【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明による貯蔵及び用量分割ステーションは、固形薬品ポーションを包装するための装置のフレームに設置できる固定部分を備える。この固定部分は、吐出デバイスの第1の部分(構成要素)を備え、吐出デバイスの上記第1の部分は、コントローラと、分離された複数の固形薬品ポーションを吐出するための個別化機構を駆動するための駆動装置とを備える。
【0015】
この目的のために、用語「第1の部分(first part)」は、この吐出デバイスが、所定の数又はサイズの分離された複数の固形薬品ポーションを吐出するよう協働する複数の構成要素又はモジュールを有してよく、これら構成要素又はモジュールの第1の群又は第1の部分は、上記固定部分に含まれることを意図して記載される。
【0016】
この固定部分に対して、着脱可能部分が着脱可能に連結される。この着脱可能部分は、複数の固形薬品ポーションを受承するための貯蔵コンテナ、吐出デバイスの第2の部分、及び情報メモリ手段(例えばメモリモジュール)を備える。
【0017】
用語「吐出デバイスの部分(part of the dispensing device)」は、吐出デバイスを形成する手段の下位群が、上記着脱可能な部分に含まれる(吐出デバイスを形成する手段の別の下位群が、固定部分に含まれる)ことを意味する。着脱可能部分及び固定部分は、コンテナを固定部分に確実に設置するための、対応する取り外し可能な接続手段を有する。
【0018】
吐出デバイスの第2の部分は、固形薬品ポーションを送り出すための貯蔵コンテナの出口を備える。この出口は開閉可能な開口若しくはシュートであってよく、又は例えば分離用ホイール等の分離用部材を含んでよい。
【0019】
固定部分は、コントローラに連結された情報読み取り手段を更に備え、この情報読み取り手段は、着脱可能部分が固定部分に連結されている場合に、着脱可能部分上の情報メモリ手段に記憶された情報を読み取ることができる。
【0020】
本発明によると、1用量の固形薬品ポーションを貯蔵及び吐出するための貯蔵及び用量分割ステーションが開示され、上記ステーションでは、情報メモリ手段は、吐出デバイスの構成要素の動作を制御するためにコントローラが使用するデータを記憶している。
【0021】
本発明によると、着脱可能部分に(例えば貯蔵コンテナに)不揮発性メモリが取り付けられる。これに対応する読み取り手段を固定部分に設置することにより、コンテナを備える着脱可能部分を固定部分に取り付けた場合に、読み取り手段が不揮発性メモリのコンテンツを読み取ることができる。この目的のために、固定部分及び着脱可能部分上のメモリは、固定部分側の対応する接点と係合する接点を備えてよい。更に、無線読み出し(RFID若しくはNFC技術等)又はその他のトランスポンダ技術を使用できる。
【0022】
固定部分上の読み取り手段は、固定部分の制御装置に連結される。
【0023】
本発明によると、着脱可能部分を固定部分から連結解除し、特定の種類の薬剤で充填すると、薬剤に関する情報が、コンテナに取り付けられたメモリに記憶される。これは、例えばコンテナのメモリに連結できる適切な書き込み手段を有するドッキングステーションといった、書き込みデバイスを用いて行われる。本発明によると、コンテナ内に充填された薬剤の種類及び各制御情報はメモリに記憶される。更に、コンテナに充填された薬剤ポーション(例えば錠剤)の数を記憶してよい。更に、薬剤の形状(幾何学的形状)及び更なる特徴(光学特性等)が記憶される。
【0024】
この目的のために、ドッキングステーション又は書き込み手段を、薬剤の種類に関する上記の情報全てを記憶したデータベースに連結できる。バーコードスキャナをドッキングステーションに連結でき、これにより、コンテナに充填されることになる薬剤を含む包装上のバーコードをスキャンでき、データベースからの対応する情報をコンテナのメモリに記憶する。コンテナに装填された薬剤の情報は、メモリ内においてコンテナ自体に結び付けられるため、全体の安全性が上昇する。コンテナを固定部分から取り外して別の固定部分に取り付けた場合でさえ、この新規の固定部分は、装填された薬剤に関する必要な情報を即座に受信できる。この目的のために、固定部分は、この固定部分に新規に連結された各コンテナのメモリを読み取る。
【0025】
一方、コンテナを固定部分から連結解除する場合でさえ、コンテナに含まれる薬剤に関する情報は容易に入手可能である。部分的に充填されたコンテナをリーダ又はドッキングステーションに連結すると、コンテナに含まれる薬剤に関する情報により、同一の種類の薬剤でこのコンテナを容易に再充填できる。
【0026】
従って本発明によると、薬剤に関する情報が、固定部分及び着脱可能部分からなる組立体全体においてのみならず、着脱可能部分自体に取り付けられた不揮発性メモリに記憶されることが重要である。読み取り可能な情報を有するコンテナが固定部分に連結される場合、固定部分は、吐出された薬剤に関する確実な情報のみを有する。従って本発明は、再充填又は清掃のためにコンテナを固定部分から着脱可能である構成に基づくものである。
【0027】
本発明によると、情報メモリ手段に記憶された薬剤に関する情報は、着脱可能部分に記憶されている薬剤を識別するためのみに使用されるのではない。固定部分はこの情報を、吐出プロセス自体が正しく機能することを保証するためにも使用する。コントローラは上記記憶された情報を読み取り、これに基づいて吐出プロセス全体を制御する。更に、この情報に基づいて吐出プロセスを監視でき、これにより故障の検出が可能となる。
【0028】
吐出デバイスの制御には、着脱可能部分又はコンテナが含む薬剤の種類に基づく、様々な制御信号、パラメータセット又は制御命令が必要である。従来技術によると、吐出デバイスを、取り外し可能部分に充填される薬剤又は薬品に注意深く適合させる必要があった。例えば各固定部分は、特定の着脱可能部分に接続できるよう適合されていた。駆動装置及びその制御装置を、薬剤ポーションに着脱可能部分の出口を通過させるよう確実に適合させなければならなかった。あるいは、着脱可能部分を、例えば駆動装置と個別化手段との間にギヤを設けることにより、所定の固定部分との組み合わせとして機能するよう適合させなければならなかった。
【0029】
本発明によると、用量分割ステーションの固定部分は、含まれる薬剤の情報を読み取り、これに従って、固定部分及び/又は着脱可能部分の制御可能手段の制御を適合させる。換言すると、記憶された情報は、用量分割ステーションの動作様式に対して影響を及ぼす。用量分割ステーションは、貯蔵された薬剤の排出を制御するための正確な方法に関する情報を有しているため、排出プロセスはより確実で、かつより良好に制御できるものとなる。
【0030】
本発明によると、用量分割ステーションは、貯蔵コンテナの下側に配置された排出機構を有し、これにより、コンテナに貯蔵された薬剤は下方向に落下又は摺動でき、そしてこの薬剤を排出できる。個別化機構の一部としての分配用部材は、薬品ポーションを分割し、これらを着脱可能部分の出口を通して案内するか又は移動させる。ここから、上記ポーションは用量分割ステーションの固定部分を通して排出される。
【0031】
本発明のある態様によると、貯蔵及び用量分割ステーションにおいて、情報メモリ手段は、個別化機構を駆動するための駆動装置の動作を決定するデータを記憶している。用量分割ステーションは、個別化機構を変位させるか又は駆動するための、例えば電気モータ、特にサーボモータ又はステッパモータである駆動装置を備える。ステッパモータは、生成する回転数及びこれに伴う個別化機構の変位を極めて正確に調節できるため、本発明に特に適している。メモリ手段に記憶された情報に基づいて、駆動装置を制御できる。特に上記情報は、例えば一定時間あたりに実行されるべきステップの特定の数を指示することによる、又は印加するべき電圧若しくは電力を与えることによる、速度制御のためのパラメータを含むことができる。更に、記憶された情報を用いて、個別化機構を正確に予備充電できる。これは薬剤ポーションの排出後、記憶された情報に基づいて、次の排出が起ころうとしている位置まで個別化機構を駆動することを意味する。貯蔵されている薬剤に関する正確な情報を用いて駆動装置を制御するため、薬品ポーションに対する次の要求が発生した場合に極めて迅速に排出プロセスを実施できる。このアプローチは、駆動装置の制御がメモリに記憶された情報に基づいていることによってのみ可能となる。そうでない場合、貯蔵されている薬品に個別に適合された駆動パラメータに関する情報が利用できなければ、駆動装置は、貯蔵されている可能性のあるいずれの種類の薬品に対して適合できる位置において次の排出を待たなければならない。この目的のために、本発明は排出プロセスの速度を向上できる。
【0032】
上述のように電気デバイスを使用する場合、測定要素(センサ)を使用して、電気モータが生成する抵抗及び/又は電気モータが消費する電流を測定でき、これによって着脱可能部分と固定部分との間に錠剤が詰まっているかどうかを検出できる。ここではステーションの制御は、測定要素が検出した抵抗が予め定義された値を超えた場合に、電気モータを反転させるよう適合させることができる。このようにして、錠剤が貯蔵コンテナと固定部分との間に詰まっている場合、固定部分の変位方向を反転させることができ、これによって詰まりを解消できる。
【0033】
このように、好ましい実施形態では、個別化機構を駆動するための駆動装置は、電気モータと、この電気モータの抵抗を測定するための測定要素とを備え、コントローラは、測定要素が検出した抵抗が予め定義された値を超えた場合に、電気モータを反転させるよう適合される。
【0034】
好ましい実施形態では、貯蔵及び用量分割ステーションにおいて、個別化機構は固定部分内に設置された回転式個別化ホイールを、着脱可能部分を固定部分に連結した場合に貯蔵コンテナの出口に隣接して位置決めされるように備える。固定部分又は着脱可能部分は、受承空間を有する個別化手段を有し、ここで1つ又は複数の受承空間が上記手段に配設され、各受承空間は一般に、1つの錠剤又は丸薬を一時的に保持するよう適合される。個別化手段の軸回転を用いて、個別化手段は、固定部分の受承空間が貯蔵コンテナの出口又は送達開口と整列する装填状態と、固定部分が送達開口を覆い、分離された錠剤をコンテナに送達するよう適合する非装填状態との間で変位できる。
【0035】
代替実施形態では、個別化機構は、着脱可能部分に設置された回転式個別化ホイールを、着脱可能部分を固定部分に連結した場合に駆動装置に接続されるように備える。特に好ましい実施形態では、個別化ホイールは着脱可能部分に着脱可能に設置され、ホイール識別子を含み、また情報メモリ手段は、読み取り手段が読み取ることになるホイール識別子を読み取って記憶するためのリーダを備える。
【0036】
この構成では、分離ホイールは、固定部分にいずれの広範囲に亘る改造を施すことなく交換可能である。リーダは、着脱可能部分に設置されたホイールに関する情報を取得し、制御をホイール情報に適合させることができる。このようにして、別のホイールを設置することにより、この貯蔵コンテナと共に他の種類の薬品を使用でき、使用されるホイールに関する情報はメモリから読み取り可能であるため、制御方法は自動的に適合される。
【0037】
情報メモリ手段が、分離された固形薬品ポーションを吐出するための個別化ホイールの運動のパラメータを特徴づけるデータを記憶すると、特に有利である。好ましくは、情報メモリ手段は、分離された固形薬品ポーションを吐出するための、個別化ホイールの運動の回転速度、加速及び減速、最大トルク、回転角度並びに/又は回転位置を特徴づけるデータを記憶する。
【0038】
別の好ましい実施形態によると、固定部分は、上記吐出ステーションからの固形薬品ポーションの吐出を監視するため、のコントローラに連結されたセンサを備え、ここで情報メモリ手段は、センサの動作を制御するためにコントローラが使用するデータを記憶する。
【0039】
以上の説明によると、貯蔵及び用量分割ステーションの着脱可能部分と組み合わせられる固定部分は、貯蔵コンテナ内に存在する複数の錠剤から、1つ又は複数の単一の錠剤を分離するよう適合される。用量分割は、貯蔵コンテナから出口を通して固定部分へ、及びそこから包装のための装置の各コンテナへ、分離された錠剤を(一般には落下できるようにすることによって)選択的に除去することによって実施できる。
【0040】
例えば固定部分内のシュートを介してコンテナから吐出される薬剤は、固定部分に設置されたセンサによって検出され、このセンサの出力に基づいて計数される。この目的のために、固定部分は、用量分割ステーションが排出する錠剤形態の薬剤が落下する瞬間を検出するための少なくとも1つのセンサを備える。貯蔵コンテナの、特に貯蔵コンテナが受承する固定部分の正確な動作を、この落下の瞬間の検出に基づいて決定できるだけでなく、貯蔵コンテナが錠剤形態の薬剤の送達を既に実行しておらず、従って通常は空であるかどうかを監視することもできる。
【0041】
貯蔵コンテナを備える着脱可能部分をディスペンサ又は固定部分に設置する際、コンテナが含む薬剤に関する情報が読み出され、固定部分の制御装置はこの情報に合わせてセンサの制御を調整する。この目的のために、吐出(放出)の計数のための光学センサを、記憶されている情報に従って較正してよい。
【0042】
好ましい実施形態では、センサは光学センサであり、情報メモリ手段は、貯蔵コンテナが含む固形薬品ポーションの光学特性を特徴づけるデータを記憶しており、コントローラは上記光学特性に応じて上記光学センサを制御する。
【0043】
上記光学特性は、制御パラメータの形態又はパラメータの形態で記憶してよく、上記制御装置はこれらからパラメータを算出する。
【0044】
特に、上記光学特性は、固形薬品ポーションの表面の色、光沢度及び/又は反射率に関する情報を含む。
【0045】
従って、光沢のある表面を有する薬剤は、光沢のない表面を有する薬剤とは異なる較正を必要とする。更に、半透明の液体充填型カプセルは、単回用量分の放出を確実に検出するために、異なる較正を必要とする場合がある。記憶された情報によると錠剤が光沢のある表面を有する場合、上記検出は、反射を補償するよう、又は多数の反射による誤認識を抑制するよう適合される。
【0046】
環境光補償又は背景光補償のために上記光学センサを制御することが更に好ましい。
【0047】
好ましい実施形態では、情報メモリ手段は、貯蔵コンテナ内の固形薬品ポーションの数、種類、使用期限及び/又はバッチ数に関する情報を更に記憶する。
【0048】
本発明の別の態様によると、上述の実施形態のいずれによる貯蔵及び用量分割ステーションの貯蔵コンテナを充填するための方法が開示される。充填するべき貯蔵コンテナを有する貯蔵及び用量分割ステーションの着脱可能部分は、ドッキングステーションに取り付けられ、このドッキングステーションは、着脱可能部分の情報メモリ手段に対する読み取り及び書き込みのための読み取り及び書き込み手段を備える。
【0049】
固形薬品ポーションの1回の装填分が貯蔵コンテナに充填され、データが情報メモリ手段に書き込まれ、このデータは、貯蔵コンテナに充填された固形薬品ポーションの種類を特徴づけるものであり、また吐出デバイスの構成部品の動作を制御するために使用されるデータを含む。
【0050】
本発明の更なる態様によると、単一の固形薬品ポーションの重量を示すデータがドッキングステーションに供給され、貯蔵及び用量分割ステーションの、取り付けられた着脱可能部分の重量は、ドッキングステーションの計量手段によって監視され、貯蔵コンテナに充填された固形薬品ポーションの数が、取り付けられた着脱可能部分の、測定された重量の差に基づいて算出される。
【0051】
本発明の別の態様によると、充填方法において使用するためのドッキングステーションが開示される。このドッキングステーションは、充填するべき貯蔵コンテナを有する貯蔵及び用量分割ステーションの着脱可能部分を受承するための受承手段と、貯蔵及び用量分割ステーションの着脱可能部分が受承手段に取り付けられた場合に情報メモリ手段に連結される読み取り及び書き込み手段とを有する。
【0052】
本発明による、薬剤供給装置を使用するシステムでは、1用量の固形薬剤を吐出するための複数の用量分割ステーションを使用する。コンテナは、用量分割ステーションからの薬剤をコンテナへ吐出又は用量分割できるように、用量分割ステーションの側を通過するよう、移動可能な様式で配設される。1用量の薬剤は、下側にある収集コンテナに降下する。各収集コンテナは、一般に1人のユーザに関連付けられた1つの処方分を収集するよう適合される。処方はここでは、錠剤又は丸薬で形成された、予め定義された量及び種類の固形薬剤からなる。異なる複数の種類の固形薬剤の供給は、異なる複数の用量分割ステーションが担当する。
【0053】
用量分割ステーションは一般に、略固定した形態を取る。複数の用量分割ステーションを互いに隣接するよう位置決めすると、複数の収集コンテナを同時に充填できるため有利である。また、用量分割ステーションを互いに上下に重ねて位置決めすると、複数の種類の薬剤を同一の収集コンテナに同時に吐出でき、これによってもシステムの性能を改善できるため、有利である。少なくとも多数の用量分割ステーションを、複数の水平な行に配設された用量分割ステーション及び複数の垂直な列に配設された用量分割ステーションを有するマトリクス構造に配設すると、特に有利である。用量分割ステーションを互いに可能な限り近接するよう位置決めし、好ましくは互いに対して接続すると、容積を節約できるだけでなく、収集コンテナの充填にかかる時間について利益が得られ、これによって本発明によるシステムの性能を更に向上できるため、有利である。更に、用量分割ステーションの複数のマトリクス構造を適用して性能を更に向上することも考えられる。
【0054】
特定の実施形態では、システムは2つのマトリクス構造を備え、各マトリクス構造は行及び列に配設された複数の用量分割ステーションを備え、異なるマトリクス構造の用量分割ステーションの吐出側は互いに向かい合っている。
【0055】
以下の図面に示す非限定的な例示的実施形態に基づいて、本発明を説明する。