘキサンジオール−2、5、1,4−ジ−([ベータ]−ヒドロキシエトキシ)−ベンゼン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、2,4−ジヒドロキシ−1,1,3,3−テトラメチルシクロブタン、2,2−ビス−(3−[ベータ]−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパンおよび2,2−ビス−(4−ヒドロキシプロポキシフェニル)プロパンの基を含有してよい(DE−OS2407674、2407776、2715932参照)。
 
【0038】
  本発明のポリ−またはコポリエステルは、ジオールまたは二酸残基の全モル百分率を基準に0〜10モル%、例えば0.01〜5モル%の1以上の3以上のカルボキシル置換基、ヒドロキシル置換基またはこれらの組合わせを有する分枝モノマー(分枝剤とも称する)の残基を含んでよい。ある実施態様では、ポリ−またはコポリエステルの重合前および/または重合中および/または重合後に添加し得る。本発明に有用なポリ−またはコポリエステルはこのように直鎖状または分枝状になり得る。好ましい実施態様では、本発明に有用なポリ−またはコポリエステルは、直鎖状であり、したがってそのような分枝剤を含有しない。
 
【0039】
  存在する場合、好ましい分枝モノマーの例としては、これらに限定されないが、多官能性酸または単官能性アルコール、例えばトリメリット酸、トリメリット酸無水物、ピロメリト酸二無水物、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリトリトール、クエン酸、酒石酸、3−ヒドロキオキシグルタル酸などが挙げられる。一実施態様では、分枝モノマー残基は、0.1〜0.7モルパーセントの以上の以下の少なくとも1つから選択される残基を含んでよい:トリメリット酸無水物、ピロメリト酸二無水物、グリセロール、ソルビトール、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリトリトール、トリメチロールエタンおよび/またはトリメシン酸。分枝モノマーは、コポリエステル反応混合物に加えるか、あるいは例えば米国特許第5,654,347号および同第5,696,176号に記載の濃縮物の形態でコポリエステルとブレンドしてよい。
 
【0040】
  好ましいポリ−またはコポリアルキレンテレフタレートまたはポリ−またはコポリアルキレンナフタレートは、ジカルボン酸成分に対して少なくとも70モル%、好ましくは少なくとも80モル%のテレフタル酸あるいはナフタレンジカルボン酸残基、およびジオール成分に対して少なくとも70モル%、好ましくは少なくとも80モル%のエチレングリコール、ブタンジオール−1,4、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールおよび/または1,4−シクロヘキサンジメタノール残基を含有する。
 
【0041】
  特に好ましい一実施態様では、コア層Aは、専らテレフタル酸およびその反応性誘導体(例えばそのジアルキルエステル)およびエチレングリコールおよび/またはブタンジオール−1,4から製造された少なくとも1つのコポリエステルを含む。
 
【0042】
  別の特に好ましい実施態様では、コア層Aは、ポリカーボネートあるいはコポリカーボネートとポリ−またはコポリブチレンテレフタレートとの少なくとも1つのブレンドを、1〜90重量%のポリカーボネートまたはコポリカーボネートおよび99〜10重量%のポリ−またはコポリブチレンテレフタレートで、好ましくは35〜80重量%のポリカーボネートおよび65〜20重量%のポリブチレンテレフタレートで含み、含有量は合計100重量%となる。
 
【0043】
  本発明の別の特に好ましい実施態様では、コア層Aは、
(a)i)70モル%〜100モル%テレフタル酸残基、
ii)0モル%〜30モル%の20個までの炭素原子を有する芳香族ジカルボン酸残基、および
iii)0モル%〜10モル%の16個までの炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸残基
を含むジカルボン酸成分、および
(b)i)5モル%〜50モル%の2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基、および
ii)50モル%〜95モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール残基
を含むジオール成分
からの残基を有する少なくとも1つのコポリエステルを含み、ここで、ジカルボン酸成分の残基i)〜iii)のモル%の合計は100モル%となり、およびジオール成分の残基i)およびii)のモル%の合計は100モル%となる。
 
【0044】
  2つの外側層Bは好ましくは、45ショアD〜85ショアDの硬度を有する少なくとも1つの熱可塑性ポリウレタンを含む。
 
【0045】
  特に好ましくは、そのような少なくとも1つの熱可塑性ポリウレタンは、
a)500g/モル〜10,000g/モル、好ましくは500g/モル〜6000g/モルの平均分子量およびいずれの場合にも平均少なくとも1.8および多くとも3.0、好ましくは1.8〜2.2のツェレビチノフ活性水素原子を有する1以上の直鎖状ポリエーテルジオール、
b)1以上の有機ジイソシアネート、
c)60g/モル〜500g/モルおよび平均1.8〜3.0個のツェレビチノフ活性水素原子を有する1以上のジオール連鎖延長剤
から
d)必要に応じて、1以上の触媒
の存在下で
e)必要に応じて、助剤物質および添加剤
の添加を伴って得られ、ここで、b)におけるNCO基とイソシアネートへ反応性であるa)およびc)のモル比は、0.85:1〜1.2:1、好ましくは0.9:1〜1.1:1となる。
 
【0046】
  本出願の特に好ましい実施態様では、多層プラスチックフィルムは、
・(a)i)70モル%〜100モル%のテレフタル酸残基、
ii)0モル%〜30モル%の20個までの炭素原子を有する芳香族ジカルボン酸残基、および
iii)0モル%〜10モル%の16個までの炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸残基
を含むジカルボン酸成分、および
(b)i)5モル%〜50モル%の2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基、および
ii)50モル%〜95モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール残基
を含むジオール成分
からの残基を有する少なくとも1つのコポリエステルを含有するコア層Aを有し、
ここで、ジカルボン酸成分の残基i)〜iii)のモル%の合計は100モル%となり、およびジオール成分の残基i)およびii)のモル%の合計は100モル%となり、および
コポリエステルの固有粘度は、0.50dL/g〜1.20dL/gとなり、コポリエステルは80℃〜150℃のガラス転移温度T
gを有し、および
・上記コア層は、少なくとも1つの熱可塑性ポリウレタンを含有する2つの外側層Bの間に位置し、上記熱可塑性ポリウレタンは、45ショアD〜85ショアDの硬度を有し、および
a)500g/モル〜10,000g/モル、好ましくは500g/モル〜6000g/モルの平均分子量およびいずれの場合にも平均少なくとも1.8および多くとも3.0、好ましくは1.8〜2.2個のツェレビチノフ活性水素原子を有する1以上の直鎖状ポリエーテルジオール、
b)1以上の有機ジイソシアネート、
c)60g/モル〜500g/モルの分子量および平均1.8〜3.0個のツェレビチノフ活性水素原子を有する1以上のジオール連鎖延長剤
から
d)必要に応じて、1以上の触媒
の存在下で
e)必要に応じて、助剤物質および添加剤
の添加を伴って得られ、ここで、b)におけるNCO基とイソシアネートへ反応性であるa)およびc)のモル比は、0.85:1〜1.2:1、好ましくは0.9:1〜1.1:1となることを特徴とする。
 
【0047】
  意外にも、本発明によるフィルムは、湿潤または湿度条件下で引張モジュラスの明らかにより小さい低下を示す。さらに、本発明によるそのようなフィルムから作られた3次元成形品は、そのような条件下で3次元形状において安定性である。
 
【0048】
  熱可塑性ポリウレタン(TPU)は主に、直鎖状ポリオール(マクロジオール)、例えばポリエステルジオール、ポリエーテルジオールまたはポリカーボネートジオール等、有機ジイソシアネートおよび短鎖状、主に2官能性のアルコール(鎖延長剤)から製造される。これらは連続的にまたは不連続的に製造し得る。主によく知られた製造方法は、ベルト法(GB−A1057018)および押出法(DE−A1964834)である。
 
【0049】
  本発明に従って好ましく用いた熱可塑性ポリウレタンは、上記の
a)ポリエーテルジオール、
b)有機ジイソシアネート、
c)連鎖延長剤
から形成された反応生成物である。
 
【0050】
  ジイソシアネートb)として、芳香族、脂肪族、芳香脂肪族、ヘテロ環式および脂環式ジイソシアネートまたはこれらのジイソシアネートの混合物を用い得る(HOUBEN−WEYL、「Methoden  der  organischen  Chemie」、E20巻、「Macromolecular  Materials」、Georg  Thieme  Publishing、シュトゥットガルト、ニューヨーク、1987年、第1587〜1593頁または「Justus  Liebigs  Annalen  der  Chemie」、562巻、第75〜136頁を参照)。
 
【0051】
  詳細には、次のものが例として挙げられる:脂肪族ジイソシアネート、例えばヘキサメチレンジイソシアネートなど;脂環式ジイソシアネート、例えばイソホロンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1−メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネートおよび1−メチル2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、ならびに対応する異性体混合物、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートおよび2,2’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ならびに対応する異性体混合物;芳香族ジイソシアネート、例えば2,4−トルイレンジイソシアネート、2,4−トルイレンジイソシアネートと2,6−トルイレンジイソシアネートとの混合物、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートおよび2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートと4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートとの混合物、ウレタン変性液状4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートおよび2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジイソシアナトジフェニルエタン−(1,2)および1,5−ナフチレンジイソシアネート。好ましいのは、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、96重量%を越える4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート含量を有するジフェニルメタンジイソシアネート異性体混合物、とりわけ、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートおよび1,5−ナフチレンジイソシアネートを用いることである。上記ジイソシアネートは単独でまたは互いの混合物の形態で使用し得る。これらは、15モル%(全ジイソシアネートを基準として計算)までのポリイソシアネート、例えばトリフェニルメタン−4,4’,4’’−トリイソシアネートまたはポリフェニル−ポリメチレンポリイソシアネートと共に用いてもよい。
 
【0052】
  有機ジイソシアナートb)の場合には、好ましくは4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネートおよび1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートからなる群から選択される論点の1以上のイソシアネートである。
 
【0053】
  ツェレビチノフ活性水素原子a)は、平均1.8〜3.0個、好ましくは1.8〜2.2個のツェレビチノフ活性水素原子を有するものである。
 
【0054】
  ツェレビチノフ活性水素原子として設計されるのは、ツェレビチノフにより発見された方法にしたがってメチルマグネシウムハライドでの変換によりメタンを生じるN、OまたはSに結合した全ての水素原子である。決定は、ツェレビチノフ反応後に起こり、それによってメチルマグネシウムアイオダイドを調査すべき化合物で変換し、および酸水素と反応させてマグネシウム塩および対応する炭化水素を形成する。メタン発生は、ガス体積分析により決定する。
 
【0055】
  適当なポリエーテルジオールを、アルキレン基中に2〜4個の炭素原子を有する1以上のアルキレンオキシドと2個の活性水素原子を含有するスターター分子とを反応させることにより製造することができる。アルキレンオキシドの例としては、エチレンオキシド、1,2−プロピレンオキシド、エピクロロヒドリン、1,2−ブチレンオキシドおよび2,3−ブチレンオキシドが挙げられる。アルキレンオキシドを、単独で、交互に、連続にまたは混合物として使用することができる。考慮されるスターター分子の例は、水、アミノアルコール、例えばN−アルキル−ジエタノールアミン、例えばN−メチルジエタノールアミン、およびジオール、例えばエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオールおよび1,6−ヘキサメチレンジオールである。任意にスターター分子の混合物を用いてもよい。適当なポリエーテルジオールは更に、テトラヒドロフランおよび/または1,3−プロピレングリコールのヒドロキシル基含有重合生成物である。3官能性ポリエーテルも、2官能性ポリエーテルを基準に0重量%〜30重量%の割合で用いることも可能であるが、多くとも熱可塑性としてなお加工可能な生成物が生じるような量で使用することができる。
 
【0056】
  ポリエーテルジオールは好ましくは、500g/モル〜8000g/モル、特に好ましくは500g/モル〜6000g/モルの数平均分子量M
nを有する。これらは、単独および互いに混合物の形態の両方での応用を見出し得る。
 
【0057】
  数平均分子量M
nは、末端基決定、例えばASTM  D  4274に従うヒドロキシル価の決定などにより決定することができる。
 
【0058】
  ツェレビチノフ活性鎖延長剤は、連鎖延長剤とも称され、平均して1.8〜3.0個のツェレビチノフ活性水素原子および数平均分子量60g/モル〜500g/モルを有する。これらは、アミノ基、チオール基またはカルボキシル基を有する化合物に加えて、2〜3個、好ましくは2個のヒドロキシル基を有する化合物であると理解される。2〜3個、好ましくは2個のヒドロキシル基を有するヒドロキシル化合物は、連鎖延長剤として特に好ましい。
 
【0059】
  鎖延長剤の例および好ましいのは、60g/モル〜500g/モルの分子量を有するジオールまたはジアミン、好ましくは2〜14個の炭素原子を有する脂肪族ジオール、例えばエタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコールおよびジプロピレングリコールである。しかしながら、、テレフタル酸と2〜4個の炭素原子を有するグリコールとのジエステル、例えばテレフタル酸ビスエチレングリコールまたはテレフタル酸ビス−1,4−ブタンジオール、ヒドロキノンのヒドロキシアルキレンエーテル、例えば1,4−ジ(β−ヒドロキシエチル)−ヒドロキノン、エトキシル化ビスフェノール、例えば1,4−ジ(β−ヒドロキシエチル)−ビスフェノールA、(シクロ)脂肪族ジアミン、例えばイソホロンジアミン、エチレンジアミン、1,2−プロピレンジアミン、1,3−プロピレンジアミン、N−メチルプロピレン−1,3−ジアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、および芳香族ジアミン、例えば2,4−トルイレンジアミン、2,6−トルイレンジアミン、3,5−ジエチル−2,4−トルイレンジアミンまたは3,5−ジエチル−2,6−トルイレンジアミン、または第1級モノ−、ジ−、トリ−またはテトラアルキル置換4,4’−ジアミノジフェニルメタンも適当である。特に好ましいのは、1,2−エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ジ−(β−ヒドロキシエチル)−ヒドロキノンまたは1,4−ジ−(β−ヒドロキシエチル)−ビスフェノールAを連鎖延長剤として使用する。上記連鎖延長剤の混合物も使用することができる。さらに、比較的少量のトリオールも添加することができる。
 
【0060】
  数平均分子量M
nは、末端基決定、例えばASTM  D  4274に従うヒドロキシル価の決定などにより決定することができる。
 
【0061】
  ジオール連鎖延長剤c)の場合には、好ましくは1,4−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,2−エチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ジ(β−ヒドロキシエチル)ヒドロキノンおよび1,4−ジ(β−ヒドロキシエチル)ビスフェノールAからなる群から選択される1以上の論点のジオールである。
 
【0062】
  a)とc)におけるイソシアネートへの反応性基は、特にツェレビチノフ活性水素原子含有基である。
 
【0063】
  a)およびc)の相対量は好ましくは、b)におけるイソシアネート基の合計とa)およびc)におけるツェレビチノフ活性水素原子の合計の比が、0.85:1〜1.2:1、特に好ましくは0.9:1〜1.1:1となるように選択する。
 
【0064】
  本発明に従って用いる熱可塑性ポリウレタンは任意に触媒d)を含有してよい。適当な触媒は、先行技術に従って既知の第3級アミン、例えばトリエチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N−メチルモルホリン、N,N’−ジメチルピペラジン、2−(ジメチルアミノエトキシ)エタノール、ジアザビシクロ[2,2,2]オクタンなど、特に有機金属化合物、例えばチタン酸エステル、鉄化合物あるいは錫化合物、例えば錫二酢酸、錫ジオクトエート、錫ジラウレート、あるいは脂肪族カルボン酸のジアルキル錫塩、例えばジブチル錫ジアセテートまたはジブチル錫ジラウレートなどである。好ましい触媒は、有機金属化合物、特にチタン酸エステルおよび鉄および錫の化合物である。熱可塑性ポリウレタン中の触媒総量は通常、TPUの総量を基準に約0〜5重量%、好ましくは0〜2重量%である。
 
【0065】
  本発明に従って用いる熱可塑性ポリウレタン(TPU)は任意に、助剤物質および添加剤として、TPUの全重量に対して0重量%〜多くとも20重量%まで、好ましくは0重量%〜10重量%の従来用いられる助剤物質および添加剤を含有し得る。典型的な助剤物質および添加剤は、顔料、染料、難燃剤、老化および耐候性の影響に対する安定剤、可塑剤、スリップ剤、離型剤、連鎖停止剤、静真菌および静菌に作用する物質および充填剤、およびこれらの混合物である。
 
【0066】
  このような添加剤、とりわけイソシアネートについて単官能性である化合物としては、好ましくは熱可塑性ポリウレタンを基準として2重量%までの割合で、いわゆる連鎖停止剤または離型剤として用いてよい。例えば、モノアミン、例えばブチルアミンおよびジブチルアミン、オクチルアミン、ステアリルアミン、N−メチルステアリルアミン、ピロリジン、ピペリジンまたはシクロヘキシルアミンなど、モノアルコール、例えばブタノール、2−エチルヘキサノール、オクタノール、ドデカノール、ステアリルアルコール、種々のアミルアルコール、シクロヘキサノールおよびエチレングリコールモノメチルエーテルなどは適当である。
 
【0067】
  さらなる添加剤の例は、スリップ剤、例えば脂肪酸エステル、その金属石鹸、脂肪酸アミド、脂肪酸エステルアミドおよびシリコーン化合物、粘着防止剤、抑制剤、加水分解、光、熱および変色に対する安定剤、難燃剤、染料、顔料、無機および/または有機充填剤、例えばポリカーボネート、および可塑剤強化剤である。強化剤は、特に繊維強化物質、例えば無機繊維であり、これらは、先行技術に従って製造され、サイズ剤で処理されていてもよい。言及した補助物質および添加剤のより詳細は、技術文献、例えばJ.H.SaundersおよびK.C.Frischによる研究論文「High  Polymers」、第16巻、Polyurethanes:Chemistry  and  Technology、パート1および2、Interscience  Publishers1962年および1964年、R.GaechterおよびH.MuellerによるTaschenbuch  der  Kunststoff−Additive(Hanser  Verlag  ミュンヘン  1990年)またはDE−A2901774に集約され得る。
 
【0068】
  本発明に従って用いる熱可塑性ポリウレタンは好ましくは、50ショアD〜80ショアDの硬度を示す。DINENISO  868に従ってショア硬度を決定する。
 
【0069】
  本発明にしたがって用いる熱可塑性ポリウレタンは、連続にいわゆる押出機法により、例えば多軸形押出機により、またはいわゆるベルト法により製造することができる。TPU成分a、b)およびc)の計量を同時に、すなわち、ワンショット法、あるいは連続に、すなわちプレポリマー法において行うことができる。特にプレポリマー法が好ましい。ここで、プレポリマーは、バッチにおいておよび連続的に押出機の一部にまたは別の上流プレポリマーユニットにおいて、例えばスタティックミキサー反応器、例えばSulzerミキサーにおいて投入することにより製造し得る。
 
【0070】
  本発明にしたがって用いる好適なポリエステルまたはコポリエステル、特にコポリエステルは、85℃〜130℃、特に90℃〜120℃のガラス転移温度T
gを示す。
 
【0071】
  本発明に従って用いたポリエステルまたはコポリエステル、特にコポリエステルは、好ましくは0.50dL/g〜0.80dL/gの固有粘度を示す。
 
【0072】
  本発明に用いる好ましいコポリエステルは、典型的には、テレフタル酸および1以上の更なる2官能性カルボン酸および/または多官能性カルボン酸(以下、ジカルボン酸成分と呼ぶ)と、少なくとも2つの2官能性ヒドロキシル化合物、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノールおよび任意にさらなる2官能性ヒドロキシル化合物および/または多官能性ヒドロキシル化合物(以下、ジオール成分と呼ぶ)の反応により調製することができ、典型的には、ジカルボン酸成は、1以上のジカルボン酸であってよく、およびジオール化合物は2以上の二価アルコール/グリコールであってよい。ジカルボン酸およびアルコール/グリコールは、好ましくは実質的に等しい割合において反応し、その対応する残基としてコポリエステル重合体へ組み込まれる。本発明によって使用されるコポリエステルは、したがって、実質的に等モル割合の酸残基およびジオール残基を含有することができる。
 
【0073】
  用語「残基」は、ここでは、重縮合および/または対応するモノマーからのエステル化反応によってポリマー中へ組み込まれた任意の有機構造を意味する。
 
【0074】
  ジカルボン酸残基はジカルボン酸モノマーあるいはその関連する酸ハロゲン化物、エステル、塩、無水物類あるいはその混合物から誘導され得る。ここでは、したがって、用語「ジカルボン酸」は、ジカルボン酸およびジカルボン酸の任意の誘導体を包含することが意図され、ポリエステルを製造するジオールとの反応工程に有用なその関連する酸ハロゲン化物、エステル、ハーフエステル、塩あるいは塩、無水物、またはこれらの混合物を包含する。
 
【0075】
  特に好適な実施態様におけるジカルボン酸成分は、70〜100モル%のテレフタル酸残基、好ましくは80〜100モル%のテレフタル酸残基、より好ましくは90〜100モル%のテレフタル酸残基、さらに好ましくは95〜100モル%のテレフタル酸残基を含んでなる。特に好適である実施態様では、ジカルボン酸成分は、98〜100モル%のテレフタル酸残基を含む。別の特に好適である実施態様では、ジカルボン酸成分は、100モル%のテレフタル酸残基を含む。
 
【0076】
  ジカルボン酸成分の全モル%は100モル%である。
 
【0077】
  ジカルボン酸の代わりに改質性ジカルボン酸のエステルおよび/または塩を使用してもよい。ジカルボン酸エステルの適当な例としては、これらに限定されないが、ジメチル、ジエチル、ジプロピル、ジイソプロピル、ジブチル、またジフェニルエステルが挙げられる。1つの実施態様では、下記の少なくとも1つからエステルが選択される:メチル、エチル、プロピル、イソプロピルおよびフェニルエステル。
 
【0078】
  コポリエステルのジオール成分からの2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基と1,4−シクロヘキサンジメタノール残基の比は、10モル%〜35モル%の2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基と65モル%〜90モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール残基、特に好ましくは15モル%〜35モル%の2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基と65モル%〜85モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール残基、極めて特に好ましくは15モル%〜30モル%の2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基と70モル%〜85モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール残基となり、ここでこれらのジオール成分の2つの成分のモル%の合計は100モル%となる。
 
【0079】
  特に好適である実施態様におけるコポリエステルのジオール成分は、25モル%以下の1以上の2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールまたは1,4−シクロヘキサンジメタノールでない改質性ジオールを含有することができる。ある実施形態では、本発明に有用なコポリエステルは、15モル%以下の1以上の改質性ジオールを含有し得る。別の実施態様では、本発明に有用なコポリエステルは10モル%以下の改質性ジオールを含有することができる。別の実施態様では、本発明に有用なコポリエステルは5モル%以下の改質性ジオールを含有することができる。別の実施態様では、本発明に有用なコポリエステルは3モル%以下の改質性ジオールを含有することができる。別の実施態様では、本発明に有用なコポリエステルは0モル%以下の改質性ジオールを含有することができる。ある実施態様は、0.01モル%以上、例えば0.1モル%以上、1モル%以上、5モル%以上または10モル%以上の改質性ジオールを含有することもできる。したがって、存在すれば、1以上の改質性ジオールの量は、例えば0.01〜15モル%、好ましくは0.1〜10モル%を含む任意のこれらの上記終点値の範囲であり得ることが意図される。
 
【0080】
  本発明に有用なコポリエステルに有用な改質性ジオールは、2,2,4,4,−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノール以外のジオールのことであり、および2〜16個の炭素原子を含有し得る。適当な改質性ジオールの例としては、これらに限定されないが、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、p−キシレングリコールまたはこれらの混合物が挙げられる。好ましい改質性ジオールは、存在すれば、エチレングリコール、1、3−プロパンジオールおよび/または1,4−ブタンジオールである。
 
【0081】
  ジオール2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールまたは1,4−シクロヘキサンジメタノールの各々はシス、トランスあるいはそれらの混合物であってよい。
 
【0082】
  所望のコポリエステルについては、シス/トランス2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールのモル比は各々の純粋形態あるいはそれらの混合物から変わり得る。特定の実施態様では、シスおよび/またはトランス2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールのモル百分率は、50モル%を超えるシスおよび50モル%未満のトランスであり、または55モル%を超えるシスおよび45モル%未満のトランスであり、または30〜70モル%のシスおよび70〜30モル%のトランス、または40〜60モル%のシスおよび60〜40モル%のトランスであり、シス−およびトランス−2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールのモル百分率の合計は100モル%となる。
 
【0083】
  所望のコポリエステルについては、1,4−シクロヘキサンジメタノールのモル比は各々の純粋形態あるいはそれらの混合物から変化してよい。シスおよびトランスの混合物の使用によって、シス/トランス1,4−シクロヘキサンジメタノールのモル比は、50/50〜0/100の範囲内、例えば40/60〜20/80の間で変化することができる。
 
【0084】
  本発明に有用なポリ−またはコポリエステルは、文献から既知の方法により、例えば均質溶液中での方法により、溶融物中でのエステル交換法により、および2相界面方法により製造することができる。適当な方法は、これらに限定されないが、1以上のジカルボン酸と1以上のジオールとを100℃〜315℃の温度にて、0.13mbar〜1011mbar(0.1〜760mmHg)の圧力でポリエステルを形成するのに十分な時間反応させる工程を包含する。(コ)ポリエステルを生産する方法について米国特許第3772405号またはKunststoff−Handbuch、第VIII巻、第695頁以降、Karl−Hanser−Verlag、ミュンヘン、1973年を参照されたい。
 
【0085】
  本発明に有用な適当なポリカーボネートあるいはコポリカーボネートは、Bayer  MaterialScience  AGからの商標Makrolon(登録商標)として市販されている。本発明に有用な適当なポリエステルあるいはコポリエステルは、例えばEastman  Chemical  CompanyからのSKケミカルまたはTritan(商標)からの商標Skygreenとして市販されている。さらに、本発明に有用な適当な熱可塑性ポリウレタンはまた、例えばBayer  MaterialScience  AGから市販されている。
 
【0086】
  本発明によるプラスチックフィルムは、好ましくは300μm〜2000μm、特に好ましくは400μm〜1500μm、極めて特に好ましくは500μm〜1200μmの全厚みを有する。
 
【0087】
  本発明のプラスチックフィルムの場合には、好適である態様では、それは、2つの外側層B間のコア層Aからなる議題の3層フィルムである。
 
【0088】
  本発明によるプラスチックフィルムのこの好適な実施態様は、コア層A、特に好ましくはコポリエステルコア層Aおよび外側層B、特に好ましくはTPU外側層B間で優れた接着性を示す。これらの層の間の良好な接着性は、湿潤または湿度環境での使用の間のプラスチックフィルムの層間剥離は不適当であるので特に有利であり、および必要である。さらに、例えば本発明によるフィルムの熱成形および剪断切口上でのトリミングによる3次元成形品の製造後、物品を粉砕する必要がある。さらに、この粉砕処理の間では、個々の層の層間剥離は望ましくない。
 
【0089】
  コア層Aと外側層Bとの間の接着力は、好ましくは0.3N/mmを超え、好ましくは0.5N/mmを超える。ASTM  D  903  98に従って接着力を決定することができる。
 
【0090】
  本発明によるプラスチックフィルムのコア層Aは、好ましくは250μm〜1600μm、特に好ましくは350μm〜1400μm、極めて特に好ましくは400μm〜1000μmの層厚みを有する。本発明によるプラスチックフィルムの外側層Bは、好ましくは25μm〜500μm、特に好ましくは30μm〜300μm、極めて特に好ましくは50μm〜200μmの層厚みを有する。
 
【0091】
  幾つかの応用について、例えば医療応用について、とりわけ成形品の製造のためのフィルムは、使用の間にできるだけ目立たないことが望ましい。したがって、プラスチックフィルムができるだけ透明な場合がさらに有利である。この要件は、本発明によるフィルムにより満たされる。
 
【0092】
  本発明によるプラスチックフィルムは、好ましくは70%を超える、特に好ましくは80%を超える380nm〜780nmの範囲の波長内の可視光線の透過率を示す。透過率は、ASTM  D  1003にしたがって、例えばHunter  Associates  Laboratory  Incにより製造されたUltra  Scan  XEで決定することができる。
 
【0093】
  共押出あるいは二重積層によって本発明のプラスチックフィルムを生産することができる。共押出による製造は好ましい。
 
【0094】
  共押出による多層プラスチック製フィルムの製造は当業者に既知である。ここで、各プラスチック層のために、各プラスチックは、例えばおよび好ましくは粒状物質の形態で、コンパウンド押出機において溶融され、ノズルによってフィルムへ押出される。
 
【0095】
  二重積層では、まず2つのフィルムを、2つの外側層Bのために、好ましくは押出により製造し、コア層Aをこれらの2つのプラスチックフィルムの間に溶融物を優先的に生産し、これらの2つのプラスチック製フィルム間で溶解を流すことにより製造する。
 
【0096】
  それらの顕著な特性、例えば引張モジュラスにおける僅かな低下、3次元形状における安定性および良好な透明性のために、本発明によるプラスチックフィルムは、3次元成形品を製造するための方法に特によく適している。そのような3D成形品を生産するために、適切な形へ成形することは、本発明によるプラスチックフィルムからの熱形成により行われ、次いで切断し研磨する。
 
【0097】
  したがって、本発明のさらなる課題は、本発明による多層フィルムから特に熱成形により得られた3次元成形品である。    
 
【0098】
  本発明によるプラスチックフィルムは、3次元成形品を製造するために、特に医療応用において用いるために、例えば整形外科デバイス、例えば整形外科支持体、歯科デバイス、例えば歯科スプリントあるいはリテーナー、または添え木、例えば捻挫した関節または骨折を安定させるために特によく適している。さらに、本発明によるプラスチック製フィルムは、非医学的な応用、例えば光起電力あるいは(床下式)加熱応用などのための3次元成形品を製造するために特によく適している。さらに、本発明によるプラスチックフィルムは、防弾ガラスラミネートに特に適している。
 
【0099】
  以下の実施例は、本発明を例示するためであり、限定として解釈されない。
 
【実施例】
【0100】
供給物質
〔ISOPLAST  2530〕
  DIN  EN  ISO  868による82Dのショア硬度を有する医療応用のための市販の芳香族熱可塑性ポリウレタン(Lubrizol  Corp.)
【0101】
〔DESMOPAN  DP  9365  D〕
  DIN  EN  ISO  868による65Dのショア硬度を有する市販の芳香族透明熱可塑性ポリエーテルポリウレタン(Bayer  MaterialScience  AG)
【0102】
〔コポリエステルI〕
  テレフタル酸48.4重量%、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール11.9重量%(ジオール成分に対して23モル%)およびシクロヘキサンジメタノール39.7重量%(ジオール成分に対して77モル%)からなるテレフタル酸の共重縮合物、0.72dl/g(25℃のフェノールおよびテトラクロロエタンから成る1:1混合物で測定)(Eastman  Chemical)、ガラス転移温度110℃(DSCによって決定)を有する。
【0103】
〔コポリエステルII〕
  テレフタル酸48.3重量%、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール11.7重量%(ジオール成分に対して23モル%)およびシクロヘキサンジメタノール40.0重量%(ジオール成分に対して77モル%)からなるテレフタル酸の共重縮合物、0.63dl/g(25℃のフェノールおよびテトラクロロエタンから成る1:1混合物で測定)、ガラス転移温度105℃(DSCによって決定)を有する。
【0104】
〔TEXIN  970U〕
  DIN  EN  ISO  868に従う70Dのショア硬度を有する市販の芳香族透明熱可塑性ポリエーテルポリウレタン(Bayer  MaterialScience  AG)
【0105】
〔MAKROLON  3108〕
  Bayer  MaterialScience  AGからの300℃および1.2kgでのISO  1133による6g/10分の溶融体積速度(MVR)を有する市販の高粘性無定形熱可塑性ビスフェノールA−ポリカーボネート;ガラス転移温度149℃(DSCによって決定)
【0106】
〔HYTREL  7246〕
  Dupont  Company、Wilmingtonからの72DのDIN  EN  ISO  868による公称ショア硬度を有する市販の高モジュラス熱可塑性ポリエステルエラストマー等級
【0107】
〔POCAN  B  1600〕
  Lanxess  AGからの260℃および2.16kgでのISO  1133による14g/10分の溶融体積速度(MVR)を有する市販の熱可塑性ブチレンテレフタレート
【0108】
本発明による層状構造物の製造:
押出フィルムの製造
  共押出フィルムの生産のために使用されるフィルム押出ラインは、次のものを含む:
・60mmの直径(D)のスクリューおよび33Dの長さを有する押出機;
・スクリューは脱ガスゾーンを有する;
・溶融物ポンプ;
・クロスヘッド;
・幅450mmを有するフラットシートダイ;
・水平ローラー配置での3本ロールカレンダー。第3ローラーは水平に対して約+/−45°回転させることができる;
・ローラーコンベヤー;
・膜厚測定
・保護フィルムの両面適用のための装置;
・テイクオフデバイス;
・巻取り機。
【0109】
  粒状物質は、乾燥機から押出機の供給ホッパーへ運んだ。押出機のシリンダー/スクリューによって構成された、可塑化系において、溶融および材料の運搬を行った。フラットシートダイから溶融物はカレンダーに到着した。カレンダー(3本ロールからなる)上で、フィルムの最終成形および冷却を行った。フィルムの表面を構造化するために、ここで2本の研磨クロムローラー(光沢/光沢表面用)を用いた。次いでフィルムをテイクオフより運び、保護フィルムを両側に適用し、次いでフィルムの巻取りを行った。
【0110】
実施例1(本発明によらない)
  上記のフィルム押出ラインで、240℃〜260℃の主押出機の温度で、760μmの厚みを有するコポリエステルIからなる単層フィルムを製造した。
【0111】
実施例2(本発明によらない)
  実施例1と同じフィルム押出ラインで、220℃〜240℃の主押出機の温度で、750μmの厚みを有するISOPLAST  2530からなる単層フィルムを製造した。
【0112】
実施例3(本発明による)
フィルムの共押出
  用いるフィルム押出ラインは、以下から構成される:
・105mmの直径(D)のスクリューおよび41×Dの長さを有する押出機。スクリューは脱ガスゾーンを有する;
・長さ25Dのスクリューおよび35mmの直径を有するトップ層を適用するための共同押出機;
・クロスヘッド;
・幅1500mmを有する特別共押出フィルムダイ;
・水平ローラー配置での3本ロールカレンダー、第3ローラーは、水平に対して約+/−45°回転させることができる;
・ローラーコンベヤー;
・両表面上での保護膜の適用のための装置;
・テイクオフデバイス;
・巻取機。
【0113】
  主押出機の供給ホッパーにベース材料の粒状材料を供給した。シリンダー/スクリューによって構成された各可塑化系では、溶融および各材料の運搬を行った。共押出ノズルにおいて両方の材料溶融物を集めた。ノズルから、溶融物はカレンダーにて到着した。ロールカレンダー上で、材料の最終成形および冷却を行う。フィルムの表面を構造化するために、ここで2本の研磨クロムローラー(光沢/光沢表面用)を用いた。次いでフィルムを取出より運び、保護フィルムを両側に適用し、次いでフィルムの巻取りを行った。
【0114】
  このフィルム押出ラインで、220℃〜240℃の主押出機の温度で、および228℃〜260℃からの共押出機の温度で、800μmの厚みを有する2つの平滑な光沢のある側を有する本発明の3層フィルムを押出した。コポリエステルコア層は650μm厚であり、各側上での熱可塑性ポリウレタン層は、いずれの場合も75μm厚であった。
【0115】
実施例4(本発明による):
  実施例3のフィルム押出ラインで、コポリエステルIの代わりに、より易流動性コポリエステルIIを3層フィルムの製造のために用いた。
【0116】
  これから、220℃〜235℃の主押出機の温度で、および227℃〜260℃の共押出機の温度で、800μmの厚みを有する2つの平滑な光沢のある側を有する本発明の3層フィルムを押出した。コポリエステルコア層は650μm厚であり、各側上での熱可塑性ポリウレタン層は、いずれの場合も75μm厚であった。
【0117】
実施例5(本発明による):
  実施例3と同じフィルム押出ラインで、1つの光沢表面および1つの艶消表面を有する本発明のフィルムを押出した。
【0118】
  ここで、フィルムの2つの表面を構造化するために、研磨クロムローラーおよび構造化シリコーンゴムローラーを用いた。フィルムの表面を構造化するために用いるゴムローラーについてNauta  Roll  Corporationにより保持されたDE3228002(あるいは対応US4,368,240)に記載されている。
【0119】
  220℃〜235℃の主押出機の温度で、および227℃〜260℃の共押出機の温度で、800μmの厚みを有する平滑な光沢のある側および艶消側を有する本発明の3層フィルムを押出した。コポリエステルコア層は650μm厚であり、各側上での熱可塑性ポリウレタン層は、いずれの場合も75μm厚であった。
【0120】
実施例6(本発明による):
  実施例3のフィルム押出ラインで、コポリエステルIの代わりに、60重量%のMAKROLON  3108および40重量%のPOCAN  B  1600のブレンドを主押出機について、およびTEXIN  970Uを共押出機について3層フィルムの製造のために用いた。TEXIN  970Uは外側層を形成し、MAKROLON/POCANブレンドはコア層を形成する。
【0121】
  これから、260℃〜270℃の主押出機の温度で、および210℃〜230℃の共押出機の温度で、750μmの厚みを有する2つの平滑な光沢のある側を有する本発明の3層フィルムを押出した。コポリエステルコア層は550μm厚であり、各側上での熱可塑性ポリウレタン層は、いずれの場合も100μm厚であった。
【0122】
実施例7(本発明による):
  実施例3のフィルム押出ラインで、コポリエステルIの代わりに、60重量%のMAKROLON  3108および40重量%のPOCAN  B  1600のブレンドを主押出機について、およびHYTREL  7246を共押出機について3層フィルムの製造のために用いた。HYTREL  7246は外側層を形成し、MAKROLON/POCANブレンドはコア層を形成する。
【0123】
  これから、260℃〜270℃の主押出機の温度で、および227℃〜245℃の共押出機の温度で、750μmの厚みを有する2つの平滑な光沢のある側を有する本発明の3層フィルムを押出した。コポリエステルコア層は550μm厚であり、各側上での熱可塑性ポリウレタン層はいずれの場合も100μm厚であった。
【0124】
実施例8(本発明による):
  実施例3のフィルム押出ラインで、コポリエステルIの代わりに、60重量%のMAKROLON  3108および40重量%のPOCAN  B  1600のブレンドを主押出機について、およびISOPLAST  2530を共押出機について3層フィルムの製造のために用いた。ISOPLAST  2530は外側層を形成し、MAKROLON/POCANブレンドはコア層を形成する。
【0125】
  これから、260℃〜270℃の主押出機の温度で、および210℃〜240℃の共押出機の温度で、750μmの厚みを有する2つの平滑な光沢のある側を有する本発明の3層フィルムを押出した。コポリエステルコア層は550μm厚であり、各側上での熱可塑性ポリウレタン層は、いずれの場合も100μm厚であった。
【0126】
実施例9:
実施例3〜5のコポリエステル層上の熱可塑性ポリウレタン(TPU)層の剥離強度を決定する方法
試験片の調製:
1.試験片を4インチL×0.76インチW(10mmL×19.3mmW)へダイカットする:ダイ寸法は入手可能性(W:0.75〜1インチ、L:最小4インチ)に応じて変化することができる。
2.TPU層の側でのマークを試験する。サンプルを他の側へ弾く。試験片の1つの端から7mmにて鋭いカッターによって線を引っ掻く。
3.傷のない試験TPU層を有する間にカットラインに沿って試験片を穏やかに曲げる。
4.カットラインから小さなカット部分を引き離すことにより、穏やかにTPU層を剥離し始める。
5.剥離TPU層が長さ13mmとなるまで剥離し続ける。全体のTPU層が試験片幅を横切って均一に剥離したことを確かめる。
6.全接着面積を作るために試験片のもう1つの端を長さ62mmに切断する。
【0127】
実施例10:
剥離強度の決定
方法:
  ASTM  D  903  98のモデルに従い剥離強度の決定を行った。試験片は、実施例6における方法にしたがって調製し、50%相対湿度および23℃にて貯蔵し、次いでこれらの条件下で試験した。分離速度は305mm/分となった。検量線から、5mmと25mmの間の平均値を評価した。
【0128】
  試験片の3つの異なった位置で決定を行った。以下に計算した平均結果を示す。
【0129】
  底部層について、実施例3について0.76N/mm、実施例4について0.79N/mm、実施例5について0.97N/mmの単位幅当たりの平均荷重を測定した。トップ層について、実施例3について1.13N/mm、実施例4について0.60N/mm、実施例5について1.10N/mmの単位幅当たりの平均荷重を測定した。結果は、本発明のフィルムがコポリエステルコア層とTPU外側層の間で優れた接着を呈することを示す。
【0130】
  実施例6〜8による3層フィルムについては、外側層とコア層の間の剥離強度は、非常に高かったので、外側層の損傷のない分離は可能ではなく、本発明のこれらのフィルムは、コア層と外側層の間の優れた接着を示す。
【0131】
実施例11
引張強度の決定のための方法
  ASTM  D  638のモデルに従い引張強度の測定を行った。型ZwickZ020/148385の引張試験機上で引張試験を行なった。型4の引張試験用試験片を用いた。評価のために、5回の測定の平均値は得た。試験片を>48時間で50%相対湿度および23℃にて貯蔵し、次いでこれらの条件下で試験した。試験速度は12.7mm/分、Youngのモジュラス(弾性率または弾性モジュラス)の決定の間、1mm/分であった。
【0132】
  試験片の3つの異なった位置で決定を行った。以下の表は、計算された平均結果を示す。
【0133】
【表1】
【0134】
  結果は、本発明によるフィルムが優れた引張強度および際立った引張モジュラスを呈することを示す。
【0135】
実施例12:
応力緩和を決定する方法
  応力緩和は、ASTM  D790の変更により決定した:
・サンプル寸法:51mm(長さ)×21.5mm(幅)×〜0.8mm(厚み)
・応力緩和の測定前に所定温度(25℃または50℃)にてサンプルを水に漬す。
・5%応力での3点曲げ
・支持間隔:16mm
【0136】
【表2】
【0137】
  ここで、初期荷重に対する値は、貯蔵前の時間、すなわち、時間t=0での測定値を表し、および残存荷重についての値は、24時間の貯蔵後の時間での測定値を表わす。
【0138】
  結果は、両方の貯蔵温度では、本発明の3層フィルムが、24時間貯蔵後に実施例2からのTPU単一層フィルムより高い残存荷重を呈したことを示す。特に、実施例3および7については、両方の貯蔵温度で本発明の3層フィルムが貯蔵前の時間にて明確により低い初期荷重を示したが、24時間後の貯蔵後になお発揮することができた力が、相当により僅かな程度にまで落ちたのはさらに意外である。
【0139】
  本発明による3層フィルムからなるサンプルだけが、湿潤環境において貯蔵中の引張モジュラスの小さな低下を呈す。更に、本発明によるフィルムは、コア層と他の層の間の際立った接着を示す。
【0140】
  本発明について説明のために詳細に上で説明したが、そのような詳細は単にその目的のためだけであり、当業者が特許請求の範囲により制限され得ることを除いて本発明の精神および範囲から外れることなく変化させることができることが理解される。