【課題を解決するための手段】
【0017】
この目的を満たすために、本発明は、呼吸装置によって設定または指定される圧力の自動調整システムであって、少なくとも吸気相の最後および関連する呼気相の最後において人の胸郭を通る少なくとも2次元断面に沿った電気インピーダンス分布を検出する電気インピーダンストモグラフィ(EIT)装置と、吸気相の最後および呼気相の最後の検出された電気インピーダンス分布を複数のEITピクセルに分割し、それぞれのEITピクセルに関連する、吸気相の最後および呼気相の最後の電気インピーダンスの値を求める装置と、(i)個々のEITピクセルに関連する吸気相の最後の電気インピーダンスの値と、それぞれの個々のEITピクセルに関連する呼気相の最後の電気インピーダンスの値との間のずれの、(ii)EITピクセルの全体に基づいて求められる、吸気相の最後の電気インピーダンスの値と呼気相の最後の電気インピーダンスの値との間のずれとの比較に基づく、呼吸装置によって設定される圧力の自動調整装置とを備えるシステムを提案する。
【0018】
最高気道内圧(以下、簡単にPaw_maxとも呼ぶ)および/または呼気終末陽圧(以下、簡単にPEEPとも呼ぶ)等、呼吸装置によって設定される圧力の自動確定の基礎は、電気インピーダンストモグラフィ(以下、簡単にEITとも呼ぶ)によって取得される、患者の胸郭を通る少なくとも2次元断面を横切る電気インピーダンスの分布の結果である。こうしたデータは、非侵襲的に既知のEIT装置を用いて、患者のベッドのかたわらでリアルタイムに取得することができる。EITデータは、一般に、逆投影アルゴリズムにより、胸郭の周囲に円周方向に分散されるように配置された複数の電極における、2つの隣接する電極の各々の間の電位差の印加に反応する、電位の測定値に基づいて求められる。最新のEIT装置では、インピーダンス分布の計算は、数値アルゴリズムを用いて自動的に行われる。そして、インピーダンス分布は、各々が、胸部断面に配置された複数のEITピクセルのうちの1つに関連する、数値的に計算されたEIT値の形態で存在する。EITピクセルは、胸部断面を覆う規則的なまたは不規則な格子を形成する。EITデータが、異なる形態で、たとえば胸部断面を横切るインピーダンスの近似分布として存在する場合、対応するラスタ化を行うことができる。こうしたラスタ化から得られるEITピクセル分布は、1つまたは複数の呼吸圧の自動確定用の入力量として直接利用することができる。
【0019】
胸部断面における特定のゾーンの分布に従って、たとえば特定の器官に関連する領域を他の領域から識別し、または患者が仰臥位にある時に幾分か背側の領域と幾分か腹側の領域との間に単なる粗い識別を行うために、ラスタ化を行うことも考えられる。
【0020】
以下、簡単のために、2次元胸部断面を横切るEITピクセルの格子を想定する。EITデータを評価するために記載される概念はまた、たとえば米国特許第6501198B1号に記載されているように、胸郭のいくつかの断面を平行にスキャンすることができ、それにより3次元EIT画像を生成する、EIT装置にも適用可能である。
【0021】
本発明は、EITピクセル毎に提供されるインピーダンスデータを評価する基本概念に従う。この目的で、個々のEITピクセルに関連するインピーダンス値は、各々、吸気の最後にかつ関連する呼気の最後に互いに比較され、それによって生じるずれが、ピクセルの全体を代表する、吸気の最後のインピーダンスと関連する呼気の最後のインピーダンスとの間のずれともう一度比較される。この比較は、そのように得られた比較結果により、機械呼吸において設定される圧力、特に最高気道内圧Paw_maxおよび/または呼気終末陽圧PEEPに対する影響の妥当な行使を導出することができる、というものである。したがって、このように進むことにより、大部分人の介入なしに人工呼吸器により、所望の呼吸圧の自動調整または追跡が可能になる。
【0022】
たとえば、吸気の最後および関連する呼気の最後の個々のEITピクセルに各々関連するインピーダンス値の間の上述したずれ、および/または、ピクセルの全体を表す、吸気の最後のインピーダンスと関連する呼気の最後のインピーダンスとの上述した差を、吸気の最後および呼気の最後のそれぞれのインピーダンス値の間の差の形態で定義することができる。別法として、吸気の最後および呼気の最後のそれぞれのインピーダンス値の間の比として扱われるずれを定義することも考えられる。差の形成および比の形成もまた、望ましい場合は組み合わせることができる。さらに他のパラメータを、それらが吸気の最後と呼気の最後との間のそれぞれのインピーダンス値の相対的な変化に対する尺度を構成する限り、利用することも考えられる。
【0023】
上述した比較は、「はい/いいえ(yes/no)」テストの形態とることができる。これは、所定の条件が満たされるか否か、またはこの条件が満たされていないか否かに関する比較によって、検査が行われることを意味する。このように、比較は、所望の呼吸圧に対して人工呼吸器が影響を与えるべきであるか否か、すなわち、それぞれの設定された圧力を増大あるいは低減させなければならないか否か、またはこの圧力を不変の形態で維持することができるか否かを判断するための単純な基準を提供する。
【0024】
吸気相のそれぞれの最後および呼気相の関連する最後を、それぞれ、単一呼吸周期で求めることができる。しかしながら、適切な平均および/または積分によっていくつかの呼吸周期からもたらされる基礎として、呼吸周期にわたってインピーダンスパターンを用いることも可能である。
【0025】
実施形態によれば、EITピクセルの全体に基づいて求められる、吸気相の最後の電気インピーダンスの値と呼気相の最後の電気インピーダンスの値とのずれは、EITピクセルのそれぞれに対する吸気相の最後の電気インピーダンスの値と、EITピクセルの前記それぞれに対する呼気相の最後の電気インピーダンスの値とのすべての差の最大値であり得る。そして、比較により、この呼吸周期の間の胸部断面における最大インピーダンス変化に比較して、それぞれのEITピクセルに関連する呼吸周期中のインピーダンス変化が、幾分か小さいか、幾分か大きいか、または幾分か平均であるかに関する情報が提供される。こうしたデータを用いて、呼吸圧に対してどれくらい影響を与えるべきであるかにおいて、経験値およびエキスパートシステムから導出することが、極めて容易にかつ安全に可能である。
【0026】
さらなる実施形態では、さらに、呼吸装置によって設定される圧力の自動調整装置が、
それぞれのEITピクセルに関連する、吸気相の最後の電気インピーダンスの値と呼気相の最後の電気インピーダンスの値との間のずれを、すべてのEITピクセル各々の全体に基づいてそれぞれ求められる、吸気相の最後および/または呼気相の最後の電気インピーダンスの値とも比較するようにすることができる。こうした、吸気相の最後の電気インピーダンスの値との比較により、それぞれのEITピクセルに関連する、呼吸周期の間のインピーダンス変化が、胸部断面における、最高気道内圧が幾分か小さいピクセルに属するか、幾分か大きいピクセルに属するかまたは幾分か平均であるピクセルに属するかという旨の情報が提供される。したがって、呼気相の最後の電気インピーダンスの値との比較により、それぞれのEITピクセルに関連する、呼吸周期の間のインピーダンス変化が、胸部断面における、呼気相の最後に残っている気道内圧が、幾分か小さいピクセルに属するか、幾分か大きいピクセルに属するかまたは幾分か平均であるピクセルに属するかに関する情報が提供される。したがって、吸気相の最後のインピーダンスと呼気相の最後のインピーダンスとの間のインピーダンス変化のために妥当である呼吸圧に対する影響の行使が、最高気道内圧および/または呼気終末陽圧に対して幾分か適用されるべきであるか否かに関して、極めて明確に識別することが可能である。
【0027】
具体的な実施形態では、ピクセル毎の上述した比較を、呼吸装置によって設定される圧力の自動調整用の装置が、比較により、所定条件を満たすEITピクセルを確定し、条件を満たすEITピクセルの割合が所定閾値を超える時に、設定された圧力の補正を実施することができる。これにより、本質的に、生理学的に望ましくない状態の終結を可能にする、胸部断面におけるEITピクセルの総数におけるEITピクセルの割合が求められる。これに関して、個々のEITピクセルに対して異なるサイズを選択し、または個々のEITピクセルを、割合の計算において異なるように重み付けすることが考えられる。この条件は、生理学的発見に基づいて求めることができる。条件が満たされた時、これは、生理学的に望ましくない状態、たとえば、呼気相の間の肺胞の虚脱または吸気相の間の肺胞の過伸展を示す。
【0028】
呼吸装置によって設定される呼気終末陽圧(PEEP)が自動的に調整または再調整されるべきである場合、たとえば、(i)一方は、個々のEITピクセルに関連する吸気相の最後の電気インピーダンスの値と、それぞれの個々のEITピクセルに関連する呼気相の最後の電気インピーダンスの値との間のずれの、(ii)他方は、EITピクセルの全体に基づいて求められる、吸気相の最後の電気インピーダンスの値と呼気相の最後の電気インピーダンスの値との間のずれ、ならびにEITピクセルの全体に基づいて求められる、呼気相の最後の電気インピーダンスの値との比較に基づいて、虚脱した肺胞をかなりの量含む、胸部断面におけるEITピクセルの割合を求めることができる。この割合が、所定の第1閾値を超える場合、PEEPの調整が低すぎており、PEEPを増大させることによって肺内のガス交換を改善することができると想定することができる。
【0029】
たとえば、EITピクセルの全体に基づいて求められる、呼気相の最後の電気インピーダンスの値は、EITピクセルのそれぞれに対する呼気相の最後の電気インピーダンスのすべての値の最小値であり得る。したがって、最低インピーダンスのEITピクセルを基準量とし、すべてのEITピクセルから、最低インピーダンスを有するEITピクセルの部分量が求められる。EITピクセルのこの部分量は、本質的に、虚脱した肺胞を含むEITピクセルに対するすべてのあり得る候補を含む。すべてのEITピクセルに基づいて求められたインピーダンスの変化に関する、それぞれのEITピクセルの呼吸周期にわたるインピーダンスの変化のピクセル毎の比較(この比較は、さらに部分量に対して提供される)により、虚脱した肺胞を含むEITピクセルを比較的正確に推断することができる。
【0030】
記載するタイプの比較の結果として、呼吸装置によって設定される呼気終末陽圧の自動
調整用の装置は、比較が肯定(positive)であるEITピクセルを、虚脱した肺胞を有する肺領域に関連付けることができる。この文脈で「肯定」という用語は、それぞれのEITピクセルが、虚脱した肺胞の特性であるとみなされる所定条件を満たすことを意味する。
【0031】
具体的な実施形態では、EITピクセルの虚脱した肺胞を含む肺領域との関連付けは、以下の2つの条件
EIT_ei_xy−EIT_ee_xy<k1×max(すべてのあり得るxyに対する、EIT_ei_xy−EIT_ee_xy)
および
EIT_ee_xy<k2×min(すべてのあり得るxyに対する、EIT_ee_xy)
式中、
EIT_ei_xy:それぞれのEITピクセルに関連する吸気相の最後の電気インピーダンス値
EIT_ee_xy:それぞれのEITピクセルに関連する呼気相の最後の電気インピーダンス値
0≦k1≦1、特に0.3≦k1≦0.7、特に0.4≦k1≦0.6、特にk1=0.5、
k2≧1、特に1.0≦k2≦1.6、特に1.2≦k2≦1.4、特にk2=1.3
が満たされる場合に実施することができる。
【0032】
呼気終末陽圧の的確な自動調整または追跡は、比較が肯定であるEITピクセルの割合がEITピクセルの総数において所定の第1の閾値を超えた場合に、呼吸装置が、後続する呼吸周期に対する呼気終末陽圧の値を所定量増大させる場合に達成される。第2の閾値を、5%と25%との間とすることができ、特に10%とすることができる。第1の時間に対してPEEPの値を設定するために、最初に、比較的低いPEEP値(たとえば、10cmH
2O)が使用され、呼吸装置は、呼気中の虚脱した肺胞の割合が第1の閾値未満に低下するまで、PEEPを段階的に(たとえば、段階毎に1cmH
2O)増大させる。その後、呼気中の虚脱した肺胞の割合が第1の閾値に達するかまたはそれを超えることが再度検出されるまで、PEEPは安定して維持される。これに対して、PEEPは、値が再度第1の閾値未満に低下するまで、再度段階的に高くなるように選択される。患者の呼吸の間、所定の間隔で比較を繰り返すことができ、EITピクセルの総数における比較が肯定であるEITピクセルの割合が第1の閾値未満である限り、後続する呼吸周期に対する呼気終末陽圧を増大させることができる。低いPEEPレベルから開始するこのPEEPの自動調整または再調整により、概してPEEPに対して上限も求められ、呼吸の間に気圧障害がもたらされないように関係する。これに関して、たとえばPEEPが常に25cmH
2O未満であり続けるように、安全であると思われるPEEPに対する上限を手動で設定することが十分であり得る。
【0033】
さらに、第1の閾値の値が、PEEPの値の増大によって高くなるように選択されるようにすることができる。これには、PEEPのレベルの増大において、EITピクセルの割合がますます高くなることによって肺胞が虚脱した場合にのみ、さらなる増大が発生するという効果がある。したがって、虚脱した肺胞を含むEITピクセルの割合が、PEEPの増大により低減しないかまたはわずかにしか低減しない場合、PEEPの値が永久に増大しないことを確実にすることができる。たとえば、PEEPの各増大により、第1の閾値を、0.3%と3%との間の量、特に1%増大させることができる。
【0034】
呼気終末陽圧に加えてまたはその代りとして、呼吸装置によって設定される最高気道内圧Paw_maxが自動的に調整または再調整される場合、たとえば、(i)一方は、個
々のEITピクセルに関連する吸気相の最後の電気インピーダンスの値と、それぞれの個々のEITピクセルに関連する呼気相の最後の電気インピーダンスの値との間のずれの、(ii)他方は、EITピクセルの全体に基づいて求められる、吸気相の最後の電気インピーダンスの値と、呼気相の最後の電気インピーダンスの値との間のずれ、ならびにEITピクセルの全体に基づいて求められる吸気相の最後の電気インピーダンスの値との比較に基づいて、かなりの量の過伸展した肺胞を有する、胸部断面におけるEITピクセルの割合を求めることができる。この割合が、PEEPを設定するための第1の割合閾値とは無関係の所定の第2の割合閾値を超える場合、最高気道内圧の調整が高すぎ、最高気道内圧を低減させることにより、肺組織に対する引張りを低減させるかまたは肺組織を保護することができると想定することができる。最高気道内圧の低減(PEEPは変化させず)を、最大換気圧の低減を介して達成することができる。後続する呼吸周期においてPEEPに対してより低い値を選択することが妥当である場合、最高気道内圧を低減させる際にPEEPの低減を考慮することができ、それにより、最大換気圧に対する影響が少なくとも部分的に補償される。
【0035】
たとえば、EITピクセルの全体に基づいて求められる吸気相の最後の電気インピーダンスの値は、EITピクセルのそれぞれに対する吸気相の最後の電気インピーダンスのすべての値の最大値であり得る。これは、インピーダンスが最高である胸部断面におけるEITピクセルが、すべてのEITピクセルから、吸気相の最後に最高インピーダンスを有するEITピクセルのさらなる部分量を求めるための基準量として使用されることを意味する。過伸展した肺胞を含むあり得るEITピクセルは、このさらなる部分量に含まれるべきであり、それにより、肺胞の過伸展が実際に発生したピクセルの探索が、この部分量の範囲内のみで行われることになる。吸気の最後と呼気の最後との間のインピーダンスの変化の提案されるピクセル毎の比較が、この部分量のすべてのEITピクセルに対して行われる場合、過伸展した肺胞を有するEITピクセルを比較的正確に特定することができる。
【0036】
本明細書において上述したものと同様に、呼吸装置によって設定される最高気道内圧の自動調整用の装置は、比較が肯定であるEITピクセルを、過伸展した肺胞を有する肺領域に関連付けることができる。「比較の肯定」は、この場合もまた、それぞれのEITピクセルが、肺胞の過伸展の特性であるとみなされる所定条件を満たすことを意味する。
【0037】
実施形態では、EITピクセルの過伸展した肺胞を有する肺領域との関連付けは、以下の2つの条件
EIT_ei_xy−EIT_ee_xy<k3×max(すべてのあり得るxyに対する、EIT_ei_xy−EIT_ee_xy)、
および
EIT_ei_xy>k4×max(すべてのあり得るxyに対する、EIT_ei_xy)
式中、
EIT_ei_xy:それぞれのEITピクセルに関連する吸気相の最後の電気インピーダンス値
EIT_ee_xy:それぞれのEITピクセルに関連する呼気相の最後の電気インピーダンス値
0≦k3≦1、特に0.3≦k3≦0.7、特に0.4≦k3≦0.6、特にk3=0.5、
0≦k4≦1、特に0.5≦k4≦0.9、特に0.6≦k4≦0.8、特にk4=0.7
が満たされる場合に行うことができる。
【0038】
的確な自動調整または再調整はまた、呼吸装置によって設定される最高気道内圧の自動調整装置が、EITピクセルの総数における比較が肯定であるEITピクセルの割合が所定の第2の閾値を超える場合に、後続する呼吸周期に対する最高気道内圧の値を所定量低減させる場合に、最高気道内圧に対しても達成することができる。第2の閾値を、5%と25%との間の範囲とすることができ、特に、10%とすることができる。最高気道内圧の値を最初に設定するために、最高気道内圧に対して最初は比較的高い値(たとえば40cmH
2O)が使用され、呼吸装置は、吸気中の過伸展した肺胞の割合が第2の閾値未満に低下するまで、最高気道内圧を段階的に(たとえば、段階毎に1cmH
2O)低下させる。その後、吸気中の伸展した肺胞の割合が再度第2の閾値に達するかまたはそれを超えることが再度検出されるまで、最高気道内圧は安定して維持される。これに反応して、最高気道内圧は、その値が再度第2の閾値未満に低下するまで、段階的に再度低減する。患者の呼吸の間、所定間隔で比較を繰り返すことができ、EITピクセルの総数における比較が肯定であるEITピクセルの割合が第2の閾値未満になるまで、後続する呼吸周期に対する最高気道内圧を低減させることができる。最高気道内圧の初期値を手動で設定することができる。概して、最適に設定される値を超えているが、わずかな数の呼吸周期にわたる呼吸が患者の肺組織に対して深刻な損傷をもたらすことがないように依然として十分低い値が選択される。
【0039】
初期最高気道内圧に対する通常の値は、たとえば40cmH
2Oである。
【0040】
さらに、最高気道内圧を設定する際においても、第2の閾値の値が、最高気道内圧の値の低減によって高くなるように選択されるようにすることができる。この措置により、例外的な場合に、過伸展した肺胞を含むEITピクセルの割合が、最高気道内圧の低減によって低減しないかまたはわずかにしか低減しない場合に、呼吸装置が、最高気道内圧をゼロまで低減させないことが確実になる。むしろ、PEEPを適度に上回る最高気道内圧が常に得られるように、最高気道内圧の低減による第2の閾値の増大が選択される。たとえば、最大呼吸圧の各低減により、第2の閾値を0.3%と3%との間の量、特に1%増大させることができる。
【0041】
さらなる実施形態では、電気インピーダンストモグラフィ装置は、所定格子に配置されたEITピクセルに関連する電気インピーダンス値の形態で電気インピーダンス分布を検出することができる。EIT装置がインピーダンス値の適切にラスタ化された画像をすでにもたらす場合、検出された電気インピーダンス分布を複数のEITピクセルに分割する装置は、電気インピーダンスのそれぞれの値をそれぞれの格子要素に正確に関連付けることができる。別法として、EIT基本ピクセルの形態でEITによって提供されるラスタ化はまた、計算により、胸部断面の画像を示すEITピクセルの形態で別の所望のラスタ化に変換することができ、対応するインピーダンス値をEITピクセルの各々に関連付けることができる。
【0042】
EIT装置によって検出されるEIT信号には、呼吸(breathing)周期または呼吸(respiration)周期それぞれとは無関係であるより高周波数の信号成分が重畳することが多い。一例は心臓因子であり、それは、心血管系の活動もまた胸部断面のいくつかの領域においてインピーダンスに影響を及ぼすためである。心臓因子が相対的に著しく高いクロック周波数を受ける場合、こうした干渉効果をフィルタ装置によってフィルタリングで除去することができる。
【0043】
フィルタ装置は、たとえば、EIT信号の信号経路において接続されている、適切なカットオフ周波数を有するローパスフィルタまたはバンドパスフィルタである。心臓の影響をフィルタリングで除去するために対応するローパス機能を有する呼吸装置は、たとえば独国特許出願公告第10301202B3号から既知である。
【0044】
本発明はまた、上述した特徴のうちの少なくとも1つを有する呼吸装置によって設定される圧力の自動調整システムを備える、機械呼吸用の装置にも関する。呼吸装置は、たとえば集中治療室において、患者の永久的な呼吸のために設計することができ、特に、医師または看護師による介入はわずかに散発的であって、大部分自動的に上述した圧力の調整を実施することができる。
【0045】
さらなる態様によれば、本発明は、呼吸装置によって設定される圧力、特に呼気終末陽圧(PEEP)および最高気道内圧(Paw_max)の自動調整方法であって、電気インピーダンストモグラフィ(EIT)装置を用いて、電気インピーダンス分布が、少なくとも吸気相の最後および関連する呼気相の最後において人の胸郭を通る少なくとも2次元断面に沿って検出され、吸気相の最後および呼気相の最後における検出された電気インピーダンス分布が、複数のEITピクセルに分割され、吸気相の最後および呼気相の最後の電気インピーダンスのそれぞれの値が、EITピクセルの各々に関連付けられ、呼吸装置によって設定される圧力が、(i)個々のEITピクセルに関連する吸気相の最後の電気インピーダンスの値と、それぞれの個々のEITピクセルに関連する吸気相の最後の電気インピーダンスの値との間のずれの、(ii)EITピクセルの全体に基づいて求められる、吸気相の最後の電気インピーダンスの値と呼気相の最後の電気インピーダンスの値との間のずれとの比較に基づいて求められる、方法に関する。特に上述したさらなる展開特徴のうちの1つまたはいくつかに従って、こうした方法をさらに展開させることができる。
【0046】
本発明について、図面に示す実施形態を用いて以下詳細に説明する。