(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
半導体基板に形成された絶縁構造であって、前記絶縁構造は前記半導体基板に形成されたトレンチを含み、前記トレンチは第1の誘電体材料と第2の誘電体材料との混合物を含み、前記混合物における前記第2の誘電体材料の割合は、前記トレンチにおける深さが浅くなるほど高く、前記第2の誘電体材料は、前記第1の誘電体材料と比較して、相対的に硬質であり、かつ相対的に低いエッチング速度を有し、前記第2の誘電体材料は前記第1の誘電体材料と異なり、前記絶縁構造の表面は前記半導体基板の表面と同一平面にある、絶縁構造。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
半導体集積回路(IC)チップの製作では、チップの表面上に形成された素子を電気的に絶縁することが頻繁に必要である。これを行なうさまざまなやり方がある。1つの方法は、窒化ケイ素などの比較的固い材料でチップの表面がマスキングされ、厚い酸化層がマスクの開口部に熱により成長する、周知のLOCOS(Local Oxidation of Silicon)プロセスを用いることによる。別の方法は、シリコンにトレンチをエッチングし、次に、トレンチを酸化ケイ素などの誘電体材料で充填することである。
【0003】
これらの絶縁構造は、ドーパントの側方拡散に対する障壁または停止要素の役割をすることもでき、それによって、チップの表面上においてより蜜に実装された素子密度が可能になるので、このプロセスの初期において形成することが望ましい。要するに、誘電体で充填されたトレンチは、電気的絶縁構造としても拡散停止要素としても機能することができる。
【0004】
誘電体で充填されたトレンチをプロセスの初期に形成することに関する問題は、しばしばエッチングおよびクリーニングを含むその後のプロセス工程により、トレンチの誘電体材料がエッチングされたり侵食されたりし得ることである。これは、絶縁構造としてのトレンチの価値を減じる場合があり、チップの上面に凹みを形成しかねず、さらなる処理をより困難にする。
【0005】
この問題は、
図1A−
図1Cに示される。
図1Aでは、トレンチ101が半導体基板100にエッチングされている。
図1Bでは、トレンチ101は誘電体材料102で充填されており、上面は絶縁構造を形成するために(例えば化学機械的研磨によって)平坦にされている。
図1Cはさらなる処理後の絶縁構造を示し、誘電体材料102の一部が取除かれ、または侵食されて、構造上面に凹部またはギャップ103を形成する。通常の半導体プロセスにおける耐エッチング性の誘電体材料(例えば窒化ケイ素)は、固く、脆く、高応力材料である傾向がある。これらの材料がトレンチに堆積されると、割れる傾向がある。
【0006】
第2の問題は、チップが概して2つの一般領域に分割されることから生じる。広い、または幅広い「フィールド」領域と、時には「活性な」領域と呼ばれる、より密に実装された素子領域とである。密な実装密度を維持するために活性な領域に比較的狭く深いトレンチを形成することと、素子をより長い距離に間隔を空けるためにフィールド領域に比較的幅広いトレンチを形成することが好ましい。これはトレンチを満たす際に問題を引起こす。狭いトレンチは満たされ得るが、幅広いトレンチを満たすのは困難である。代替的にフィールド領域の長い距離をカバーするために多数の狭いトレンチを用いることにより、チップの構造を複雑にしかねない。
【0007】
したがって、その後の処理中に誘電性の充填材料の侵食を回避する誘電体で充填された絶縁構造を形成する、柔軟で適合可能な技術を開発することが望ましい。チップのフィールドにおいて比較的幅広い構造、かつ活性領域において比較的狭い構造の形成を準備することも望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の概要
この発明によれば、半導体基板におけるトレンチを「誘電性充填剤」で満たすことにより絶縁構造が形成される。誘電性充填剤は、第1の誘電体材料および第2の誘電体材料を含む。第1の誘電体材料はトレンチの下部に位置し、第2の誘電体材料はトレンチの上部に位置し、下部は典型的には縦寸法で上部よりも大きい。第2の誘電体材料の表面は基板の表面と実質的に同一平面上である。第2の誘電体材料が、第1の誘電体材料をエッチングする化学薬品によってはエッチングされないという意味で、第1および第2の誘電体材料は相違する。したがって、その後の処理では、第2の誘電体材料が第1の誘電体材料の上に保護キャップを形成する。典型的には、第1の誘電体材料は比較的軟質の低応力材料であり、第2の誘電体材料は比較的固い耐エッチング性材料である。割れの問題は、後のエッチングプロセス中に保護を与えるが応力問題は引起こさない値に第2の誘電体層の厚さを制限することにより、回避され得る。
【0009】
代替的には、離散的なキャップを形成する代りに、トレンチは、トレンチの口に向かって上向きに進むにつれて誘電性充填剤における第2の誘電体材料の割合が徐々に増加する、「段階的な」誘電体で充填されてもよい。
【0010】
誘電性充填剤からのドーパントが半導体基板に移動するのを妨げるために、トレンチの側壁は酸化層によってライニングされてもよい。
【0011】
1群の実施例では、第1の誘電体材料は、ドープされているかまたはドープされていない、酸化ケイ素およびケイ酸塩ガラスである。第2の誘電体は、窒化ケイ素、ポリイミド、または、酸化ケイ素を僅かに含むかもしくは全く含まない、いかなる誘電体材料でもあり得る。
【0012】
基板はさらに、ケイ素の局所酸化(LOCOS)プロセスによって典型的には形成される、フィールド酸化領域の下部を含んでもよい。フィールド酸化領域の表面もまた、基板の表面と実質的に同一平面上にある。代替的には、保護キャップがフィールド酸化膜上に形成されてもよい。
【0013】
実施例の別のグループでは、基板は2つの絶縁構造を含み、第1の絶縁構造は比較的浅くて幅広いトレンチに形成され、第2の絶縁構造は比較的狭くて深いトレンチに形成される。両方のトレンチは誘電性充填剤で満たされ、誘電性充填剤の表面は基板の表面と実質的に同一平面上にある。代替的には、上述の種類の保護キャップが各トレンチの口に形成されてもよい。
【0014】
実施例のさらに別の組では、1つ以上のフィールド酸化領域が1つ以上のトレンチ絶縁構造と同じ基板に形成される。予め定められた導電型およびドーピング濃度のフィールドドーピング領域がフィールド酸化領域の下に形成されてもよい。任意に、トレンチおよびフィールド酸化領域が基板の表面の面に出会うところに保護誘電体キャップが形成されてもよい。構造全体の表面は実質的に同一平面上にある。表面は、化学的エッチバック、プラズマ強化または反応イオンエッチング(RIE)、化学機械研磨(CMP)またはその何らかの組合せを用いることにより平坦にされていてもよい。
【0015】
この発明はさらに、絶縁構造を製作する方法を含む。そのような1つの方法は、半導体基板にトレンチを形成することと、トレンチに第1の誘電体材料を堆積させることと、第
1の誘電体材料の表面が基板の上面の第2のレベルよりも下の第1のレベルに位置するように第1の誘電体材料の一部を取除いて、それによって凹部を形成することと、凹部に第2の誘電体材料を堆積させることと、第2の誘電体材料の表面が基板の表面と実質的に同一平面上になるように第2の誘電体材料の一部を取除いて、それによってトレンチに保護キャップを形成することとを含む。
【0016】
別の方法は、フィールド酸化領域を半導体基板の表面に熱により形成することと、基板にトレンチを形成することと、トレンチに第1の誘電体材料を堆積させることと、第1の誘電体材料の表面が基板の表面の第2のレベルよりも下の第1のレベルに位置するように第1の誘電体材料の一部を取除いて、それによって凹部を形成することと、凹部に第2の誘電体材料を堆積させることと、フィールド酸化領域の表面および第2の誘電体材料の表面が基板の表面と実質的に同一平面上になるようにフィールド酸化領域および第2の誘電体材料の一部を取除いて、それによってトレンチに保護キャップを形成することとを含む。
【0017】
この発明の方法は高度に柔軟で、半導体基板における異なる領域および素子の異なる要求に応えるのに必要な絶縁領域を形成するために用いることができる。基板の構造は極めて平らに、または少なくともその後の処理中に細い線幅およびサブミクロンの機構またはそれらの相互接続の形成を妨げず、複雑にしないよう十分に平らに維持される。その後の処理中に侵食から誘電体材料を保護するために保護キャップを用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1A】絶縁構造として機能するトレンチにおける誘電体が後の処理中に侵食されるときに生じる問題を示す図である。
【
図1B】絶縁構造として機能するトレンチにおける誘電体が後の処理中に侵食されるときに生じる問題を示す図である。
【
図1C】絶縁構造として機能するトレンチにおける誘電体が後の処理中に侵食されるときに生じる問題を示す図である。
【
図2A】誘電体で充填されたトレンチの口に保護キャップを含む絶縁構造を形成するプロセスを示す図である。
【
図2B】誘電体で充填されたトレンチの口に保護キャップを含む絶縁構造を形成するプロセスを示す図である。
【
図2C】誘電体で充填されたトレンチの口に保護キャップを含む絶縁構造を形成するプロセスを示す図である。
【
図2D】誘電体で充填されたトレンチの口に保護キャップを含む絶縁構造を形成するプロセスを示す図である。
【
図2E】誘電体で充填されたトレンチの口に保護キャップを含む絶縁構造を形成するプロセスを示す図である。
【
図2F】誘電体で充填されたトレンチの口に保護キャップを含む絶縁構造を形成するプロセスを示す図である。
【
図3A】保護キャップに隣接するトレンチの壁に酸化層が形成される、
図2Fの絶縁構造の修正バージョンを形成するプロセスを示す図である。
【
図3B】保護キャップに隣接するトレンチの壁に酸化層が形成される、
図2Fの絶縁構造の修正バージョンを形成するプロセスを示す図である。
【
図3C】保護キャップに隣接するトレンチの壁に酸化層が形成される、
図2Fの絶縁構造の修正バージョンを形成するプロセスを示す図である。
【
図3D】保護キャップに隣接するトレンチの壁に酸化層が形成される、
図2Fの絶縁構造の修正バージョンを形成するプロセスを示す図である。
【
図4】
図3Dに示される酸化層がその後の処理においていかに侵食され得るかを示す図である。
【
図6A】広い、または幅広いフィールド酸化領域および比較的狭い誘電体で充填されたトレンチを含む絶縁構造を形成するプロセスを示す図である。
【
図6B】広い、または幅広いフィールド酸化領域および比較的狭い誘電体で充填されたトレンチを含む絶縁構造を形成するプロセスを示す図である。
【
図6C】広い、または幅広いフィールド酸化領域および比較的狭い誘電体で充填されたトレンチを含む絶縁構造を形成するプロセスを示す図である。
【
図7A】幅広く浅いトレンチおよび狭く深いトレンチを含む絶縁構造を形成するための処理を示す図である。
【
図7B】幅広く浅いトレンチおよび狭く深いトレンチを含む絶縁構造を形成するための処理を示す図である。
【
図7C】幅広く浅いトレンチおよび狭く深いトレンチを含む絶縁構造を形成するための処理を示す図である。
【
図7D】幅広く浅いトレンチおよび狭く深いトレンチを含む絶縁構造を形成するための処理を示す図である。
【
図7E】幅広く浅いトレンチおよび狭く深いトレンチを含む絶縁構造を形成するための処理を示す図である。
【
図7F】幅広く浅いトレンチおよび狭く深いトレンチを含む絶縁構造を形成するための処理を示す図である。
【
図7G】幅広く浅いトレンチおよび狭く深いトレンチを含む絶縁構造を形成するための処理を示す図である。
【
図7H】幅広く浅いトレンチおよび狭く深いトレンチを含む絶縁構造を形成するための処理を示す図である。
【
図8A】各構造の頂部に保護キャップが形成された、広い、または幅広いフィールド酸化領域および比較的狭い誘電体で充填されたトレンチを含む絶縁構造を形成する別のプロセスを示す図である。
【
図8B】各構造の頂部に保護キャップが形成された、広い、または幅広いフィールド酸化領域および比較的狭い誘電体で充填されたトレンチを含む絶縁構造を形成する別のプロセスを示す図である。
【
図8C】各構造の頂部に保護キャップが形成された、広い、または幅広いフィールド酸化領域および比較的狭い誘電体で充填されたトレンチを含む絶縁構造を形成する別のプロセスを示す図である。
【
図8D】各構造の頂部に保護キャップが形成された、広い、または幅広いフィールド酸化領域および比較的狭い誘電体で充填されたトレンチを含む絶縁構造を形成する別のプロセスを示す図である。
【
図8E】各構造の頂部に保護キャップが形成された、広い、または幅広いフィールド酸化領域および比較的狭い誘電体で充填されたトレンチを含む絶縁構造を形成する別のプロセスを示す図である。
【
図8F】各構造の頂部に保護キャップが形成された、広い、または幅広いフィールド酸化領域および比較的狭い誘電体で充填されたトレンチを含む絶縁構造を形成する別のプロセスを示す図である。
【
図8G】各構造の頂部に保護キャップが形成された、広い、または幅広いフィールド酸化領域および比較的狭い誘電体で充填されたトレンチを含む絶縁構造を形成する別のプロセスを示す図である。
【
図8H】各構造の頂部に保護キャップが形成された、広い、または幅広いフィールド酸化領域および比較的狭い誘電体で充填されたトレンチを含む絶縁構造を形成する別のプロセスを示す図である。
【
図8I】各構造の頂部に保護キャップが形成された、広い、または幅広いフィールド酸化領域および比較的狭い誘電体で充填されたトレンチを含む絶縁構造を形成する別のプロセスを示す図である。
【
図8J】各構造の頂部に保護キャップが形成された、広い、または幅広いフィールド酸化領域および比較的狭い誘電体で充填されたトレンチを含む絶縁構造を形成する別のプロセスを示す図である。
【
図9A】フィールド酸化領域の下にフィールドドーピング領域を備える、フィールド酸化領域および誘電体で充填されたトレンチの対を含む絶縁構造を形成するプロセスを示す図である。
【
図9B】フィールド酸化領域の下にフィールドドーピング領域を備える、フィールド酸化領域および誘電体で充填されたトレンチの対を含む絶縁構造を形成するプロセスを示す図である。
【
図9C】フィールド酸化領域の下にフィールドドーピング領域を備える、フィールド酸化領域および誘電体で充填されたトレンチの対を含む絶縁構造を形成するプロセスを示す図である。
【
図9D】フィールド酸化領域の下にフィールドドーピング領域を備える、フィールド酸化領域および誘電体で充填されたトレンチの対を含む絶縁構造を形成するプロセスを示す図である。
【
図9E】フィールド酸化領域の下にフィールドドーピング領域を備える、フィールド酸化領域および誘電体で充填されたトレンチの対を含む絶縁構造を形成するプロセスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
発明の説明
図2A−
図2Fは、
図1Cに示されるようなトレンチの頂部のギャップまたは凹部の形成を回避するトレンチ絶縁構造を製作するプロセスを示す。
図2Aに示されるように、酸化物層または「ハードマスク」層121が半導体基板120の上面に形成され、ハードマスク層121の上にフォトレジスト層122が堆積される。用語「ハードマスク」は、本願明細書において、半導体基板120のトレンチのエッチング中にマスクとして用いられる、熱により成長したか、または堆積された誘電体層を指すよう用いられる。たとえば、「ハードマスク」は、より機械的に軟質であるためにトレンチのエッチングプロセス中に侵食を受ける有機フォトレジスト層122とは区別される。通常のフォトリソグラフィプロセスによってフォトレジスト層122に開口部が形成され、フォトレジスト層122の開口部を通してハードマスク層121に開口部123がエッチングされる。
【0020】
図2Bに示されるように、基板120は開口部123を通してエッチングされてトレンチ124を形成する。フォトレジスト層132は、トレンチエッチングプロセスを妨げ、トレンチエッチングプロセス中に形状を変え、かつトレンチに望ましくない有機汚染物質を導入しかねないので、トレンチのエッチングより前にフォトレジスト層132を取除くことが概して好ましい。異方性エッチングを達成するために反応性イオンエッチ(RIE)を用いることができ、垂直の壁を有するトレンチ124を生成する。比較的薄い酸化層125がトレンチ124の壁および床に熱により成長する。所望であれば、RIEプロセスによって引起された結晶欠陥を取除くために犠牲酸化層を形成することができる。犠牲酸化層は取除くことができ、次に第2の酸化層が成長することができる。酸化層125の厚さは100Åから1000Å、典型的には約300Å−400Åであり得る。トレンチ124が後にドープした誘電体材料で充填されれば、酸化層125は、トレンチ124を囲む半導体材料にドーパントが入るのを防ぐ。
【0021】
図2Cに示されるように、BPSG(borophosphosilicate)ガラスなどの比較的厚い
ガラスの層126が基板120の表面上にスピン形成され、完全にトレンチ124を充填する。BPSGは粘性を減じるためにドープされてもよく、ドープされていなくてもよい。代替的には、BPSGは化学蒸着法(CVD)によって堆積することができる。上述のように、BPSG層126がドープされている場合、酸化層125は、ドーパントが基板120に入り、ドープするのを妨げる障壁として作用する。BGSG層126は十分に厚い(たとえば0.5μmから1.0μmの厚さ)ので、その上面は比較的平坦であって、トレンチ124の位置の上に小さなへこみを備えるのみである。所望であれば、BPSG層126の表面をさらに平坦にするために高温リフローを用いることもできる。
【0022】
図2Dに示されるように、BPSG層126および側壁酸化層125は、その上面が基板120の表面より下になるまでエッチバックされて凹部130を形成する。エッチバックの後、BPSG層126の表面は基板120の表面の0.1μmから0.5μm(典型的には約0.2μmから0.3μm)だけ下であってもよい。次いで、
図2Eに示されるように、別の誘電体の層131が堆積されて、凹部130を充填して基板120の表面から溢れる。次いで、層131はCMPまたはエッチバックによって平坦にされて保護キャップ132を形成し、それが酸化層125およびBPSG層126を完全に覆って保護する。キャップ132の上面は基板120の表面と好ましくは同一平面上にあるが、ウェーハにわたって0.1μmずつ高さが変動し得る。
図2Fはキャップ132が形成された後の構造を示す。
【0023】
層131およびキャップ132は、プロセスの後期に起るクリーニング工程およびエッチング工程によって著しくエッチングされない材料から形成されるべきである。この実施例では、たとえば、層131は窒化ケイ素から作られてもよい。一般に、層131が作られる材料は、その後の処理工程において、全くエッチングしないか、またはBPSG層126または酸化層125よりも実質的に遅いエッチングを行なう。この発明による保護キャップは、
図1Cに示される種類のその後の侵食からトレンチ充填材料を保護するために、プロセス中にいつでも形成することができる。
【0024】
なお、一般に、さらなるエッチングに対する保護シールドを与えることができる窒化ケイ素などの材料は、典型的にはあまり均一には堆積せず、したがってそれらでトレンチを充填するのは困難である。さらに、窒化ケイ素は、厚く堆積されると割れる傾向がある。これらの問題は、BPSGなどのより軟質かつより脆くない材料でトレンチを充填し、次に、窒化ケイ素などのより固く、より脆い材料の比較的薄い保護キャップでその材料を覆うことにより克服される。
【0025】
表1は、いくつかのエッチング液または除去方法について、トレンチを充填するために用いることができる材料の相対的な除去速度を示す。
【0027】
図2A−
図2Fに示されるプロセスの多数の変形がある。そのような1つの変形は
図3A−
図3Dに示される。
図3Aは
図2Dに類似し、BPSG層126および酸化層125が、上面が基板120の表面の下になるまでエッチバックされた後の構造を示す。
図3Bに示されるように、次いで薄い酸化層140が基板120の表面上に熱により成長し、次いで、
図3Cに示されるように、窒化層131が堆積される。この実施例において、酸化層140は、半導体基板120から窒化物層131を分離する。代替的には、酸窒化層は化学蒸着法(CVD)を用いて堆積されてもよい。窒化物層131が、
図3Dに示されるように、平坦にされたりエッチバックされたりするとき、トレンチに残存する窒化物キャップはトレンチの側壁に接していない。このキャップは
図2Fに示す実施例ほど有効なシールを与えない一方、トレンチの壁の酸化(または酸窒化)層140の存在は、窒化物およびケイ素のそれぞれの熱膨脹係数が異なることに起因する応力を減じる傾向がある。酸化(または酸窒化)層140はこのように応力除去を与える。
【0028】
さらに、
図4に示されるように、酸化層140が小さなギャップ150を残すまで過度にエッチングされても、ギャップ150は
図1Cに示される凹部103よりもはるかに小さく、その後のたとえばBPSGの層で充填するのははるかに簡単である。しかしながら、酸化層140すべてを取除かないのが好ましい。
【0029】
図5は上述のプロセスを要約するフロー図であり、各工程は「カード」(省略されたカードは任意の工程を表示する)によって表されている。第1のシーケンスでは、トレンチは、ハードマスク層(例えば酸化層または窒化層)を堆積させ、フォトレジスト層を堆積させ、トレンチマスクを形成するためにフォトレジスト層をパターニングし、トレンチマスクの開口部を通してハードマスク層をエッチングし、任意でフォトレジスト層を取除き、ハードマスク層の開口部を通してトレンチをエッチングすることにより形成される。
【0030】
次のシーケンスでは、任意で犠牲酸化層がトレンチの壁に形成され、取除かれることができ、ライニング酸化層が成長し、トレンチは誘電体(たとえばBPSG)で充填され、任意で誘電体がエッチングまたはCMPにより平坦にされ得る。
【0031】
最後に、誘電性充填剤はトレンチにエッチバックされ、任意で酸窒化層または酸化層が成長するかトレンチの壁に堆積され、窒化物層が堆積されて基板の上面と実質的に同一平面上になるまでエッチバックされる。
【0032】
上記の例は、基板の表面が本質的に平坦な構造について記載する。非平面構造200は
図6Aに示される。基板205は上面202を有する。トレンチ201は基板205にエッチングされており、フィールド酸化領域203は、フィールド酸化領域が基板内に下向きに延在するとともに表面202を越えて上向きにも延在するように、熱により基板に成長している。ポリシリコン層204がフィールド酸化領域203の上に堆積されている。明らかなように、トレンチ201の底部とポリシリコン層204の頂部とでは相当な高さの差がある。トレンチ201が誘電体で充填される場合、誘電体の表面を表面202に対して平坦にするためにエッチバックを用いることができる。そうではなくて誘電体を平坦にするためにCMPが用いられる場合、フィールド酸化領域203の一部と同様にポリシリコン層204も取除かれることは明らかである。
【0033】
この問題の1つの解決策は、ポリシリコン204を省略し(またはプロセスフローの後期までポリシリコン204の形成を延期し)、表面202より下の部分が必要な電気特性を与えるのに十分になるほどフィールド酸化領域203を十分厚く成長させることである。
図6Bは、酸化層206にライニングされ、BPSG207で充填され、その両方がトレンチにエッチバックされた、トレンチ201を示す。構造全体が窒化物層208で覆われ、窒化物層208はトレンチの上部をも満たしている。
図6Cでは、上面は、フィールド酸化領域203の底部部分209およびBPSG207と酸化層206との上の窒化物保護キャップ210を残して、CMPによって平坦にされている。上面は完全に平らである。非平坦な上面を有することがさらなる処理を非常に複雑にするので、
図6Cに示される平らな構造は、
図6Aに示される構造よりも好ましい。さらに、フィールド酸化領域203が熱的手段によって成長するので、残りの領域209は非常に幅広くなり得るが、トレンチは非常に狭くなり得る。要約すると、
図6Cに示される構造は、キャップ210によって耐エッチング性となる「キャップ付きの」トレンチ、および「キャップのない」フィールド酸化領域209を含む。
【0034】
代替として、
図7A−
図7Hは、幅広い絶縁トレンチおよび狭い絶縁トレンチを最小限の工程数を用いて形成することができるプロセスを示す。
【0035】
図7Aでは、基板251にハードマスク層252が堆積されており、ハードマスク層252の上にフォトレジスト層253が堆積されている。フォトレジスト層253はエッチングされて幅広い開口部を形成し、ハードマスク層252はフォトレジスト層253の幅広い開口部を通してエッチングされて基板251の表面を露出する幅広い開口部254を形成する。
【0036】
図7Bに示されるように、基板251はRIEによってエッチングされて幅広いトレンチ260を形成する。フォトレジスト層253は取除かれて、新しいフォトレジスト層257が堆積する。トレンチ260が深すぎない場合、フォトレジスト層257はトレンチ260の底部と基板251の上面との間の段差を覆う。フォトレジスト層257に比較的狭い開口部がエッチングされ、そのフォトレジスト層257の開口部を通してハードマスク層252がエッチングされて、基板251の表面を露出する狭い開口部256を形成する。代替的には、層257は、フォトレジスト層(示されない)によってパターニングされてエッチングされた、堆積されたハードマスク誘電体層を表してもよい。
【0037】
図7Cに示されるように、基板251がRIEによってエッチングされて狭いトレンチ261を形成する。次いで、フォトレジスト(またはハードマスク)層257およびハードマスク層252が取除かれるか、またはパターニングされエッチングされる。
【0038】
任意に、RIEプロセスに起因するいかなる結晶損傷をも修理するために、犠牲酸化層(示されない)がトレンチ260および261において成長し、取除かれることができる。
図7Dに示されるように、基板251へのドーパントの拡散に対する障壁として薄い酸化層262が成長し、BPSGの層263が構造の表面全体にわたって堆積される。代替的には、層263は、ドープされたかもしくはドープされていない、CVD堆積されたかスピンオンされた酸化ケイ素、ケイ酸塩ガラス、または、誘電性「充填」剤材料がその後の処理工程中、アセンブリ中、および素子の動作中に生じる温度変化における割れを回避するのに十分に低い応力を示すことを条件に、いかなる他の誘電体「充填」材料をも含むことができる。
【0039】
当然、プロセスシーケンスは、狭い方のトレンチが幅広い方のトレンチの前に形成されるように改訂されてもよい。
【0040】
次に、
図7Eに示されるように、構造の上面全体はCMPまたはCMPが後続する短い化学エッチバックによって平坦にされる。
【0041】
任意で、
図7Fに示されるように、酸化層262およびBPSG層263はトレンチ260および261に(たとえば酸またはドライエッチングによって)エッチバックされ、凹み270および271を形成する。
図7Gに示されるように、二酸化ケイ素、ケイ酸塩ガラスまたはBPSG(たとえば窒化物またはポリイミド)に類似しない誘電体が構造の上面上に堆積され、
図7Hに示されるように、上面は再び平坦にされてトレンチ260および261の口に保護キャップ280を形成する。誘電性充填剤材料263と異なり、キャップ280を形成するのに用いられる材料は、その材料がIC製造におけるその後のウェーハ処理中に行なわれる通常のエッチングによって侵食されないこと、かつキャップ280が割れを回避するのに十分に薄く作られることを条件に、脆い、または高応力の材料を含んでもよい。
【0042】
図8A−
図8Jは、キャップ付きの絶縁トレンチおよびキャップ付きのフィールド酸化領域を形成するプロセスを示す。
図8Aに示されるように、パッド酸化層302がシリコン基板301上に成長し、典型的なケイ素局所酸化(LOCOS)シーケンスにおけるように、窒化物層303がパッド酸化層302に堆積する。パッド酸化層はたとえば300Åから1000Åの厚さであり得る。窒化物層303は、マスク層(示されない)を通してエッチングされ、パッド酸化層302を露出する幅広い開口部304を形成する。
図8Bに示されるように、構造は(たとえば900℃から1100℃で1時間から4時間)加熱されて、開口部304に厚いフィールド酸化領域305を形成する。LOCOSプロセスにおいて通常であるように、窒化物層303は、開口部304の縁部において拡大する酸化物によって持ち上げられ、よく知られた「鳥の嘴」形状を形成する。次に、窒化物層303の残りの部分がエッチングされ(
図8C)、上面はCMPプロセスによって平坦にされて、フィールド酸化領域305の残りの部分306およびパッド酸化層302の間の滑らかな遷移を示す、
図8Dに示される結果をもたらす。
【0043】
次に、
図8Eに示されるように、フォトレジスト層308が堆積され、パターニングされて狭い開口部309を形成する。酸化層307は開口部309を通してエッチングされ、
図8Fに示されるように、基板301はRIEプロセスによってエッチングされ、酸化層307がハードマスクの役割をして、狭いトレンチ310を形成する。酸化層307の残りは短いクリーニング工程で取除かれてもよい。
【0044】
図8Gに示されるように、薄い酸化層311がトレンチ310の壁に成長し、BPSGまたは任意の他の誘電性充填材の層312も堆積する。基板301の上面はエッチングまたはCMPにより平坦にされる。
【0045】
図8Hに示されるように、トレンチ310の酸化層311およびBPSG層312、およびフィールド酸化領域305の残りの部分306は、これらの要素の上面が基板301の上面より下になるまでエッチバックされる。窒化物などの類似しない誘電体の層315が構造にわたって堆積し(
図8I)、構造は再びCMPプロセスを受けて上面が平坦になり、トレンチ310およびフィールド酸化306上に保護キャップ316を形成する(
図8J)。
【0046】
図9A−
図9Eは、フィールド酸化絶縁領域の下にはフィールドドーピング領域を有するがトレンチ絶縁構造の下には有しない構造を生成するプロセスを示す。
【0047】
図9Aでは、パッド酸化層351がシリコン基板350上に成長し、窒化物層352およびフォトレジスト層353がパッド酸化層351の上にその順で堆積されている。フォトレジスト層353はパターニングされて2つの開口部354Aおよび354Bを形成し、窒化物層352は開口部354Aおよび354Bを通してエッチングされてパッド酸化層351を露出する。リン(P+)が開口部354Aおよび354Bを通して注入されてN型領域356Aを形成する。リンの注入量は、典型的には5×10
12cm
-2から3×10
13cm
-2の範囲にあり、注入エネルギは、典型的には約80keVから120keVである。代替的には、ポリイミドの層が窒化物層352の代わりに用いられてもよく、トレンチ374のエッチングのためのハードマスクを形成するために用いられてもよい。
【0048】
図9Bに示されるように、フォトレジスト層353が取除かれて新しいフォトレジスト層355が堆積し、パターニングされて、フォトレジスト層353の以前の開口部354Bの場所を含む開口部を形成する。フォトレジスト層355の開口部を通してホウ素(B+)が注入されて、P型領域356Bを形成する。ホウ素の注入量が、典型的にはリン注入量より一桁多い(たとえば8×10
13cm
-2から2×10
14cm
-2)ので、開口部354Bの下のリン領域をホウ素がカウンタードープしてP型領域356Bを形成する。ホウ素注入のエネルギは、典型的には60keVからl20keVである。
【0049】
次に、
図9Cに示されるように、構造は加熱されて開口部354Aおよび354Bの位置に厚いフィールド酸化領域370Aおよび370Bを形成する。フィールド酸化領域370Aおよび370Bは2000Åから2μmの厚さ(典型的には約0.8μm)であってもよい。この熱プロセスはさらにリンおよびホウ素ドーパントを活性化し、フィールド酸化領域370Aの下にN型フィールドドーピング領域358A、フィールド酸化領域370Bの下にP型フィールドドーピング領域358Bを形成する。
【0050】
窒化物層352の残りが取除かれ(
図9D)、任意に犠牲酸化物が予備成形されてもよい。次に、
図9Eに示されるように、トレンチ374がエッチングされ酸化されて酸化層371を形成し、その後に以前に記載された態様でBPSG372などの材料での誘電性充填が続く。構造の上面はCMPまたはエッチバックによって平坦にされ、酸化層371、BPSG372、ならびにフィールド酸化領域370Aおよび370Bの残りが、上述の態様でエッチバックされる。窒化物(または、トレンチ374を充填するために用いられる材料に類似しない別の誘電体)の層が上面で堆積し、次に表面が平坦にされて保護キャップ373を形成する。
【0051】
このプロセスは、たとえば低電圧素子を絶縁するために用いられ得るフィールドドーピングを持たない比較的狭いトレンチ、および、たとえば高圧CMOS素子を絶縁するために用いられ得るフィールドドーピングを備えた幅広いフィールド酸化領域を生じる。このプロセスは、いかなる他の処理も単純にする平らな上面を備えた、同じ半導体基板における異なる幅および異なるフィールドドーピングの絶縁領域を形成する能力を設計者に与える。さらに、所望であれば、保護キャップを備えた絶縁領域を作ることができる。
【0052】
いくつかの実施例では、トレンチにおける材料は、離散的なトレンチキャップの代わりに段階的な誘電体充填剤によって保護される。そのような実施例では、トレンチは、比較的軟質の低応力誘電体と比較的固い耐エッチング性の誘電体との混合物で少なくとも部分的に充填される。混合物のうち比較的固い耐エッチング性の誘電体の割合は、トレンチの口に接近すると上昇する。たとえば、二酸化ケイ素と窒化ケイ素との混合物がトレンチに堆積されることができ、混合物のうち窒化ケイ素の百分率がトレンチの口の近くで増加する。
【0053】
この発明の具体的な実施例が記載されているが、これらの実施例が例示でしかなく、限定的でないことが理解される。この発明の大原則に従う多くの付加的または代替的な実施例が当業者には明らかである。