(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記光ファイバと連絡したビームスプリッターをさらに備えており、前記ビームスプリッターは、前記体内管腔内を流れる粒子によって反射された光から前記反射面によって反射された光を分離する、請求項1に記載のシステム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この開示は、医療装置のための設計、材料、製造法および使用の代替案を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
医療装置の例は、体内管腔内における流体流量を求めるためのシステムを含んでいる。このシステムは、
カテーテルであって、
第1管腔と、
第2管腔と、
第1管腔と連通し、かつ、カテーテルの遠位端領域に位置すると共に、流体がカテーテルの第1管腔から出るのを可能にするように構成されている1つ以上の輸液開口と、
第2管腔と連通し、かつ、カテーテルの遠位端部領域に位置する1つ以上の開口と、を有しているカテーテルと、
その遠位端部に反射面を有する光ファイバと、を備えており、光ファイバはカテーテルの第2管腔を通過可能であり、かつ、第2管腔と連通した1つ以上の開口の遠位に配置可能であり、
反射面は、1つ以上の波長の光に対して略透過性を有している。
【0005】
上記の実施形態のうちのいずれかに代わって、またはそれに加えて、光ファイバは体内管腔内を流れる粒子から反射する光を受光するように構成されている。
上記の実施形態のうちのいずれかに代わって、またはそれに加えて、システムは、光ファイバと連絡するビームスプリッターをさらに備えており、ビームスプリッターは、体内管腔内を流れる粒子によって反射された光から、反射面によって反射された光を分離する。
【0006】
上記の実施形態のうちのいずれかに代わって、またはそれに加えて、システムは、光ファイバにおいて受光された反射光を測定するための受光検出器をさらに備えている。
上記の実施形態のうちのいずれかに代わって、またはそれに加えて、システムは光ファイバの遠位端部においてファブリ−ペローセルをさらに備えており、反射面はファブリ−ペローセルのダイアフラムである。
【0007】
上記の実施形態のうちのいずれかに代わって、またはそれに加えて、システムは光ファイバの遠位端部に固着され、かつ、光ファイバの遠位端部を越えて延びている金属チューブと、金属チューブの遠位開口を被覆するダイアフラムとをさらに備えている。
【0008】
上記の実施形態のうちのいずれかに代わって、またはそれに加えて、光ファイバの遠位端部とダイアフラムとの間の空間は、ファブリ−ペロー空洞を形成している。
上記の実施形態のうちのいずれかに代わって、またはそれに加えて、システムは、カテーテルの遠位端部に配置された1つ以上の光反射面をさらに備えている。
【0009】
上記の実施形態のうちのいずれかに代わって、またはそれに加えて、システムは、第2管腔を画定するカテーテルの表面上に配置された1つ以上の光反射面をさらに備えている。
【0010】
上記の実施形態のうちのいずれかに代わって、またはそれに加えて、システムは、カテーテル上に配置された1つ以上の光反射面をさらに備えており、1つ以上の光反射面は620ナノメートル(nm)〜740nmの波長を有する光を反射するように構成されている。
【0011】
上記の実施形態のうちのいずれかに代わって、またはそれに加えて、光反射面は光ファイバに向かう光を反射するように構成された位置でカテーテル上に配置されている。
血管腔内において絶対血流量を測定する方法の例は、
血管腔を通って光ファイバを延在させることと、
光ファイバの遠位端部を通過する血管腔内の赤血球に、光ファイバを介して光を当てることと、
赤血球によって反射された光から、光ファイバにおいて光信号を受信することと、
光信号から単位時間当たりに光ファイバを経過する血球の数を求めることと、を含む。
【0012】
上記の実施形態のうちのいずれかに代わって、またはそれに加えて、方法はさらに、血管腔内の所望の位置へカテーテルを前進させることと、カテーテルは、近位端部と、遠位端部と、近位端部から遠位端部まで延びる管腔とを備えていることと、光ファイバの遠位チップを、カテーテル内の1つ以上の輸液開口の遠位側の位置に配置することと、を含む。
【0013】
上記の実施形態のうちのいずれかに代わって、またはそれに加えて、方法はさらに、血管腔内へ流体を既知流量で分散させることを含む。
上記の実施形態のうちのいずれかに代わって、またはそれに加えて、方法はさらに、流体が第1既知流量で血管腔内に分散される場合に、単位時間当たりに光ファイバを経過する赤血球の数の第1指標を得ることと、流体が第2既知流量で血管腔内に分散される場合に、単位時間当たりに光ファイバを経過する赤血球の数の第2指標を得ることと、を含む。
【0014】
上記の実施形態のうちのいずれかに代わって、またはそれに加えて、方法はさらに、単位時間当たりに光ファイバを経過する赤血球の数の第1指標および単位時間当たりに光ファイバを経過する赤血球の数の第2指標に基づいて、流体が血管腔内に分散されない場合に単位時間当たりに光ファイバを経過する赤血球の数の指標を求めることを含む。
【0015】
上記の実施形態のうちのいずれかに代わって、またはそれに加えて、流体が血管腔内に分散されない場合に単位時間当たりに光ファイバを経過する赤血球の数の指標を求めることは、赤血球の数の第1指標、第1既知流量、赤血球の数の第2指標、および第2既知流量に基づいたデータポイントから線形的に外挿することを含む。
【0016】
上記の実施形態のうちのいずれかに代わって、またはそれに加えて、流体が血管腔内に分散されない場合に単位時間当たりに光ファイバを経過する赤血球の数の求められた指標は、血管腔内における絶対血流量である。
【0017】
上記の実施形態のうちのいずれかに代わって、またはそれに加えて、分散された流体は塩水である。
上記の実施形態のうちのいずれかに代わって、またはそれに加えて、分散された流体は、血液粒子を有していない。
【0018】
血管腔内における絶対流量制限(absolute flow restriction)を識別する別の方法の例は、
血管腔を通って光ファイバを標的位置まで延在させることと、
光ファイバを介して光を光ファイバの遠位端部に位置するダイアフラムに当てることと、ダイアフラムは、血管腔内の圧力に依存する第1光信号を反射し、血管腔内における赤血球によって反射可能な光がダイアフラムを通過することを可能にすることと、
光ファイバにおいて、第1光信号と、赤血球によって反射された光から生成される第2光信号とを受信することと、
受信した第1光信号および受信した第2光信号に基づいて血管腔内における絶対流量制限を求めることと、を含む。
【0019】
上記の実施形態のうちのいずれかに代わって、またはそれに加えて、方法はさらに、第2光信号から単位時間当たりに光ファイバを経過する赤血球の数を測定することを含む。
上記の実施形態のうちのいずれかに代わって、またはそれに加えて、光ファイバはその遠位端部においてファブリ−ペローセルを備えており、ダイアフラムはファブリ−ペローセルの遠位端部を形成する。
【0020】
上記の実施形態のうちのいずれかに代わって、またはそれに加えて、方法はさらに、第2光信号から血管腔における絶対血流量を求めることを含む。
別の方法の例は、
管内腔を通って長尺状管状部材を延在させることと、
管内腔を通って光ファイバを延在させることと、
光ファイバの遠位端部を通過する管内腔内の粒子に、光ファイバを介して光を当てることと、
粒子によって反射された光から、光ファイバにおいて光信号を受信することと、
長尺状管状部材から管内腔内に既知の流量で流体を分散させることと、を含む。
【0021】
上記の実施形態のうちのいずれかに代わって、またはそれに加えて、方法はさらに、長尺状管状部材を管内腔内の所望の位置へ前進させることと、長尺状管状部材は、近位端部と、遠位端部と、近位端部から遠位端部まで延びる管腔とを備えていることと、光ファイバの遠位チップを、長尺状管状部材内の1つ以上の輸液開口の遠位側の位置に配置することと、を含む。
【0022】
上記の実施形態のうちのいずれかに代わって、またはそれに加えて、方法はさらに、流体が第1既知流量で管内腔内に分散される場合に、単位時間当たりに光ファイバを経過する粒子の数の第1指標を得ることと、流体が第2既知流量で管内腔内に分散される場合に、単位時間当たりに光ファイバを通過する粒子の数の第2指標を得ることと、を含む。
【0023】
別のシステムの例は、
カテーテルであって、
第1管腔と、
第2管腔と、
第1管腔と連通し、かつ、カテーテルの遠位端領域に位置すると共に、流体がカテーテルの第1管腔から出るのを可能にするように構成されている1つ以上の輸液開口と、
第2管腔と連通し、かつ、カテーテルの遠位端部領域に位置する1つ以上の開口と、を有しているカテーテルと、
その遠位端部に1つ以上の発光体および1つ以上の光検出器を有する長尺状部材と、を備えており、長尺状部材はカテーテルの第2管腔を通過可能であり、かつ、第2管腔と連通した1つ以上の開口の遠位に配置可能であり、
1つ以上の発光体は体内管腔内において粒子上に光を発するように構成されており、1つ以上の光検出器は体内管腔内において粒子によって反射された光を検出するように構成されている。
【0024】
いくつかの実施形態の上記要約は、本開示の態様の個々の開示された実施形態またはすべての実施を記載するようには意図されない。続く図面および詳細な説明は、これらの実施形態をより詳細に例示する。
【0025】
本開示の態様は、添付の図面に関連する以下の様々な実施形態の詳細な説明を参酌して、より完全に理解され得る。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本開示の態様は様々な修正および代替形態を受け入れるが、それらのうちの特定のものを例として図面に示し、詳細に説明する。しかしながら、本発明は本開示の態様を記載する特定の実施形態に限定するものではないことを理解すべきである。むしろ、本開示の趣旨および範囲内にあるすべての変更物、均等物、および代替物を対象とするものである。
【0028】
以下の定義された用語については、本明細書の特許請求の範囲または他の箇所において異なる定義がなされない限り、これらの定義が適用されるものとする。
本願において、すべての数値は、明確に示されているか否かに関わらず、「約」という用語によって修飾されるものと見なされる。「約」という用語は、一般に、当業者が列挙された値と同等であると見なす(すなわち、同じ機能または結果を有する)一連の数を指す。多くの場合において、「約」という用語は、最も近い有効数字に丸められる数を含むことを示し得る。
【0029】
終点による数の範囲の列挙は、その範囲内の数をすべて含む(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4および5を含む)。
特徴に関連して本願において用いられる第1、第2、第3、右、左、底部、頂部などのような任意の相対語は、別の特徴に関して変更された特徴の相対的な関係を示すだけのものであり、それ以外に限定するものではない。
【0030】
様々な構成要素、特徴および/または仕様に関するいくつかの適当な寸法、範囲および/または値が開示されるが、本開示に触れた当業者は、所望の寸法、範囲および/または値は明らかに開示されたそれらから外れることがあることを理解するであろう。
【0031】
本明細書および添付された特許請求の範囲においては、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、内容が明らかに他に規定していない限り、複数の指示対象を含む。本願および添付された特許請求の範囲においては、「または(or)」という語は、一般に、内容が明らかに他に規定していない限り、「および/または(and/or)」を含む意味で使用される。
【0032】
以下の詳細な説明は図面を参照して読まれるべきであり、それらの図面では異なる図面中の類似した要素は同一の番号が付されている。詳細な説明および図面は必ずしも一定の縮尺ではなく、例示的な実施形態を表し、本開示の範囲を制限するようには意図されない。示された例示的な実施形態は、単に例として意図される。任意の例示的な実施形態の選択された特徴は、明らかにそれとは反対のことが述べられていない限り、付加的な実施形態に組み込まれてもよい。
【0033】
典型的には、冠状動脈の筋肉には大血管床および隣接した微小血管床を流れる血液が供給される。大血管床では、大血管疾患および体内管内の狭窄部を横断する流量をより良好に理解するために、血流予備量比(FFR)が用いられることがある。微小血管疾患の診断および把握のためには、FFRは有用ではない。
【0034】
微小血管疾患の診断および把握のためには、FFRを用いるのではなく、絶対血流量測定を用いてもよい。算出した絶対流量から、(絶対圧力が既知であるか、または求めることができると仮定して)体内管における絶対抵抗が求められてもよい。例えば、血液の流量が計算され、(例えばFFRワイヤ、ファブリ−ペロー(Fabry−Perrot)センサー、ファイバ−ブラッグ(Fiber−Bragg)センサーまたは他の圧力センサーの使用から)狭窄の近位の圧力(P
p)および遠位の圧力(P
d)が計算された場合、体内管80の狭窄部(stenosis)または狭細部(narrowing)の抵抗は、以下の方程式によって算出することができる。
【0035】
R
s=(P
p−P
d)/Q
b
前記式中、R
s=狭窄部または狭細部を横断する抵抗
P
d=測定された狭窄部または狭細部の遠位の圧力
P
p=測定された狭窄部または狭細部の近位の圧力
Q
b=実際の血流量
このように、測定した実際の血流量、並びに他の算出されたパラメータは、例えば、心臓移植、幹細胞治療、貫壁性心筋梗塞など多くの病態生理学的状態の診断および把握に有用である。
【0036】
一例において、体内管内における絶対血流量を求めるために、(例えば血流が注入流体で希釈される前および/または後に体内管内の温度を得る)熱希釈法および/またはシステムが用いられてもよい。しかしながら、熱希釈法は、カテーテルチップの遠位の温度を測定する場合に、混合流体の温度は上昇しないという仮定に基づいている。しかしながら、そのような仮定が成り立つのは、注入流体によって冷却された後に温度が上昇し始めないように、カテーテルチップに十分に接近して温度を測定する場合だけである。体内管において注入流体と血液との間にある程度の混合を有することが望ましいため、体内管における注入流体と血液との間の十分な混合を保証するためには、カテーテルの遠位チップから十分に遠い距離において測定を行うことが望ましい。これは流れの温度が上昇していないことを保証するためにカテーテルの遠位チップに近接して測定を行うこととは相いれない。
【0037】
本願に開示するように、光ファイバ(例えば単一光ファイバ)を用いて圧力および絶対流量の双方を求める光学的手段によって、体内管内における圧力および絶対血流量を求めることが可能である。いくつかの場合において、部分反射する端面(例えば、以下において反射面、鏡、回折格子などと称されるダイアフラムまたは鏡)を備えているファブリ−ペローセルまたはファイバブラッググレーティング(Fiber Bragg Grating:FBG)は、体内管内における圧力および絶対血流量の感知を容易にするために、光ファイバの遠位端部において用いられてもよい。
【0038】
圧力感知および/または温度感知は、光学的感知技術によって実施されてもよい。1つの実例において、光センサー(例えばファブリ−ペローセンサー)を備えているファイバは、圧力を感知する(例えば体内管内の圧力を感知する)ため、および/または、温度を感知する(例えば、体内管内の温度を感知する)ために用いられてもよい。構造上、ファブリ−ペロー光センサーは、光ファイバの端部に空洞を形成する。その場合、チューブ(例えばガラス管、金属チューブなど)は光ファイバの端部に固着されるか、または他の場合には接続され、膜(例えばダイアフラムまたは鏡)はチューブの端部に接続されて、光ファイバの端部、チューブおよび膜(例えば可撓性膜)によって画定された空洞を形成する。
【0039】
動作中、光は光ファイバを通過し、光のうちの一部は光ファイバの端部に反射し、また、光のうちの一部は膜まで通過して、その膜に反射する。反射光は、光ファイバを通って検出器まで戻る。光センサーのまわりの圧力変化および/または温度変化により、膜は内側または外側に湾曲するため、空洞の近位側で(例えば光ファイバの遠位端部で)反射された光と、空洞の遠位側で(例えば膜で)反射された光との間の干渉パターンは、空洞の長さの変化の効果として変化する。その場合、変化および/または干渉パターンは感知される圧力および/または温度を示す。
【0040】
いくつかの場合において、同様の光ファイバまたは光センサーシステムは、一定量の流れる血液中に送られた光ビームの反射像を感知し、特定の時間領域に対して、測定体積中において通過する血球の散乱を測定するために用いられる。その結果として、光センサーを通り過ぎる血球または粒子の数が一定期間にわたって計数され、絶対血流量が求められる。
【0041】
いくつかの場合において、圧力および温度は単一のファブリ−ペローセルによって感知される。圧力および/または温度の感知を容易にするために、チューブおよび/または膜は、少なくとも部分的に感圧材料および/または感温材料から製造されていてもよい。例示的な感圧材料としては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリイミド膜(例えばKAPTON(登録商標))、二軸配向ポリエチレンテレフタレート(PET)(例えばマイラー)、シリコーン、パリレンなど、および/または任意のそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。例示的な感温材料としては、固体、液体、気体、ポリエステル、PET、PVA、ナイロン、ポリ塩化ビニル(polyvinal chloride)(PVC)、アルミニウム、導体ドープ膜(例えば銀、炭素−ウレタン、など)、および/または、任意のそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。さらに、ファブリ−ペローセルの膜は、光センサーによって絶対血流量を求めることを容易にするために、部分反射性であり、かつ、一部の波長の光を膜に通過させる(例えば、部分的に透過性である)材料から製造されていてもよい。
【0042】
光学測定技術を用いて体内管を通る血流量および/または体内管内における他の測定値(例えば圧力、温度、など)を求めるための注入カテーテル10および関連する光ファイバ30(例えば単一または複数の長尺状部材、または長尺状ファイバ)を含む例示的なカテーテルシステム2を
図1に示す。注入カテーテル10は、ハブアセンブリ20から遠位に延びる長尺状カテーテルシャフト12を備えている。カテーテルシャフト12は、ハブアセンブリ20に取り付けられた近位端部16と、近位端部16の反対側の遠位端部18とを備えている。カテーテルシャフト12は、第1管腔34(例えば注入管腔(
図1)またはファイバまたはガイドワイヤ管腔)と、カテーテルシャフト12の少なくとも一部に沿って延びる第2管腔36(例えばファイバまたはガイドワイヤ管腔(
図1)または注入管腔)とを有する二重管腔(dual lumen)カテーテルシャフトである。これに代わって、カテーテルシャフト12は単一の管腔または3つ以上の管腔を有してもよい。カテーテルシャフト12の一例において、カテーテル10は、第2管腔36が
図1に示すように遠位端部18から近位端部16までカテーテルシャフト12の全長にわたって延びるオーバーザワイヤー(over−the−wire:OTW)カテーテルである。しかしながら、他の実施形態では、カテーテル10は、第2管腔36がカテーテルシャフト12の遠位部分のみを通って延びるシングルオペレーターエクスチェンジ(single−operator−exchange:SOE)カテーテルであってもよい。
【0043】
ハブアセンブリ20は、第1管腔34と連通している第1近位ポート22と、第2管腔36と光学的に連通している(in optical communication with)第2近位ポート23とを備えている。これに代わって、またはこれに加えて、第1近位ポート22および/または第2近位ポート23は、第1管腔34および/または第2管腔36と1つ以上の他の形式で連通していてもよい(in one or more other types of communication with)。輸液ポンプ、シリンジなどの注入流体の供給源(図示せず)は、第1近位ポート22に接続されて、第1管腔34に注入流体を供給する。制御装置および/または光源(図示せず)は、第2近位ポート23に接続されて、光センサー32によって測定値を得ることに用いるために、光ファイバ30および/または第2管腔36に光を供給する。これに代わって、またはこれに加えて、制御装置および/または光源は、ハブアセンブリ20内に位置するか、または(動作時には体内管80内に位置し得る)カテーテル10または光ファイバ30に沿って位置してもよい。いくつかの場合において、光は、ハブアセンブリ20上の光アクチュエータ70、遠隔光生成装置(図示せず)上の光アクチュエータ、ハブアセンブリ20とは別体の制御装置(図示せず)上および/または光生成装置と連絡する他の装置上の光アクチュエータを押すこと、選択すること、または触れることによって生成されてもよい。例示的な光源としては、発光ダイオード(LED)、圧電式発光ライト(piezoelectric generated lights)、ホワイトバンド光源(例えばファイバに直接接続され得るホワイトバンド光源)、レーザーなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0044】
いくつかの場合において、カテーテルシャフト12は外側管状部材13と、外側管状部材13の管腔を介して延びる内側管状部材14とを備えており、内側管状部材14は第2管腔36を画定する。
図1のOTWカテーテル構造によれば、第1管腔34は、カテーテルシャフト12の全体にわたって、内側管状部材14の外面と、外側管状部材13の内面との間に画定されている。カテーテル10がSOE構造を有する場合には、第1管腔34は、カテーテルシャフト12の近位部分にわたって、外側管状部材13によって画定され、一方、第1管腔34は、カテーテルシャフト12の遠位部分にわたって、内側管状部材14の外面と外側管状部材13の内面との間に画定されてもよい。他の場合には、カテーテルシャフト12は、第1管腔34および第2管腔36が互いに略平行にカテーテルシャフト12に沿って延びる長尺部分を有するように、第1管腔34および第2管腔36を画定してもよい。これに代わって、カテーテルシャフト12は、注入流体管腔、光ファイバ管腔またはガイドワイヤ管腔として作用する単一管腔(例えば第1管腔34)を画定してもよい。
【0045】
上記で参照したように、内側管状部材14の管腔は、内側管状部材14の遠位端部に近接した遠位ポート28(例えば、遠位光ファイバポートまたはガイドワイヤポート)と、内側管状部材14の近位端部に近接した近位ポート26(例えば、近位光ファイバポートまたはガイドワイヤポート)とを備えた第2管腔36を画定する。遠位ポート28はカテーテルシャフト12の遠位端部18に近接して位置し、近位ポート26は(例えばOTWカテーテル構造では)カテーテルシャフト12の近位端部16に近接して位置してもよいし、または(例えばSOEカテーテル構造では)カテーテルシャフト12の遠位端部18よりわずかな距離だけ近位で、かつ近位端部16の遠位に位置してもよい。近位ポート26は第2管腔36にアクセスを提供する任意の所望の構造のものであってもよい。いくつかの場合、SOE構造を備えたカテーテルの近位ポート26は、米国特許第6,409,863号に記載されているようなガイドワイヤポート形成プロセスに従って形成されてもよい。前記特許文献は参照によって本願に援用される。
【0046】
外側管状部材13またはカテーテルシャフト12の遠位端部分38は、少なくとも縮径部または首部分である部分を有する。いくつかの場合において、遠位端部分38は、第1管腔34をカテーテルシャフト12の遠位端部18に近接して封止するために、内側管状部材14に固定される。例えば、遠位端部分38は、外側管状部材13またはカテーテルシャフト12が外側管状部材13の遠位端部において縮小した直径へと先細になったテーパー状領域を備えていてもよい。いくつかの場合において、外側管状部材13の遠位端部分の内面は、カテーテル10の遠位端部分38において内側管状部材14の遠位端部分の外面に固定されてもよい。外側管状部材13は、例えば、レーザー溶接、ホットジョー、または他の熱接合法、接着接合法、または所望により他の接着法によって、内側管状部材14または他の形状構成(feature)に固定されてもよい。
【0047】
いくつかの場合において、カテーテルシャフト12は、別個の構成要素として形成され、かつ、カテーテルシャフト12の遠位端部18に固定された遠位チップ24を備えている。例えば、いくつかの場合において、遠位チップ24は、例えば、レーザー溶接、ホットジョーまたは他の熱接合法、接着接合法、または所望により他の接着法によって、内側管状部材14、外側管状部材13またはカテーテルシャフト12の他の部分に固定されてもよい。
図1に示すように、いくつかの実施形態において、外側管状部材13の遠位端部分は、外側管状部材13の遠位端部分が内側管状部材14および遠位チップ24の各々に結合されるように、内側管状部材14と遠位チップ24との間に接合部を架け渡してもよい。他の場合は、遠位チップ24は、内側管状部材14、外側管状部材13、またはカテーテルシャフト12の他の部分の一体部分として形成されてもよい。
【0048】
カテーテルシャフト12はまた、カテーテルシャフト12の遠位端部18に近接して位置する1つ以上の放射線不透過性マーカ52を備えていてもよい。放射線不透過性マーカ52は、医療処置中に、蛍光透視技術または他の視覚化技術を用いて、カテーテルシャフト12の遠位端部18の位置を視認するのを容易にする。1つの例示的な場合において、カテーテルシャフト12は、
図1に示すように、カテーテルシャフト12のテーパー状遠位端部分38に近接して内側管状部材14に固定された放射線不透過性マーカ52を備えていてもよい。
【0049】
カテーテルシャフト12は、カテーテル10の遠位端部領域に位置する1つ以上の輸液開口40(例えば穴、開口、など)を備えている。輸液開口40は第1管腔34と連通し、かつ、注入流体Fをカテーテルシャフト12の遠位端部18に近接したカテーテル10の第1管腔34から排出できるように構成されている。例えば、輸液開口40は、注入流体と血管腔を通って流れる血液との混合を容易にするために、注入流体F(例えば塩水)を輸液開口40の各々から1つ以上の半径方向外側方向に放出するように構成されてもよい。これに代わって、またはこれに加えて、輸液開口40は、異なる向きに、例えば、注入流体Fがカテーテルシャフト12から概して遠位に放出されるのを可能にする異なる方法で、配置されてもよい。
【0050】
カテーテルシャフト12は、外側管状部材13の内面から、外側管状部材13の壁を通って、外側管状部材13の外面に延びる複数の輸液開口40を備えている。
図1の線2−2に沿って得られた概略断面図である
図2に示すように、1つの例示的な実施形態において、カテーテルシャフト12は、外側管状部材13のまわりに等距離で周方向に(例えば、各輸液開口40は別の輸液開口40から約90°に配置された状態で)離間された4つの輸液開口40を備えている。他の実施形態において、カテーテルシャフト12は、任意の方法でカテーテルシャフト12の周囲に配置された1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の輸液開口40を備えていてもよい。
【0051】
図3に示すように、いくつかの場合において、輸液開口40のうちの1つ以上は、他の輸液開口40のうちの1つ以上からカテーテルシャフト12に沿って長手方向に変位されていてもよい。例えば、第1および第2の対向配置された輸液開口40a(
図3ではそのうちの1つのみが視認可能である)は、いくつかの実施形態において、長手方向距離x、例えば、約0.5ミリメートル、約1ミリメートル、約2ミリメートル、または約3ミリメートルだけ、第3および第4の対向配置された輸液開口40bから離れて位置する。他の場合には、所望により、第1および第2の対向配置された輸液開口40aは、第3および第4の対向配置された輸液開口40bと長手方向に整合されていてもよい。
【0052】
1つ以上の輸液開口40は、上記したように、カテーテルシャフト12から出る注入流体Fのジェットを生成するように構成されている。例えば、輸液開口40は、輸液開口40から出る注入流体Fの圧力流を生成するために適切な寸法に設定される。いくつかの場合において、輸液開口40は、例えば約25マイクロメートル(0.025ミリメートル)〜約300マイクロメートル(0.300ミリメートル)、約25マイクロメートル(0.025ミリメートル)〜約100マイクロメートル(0.100ミリメートル)、約100マイクロメートル(0.100ミリメートル)〜約200マイクロメートル(0.200ミリメートル)、または約200マイクロメートル(0.200ミリメートル)〜約300マイクロメートル(0.300ミリメートル)の直径を有してもよい。輸液開口40の大きさは、カテーテルシャフト12から排出される注入流体のジェットが生成されることを保証するために、注入流体の体積に基づいて選択されてもよい。
【0053】
図4は、
図1のカテーテルシステム2の遠位端部18における円4内の構成を示す拡大概略図である。円4内において、光センサー32は、カテーテルシャフト12の第2管腔36を貫通して延びる光ファイバ30の遠位端部31に、またはそのまわりに形成されている。光ファイバ30は、光ファイバ30が第2管腔と連通する開口を通って進み、かつ、カテーテルシャフト12の外面(例えば遠位ポート28)を貫通して延びるように、第2管腔36内に配置される。
【0054】
光センサー32は、光を反射すること、および/または反射光を受光することができる任意のタイプの光センサー32であってもよく、体内管を通る絶対流量を求めるために用いられると共に、いくつかの場合には、体内管内における圧力を検出するためにも用いられる。一例において、光センサー32は、第2管腔36内を通過可能であり、かつ、遠位ポート28の遠位に配置可能である光ファイバ30の遠位端部において反射面42(例えば鏡、ダイアフラム、膜、および/または少なくとも部分反射する面)を備えている。反射面42は任意の材料から製造されてもよい。一例において、反射面42は、少なくとも光ファイバ30の遠位端部31を通過する波長の第1部分を反射することができ、光ファイバ30の遠位端部31を通過する光の波長の第2部分を該反射面に通過させる材料から製造されてもよい。
【0055】
反射面42または鏡は、任意の一連の波長を反射し、任意の一連の波長を通過させる。反射面42または鏡がそれらを通過させる光の波長は、少なくとも血液粒子が反射する光の波長であってもよい(例えば、赤色に関連する波長、例えば約620nm〜740nmの波長であり、可視赤色光は約650nmの波長を有し得る)。一部の例では、反射面42または鏡が反射する光の波長は、約620nm〜740nmの波長以外の一部またはすべての可視光波長を含んでもよい。この開示の例は、主として可視光に関する適用に関するが、反射面42は波長を反射してもよいし、かつ/または波長を通過させてもよく、波長は、ガンマ線波、X線波、UV波、可視光波、赤外線波、マイクロ波、FM波、AM波、および/または長波電波に関連する波長である。
【0056】
いくつかの場合において、反射面42(例えば、部分反射する膜またはダイアフラム)は、光ファイバ30の遠位端部31から離されている。1つの実例において、チューブ44は、チューブ44が光ファイバ30の遠位端部31より遠位に延びるように、光ファイバ30の遠位端部領域に接続されている。反射面42はチューブ44の遠位端部に固着され、光ファイバ30の遠位端部31から離間されている。光ファイバ30の遠位端部31、チューブ44、および反射面42は、空洞46(例えばファブリ−ペロー空洞)を形成または画定する。
【0057】
チューブ44は任意の方法で光ファイバ30に固着される。例えば、チューブ44は、接合材48(例えば生体適合性接着剤、ハンダまたは他の接合材)によって光ファイバ30に固着されてもよい。チューブ44はいかなる生体適合材料から製造されてもよい。例えば、チューブは、ガラス材料(例えば二酸化ケイ素を含有)、金属素材(例えばステンレス鋼を含有する材料)、または任意の他の材料、もしくは材料の組み合わせから製造されてもよい。
【0058】
いくつかの場合において、
図4に示す光センサー32は、体内管内の血流量の感知と共に圧力を感知するように構成されてもよい。反射面42は、圧力の変動に応じて内側または外側に撓む反射面42を生じる感圧材料から製造されてもよい。反射面42の撓みに応答して、光ファイバ30の第1部分30aの遠位端部31と反射面42との間の距離が変化し、光ファイバ30の遠位端部31によって反射された光と、反射面42によって反射された光との干渉パターンの変化(例えば光ファイバ30を介して反射される光信号の変化)をもたらす。その場合、これらの変化は感知した圧力を示す。例示的な感圧材料としては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリイミド膜(例えばKAPTON(登録商標))、二軸配向ポリエチレンテレフタレート(PET)(例えばマイラー)、シリコーン、パリレン、金、銀、銅、グラフェン(grapheme)など、および/または、任意のそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0059】
図5は、カテーテル10と、光センサー32が取り付けられた光ファイバ30とを有するカテーテルシステム2の概略部分断面図である。ここで、カテーテル10は第1管腔34および第2管腔36を備え、光ファイバ30は第2管腔36を貫通して、遠位ポート28から(例えばカテーテルシャフト12の遠位端部18において第2管腔36とカテーテルシャフト12の外面との間に延在する開口から)出ている。
【0060】
図5の光センサー32は、光ファイバ30の第1部分30aおよび光ファイバ30の第2部分30bに固着されたチューブ44を備えており、空洞46(例えばファブリ−ペロー空洞または他の空洞)を形成および/または画定する。反射面42は、光ファイバ30の第2部分30bの近位端部において空洞内に配置される。上記で検討したように、反射面42は、光ファイバ30の第1部分30aの遠位端部31を通過する光の波長の第1部分を反射するが、波長の第2部分は、体内管内の血液粒子に反射させるために、この反射面を通過させる。
【0061】
いくつかの場合において、
図5に示す光センサー32は、体内管内の血流量の感知と共に温度を感知するように構成される。反射面42は、温度の変動に応じて内側または外側に撓む反射面42を生じる感温材料から製造されてもよい。反射面42の撓みに応答して、光ファイバ30の第1部分30aの遠位端部31と反射面42との間の距離は変化し、光ファイバ30の遠位端部31によって反射された光と、反射面42によって反射された光との干渉パターンの変化(例えば光ファイバ30を介して反射される光信号の変化)をもたらし、そのような変化は感知した温度を示す。
【0062】
比較的高い熱膨脹係数を有する材料は感温材料と考えられてもよい。例示的な感温材料としては、固体、液体、気体、ポリエステル、PET、PVA、ナイロン、ポリ塩化ビニル(polyvinal chloride)(PVC)、アルミニウム、導体ドープ膜(例えば銀、炭素−ウレタン、など)、および/または、任意のそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。透明材料については、ガラス(SiO
2)が適切に高い熱膨脹係数を有する。一部の例では、特に、反射面42の感温材料の設計は、液体(例えば、エタノールまたは非常に高い熱膨張率を有しており、比較的小さな温度変化に対して敏感である他の液体または気体)の層を間に挟んだ2つの層(例えば1つのガラス層および1つのポリマー層)を有していてもよい。いくつかの代替的または付加的な場合において、反射面42上にはサーモクロミック材料または染料が被覆されてもよく(例えば、反射面42上に液晶が形成されてもよく)、その結果、反射面42またはサーモクロミック材料または染料の色は小さな温度変化によって変化するであろう。反射面42またはサーモクロミック材料または染料の色の変化は、スペクトル反射率測定光ファイバ30および/または光センサー32によって検出されてもよい。
【0063】
カテーテルシステム2は、カテーテル10と、体内管を通る圧力、温度および流量を感知することができる光ファイバ30を備えていてもよい。
図6に示すように、本願に記載される光センサー32は、各光センサー32a,32bが血液粒子によって反射可能な光の波長をそれらの反射面42に通過させる間に、第1光センサー32aは温度を感知することができ、第2光センサー32bは圧力を感知することができるように、光ファイバ30に沿って互いに積層されている。一例において、第1光センサー32aは、光ファイバ30の第1部分30a、光ファイバ30の第2部分30bおよびチューブ44によって画定された空洞46内に封入された感温材料の反射面42aを備えている。前記例において、圧力を感知するように構成された第2光センサー32bは、光ファイバ30に沿って温度を感知するように構成された第1光センサー32aより遠位に配置されている。圧力を感知するように構成された第2光センサー32bは、光ファイバ30の第2部分30bの遠位端部分に取り付けられたチューブ44によって、光ファイバ30の遠位端部31から一定距離だけ離れて支持された反射面42bを備えている。温度を感知するように構成されている第1光センサー32a、および圧力を感知するように構成されている第2光センサー32bの双方は、それらを介して血液粒子に反射することができる光の波長を通過させる。
図6に示すような複合センサーは、
図4および5に開示した光センサー32に類似した方法で作動することができる。
【0064】
いくつかの場合において、カテーテル10は、光ファイバ30または他の光搬送装置および/または発光装置を介して送られる光を体内管内の血液または血液粒子に指向させることを容易にし、かつ/または、血液または血液粒子から反射された光を光ファイバ30または他の光搬送装置および/または光検出装置に戻すように指向させることを容易にするように構成されてもよい。
図7に示すように、カテーテル10は、第2管腔36(例えばガイドワイヤ管腔、光ファイバ管腔または他の管腔)を画定するカテーテル10の遠位端部18の表面上に、1つ以上の反射面58(例えば光反射面)を備えてもよい。例えば、1つ以上の反射面58は、遠位チップ24の表面上、内側管状部材14の遠位端部上、および/または、光ファイバ30の発光部および体内管内の血液または血液粒子に隣接するカテーテル10の1つ以上の他の部分上に位置してもよい。
【0065】
実例として、反射面58は、カテーテル10の遠位端部18において、血液または血液粒子から反射された光が反射面58に反射して、検出器54による検出のために、光ファイバ30に、かつ/または、光ファイバ30を介して、戻るように構成されてもよい。反射面58は、血液または血液粒子によって反射された光を、反射面58を有していない状態で反射されるよりも多く、光ファイバ30内へ反射させることにより、より強力な反射光信号またはビームを、光ファイバ30を介して検出器54に、または別の検出器機構へ、かつ/または、別の検出器機構を介して、提供することを容易にする。生体物質は光の良好な反射体ではないことがあるため、強力な反射光信号ほど、より良好な単位時間当たりの血液粒子の検出をもたらす。
【0066】
反射面58は、約620nm〜740nmの波長を有する光を反射するように構成されてもよく、かつ/または、他の波長を有する光を反射するように構成されてもよい。反射面58は、少なくとも約620nm〜740nmの波長を有する光を反射することができる任意の種類の材料から構成されてもよい。反射面58は、研磨、接着剤接続、溶接接続、および/または他の成形および/または取り付け技術によることを含むが、これらに限定されない、任意の方法で、カテーテル10上に形成されてもよく、かつ/または、カテーテル10に取り付けられてもよい。
【0067】
いくつかの場合には、遠位光源60および/または遠位光検出器62をカテーテルシステム2において用いてもよい。
図8に示すように、カテーテル10を貫通して延びるように構成されたガイドワイヤ64または他の長尺状部材(例えばガイドカテーテル、ワイヤ、など)は、ガイドワイヤ64の遠位端部66上に、かつ/または、遠位端部66に、配置された1つ以上の光源60(例えば発光体)および1つ以上の光検出器62を備えてもよい。光源60および光検出器62は、ハブアセンブリ20にある制御装置またはハブアセンブリ20と通信する制御装置と電気通信してもよく、かつ/または、それらの制御装置によって作動制御されてもよい。光源60および光検出器62は、本願に記載した種類であってもよいし、かつ/または、任意の他の種類の光源および/または光検出器であってもよい。
【0068】
任意の数の光源60および/または任意の数の光検出器62が用いられてもよい。これらの光源60および/または光検出器62は任意の方法で配置されてもよい。そのような場合、その配列は、光を光源60から体内管内の血液または血液粒子上に指向させるように構成され、光検出器62は体内管中の血液または血液粒子によって反射された光を検出するか、または捕捉するように構成される。
【0069】
遠位に位置する光源60および光検出器62を用いた一例において、ガイドワイヤ64または他の長尺状部材の遠位端部66は、3つの光検出器62と、光検出器62の間に配置された2つの光源60とを備えている。その場合、光検出器62および光源60は、
図8に示すように、長手方向に互いにずらされていてもよい。光源60および光検出器62は、
図8では矩形形状をとっているが、光源60および光検出器62は、所望により、円形状、ガイドワイヤ64を取り囲むリング状などを含むが、これらに限定されない1つ以上の他の形状をとってもよい。
【0070】
図9〜
図11は、体内管80の管腔82内に配置された例示的なカテーテルシステム2を示す。光ビームLは、光ファイバ30の近位端部から発して、光ファイバ30を介して送られる。一例において、(
図1に示すような)ハブアセンブリ20にある光アクチュエータ70、カテーテルシステム2に接続された光アクチュエータ、または他の光アクチュエータを用いて、光ビームを光ファイバ30内へ、また光ファイバを介して作用させてもよい。
【0071】
図9および
図10に示すように、カテーテル10は体内管80の管腔82内に(例えば標的位置で)配置され、光センサー32は遠位ポート28を通って、遠位ポート28より遠位の管腔82内の位置に延びる。光ビームLは光ファイバ30を通って、および/または、光ファイバ30の遠位端を介して送られる。光ビームLの第1部分L’は光ファイバ30の遠位端部31に反射して第1反射光信号LRを形成し、第1反射光信号LRは光ファイバ30を通って、ハブアセンブリ20またはハブアセンブリ20に接続された制御装置に送信される。その場合、ハブアセンブリ20は、光ファイバを通って進む反射光ビームを分割または分離するため、各反射面からの反射光ビームを検出するため、および反射光信号に基づいて1つ以上の測定値を計算するために、検出器54および/またはビームスプリッター56を備えている。光ファイバ30の遠位端部31を通過する光ビームLの第2部分L”は反射面42に反射して第2反射光信号LR’を形成し、第2反射光信号LR’は、(例えばビームスプリッター56による)光ファイバ30を介して進む他の光信号からの分離および/または検出器54による検出のために、光ファイバ30を通ってハブアセンブリ20および/またはハブアセンブリ20に接続された制御装置に送信される。光ファイバ30の遠位端部31および反射面42を通過する光ビームLの第3部分L’’’は、光センサー32を通過する流れの中の血液粒子Bに反射して第3反射光信号LR”を形成し、第3反射光信号LR”はビームスプリッター56による他の光信号からの分離および/または検出器54による検出のために、光ファイバ30を介してハブアセンブリ20またはハブアセンブリ20に接続された制御装置に送信される。
【0072】
いくつかの場合において、血管腔82を通過する流体の異なる温度、圧力および/または流量における測定値を得ることを容易にするために、注入流体Fは体内管80の血管腔82内に放出または分散される。
図11に示すように、注入流体F(例えば、塩水はたは本質的に粒子を有さない他の材料)は、(例えば第1管腔34から)カテーテル10の遠位端部分38にある輸液開口40から分散され、その結果、注入流体Fは血管腔82内において血液Bと混合する。注入流体Fと血液Bとの間の混合および形成された希釈流の結果として、血管腔82内における流体の温度、圧力、および/または流量は経時的に変化する。少なくとも
図9および
図10に関して上記で検討し、さらに以下で検討する光検出により、血管腔82内における流体の温度、圧力および/または流量、並びにそれらの変化が経時的に計算されるか、または求められる。
【0073】
動作において、血管腔内における絶対血流を測定する方法100を
図12の例示的な流れ図に示す。例えば、方法100において、カテーテル10は、血管腔82内の所望の位置に進められる(102)。カテーテル10は任意の種類のカテーテルであってよく、例えば、カテーテル10は、近位端部16と、遠位端部18と、近位端部16から遠位端部18まで延びる管腔(例えば、第1管腔34および/または第2管腔36)を備えている本願に開示したカテーテルに類似したカテーテルであってよい。管腔(例えば図に示したような第2管腔36)を貫通するように光ファイバ30を延在させる(104)。いくつかの場合において、光ファイバ30の遠位チップもしくは遠位端部31、または光センサー32の遠位端部は、カテーテル10の輸液開口40のうちの1つ以上の遠位の位置に配置される。
【0074】
光Lは、光ファイバ30を介して血管腔82内の血液B(例えば赤血球または血液粒子(red blood particles))に当てられる(106)。その場合、光L(例えば光Lの部分L”または他の部分)はカテーテル10の遠位端部18を通過する。光ファイバ30を介して光を血液Bに当てることに応答して、血管腔82内の血液Bからの、または血管腔82内の血液Bによって反射された光の、光信号(例えば
図9〜
図11に示す反射光LR”)が光ファイバ30において受信される(108)。血管腔82内の血液Bからの反射光LR”の光信号は、単位時間当たりに光ファイバ30または光センサー32を通過する血球または粒子の数を求めるために用いられる(108)。実例として、血管腔内における流体の絶対流量は、求められた単位時間当たりに光ファイバを通過する血球または粒子の数から算出される。
【0075】
1つの実例において、単位時間当たりに光ファイバ30を通過する血球または粒子の数は、デジタル測定によって求められてもよい。デジタル測定により、測定の時間領域において、血管腔82において光ファイバ30を通り過ぎる血球の散乱が分かる。血球または粒子からの反射光を示す光のレベルに対する閾値が、時間領域のデジタル像における光のレベルに従って確立される場合、血管腔82内において血球または粒子によって反射された光のデジタル「白黒(black and white)」信号を得ることが可能である。そのデジタル白黒信号は、単位時間当たりに光ファイバ30および/または光センサー32を通過する赤血球または粒子の数の計数を可能にする。個人間における赤血球または粒子の量は異なる場合があるが、典型的には、測定期間に必要な比較的短期間(例えば1時間未満、約1時間、など)の間には、赤血球または粒子の量は一定または比較的一定のままであるため、計数は依然として血管腔82内の絶対流量に対して意味を持つ。
【0076】
上記したように、流体Fは輸液開口40を介して血管腔82に注入または分散される。いくつかの場合において、流体Fは1つ以上の既知の流量または確立されている流量で血管腔82に注入または分散される。一例において、流体Fは、第1時間において第1既知流量で、第2時間において第2既知流量で、血管腔82に注入または分散される。その場合、第1既知流量および第2既知流量は類似していてもよいし、または異なっていてもよく、かつ、第1時間と第2時間とは異なる時間である。流体Fが第1既知流量で血管腔82内に分散されると、単位時間当たりに光ファイバ30または光センサー32を通過する赤血球または粒子の数の第1指標が得られる。流体Fが第2既知流量で血管腔82内に分散されると、単位時間当たりに光ファイバ30または光センサー32を通過する赤血球または粒子の数の第2指標が得られる。単位時間当たりに光ファイバ30または光センサー32を通過する赤血球または粒子の数の第1指標および単位時間当たりに光ファイバ30または光センサー32を通過する赤血球または粒子の数の第2指標は、ハブアセンブリ20内および/またはハブアセンブリ20と通信する制御装置(図示せず)内の検出器54において識別され、かつ/または格納される。
【0077】
注入流体Fがカテーテル10から血管腔82内に分散されない(例えば、血管腔内に分散される流体の既知流量がゼロに等しい)場合に、単位時間当たりに光ファイバ30または光センサー32を通過する赤血球または粒子の数の第1指標、および/または、単位時間当たりに光ファイバ30または光センサー32を通過する赤血球または粒子の数の第2指標から、単位時間当たりに光ファイバを通過する赤血球または粒子の数の指標を求めることが可能である。注入流体Fの流量がゼロである場合に単位時間当たりに光ファイバ30または光センサー32を通過する赤血球または粒子のそのような求められた数は、血管腔82内における絶対血流量である。一例において、流体がカテーテル10から血管腔82内に分散されない場合に単位時間当たりに光ファイバ30または光センサー32を通過する赤血球または粒子の数を求めることは、赤血球の数の第1指標、第1既知流量、赤血球の数の第2指標、および/または第2既知流量に基づいたデータポイントから線形的に外挿することを含んでもよい。
【0078】
注入流体Fは赤血球または粒子を有しておらず、注入地点94の圧力P
iは
図13の概略図に示すように増大し、大動脈90からの血液Bの流量を低下させるため、注入流体Fが血管腔82内に分散されると、血管腔82内の光ファイバまたは光センサー(
図13には図示せず)のまわりの単位体積当たりの(潜在的に変化する)赤血球の数が減少する。その結果として、注入流体Fの流量に対する光ファイバまたは光センサーを通過する赤血球または粒子のデータは、血管腔内における絶対血流量を求めるためにプロットされ外挿される。
図13では、注入カテーテル10は大動脈90とは別の血管を介して体内管80に進入するものとして示されているが、これに代わって、またはこれに加えて、注入カテーテルは大動脈90を介して(例えば大腿動脈または他の動脈を介して)体内管80に進入してもよい。
【0079】
血管腔82内の流体の流量は、血管腔82に注入された注入流体の流量Q
iに線形的に関連する。
図13に示すように、典型的な体内管システムにおいて、大動脈90は圧力P
aおよび関連する大血管床抵抗(macro−bed resistance)R
macroを有しており、一方、静脈系92は圧力P
vおよび関連する微小血管床抵抗(micro−bed resistance)R
microを有する。体内管80を通る流体(例えば血液)の絶対流量はQ
bである。注入地点94のカテーテル10からの注入流体Fの流量はQ
iである。注入地点94の圧力はP
iである。電気計算からの類推を用いて、以下の方程式が流れに対して成り立つ。
【0080】
・(Q
b+Q
i)*R
micro=P
i−P
v および
・Q
b*R
macro=P
a−P
i
さらに、
・P
v(静脈圧)は略0であると考えられ、よってP
i−P
v≒P
iであり、かつ、
・P
a(大動脈における圧力)は一定であると考えられる(心周期に対して一定平均)。
【0081】
結果として、以下の方程式も成り立つ。
・Q
b(Qi)=P
a/(R
macro+R
micro)−Q
i*(R
micro)/(R
macro+R
micro)=α−β*Q
i
このQ
b(Q
i)=α−β*Q
iの方程式から、血管腔82の中に分散される注入流体Fの流量Q
iは、血液Q
bの絶対流量に線形的に関係することが分かる。よって、血管腔82内に分散された注入流体Fの2つ以上の異なる流量Q
iに対する単位時間当たりに光ファイバ30または光センサー32を通過する赤血球または粒子の数の指標のデータポイントに基づいて、必要とされる血液の絶対流量Q
b(Qi=0)を求めることが可能である。
【0082】
データポイントに基づいて血液の絶対流量Q
bを求める(例えばグラフから求められる、かつ/または、データポイントに方程式を当てはめることから求められる)一例において、注入流体Fが第1既知流量で血管腔82に注入される場合に単位時間当たりに光センサー32または光ファイバ30を通過する赤血球の数の第1データポイントまたは第1指標が求められる。その例において、注入流体Fが第2既知流量で血管腔82に注入される場合に単位時間当たりに光センサー32または光ファイバ30を通過する赤血球の数の第2データポイントまたは第2指標が求められる。次に、第1指標および第2指標に基づいて、注入流体Fが血管腔82に注入されない場合に単位時間当たりに光センサー32または光ファイバ30を通過する赤血球の数のデータポイントが求められる。1つの例示的な場合において、注入流体Fが血管腔82に注入されない場合に単位時間当たりに光ファイバ30または光センサー32を通過する赤血球の数の指標は、第1指標、第1既知流量、第2指標および/または第2既知流量に基づいたデータポイントから線形的に外挿することを含む。そのような場合、注入流体Fが血管腔82に注入されない場合に光ファイバ30または光センサー32を通過する赤血球の数のデータポイントは、血管腔内における絶対血流量である。
【0083】
動作において、血管腔82内における絶対流量制限を測定する方法200を
図14の例示的な流れ図に示す。例えば、カテーテル10は、血管腔82内の所望の位置に進められる(202)。カテーテル10は任意のカテーテル10、例えば本願に開示した任意のカテーテル10であってよい。実例として、カテーテル10は、近位端部16、遠位端部18、近位端部16から遠位端部18まで延びる管腔34または36を備えている。光ファイバ30は、(例えば、遠位ポート28を介してカテーテル18の遠位端部18で)カテーテル10の開口からカテーテル10の管腔34または管腔36を通って進められるか、または延在させられる。
【0084】
光は、光ファイバ30を介して、光ファイバ30の遠位端部31にある、またはそれに隣接するダイアフラムまたは反射面42に当てられる(206)。ダイアフラムまたは反射面42は、血管腔内の圧力に依存する第1光信号を反射し、血管腔82内の赤血球Bによって反射可能な光を通過させる。赤血球または粒子Bによって反射された光から生成される第1光信号および第2光学信号は、光ファイバ30において受信され(208)、制御装置または検出器54および/またはビームスプリッター56に送達される。受信された第2信号は、本願に開示したように、単位時間当たりに光ファイバを通過する赤血球の数を測定するために用いられる。次に、血管腔82内における絶対血流制限は、受信した第1光信号および受信した第2光信号から求められる(210)。一例において、体内管内の圧力は第1信号(例えば反射光LR’)から求められ、絶対血流量Q
bは、本願で検討したように、または他の方法で、第2信号(例えば反射光LR”)から算出されて求められ、血管腔82による絶対流量制限は上記で検討した以下の方程式:R
s=(P
p−P
d)/Q
bから求められる。前記式中、R
s=狭窄部または狭細部を横断した抵抗、または血管腔82内における絶対流量制限、P
d=測定された狭窄部または狭細部の遠位の圧力、P
p=測定された狭窄部または狭細部の近位の圧力である。
【0085】
本願に記載するシステムおよび方法は、主に血液および体内管に関して記載されるが、システム2は、他の医療関連の方法および/または非医療関連の方法において用いられてもよい。例えば、システム2は、任意の管内腔における絶対流量を求めるために、かつ/または、任意の管内腔内における絶対流量制限を求めるために、非医療関連の方法において用いられてもよく、その場合、管内腔は流体の流れ(例えば気体または液体の流れ)を運ぶ。実例として、長尺状管状部材および/または光ファイバは管内腔(例えば管、パイプ、など)を通って標的位置に達し、そこで光ファイバの遠位チップまたは他の部分は、長尺状管状部材内の1つ以上の輸液開口の遠位に延びる。光ファイバを介して管内腔内の粒子に光が当てられ、ここで管内腔流中の粒子は光ファイバの遠位端部を通過する。次に、管内腔内の粒子によって反射された光は、光ファイバによって受信されるか、または検出される。一部の例では、光は、流体を長尺状管状部材から管内腔内に既知流量で分散させる前、後、および/または最中に発せられ、かつ/または受信される。流体が第1既知流量で管内腔内に分散される場合、および流体が第2既知流量で管内腔内に分散される場合に単位時間当たりに光ファイバを通過する粒子の数の第1指標、および単位時間当たりに光ファイバを通過する粒子の数の第2指標がそれぞれ得られる。これらの指標および/または他の指標から、管内腔における流体の絶対流量および/または絶対流量制限が上述した計算に従って求められる。
【0086】
本願では特定の方法の特徴が特定の順序で記載されているが、開示した方法の特徴は他の順序で実施されてもよく、この順序は実例に過ぎない。さらに、本願に開示した方法の特徴は、人的操作、1つ以上の演算装置(例えば、メモリおよびそのメモリ中に保存された命令を処理するためのプロセッサを備えた装置)、または人的操作と1つ以上の演算装置との組み合わせによって実施されてもよい。
【0087】
当業者は、本開示の態様は、本願に記載され企図された特定の実施形態以外の様々な形態で示されてもよいことを認識するであろう。従って、添付した特許請求の範囲に記載されている本開示の範囲および趣旨から逸脱することなく、形態および詳細における発展がなされてもよい。