(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係るカテーテル組立体について好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら説明する。
【0020】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係るカテーテル組立体10Aの構成を示す斜視図である。
図2は、カテーテル組立体10Aの分解斜視図である。
図3は、カテーテル組立体10Aの一部省略縦断面図である。
【0021】
カテーテル組立体10Aは、
図1に示す初期状態でユーザ(医師や看護師等)により把持操作され、その先端部が患者の血管に穿刺される。その後、所定の各操作を行い、血管に穿刺及び挿入されたカテーテル部材15だけを患者側に留置する。そして、カテーテル部材15の基端部に図示しない輸液チューブのコネクタを接続することで、輸液チューブから患者への輸液剤(薬液)の供給が実施される。以下、このカテーテル組立体10Aの構成について具体的に説明する。
【0022】
カテーテル組立体10Aは、カテーテル12と、カテーテル12に接続されたカテーテルハブ14と、カテーテル12に挿入された内針16と、カテーテルハブ14に接続された押圧部材18と、内針16に挿通されたガイドワイヤ20と、ガイドワイヤ20に接続されたワイヤ操作部材22と、内針16に接続された把持部材24とを備える。
【0023】
カテーテル12は、外針として機能するものであって、所定の長さに形成された可撓性を有する細径の管状部材である。カテーテル組立体10Aは、使用前(患者への穿刺前)の初期状態では、カテーテル12に内針16が挿通された2重管構造となり、且つ内針16がカテーテル12の先端から所定長だけ突出している。以下では、カテーテル組立体10Aの初期状態のことを、「組立状態」ということもある。カテーテル12の内部には、内腔13が軸線方向に延在して貫通形成される。この内腔13の直径は、内針16を挿通可能な大きさに設定されている。
【0024】
カテーテル12の構成材料としては、樹脂材料、特に、軟質樹脂材料が好適である。この場合、例えば、ポリテトラフルオロエテレン(PTFE)、エチレン・テトラフルオロエテレン共重合体(ETFE)、ベルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)等のフッ素系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂又はこれらの混合物、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテルナイロン樹脂、前記オレフィン系樹脂とエチレン−酢酸ビニル共重合体との混合物等が挙げられる。
【0025】
カテーテル12は、全部又は一部の内部を視認できるように、透明性を有する樹脂で構成されてもよい。カテーテル12は、放射線(X線)不透過材(例えば、酸化バリウム等)を含んで造影機能を有してもよい。
【0026】
カテーテル12の長さは、特に限定されず、用途や諸条件等に応じて適宜設定される。例えば、カテーテル12の長さは、20〜500mm程度に設定され、好ましくは、30〜400mm程度に設定され、より好ましくは、100〜300mm程度に設定される。
【0027】
カテーテル12は、例えば、中心静脈カテーテル、PICC、ミッドラインカテーテル等、末梢静脈カテーテルよりも長さが長いカテーテルとして用いられてよい。なお、カテーテル12は、末梢静脈カテーテルとして用いられてもよい。
【0028】
図3に示すように、カテーテル12の基端には、カテーテルハブ14が液密に接続固定される。カテーテル12とカテーテルハブ14との固定手段としては、例えば、カシメ、融着(熱融着、高周波融着等)、接着剤による接着等が挙げられる。カテーテルハブ14は、先細りとなる筒状に形成される。カテーテル部材15は、カテーテル12とカテーテルハブ14とが結合したものである。
【0029】
カテーテルハブ14の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニル、ポリアセタール等の各種樹脂材料が挙げられる。
【0030】
カテーテル組立体10Aの使用に際し、カテーテルハブ14は、カテーテル12が血管に穿刺された状態で患者の皮膚上に露呈され、テープ等により皮膚上に貼り付けられて留置される。このようなカテーテルハブ14は、カテーテル12よりも硬質の材料によって構成されることが好ましい。カテーテルハブ14の構成材料は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリサルホン、ポリアリレート、メタクリレート−ブチレン−スチレン共重合体等の熱可塑性樹脂を好適に用いることができる。
【0031】
内針16は、先端開口と、基端開口と、それらの間に形成されたルーメン17を有する中空の部材である。また内針16は、先端に鋭利な針先16aを有する。内針16の長さは、カテーテル12の長さよりも長い。カテーテル組立体10Aの組立状態において、針先16aはカテーテル12の先端開口から突出し、内針16の基端は、カテーテル部材15の基端部(カテーテルハブ14)よりも基端側に突出する。また、組立状態において、内針16は、その長手方向の途中部位がカテーテルハブ14の内部に挿通される。
【0032】
内針16は、患者の皮膚を穿刺可能な剛性を有する。内針16の構成材料としては、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム又はアルミニウム合金、チタン又はチタン合金のような金属材料が挙げられる。
【0033】
押圧部材18は、カテーテルハブ14に接続され、組立状態で内針16の針先16a及びカテーテル12の先端部を血管に穿刺する穿刺操作の際、カテーテル12の基端と先端との間の部位(カテーテル12の長手方向の途中部位)を押圧可能である。具体的には、押圧部材18は、カテーテル12の基端と先端との間の部位を押し付けることができる押圧部26を有する。この押圧部26は、穿刺操作の際、内針16及びカテーテル12の撓みを抑制するための構成要素である。
【0034】
また、押圧部材18は、直線状態のカテーテル12の軸方向(長手方向)に沿って配置され、カテーテル12上に位置する長尺状の本体部28と、この本体部28に設けられ、指を掛けるための指掛け突起30とを有する。本体部28の上面には、指で操作する際に滑り止めとして機能する凹凸形状29が設けられる。
【0035】
本図示例における指掛け突起30は、本体部28の先端から上方に突出する。指掛け突起30は、本体部28の先端よりも若干だけ基端側から上方に突出してもよい。あるいは、指掛け突起30は、本体部28の長手方向の途中(先端と基端との間)から上方に突出してもよい。本図示例では、上述した押圧部26は、本体部28の先端下部により構成される。押圧部26は、本体部28の先端部から下方に突出した突起部により構成されてもよい。
【0036】
押圧部26は、穿刺操作の際、内針16及びカテーテル12の撓みを効果的に抑制できる位置に配置されるのがよい。例えば、カテーテル12の最先端位置から、押圧部26によって押圧される部位までの距離は、8〜60mm程度であり、好ましくは、10〜30mm程度である。
【0037】
押圧部材18は、カテーテルハブ14に対して回動可能に、カテーテルハブ14に接続される。
図4Aに示すように、本図示例では、カテーテルハブ14の左右両側の外側面には、外方に突出する支持突起32が設けられる。各支持突起32は、上下方向に延在する。一方、
図4Bに示すように、本体部28の基端部には、接続溝34を有する左右一対の接続片38が互いに対向して設けられる。接続溝34は内方に向かって開放し、互いに対向する。
【0038】
各接続溝34は、係合用の第1溝35と、この第1溝35よりも細い溝幅で係合溝から基端方向に延在して接続片38の基端面に達する離脱用の第2溝36とを有する。第2溝36の溝幅W2は、支持突起32の幅W1よりも若干だけ大きい。押圧部材18に設けられた第1溝35の各々に、カテーテルハブ14に設けられた支持突起32が挿入される。これにより、押圧部材18は、支持突起32を軸部として、カテーテルハブ14に対して回動可能に支持される。
【0039】
押圧部材18は、カテーテル12の長手方向に沿って配置された第1の位置(
図7参照)と、カテーテル12から退避した第2の位置(
図8参照)とに変位可能である。押圧部材18が第1の位置に位置するときは、押圧部材18はカテーテル12上に位置し、押圧部材18の先端部(押圧部26)は、カテーテル12の基端と先端との間に位置する。また、押圧部材18が第1の位置に位置するときは、支持突起32が、第1溝35に係合しているため、押圧部材18がカテーテルハブ14から分離することが阻止される。
【0040】
押圧部材18が第2の位置に位置するときは、押圧部材18は、カテーテル12の長手方向に対して交差する方向(本図示例では、カテーテル12の長手方向に対して略垂直方向)に延在する。また、押圧部材18が第2の位置に位置するときは、支持突起32と第2溝36の延在方向が同じになるため、押圧部材18がカテーテルハブ14から分離可能である。
【0041】
押圧部材18の構成材料は、特に限定されず、例えば、カテーテルハブ14の構成材料として例示した材料から選択してもよい。
【0042】
ガイドワイヤ20は、カテーテル12を患者に留置するためにカテーテル12を血管内に挿入する際に、カテーテル12をガイドするための可撓性を有する線状部材である。ガイドワイヤ20は、内針16及びカテーテル12よりも長い。ガイドワイヤ20の外径は、内針16のルーメン17の直径よりも小さい。カテーテル組立体10Aの組立状態で、ガイドワイヤ20の先端は、内針16の針先16aよりも基端側にあり、本図示例では、針先16aの近傍に位置する。ガイドワイヤ20は、内針16に摺動可能に挿入され、先端が針先16aから突出可能である。
【0043】
カテーテル組立体10Aの組立状態で、ガイドワイヤ20の基端は、カテーテル12の基端よりも基端側に位置する。ガイドワイヤ20の長さは、内針16及びカテーテル12の各長さよりも長く、例えば、40〜1200mm程度に設定され、好ましくは、100〜700mm程度に設定される。
【0044】
ガイドワイヤ20の構成材料は、特に限定されないが、例えば、ステンレス鋼、Ni−Ti系合金等の各種金属材料を使用することができる。ガイドワイヤ20は、その全長に渡って、例えばステンレス鋼やNi−Ti系合金のような単一の材料で構成することもできるが、異なる材料を組み合わせて形成することもできる。ガイドワイヤ20の外周面(外表面)の全部又は一部には、潤滑性を有する材料(例えば、PTFE、ETFE等)で構成されたコーティングが施されてもよい。
【0045】
ワイヤ操作部材22は、カテーテル12を患者の血管内に挿入する操作に先行して、ガイドワイヤ20を血管内に挿入する操作を行うための操作部である。本実施形態において、ワイヤ操作部材22は、内針16及びカテーテル12の長手方向に延在し、ガイドワイヤ20の基端に接続される。具体的には、
図2に示すように、ワイヤ操作部材22は、内針16及びカテーテル12の長手方向に延在する長尺状の延在部40と、延在部40の基端下部に設けられ、ガイドワイヤ20の基端を保持するワイヤ保持部42とを有する。
【0046】
延在部40は、板状であり、押圧部材18の上を、長手方向にスライド可能である。延在部40の先端上面には、指で触れて操作する際に滑り止めとして機能する凹凸形状41が設けられる。
【0047】
延在部40には、延在部40の長手方向に延在する切欠部44が形成される。切欠部44は延在部40の最先端部にまで達している。このような切欠部44があることにより、押圧部材18に対してワイヤ操作部材22を先端方向に移動させる際に、指掛け突起30がワイヤ操作部材22の移動を妨げることがない。押圧部材18に対してワイヤ操作部材22を先端方向に移動させた状態(
図5参照)でも、切欠部44を介して指掛け突起30に触れることができるため、押圧部材18を容易に操作することができる。
【0048】
本図示例において、ワイヤ操作部材22は押圧部材18よりも長く、組立状態で、ワイヤ操作部材22の先端部は押圧部材18の先端と基端との間の部位上に位置する。なお、ワイヤ操作部材22は、押圧部材18と同程度の長さ、あるいは、押圧部材18よりも短くてもよい。
【0049】
把持部材24は、内針16及びカテーテル12の長手方向に沿って延在し、全体として長尺状に構成される。
図3に示すように、把持部材24は、内針16の基端側で内針16に接続されるとともに、組立状態で、押圧部材18及びワイヤ操作部材22を長手方向に移動可能に収容する。具体的には、
図2に示すように、把持部材24は、底板46と、底板46の左右両側から上方に延出した側壁48、50と、底板46の基端に立設されるとともに左右の側壁48、50を連結する基端壁52とを有しており、上方及び先端側が開放している。
【0050】
底板46の先端側の左右方向の中央には、把持部材24の長手方向に延在し、底板46の最先端に達するガイド溝47が形成される。把持部材24に対してカテーテル12が先端方向に移動する際、カテーテル12はガイド溝47にガイドされるため、左右方向にずれることなく安定して移動することができる。
【0051】
押圧部材18及びワイヤ操作部材22は、このように構成された把持部材24の内側に配置される。把持部材24は、押圧部材18及びワイヤ操作部材22が先端方向に移動する際に、押圧部材18及びワイヤ操作部材22の移動方向を規制するガイド部材としての機能を有する。
【0052】
把持部材24において、長手方向の途中部位には、内針16の基端側を保持する針保持部54が設けられる。針保持部54は、把持部材24の内部(左右の側壁48、50間)に設けられる。
図3に示すように、針保持部54は保持孔56を有し、当該保持孔56に内針16が挿入され固定される。針保持部54の上面54aは、ワイヤ操作部材22をスライド可能に支持するスライド面として構成される。カテーテル組立体10Aの組立状態で、カテーテル部材15及び押圧部材18は、針保持部54よりも先端側で把持部材24内に収容される。
【0053】
このように把持部材24は、針保持部54において内針16を保持しているため、カテーテル12に対して把持部材24を基端方向に移動させると、把持部材24の移動に伴って内針16もカテーテル12に対して基端方向に移動させられる。すなわち、把持部材24は、内針16の基端に固定された内針ハブとしての機能も有する。
【0054】
本実施形態に係るカテーテル組立体10Aは、基本的には以上のように構成されるものであり、以下、その作用及び効果について説明する。
【0055】
図1に示すように、カテーテル組立体10Aの組立状態(初期状態)において、内針16がカテーテル12に挿入されて針先16aがカテーテル12の先端から所定長だけ突出し、ガイドワイヤ20の先端が内針16内に位置している。このような組立状態のカテーテル組立体10Aを患者の皮膚に穿刺する穿刺操作では、使用者(医師、看護師等)は、把持部材24を一方の手(例えば、右手)で把持する。そして、当該一方の手の人差し指で押圧部材18の先端部を押圧しつつ、カテーテル組立体10Aの先端部(内針16が挿通されたカテーテル12の先端部)を患者に押し当てるようにして、穿刺目標の血管に向かって皮膚に穿刺する。
【0056】
この場合、本実施形態によれば、押圧部材18でカテーテル12の基端と先端との間の途中部位を下方に押し付けることにより、内針16及びカテーテル12の撓みを抑制することができる。すなわち、押圧部材18でカテーテル12の途中部位を押し付けた状態では、カテーテル12が押圧部材18(の押圧部26)と把持部材24(の底板46)との間に挟まれて支持される結果、内針16及びカテーテル12の撓みが抑制される。従って、内針16及びカテーテル12が比較的長い場合でも、容易に穿刺操作を行うことができる。
【0057】
次に、内針16及びカテーテル12の先端部が皮膚に穿刺された状態で、把持部材24の位置を保持しつつ、一方の手の人差し指でワイヤ操作部材22の先端部上面に触れて、ワイヤ操作部材22を先端方向に僅かに進める。これにより、内針16の先端からガイドワイヤ20を数mm程度突出させる。次に、ワイヤ操作部材22を他方の手(例えば、左手)で先端方向に移動させることにより、ガイドワイヤ20を最大まで先端方向に移動させる(
図5参照)。ガイドワイヤ20の先端方向への移動に伴って、ガイドワイヤ20は、血管内に挿入される。
【0058】
なお、
図5において仮想線で示すように、ワイヤ操作部材22は、その長手方向の途中部位で外針から離間する方向に湾曲又は屈曲可能に構成されてもよい。この場合、ワイヤ操作部材22の長手方向の途中部位に、薄肉部(脆弱部)によるヒンジ構造58を設けることにより、又は、軸部と軸受から構成される別のヒンジ構造58を設けることにより、屈曲可能としてもよい。あるいは、ワイヤ操作部材22を、可撓性を有する部材で構成することにより、湾曲可能としてもよい。
【0059】
ワイヤ操作部材22が湾曲又は屈曲可能に構成されることにより、ガイドワイヤ20を血管内に挿入するためにワイヤ操作部材22を先端方向に移動させる際に、ワイヤ操作部材22の先端部が患者の一部に当たった場合でも、ワイヤ操作部材22の途中部位が屈曲又は湾曲する。従って、ワイヤ操作部材22と患者との干渉を回避することができ、ガイドワイヤ20の血管内への挿入を容易且つ確実に行うことができる。
【0060】
ガイドワイヤ20の先端を血管内の目標位置まで挿入したら、次に、押圧部材18を一方の手の人差し指で先端方向に数mm程度進め、これによりカテーテル12を数mm程度進める。次に、押圧部材18を他方の手で先端方向に移動させ(
図6参照)、これによりカテーテル12の先端を血管内の目標位置まで挿入する。このとき、カテーテル12は、先行して血管内に挿入されたガイドワイヤ20を辿って、すなわちガイドワイヤ20に追従して血管内を前進する。従って、カテーテル12の先端を血管内の目標位置まで容易に導くことができる。
【0061】
次に、押圧部材18を他方の手で押さえつつ、一方の手で把持部材24を把持し、当該把持部材24を基端方向に引っ張る。これにより、
図7に示すように、内針16がカテーテル12から抜去される。内針16をカテーテル12から抜去した後、必要に応じて押圧部材18をカテーテルハブ14から取り外してもよい。この場合、先ず、
図8に示すように、押圧部材18を、第2の位置に移動させる(本実施形態ではカテーテルハブ14に対して略垂直姿勢となるように起立させる)。次に、
図9に示すように、押圧部材18を上方に引っ張ることにより、押圧部材18をカテーテルハブ14から分離させる。なお、内針16をカテーテル12から抜去した後において、押圧部材18をカテーテルハブ14に取り付けたままにしてもよい。
【0062】
次に、内針16が抜き取られた状態のカテーテル部材15の基端側に、図示しない輸液チューブのコネクタを接続し、輸液チューブから患者への輸液剤(薬液)の投与を実施する。
【0063】
以上説明したように、本実施形態に係るカテーテル組立体10Aによれば、内針16及びカテーテル12の各先端部を皮膚に穿刺する際、押圧部材18でカテーテル12の基端と先端との間の途中部位を下方に押し付けることにより、内針16及びカテーテル12の撓みを抑制することができる。従って、内針16及びカテーテル12が比較的長い場合でも、容易に穿刺操作を行うことができる。
【0064】
また、穿刺操作後、カテーテル12の血管内への挿入に先行して、ガイドワイヤ20を血管内に挿入することで、ガイドワイヤ20に沿ってカテーテル12を先端方向にスムーズに移動させることができる。これにより、蛇行や分岐がある血管でも、カテーテル12の先端をガイドワイヤ20に沿って目的部位まで容易に導くことができる。
【0065】
さらに、カテーテル組立体10Aは、押圧部材18に沿って延在するワイヤ操作部材22を備えるため、ガイドワイヤ20の移動操作を容易に行うことができる。
【0066】
本実施形態の場合、ワイヤ操作部材22は、押圧部材18の上に重ねて配置される。この構成によれば、カテーテル組立体10Aを細く構成することができるため、穿刺操作をするとき等において、カテーテル組立体10Aを把持しやすく、操作性に優れる。
【0067】
本実施形態の場合、押圧部材18の先端に指掛け突起30が設けられるとともに、ワイヤ操作部材22に切欠部44が設けられる。このため、ワイヤ操作部材22の先端が、押圧部材18の先端を超えて進出した状態(
図5の状態)で、上方から押圧部材18に触れて押圧部材18を操作可能である。この構成によれば、ワイヤ操作部材22を先端方向に移動させた状態でも、ワイヤ操作部材22が邪魔にならず、押圧部材18を容易に操作することができる。
【0068】
本実施形態の場合、カテーテル組立体10Aは、押圧部材18及びワイヤ操作部材22を長手方向に移動可能に収容する把持部材24を備える。この構成によれば、内針16及びカテーテル12の各先端を皮膚に穿刺する際、ガイドワイヤ20を先端方向に移動させる際、カテーテル12を先端方向に移動させる際、カテーテル12から内針16を引き抜く際の各操作において、把持部材24を手で把持することができる。従って、各操作を容易に行うことができる。
【0069】
[第2実施形態]
図10は、本発明の第2実施形態に係るカテーテル組立体10Bの斜視図である。
図11は、カーテル組立体の分解斜視図である。
図12は、カテーテル組立体10Bの一部省略縦断面図である。なお、第2実施形態に係るカテーテル組立体10Bにおいて、第1実施形態に係るカテーテル組立体10Aと同一又は同様な機能及び効果を奏する要素には同一の参照符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0070】
このカテーテル組立体10Bは、第1実施形態に係るカテーテル組立体10Aと同様に、カテーテル部材15と、内針16と、ガイドワイヤ20とを備える。カテーテル組立体10Bは、押圧部材59、ワイヤ操作部材60及び把持部材62の各構成において、第1実施形態に係るカテーテル組立体10Aと異なる。また、カテーテル組立体10Bは、操作ワイヤ66及びワイヤ収納部64を備える点で、第1実施形態に係るカテーテル組立体10Aと異なる。以下、具体的に説明する。
【0071】
押圧部材59は、指掛け突起30が設けられていない点で、第1実施形態における押圧部材18と異なる。
【0072】
ワイヤ操作部材60は、内針16及びカテーテル12の長手方向に沿って延在し、内針16及びカテーテル12に対して長手方向に変位可能である点において、第1実施形態におけるワイヤ操作部材22と共通する。一方、ワイヤ操作部材60は、第1実施形態におけるワイヤ操作部材22よりも短い。ワイヤ操作部材60は、押圧部材59の上に重ねて配置され、押圧部材59上で長手方向にスライド可能である。ワイヤ操作部材60の基端部には、操作ワイヤ66の先端部66aが連結及び固定される。
【0073】
操作ワイヤ66は、基端側(基端部66b)でガイドワイヤ20に接続され、ガイドワイヤ20を移動させるための線状部材である。操作ワイヤ66は、ガイドワイヤ20よりも短くてよい。ガイドワイヤ20と操作ワイヤ66の各基端部20b、66bよりも先端側では、ガイドワイヤ20と操作ワイヤ66は結合しておらず、分離可能である。操作ワイヤ66の構成材料としては、このような機能を達成できるものであれば特に限定されないが、例えば、ガイドワイヤ20の構成材料と同じでもよい。操作ワイヤ66は、可撓性を有する線状部材であることが好ましい。
【0074】
把持部材62は、押圧部材59及びワイヤ操作部材60を長手方向に移動可能に収容する。把持部材62は、第1実施形態における把持部材24よりも短い。具体的には、把持部材62における針保持部54よりも基端側の長さが、第1実施形態の把持部材24のそれよりも短い。把持部材62の基端壁52には、貫通孔52aが設けられる。当該貫通孔52aにワイヤ収納部64の先端部が固定される。
【0075】
ワイヤ収納部64は、可撓性を有する細径の管状部材である。ワイヤ収納部64は、内針16よりも基端側に設けられ、ガイドワイヤ20と操作ワイヤ66の各基端側を重ねた状態(束ねた状態)で収容可能である。すなわち、ガイドワイヤ20と操作ワイヤ66のうち、ワイヤ収納部64内に挿入(収容)された各部分は、ワイヤ収納部64の内腔65内で束ねた(重ねた)状態とされる。カテーテル組立体10Bの初期状態(組立状態)で、ガイドワイヤ20及び操作ワイヤ66の各基端部20b、66bは、ワイヤ収納部64に収容される。
【0076】
本実施形態に係るカテーテル組立体10Bは、基本的には以上のように構成されるものであり、以下、その作用及び効果について説明する。
【0077】
図10に示すように、カテーテル組立体10Bの組立状態において、内針16がカテーテル12に挿入されて針先16aがカテーテル12の先端から所定長だけ突出し、ガイドワイヤ20の先端が内針16内に位置している。このような組立状態のカテーテル組立体10Bを患者の皮膚に穿刺する穿刺操作では、使用者(医師、看護師等)は、把持部材62を一方の手で把持する。そして、当該一方の手の人差し指で押圧部材59の先端部を押圧しつつ、カテーテル組立体10Bの先端部(内針16が挿通されたカテーテル12の先端部)を患者に押し当てるようにして、穿刺目標の血管に向かって皮膚に穿刺する。
【0078】
この場合、押圧部材59でカテーテル12の基端と先端との間の途中部位を下方に押し付けることにより、この途中部位が押圧部材59と把持部材62との間に挟まれて支持されるため、内針16及びカテーテル12の撓みを抑制することができる。従って、内針16及びカテーテル12が比較的長い場合でも、容易に穿刺操作を行うことができる。
【0079】
次に、内針16及びカテーテル12の先端部が皮膚に穿刺された状態で、把持部材62の位置を保持しつつ、一方の手の人差し指でワイヤ操作部材60の先端部上面に触れて、ワイヤ操作部材60を先端方向に僅かに進める。これにより、内針16の先端からガイドワイヤ20を数mm程度突出させる。次に、ワイヤ操作部材60を他方の手で先端方向に移動させることにより、ガイドワイヤ20を最大まで先端方向に移動させる(
図13参照)。ガイドワイヤ20の先端方向への移動に伴って、ガイドワイヤ20は、血管内に挿入される。
【0080】
この場合、本実施形態では、ガイドワイヤ20の基端側の部分はワイヤ収納部64に収納されるため、ガイドワイヤ20を前進させる際のガイドワイヤ20の撓みが防止される。すなわち、内針16の基端よりも基端側のガイドワイヤ20のうち、ワイヤ収納部64によって支持されていない部分は、内針16の基端からワイヤ収納部64までの短い部分だけである。また、ガイドワイヤ20は、可撓性を有するものの、曲げ変形に対してある程度の剛性を有する。このため、操作ワイヤ66を介してガイドワイヤ20の基端部20bから先端方向への力が作用した際において、ガイドワイヤ20自体の剛性によって、ガイドワイヤ20のうち内針16の基端とワイヤ収納部64との間の部分の撓みが抑制される。
【0081】
また、本実施形態では、ワイヤ収納部64が患者の一部に当たった場合でも、可撓性を有するワイヤ収納部64が曲がって患者との干渉を回避できるため、ワイヤ収納部64が邪魔になることがない。すなわち、カテーテル組立体10Bは、ガイドワイヤ20を備えることによって、ガイドワイヤ20を備えない構成と比較して全長が長くなりやすい。しかしながら、ワイヤ収納部64と、その内部に収容されるガイドワイヤ20及び操作ワイヤ66は、いずれも可撓性を有し、外力を受けた際に容易に変形可能であるため、カテーテル組立体10Bの使用時に邪魔になることがない。
【0082】
ガイドワイヤ20の先端を血管内の目標位置まで挿入したら、次に、
図14に示すように、他方の手でワイヤ操作部材60を、押圧部材59上から横方向にずれた位置に移動させる。本実施形態の場合、ワイヤ操作部材60とガイドワイヤ20とは、可撓性を有する操作ワイヤ66で連結されており、且つ、ワイヤ操作部材60は、把持部材62から分離可能である。従って、ワイヤ操作部材60を押圧部材59上から外れた位置に容易に移動させることが可能である。これにより、その後の押圧部材59に対する操作を容易に行うことができる。
【0083】
次に、押圧部材59を一方の手の人差し指で先端方向に数mm程度進め、これによりカテーテル12を数mm程度進める。次に、
図15に示すように、押圧部材59を他方の手で先端方向に移動させる。これによりカテーテル12の先端を血管内の目標位置まで挿入する。このとき、カテーテル12は、先行して血管内に挿入されたガイドワイヤ20を辿って、すなわちガイドワイヤ20に追従して血管内を前進する。従って、カテーテル12の先端を血管内の目標位置まで容易に導くことができる。
【0084】
次に、押圧部材59を他方の手で押さえつつ、一方の手で把持部材62を把持し、当該把持部材62を基端方向に引っ張る。これにより、
図16に示すように、内針16がカテーテル12から抜去される。内針16をカテーテル12から抜去した後、必要に応じて押圧部材59をカテーテルハブ14から取り外してもよい。この場合、先ず、
図17に示すように、押圧部材59を、第2の位置に移動させる(本実施形態ではカテーテルハブ14に対して略垂直姿勢となるように起立させる)。次に、
図18に示すように、押圧部材59を上方に引っ張ることにより、押圧部材59をカテーテルハブ14から分離させる。なお、内針16をカテーテル12から抜去した後において、押圧部材59をカテーテルハブ14に取り付けたままにしてもよい。
【0085】
次に、内針16が抜き取られた状態のカテーテル部材15の基端側に、図示しない輸液チューブのコネクタを接続し、輸液チューブから患者への輸液剤(薬液)の投与を実施する。
【0086】
以上説明したように、内針16及びカテーテル12の各先端部を皮膚に穿刺する際、押圧部材59でカテーテル12の基端と先端との間の部位を下方に押し付けることにより、内針16及びカテーテル12の撓みを抑制することができる。従って、内針16及びカテーテル12が比較的長い場合でも、容易に穿刺操作を行うことができる。
【0087】
また、穿刺操作後、カテーテル12の血管内への挿入に先行して、ガイドワイヤ20を血管内に挿入することで、ガイドワイヤ20に沿ってカテーテル12を先端方向に移動させることができる。これにより、蛇行や分岐がある血管でも、カテーテル12の先端をガイドワイヤ20に沿って目的部位まで容易に導くことができる。
【0088】
さらに、ガイドワイヤ20の基端側の部分はワイヤ収納部64に収納されるため、ガイドワイヤ20を前進させる際において、内針16よりも基端側のガイドワイヤ20の撓みが抑制される。
【0089】
しかも、ワイヤ収納部64が患者の一部に当たった場合でも、可撓性を有するワイヤ収納部64が曲がって患者との干渉を回避できるため、ワイヤ収納部64が邪魔になることがない。
【0090】
また、本実施形態の場合、上述したように、ワイヤ操作部材60は、初期位置から先端方向に移動した状態で、押圧部材59上から横方向にずれた位置に移動可能である(
図14参照)。この構成によれば、ガイドワイヤ20を血管内に挿入するためにワイヤ操作部材60を先端方向に移動させた後、ワイヤ操作部材60を押圧部材59から離すことで、押圧部材59を容易に操作する際にワイヤ操作部材60が邪魔にならない。
【0091】
なお、第2実施形態において、第1実施形態と共通する各構成部分については、第1実施形態における当該共通の各構成部分がもたらす作用及び効果と同一又は同様の作用及び効果が得られることは勿論である。
【0092】
上記において、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改変が可能なことは言うまでもない。