(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6263558
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】容器の蓋向けの、殺菌物質を用いた処理装置
(51)【国際特許分類】
B65B 55/04 20060101AFI20180104BHJP
A61L 2/18 20060101ALI20180104BHJP
A61L 2/20 20060101ALI20180104BHJP
B67C 7/00 20060101ALI20180104BHJP
B65B 55/10 20060101ALN20180104BHJP
A61L 101/22 20060101ALN20180104BHJP
【FI】
B65B55/04 V
A61L2/18 102
A61L2/20 106
B67C7/00
!B65B55/10 A
A61L101:22
【請求項の数】15
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-562428(P2015-562428)
(86)(22)【出願日】2014年1月30日
(65)【公表番号】特表2016-515980(P2016-515980A)
(43)【公表日】2016年6月2日
(86)【国際出願番号】IB2014058670
(87)【国際公開番号】WO2014140948
(87)【国際公開日】20140918
【審査請求日】2016年10月13日
(31)【優先権主張番号】PR2013A000016
(32)【優先日】2013年3月11日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】515221749
【氏名又は名称】ゲア プロコマック エセ.ピ.ア.
【氏名又は名称原語表記】GEA PROCOMAC S.P.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100181021
【弁理士】
【氏名又は名称】西尾 剛輝
(72)【発明者】
【氏名】パオロ アベッリ
(72)【発明者】
【氏名】ファビオ カレガリ
【審査官】
吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−213417(JP,A)
【文献】
特表平02−503998(JP,A)
【文献】
特開2011−251708(JP,A)
【文献】
特表2015−527270(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0052089(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0193344(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 55/04
A61L 2/18
A61L 2/20
B67C 7/00
A61L 101/22
B65B 55/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の蓋(2)向けの、殺菌物質を用いた処理装置(1)であって、
回転するよう構成された回転ユニット(6)と、
重力によって同じ数だけ列(8)内に配置された前記蓋(2)を収容可能な複数の縦レール(7)であって、前記レール(7)は互いに略平行であり、円状に配置されるよう前記回転ユニット(6)にしっかりと接続されたレールと、
前記レール(7)の下方に位置し、蓋(2)の列(8)を支持するような支持異形材(15)と、
前記殺菌物質の分配手段(16)と、
を備え、
前記支持異形材(15)の高さが変化しているために、前記回転ユニット(6)が回転すると、蓋(2)の列(8)がレベル差を有する外周経路をたどり、蓋(2)の間の相対的な変位が決まる、処理装置。
【請求項2】
前記レベル差を有する外周経路は、少なくとも一つの上昇部分(18)と少なくとも一つの下降部分(19)とを備える、請求項1に記載の処理装置(1)。
【請求項3】
前記レベル差を有する外周経路は、複数の上昇部分(18)と複数の下降部分(19)とを備える、請求項2に記載の処理装置(1)。
【請求項4】
前記少なくとも一つの上昇部分(18)と前記少なくとも一つの下降部分(19)とは、傾斜路状又は階段状である、請求項2又は3に記載の処理装置(1)。
【請求項5】
前記レール(7)は、前記回転ユニット(6)の回転軸(A)に平行である、請求項1から4のいずれか1つに記載の処理装置(1)。
【請求項6】
前記回転ユニット(6)の回転軸(A)は、前記処理装置(1)の支持平面に垂直である、請求項5に記載の処理装置(1)。
【請求項7】
前記回転ユニット(6)の回転軸(A)は、前記処理装置(1)の支持平面に対して傾斜している、請求項5に記載の処理装置(1)。
【請求項8】
前記レール(7)は、前記回転ユニット6の回転軸(A)に対して所定の角度だけ傾斜する、請求項1から4のいずれか1つに記載の処理装置(1)。
【請求項9】
前記支持異形材(15)は、前記回転ユニット6に固定されている、請求項1から8のいずれか1つに記載の処理装置(1)。
【請求項10】
前記分配手段(16)は、前記レール(7)に応じて前記レール(7)の外側に配置された複数のノズルを備える、請求項1から9のいずれか1つに記載の処理装置(1)。
【請求項11】
内部の清浄度が制御された環境(10)を画成及び隔離可能な保護筐体(9)を更に備える、請求項1から10のいずれか1つに記載の処理装置(1)。
【請求項12】
前記清浄度が制御された内部環境(10)に向かって前記蓋(2)を搬送する搬送手段(13)を更に備える、請求項11に記載の処理装置(1)。
【請求項13】
前記搬送手段(13)は、重力によって前記蓋(2)が前進する流路(13a)を少なくとも備え、前記保護筐体(9)は、前記流路(13a)が内部に通じる、アクセス開口(14)を有する、請求項12に記載の処理装置(1)。
【請求項14】
前記保護筐体(9)は、筐体(9)の壁を加熱する手段を備え、前記壁は前記清浄度が制御された内部環境(10)に接している、請求項11から13のいずれか1つに記載の処理装置(1)。
【請求項15】
容器の瓶詰めライン(100)であって、
請求項1から14のいずれか1つに記載の処理装置(1)と
、
前記容器の充填装置(30)と、
前記処理装置(1)と前記充填装置(30)との間のインターフェース装置(40)と
を備え、
前記インターフェース装置(40)は、前記処理装置(1)との連絡部と前記充填装置(30)との連絡部とを備え、前記充填装置(30)からの粒子及び流体が前記処理装置(1)に到達しないような寸法を有する、瓶詰めライン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の蓋向けの、殺菌物質を用いた処理装置に関する。特に、本発明の装置は、無菌技術を用いた瓶詰めの分野に適用可能である。
【背景技術】
【0002】
周知のように、無菌技術を用いた瓶詰めラインにおいて、(成形、充填、蓋締め等の)各種作業場での清浄度管理が最も重要である。管理された環境内部へと配置する流体を適切に濾過し、各種領域の圧力を適正に管理して望ましくない粒子の経路を管理し、環境を正しく監視し、定置洗浄(CIP(Cleaning In Place))及び定置滅菌(S.I.P(Sterilization In Place))のサイクルを適正に管理し、適度な品質とすることを確実に行うことが必要である。
【0003】
本出願人は近年、予成形品の殺菌、容器の成形、成形された容器の充填、及び充填した容器の閉鎖等の瓶詰めラインの各種作業場を収容する、清浄度管理された環境を画成可能な隔離装置を開発した。従ってこれらの装置及び方法の詳細については、本出願人の名義での欧州特許EP2246176及び欧州特許出願EP2279850に記載されている。
【0004】
無菌瓶詰めラインにおいて、成形した容器の充填及びその蓋締めの前に、容器の蓋(キャップ又はカプセル)そのものを殺菌することも必要である。従来技術では、これらの蓋は、化学薬品を用いるか、電磁放射を用いて殺菌可能であった。本出願で開示する発明は、化学薬品を用いた殺菌に関するため、現在周知の主な化学的殺菌の方法について、以下に簡単に説明する。
【0005】
WO2010031464文献は、回転する搬送システムの内部でキャップを殺菌する装置について記載している。キャップは、略水平方向の列をなすように整理され互いに間隔を有しながら、モータや滑車と結合した無端搬送ベルトに沿った経路をたどり、この経路の間に殺菌剤による処理を受ける。提案された装置は、搬送ベルト上でキャップの方向を揃える作業も行うために、構造が複雑で大型となる。
【0006】
EP2039439文献に記載の別の方法は、螺旋状経路に沿って前進させながら、過酢酸に浸漬することにより、カプセルを殺菌するためのものである。
【0007】
US7360345文献に示されたカプセルの処理では、非常に小型のドラムの内部にカプセルを支持可能な、複数の回転ディスクが存在する。この方法の主な欠点は、一つのディスクから別のディスクへとカプセルを搬送する複雑さに関係する。
【0008】
他の方法がWO2010023697文献に示されており、殺菌物質を投与した直線状の管の内部でカプセルを殺菌する。
【0009】
或いは、その他の方法によれば、重力によってカプセルを前進させ、その前進経路に沿って殺菌する方法がある。
【0010】
例えば、US4958649文献は、処理中重力によって前進するカプセルを支える、円形ベース上に配置された複数の渦巻き状流路によって形成される装置を記載している。
【0011】
一方EP1547622で提案される方法は、カプセルによって特定される主平面に平行な平面内に延びる、カプセルの非直線的な前進経路を記載している。
【0012】
最後に、本発明に最も近い従来技術を示す文献である、WO2012000573文献に開示されるのは、独立した二つの回転体が重ね合わされ、各回転体は複数の垂直レールを支えており、その内部に重力によってカプセルが導入される。第一の(上部)回転体では、カプセルは予備加熱され、第一から第二回転体への通路内で殺菌物質により処理され、第二の(下部)回転体では、殺菌物質を活性化する高温のガス流を受ける。
【0013】
この方法の主な欠点は以下の通りである。上述のようにカプセルは、対応するレール内で垂直な列をなすよう配置され、回転中、ほぼその位置のままである。従って各カプセルの露出した領域、即ち、内表面や外表面の大部分には殺菌物質が到達する。しかしながら、殺菌物質の影響を受けない「グレー領域」があり、これらは、カプセル間の相互に接触した領域である。これらのグレー領域では、殺菌される可能性が低いか殺菌が不十分となる。
【発明の概要】
【0014】
これに関連して、本発明の基礎となる技術目標は、上述の従来技術の欠点を解決する、容器の蓋向けの、殺菌物質を用いた処理装置を提供することである。
【0015】
特に、本発明の目的は、各蓋をより均一に殺菌することができる、容器の蓋向けの、殺菌物質を用いた処理装置を開示することである。
【0016】
本発明の更なる目的は、殺菌物質による容器の蓋向けの処理装置であって、小型で、構造的に簡単であると同時に、周知の方法と比べてより効率的な装置を利用可能とすることである。
【0017】
このような技術目標及び具体的な目的は、一つ以上の添付の請求項に記載した技術的特徴を備えた、容器の蓋向けの、殺菌物質を用いた処理装置によって実質的に達成される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明の更なる特徴と利点とは、添付の図面に示すような、殺菌物質による容器の蓋向けの処理装置の、好ましいがこれに限定するものではなく排他的ではない実施例を用いた記載によってより明らかになる。
【
図1】殺菌物質による容器の蓋向けの処理装置を示す、上部からの斜視図である。
【
図2】
図1の処理装置(保護筐体は部分的に削除されている)を示す、正面斜視図である。
【
図3】
図1の処理装置の一部(回転ユニット、レール、分配手段)を示す斜視図である。
【
図4】
図1の処理装置の一部(レール、支持異形材)を示す斜視図である。
【
図5】
図5a、5bは、回転ユニットの回転の二つの異なる瞬間において支持異形材に対する蓋の列の相対位置を示す概略図である。
【
図6】
図6a、6b、6cは、
図1の処理装置の支持異形材の三つの実施形態を示す斜視図である。
【
図7】
図7a、7bは、二つの異なる蓋である、平坦キャップ、スポーツキャップをそれぞれ示す斜視図である。
【
図8】
図1の処理装置を備える、瓶詰めラインの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図面を参照すると、参照符号1は、容器の蓋2用の、殺菌物質を用いた処理装置を示す。例えば、殺菌物質は、過酸化水素である。特に、この殺菌物質はガス状である。或いは、殺菌物質は液体である。
【0020】
これに関連して、蓋2という用語は、キャップやカプセル等の凹形の蓋に関連する。蓋2は、高分子材料からなることが好ましい。
【0021】
例えば、蓋2は、
図7aに示すような、平坦キャップによって表される。蓋2の他の例としては、
図7bに示すようなスポーツキャップによって表される。
【0022】
これら両方について、蓋2は、ベース3と、ベース3から延びて空洞5を形成する側壁4とを有する。空洞5は開口しており、実際には、ベース3の反対側において、蓋2は、容器の口を収納可能な開口を有し、側壁4が容器と係合してベース3によって容器を閉鎖可能である。
【0023】
これに関連して、蓋2の「内表面」という用語は、側壁4の内表面とベース3の内表面とを特定する。蓋2の「外表面」という用語は、側壁4の外表面とベース3の外表面とを指す。
【0024】
図7aにおいて、蓋2によってその範囲を画成される空洞5は、略筒形状を呈しており、側壁4は筒状部の側壁に略対応し、ベース3は、円形のディスクである。或いは、蓋2によってその範囲を画成される空洞5は、若干円錐状を有する。
【0025】
図7bのスポーツキャップ2はより複雑な形状を呈するが、この場合もベース3、側壁4及び空洞5を特定可能である。
【0026】
処理装置1は、回転ユニット6と、重力によって同じ数だけ列8内に配置された蓋2を収容可能な複数の縦レール7とを備える。レール7は、互いに略平行であり、回転ユニットの周方向拡張部をたどるよう回転ユニット6にしっかりと(solidly)接続される。
【0027】
ここで記載及び例示する形態において、レール7は、回転ユニット6の回転軸Aに平行である。
【0028】
添付した全ての図面において、処理装置1は、回転ユニット6の回転軸Aが支持平面に垂直となるように支持平面(地面又は床)上に配置される。従って、レール7もまた、(回転軸Aに平行なので)支持平面に垂直である。
【0029】
支持平面に対して傾斜した回転軸Aを有する処理装置1を配置する可能性(図示せず)もある。この場合には、レール7もまた、(回転軸Aに平行なので)支持平面に対して傾斜する。
【0030】
(図示しない)別の形態において、レール7は、回転ユニット6の回転軸Aに対して所定の角度だけ傾斜する。
【0031】
処理装置1は、清浄度が制御された内部環境10を画成及びその環境を隔離可能な保護筐体9を備える。例えば、保護筐体9は、略八角柱形状又は円筒形状の内部環境10を画成する。
【0032】
特に、保護筐体9は、清浄度が制御された内部環境10と接する、筐体9自身の壁に対する加熱手段を備える。加熱手段は、結露(condensation)を防ぐために壁の温度を制御する手段を備える。加熱手段は、周知の方法で作成される。
【0033】
保護筐体9は、清浄度が制御された内部環境10の調整及び/又は保守作業のための介入を可能とする、少なくとも一つのアクセス窓11を備える。ここに記載及び例示した形態では、三つのアクセス窓11があり、対応する気密のハッチドア12によって閉鎖可能である。
【0034】
レール7内に収容された各蓋2は、空洞5(従って開口)を外側に向けて(例えば
図4参照)いる。言い換えれば、空洞5(従って開口)は、保護筐体9の方に向いている。
【0035】
処理装置1は、汚染が管理された内部環境10に向かって蓋2を搬送する搬送手段13を備えることが好ましい。例えば、搬送手段13は、重力によって蓋2が前進する流路13aを少なくとも備える。流路13aは、略垂直であることが好ましい。或いは、流路13aは傾斜している。
【0036】
保護筐体9には、アクセスのための開口14が設けられた上部ベース9aがあり、その開口の内部に搬送流路13aが通じている。
【0037】
処理装置1は、レール7の下に配置され、蓋2の列8を支持する周方向拡張部を更に有する、支持異形材15を備える。
【0038】
ここに記載及び例示した形態において、支持異形材15は、回転ユニット6に固定される。(図示しない)別の形態において、支持異形材15は、回転ユニット6に対して移動可能である。
【0039】
処理装置1は、殺菌物質の分配手段16を備える。ここに記載及び例示した形態において、分配手段16は、回転ユニット6に固定される。或いは、分配手段16は、移動可能である。
【0040】
特に、分配手段16は、蓋2の空洞5に向かって殺菌物質を供給するように配置された複数のノズルを備える。特に、これらのノズルは、レール7と保護筐体9との間に位置し、よってノズルもまた周方向拡張部をたどる。言い換えれば、分配手段16は、蓋2のレール7を収容する周方向拡張部より大きい径を有する同心円状の周方向拡張部を形成する(
図3参照)。ここに記載及び例示した形態において、分配手段16は、略垂直に配置された、即ちレール7に平行な筒状体17からなる。これら筒状体17はそれぞれ、複数のノズルを備える。
【0041】
独創的に(originally)、支持異形材15の高さが変化しているために、回転ユニット6が回転すると、蓋2の列8がレベル差を有する外周経路をたどり、蓋2の間の相対的な変位が決まる。
【0042】
レベル差のある外周経路は、少なくとも一つの上昇部分18と少なくとも一つの下降部分19とを備える。ここに記載及び例示した形態において、レベル差を有する外周経路は、複数の上昇部分18と複数の下降部分19とを備える。例えば、上昇部分18と下降部分19とは、所定の傾斜を有する傾斜路状(ramps)、又は階段状(steps)である。
【0043】
本発明に記載の、容器の蓋向けの、殺菌物質を用いた処理装置の機能について以下に説明する。
【0044】
回転ユニット6は、初期段階として静止状態にあると考える。
【0045】
蓋2は、重力により搬送流路13a内を前進し、アクセス開口14を通過すると、アクセス開口14の真下に位置するレール7内に配置され、これによって第一の列8が形成される。上述したように、各蓋2は、空洞5が保護筐体9に向くように配置される。
【0046】
図5aに示すように、より低いレベルに位置する列8の蓋2a(分かり易くする為に先頭の蓋2と呼ぶことにする)は、支持異形材15上に載置される。
【0047】
回転ユニット6が回転している間、レール7は、回転ユニット6と共に回転し、搬送流路13aから到着した蓋2は、アクセス開口14の下に位置するレール7内に順次搬出される。
【0048】
レール7が回転することにより、各列8の先頭の蓋2aは、上昇部分18と下降部分19とに沿ってレベル差を有する外周経路をたどることとなる。例えば、
図5a及び5bは、先頭の蓋2aが支持異形材15の段差から下降する様子を示している。この段差によって、下降中に列8内の蓋同士が分離され、蓋2同士の接触している領域がなくなる。更に、段差から下降する際に、先頭の蓋2aがそれ自身部分的に回転し、ひいてはすぐ上に位置する蓋2を回転させることとなる。
【0049】
回転中、分配手段16は、蓋2の空洞5に向けて殺菌物質を散布し、その結果蓋2の内表面が殺菌される。通常の動作では、全ての内部環境10が殺菌物質で飽和した状態となるので、その結果、蓋2の外表面が殺菌される。
【0050】
更に、段差からの下降及び蓋2自身の部分的な回転の間に蓋2の間で生まれる分離によって、蓋2同士の瞬時の接触帯が変化する。
【0051】
回転ユニット6が部分的又は完全に回転した後に、蓋2は、保護筐体9内に形成された排出開口20を介して外部に送られる。
【0052】
図8に示すように、処理装置1は、瓶詰めライン100の一部である。
【0053】
容器の充填装置30は、処理装置1の下流に位置し、この充填装置もまた隔離され、インターフェース装置40を介して処理装置1と接続可能である。処理装置1の清浄度が制御された内部環境10において、圧力は約10Paである。充填装置30内部の圧力は、約30Paである。インターフェース装置40には、処理装置1との連絡部と充填装置30との連絡部とが備えられ、充填装置30からの粒子(例えば製品)及び流体(例えば洗浄液)が処理装置1に到達しないような寸法とする。
【0054】
本発明に記載の、容器の蓋向けの、殺菌物質を用いた処理装置の特徴は、以上の記載により明らかであり、結果的な利点を有する。
【0055】
特に、高さが変化する支持異形材の存在により、回転ユニットの回転中、蓋が相対的に変位する。このような相対的変位によって確実に、略全ての領域が殺菌物質による処理に徐々に晒されることとなる。言い換えれば、殺菌物質が行き届かない「グレー領域」がなくなるため、従来技術の場合より、各蓋はより均一に殺菌される。
【0056】
更に、ここに開示した処理装置は、蓋の変位が支持異形材のレベル差を有する側面形状(profiling)によって決定されるので、構造的に簡単であり小型である。よって、最も近い従来技術の方法と装置の寸法は同一であるが、殺菌の効果は増加する。