特許第6263546号(P6263546)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6263546
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】椎弓形成術システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/17 20060101AFI20180104BHJP
   A61B 17/70 20060101ALI20180104BHJP
   A61B 17/80 20060101ALI20180104BHJP
   A61B 17/88 20060101ALI20180104BHJP
【FI】
   A61B17/17
   A61B17/70
   A61B17/80
   A61B17/88
【請求項の数】24
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-543053(P2015-543053)
(86)(22)【出願日】2013年10月17日
(65)【公表番号】特表2015-535441(P2015-535441A)
(43)【公表日】2015年12月14日
(86)【国際出願番号】US2013065512
(87)【国際公開番号】WO2014078008
(87)【国際公開日】20140522
【審査請求日】2016年9月7日
(31)【優先権主張番号】13/655,432
(32)【優先日】2012年11月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511296767
【氏名又は名称】ロビンソン, ジェームズ シー.
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ロビンソン, ジェームズ シー.
【審査官】 近藤 利充
(56)【参考文献】
【文献】 特表2015−533304(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/144636(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0034781(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0034777(US,A1)
【文献】 米国特許第05928139(US,A)
【文献】 特開平11−113940(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 13/00 − 18/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
椎弓形成術システムであって、前記椎弓形成術システムは、
所望の頸椎の分離椎弓板部分を修整位置に固着するための椎弓形成術プレートと、
椎弓板設定ツールであって、前記椎弓板設定ツールは、内部チャネルと略円周側壁とを画定する略密封導管を備え、前記略円周側壁は、近位端および遠位端を有する第1の側壁部と、近位端および遠位端を有する反対の第2の側壁部とを有し、前記第1の側壁部は、前記第2の側壁部に対して縦方向に摺動するように構成され、前記第1の側壁部は、前記第1の側壁部の遠位端および前記第2の側壁部の遠位端が略同延である第1の位置から、前記第1の側壁部の遠位端が前記第2の側壁部の遠位端に対して持ち上げられる第2の位置まで選択的に移動可能であり、それによって、前記第1の側壁部が持ち上げられるとき、前記第1の側壁部は、前記第1の側壁部とともに前記分離椎弓板部分を持ち上げる、椎弓形成術ツールと
を備える、椎弓形成術システム。
【請求項2】
前記第1の側壁部の遠位端は、椎弓板部分に取着するように構成され、前記第2の側壁部の遠位端は、外側塊部分に当接するように構成される、請求項1に記載の椎弓形成術システム。
【請求項3】
記外側塊部分から前記椎弓板部分を分離する矢状分割を行うための手段をさらに備える、請求項2に記載の椎弓形成術システム。
【請求項4】
前記矢状分割を行うための手段は、ツールを含み、前記導管は、ポータルとして使用されるように構成され、前記ツールは、前記ポータルを通して前記矢状分割を行うために使用され得る、請求項3に記載の椎弓形成術システム。
【請求項5】
前記外側塊部分が前記椎弓板部分から分離されるとき、前記第1の側壁部の遠位端を持ち上げることは、前記椎弓板部分を前記修整位置に持ち上げる、請求項3に記載の椎弓形成術システム。
【請求項6】
前記第1の側壁部は、前記第1の側壁部の遠位端を前記椎弓板部分に実質的に添着するためのアンカを備える、請求項2に記載の椎弓形成術システム。
【請求項7】
前記椎弓板設定ツールの近位端は、円周方向に一体であり、かつ前記第1の側壁部の近位端と一体である、請求項1に記載の椎弓形成術システム。
【請求項8】
前記第2の側壁部の近位端は、前記第1の位置における前記第1の側壁部の近位端の一部に略隣接する、請求項7に記載の椎弓形成術システム。
【請求項9】
前記椎弓板設定ツールの近位端は、前記第2の側壁部の少なくとも一部と実質的に交差する縦軸を伴う内部ねじ山付き開口を備える、請求項8に記載の椎弓形成術システム。
【請求項10】
前記第1の側壁部の近位端における前記開口の内部ねじ山に噛合的に相補する外部ねじ山を有する外部ねじ山付き伸長シャフトをさらに備え、前記外部ねじ山付き伸長シャフトの遠位部分は、前記第2の側壁部の一部に搭載され、それによって、前記外部ねじ山付き伸長シャフトの遠位部分は、自由に回転することを可能にされ、動作時、前記外部ねじ山付き伸長シャフトの回転が、制御様式において、前記第2の側壁部に対して前記第1の側壁部を前記修整位置に持ち上げる、請求項9に記載の椎弓形成術システム。
【請求項11】
前記第1の側壁部または前記第2の側壁部のうちの一方は、少なくとも1つの縦スロットを備え、前記第1の側壁部または前記第2の側壁部のうちの他方は、相補的縦隆起を備え、前記相補的縦隆起は、それぞれの縦スロット内に篏合し、かつそれぞれの縦スロットに対して摺動し、前記縦隆起は、前記第1の側壁部が規定の距離だけ前記第2の側壁部に対して摺動すると、前記隆起が停止部として作用するように、前記それぞれのスロットよりも縦方向に短い、請求項1に記載の椎弓形成術システム。
【請求項12】
前記第1の側壁部の遠位端および前記第2の側壁部の遠位端は、前記椎弓板部分および前記外側塊部分の略近傍の領域に実質的に一致するように成形される、請求項2に記載の椎弓形成術システム。
【請求項13】
前記第1の側壁部の遠位端は、前記椎弓板部分と実質的に噛合するように角度付けられる、請求項12に記載の椎弓形成術システム。
【請求項14】
所望の頸椎の分離椎弓板部分を修整位置に固着するための椎弓形成術プレートと併用するための椎弓板設定ツールであって、
前記椎弓板設定ツールは、内部チャネルと略円周側壁とを画定する略密封導管を備え、前記略円周側壁は、近位端および遠位端を有する第1の側壁部と、近位端および遠位端を有する反対の第2の側壁部とを有し、前記第1の側壁部は、前記第2の側壁部に対して縦方向に摺動するように構成され、
前記第1の側壁部は、前記第1の側壁部の遠位端および前記第2の側壁部の遠位端が略同延である第1の位置から、前記第1の側壁部の遠位端が前記第2の側壁部の遠位端に対して持ち上げられる第2の位置まで選択的に移動可能であり、それによって、前記第1の側壁部が持ち上げられるとき、前記第1の側壁部は、前記第1の側壁部とともに前記分離椎弓板部分を持ち上げる、椎弓板設定ツール。
【請求項15】
前記第1の側壁部の遠位端は、椎弓板部分に取着するように構成され、前記第2の側壁部の遠位端は、外側塊部分に当接するように構成される、請求項14に記載の椎弓板設定ツール。
【請求項16】
記外側塊部分から前記椎弓板部分を分離する矢状分割を行うための手段をさらに備え、前記矢状分割を行うための手段は、ツールを含み、前記導管は、ポータルとして使用されるように構成され、前記ツールは、前記ポータルを通して前記矢状分割を行うために使用され得る、請求項15に記載の椎弓板設定ツール。
【請求項17】
前記外側塊部分が前記椎弓板部分から分離されるとき、前記第1の側壁部の遠位端を持ち上げることは、前記椎弓板部分を前記修整位置に持ち上げる、請求項16に記載の椎弓板設定ツール。
【請求項18】
前記第1の側壁部は、前記第1の側壁部の遠位端を前記椎弓板部分に実質的に添着するためのアンカを備える、請求項16に記載の椎弓板設定ツール。
【請求項19】
前記椎弓板設定ツールの近位端は、円周方向に一体であり、かつ前記第1の側壁部の近位端と一体であり、前記第2の側壁部の近位端は、前記第1の位置における前記第1の側壁部の近位端の一部に略隣接する、請求項15に記載の椎弓板設定ツール。
【請求項20】
前記椎弓板設定ツールの近位端は、前記第2の側壁部の少なくとも一部と実質的に交差する縦軸を伴う内部ねじ山付き開口を備える、請求項19に記載の椎弓板設定ツール。
【請求項21】
前記第1の側壁部の近位端における前記開口の内部ねじ山に噛合的に相補する外部ねじ山を有する外部ねじ山付き伸長シャフトをさらに備え、前記外部ねじ山付き伸長シャフトの遠位部分は、前記第2の側壁部の一部に搭載され、それによって、前記外部ねじ山付き伸長シャフトの遠位部分は、自由に回転することを可能にされ、動作時、前記外部ねじ山付き伸長シャフトの回転が、制御様式において、前記第2の側壁部に対して前記第1の側壁部を前記修整位置に持ち上げる、請求項20に記載の椎弓板設定ツール。
【請求項22】
前記第1の側壁部または前記第2の側壁部のうちの一方は、少なくとも1つの縦スロットを備え、前記第1の側壁部または前記第2の側壁部のうちの他方は、相補的縦隆起を備え、前記相補的縦隆起は、それぞれの縦スロット内に篏合し、かつそれぞれの縦スロットに対して摺動し、前記縦隆起は、前記第1の側壁部が規定の距離だけ前記第2の側壁部に対して摺動すると、前記隆起が停止部として作用するように、前記それぞれのスロットよりも縦方向に短い、請求項15に記載の椎弓板設定ツール。
【請求項23】
前記第1の側壁部の遠位端および前記第2の側壁部の遠位端は、前記椎弓板部分および前記外側塊部分の略近傍の領域に実質的に一致するように成形される、請求項15に記載の椎弓板設定ツール。
【請求項24】
前記第1の側壁部の遠位端は、前記椎弓板部分と実質的に噛合するように角度付けられる、請求項23に記載の椎弓板設定ツール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、とりわけ、脊椎内の頸管狭窄を治療するための椎弓形成術を行う際における使用のための外科手技に関する。より具体的には、本発明は、所望の頸椎の分離椎弓板部分を修整位置に固着することによって、脊柱管の面積を増加させるための方法に関連する。
【背景技術】
【0002】
脊椎管狭窄症は、それを通して、脊髄および神経根が走る、脊柱管の狭窄を伴う脊椎の病状である。この狭窄は、先天的であり得、その結果、任意の年齢で、患者に影響を及ぼす可能性がある。脊椎管狭窄症は、脊椎靱帯の肥厚および石灰化から生じ得る。例えば、石灰化は、脊椎内部におけるカルシウム塩の堆積から、生じる可能性がある。加えて、脊椎管狭窄症は、骨および関節が拡大されるとき、生じる可能性があり、骨棘形成(骨増殖体)をもたらす。骨棘の重大な原因は、脊椎円板が水分を失い、かつ低密度になる、脊椎症である。また、膨隆または椎間板ヘルニアは、脊柱管の面積が減少されるほど脊髄または神経根に圧力をかけ得る。最後に、罹患骨または腫瘍は、脊髄面積の内部へ延在し、脊柱管内部における神経根に利用可能な空間を減少させる可能性がある。
【0003】
脊椎管狭窄症から生じる脊髄の圧迫は、患者に痛み、衰弱、または感覚の喪失を生じさせる可能性がある。加えて、脊髄圧迫は、神経障害を引き起こし、脊髄異常を生じさせる脊髄症をもたらす可能性がある。治療せずに放置される場合、その圧迫は、結果的に、脊髄内部の循環システムを損傷し、深刻な脊髄症をもたらす可能性がある。
【0004】
2つの外科手術方法が、従来、脊椎への後方アプローチから脊髄を減圧するために使用される。まず、椎弓切除術は、脊髄を覆う硬膜を暴露するために、椎弓板および棘突起の除去を伴う。脊柱を整合するために使用される椎骨の後方における支持構造部分の除去に起因して、椎弓切除術は、患者の体位の変形を引き起こす可能性がある。加えて、手技が患者の実質的瘢痕形成をもたらし得る危険性がある。これらの懸念に対処するために、移植片が、融合を助長するために伴われる椎骨との間に介装され得る。しかしながら、これは、脊椎内の可動域に減少をもたらし得、また、修復された椎骨の上方および下方の椎骨の変性が加速され得る。
【0005】
脊髄を減圧するために従来使用される第2の方法は、椎弓形成術である。椎弓形成術手技において、標的椎骨は、切断され、椎弓板は、椎弓板が硬膜および脊柱管から離昇され、したがって拡大されるように、再位置付けされる。次いで、プレートおよび/または移植片が、脊柱管を恒久的に拡大するために挿入される。概して、椎弓形成術を行うために使用される2つの技術がある。まず、片側または「開口ドア」式椎弓形成術は、標的椎骨の正中線の第1の側の椎弓板の第1の部分を通して全体的に切断を伴う一方、正中線の第2の側の椎弓板の第2の部分は、ヒンジを作り出すために、それを通して部分的にのみ切断される。次いで、第1の椎弓板部分は、脊柱管のサイズを増加させるために、脊髄から離れるようにヒンジで蝶着される。最終的に、移植片および/またはプレートが、脊柱管を恒久的に拡大するために、開口部の内部へ挿入される。次に、両側または「フレンチドア」式椎弓形成術は、棘突起の正中線を通して、全体的に切断を伴い、次いで、椎弓板部分の両側を通して部分的に切断し、2つのヒンジを作り出すことを伴う。次いで、椎骨は、両断棘突起において開放されることができ、移植片またはプレートが、脊柱管を恒久的に拡大するために開口部の内部へ挿入されることができる。
【0006】
椎弓切除術とは異なり、椎弓形成術は、任意の骨材料の切除を伴わない。加えて、椎弓切除術と比較したとき、椎弓形成術は、より高い安定性を提供し得る。患者のためのより広い可動域が、融合と比較して維持される。椎弓形成術手技における椎弓板融合および固定技術の使用を通して、変位椎弓板の達成減圧および位置が、より効果的に維持されることができる。
【0007】
椎弓形成術手技において達成されている進歩にもかかわらず、依然として、特に、頸椎上で行われるとき、手技の有効性かつその手技が完了される容易性において、いくつかの制限がある。例えば、本発明の技術は、外科医に、筋肉の剥離と骨への靱帯付着とを含む、脊椎に到達するための大きな切開を開けることを要求し、これは、著しい筋肉および組織損傷をもたらす可能性がある。加えて、頸椎外科手術において、より小型のサイズの標的椎骨は、手術をより複雑にする。例えば、外科医は、手術場所の範囲内で正確な調節を行うこと、または椎弓板が適切な距離に変位されているかどうかを把握することが難しいことを理解し得る。さらに、一部の患者において、現在の技術によって達成されることができる面積における増加が、脊髄圧迫から完全な修整を提供するには不十分である。最終的に、「開口ドア」式椎弓形成術の一様でない性質のために、患者は、手技後、その脊椎内でわずかな不均衡を有し、脊柱管直径における増加は、非対称である。
【0008】
同様に、現在使用される椎弓形成術プレートもまた、制限を有する。例えば、多くの現在の椎弓形成術プレートは、小さな切開の内部へ挿入するため、または頸椎に対して効果的な取着のためには、サイズが大きすぎる。加えて、現在のプレートは、多くの場合、適切な位置に椎弓板を恒久的に配向するために要求される安定性が欠如する。また、既存の椎弓形成術プレートの設計は、多くの場合、椎骨および椎弓板にプレートを取着するプロセスを非常に困難なものにさせる。最後に、多くの既存の椎弓形成術プレートは、骨融合材料の連結使用を可能にするように適切に構築されていない。既存のプレートはまた、より低侵襲的な外科手術手技との併用のために扱いにくい。
【0009】
したがって、関連技術分野において、上記で議論されるその制限を含むが、それに限定されない、公知のプレートと関連付けられるその制限に対処するために、椎弓形成術プレートを提供することは依然として望ましいままである。加えて、関連技術分野において、上記で議論されるその制限を含むが、それに限定されない、公知の方法およびシステムと関連付けられる制限に対処するため、該椎弓形成術プレートを使用するための方法およびシステムを提供することが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本明細書に提示されるのは、所望の頸椎の分離椎弓板部分を修整位置に固着するための椎弓形成術プレートと、椎弓形成術を行うためにそれを使用する方法である。一側面では、椎弓形成術プレートは、第1の平面内で画定される底表面を有する近位端部分と、第2の平面内で画定される底表面を有する遠位端部分とを備える。
【0011】
一側面では、椎弓板設定ツールは、所望の頸椎の椎弓板部分を修整位置に位置付けるために提示される。一側面では、ツールは備える。
【0012】
別の側面では、椎弓板部分は、所望の頸椎の脊柱管が手術前の断面積より大きい修整断面積を有する修整位置まで制御可能に上昇され、椎弓板部分が、続いて、上昇位置に固着される。
【0013】
さらなる側面では、椎弓板設定ツールは、椎弓板部分を修整位置に制御可能に持ち上げ、かつ固着するステップを補助するために提供されることができる。この側面では、ガイドは、椎弓形成術プレートの搭載可能部分に着脱可能に搭載するように構成される。
【0014】
動作の関連方法もまた、提供される。椎弓形成術プレートの他の装置、方法、システム、特徴、および利点ならびにその使用方法は、以下の図および詳細な説明の検証によって、当業者に明白である、または明白となるであろう。全てのそのような付加的装置、方法、システム、特徴、および利点は、この説明の範囲内に含まれ、椎弓形成術プレートおよびその使用方法の範囲内であって、付随の特許請求の範囲によって保護されることが意図される。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
椎弓形成術システムであって、
所望の頸椎の分離椎弓板部分を修整位置に固着するための椎弓形成術プレートと、
椎弓板設定ツールであって、
前記椎弓板設定ツールは、内部チャネルと、略円周側壁とを画定する、略密封導管を備え、前記略円周側壁は、近位端および遠位端を有する第1の側壁部と、近位端および遠位端を有する反対の第2の側壁部とを有し、
前記第1の側壁部は、前記第2の側壁部に対して縦方向に摺動するように構成され、
前記第1の側壁部は、前記第1の側壁部および前記第2の側壁部の遠位端が略同延である、第1の位置から、前記第1の側壁部の遠位端が前記第2の側壁部の遠位端に対して持ち上げられる、第2の位置まで選択的に移動可能であり、それによって、前記第1の側壁部が持ち上げられるとき、それとともに前記分離椎弓板部分を持ち上げる、ツールと
を備える、システム。
(項目2)
前記第1の側壁部の遠位端は、椎弓板部分に取着するように構成され、前記第2の側壁部の遠位端は、外側塊部分に当接するように構成される、項目1に記載の椎弓形成術システム。
(項目3)
矢状分割を行い、前記外側塊部分から前記椎弓板部分を分離するための手段をさらに備える、項目2に記載の椎弓形成術システム。
(項目4)
前記導管は、それを通してツールが前記矢状分割を行うために使用され得る、ポータルとして使用されるように構成される、項目3に記載の椎弓形成術システム。
(項目5)
前記外側塊部分が、前記椎弓板部分から分離されるとき、前記第1の側壁部の遠位端を持ち上げることが、前記椎弓板部分を前記修整位置に持ち上げる、項目3に記載の椎弓形成術システム。
(項目6)
前記第1の側壁部は、前記第1の側壁部の遠位端を前記椎弓板部分に実質的に添着するためのアンカを備える、項目2に記載の椎弓形成術システム。
(項目7)
前記椎弓板設定ツールの近位端は、前記第1の側壁部の近位端と円周方向に一体である、項目1に記載の椎弓形成術システム。
(項目8)
前記第2の側壁部の近位端は、前記第1の位置における前記第1の側壁部の近位端の一部に略隣接する、項目7に記載の椎弓形成術システム。
(項目9)
前記椎弓板設定ツールの近位端は、前記第2の側壁部の少なくとも一部と実質的に交差する縦軸を伴う内部ねじ山付き開口を備える、項目8に記載の椎弓形成術システム。
(項目10)
前記第1の側壁部の近位端における前記開口の内部ねじ山に噛合的に相補する外部ねじ山を有する、外部ねじ山付き伸長シャフトをさらに備え、前記外部ねじ山付き伸長シャフトの遠位部分は、前記第2の側壁部の一部に搭載され、それによって、自由に回転することを可能にされ、動作時、前記外部ねじ山付き伸長シャフトの回転が、制御様式において、前記第2の側壁部に対する前記第1の側壁部を前記修整位置に持ち上げる、項目9に記載の椎弓形成術システム。
(項目11)
前記第1の側壁部または前記第2の側壁部のうちの一方は、少なくとも1つの縦スロットを備え、前記第1の側壁部または前記第2の側壁部のうちの他方は、それぞれの縦スロット内部に篏合し、かつそれに対して摺動する相補的縦隆起を備え、前記縦隆起は、前記第1の側壁部が規定の距離だけ前記第2の側壁部に対して摺動すると、前記隆起が停止部として作用するように、前記それぞれのスロットよりも縦方向に短い、項目1に記載の椎弓形成術システム。
(項目12)
前記第1の側壁部および前記第2の側壁部の遠位端は、前記椎弓板部分および前記外側塊部分の略近傍の面積に実質的に一致するように成形される、項目2に記載の椎弓形成術システム。
(項目13)
前記第1の側壁部の遠位端は、前記椎弓板部分と実質的に噛合するように角度付けられる、項目12に記載の椎弓形成術システム。
(項目14)
所望の頸椎の分離椎弓板部分を修整位置に固着するための椎弓形成術プレートと併用するための椎弓板設定ツールであって、
前記椎弓板設定ツールは、内部チャネルと、略円周側壁とを画定する、略密封導管を備え、前記略円周側壁は、近位端および遠位端を有する第1の側壁部と、近位端および遠位端を有する反対の第2の側壁部とを有し、
前記第1の側壁部は、前記第2の側壁部に対して縦方向に摺動するように構成され、
前記第1の側壁部は、前記第1の側壁部および前記第2の側壁部の遠位端が略同延である、第1の位置から、前記第1の側壁部の遠位端が前記第2の側壁部の遠位端に対して持ち上げられる、第2の位置まで選択的に移動可能であり、それによって、前記第1の側壁部が持ち上げられるとき、それとともに前記分離椎弓板部分を持ち上げる、導管
を備える、椎弓板設定ツール。
(項目15)
前記第1の側壁部の遠位端は、椎弓板部分に取着するように構成され、前記第2の側壁部の遠位端は、外側塊部分を当接するように構成される、項目14に記載の椎弓板設定ツール。
(項目16)
矢状分割を行い、前記外側塊部分から前記椎弓板部分を分離するための手段をさらに備え、前記導管は、それを通して、ツールが前記矢状分割を行うために使用され得るポータルとして使用されるように構成される、項目15に記載の椎弓板設定ツール。
(項目17)
前記外側塊部分が前記椎弓板部分から分離されるとき、前記第1の側壁部の遠位端を持ち上げることは、前記椎弓板部分を前記修整位置に持ち上げる、項目16に記載の椎弓板設定ツール。
(項目18)
前記第1の側壁部は、前記第1の側壁部の遠位端を前記椎弓板部分に実質的に添着するためのアンカを備える、項目16に記載の椎弓板設定ツール。
(項目19)
前記椎弓板設定ツールの近位端は、前記第1の側壁部の近位端と円周方向に一体であり、前記第2の側壁部の近位端は、前記第1の位置では、前記第1の側壁部の近位端の一部に略隣接する、項目15に記載の椎弓板設定ツール。
(項目20)
前記椎弓板設定ツールの近位端が、前記第2の側壁部の少なくとも一部と実質的に交差する縦軸を伴う内部ねじ山付き開口を備える、項目19に記載の椎弓板設定ツール。
(項目21)
前記第1の側壁部の近位端における前記開口の内部ねじ山に噛合的に相補する外部ねじ山を有する、外部ねじ山付き伸長シャフトをさらに備え、前記外部ねじ山付き伸長シャフトの遠位部分は、前記第2の側壁部の一部に搭載され、それによって、自由に回転することを可能にされ、動作時、前記外部ねじ山付き伸長シャフトの回転が、制御様式において、前記第2の側壁部に対する前記第1の側壁部を前記修整位置に持ち上げる、項目20に記載の椎弓板設定ツール。
(項目22)
前記第1の側壁部または前記第2の側壁部のうちの一方は、少なくとも1つの縦スロットを備え、前記第1の側壁部または前記第2の側壁部のうちの他方は、それぞれの縦スロット内部に篏合し、かつそれに対して摺動する相補的縦隆起を備え、前記縦隆起は、前記第1の側壁部が規定の距離だけ前記第2の側壁部に対して摺動すると、前記隆起が停止部として作用するような前記それぞれのスロットよりも縦方向に短い、項目15に記載の椎弓板設定ツール。
(項目23)
前記第1の側壁部および前記第2の側壁部の遠位端は、前記椎弓板部分および前記外側塊部分の略近傍の面積に実質的に一致するように成形される、項目15に記載の椎弓板設定ツール。
(項目24)
前記第1の側壁部の遠位端は、前記椎弓板部分と実質的に噛合するように角度付けられる、項目23に記載の椎弓板設定ツール。
(項目25)
脊椎圧迫を修整することによって、患者の頸管狭窄を治療する方法であって、
椎弓板設定ツールを提供するステップであって、
前記椎弓板設定ツールは、内部チャネルと、略円周側壁とを画定する、略密封導管を備え、前記略円周側壁は、近位端および遠位端を有する第1の側壁部と、近位端および遠位端を有する反対の第2の側壁部とを有し、
前記第1の側壁部は、前記第2の側壁部に対して縦方向に摺動するように構成され、
前記第1の側壁部は、前記第1の側壁部および前記第2の側壁部の遠位端が略同延である、第1の位置から、前記第1の側壁部の遠位端が前記第2の側壁部の遠位端に対して持ち上げられる、第2の位置まで選択的に移動可能である、ステップと、
前記患者の所望の頸椎の後側の少なくとも一部を暴露するステップであって、前記頸椎は、正中線を有する、ステップと、
椎弓板部分に前記第1の側壁部の遠位端を添着するステップと、
ポータルとして前記椎弓板設定ツールの前記導管を使用して、実質的に、前記椎弓板部分と外側塊部分との間の接合部において、前記正中線の第1の側の前記所望の頸椎の後側の椎弓板部分を分離するステップと、
少なくとも1つの椎弓形成術プレートを提供するステップと、
部分的な第1の矢状分割に隣接する前記外側塊部分に前記少なくとも1つの椎弓形成術プレートの第1の部分を固着するステップと、
前記第2の側壁部に対して前記第1の側壁部を持ち上げることによって、修整位置に前記椎弓板部分を持ち上げるステップと、
前記修整位置において、前記椎弓板部分の一部に前記少なくとも1つの椎弓形成術プレートの第2の部分を固着するステップと、
前記椎弓板設定ツールを除去するステップと、
を含む、方法。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、手術前の断面積を有する脊柱管を示す例示的頸椎の上面図である。
【0016】
図2図2は、修整位置における第1の椎弓板部分を示す図1の頸椎の上面図である。
【0017】
図3図3は、修整位置における第1の椎弓板部分および第2の椎弓板部分を示す図1の頸椎の上面図である。
【0018】
図4図4は、例示的椎弓形成術プレートの上面図である。
【0019】
図5A図5Aは、平行に第1の平面および第2の平面を示す、図4の椎弓形成術プレートの側面立面図である。
【0020】
図5B図5Bは、第1の平面および第2の平面が相互に対して鋭角であることを示す、図4の椎弓形成術プレートの側面立面図である。
【0021】
図6図6は、椎弓板設定ツールの側面斜視図である。
【0022】
図7図7は、図6の椎弓板設定ツールの底面斜視図である。
【0023】
図8図8は、第1の位置における図6の椎弓板設定ツールの側面立面図である。
【0024】
図9図9は、原位置および第1の位置における2つの椎弓板設定ツールの側面立面図である。
【0025】
図10図10は、2つの椎弓板部分における第1の矢状分割および第2の矢状分割を示す、原位置および第1の位置における2つの椎弓板設定ツールの側面立面図である。
【0026】
図11図11は、原位置および第2の上昇位置における2つの椎弓板設定ツールの側面立面図である。
【0027】
図12図12は、2つの椎弓形成術プレートの配置を示す、原位置および第2の位置における2つの椎弓板設定ツールの側面立面図である。
【0028】
図13図13は、2つの椎弓板設定ツールおよび2つの椎弓形成術プレートを示す、椎弓形成術システムの一側面の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(発明の説明)
本発明は、以下の発明を実施するための形態、実施例、および請求項、ならびにその前後の説明を参照することによって、より容易に理解され得る。本システム、デバイス、および/または方法が、開示および説明される前に、本発明は、別様に規定されない限り、開示される具体的システム、デバイス、および/または方法に限定されず、それらは、当然ながら、可変であり得ることを理解されたい。また、本明細書で使用される専門用語は、特定の側面を説明する目的のためのものであって、限定を意図するものではないことを理解されたい。
【0030】
本発明の以下の説明は、その最良の現在公知の側面における本発明の有効な教示として提供される。当業者は、依然として、本発明の有益な結果を得ながら、多くの変更が、説明される側面に行なわれ得ることを認識するであろう。また、本発明の所望の利点のいくつかは、他の特徴を利用せずに、本発明の特徴のいくつかを選択することによって得られ得ることが明白となるであろう。故に、当業者は、本発明に対する多くの修正および適合が、可能性として考えられ、ある状況においては望ましくさえあり得、かつ本発明の一部であることを認識するであろう。したがって、以下の説明は、その限定としてではなく、本発明の原理の例証として提供される。
【0031】
本明細書で使用されるように、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈によって明確に別様に示されない限り、複数参照も含む。したがって、例えば、「プレート」という言及は、文脈によって明確に別様に示されない限り、2つ以上のプレートを有する側面を含む。
【0032】
範囲は、本明細書では、「約」ある特定の値から、および/または「約」別の特定の値までとして表現され得る。そのような範囲が表現されるとき、別の側面は、ある特定の値から、および/または他の特定の値までを含む。同様に、値が、先行詞「約」の使用によって、近似値として表現されるとき、特定の値が別の側面を形成することを理解されるであろう。さらに、範囲のそれぞれの終点は、他の終点に関連して、および他の終点から独立しての両方において重要であることを理解されたい。
【0033】
本明細書で使用されるように、用語「随意の」または「随意に」は、続いて説明される事象または状況が、生じてもよく、またはそうでなくてもよく、その説明が、該事象または状況が生じる事例および生じない事例を含むことを意味する。
【0034】
一側面では、図2および3に示されるように、本明細書に提示されるのは、所望の頸椎200の分離椎弓板部分210を修整位置に固着するための椎弓形成術プレート100である。一側面では、椎弓形成術プレート100は、第1の平面Pで画定される底表面120を有する近位端部分110と、第2の平面Pで画定される底表面120を有する遠位端部分105とを備える。この側面では、第1の平面および第2の平面は、近位端部分110の底表面が遠位端部分105の底表面から離間されるように、中間部分130において相互に離間される。一例示的側面では、第1の平面は、約1mm〜約10mmの既定の距離で離間される。別の実施例では、第1の平面および第2の平面は、約3mm〜約7mmで離間される。一側面では、椎弓形成術プレートは、制限を意味するものではないが、チタン、チタン合金、外科手術用鋼鉄、ポリマー材料、セラミック材料、炭素繊維複合材、再吸収可能な材料、ポリグリコネート、自家移植片骨、同種移植片骨、異種移植片骨、およびヒドロキシアパタイト等の生体適合性材料から成ることができる。
【0035】
一例示的側面では、第1の平面Pは、第2の平面Pに略平行であることができる。代替として、第1の平面は、第2の平面に対して鋭角αであることができる。好ましくは、鋭角は、約0度〜89度、より好ましくは、約0度〜30度である。別の側面では、椎弓形成術プレートは、近位端部分および遠位端部分に接続される中間部分130を備えることができる。一例示的側面では、中間部分130は、弓形状であることができる。別の実施例では、中間部分は、遠位端および近位端部分の断面積に対して、減少した断面積を有することができる。当業者が認識するであろうように、この減少した断面積は、中間部分が骨融合材料によってより完全に囲繞されることを可能にする。さらなる実施例では、中間部分は、実質的剛性材料から成り、遠位端および近位端部分の断面積に対して、増加した断面積を有することができる。当業者が認識するであろうように、遠位端および近位端部分が、略平坦の状態のままであることを可能にしながら、断面積におけるこの剛性および増加は、椎弓形成術プレート100を、張力、圧迫、またはせん断荷重に対して、より耐性があるようにする。
【0036】
一側面では、椎弓形成術プレートは、既定の直径の複数の孔140を画定する。一例示的側面では、近位端部分110は、近位端部分の上面と底表面との間の近位端部分を通して略横方向に延在し、ねじを動作可能に受容するように構成される、2対の対向するねじ孔140を画定する。別の側面では、近位端部分はまた、近位端部分の上面と底表面との間の近位端部分を通して略横方向に延在し、椎弓板設定ツール300の一部を動作可能に受容するように構成される、ツールねじ開口150を画定する。別の側面では、ツールねじ開口は、近位端部分の1対のねじ孔の間に位置付けられることができる。この側面では、ツールねじ開口が、各ねじ孔に隣接し、かつそれから等間隔に位置付けられることができることが想定される。さらなる側面では、遠位端部分は、遠位端部分の上面と底表面との間の遠位端部分を通して略横方向に延在し、ねじを動作可能に受容するように構成される、2対の対向する孔を画定する。椎弓形成術プレートの孔の異なる量および位置が、本発明において使用されることができることが想定される。
【0037】
一側面では、遠位端部分は、ガイド330を着脱可能に搭載するために構成される搭載可能部分160から成る。一例示的側面では、搭載可能部分160は、ガイド330が搭載されることができる隆起された円錐部分から成ることができる。別の実施例では、搭載可能部分は、ガイドが搭載されることができる空洞を画定することができる。別の側面では、搭載可能部分は、椎弓板設定ツールの一部の受容のために、ツール孔170を画定することができる。別の側面では、搭載可能部分は、遠位端部分105の1対のねじ孔140の間に位置付けられることができる。この側面では、搭載可能部分が、各ねじ孔に隣接し、かつそれから等間隔に位置付けられることができることが想定される。さらに、椎弓形成術プレート100の搭載可能部分の異なる位置および構成が、本発明において使用されることができることが想定される。
【0038】
さらに別の例示的側面では、椎弓板設定ツール300は、所望の頸椎200の椎弓板部分210を修整位置に位置付けるために提示される。一側面では、ツールは、内部チャネル320と円周側壁330とを画定する略密封導管310を備える。一側面では、円周側壁330は、第1の側壁部332および反対の第2の側壁部334を備え、第1の側壁部332および第2の側壁部334は、相互に対して縦方向に摺動するように構成される。この方式では、第1の位置において、2つの側壁部336、338の遠位端は、略同延で、かつ第1の椎弓板部分および第1の外側塊部分に接触している。同延とは、第1の位置において、第1の側壁および第2の側壁の遠位端は、それらが内部チャネルの縦軸の略横方向である平面にあるように、同じ量を中心として延在することを意味する。
【0039】
内部チャネル320は、それを通して、ドリルまたは他のツールが、第1の椎弓板部分210の矢状分割を行うために使用され得るポータルとして使用されることができる。したがって、内部チャネルは、制限されないが、外科手術穿孔ビット等の必要なツールの受容のためにサイズ決定されるポータルであるように構成される。
【0040】
例示的側面では、第1の側壁部は、第1の椎弓板部分に第1の側壁部の遠位端336を実質的に添着するアンカ340を備える。一側面では、第1の側壁部332は、第1の椎弓板部分の内部へ駆動され、かつそれに第1の側壁部を係留するように構成されるねじ山付き遠位端344を有する少なくとも1つの伸長アンカ340を備えることができる。別の側面では、第1の側壁部332は、伸長アンカ340の受容のために構成される少なくとも1つの伸長アンカ導管342を備えることができる。アンカ導管342は、それに対する、第1の側壁部、外部、内部、または隣接するものと一体であることができる。認識されることができるように、伸長アンカの近位端346は、第1の椎弓板部分210の内部へアンカを駆動するために使用されるドライブツールの受容のために楔着されることができる。さらなる別の側面では、第1の側壁部332は、複数のアンカ導管および/または伸長アンカを備えることができる。
【0041】
第1の側壁部および第2の側壁部はそれぞれ、管状側壁の半分を備えることが想定される。また、第1の側壁部の断面が、劣孤を備え、第2の側壁の断面が、相補的優孤を備える、または逆もまた同様であることが想定されるが、椎弓板設定ツールは、円筒形状を備える必要性はない。さらに別の側面では、第2の側壁部は、それによって外科手術台等の固定構造に椎弓形成術ポータルを添着するための脚部395または他の手段を備えてもよい。管は、正方形、楕円形、卵形、多角形、長方形等の略円以外の異なる断面形状であってもよいことが想定される。
【0042】
本明細書の上記に言及されるように、第1の側壁部332は、第2の側壁部に対して縦方向に摺動するように構成される。第1の側壁部が、第2の側壁部334に対して機械的に持ち上げられることができるいくつかの様式がある。例えば、第2の側壁部の一部が、歯を備えることができる一方、ウォームギヤが、第1の側壁部332の一部の上に搭載されることができ、または逆もまた同様である。したがって、ウォームギヤの回転は、第2の側壁部に対して第1の側壁部を制御可能に持ち上げる。
【0043】
別の側面では、椎弓板設定ツールの近位端350は、第1の側壁部と円周方向に一体である。この側面では、第2の側壁部334の近位端354は、第1の位置における第1の側壁部332の近位端352の一部に略隣接することができる。第2の位置において、第2の側壁部の近位端は、第1の側壁部の近位端から離間されることができる。この側面では、椎弓板設定ツールの近位端350は、第2の側壁部334の少なくとも一部と実質的に交差する縦軸を伴う内部ねじ山付き開口360を備えることができる。この側面では、椎弓板設定ツールはまた、外部ねじ山が第1の側壁部の近位端352内の開口360の内部ねじ山に噛合的に相補する、外部ねじ山付き伸長シャフト370を備える。一側面では、外部ねじ山付きシャフト370の遠位部分372は、第2の側壁部の一部に搭載されるが、自由に回転させることを可能にされる様式である。動作時、外部ねじ山付きシャフト370の回転は、第2の側壁部334に対して第1の側壁部332を持ち上げる。第1の椎弓板部分210が、持ち上げられるにつれて、第1の側壁部の遠位端336は、第2の位置にそれとともに持ち上がり、第1の外側塊部分215に略隣接し、かつ第1の側壁部の遠位端から変位された状態で第2の側壁部の遠位端338を残す。第1の側壁部332は、伸長アンカを介して第1の椎弓板部分に添着されるため、この様式において第1の側壁部を持ち上げることはまた、制御様式において、第1の椎弓板部分210を持ち上げる。
【0044】
2つの側壁部が相互に対して縦方向に摺動することを可能にするために想定される、いくつかの手段がある。2つの側壁の側縁は、いくつかの公知の方式で噛合することができる。一側面では、第1の側壁部または第2の側壁部のうち一方が、少なくとも1つの縦スロット380を備える一方、第1の側壁部または第2の側壁部のうちの他方は、それぞれの縦スロット380内部に篏合し、かつそれに対して摺動する相補的縦隆起390を備える。別の側面では、縦隆起390は、第1の側壁部が規定の距離だけ第2の側壁部334に対して摺動すると、隆起自体が停止部として作用するように、それぞれのスロットよりも縦方向に短い。
【0045】
例示的側面では、第1の側壁部および第2の側壁部336、338の遠位端は、第1の椎弓板部分および第1の外側塊部分の略近傍の面積に実質的に一致するように成形されることができる。一側面では、第1の側壁部332の遠位端は、第1の椎弓板部分と実質的に噛合するように角度付けられる。
【0046】
さらなる側面では、椎弓板設定ツールは、限定を意味するわけではないが、チタン、チタン合金、外科手術用鋼鉄、ポリマー材料、セラミック材料、炭素繊維複合材、再吸収可能な材料、ポリグリコネート、自家移植片骨、同種移植片骨、異種移植片骨、およびヒドロキシアパタイト等の生体適合性材料から成ることができる。
【0047】
また、本明細書で提示されるのは、脊髄圧迫を除去することによって、患者の頸管狭窄を治療する方法である。一側面では、手術前の断面積を有する脊柱管240を画定する、所望の頸椎の少なくとも一部が、暴露される。そうするために、一側面では、患者の頸管狭窄の面積にわたる患者の後方切開が、所望の頸椎の後側を暴露するように開けられる。この側面では、約14〜18mmの範囲である、小さな経路が、筋肉および組織損傷が最小限に保たれるために、所望の頸椎200に到達するために軟質の組織を通して拡張されることができる。別の側面では、脊椎は、従来の開放アプローチにおいてより広範囲に暴露されてもよい。
【0048】
別の側面では、所望の頸椎の第1の椎弓板部分210は、分離される。一例示的側面では、所望の頸椎の第1の椎弓板部分210を分離するステップは、所望の頸椎の外側から椎骨の正中線の第1の側の脊柱管まで第1の矢状分割225を作製するステップと、所望の頸椎の外側から正中線260の第2の側の脊柱管まで第2の矢状分割227を作製するステップとを含む。したがって、所望の頸椎200の椎弓板部分210および棘突起270は、所望の頸椎の残りの部分の任意の点において、もはや取着されていないであろう。一側面では、第1の矢状分割および第2の矢状分割は、椎弓板部分と外側塊部分との間の接合部において作製される。
【0049】
別の側面では、第1の椎弓板部分210は、所望の頸椎の脊柱管が、手術前の断面積よりも大きい修整断面積を有する修整位置に制御可能に上昇され、第1の椎弓板部分が、続いて、上昇位置に固着される。この側面では、少なくとも1つの椎弓形成術プレートを提供するステップの後に、第1の椎弓板部分210を修整位置まで制御可能に持ち上げるステップは、まず、第1の矢状分割225に隣接する所望の頸椎の第1の外側塊部分の一部に第1の椎弓形成術プレートの遠位端部分の少なくとも一部を取着するステップと、第1の矢状分割に隣接する第1の椎弓板部分に第1の椎弓形成術プレートの近位端部分の少なくとも一部を取着するステップとを含むことができる。この側面では、椎弓形成術プレート100の中間部分130の既定の長さは、椎弓板部分と所望の頸椎との間に必要とされる分離量に対応することができる。次いで、第2の椎弓板部分215を修整位置に制御可能に持ち上げるステップは、第2の矢状分割227に隣接する所望の頸椎の第2の外側塊部分に第2の椎弓形成術プレートの遠位端部分の少なくとも一部を取着するステップと、第2の矢状分割に隣接する第2の椎弓板部分に第2の椎弓形成術プレートの近位端部分110の少なくとも一部を取着するステップとを含むことができる。一例示的側面では、椎弓形成術プレートは、ねじを用いて、所望の外側塊部分および椎弓板部分に取着されることができる。この実施例では、ねじは、従来の自己タップ骨ねじであることができる。また、従来の非自己タップ骨ねじも、本発明の方法で使用されることができることが想定される。一側面では、所望の頸椎の椎弓形成術プレートの遠位端部分105を取着するステップは、頸椎のそれぞれの外側塊に椎弓形成術プレートの遠位端部分を取着するステップを含む。また、本明細書に説明される方法のステップは、同時に、連続して、または代替方式において、正中線の第1の側および正中線の第2の側で、完了されることができることが想定される。
【0050】
本明細書の上記に説明される脊椎圧迫を修整することによって、患者の頸管狭窄を治療する方法は、この椎弓板設定ツールを用いて行われることができる。一側面では、患者の頸管狭窄の面積にわたる患者の後方切開は、所望の頸椎の後側を暴露するように開けられる。この側面では、椎弓板設定ツールは、第1の椎弓板部分に隣接する第1の側壁部の遠位端と、第1の外側塊部分に隣接する第2の側壁部の遠位端とを位置付けるように配置される。
【0051】
この点において、一側面では、少なくとも1つ伸長アンカ340は、第1の椎弓板部分に第1の側壁部を添着するために第1の椎弓板部分の内部へ駆動される。次いで、椎弓形成術プレートの遠位端部分は、椎弓形成術プレートの遠位端部分上の孔を通して配置される、ねじまたは他の留め具を使用して、第1の外側塊部分に固着される。別の側面では、所望の頸椎の第1の椎弓板部分は、椎弓板設定ツールの内部チャネル320を通して、ドリルまたは他のツールを使用して、第1の矢状分割を作製することによって分離される。
【0052】
例示的側面では、外部ねじ山付きシャフト370の回転は、第1の側壁部を第2の位置に、かつ第1の椎弓板部分を修整位置に持ち上げる。いったん椎弓板が、修整位置に持ち上げられると、椎弓形成術プレートの近位端部分上のねじ孔の内部へねじを配置することによって、定位置に固着されることができる。いったん固着されると、伸長骨ねじシャフトは、除去されることができ、伸長ガイドも同様である。当業者が認識するであろうように、これらのステップは、必要に応じて、外科医によって、シーケンスに対して変動されることができる。本方法はまた、両側で、または前述の開口ドア式手技を使用して行われることができる。この場合、手技は、次々に、同時に、または段階式方法において、両側で行われてもよい。
【0053】
一例示的側面では、移植片(図示せず)が、修整位置における椎弓板部分の融合を可能にするために、複数の椎弓形成術プレートの遠位端および近位端部分の少なくとも一部に近接して配置される。この実施例では、移植片は、椎弓形成術プレートの中間部分の少なくとも一部を囲繞するように構成されることができる。具体的実施例では、椎弓形成術プレートの中間部分は、遠位端および近位端部分に対して減少した断面積であることができ、移植片は、椎弓形成術プレートの中間部分を実質的に囲繞する略U字形状であることができる。さらに、移植片は、自己移植骨、同種移植片骨、人工骨代替物、および骨誘導薬剤から成ることができる。
【0054】
また、このような管システムは、管システムの2つ以上の摺動部分を有するという利点が、管の内部から組織の効率的な排除を補助するであろう他の手技において有用であり得ることが予期される。加えて、管は、随意に、中間接続を通して、手術台に接続される、および/または骨の安定部分へのねじ山付き支柱等の1つ以上の取着部材を介して、所望の椎骨または骨に取着されることができる、管システム上の安定化アームまたは他の要素によって、手技の際、着目面積に固着されてもよいことが予期される。
【0055】
本発明のいくつかの側面が、前述の明細書に開示されたが、本発明の多くの修正および他の側面が、前述の説明および関連付けられた図面に提示される教示の利益を有する当業者に想起されるであろうことが、当業者によって理解される。したがって、本発明は、本明細書に前述で開示される具体的側面に限定されず、多くの修正および他の側面が、添付の請求項の範囲内に含まれることが意図されることを理解されたい。さらに、具体的用語が、本明細書ならびに以下の請求項で採用されるが、それらは、説明される発明を限定する目的のためではなく、一般的かつ説明的意味でのみ使用される。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13