特許第6263579号(P6263579)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6263579不織布のニードルパンチフェルト生地、その製造方法、および、それにより作られたフィルター
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6263579
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】不織布のニードルパンチフェルト生地、その製造方法、および、それにより作られたフィルター
(51)【国際特許分類】
   D04H 1/485 20120101AFI20180104BHJP
   D04H 1/541 20120101ALI20180104BHJP
   B01D 39/16 20060101ALI20180104BHJP
【FI】
   D04H1/485
   D04H1/541
   B01D39/16 A
【請求項の数】29
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2016-124803(P2016-124803)
(22)【出願日】2016年6月23日
(62)【分割の表示】特願2013-533071(P2013-533071)の分割
【原出願日】2011年2月28日
(65)【公開番号】特開2017-8475(P2017-8475A)
(43)【公開日】2017年1月12日
【審査請求日】2016年7月25日
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2010/077735
(32)【優先日】2010年10月14日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】513092017
【氏名又は名称】フェアテック インヴェストメント リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100084375
【弁理士】
【氏名又は名称】板谷 康夫
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼▲瑩▼旭
(72)【発明者】
【氏名】克雷格・吉尓伯特
【審査官】 斎藤 克也
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2008/053741(WO,A1)
【文献】 特開2008−190051(JP,A)
【文献】 特公昭53−033787(JP,B2)
【文献】 特開平05−031310(JP,A)
【文献】 特開平09−192427(JP,A)
【文献】 特開2006−281108(JP,A)
【文献】 特開2008−049295(JP,A)
【文献】 特開2008−231597(JP,A)
【文献】 特開2009−209456(JP,A)
【文献】 特開2011−005398(JP,A)
【文献】 特開平08−120552(JP,A)
【文献】 特開平10−180023(JP,A)
【文献】 特表平08−506148(JP,A)
【文献】 特開昭62−061610(JP,A)
【文献】 特表2012−511108(JP,A)
【文献】 特開平11−107155(JP,A)
【文献】 特開2003−340220(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0050578(US,A1)
【文献】 特開昭61−238310(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0114554(US,A1)
【文献】 米国特許第05532050(US,A)
【文献】 国際公開第2008/149737(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 39/00 − 39/20
D04H 1/00 − 18/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一タイプ又は異なるタイプの、少なくとも1つの低融点短繊維と、少なくとも1つの高融点短繊維とで作られている不織布のニードルパンチフェルト生地であって、前記生地は、自立するのに十分硬く、形状維持の能力を有しており、さらに、前記生地は成形自在なものであり、
前記生地が任意の形状又は外形に形作られた時に、その形作られた形状又は外形は、外圧下における使用でも維持され、
前記不織布のニードルパンチフェルト生地は、500g/m乃至2000g/mの範囲の重さおよび50乃至80HAのショアA硬度を有していることを特徴とする不織布のニードルパンチフェルト生地。
【請求項2】
前記不織布のニードルパンチフェルト生地は、前記低融点短繊維および前記高融点短繊維を均一に混合することにより形成された単層の繊維で構成されることを特徴とする請求項1に記載の不織布のニードルパンチフェルト生地。
【請求項3】
前記不織布のニードルパンチフェルト生地は、少なくとも1層の前記低融点短繊維と、少なくとも1層の前記高融点短繊維と、を交互に備えたものであることを特徴とする請求項1に記載の不織布のニードルパンチフェルト生地。
【請求項4】
前記低融点短繊維は、前記高融点短繊維と絡み合っていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の不織布のニードルパンチフェルト生地。
【請求項5】
前記低融点短繊維は、115℃乃至130℃の範囲の融点を有し、前記高融点短繊維は、180℃乃至230℃の範囲の融点を有していることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の不織布のニードルパンチフェルト生地。
【請求項6】
前記低融点短繊維および前記高融点短繊維の各々は、ポリエステル、ポリプロピレン、ナイロン、アクリル、ポリアミド繊維、レーヨン繊維、アクリル繊維、ポリエチレンおよびポリ塩化ビニルから成るグループの中から選択されたものであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の不織布のニードルパンチフェルト生地。
【請求項7】
前記不織布のニードルパンチフェルト生地は、プリーツを自在に施すことができる、ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の不織布のニードルパンチフェルト生地。
【請求項8】
前記不織布のニードルパンチフェルト生地は、前記不織布のニードルパンチフェルト生地の総重量の20%乃至50%の前記低融点短繊維と、前記不織布のニードルパンチフェルト生地の総重量の50%乃至80%の前記高融点短繊維とを備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の不織布のニードルパンチフェルト生地。
【請求項9】
前記不織布のニードルパンチフェルト生地は、前記不織布のニードルパンチフェルト生地の総重量の30%乃至40%の前記低融点短繊維と、前記不織布のニードルパンチフェルト生地の総重量の60乃至70%の前記高融点短繊維とを備えていることを特徴とする請求項8に記載の不織布のニードルパンチフェルト生地。
【請求項10】
ろ過材として、請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の前記不織布のニードルパンチフェルト生地を備えているフィルター。
【請求項11】
前記フィルターは、ろ過材として前記不織布のニードルパンチフェルト生地により形成されたシリンダーを有しており、前記シリンダーが自立する、カートリッジフィルター型のものであることを特徴とする請求項10に記載のフィルター。
【請求項12】
前記シリンダーは、プリーツ状の形状に、プリーツ処理が施されていることを特徴とする請求項11に記載のフィルター。
【請求項13】
前記フィルターは、更に、請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載の前記不織布のニードルパンチフェルト生地を用い、前記プリーツ処理の施されたシリンダーの断面形状に対応する外形を有するように形作られたエンドキャップを備えていることを特徴とする請求項12に記載のフィルター。

【請求項14】
少なくとも1層のポリテトラフルオロエチレン膜またはアクリル樹脂膜が前記不織布のニードルパンチフェルト生地の表面に塗布されている、ことを特徴とする請求項10乃至請求項13のいずれか一項に記載のフィルター。
【請求項15】
前記フィルターがバッグタイプで、前記不織布のニードルパンチフェルト生地がろ過材としてバッグ状に形作られ、該フィルターバッグが自立することを特徴とする請求項10に記載のフィルター。
【請求項16】
前記フィルターがバッグタイプで、前記不織布のニードルパンチフェルト生地にプリーツ処理が施され、ろ過材のバッグ形状に巻かれ、前記フィルターバッグが自立することを特徴とする請求項10に記載のフィルター。
【請求項17】
前記フィルターは、CGRプレートフィルターのタイプで、第1のフィルター要素と、前記第1のフィルター要素に向かい合う第2のフィルター要素と、中心貫通孔を有し前記第1、第2のフィルター要素の間に挟まれる支持板とを備えており、前記第1、第2のフィルター要素が前記不織布のニードルパンチフェルト生地から形作られていることを特徴とする請求項10に記載のフィルター。
【請求項18】
前記第1、第2のフィルター要素の各々は、本体と、該本体上に形成された拡張中心部分と、前記本体の周囲の縁に形成されたフランジと、を含み、
前記拡張中心部分およびフランジは、前記本体の同じ側面から外側に突出しており、
前記本体、拡張中心部分およびフランジは、前記不織布のニードルパンチフェルト生地から全体に一体形成されており、
前記第1のフィルター要素の中心部分は、この中心部分が前記支持板の中心貫通孔をぴったりと通過するように形作られ、寸法決めされており、前記第2のフィルター要素の中心部分は、該中心部分が前記第1のフィルター要素の中心部分をぴったりと通過し、かみ合うように、形作られ、寸法決めされており、
前記第1、第2のフィルター要素のフランジは、それらが前記支持板の周囲に形成された溝にぴったりと収納されるように形作られ、寸法決めされていることを特徴とする請求項17に記載のフィルター。
【請求項19】
前記フィルターは、複数のフィルターセクターで構成される回転式のディスクフィルタータイプのものであり、前記フィルターセクターの各々は、前記不織布のニードルパンチフェルト生地で作られている第1のろ過壁と、該第1のろ過壁に向かい合い前記不織布のニードルパンチフェルト生地で作られている第2のろ過壁と、前記第1、第2のろ過壁を通過したろ液を収容するために、前記第1、第2のろ過壁間に形成されているろ液チャンバとを備えていることを特徴とする請求項10に記載のフィルター。
【請求項20】
前記フィルターセクターは、更に、前記ろ液チャンバに収納される支持板を含んでおり、該支持板は、前記不織布のニードルパンチフェルト生地から形作られ、ろ過液排出口の方へとろ液をガイドする複数の水路を放射状に形成するように輪郭が形成されていることを特徴とする請求項19に記載のフィルター。
【請求項21】
前記第1、第2のろ過壁が、閉まっている前記ろ液チャンバを形成するように、互いにかみ合うように形作られていることを特徴とする請求項19又は請求項20に記載のフィルター。
【請求項22】
1つに合体されてディスクフィルターを形成する複数の支持セクターと、それぞれの支持セクターを包み込む複数のフィルターバッグとを備え、前記支持セクターは請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の前記不織布のニードルパンチフェルト生地から形作られていることを特徴とする回転式のディスクフィルター。
【請求項23】
前記支持セクターは、ろ過液排出口の方へとろ液をガイドする複数のチャンネルを放射状に形成するように輪郭が形成されていることを特徴とする請求項22に記載の回転式のディスクフィルター。
【請求項24】
請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の不織布のニードルパンチフェルト生地を製造する方法であって、
(1)単層の繊維を得るため、または、少なくとも1つの高融点短繊維および少なくとも1つの低融点短繊維が交互に配置された複数層の繊維を得るため、所望の比率で、同じタイプまたは異なるタイプの、少なくとも1つの前記高融点短繊維および少なくとも1つの前記低融点短繊維を均一に混合する工程と、
(2)梳綿機上に前記繊維を梳綿する工程と、
(3)繊維ウェブを形成するためにウェブフォーミングマシンに梳綿された前記繊維を与える工程と、
(4)ニードルパンチフェルト生地ブランクを形成するために前記繊維ウェブをニードルパンチ処理にさらす工程と、
(5)前記低融点短繊維の融点より高いが、しかし、前記高融点短繊維の融点より低い温度で前記ニードルパンチフェルト生地ブランクを加熱し、その結果、前記低融点短繊維は溶けるが、前記高融点短繊維は溶けないようにする工程と、
(6)溶けた前記低融点短繊維を固化するために、前記ニードルパンチフェルト生地ブランクを冷却して、前記不織布のニードルパンチフェルト生地を得る工程と、で構成されることを特徴とする方法。
【請求項25】
前記加熱する工程において、前記低融点短繊維は溶融状態へと溶融され、この結果、溶融された前記低融点短繊維は前記高融点短繊維の中でもつれ、前記高融点短繊維は溶けておらず、それ故、前記ニードルパンチフェルト生地ブランクは、溶融されていない前記高融点短繊維の間に溶融された前記低融点短繊維を挟むことによって構成されることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記低融点短繊維は115℃乃至130℃の融点を有し、前記高融点短繊維は180℃乃至230℃の融点を有し、前記加熱は140℃乃至150℃の範囲で行い、前記冷却は10℃乃至18℃の範囲で行うことを特徴とする請求項24又は請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記加熱する工程は、前記ニードルパンチフェルト生地ブランク内の前記低融点短繊維を加熱するために、熱風が前記ニードルパンチフェルト生地ブランクを通るように、前記ニードルパンチフェルト生地ブランクの上下面に垂直な方向から熱風を吹き当てることを含むことを特徴とする請求項24又は請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記冷却する工程は、高速冷却を可能にするため、前記ニードルパンチフェルト生地ブランクに対して冷却ローラを重力又は油圧によって押し当てることを含むことを特徴とする請求項24又は請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記不織布のニードルパンチフェルト生地は、その上にプリーツを作るようにプリーツ処理が施されることを特徴とする請求項24又は請求項25に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不織布、該不織布の製造方法、および該不織布をろ過材として使用するフィルターに関する。本発明による不織布は、優れた硬さおよび剛性、成形性および圧縮強さを示す。
【背景技術】
【0002】
不織布は、織られたものでも、編まれたものでも無い布である。実際、不織布は、ウェブ構造を組織するために、短繊維または長尺繊維(長い糸状体)を、ランダムまたは指向的にからませ、次に、機械的、熱的または化学的に、1つに接合されることによって作られる。手短に言えば、不織布は、1本の糸毎に織り又は編んだものでは無いが、複数の繊維を物理的に1つに接合したものである。不織布は、従来の織物工業の中で飛躍的進歩を表わすもので、短い流れ作業の工程、高速の生産速度、高出力、低価格、広範な用途、原料等の取得の容易さが特徴である。
【0003】
不織布は、良好なろ過能力、通気性および吸収性を示し、それ故、ろ過材として使用するのに好適である。例えば、不織布は、バッグフィルター、カートリッジフィルターに使用することができる。しかしながら、従来の不織布は、一般に柔軟で、フィルターに取り付けるための支持フレームを必要としていた。図1は、従来のカートリッジフィルターを示す。該フィルターは、2つの円形のエンドキャップ12、14と、2つのエンドキャップ間のネット状の支持フレーム16と、前記ネット状の支持フレームの内側、外側又はその両方に取り付けられている従来の不織布のろ過材と、で構成されている。この構成は、支持フレームがあるため、コスト高となり、フィルターの取り付け、交換にかなりの労働力を要する。他方、ネット状の支持フレームが、ろ過材と処理する流体との接触を妨げ、または、粉塵および/または汚物の付着をもたらすため、多少なりとも、ろ過材の性能は低減される。それ故、不織布の剛性又は曲げ剛性を高めるために、いくつかの試みがなされていた。
【0004】
2010年3月24日の発行日の特許文献1は、合成繊維で作られた長尺繊維不織布、および長尺繊維不織布から作られた円筒状のバッグフィルターを開示している。前記長尺繊維不織布は、熱可塑性の連続的な糸状体で作られており、部分的に熱圧着されている。長尺繊維不織布は、0.050乃至1.000(cN/2cm)/(g/m)の坪量当たりの円弧の曲げ剛性、および0.010乃至0.500(cc/cm/秒)/(g/m)の坪量当たりの通気率を有している。この特許出願に示された長尺繊維不織布は、スパンボンド不織布で、次の行程を含む方法により製造される。即ち、スピナレットを通じて熱可塑性の重合体を溶融押出しする工程と、熱可塑性の連続的な糸状体を形成するため、空気を吸引することによって押出材を吸引し、引き抜く行程と、糸状体を帯電開口にさらし、動作収集面に積層されることを可能にして繊維網を形成する行程と、繊維網を平らなロールを用いて加圧溶接し、高温のエンボスロールを用いて部分的に熱圧着して不織布を形成する行程と、を含む方法により製造される。得られた長尺繊維不織布は、良好な曲げ剛性を有しており、それが空気による逆流洗浄後に優れた形状維持を示すので、バッグフィルターの材料として好適に使用される。しかしながら、この特許出願は、従来のフェルトのような短繊維で作られた不織布はシート剛性が不足しているので不適切であるということを示している。この特許出願に開示されている長尺繊維不織布は、比較的高い剛性を有しているが、その剛性は、小型(例えば30cm)のフィルターの形状を保つのに十分なだけで、依然として支持フレームが必要である。大型(例えば1m以上)のフィルターについては、長尺繊維不織布は、その形状を保つことができない。換言すれば、そのような不織布は、自立できない。
【0005】
セントラル換気システムに用いられたエアフィルターのろ過材が、別の特許文献2に示されている。ろ過材は、上層の不織布と、基部としての下層の不織布と、上層の不織布および下層の不織布の間に合成された1以上の複合層とを、主に備える。ろ過材は、複合層が2層の繊維製接着用合成物の間に粒状活性炭層を挟むことにより形成されたものであって、前記粒状活性炭層が基礎の上に1つずつ独立した粒状活性炭を塗布したものである、ことを特徴とする。ろ過材は、効率の良い低い抵抗を有しているだけでなく、活性炭の吸着性能を維持する。更に、ろ過材は、通気目的で求められる硬さおよび剛性を維持する。この特許出願は、2つの層の不織布がどちらのタイプのものであるのかについては述べていないが、ろ過材は、プリーツ処理に要求される活性炭の量と接着用合成物の量とを調節することによって材料の硬さおよび剛性を制御する方法により、2つの不織布を中間の復合層に取り付けることによって構成されている。しかしながら、この特許出願で示されたろ過材は、接着用合成物の使用が原因で、構造が複雑で、環境に優しくない。さらに、ろ過材のろ過性能は、不織布の活性炭またはいくつかの穴がブロックされたときに低減され得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】中国特許出願公開第101678255号明細書
【特許文献2】中国特許出願第101332385A号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
更に、現在利用可能なフェルト生地は、柔らかな織物で、プリーツは、その上に形成され得ない。それ故、それらはろ過面積を増加するためにプリーツ型のフィルターを製造するのに用いることができない。現在利用可能なフェルト生地は、成形性を有しておらず、すなわち様々な形または外形に形作ることができず、または、形作られた後、その形と外形とを保持することができない。
【0008】
形状を維持するのに十分な剛性を有しており、優れた成形性を示し、自立する、プリーツ成形可能なフェルトは、従来技術には無い。また、支持構造物を必要とせずに、自立する、フェルト製のろ過材を備えている、プリーツ型のフィルターは、先行技術には見つかっていない。
【0009】
本発明は、優れた硬さおよび剛性を示し、注目に値する成形性および高い圧縮強さを示す不織布のニードルパンチフェルト生地を提供することを目的とする。
【0010】
本発明は、上記の不織布のニードルパンチフェルト生地を製造する方法、およびフィルターのろ過材の材料として使用されるニードルパンチフェルト生地を備えているフィルターを提供することを別の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
これらの目的、別の目的および本発明の利点は、同一タイプ又は異なるタイプの、少なくとも1本の低融点短繊維と少なくとも1本の高融点短繊維とで作られている不織布のニードルパンチフェルト生地を用意することによって達成される。前記フェルト生地は、自立するのに十分硬く、形状維持の能力を有しており、さらに、生地は成形可能である。また、前記生地が所望の形状又は構造に成形された場合に、その成形された形状又は構造は、外圧下における使用でも維持される。前記不織布のニードルパンチフェルト生地は、500g/m乃至2000g/mの範囲の重さおよび50乃至80HAのショアA硬度を有している。
【0012】
フェルト生地は、低融点短繊維および高融点短繊維を均一に混合することにより形成された1層の繊維として製造されてもよいし、低融点短繊維の少なくとも1つの層および高融点短繊維の少なくとも1つの層を交互に備えるように製造されてもよい。
【0013】
本発明によれば、低融点短繊維は、溶融された低融点短繊維が高融点短繊維と絡み合うように溶融状態へと加熱され、その後、急冷されて固化される。このことは、低融点短繊維および高融点短繊維の間の結合を強くする。
【0014】
本発明の好ましい一実施形態では、フェルト生地は、2層の高融点短繊維と、それらの間に配置された1層の低融点短繊維を含む。
【0015】
低融点短繊維は、115℃乃至130℃の範囲の融点を有していてもよい。また、高融点短繊維は、180℃乃至230℃の範囲の融点を有していてもよい。
【0016】
低融点短繊維および高融点短繊維の各々は、ポリエステル、テリレン、ポリプロピレン、ナイロン、アクリル、ポリアミド繊維、レーヨン繊維、アクリル繊維、ポリエチレンおよびポリ塩化ビニルから成るグループから選択されたものでもよい。
【0017】
フェルト生地はプリーツ成形可能である。
フェルト生地の硬さは、低融点短繊維の量に依存する。本発明によれば、不織布のフェルト生地は、不織布のフェルト生地の総重量の約20%乃至50%、好ましくは約30%乃至40%の低融点短繊維と、不織布のフェルト生地の総重量の約50乃至80%、好ましくは60乃至70%の高融点短繊維と、を備えている。好ましくは、不織布のフェルト生地は、低融点短繊維および高融点短繊維でできている繊維ブランクを形成し、前記繊維ブランクに、低融点短繊維の融点より高いが、高融点短繊維の融点より低い温度の加熱処理を施し、これにより、低融点短繊維を加熱して溶融状態にして、高融点短繊維にからませ、そして、繊維ブランクを急冷し、固化させることにより形成される。
【0018】
本発明のフェルト生地は、気体と固体とを分けるフィルター、又は、液体と固体とを分けるフィルターのろ過材として好適に使用される。したがって、本発明は、更に、本発明のフェルト生地をフィルターのろ過材の材料として使用しているフィルターを提供する。前記ろ過材は、自立し、支持物を必要としない。
【0019】
本発明の1つの実施形態では、フィルターは、フェルト生地によって形成されたシリンダーをろ過材として有しているカートリッジフィルター型のものであり、前記シリンダーは自立する。好ましくは、シリンダーは、プリーツ状にプリーツ加工される。フィルターは、更に、フェルト生地で形成されたエンドキャップを備えている。前記エンドキャップは、プリーツの付けられたシリンダーの断面形状に相当する表面形状を有するよう形作られている。
【0020】
発明の別の実施形態では、フィルターはバッグフィルタータイプである。フェルト生地はろ過材としてバッグの形状に形作られる。そして前記フィルターバッグは自立する。あるいは、フェルト生地は、ろ過材として、プリーツが付けられ、その後、バッグの形状に巻かれる。そしてバッグの向かい合う2つの側面が、その後、例えば接着剤またはスティッチングの使用により、既知の任意の方法によって封着される。前記フィルターバッグは自立する。
【0021】
本発明の更なる実施形態では、フィルターは、CGRプレートフィルタータイプであり、該フィルターは、第1のフィルター要素と、該第1のフィルター要素に向かい合う第2のフィルター要素と、中心貫通孔を有し、前記第1、第2のフィルター要素の間に挟まれている支持板と、を備えている。前記第1、第2のフィルター要素は、本発明のフェルト生地から形作られている。
【0022】
第1および第2のフィルター要素の各々は、本体と、該本体に形成された拡張中心部分と、該本体の両端の縁に形成されたフランジとを備えている。前記拡張中心部分とフランジとは本体の同じ側面から外側に突出している。本体と、拡張中心部分と、フランジとは、フェルト生地から一体形成されたものである。第1のフィルター要素の中心部分は、この中心部分が支持板の中心貫通孔をぴったりと通り抜けるように、形作られ、寸法決めされており、第2のフィルター要素の中心部分は、この中心部分が支持板の中心貫通孔をぴったりと通り抜けるように、形作られ、寸法決めされている。第1、第2のフィルター要素のフランジは、それらが支持板の両端に形成された溝にぴったりと収まるように、形作られ、サイズ決めされている。
【0023】
本発明の更なる実施形態では、フィルターは、複数のフィルターセクターで構成される回転式のディスクフィルタータイプのものである。フィルターセクターの各々は、フェルト生地製の第1のろ過壁と、該第1のろ過壁に向かい合うフェルト生地製の第2のろ過壁と、第1、第2のろ過壁を通過してろ液を収容する、第1、第2ろ過壁間に形成されたろ液チャンバとを備えている。好ましくは、フィルターセクターは、ろ液チャンバに収納されている支持板をさらに含む。支持板は、本発明の不織布のフェルト生地から形作られ、また、ろ過液排出口の方へと、ろ液をガイドする複数の水路を放射状に形成するように、輪郭が形成されている。
【0024】
第1、第2のろ過壁は、それらが閉じたチャンバを形成するように、互いにうまくかみ合うように形作られてもよい。
【0025】
本発明は、また、回転式のディスクフィルターに関する。該回転式のディスクフィルターは、ディスクフィルターを形成するように1つに合体されている複数の支持セクターと、前記支持セクターをそれぞれ包んでいる複数のフィルターバッグと、を備えている。前記支持セクターは、本発明の不織布のフェルト生地から形作られている。前記支持セクターは、ろ過液排出口の方へと、ろ液をガイドする複数の水路を放射状に形成するように、輪郭が形成されている。
【0026】
本発明の別の態様では、本発明の不織布を製造する方法は、(1)単層の繊維を得るため、または、少なくとも1つの高融点短繊維および少なくとも1つの低融点短繊維が交互に配置された複数層の繊維を得るため、所望の比率で、同一又は異なるタイプの、少なくとも1つの高融点短繊維および少なくとも1つの低融点短繊維を均一に混合する工程と、(2)梳綿機(そめんき)上に混合繊維を梳綿する工程と、(3)繊維ウェブを形成するためにウェブフォーミングマシンに梳綿された繊維を与える工程と、(4)ニードルパンチフェルト生地ブランクを形成するために繊維ウェブをニードルパンチ処理にさらす工程と、(5)低融点短繊維の融点より高いが、しかし、高融点短繊維の融点より低い温度でニードルパンチフェルト生地ブランクを加熱し、その結果、低融点短繊維は溶けるが、高融点短繊維は溶けないようにする工程と、(6)溶けた低融点短繊維を固化するために、ニードルパンチフェルト生地ブランクを冷却して、不織布のフェルト生地を得る工程と、を備えていることを特徴とする。
【0027】
前記加熱する工程において、低融点短繊維は溶融状態へと溶かされ、この結果、溶けた低融点短繊維は高融点短繊維の中でもつれる。また、高融点短繊維は溶けておらず、それ故、繊維ブランクは、溶かされていない高融点短繊維の間に溶かされた低融点短繊維を挟むことによって構成される。
【0028】
低融点短繊維は115℃乃至130℃の範囲の融点を有し、高融点短繊維は180℃乃至230℃の範囲の融点を有し、それ故、140℃乃至150℃の範囲で加熱を行い、10℃乃至18℃の範囲で冷却を行うものでもよい。
【0029】
加熱する工程は、さらに、ニードルパンチフェルト生地ブランク内の低融点短繊維を一層よく加熱するために、熱風がニードルパンチフェルト生地ブランクを通るように、ニードルパンチフェルト生地ブランクの上下面に垂直な方向から熱風を吹き当てることを含む。
【0030】
好ましくは、冷却する工程は、ニードルパンチフェルト生地ブランクに対して重力または油圧により、例えば200kgの冷却ローラを押し当て、ニードルパンチフェルト生地ブランクを極めて短時間で冷却することを含む。ニードルパンチフェルト生地は、その上にプリーツを作るためにプリーツ加工されてもよい。
【発明の効果】
【0031】
本発明による不織布は、優れた硬さおよび剛性、成形性および圧縮強さを示す。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】先行技術により利用可能なカートリッジフィルターの概略図。
図2】本発明の実施形態により構成された3層構造の不織布の断面を示す斜視図。
図3】プリーツの作られた、図1に示した不織布の断面を示す斜視図。
図4】本発明の不織布により形成されたカートリッジフィルターの斜視図。
図5】本発明の不織布により形成された別のカートリッジフィルターの斜視図。
図6】本発明の不織布のフェルト生地で形成したバッグフィルターの斜視図。
図7】本発明の不織布のフェルト生地で形成した別のバッグフィルターの斜視図。
図8】本発明の不織布のフェルト生地により一体形成されたCGRプレートフィルターの支持板の正面図。
図9】本発明の不織布のフェルト生地により一体形成されたCGRプレートフィルターの2つのフィルター要素の正面図。
図10図9に示したフィルター要素と、図8に示した支持板と、をCGRプレートフィルターに組み立てるように準備したものを示す概略図。
図11図10に示される組み立て完了後のCGRプレートフィルターの側面図。
図12】本発明の不織布のフェルト生地により一体形成された回転式のディスクフィルターで使用される支持板の正面図。
図13図12に示した支持板が収納され、本発明の不織布でろ過壁が形成されている、互いに2つのろ過壁をかみ合わせることにより作られたチャンバの側面図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明は、第1に、例えば、短繊維を用いるニードルパンチ法によって製造された不織布のフェルト生地に関する。フェルト生地は、優れた硬さおよび剛性を示す。フェルト生地は、また、優れた成形性を持っており、実際、任意の形状または外形に成型された時、その形状を保持する能力を有している。ニードルパンチ法によって製造された不織布のフェルト生地は、ニードルパンチフェルトと呼ばれ、一方でフェルトは、一般に、羊毛又はフリースに密着形成されているシートを指す。
【0034】
不織布の構成材料は、長尺繊維と短繊維とに分類することができる。長尺繊維は、要するに繭絹のような糸状体である。また、短繊維は、フリースのような、または、綿のようなものである。長尺繊維は、切れ目のない単繊維である。また、長尺繊維から作られた生地は、200乃至300g/mのグラム重さを有している。用語「グラム重さ」は、1平方メートル当たり生地のグラム単位での重さ、生地の厚みおよび密度の測定値を表し、織物の分野で既知の重要なテクニカル分析指標である。
【0035】
短繊維は、化学的に長い繊維糸を切断または引っ張って切って作った天然繊維に相当する長さの繊維、又は、ホイスカーおよびクリスタルアスベスト等の天然繊維により製造された繊維を指し、(一般に35乃至74mmの)ステープル繊維として知られている。本発明で使用する短繊維は、長さ約35乃至150mm、および1.5乃至8デニールの線密度を有している。短繊維は、綿、羊毛、カーペットおよび中位の長さのタイプに分類することができる。短繊維は、それのみで、または、天然繊維又は他の繊維を種々の割合で紡ぐことにより、糸状物、織物またはフェルトにされる。本発明のニードルパンチ処理されたフェルト生地は、一般に、150乃至2000g/mのグラム重さである。
【0036】
図2は、本発明の実施形態による優れた剛性を有する短繊維不織布の構造の概略図を示す。図1図4は、それぞれ先行技術のフィルターおよび本発明のフィルターの寸法で用意したものであり、図2図3は、本発明のフェルト生地の概略図であり、実寸のものではない、ということに注意すべきである。図2は、フェルト生地が3層構造を有していることを示すが、実際の各層の界面は、低融点繊維および高融点繊維が結合し、相互に貫きあっているため、それほど明らかなものではない。明確化のため、織物の厚さは、図2および図3の中の織物の表面の長さに対して比較的大きい。しかし、実際の厚さは1乃至5mmで、実際の長さは1乃至2メートルである。
【0037】
本発明によれば、フェルト生地は、低融点短繊維および高融点短繊維を均一に混合することにより形成された単層の繊維から成るものでもよい。特に、所定比率の低融点短繊維および高融点短繊維は、混合ホッパーの中で均一に混合される。混合された繊維は、梳綿を行う梳綿機へと搬送される。梳綿された繊維は、その後、ウェブフォーミングマシンに供給され、これにより、織物ブランクを形成するために数回のニードルパンチ方法が施された繊維ウェブが製造される。織物ブランクは、その後、固化処理が施される。該処理は、低融点短繊維は溶けるが、高融点短繊維は溶けないように、低融点短繊維の融点より高いが、高融点短繊維の融点より低い温度(例えば140℃乃至150℃)で繊維ブランクを加熱する工程と、溶けた低融点短繊維を固化してニードルパンチ不織布を得るために、加熱された繊維ブランクを僅かな時間(例えば5乃至15秒)で10乃至18℃にまで急冷すると同時に、繊機ブランクに対して重力又は油圧により下方に200kgの圧力を加える工程と、を備えている。
【0038】
本発明のフェルト生地は、低融点短繊維の層および高融点短繊維の層が、その中で交互に配置されている、2以上の層を含むものでもよい。例えば、フェルト生地は、低融点短繊維の1つの層が高融点短繊維の2つの層の間に挟まれている3つの層を含むものでもよい。もちろん、本発明の不織布は、より多くの層の短繊維を備えてもよい。この短繊維では、各層の繊維は異なる融点を有しており、各層の繊維量は、特定用途の要求によって定められる、最終製品内でのこの層の厚みに依存する。
【0039】
複数の層のフェルト生地を製造する方法は、実質、単層のフェルト生地を製造する方法と同じであり、以下に説明される。
【0040】
図2に示されるフェルト生地は、3つの層の短繊維を備えている。このフェルト生地において、繊維の上部層1、下部層3は、180℃より高い融点、例えば、190℃乃至230℃の範囲、好ましくは215℃乃至230℃の範囲、またはそれ以上の、高融点短繊維から作られている。繊維の中間層2は、115℃乃至130℃の範囲またはそれ以下の融点の低融点短繊維から作られている。
【0041】
層1、2、3は、同一タイプまたは異なるタイプの短繊維から作られ得る。例えば、層1、2、3は、130°の融点のテリレン、および230℃の融点のテリレンからそれぞれ作られてもよく、または、層1、2、3は、130℃の融点のテリレン、および1930℃の融点のポリプロピレン(PP)からそれぞれ作られてもよい。
【0042】
層1、2、3に使用される短繊維のタイプは、フィルター中のフェルト生地の用途によって決めてよく、ポリエステル、テリレン、ポリプロピレン、ナイロン、アクリル、ポリアミド繊維、レーヨン繊維、アクリル繊維、ポリエチレンおよびポリ塩化ビニルのグループの中から選択されてもよい。
【0043】
本発明は、低融点繊維が固化できる材料、特に、溶融させるために加熱された後に、固化できる材料ということを特徴とする。これにより得られるフェルト生地は、自立し、その形状を保つ能力を有している。本発明のフェルト生地は、実際の必要に応じて様々な形状に形作ることができ、それを形作った後、それらの形状を継続的に保つ、という特徴を有している。
【0044】
低融点繊維の層2の融解および固化は、以下に説明される。繊維の3つの層1、2、3が織物ブランクを形成するようにニードルパンチされた後、織物ブランクは、低融点短繊維の融点より高いが、高融点短繊維の融点より低い所定温度に加熱される。その結果、低融点短繊維は、高融点短繊維中で絡み付くように溶融される。その後、溶融された低融点短繊維が固化するように、織物ブランクは速やかに冷却される。加熱工程では、層2の中で溶融された低融点短繊維の一部は、層1および層3に入り込む。低融点短繊維は、比較的高硬度および堅さを有するように、固化する。本発明のフェルト生地のショアA硬度は、モデルAショアーデュロメーターによって測定される50乃至80HAまでのものである。パラメーター“硬度”は、圧縮変形の広がりまたは材料の耐カット性の能力を示す物的尺度であることは当該技術分野において既知である。
【0045】
フェルト生地が同じ密度を有している場合、織物の硬度は織物に含まれている低融点繊維の割合に依存する。低融点繊維の割合が高いほど、織物の硬度は高い。本発明によれば、フェルト生地は、フェルト生地の総重量の約20%乃至50%、好ましくは30%乃至40%の低融点短繊維と、フェルト生地の総重量の50%乃至80%、好ましくは60%乃至70%の高融点短繊維と、を備えている。
【0046】
本発明のフェルト生地は、自立する能力を有している。というのは、高硬度と剛性を有しており、自立するための支持構造を必要とせず、または2つの支点にわたって支持されている時に折れ曲がらないからである。特に、本発明のフェルト生地は、2mまでの長さのカートリッジフィルターのフィルターシリンダーを形成するために作られた時、筒状の形状を保持する能力を有しており、かつ、垂直方向に自立している時、または水平に横たわっている時、何の支持構造も必要としない。それ故、本発明の生地で作られたフィルターシリンダーがフィルター上に取り付けられるとき、支持フレームは除去され得る。図4に示されるように、織物20が自立し、エンドキャップを支持するのに十分であるので、フィルターはフィルターシリンダーを取り付けるための支持フレームを有していない。従来技術の短繊維で作られていた不織布フェルト生地は、軟らかく、強度が足りていないので、自立することはできなかった。
【0047】
本発明のフェルト生地は、例えば、50乃至80HAのショアA硬度を有しており、優れた硬度を示す。前記硬度は、織物にプリーツ処理を施すことを可能にする。このことは、本発明のニードルパンチ方法の施されたフェルトの重要な特徴である。というのは、現在利用可能なフェルトは、プリーツ処理を施すことができないからである。図3は、プリーツの付された形状の本発明のフェルトを示す。該プリーツ形状は、ろ過面積を増加させるためにフィルター内で使用され得るもので、何の支持物構造も必要としない。
【0048】
本発明によれば、低融点繊維の層は熱によって溶かされ、次に、非常に短い時間で固化され、それ故、フェルト生地用の支持層としての役割を果たし得る。高融点繊維の層は、フェルト生地の製造工程の間に溶かされないで、良好なろ過性、通気性および吸水性のような本来の特性を維持し、フィルターのろ過材として機能することができる。
【0049】
本発明のフェルト生地の別の特性は、繊維が、任意の形状又は外形に形作られた時に、その形状を維持することができる能力を有していることである。この顕著な成形性のために、本発明のフェルト生地は、多くの分野、例えばろ過装置の分野において、広範囲の用途を見いだすことができる。フェルト生地は、以下に記載されるように、実際に必要になる別形状の種々のフィルター要素へと形作ることができる。
【0050】
本発明のフェルト生地のさらなる特徴は、織物が高い圧縮強さを有していることである。均一なプリーツがフェルト生地に作られる。これらのプリーツは、同様に、高い圧縮強さを有している。プリーツ処理の施されたフェルト生地の圧縮強さを調べるテストを実施した。特に、プリーツ処理の施されたフェルト生地を、24時間水に浸し、その後、水から取り出し、平らな面上に置き、2トンを超える車両を、繰り返し幾度も、プリーツ処理の施されたフェルト生地上を走行させた。結果は、プリーツ処理の施されたフェルト生地はプリーツ形状を保持し、型崩れしない、ということを示した。これは、均一なプリーツ形状の本発明のフェルト生地は、優れた耐衝撃性および圧縮強さを有しており、それ故、クリーニングエアーまたは流体の繰り返される脈動、および前記クリーニングエアー、流体からの衝撃に耐えることを示唆する。このことは、本発明のフェルト生地が、ろ過材として用いられるとき、安定した寸法を保つことを促す。
【0051】
一般に、本発明によるフェルト生地のグラム重さは、150g/m乃至2000g/mの範囲内にある。例えば、500g/mのグラム重さのフェルト生地は、約170g/mのグラム重さの高融点繊維の2つの層1、3の間に、約160g/mのグラム重さの低融点繊維の層2を挟むことによって製造されてもよい。上部層1および下部層3は、層2に比べて比較的柔らかで、塵を集めるのに用いられる。中間層2は、比較的堅く、フェルト生地内において支持材の役割を果たしている。3つの層1、2、3は、ニードルパンチ又はウォータージェットパンチ等の既知の任意の方法によって結合している。同じグラム重さを有し、繊維が異なる密度の繊維を製造できることは当業者に自明である。
【0052】
さらに、結晶核剤、つや消し剤、顔料、抗菌剤、抗菌物質、難燃剤、親水性剤等は、織物の機能を高め、または特定の用途を果たすため、本発明のフェルト生地に順に加えることができる。パターンまたはグラフィックスは、例えばエンボスローラによってフェルト生地に刻印することができる。
【0053】
本発明のフェルト生地の製法を、下記に説明する。一般に、方法は、織物ブランクを形成する工程と、前記織物ブランクを処理する工程とを備えている。織物ブランクを形成する工程は、梳綿のために梳綿機に綿のような短繊維を入れ、次に、繊維ウェブを製造するためにウェブフォーミングマシンへと入れる工程を含む。繊維ウェブは、均一に混合された低融点繊維および高融点繊維の単層を備えてもよいし、低融点繊維の層と高融点繊維の層とが交互に積層されている、複数の繊維でできている多層(例えば2つ、3つ又はそれ以上)を備えてもよい。その後、次の工程で使用される織物ブランクを形成するために、繊維ウェブにはニードルパンチ処理が施される。
【0054】
織物ブランクを処理する工程は、低融点短繊維の融点より高いが、高融点短繊維の融点より低い温度でオーブンにおいてブランクの織物を熱することを含む。その結果、低融点短繊維は溶融される一方で、高融点短繊維は溶けない。溶融された低融点短繊維は、高融点短繊維に絡み付き、それによって、溶融された低融点短繊維が溶融されていない高融点短繊維の間に配置されている構成が、織物ブランク内に作られる。その後、加熱された繊維ブランクは冷却処理が施され、溶融された低融点短繊維が固化され、この結果、本発明のフェルト生地が得られる。
【0055】
好ましくは、高融点繊維は、180℃以上の融点、例えば、190℃乃至230℃、好ましくは215℃乃至230℃又はそれ以上の融点を有する。低融点繊維は、115℃乃至130℃の範囲又はそれ以下の融点を有する。本件では、加熱温度は、140℃乃至150℃の範囲内に設定してもよく、冷却温度は、10℃乃至15℃の範囲内に設定してもよい。
【0056】
加熱処理は、好ましくは、繊維ブランク内の低融点短繊維をより加熱するため、繊維ブランクを熱風が通過するように、繊維ブランクの上下面に垂直に熱風を吹き当てる工程を含む。冷却処理は、好ましくは、非常に短い時間で行われる。高速冷却を実行するため、例えば、織物ブランク(例えば、より大きなグラム重さを有しているフェルト生地)に対して、200kgの冷却ローラを重力又は油圧によって押し当ててもよい。このように、繊維ブランクは、織物の密度を高めるため、5秒乃至15秒の間に、約150℃から約15℃へと冷却される。
【0057】
所望される場合、図3に示されるように、得られたフェルト生地は、プリーツ状のろ過材を形成するため、プリーツ処理が施される。
【0058】
モデルAショアーデュロメーターが、本発明のフェルト生地の硬度を測定するのに用いられる。フェルト生地の硬度は、50乃至80HAまでの値である。この値は、フェルト生地自体を支持するのに十分で、プリーツの形成を可能にするものである。
【0059】
ニードルパンチ方法とは別に、ウォータージェットパンチ、サーマルボンディング、風成、湿式処理およびスティッチボンディング方法は、織物ブランクを形成するのに用いることができる。ウォータージェットパンチは、繊維ウェブを強くするため、繊維が相互に絡み合うように、高圧で細い水流を1以上の繊維に噴射する工程のことをいう。サーマルボンディングは、繊維状または粉状のサーマルボンディング補強材を繊維ウェブへ加え、繊維ウェブを加熱して溶かし、その後、冷却して固化させる工程のことをいう。風成は、木の繊維板を、単一の繊維状にほぐし、その後、繊維を集め、ウェブを形成するように風成し、繊維ウェブを織物へと固める工程のことをいう。湿式処理は、種々の繊維を、水中で単一の繊維状にほぐし、混合して繊維懸濁液を形成し、該懸濁液を、湿った繊維でウェブを形成し、繊維へと固めるウェブフォーミングマシンに供給する工程のことをいう。
【0060】
ニードルパンチは、1以上のほぐした繊維をニードル(針)を突き刺す動作により結合させて、繊維を形成する範囲で固める工程のことをいう。
【0061】
スティッチボンディングは、縦の編目構造を用いて、不織布を形成するための繊維ウェブ、糸状層、非繊維材料(プラスチックフィルムまたは金属箔等)、またはそれらの組合せを補強する工程をいう。
上記の方法は、周知の技術であり、ここでは詳しく説明しない。
【0062】
本発明の不織布のフェルト生地は、良好なろ過性と、通気性と、吸水性と、硬度/剛性と、成形性と、軽量なことと、平坦性と、クリーニングエアーまたは流体の繰り返される脈動、および/またはクリーニングエアーまたは流体からの衝撃に耐える能力と、を特徴とし、それ故、ろ過材に好適なものである。
【0063】
図4は、本発明の不織布のフェルト生地で作ったろ過材を有しているカートリッジフィルター100を示す。特に、不織布のフェルト生地20は、上記方法によって製造された後、プリーツ処理が施されてプリーツ22が作られ、その後、ロール状に巻かれ、それぞれ2つのエンドキャップ24、26が取り付けられる2つの開放端を有しているシリンダーを形成する。必要に応じて、エンドキャップのうちの1つは閉じてもよい。上述したサンドイッチ構造を有しているフェルト生地を用いて円筒状のろ過材を形成する場合、高融点繊維の層は、処理されるべき気体または流体に面している。この実施形態では、エンドキャップ24、26は、ステンレススチール製で、環状のものである。フェルト生地の高い剛性および硬度のために、図4のフィルターは、フェルト生地20用の支持フレームを必要としない。このことは、フィルターの製造コストと、フィルター交換のための運用コストとを下げるだけでなく、エンドキャップ上への繊維の取り付けを簡略化する。本発明のカートリッジフィルターは、現行のカートリッジフィルターに比べてかなりのコスト低減を図ることができる。本発明のフェルト生地で作られたプリーツは、スパンボンドプリーツ処理の施された不織布のように、尖端部分がつぶれやすく弱いものではなく、それ故、円筒状のろ過材のろ過領域を維持することができる。プリーツが十分幅広な場合、粉塵のブリッジングは減少し、脈動されたときに簡単にクリーニングできるようになる。
【0064】
改良されたカートリッジフィルターを図5に図示する。
特に、カートリッジフィルター200は、エンドキャップ34、36が本発明のフェルト生地で形作られていることが、図4に示したカートリッジフィルター100と異なる。図示されるように、エンドキャップは、プリーツ処理の施されたシリンダーの断面形状に対応した表面形状を有しており、その結果、エンドキャップ34、36は、それぞれ、プリーツの尖端と、隣接するプリーツ間のチャンネルに位置合わせされている複数のハンプ33および空洞35を形成する外形を有している。この配列は、筒状ろ過材のチャンネルおよびエンドキャップの空洞に沿って粉塵が落ちるのを促し、エンドキャップに残さないようにし、エンドキャップおよび筒状ろ過材をクリーニングするための運用コストの削減を可能にする。
【0065】
代わりに、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)膜、アクリル樹脂塗料を、織物をより滑らかにするため、本発明のフェルト生地の表面に用いることができる。このことは、また、円筒状ろ過材に取り付いた粉塵をブラシで落とし、清掃するのに有益である。
【0066】
図6および図7は、本発明の2つの異なるバッグフィルターを示す。従来のバッグフィルターは、一般に、柔軟なフィルターバッグと、サポート構造と、を備えており、前記サポート構造は、バッグの外側から内側へ向かうプロセスガス流に起因してフィルターバッグが型崩れするのを防ぐため、フィルターバッグの内側に取り付けられたバスケット形状のものである。従来のバッグフィルターを取り付けるには、適所へフィルターバッグをスナップ留めし、その後、適切なサイズのサポート構造を、フィルターバッグを支持するために投入する。この設計は、フィルターバッグを設置し、取り換えるのにかなりの労働力を要する。
【0067】
図6は、本発明のフェルト生地から作られたろ過材を有しているバッグフィルター300である。図示されるように、バッグフィルター300は、本発明のフェルト生地から作られたフィルターバッグ42を備えている。特に、本発明のフェルト生地は、プリーツ44を形成するためにプリーツ処理が施され、その後、フィルターバッグ42を得るために、封着された状態の向かい合う側面を備えている円筒状に巻かれる。または、本発明のフェルト生地の成形性は、プリーツ状の形状にフェルト生地を形作ることによって活かされ、形作られたフェルト生地は、その後、フィルターバッグ42を得るために、封着された状態の向かい合う側面を備えている円筒状へと巻かれる。フィルターバッグ42は、閉じている底部と、バッグをしっかりと固定し、クリーンガスが流れ出ることができるようにするスナップバンドトップ46と、を備えている。本発明のフェルト生地が優れた剛性および成形性を示し、任意の形状または外形に成型された場合にその形状を保持することができるので、本発明のバッグフィルター300は、どのようなサポート構造をも必要としない。さらには、このことは、支持構造物を製造するための材料費と、フィルターを取り換え、修理するための運用コストと、を低減するだけでなく、フィルターバッグの取り付け、取り換えを簡易化する。
【0068】
バッグフィルターの改良例を図7に示す。図示されるように、バッグフィルター400は、閉じている終端と開放端とを備えているシリンダーを備えている。該シリンダー、閉じている終端、および開放端は、本発明のフェルト生地から一体的に形作られている。本発明のフェルト生地が優れた剛性および成形性を示し、任意の形状または外形に成型された場合、その形状を保持することができるので、本発明の得られたバッグフィルター400は、高い耐衝撃性、したがって寸法上の安定性を有している。
【0069】
図8乃至図11は、本発明のフェルト生地から作られたCGR平面フィルターを示す。従来のCGR(コーキングでシールされ、ガスケットでシールされ、埋め込み処理された)プレートフィルターは、一般に、支持板と、前記支持板の2つの側面に取り付けられている2切れのろ布と、を備えている。前記支持板は、その周囲に形成されている継ぎ目のない溝と、中心貫通孔と、を有している。前記ろ布は、布の周囲の縁に縫い付けられた紐でできている。ろ布を固定するため、各ろ布が支持板表面上にピンと張られ、紐を備えた縁が毛管による浸出現象を効果的に防ぐため、支持板の継ぎ目のない溝に(例えば、ハンマーで)押し込まれるように、布を支持板の一方の端からその中心貫通孔を通って送ることが求められる。従来のCGRプレートフィルターの製造、取り付け、取り換えは、布の周囲の縁を縫い込み、コーキングし、紐を縫い塞ぎ、それを支持板の溝に叩き入れ、支持板の中心貫通孔を通ってろ布を与え、その後、ピンと張る等することに関するもので、それらの全てが時間を要し、労力を要し、しかも、コストを増やし、生産サイクルを長くするものである。さらに、布が支持板に取り付けられる場合、ろ布を傷つけることがしばしばある。それは布を使用不可能にする虞がある。
【0070】
本発明のフェルト生地から作られたCGRプレートフィルターが、図8乃至図11に示されている。このCGRプレートフィルター500は、第1のフィルター要素52と、第1のフィルター要素52に向かい合う第2のフィルター要素54と、中心貫通孔57を有しており、第1、第2のフィルター要素52、54の間に配置される支持板56と、を備えている。第1、第2のフィルター要素52、54と、支持板56とは、すべて、それぞれ本発明のフェルト生地から1つの部品として形作られる。支持板56は、従来のCGRプレートフィルターのプレートと本質的に同じ構成である。第1、第2のフィルター要素52、54の各々は、フィルター要素本体51と、前記本体51上に形成された拡張中心部分53と、前記本体51の周囲の縁に形成された半円のフランジ55とを含む。拡張中心部分53およびフランジ55は、本体51の同じ側から外向きに突出している。しかしながら、第2のフィルター要素54の中心部分は、第1のフィルター要素52の中心部分の直径より僅かに小さな直径を有している。その結果、第2のフィルター要素54の中心部分は、ぴったりと通過し、第1のフィルター要素52の中心部分とかみ合う。この実施形態では、フィルター要素本体51と、中心部分53と、半円のフランジ55とは、本発明のフェルト生地から1個の部品として形作られる。
【0071】
この中心部分が支持板56の直通ホール57をぴったりと通過するように、第1のフィルター要素52の中心部分は形作られ、寸法決めされている。また、この中心部分がぴったりと通過し、第1のフィルター要素52の中心部分にかみ合わされるように、第2のフィルター要素54の中心部分は形作られ、寸法決めされている。第1、第2のフィルター要素52、54の半円のフランジは、それらが、支持板56の両側の周囲に形成された環状溝58の中へとぴったりと収容され、固定されるように、それぞれ形作られ、寸法決めされている。
【0072】
上述したように、本発明のフェルト生地は、優れた硬度および剛性と、特筆すべき成形性とを示し、フェルト生地とから形作られた、第1のフィルター要素52と、第2のフィルター54と、支持板56とは、それぞれの形状を安定して保持することができる。CGRプレートフィルター500の組み立てるため、第1のフィルター要素52の中心部分53を支持板56の一方の側から、貫通孔57に通し、半円のフランジ55を環状溝58にスナップ留めし、収容することだけが求められる。その結果、第2のフィルター要素54の中心部分53は、支持板56の他方の側から、貫通孔57と、第1のフィルター要素52の中心部分とを通過できるようになる。前記第2のフィルター要素54の中心部分53は、バレルネックを形成するように、第2のフィルター要素54の中心部分が第1のフィルター要素52の中心部分と内部でかみ合うような手法によって、第1のフィルター要素52の中心部分を通る。同様に、第2のフィルター要素54の半円のフランジ55は、支持板56の反対側の環状溝58へとスナップ留めされ、収容される。CGRプレートフィルター500の全体の組立工程は図10および図11に示されたものでよい。
【0073】
確認されるように、CGRプレートフィルター500は、プレートの形状に合うようにフィルター要素を形成し、張力によって適所に保持されるフィルター要素の縁を、溝の中へとスナップ留めすることにより、コーキングプロセスを不要にする。CGRプレートフィルター500は、さらに、ろ布を与え、張り付ける工程を無くす。それ故、フィルターを作り、組み立て、取り換えるための労力とコストとは、大幅に低減される。さらに、第1のフィルター要素と第2のフィルター要素とは互いに独立している。このため、2つの要素の何れかが個々に取り換えられ、または取り扱われる。
【0074】
図12および図13は、回転式のディスクフィルターのフィルターセクターを示す。該フィルターセクターは、本発明のフェルト生地から作られている。ディスクフィルターは、鉄鉱と石炭産業での流体と固体との分離等の高負荷用途に一般に使用され、ディスクを形成するように1つに合体される複数のフィルターセクターで構成されていることは既知である。各フィルターセクターは、フィルターバッグと、該フィルターバッグを支持するためフィルターバッグ内部にある支持板と、を備えている。ろ液排出口へと流れるようにろ液をガイドするチャンネルは、支持板上に形成される。しかしながら、先行技術に係るディスクフィルターの支持板は金属で作られており、それ故、非常に重い。このことは、フィルターセクターを取り付け、維持し、運び、取り換えるのに、高負荷の労力につながる。
【0075】
本発明のフェルト生地は、軽量、高剛性で堅く、成形性および形状維持性において利点を有しており、故に、本発明のフェルト生地から形作られた支持板は、かなりの軽量化を可能にするが、フィルターバッグを支持するのに十分な剛性を有している。さらに、本発明の支持板は、その形状を維持する能力を有する一方で、十分な圧縮強さをもたらすことができる。概して、本発明の支持板は、図12に示されるように、ろ液排出口の方へ流れるようにろ液をガイドする、放射状形状の複数のチャンネルを形作ることができる。一般に、本発明のフェルト生地からかたち作られた支持板の重さは、先行技術において現在使用される金属製の支持板の重さの1/3乃至1/4に減少される。故に、本発明の支持板の使用は、労力の負荷が少ない。
【0076】
本発明によるフィルターセクターの変形としては、本発明のフェルト生地は、第1のろ過壁62、該第1のろ過壁62に向かい合う第2のろ過壁64に形作られる。図13に示されるように、第1、第2のろ過壁62、64は、互いにかみ合い、第1、第2のろ過壁を通ったろ液を受けるためのろ液チャンバを形成している。この実施形態では、ろ液チャンバ66に受け入れられた図12の支持板61も、本発明のフェルト生地から作られている。前記フェルト生地は、ろ液排出口65の方へとろ液をガイドする複数のチャンネル63を放射状に形成する外形を有している。
【0077】
第1、第2のろ過壁62、64は、それらが閉じたろ液チャンバ66を形成するように、互いにかみ合うように形成される。図13には、第1、第2のろ過壁62、64を互いにかみ合わすことによって形成された閉じたチャンバが示されている。第1、第2のろ過壁の各々は、垂直面67と、該垂直面67の上下端から、それぞれ同じ向きに水平に伸びている上側の面68、下側の面69と、を有している。第1のろ過壁62の上側の面68および下側の面69と、第2のろ過壁64の上側の面68および下側の面69とは、密接するようにスナップ取り付けされて互いに分離しないように、寸法決めされ、形作られている。フィルターセクターを組み立てるため、支持プレートを第1、第2のろ過壁の間に挟み、その後、ろ液チャンバを形成するように、第1のろ過壁の上側の面および下側の面と、第2のろ過壁の上側の面および下側の面とをスナップ取り付けする。
【0078】
ここに記述された実施形態は、不織布のフェルト生地と、該フェルト生地から作られたフィルター等のその製品との一例を意図したものであり、本発明は、図示された実施形態に限定されないことが当業者に理解されるだろう。当業者は、本発明の範囲から外れずに、当業者に周知の事実によって、他の種々の変更および修正を想到し得る。しかし、そのような変更および修正は、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0079】
1 上部層
2 中間層
3 下部層
20 フェルト生地
22、44 プリーツ
51 フィルター要素の本体
52 第1のフィルター要素
54 第2のフィルター要素
55 フランジ
56 支持板
57 中心貫通孔
62 第1のろ過壁
63 チャンネル
64 第2のろ過壁
66 ろ液チャンバ
24、26、34、36 エンドキャップ
100、200 カートリッジフィルター
300、400 バッグフィルター
500 CGRプレートフィルター
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13