(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数のウェルを備え、前記複数のウェルの各々は、保持特徴と、その中に配置されている凍結乾燥された試薬とを含み、前記ウェルは、互に整列して位置付けられている、請求項1〜7のいずれか1項に記載のカートリッジ。
前記基部に形成された複数のウェルと、各ウェル内に配置された凍結乾燥された試薬とを備え、前記ウェルのうちの少なくとも2つの各々の中に含まれた前記凍結乾燥された試薬は、互に異なる、請求項1〜8のいずれか1項に記載のカートリッジ。
複数の段差、凹状溝、凸状突起部、ならびに前記底壁の表面に形成された十字パターンを備えている溝および/または突起部の組から成る群から選択される1つ以上の特徴をさらに備えている、請求項1〜9のいずれか1項に記載のカートリッジ。
複数の段差、凹状溝、凸状突起部、ならびに前記底壁の表面に形成された十字パターンを備えている溝および/または突起部の組から成る群から選択される1つ以上の特徴をさらに備えている、請求項11〜17のいずれか1項に記載の試薬ウェル。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本開示は、核酸ベースの増幅検査を行うことが可能な自動機器で使用するために適合される、サンプル容器ホルダを自動処理するためのシステム、装置、および方法に関する。また、それらを使用して自動ランダムアクセス温度循環プロセスを行うための方法も提供される。
【0022】
本システム、方法、および装置を説明する前に、本開示が説明される特定の方法および実験条件に限定されず、方法および条件が変わり得ることを理解されたい。また、本開示の範囲は、添付の請求項のみで限定されるであろうため、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明する目的のためにすぎず、限定的であることを目的としないことも理解されたい。
【0023】
本明細書および添付の請求項で使用される場合、「1つの」および「該」という単数形は、文脈が明確に他に決定付けない限り、複数形の参照を含む。したがって、「該方法」という言及は、1つ以上の方法、および/または本開示等を解読することによって当業者に明確となるであろう、本明細書で説明される種類のステップを含む。
【0024】
「含む」、「含む」、「有する」、および「によって特徴付けられる」と同義的に使用される、「備えている」という用語は、包括的または非制約的な言葉であり、追加の記述されていない要素または方法ステップを除外しない。「から成る」という語句は、請求項で特定されていない、あらゆる要素、ステップ、または成分を除外する。「から本質的に成る」という語句は、請求項の範囲を、特定された材料またはステップ、ならびに開示された主題の基本および新規の特性に物質的に影響を及ぼさないものに限定する。本開示は、これらの語句の各々の範囲に対応する、装置およびその使用方法の例示的実施形態を考慮する。したがって、記載された要素またはステップを備えている、装置または方法は、これらの要素またはステップから本質的に成るか、または成る装置または方法の特定の実施形態を想定する。
【0025】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同一の意味を有する。本明細書で説明されるものと同様または同等の任意の方法および材料を、本明細書で開示される実践または試験で使用することができるが、ここで好ましい方法および材料を説明する。
【0026】
本明細書で使用される場合、「反応混合物」とは、標的特有の試薬、凍結乾燥された試薬を再構成するための希釈剤、1つ以上のヌクレオチド、酵素、および、核酸を含むか、または含む疑いがあるサンプルのうちの1つ以上を含む、ある量の流体を指す。
【0027】
本明細書で使用される場合、「サンプル」または「検査サンプル」とは、核酸等の標的生物または生物分子を含む疑いがある、任意の物質を指す。物質は、例えば、処理されていない臨床検体、検体を含む緩衝媒体、検体を含む媒体および標的生物に属する核酸を放出するための細胞融解物質、または反応容器中および/または反応材料あるいはデバイス上で分離および/または精製されている標的生物に由来する核酸を含む媒体であり得る。場合によっては、サンプルまたは検査サンプルは、検出されるべき増幅核酸等の生物検体の産物を含み得る。
【0028】
本明細書で使用される場合、「生化学分析」という用語は、限定されないが、生化学物質、細胞、有機サンプル、または標的核酸配列等の標的実体の存在、量、あるいは機能的活性を定性的に査定するか、または定量的に測定するための科学研究手順を指す。「生化学分析」という用語には、核酸増幅および熱変性(すなわち、融解)が含まれる。核酸融解は、典型的には、2本の鎖が分離するか、または「融解する」温度までの2本鎖核酸分子の精密な加温を伴う。融解プロセスは、典型的には、約50℃〜約95℃の温度で起こる。
【0029】
本明細書で使用される場合、「凍結乾燥」という用語は、典型的には、傷みやすい材料を保存し、および/またはその輸送を促進するために使用される、脱水プロセスを指す。したがって、「凍結乾燥のための条件」とは、材料内の凍結した水が固相から気相に直接昇華することを可能にするように、周辺圧力を低減させながら、液体材料および/または液体材料を含む容器を凍結条件にさらすことを指す。そのような凍結条件は、その固相および液相が共存することができる、(当技術分野では「三重点」として知られている)最低温度より下に材料を冷却することを含み得る。通常、凍結温度は、−50℃〜−80℃であるが、当業者であれば、自動生化学分析で使用するための試薬を凍結乾燥させるように、適切な凍結温度を決定することができる。
【0030】
本明細書で使用される場合、「再構成する」という用語は、凍結乾燥された材料をその液体形態に戻す行為を指す。したがって、該用語は、凍結乾燥された試薬が水を吸収することを可能にし、それによって、安定化した液体試薬を形成するために十分な時間にわたって、流体、例えば、水または他の好適な希釈剤を凍結乾燥された試薬と接触させることを含む。
【0031】
(容器およびキャップ)
したがって、例示的側面では、特定の病原体を診断する核酸ベースの分析または免疫分析を伴う分析を含む後続の分析のために流体検査サンプルを受け取り、貯蔵するように、容器100が提供されている。
図1A−1Dに示されるように、容器100は、略円筒形上部分110および先細下部分120を有する、本体105を含む、単一部品容器である。本体105の外面上には、図示した実施形態では、本体の上下部分を分離する環状リング125を備えている、横方向に延びているフランジが形成される。本体105の上部分110は、それを通して流体サンプルが堆積させられるか、または容器100から除去される、開放端145を有する。先細下部分120は、光学システム、例えば、生化学分析器の1つ以上の光ファイバ(図示せず)との光学連通を提供するように、平坦であるか、または丸みを帯びるかのいずれかであり得る、閉鎖端150を有する。種々の実施形態では、端部が閉鎖された下部分の底面は、平坦または曲線状であり得る。
【0032】
随意にサンプルまたは反応混合物を含む容器100は、自動生化学分析器(図示せず)の容器ホルダへの挿入のために構成される。本明細書で使用される場合、「挿入のために構成される」容器とは、容器100の本体105の外面が、容器と容器ホルダの容器ウェルとの間の接触を最大限化するようにサイズ決定および成形されていることを指す。ある実施形態では、この最大接触は、容器100の少なくとも一部分との容器ウェルの物理的接触を指す。また、ある実施形態では、この最大接触は、容器100の先細下部分120、または容器100の先細下部分120の少なくとも一部分との容器ウェルの物理的接触を指す。
【0033】
本体105の上部分110の内面140には、検査サンプルの堆積または容器100のキャップ200の取り付け時に内部から変位させられる空気の放出を促進するように、1つ以上の縦方向に向けられた溝135が形成される。種々の実施形態では、複数の(すなわち、2、3、4、5、6、7、または8個の)縦方向に向けられた溝が、上部分110の内面140に形成され得、溝135は、本体105の円周全体の周囲で互から等しく間隔を空けられ得る。
【0034】
その中心軸から半径方向外向きに延びる穴縁155が、本体105の上部分110の開放端145を囲んでいる。種々の実施形態では、穴縁155は、半径方向に延びた穴縁の最外部分から本体の開放端に向かって先細になり、キャップ200への固定可能な取り付けのために構成される(
図2A−2D)。
【0035】
ここで
図2A−2Dを参照すると、固定可能キャップ200は、容器100の上部分110の内面140の密閉係合のための外面を有する、下部分220と、上部分210とを含む。キャップ200が容器100の上部分110の開放端145にしっかりと取り付けられたときに本質的に漏出防止型のシールを確保するために、キャップ200の下部分220の外面は、容器の上部分110の内面140に接触するための1つ以上の環状リブ230を伴って形成される。種々の実施形態では、キャップ200の下部分220は、容器100の上部分110の内面140に接触するための1、2、または3個の環状リブ230を伴って形成される。
【0036】
キャップ200の上部分210は、ピペッタまたはピックアンドプレースロボットの管状プローブ等の容器輸送機構300(
図3A)の一部分への摩擦取り付けのための開放端215を含む。上部分210の内面270に形成された1つ以上の線形リブ260が、キャップ200の上部分210の開放端215への容器輸送機構300の挿入を誘導する。線形リブ260は、キャップ200の軸中心に向かって突出し、それによって、キャップ200の上部分210の内側装備品直径を減少させる。各線形リブ260は、その上端または近位端で(262のように)勾配付きであり得る。これらの線形リブ260は、とりわけ、容器輸送機構300への摩擦取り付けを増進することができる。種々の実施形態では、1、2、3、4、5、6、7、または8個の線形リブ260が、キャップ200の内面270に形成され、その上部分210の長さ全体の少なくとも一部分に延びる。
【0037】
線形リブ260のうちの少なくとも1つは、例えば、下端または遠位端で、キャップの上部分210の中心軸に向かって半径方向内向きに徐々に先細になる、その一部分265を伴って形成され得る。換言すると、線形リブ260の突出の量は、線形リブ260がキャップ200の上部分210の底部245に接近するにつれて、サイズが徐々に増大し得る。代替として、またはそれに加えて、ある実施形態では、線形リブ260は、キャップ200の上部分210の底部245に接近するにつれて、全体的厚さが徐々に増大し得る。したがって、厚さまたは半径方向幾何学形状の段階的増加が、1つ以上の線形リブ260の段階的先細のために想定され、これは、容器輸送機構300が輸送のためにキャップ200の中へ降下させられた場合、容器輸送機構300を安定させて中心に置く働きをする。
【0038】
その長さの少なくとも一部に沿って延びる、1つ以上の圧痕または陥凹234が、各線形リブ260と対応し、キャップ200の上部分210の外面上に配置される。陥凹は、例えば、凹状、切り欠き、正方形等の任意の形状で形成され得る。したがって、少なくとも1つの陥凹234が、キャップ200の上部分210の外面に形成される。種々の実施形態では、陥凹234の長さは、対応する線形リブ260の長さと同一であり、各線形リブ260は、1対1の関係でキャップ200の外面上に形成された少なくとも1つの陥凹234の位置に直接対向する場所で、キャップ200の内面270上に位置するように位置付けられる。このような陥凹234との線形リブ260の連結は、容器輸送機構300へのキャップ200の摩擦取り付けの予測可能性を増進する。ある実施形態では、容器輸送機構300がキャップ200の開放端215の中へ降下させられると、1つ以上の線形リブ260に接触し、それによって、1つ以上の線形リブ260を圧迫する。そのような線形リブ260の圧迫は、容器輸送機構300を収容し、したがって、容器輸送機構300へのキャップ300の摩擦取り付けを増進するように、その軸中心に対して半径方向外向きにキャップ200および陥凹234を屈曲させ、および/または拡張させる。したがって、1、2、3、4、5、6、7、または8個の陥凹234が、キャップ200の上部分210の外面上に形成され得る。
【0039】
その中心軸から半径方向外向きに延びる穴縁225が、キャップ200の上部分210の開放端215を囲んでいる。種々の実施形態では、穴縁225は、開放端215から下部分220に向かって先細になる。穴縁225の先細部から、複数の突出部235が突出している。突出部235は、互から等しく間隔を空けられ、自動生化学分析器で使用するためのマルチウェルトレイ400(
図4A)のウェル内での積み重ね、および/またはドッキングを促進し得る。種々の実施形態では、1、2、3、4、5、6、7、または8個の突出部235が、穴縁225の先細部に形成される。
【0040】
種々の実施形態では、キャップ200は、容器輸送機構300の先端を覆って同軸上に配置され、それに対して軸方向に移動可能なスリーブ306によって、容器輸送機構300から除去される。スリーブ306は、先端の遠位端に向かって、先端に対して軸方向に移動し、キャップの穴縁225に接触し、それによって、容器輸送機構300の先端からキャップを押し外す。
【0041】
その中心から離れて半径方向に延びるフランジ240が、キャップ200の下部分220から上部分210を分離している。フランジ240は、フランジ240からキャップ200の下部分220に向かって延びる、複数の係止アーム250を含む。係止アーム250は、容器100の穴縁155をしっかりと係合するために成形され、その内容物の漏出防止シールを維持しながら、容器100へのキャップ200の取り外し可能な取り付けを可能にするように配置され得る。種々の実施形態では、1、2、3、4、5、6、7、または8個の係止アーム250が、キャップ200に形成される。
【0042】
キャップ200のフランジ240は、加えて、下部分220から上部分210を分離するように底部245を形成する働きをし、それによって、環境から容器100の内部を閉鎖する。しかしながら、ある実施形態では、底部245は、試薬を収集し、および/または容器100内の検査サンプルに追加するための機構によって穿刺するために切り込み線が入っている255。そのような穿刺は、その中の内容物へのアクセスを提供しながら、容器100との係合から固定されたキャップ200を除去する必要性を回避する。
【0043】
本開示の容器100およびキャップ200は、ポリオレフィン(例えば、高密度ポリエチレン(「HDPE」)、低密度ポリエチレン(「LDPE」)、HDPEおよびLDPEの混合物、またはポリプロピレン)、ポリスチレン、高衝撃ポリスチレン、およびポリカーボネートを含むが、それらに限定されない、いくつかの異なるポリマーおよびヘテロポリマー樹脂から調製され得る。HDPEの例は、Alathon M5370という商標の下で販売され、Polymerland(Huntsville,N.C.)から入手可能であり、LDPEの例は、722という商標の下で販売され、The Dow Chemical Company (Midland,Mich.)から入手可能であり、ポリプロピレンの例は、Rexene 13T10ACS279という商標の下で販売され、Huntsman Corporation(Salt Lake City,Utah)から入手可能である。LDPEは、HDPEより軟質で可鍛性の材料であるが、LDPEの軟質性は、容器100の穴縁155を固定可能に係合するように、キャップ200の係止アーム250において可撓性を提供する。そして、HDPEで作製されたキャップは、LDPEで作製されたものより堅いが、この堅さは、HDPEキャップをLDPEで作製されたものより貫通することを困難にする傾向がある。容器100およびキャップ200は、例えば、好ましくは、体積が約20%LDPE:80%HDPE〜約50%LDPE:50%HDPEの混合範囲内で、LDPEおよびHDPEの混合物を含む、樹脂の組み合わせから成り得ることを理解されたい。加えて、容器100およびキャップ200の各々を形成するために使用されるLDPEおよびHDPEの量は、同一であり得るか、または異なり得る。種々の実施形態では、キャップ200の少なくとも一部分は、自己蛍光特性が低いか、または全くない、不透明材料から形成される。また、ある実施形態では、自己蛍光特性が低いか、または全くない、不透明材料から形成されるキャップ200の一部分は、キャップ200の下部分220の内面232を含む、少なくともその下部分220である。
【0044】
選択される樹脂の種類または混合物にかかわらず、容器100およびキャップ200は、好ましくは、その形状を形成するために使用される、容器およびキャップの空洞の中への一様な樹脂流を促進するためのマルチゲートプロセスを含む、射出成形の当業者に周知である手順を使用して、一体部品として射出成形される。一様な樹脂流は、キャップ200の貫通可能な底部245のため、キャップ200および容器100の気密等の確実な係合を確保すること、容器輸送機構300とのキャップ200の予測可能な係合を確保すること、および容器ホルダの容器ウェルとの容器100の最大接触を確保することを含む、種々の理由で重要である厚さの一貫性を達成するために望ましい。
【0045】
図3Aに示されるように、容器輸送機構300(例えば、自動ピペッタまたは他のピックアンドプレース装置)の先端は、先端300と、キャップ200、またはピペット先端(図示せず)等の先端300が挿入される構成要素との間の摩擦締まり嵌めを増進するために、302および304で示されるような1つ以上の環状リブを含み得る。キャップ200等のキャップの場合、先端300は、診断分析等の間、キャップおよびキャップが取り付けられる容器を使用して行われるプロセスの経過の間に数回、キャップに挿入され、キャップから除去され得る。キャップがプラスチック材料から作製され得るため、キャップの中への先端300のそのような繰り返しの挿入およびキャップからの除去は、先端300とキャップ200との間に不良な摩擦接続をもたらし得る、プラスチック材料のクリープ(永久的または半永久的変形)をもたらし得る。
【0046】
したがって、種々の実施形態では、キャップは、先端へのキャップの固定を増進するように、環状リブ302、304の一方または両方に協調的に係合する、内部レリーフ構造または戻り止めを提供され得る。
【0047】
そのようなレリーフまたは戻り止め特徴を有するキャップの実施形態は、
図3Cの参照番号900によって示される。キャップ900は、上部分910と、下部分920と、そこから軸方向に延びる係止アーム950を伴う環状フランジ940と、内面970を画定する開口部915とを含む。種々の実施形態では、キャップ900は、上で説明されるキャップ200のように、容器100の上部分110の開口部を包囲する穴縁155を係合する係止アーム950を用いて、容器100を係合するように構成される。キャップ900はさらに、内面970に沿って軸方向に延びる、いくつかの縦リブ960を含む。種々の実施形態では、リブ960は、内面970の周囲に等角度で間隔を空けられる。一実施形態では、各リブ960は、それに関連付けられている、リブ960の反対側の上部分910の外面上に形成された縦方向に延びる圧痕または陥凹934を有する。陥凹934は、種々の実施形態では、リブ960と同一の長さであり得る、縦方向に延びる凹状溝の形態であり得る。各リブ960は、その下遠位端に拡大部分965を含む。一実施形態では、リブ960は、リブ960の上位のより狭い部分とより大きい下部分965との間に先細移行部を含む。より大きい部分965は、上部分910の略円筒形の内面970と、先細、例えば、円錐表面972との間の移行部を通って延び得る。
【0048】
本開示の他の場所で議論されるように、種々の実施形態では、各リブ960および関連付けられた陥凹934は、リブがキャップ900に挿入された容器移送機構の一部分の全体的形状に一致することを可能にする、リブ960の軸方向屈曲を可能にするように協働する。
【0049】
縦リブ960のうちの1つ以上はさらに、リブ960の下端内に凹状陥凹または空洞を画定するように、
図3Cに示されるように除去されるか、または波形に切り抜かれる、リブ960の拡大区分965の一部として画定される、レリーフまたは戻り止め964を含む。
図3Dに示されるように、各レリーフ964は、容器輸送機構300の下環状リブ302を受け取る。レリーフ964との環状リブ302の相互係合は、容器輸送機構300へのキャップ900の摩擦固定を増進する。
【0050】
種々の実施形態では、戻り止め964が、縦リブ960の全てに形成される。
【0051】
キャップを容器輸送機構に固定するためのレリーフまたは戻り止め特徴を有する、キャップの代替実施形態が、
図3Eの参照番号1000によって示されている。キャップ1000は、上部分1010と、下部分1020とを含む。環状フランジ1040は、キャップ1000から半径方向に延び、そこから軸方向に延びる複数の係止アーム1050を有する。種々の実施形態では、キャップ1000は、容器100の上端110における開口部を包囲する穴縁155に係合する係止アーム1050を用いて、容器100と相互係止するように構成される。
【0052】
キャップ1000は、上部分1010の内面に沿って軸方向に延びる、いくつかの縦リブ1060を有する。種々の実施形態では、リブ1060は、上部分の内面の周囲に等角度で間隔を空けられる。一実施形態では、各リブ1060は、それに関連付けられている、リブ1060の反対側の上部分1010の外面上に形成された縦方向に延びる圧痕または陥凹1034を有する。陥凹1034は、種々の実施形態では、リブ1060と同一の長さであり得る、縦方向に延びる凹状溝の形態であり得る。
【0053】
種々の実施形態では、各リブ1060は、その下遠位端付近の拡大部分1065に移行する。種々の実施形態は、拡大部分1065とリブ1060の非拡大部分との間に先細移行部を含み得る。
【0054】
本開示の他の場所で議論されるように、種々の実施形態では、各リブ1060および関連付けられた陥凹1034は、リブがキャップ1000に挿入された容器移送機構の一部分の全体的形状に一致することを可能にする、リブ1060の軸方向屈曲を可能にするように協働する。
【0055】
レリーフまたは戻り止めが、上位の比較的真っ直ぐな辺の表面1070と、上部分1010の下先細部分1072との間の移行部付近でキャップ1000から切り抜かれた、窓または開口部1064によって、リブ1060のうちの1つ以上の中に提供される。
図3Eに示されるように、各開口部1064の直接上方に位置するリブ1060の拡大部分1065と組み合わせられた、各開口部1064は、容器輸送機構300の下環状リブ302を受け取るレリーフまたは戻り止めを形成する。種々の実施形態では、開口部1064が、少なくとも2つのリブ960の各々の中に提供される。種々の実施形態では、2つの開口部1064が、正反対の位置に提供される。
【0056】
キャップ1000の開口部1064によって提供されるレリーフまたは戻り止め構造、あるいはキャップ900のレリーフ964または戻り止めは、レリーフの近傍のプラスチック材料の最小限の変形を伴って、または全く伴わずに、容器輸送機構300上にキャップ900、1000を摩擦で固定するように、環状リブ302等の先端300の一部分を物理的に係合し、それによって、戻り止めの近傍でプラスチック材料のクリープを回避または制限する。
【0057】
(キャップの自動除去のための方法)
場合によって、例えば、等温または熱循環条件下での遠心分離またはインキュベーション等のプロセスがキャップ・容器アセンブリおよびその内容物に行われた後、容器の内部にアクセスして、そこから物質を除去する、および/またはそこに物質を追加する必要がある。したがって、そのような場合において、キャップが係止して取り付けられる容器100から、キャップ200(または900あるいは100)を除去することが必要になる。
【0058】
別の側面では、キャップ付き反応容器からのキャップの自動除去のための方法が本明細書で開示される。本方法は、
図3Bに示されるように、容器100の穴縁155に固定可能に係合する容器100を提供することを含む。その後、キャップ200の複数の係止アーム250のうちの少なくとも1つの内側部分280を、容器スロットの周囲で画定される隆起環状突起部と接触させるという自動運動を行う。容器スロットは、自動生化学分析器の容器ホルダの中で提供され得、代替として、容器スロットは、自動生化学分析器から除去されることを目的としているカードまたはカートリッジの中で提供され得る。接触させることは、容器100の穴縁155から離して係止アーム250を押し、それによって、容器100からキャップ200を係合解除する。キャップ200が容器100から係合解除されている間に、容器100から離してキャップ200を持ち上げ、それによって、容器100からキャップ200を除去するように、自動運動が行われる。種々の実施形態では、自動運動は、例えば、ピペッタまたはピックアンドプレースロボット等の容器輸送機構300(
図3A)によって行われる。
【0059】
自動的に容器からキャップを除去するための装置が、
図12および13の参照番号1260によって示されている。
図12および13は、それぞれ、キャップ除去トレイ1260の部分上面および底面斜視図である。トレイ1260は、概してトレイを包囲する基部1262と、基部1262上で支持される上壁1264とを含む。キャップ200と、容器100とを備えている、アセンブリが、以下で議論されるように、容器100からキャップ200を除去するための複数のキャップ除去ステーション1266のうちの1つに挿入されて示されている。
図13に示されるように、キャップ除去ステーション1266の開口部1268に挿入されたとき、容器100は、上壁1264の下方に延びる。したがって、好ましい実施形態では、基部1262は、キャップ除去ステーション1266を通って上壁1264の下に突出する容器100の長さを収容するように十分な高さを有する。
【0060】
キャップ除去トレイ1260の部分図である、
図12および13では、9個のキャップ除去ステーション1266の行列が示されている。キャップ除去トレイ1260は、任意の数のキャップ除去ステーション1266を有し得る。種々の実施形態では、キャップ除去ステーション1266は、整列した行および列で方向付けられる。以下で説明されるように、キャップ200が容器100から除去された後、容器100はキャップ除去ステーション1266内にとどまる。したがって、整列した行および列でキャップ除去ステーション1266を方向付けることによって、容器輸送機構(例えば、自動ピペッタ)が、キャップ除去トレイ1260内で保持される容器のうちのいずれかを正確に識別し、および/またはそれにアクセスすることができるように、空間的に索引付けされた方向付けが提供される。
【0061】
各キャップ除去ステーションは、開口部1268を包囲し、上壁1264の上方に延びる、隆起カラー1270を含む。複数の弾力的なタブ1272、例えば、4つのタブが、開口部1268を包囲し、上壁1264の下方に延びる。種々の実施形態では、タブ1272の各々は、開口部1268の中心に対して半径方向内向きに角度付けられる。
【0062】
キャップがキャップ除去ステーション1266によって容器から除去される様式は、14A、14B、14Cで図示される順序によって示される。
【0063】
図14Aに示されるように、キャップ200と、100の容器とを備えている、アセンブリが、キャップ除去ステーション1266の開口部1268を通して挿入されるとき、容器100上に形成された環状リング125は、弾力的なタブ1272の下端に係合し、弾力的なタブは、それらの下または遠位端1274におけるタブの間の距離が環状リング125の直径より小さいように、内向きに角度付けられる。弾力的なタブ1272を通って押されている環状リング125の力は、
図14Aに示されるように、タブを外向きに押し、それによって、容器がタブ1272を通して押されることを可能にする。
【0064】
隆起カラー1270は、カラーの先端よりもカラーの基部で大きい幅(例えば、直径)を伴い、開口部1268から離れて角度を成す外面を有し、隆起カラー1270は、隆起カラー1270の上縁が、キャップ200のたわんでいない係止アーム250の内側で嵌入して、係止アーム250の内側部分280(例えば、
図2B参照)に接触するように構成される。
【0065】
図14Bに示されるように、容器100が開口部1268を通して押されると、係止アーム250は、カラーの上部からカラーの基部まで進んで外向きに角度付けられた隆起カラー1270の外面に沿ってスライドし、それによって、容器100の穴縁155との係合から外向きに係止アームを押し出す。さらに、容器100の環状リング125が弾力的なタブ1272の下端1274を通過すると、タブ1272は、環状リング125の上方の容器100の外面に支えられている、それらのたわんでいない位置に向かって弾力的にスナップする。
【0066】
容器100の穴縁155は、隆起カラー1270の上縁または上先端と弾力的なタブ1272の下端1274との間の距離に概ね対応する距離によって、容器100の環状リング125から間隔を空けられている。また、隆起カラー1270の上縁の幅または直径は、概して、容器の開口部を包囲する穴縁155の幅または直径に対応する。したがって、容器100は、開口部1268を通して移動させられ続け、隆起カラー1270の角度付けられた外面は、穴縁155との係合から外して係止アーム250を移動させ、穴縁155は、隆起カラー1270の上縁と接触する。この時、容器100の環状リング125は、弾力的なタブ1272の下端1274を通過する。そして、容器は、穴縁155と環状リング125との間に配置される弾力的なタブ1272および隆起カラー1270によって、キャップ除去ステーション1266内で本質的に係止される。穴縁155の裏面と隆起カラー1270の上縁との間の接触は、係止アーム250が穴縁155に再係合することを防止する。
【0067】
図14Cに示されるように、次いで、キャップ200が上昇させられるとき、その係止アーム250は、もはや容器100の穴縁155と係合されず、容器100は、弾力的なタブ972の下端1274と接触している環状リング125によって、キャップ除去ステーション1266内で保持される。したがって、キャップ200は、容器100から分離することができ、容器100は、キャップ除去トレイ1260のキャップ除去ステーション1266内で保持される。
【0068】
キャップ除去トレイ1260のキャップ除去ステーション1266、ならびにキャップ200および容器100は、略円形の形状を有するものとして示されているが、キャップ除去ステーション1266で具現化される概念は、異なる形状に適用可能である。例えば、キャップ除去ステーションは、同様の長方形を有する容器から、同様の長方形を有するキャップを除去するために、長方形を有し得る。
【0069】
種々の実施形態では、キャップ除去トレイ1260は、一体的に成形されたプラスチック構成要素を備え、各キャップ除去ステーション1266の隆起カラー1270および弾力的なタブ1272は、上壁1264内で一体的に形成される。
【0070】
(マルチウェルトレイ)
別の側面では、自動プロセスで使用するためのマルチウェルトレイが本明細書で開示される。ここで
図4Aおよび4Bを参照すると、示されるようなマルチウェルトレイ400は、基部410を含み、基部410は、複数のウェル415、416をその頂面417内に配置している。基部410への取り外し可能な取り付けのために構成されている、カード挿入物420(
図5Aも参照)が、それに取り付けられる。カード挿入物420が基部410に取り付けられている場合、カード挿入物420の頂面425は、基部410の頂面417と実質的に平行かつ同一平面である。
【0071】
カード挿入物420の頂面425内には、生化学分析を行うために使用される1つ以上の試薬を含むために各々構成される複数のウェル430が配置されている。カード挿入物420の各ウェル430は、基部410の中に配置されるウェル415のうちの少なくとも1つに対応する。したがって、ある実施形態では、基部410へのカード挿入物420の取り付け後に、マルチウェルトレイ400は、例えば、マルチウェルプレートの一様な外観を帯びる。基部410の中に配置されるウェル415、416は、ペアで配列され得、各ペアは、カード挿入物420の単一のウェル430に対応する。したがって、マルチウェルトレイ400は、ウェルの複数の組435を含み得、各組435は、基部410の頂面417内に配置される第1のウェル415および第2のウェル416と、カード挿入物420の頂面425内に配置される第3のウェル430とを含む。ウェルの各組435のうちのウェルは、互に整列し得、それによって、マルチウェルトレイ400が自動システムの中に配置または挿入されると、自動容器輸送機構300が複数のウェルのうちのいずれかを正確に識別し、および/またはそれにアクセスすることができるように、空間的に索引付けされるマルチウェルトレイ400をもたらす。ある実施形態では、マルチウェルトレイ400は、ウェルの10組435を含む。したがって、基部410は、第1および第2のウェル415、416の10ペアを伴って形成され、カード挿入物420は、10個の第3のウェル430を伴って形成され、組435の第1、第2、および第3のウェルの各々は、互に整列して配列される。したがって、マルチウェルトレイ400は、自動生化学分析器で使用するためにその中で提供される、10個の容器100および10個のキャップ200を含み得る。
【0072】
組435の第1および第2のウェル415、416は、それぞれ、キャップ200および容器100を受け取るように構成される。「第1の」および「第2の」という用語は、説明目的で、基部410に形成されたウェルを区別するために使用されるものであると理解されるべきであるが、「第1のウェル」またはキャップウェル415とは、容器キャップ200を受け取るように構成されるウェルを指すであろう。
【0073】
ここで
図7Aおよび7Bを参照すると、基部410の第1のウェル415は、円筒壁470および底壁472によって画定される。底面472の中心には、基部410の頂面417に向かって上向きに延びる突出部475が形成される。突出部475は、キャップ200の下部分220の中空部分232との係合、随意に、摩擦係合のためにサイズ決定および成形される。代替として、またはそれに加えて、円筒壁470は、第1のウェル415の軸中心に向かって突出する複数のタブ477を伴って形成され得る。そのようなタブ477は、例えば、マルチウェルトレイが反転または揺すられた場合に、キャップ200がマルチウェルトレイから抜け出すことを防止するように、キャップ200の少なくとも一部分をしっかりと係合するために構成される。ある実施形態では、2、3、4、5、6、7、または8個のタブ477が、第1のウェルの円筒壁470に形成される。タブ477の各々は、キャップ200のフランジ240の頂面をしっかりと係合し得る。
【0074】
同様に、「第2のウェル」または容器ウェル416とは、容器100を受け取るように構成されるウェルを指すであろう。
図7Aおよび7Bに示されるように、第2のウェル416は、円筒壁480および底壁482によって画定される。底壁482の中心には、貫通穴485の基部が形成される。貫通穴485は、容器100の下部分120の外面と一致してサイズ決定および成形される。したがって、貫通穴は、下部分120の角度に対応する角度で、先細であり得る。
図7Aに示されるように、第2のウェル416の底壁482は、容器100のリング125に係合するために貫通穴の周囲に環状レッジを形成する。代替として、またはそれに加えて、円筒壁480は、第2のウェル416の軸中心に向かって突出する、複数の脚部487を伴って形成され得る。そのような脚部487は、例えば、マルチウェルトレイが反転または揺すられた場合に、容器100がマルチウェルトレイから抜け出すことを防止するように、容器100の少なくとも一部分をしっかりと係合するために構成される。ある実施形態では、2、3、4、5、6、7、または8本の脚部487が、第2のウェル416の円筒壁480に形成される。脚部487の各々は、容器100のリング125の頂面にしっかりと係合し得る。
【0075】
上で議論されるように、各組435の第3のウェルまたは試薬ウェル430は、生化学分析を行うための1つ以上の試薬を含む。ある実施形態では、組435の第3のウェル430は、凍結乾燥された試薬495(
図8および9C)を含み、破れやすいシール440(
図8)で密閉され得る。例えば、カード挿入物420の各ウェル430は、例えば、その頂面425に適用される感圧接着剤を使用して、金属ホイル(またはホイル積層)で密閉され得る。破れやすいシール440はさらに、熱シーラが使用されるときに頂面425への破れやすいシール440の取り付けを助長する、その一方または両方の表面に適用されるHDPEの薄いベニヤ等のプラスチック裏地を含み得る。熱密閉は、周知のプロセスであり、熱の生成と、この場合、頂面425、またはカード挿入物420のウェル430を包囲する隆起穴縁427(
図4A、5A参照)である、密閉される表面への加圧とを伴う。代替として、高周波数または高振幅音波のいずれかを使用する、任意の公知の超音波溶接手順もまた、破れやすいシール440をカード挿入物420に貼り付けるために使用され得る。カード挿入物420は、各々が単一のウェル430を密閉する、複数の破れやすいシール440を含み得るか、またはその中に配置された全てのウェル430を密閉する単一のシートを含み得る。
【0076】
単一の凍結乾燥された試薬495が、カード挿入物420の各ウェル430の中で提供され得る。しかしながら、ある実施形態では、カード挿入物420の1つ以上のウェル430は、異なる標的特有の試薬等の異なる凍結乾燥された試薬495を含み得る。したがって、カード挿入物420の各ウェル430は、その中の複数のウェル430のうちの少なくとも1つの他方のもの中に含まれる凍結乾燥された試薬495と比較して、異なる凍結乾燥された試薬495を含み得る。種々の実施形態では、カード挿入物420は、非試薬消耗品を含まない。本明細書で使用される場合、「試薬」とは、化学または生化学反応で使用するための物質または混合物を指す。したがって、「非試薬消耗品」とは、自動生化学分析によって使用されるが、試薬ではない構成要素を指す。例示的な非試薬消耗品は、汚染制限要素、容器100、およびキャップ200を含むが、それらに限定されない。
【0077】
ここで
図5A−5Eを参照すると、カード挿入物420の各ウェル430は、側壁またはウェル壁450、および底部または底壁あるいは底壁部分455によって画定される。種々の実施形態では、側壁450は、その上端から底部455まで先細になり、したがって、円錐壁と称され得る。
図5B−5Eに示されるように、各ウェルの底部455は、流体の堆積およびウェルからの流体の収集を促進する1つ以上の特徴を伴って形成され得る。そのような特徴は、凹状溝457、460(
図5C、5D、5E)、凸状突起部(図示せず)、または十字パターンで位置付けられる溝の組(図示せず)を含むが、それらに限定されない。特徴は、
図5Cに示されるように、ウェル430の軸中心に位置し得るか、または
図5Bに示されるように、その側面にオフセットされ得る。代替として、またはそれに加えて、側壁450は、その中に含まれた流体を堆積および/または収集することのさらなる促進のために、その表面上に複数の段差462を伴って形成され得る。カード挿入物420の各ウェル430の側壁450はさらに、側壁450からウェル430の軸中心に向かって半径方向に突出している複数の堅いガイド465を伴って形成され得る。そのような堅いガイド465は、先端がその中で降下させられると、ウェル430の軸中心に向かって、自動ピペッタ上に搭載されるピペット先端310(
図8および9C)を誘導し、さらに、ウェル430の底部455で、またはそれに隣接して、凍結乾燥された試薬を保持する働きをし得る。種々の実施形態では、各ウェル430は、それぞれの先細側壁450から突出する、2、3、4、5、6、7、または8個の堅いガイド465を伴って独立して形成され得る。
【0078】
溝、突起部、および/または段差等のウェル430の底部455に形成される特徴は、ウェル430に挿入されるピペット先端の端部に干渉し、したがって、流体吸引中にピペット先端内の陰圧蓄積を防止するように、ピペット先端の端部が底部455と密閉接触することを防止する。例えば、
図5Eに示されるように、溝457等のウェル430の底部455上に形成される特徴は、ピペット先端310がウェル430の底部455と密閉接触することを防止する、隙間を提供する。
【0079】
加えて、ある実施形態では、カード挿入物420の各ウェル430の側壁450は、例えば、希釈剤が凍結乾燥された試薬の再構成のためにウェル430の中へ堆積させられるときに、ウェル430の底部455で、またはそれに隣接して、凍結乾燥された試薬495を保持するために使用されることができる、1つ以上の保持特徴(
図8および9C−9D)を含み得る。
図9Cおよび9Dにおいて、保持特徴は、以下で説明されるマルチウェルトレイ700の代替実施形態のウェル715内で示される。種々の実施形態では、保持特徴は、凍結乾燥された試薬495によって占有されるべき領域の上方に形成され、ウェル430の軸中心に向かって延びる、1つ以上の突出部、または環状突起部800を含み得る。そのような突出部または環状突起部800は、開口部が凍結乾燥された試薬495の直径より小さいように、側壁450の開口部を狭くする。
【0080】
図9Eに示されるように、環状突起部800は、側壁450が変形させられ、それによって、その中に環状突起部800を形成するように、1つ以上のヒートステーク880をウェル430に挿入することによって形成され得る。1つ以上のヒートステーク880は、1つ以上のヒートステーク880を加熱し得る装置890に取り付けられ得、それによって、その直径がヒートステークの直径に等しい、先細部に沿った点で、側壁450を変形させるために十分な熱を提供する。
【0081】
種々の実施形態では、保持特徴はまた、凍結乾燥された試薬495によって占有される領域を覆って形成される、1つ以上の固体延長部810の形態を成し得る。そのような延長部810は、側壁450の対向領域を接続し、それによって、ウェル430の底部455で、またはそれに隣接して、凍結乾燥された試薬495を保持する。種々の実施形態では、側壁450は、820で示されるように、並目ねじのねじ山を模倣するように形成され得る。そのようなねじ山付き特徴820は、ウェル430の射出成形中に形成され得、または加熱されたねじ部分をウェル壁に適用することによって形成され得、それによって、その長さに沿ってらせんチャネルを形成し、それを通って、流体が重力を使用して底部455まで流れ得る。種々の実施形態では、保持特徴は、凍結乾燥された試薬495の堆積の前または後のいずれかで、側壁450に固定して取り付けられる、先細リング挿入物830の形態で提供され得る。先細リング830は、プラスチックで形成され、側壁450の先細部に従って先細になる外面を含み得る。存在するとき、先細リング830は、凍結乾燥された試薬495が、ウェル430の底部455で、またはそれに隣接して保持されるように、ウェル430の開口部を狭くする。
【0082】
凍結乾燥されたビーズ495が初期液体試薬からウェル内で形成されるか、または固体ビーズがウェルの外側で形成され、次いで、ウェルの中に配置されるかどうかは、保持特徴がウェルの一体的部品であるかどうかに依存し得る。保持特徴がウェルの一体的部品である場合、固体ビーズを保持特徴の下方のウェルの中に配置することができず、液体試薬がウェルの底部に分注され、次いで、凍結乾燥させられなければならない。保持特徴がウェルの一体的部品ではない場合、凍結乾燥されたビーズをウェルの中に配置することができ、次いで、凍結乾燥されたビーズを覆って保持特徴をウェルに設置することができる。
【0083】
図9Dに示されるように、ウェル壁の内面が、840のように実質的に垂直であり得る一方で、ウェルの外面は、その先細形状を保持する。ある実施形態では、ウェル壁の内面が、840のように実質的に垂直であり得る一方で、ウェルの外面もまた、実質的に垂直である(図示せず)。存在するとき、垂直壁840は、液体試薬の全体が凍結乾燥させられてウェルの底部455で沈殿することを可能にし、それによって、凍結乾燥時に試薬の一様性を確保する。
【0084】
種々の実施形態では、
図9Dにも示されるように、保持特徴は、ウェル壁に固定して取り付けられる毛細管挿入物850の形態であり得る。毛細管挿入物850は、プラスチックで形成され、ウェル壁の先細部に従って先細になる外面を含み得る。例示的実施形態では、ウェルおよび毛細管挿入物850は、単一のユニットとして形成され得る。毛細管挿入物850は、ウェルの底部まで完全に延びない場合もあり、それによって、毛細管挿入物850の底端の下方でチャンバ856を画定する。毛細管挿入物850の内面は、それを通って、流体が毛細管引力を介して流動し、その内側で、流体と毛細管チャネルの壁との間の表面張力および接着力の組み合わせの結果として流体が保持されるであろう、挿入物の上端から挿入物の下端まで延びる毛細管チャネル852を形成する、実質的に垂直の壁を含み得る。毛細管挿入物850はさらに、挿入物850の頂面からチャネル852まで先細になる、開放上端854を含み得る。したがって、毛細管挿入物850がウェルの中に存在し、凍結乾燥させられる液体試薬がその中に堆積させられたとき、試薬は、その毛細管チャネル内で保持されたままであり、ウェルの底部に流入することを妨げられる。液体試薬を凍結乾燥させた後、凍結乾燥された試薬495は、毛細管挿入物850のチャネル852内にとどまったままである。凍結乾燥された試薬495の再構成のための希釈剤の堆積は、毛細管挿入物850の先細開放上端854への希釈剤の追加によって達成される。次いで、希釈剤は、毛細管引力を介して毛細管チャネル852内で流動し、希釈剤と毛細管チャネル852の壁との間の表面張力および接着力の組み合わせの結果として、その中で保持される。再構成されると、試薬は、毛細管挿入物850の先細開放上端854にピペット先端310を挿入し、そこから液体試薬を引き出すことによって収集され得る。したがって、毛細管挿入物850のチャネル852内の毛細管引力により、液体が上向きに移動するであろうため、液体試薬の全体が、毛細管挿入物850の先細開放上端854で収集され得る。
【0085】
代替として、またはそれに加えて、ウェルの底部455は、粗面を含むように形成されることができ、それによって、凍結乾燥された試薬495がその形成時に付着するであろう、十分な表面積を提供する。代替として、またはそれに加えて、凍結乾燥された試薬495は、ウェル壁450および/またはウェル430の底部455上で生成される静電気引力を通して、ウェル430の底部455に、またはそれに隣接して付着するであろう。そのような実施形態では、ウェル430の内面は、凍結乾燥された試薬495がそれに付着するように、電荷を提供される。
【0086】
種々の実施形態では、保持特徴は、それを通してピペット先端310が挿入され得る、挿入物の形態を成し得る。例えば、
図9Dに示されるように、保持特徴は、ウェルの最上部分に固定して取り付けられる、指状カラー860であり得る。指状カラー860は、プラスチックで形成され、ウェル壁の先細部に従って先細になる外面を含み得る。指状カラー860は、その底面から延び、ウェルの軸中心に向かった湾曲に沿って突出する、1つ以上の(すなわち、1、2、3、4、5、6、7、または8個の)指部を含み得る。1つ以上の指部は、その中に挿入されたピペット先端310との接触がウェル壁に向かって指部を屈曲させ、それによって、ピペット先端310がそこを通過することを可能にするように、可撓性であり得る。ピペット先端310を引き出すと、指部は、指部がウェルの軸中心に向かった湾曲に沿って突出するように、静止位置に戻る。
【0087】
代替実施形態では、保持特徴は、指状カラー860に類似するが、そこから突出する1つ以上の指部を含まない、カラー870の形態を成し得る。そのようなカラー870は、ウェル壁の最上または中心部分に固定して取り付けられ得、プラスチックで形成され、ウェル壁の先細部に一致して先細になる外面を含み得る。存在するとき、カラー870は、ピペット先端310がそこを通過することを可能にしながら、ウェルの底部455で、またはそれに隣接して、凍結乾燥された試薬495を保持するようにウェル壁を狭くする。
【0088】
基部410およびカード挿入物420の各々は、上で説明されるプラスチック等の射出成形プラスチックで独立して構築され得る。基部410を形成するために使用されるプラスチックは、カード挿入物420を形成するために使用されるプラスチックと同一であり得るか、または異なり得る。例えば、カード挿入物420は、基部410を形成するプラスチックより低い空気および/または湿気透過性を有するプラスチックから形成され得る。そのようなプラスチックは、それらの従来の対応物より高価であるが、減少した空気および湿気透過性により、そのウェルの中に含まれる凍結乾燥された試薬等の試薬の増進した安定性を提供し得る。基部410またはカード挿入物420の任意の外面はさらに、その上に配置される、バーコード、2Dバーコード、クイックレスポンス(QR)コード、高周波識別(RFID)、または他の人間あるいは機械読み取り可能な印等の1つ以上の識別標識490を含み得る。そのような標識上で搬送される情報は、スロット番号、シリアル番号、分析の種類、有効期限等のその中に含まれる試薬に関する情報を含む、マルチウェルトレイ400および/またはカード挿入物420に関する識別情報を含み得る。種々の実施形態では、基部410は、自動生化学分析器によって行われる分析を識別するために、その側面上に1つ以上のバーコードおよび/またはQRコード(登録商標)を含み得る。
【0089】
図4Bに示されるように、基部410は、カード挿入物420との係止係合のために位置付けられる1つ以上の係止アーム445を伴って形成され得る。加えて、カード挿入物420は、基部410の係止アーム445を受け取るための1つ以上の対応するロック穴447を伴って形成され得る。カード挿入物420は、係止アーム445および/またはロック穴447によって基部410の中へ固定されると、そこからの切り離しを妨げられる。しかしながら、ある実施形態では、係止アーム445は、基部410からカード挿入物420を解放するように、カード挿入物420との係止係合から外され得る。そのような解放可能な係合は、必要であれば、基部410の再利用、および/または、もし必要になった場合にはカード挿入物420の交換を提供する。
【0090】
図6Aに示されるように、基部410はさらに、その側面上に配置されている1つ以上の係止指部422を伴って形成され得る。係止指部422は、自動処理で使用するためのラックに基部410を固定するように、ラックに解放可能に係合するために構成される。種々の実施形態では、基部410はさらに、そこからの除去を促進するようにラックの係合表面から離して係止指部422を押すために、リリース437を含み得る。
【0091】
図6Bに示されるように、カード挿入物420は、基部410に形成された協働レッジ412との係止係合のために構成されている、カード挿入物420の対向する側に沿って配置される係止特徴424を用いて、基部410に固定され得る。
【0092】
図9A−9Eは、マルチウェルトレイ700の代替実施形態を示す。ここで
図9Aおよび9Bを参照すると、マルチウェルトレイ700は、その頂面717内に複数のウェル715を配置さした、基部710を含む。基部710はまた、自動生化学分析器内の輸送のための回転分配器(図示せず)等の輸送機構による係合のためのアーム720も含む。
図9Bに示されるように、基部710の底面730は、生化学分析器の要素(図示せず)が挿入されるスロット740を画定する、1つ以上のスナップ指部735を伴って形成される。したがって、スナップ指部735は、生化学分析器の要素(図示せず)を把持し、それによって、そこへの確実な取り付け具を形成する。
【0093】
この代替実施形態では、ウェル715の全ては、自動生化学分析を行うために使用される1つ以上の試薬を含むように構成される。マルチウェルトレイ挿入物420のウェル430と同様に、各ウェル715は、内部側壁750および底部755によって画定される。種々の実施形態では、側壁750は、
図9Cに示されるように、ウェル715の最上部から底部755まで先細になる。
【0094】
上で議論されるように、各ウェル715の底部755は、流体の堆積およびウェルからの流体の収集を促進する1つ以上の特徴を伴って形成され得る。そのような特徴は、凹状溝457、460(
図5B−5D)、凸状突起部(図示せず)、または十字パターンで位置付けられる溝の組(図示せず)を含むが、それらに限定されない。特徴は、
図5Cに示されるように、ウェル715の軸中心に位置し得、または
図5Bに示されるように、その側面にオフセットされ得る。代替として、またはそれに加えて、内壁750は、その中に含まれた流体を堆積および/または収集することのさらなる促進のために、その表面上に複数の段差462(
図5B−5D)を伴って形成され得る。カード700の各ウェル715の内壁750はさらに、内壁750からウェル715の軸中心に向かって半径方向に突出している複数の堅いガイド465(
図5B)を伴って形成され得る。そのような堅いガイド465は、先端がその中で降下させられると、ウェル715の軸中心に向かって、自動ピペッタ上に搭載される先端310(
図8および9C)を誘導し、さらに、ウェル715の底部755で、またはそれに隣接して、凍結乾燥された試薬495を保持する働きをし得る。種々の実施形態では、各ウェル715は、それぞれの先細ウェル壁750から突出する、2、3、4、5、6、7、または8個の堅いガイドを伴って独立して形成され得る。
【0095】
加えて、ある実施形態では、カード700の各ウェル715の内側ウェル壁750は、例えば、希釈剤が再構成のためにウェル715の中へ堆積させられるときに、ウェル715の底部755で、またはそれに隣接して、凍結乾燥された試薬495を保持するように構成されている、上で説明されるような1つ以上の保持特徴800、810、820、830、840、850、860、870(
図8および9C−9D)を含み得る。種々の実施形態では、保持特徴は、凍結乾燥された試薬495によって占有される領域の上方に形成され、ウェル715の軸中心に向かって延びる、環状突起部800を含み得る。種々の実施形態では、保持特徴はまた、凍結乾燥された試薬495によって占有される領域を覆って形成される、1つ以上の固体延長部810の形態を成し得る。そのような延長部810は、ウェル壁750の対向領域を接続し、それによって、ウェル715の底部755で、またはそれに隣接して、凍結乾燥された試薬495を保持する。種々の実施形態では、ウェル715は、上で議論されるように、種々の挿入物830、850、860、または870のうちのいずれかを含み得る。代替として、またはそれに加えて、ウェル壁750は、垂直壁840であり得るか、またはねじ山(すなわち、らせんチャネル)820を含むように形成され得る。代替として、またはそれに加えて、ウェルの底部755は、粗面を含むように形成されることができ、それによって、凍結乾燥された試薬495がその形成時に付着するであろう、十分な表面積を提供する。代替として、またはそれに加えて、凍結乾燥された試薬495は、ウェル壁750および/またはウェル715の底部755上で生成される静電気引力を通して、ウェル715の底部755に付着するであろう。
【0096】
(連通ウェルを伴うカートリッジ)
本開示の別の側面では、自動プロセスで使用するための連通ウェルを伴うカートリッジ500が、異なる代替的なカートリッジ実施形態を描写する
図10Aおよび10Bに示される。カートリッジ500は、頂面517、流体チャンバ520、および流体貯留部515を有する、ケーシング510を含む。種々の実施形態では、流体チャンバ520および流体貯留部515は、頂面517で開放しているウェルを備えている。種々の実施形態では、図面で反映されるように、流体チャンバ520は、流体貯留部515より小さい容積を有する。図面でさらに反映されるように、流体チャンバ520の開放端の周囲は、流体貯留部515の開放端の周囲より小さくあり得、したがって、流体チャンバ520中の流体の露出表面は、流体貯留部515中の流体の露出表面より小さいであろう。
【0097】
流体チャンバ520および流体貯留部515は、希釈剤、または凍結乾燥された試薬(例えば、凍結乾燥された試薬495)を再構成するための再構成溶液等の同じ液体を含み得る。
【0098】
カートリッジ500は、流体チャンバ520と流体貯留部515との間の1つ以上の流体接続を提供され得る。したがって、種々の実施形態では、流体チャンバ520と流体貯留部515との間の1つ以上の開口部525および/または527は、それを通って液体またはガスが流体チャンバ520と流体貯留部515との間で流動し得る経路を提供するように、流体貯留部515と流体チャンバ520との間に1つ以上のチャネルを含み得る。流体チャンバ520と流体貯留部515との間の開口部527等の開口部は、流体チャンバ520および流体貯留部515を分離する壁に形成されたスロットまたは穴によって提供され得る。
【0099】
種々の実施形態では、第1の開口部525が、流体チャンバ520と流体貯留部515との間の流体連通のために、流体チャンバ520および流体貯留部515の下部分に近接して(例えば、ケーシング510の基部で)提供され、第2の開口部527が、流体チャンバ520と流体貯留部515と間の流体連通のために、流体チャンバ520および流体貯留部515の上端(すなわち、開放端付近)に近接して提供される。
【0100】
図10Aに示されるように、カートリッジ500はまた、ケーシング内に配置され、流体チャンバ520に隣接する、第2の流体貯留部530を含み得る。第2の貯留部530は、貯留部515の中で貯蔵される同じまたは異なる液体を貯蔵するために利用されることができる。ある実施形態では、第2の貯留部530は、流体貯留部515とも、流体チャンバ520とも流体連通していない。ある実施形態では、流体貯留部515および流体チャンバ520は、再構成溶液を含み、第2の貯留部530は、油を含む。
【0101】
種々の実施形態では、流体チャンバ520、流体貯留部515、および第2の貯留部530の各々は、金属ホイル(またはホイル積層)等のシール(図示せず)で密閉され得る。流体貯留部515、流体チャンバ520、および/または第2の貯留部530を覆うシールは、カートリッジ500が転倒、落下、揺動、または反転させられる場合に、流体内容物の流出を防止するように提供され得る。シールはまた、周囲大気への露出を防止または制限することによって、密閉された貯留部またはチャンバの流体内容物の蒸発を防止するか、または遅延させる。シールはさらに、その一方または両方の表面に適用されるHDPEの薄いベニヤ等のプラスチック裏地を含み得る。シールは、例えば、各貯留部またはチャンバの開口部の周囲でシールを固定して、ホイルを頂面517に固定する感圧接着剤または熱シールを使用して、固定され得る。シールの一方または両方の表面に適用されるHDPEの薄いベニヤ等のプラスチック裏地は、熱シーラが使用されるときに頂面517への破れやすいシールの取り付けを助長する。1つ以上の開口部(525、527)はまた、周囲大気への露出を防止するように、破れやすいシールで密閉され得る。
【0102】
流体貯留部515および流体チャンバ520、ならびに任意の接続開口部は、流体が流体チャンバ520から除去されると、交換用流体が(例えば、流体チャンバ520および流体貯留部515の下部分に近接して提供される開口部525を通して)流体貯留部515から流体チャンバ520に流入するように、構成される。また、流体貯留部が密閉される場合、流体が流体貯留部515から引き出されると、空気が(例えば、流体チャンバ520の上部分および流体貯留部515に近接して提供される開口部527を通して)流体貯留部515に流入することを可能にし、それによって、貯留部中の圧力が平衡を保つことを可能にするように、1つ以上の導管が提供され得る。
【0103】
チャンバ520は、ピペット先端によって穿刺可能である、破れやすいシールで密閉され得る。流体チャンバ520および流体貯留部515中の流体の量全体は、流体移送装置にアクセス可能であるが、例えば、チャンバ520の幅、またはチャンバ520を覆うシールに形成された穿刺穴のサイズに対応する、その流体の比較的小さい表面積が、空気に露出される。したがって、カートリッジ500の構成は、その中に含まれた流体の蒸発を遅延させる。
【0104】
上で説明されるように、凍結乾燥された試薬(例えば、凍結乾燥された試薬495)を再構築するために、再構成溶液等のある量の液体が、自動ピペッタ内の流体チャンバ520から除去され、ウェル(例えば、ウェル430または715)に移送され得る。
【0105】
カートリッジ500は、上で説明されるプラスチック等の射出成形プラスチックで構築され得る。上で議論されるように、カートリッジ500を形成するために使用されるプラスチックは、低い空気および/または湿気透過性を有するものであり得る。
【0106】
カートリッジ500の任意の外面はさらに、その上に配置される、バーコード、2Dバーコード、クイックレスポンス(QR)コード、高周波識別(RFID)、または他の人間あるいは機械読み取り可能な印等の1つ以上の識別標識を含み得る。そのような標識上で搬送される情報は、スロット番号、シリアル番号、分析の種類、有効期限等のその中に含まれる液体/試薬に関する情報を含む、カートリッジ500に関する識別情報を含み得る。
【0107】
(カートリッジラック)
別の側面では、自動プロセスで使用するためのカートリッジラックが本明細書で開示される。ここで
図11A−11Dを参照すると、カートリッジラック600は、シャーシ610と、ハンドル620とを含む。シャーシ610の頂面615は、そこへの1つ以上のマルチウェルトレイ400の解放可能な取り付けのために構成され、したがって、マルチウェルトレイ400の係止指部422に解放可能に係合するための複数の係止部材625を含み得る(
図6A参照)。
図11Bは、2つの係止部材625が各マルチウェルトレイ400のために提供されることを示すが、各マルチウェルトレイ400のために提供される係止部材625の数は、そこに取り付けられるマルチウェルトレイ400上に提供される係止指部422の数に対応するであろうことを理解されたい。
【0108】
シャーシ610の表面上には、その上に配置される、バーコード、2Dバーコード、クイックレスポンス(QR)コード、高周波識別(RFID)、または他の人間あるいは機械読み取り可能な印等の機械読み取り可能な印630等の複数の識別標識が配置される。そのような標識上で搬送される情報は、カートリッジラック600、それに取り付けられたマルチウェルトレイ400、および/またはマルチウェルトレイ400に取り付けられたカード挿入物420、および/またはラック上のマルチウェルトレイ400の位置に関する識別情報を含み得る。機械読み取り可能な印630は、自動生化学分析器上のカートリッジラック600の間の直接接触接続、有線接続、または無線接続を通して、読み取り可能であり得る。
【0109】
種々の実施形態では、シャーシ610は、そこへの2つ以上のマルチウェルトレイ400の解放可能な取り付けのために構成され、さらに、連通ウェル500を伴うカートリッジへの解放可能な取り付けのために構成され得る。したがって、例示的実施形態では、5つのマルチウェル容器400および1つのカートリッジ500が、自動生化学分析器で使用するためにシャーシ610に解放可能に取り付けられ得る。しかしながら、2、3、4、5、6、7、または8個のマルチウェルトレイ400、および/または1、2、3、または4個のカートリッジ500が、シャーシ610に取り付けられ得る。
【0110】
(自動化された試薬ベースの分析のためのシステム)
別の側面では、本開示は、自動化された試薬ベースの分析のためのシステムを提供する。本システムは、複数のウェル430を含むマルチウェルトレイ400と、連通ウェル500を伴うカートリッジと、ロボットアーム(図示せず)上に位置付けられる自動ピペッタとを含む。本システムは、その内側で構成要素の各々が位置する、筐体を含む。上で示され、議論されるマルチウェルトレイ400の各ウェル430は、凍結乾燥された試薬495を含み、互に整列して配列される。マルチウェルトレイ400のウェル430は、破れやすいシールで密閉され得る。マルチウェルトレイ400はさらに、容器100およびキャップ200を受け取るために提供される、複数の追加のウェル415、416を含み得る。存在するとき、追加のウェルは、整列したペアで位置付けられ、ペアは、凍結乾燥された試薬495等の試薬を含む、少なくとも1つウェル430と整列して位置付けられる。したがって、マルチウェルトレイ400は、ウェルの複数の組435を含み得、第1のウェル415は、キャップ200を含み、第2のウェル416は、容器100を含み、第3のウェルは、凍結乾燥された試薬495等の試薬を含む。
【0111】
連通ウェル500を伴うカートリッジは、頂面517を有するケーシング510と、流体チャンバ520とを含む。第1の開口部527が、ケーシングの頂面内に提供され、ケーシングは、流体チャンバまで延びるかまたは流体チャンバの少なくとも一部分を随意に形成する少なくとも1つの側壁表面を有する。流体貯留部515が、ケーシング内に配置され、流体チャンバと流体連通している。ある実施形態では、カートリッジ500はまた、ケーシング510内に配置され、流体チャンバ520に隣接する、第2の貯留部530も含むであろう。
【0112】
自動ピペッタは、自動生化学分析器の中に含まれるロボットアーム上に位置付けられる。自動ピペッタは、生化学反応を行うための回収および分注プロトコルを実行するように適合される。回収および分注プロトコルは、コントローラ(図示せず)によって行われ得、コントローラは、カートリッジ500から試薬の一部分を回収し、マルチウェルトレイ400、700の1つ以上のウェルの中または1つ以上の容器の中へ試薬の一部分を分注するためのロボットアームおよび/または自動ピペッタに電気的に接続される。次いで、回収および分注プロトコルは、マルチウェルトレイ400の残りのウェルの各々の中への試薬の自動分注のために繰り返され得る。
【0113】
1つの例示的実施形態では、自動ピペッタは、自動化された試薬ベースの分析を行うために必要とされる自動動作を行うためのコマンドを受信するであろう。次いで、自動ピペッタは、未使用のピペット先端310の上の位置までロボットアームによって移動させられ、そこへの摩擦取り付けを可能にするように降下させられる。ピペット先端310が追加の未使用の先端および/または自動生化学分析器内の他の構成要素によって妨害されないように、それに取り付けられたピペット先端310を有する自動ピペッタが上昇させられると、ロボットアームは、カートリッジ500の上の指定位置に自動ピペッタを移動させる。その後、自動ピペッタは、カートリッジ500の流体チャンバの中へ降下させられる。存在する場合、流体チャンバを覆う破れやすいシールが、ピペット先端310によって穿刺される。次いで、自動ピペッタは、所定量の希釈剤を引き出し、ピペット先端310がカートリッジ500および/または自動生化学分析器内の他の構成要素によって妨害されないように上昇させられる。
【0114】
次いで、ロボットアームは、空間的に索引付けされたマルチウェルトレイ400の上の指定位置に自動ピペッタを移動させ、次いで、ピペット先端310が、マルチウェルトレイ400の基部410に取り付けられたカード挿入物420の中に配置されるウェル430を覆う破れやすいシール440(存在する場合)を穿刺するように、ピペッタを降下させる。次いで、希釈剤は、試薬ベースの分析で使用される、凍結乾燥された試薬495を含むウェル430の中へ堆積させられる。随意に、自動ピペッタは、凍結乾燥された試薬495を再構成するために必要とされる十分な時間および流体圧力を可能にするために、ウェル430中に含まれる流体の吸引と分注とを繰り返すであろう。その後、自動ピペッタは、再構成された試薬を収集し、ピペット先端310がウェル430および/または自動生化学分析器内の他の構成要素によって妨害されないように、マルチウェルトレイ400のウェル430からピペット先端310を引き出す。次いで、ロボットアームは、空間的に索引付けされたマルチウェルトレイ400の上の第2の指定位置に自動ピペッタを移動させる。第2の位置は、カード挿入物のウェル430が属するウェルの組435に従って選択される。次いで、自動ピペッタは、分析を受けるサンプルを含む場合も、含まない場合もある容器100を含むウェル416の中へ降下させられる。随意に、分析を受けるサンプルが容器100中に存在する場合、自動ピペッタは、ウェル416内で容器100の内容物を混合させるために必要とされる十分な時間および流体圧力を可能にするために、容器100中に含まれる液体の吸引、そして分注を繰り返し、それによって、反応混合物を生成するであろう。
【0115】
随意的な混合後、自動ピペッタは、ウェル416からピペット先端310を引き出すが、容器100内に反応混合物を残す。次いで、ロボットアームは、廃棄物容器の上の場所に自動ピペッタを移動させ、ピペット先端310を放出する。放出後、ロボットアームは、空間的に索引付けされたマルチウェルトレイ400の上の第3の指定位置に自動ピペッタを移動させる。第3の位置は、第1および第2のウェルが属するウェルの組435に従って選択される。次いで、自動ピペッタは、そこへの摩擦取り付けを可能にするように、キャップ200を含む第3のウェル415の中へ降下させられる。キャップ200がウェル415および/または自動生化学分析器内の他の構成要素によって妨害されないように、それに取り付けられたキャップ200を有する自動ピペッタが上昇させられると、ロボットアームは、反応混合物を含む容器100を含むウェル416の上の第2の指定位置に自動ピペッタを移動させる。次いで、自動ピペッタは、上で説明されるように、キャップ200が容器100に固定可能に取り付けられるように降下させられる。自動ピペッタがウェル416から引き出されると、それに取り付けられたキャップ付き容器は、例えば、自動インキュベーションのための熱サイクラに輸送するためにマルチウェルトレイ400のウェル416から引き出される。
【0116】
別の例示的実施形態では、自動ピペッタは、自動化された試薬ベースの分析を行うために必要とされる自動動作を行うためのコマンドを受信するであろう。次いで、自動ピペッタは、未使用のピペット先端310の上の位置までロボットアームによって移動させられ、そこへの摩擦取り付けを可能にするように降下させられる。同時に、そのような移動に先立って、またはその後に、生化学分析器内の回転分配器(図示せず)等の輸送機構が、マルチウェルトレイ700のアーム720に取り付き、マルチウェルトレイ700を分析での使用のための所定の位置に輸送する。
【0117】
ピペット先端310が追加の未使用の先端および/または自動生化学分析器内の他の構成要素によって妨害されないように、それに取り付けられたピペット先端310を有する自動ピペッタが上昇させられると、ロボットアームは、カートリッジ500の上の指定位置に自動ピペッタを移動させる。その後、自動ピペッタは、カートリッジ500の油チャンバ530の中へ降下させられる。存在する場合、油チャンバ530を覆う破れやすいシールがピペット先端310によって穿刺される。次いで、自動ピペッタは、所定量の油を引き出し、ピペット先端310がカートリッジ500および/または自動生化学分析器内の他の構成要素によって妨害されないように上昇させられる。
【0118】
次いで、ロボットアームは、空間的に索引付けされたマルチウェルトレイ400の上、および/または容器100の上の指定位置に自動ピペッタを移動させ、ピペッタは、ピペット先端310がその開放端145に進入するように降下させられる。次いで、油が容器100の中へ分注される。随意に、カートリッジ500の油チャンバ530から油を引き出すという手順は、行われる反応の数に応じて1回以上繰り返される。
【0119】
その後、自動ピペッタは、容器100からピペット先端310を引き出し、ロボットアームは、廃棄物容器の上の場所に自動ピペッタを移動させ、ピペット先端310を放出する。放出後、ロボットアームは、第2の未使用ピペット先端310の上の位置に自動ピペッタを移動させ、そこへの摩擦取り付けを可能にするようにピペットを降下させる。ピペット先端310が追加の未使用の先端および/または自動生化学分析器内の他の構成要素によって妨害されないように、それに取り付けられた第2のピペット先端310を有する自動ピペッタが上昇させられると、ロボットアームは、分析のためのサンプルをその中に有する第2の容器100の上の指定位置に自動ピペッタを移動させ、ピペット先端310がその開放端145に進入するように降下させられる。次いで、サンプルは、第2の容器から収集され、第1の容器100に移送される。ある実施形態では、サンプルが、油の堆積に先立って、事前に容器の中へ分注されているであろうこと、および/または分析のためのサンプルが、生化学分析器内の材料移送ユニット(図示せず)から移送され得ることを理解されたい。サンプルを第1の容器の中へ堆積させた後、自動ピペッタは、容器100からピペット先端310を引き出し、ロボットアームは、廃棄物容器の上の場所に自動ピペッタを移動させ、ピペット先端310を放出する。放出後、ロボットアームは、第3の未使用ピペット先端310の上の位置に自動ピペッタを移動させ、そこへの摩擦取り付けを可能にするようにピペットを降下させる。
【0120】
ピペット先端310が追加の未使用の先端および/または自動生化学分析器内の他の構成要素によって妨害されないように、それに取り付けられた第3のピペット先端310を有する自動ピペッタが上昇させられると、ロボットアームは、カートリッジ500の上の第2の指定位置に自動ピペッタを移動させ、カートリッジ500の流体チャンバ520の中へピペッタを降下させる。存在する場合、流体チャンバ520を覆う破れやすいシールが、ピペット先端310によって穿刺される。次いで、自動ピペッタは、所定量の希釈剤を引き出し、ピペット先端310がカートリッジ500および/または自動生化学分析器内の他の構成要素によって妨害されないように上昇させられる。
【0121】
次いで、ロボットアームは、空間的に索引付けされたマルチウェルトレイ700の上の指定位置に自動ピペッタを移動させ、ピペット先端310がマルチウェルトレイ700の中に配置されるウェル715を覆う破れやすいシール(存在する場合)を穿刺するように、ピペッタを降下させる。次いで、希釈剤は、試薬ベースの分析で使用される凍結乾燥された試薬495を含む、ウェル715の中へ堆積させられる。随意に、自動ピペッタは、凍結乾燥された試薬495を再構成するために必要とされる十分な時間および流体圧力を可能にするために、ウェル715中に含まれる流体の吸引と分注とを繰り返すであろう。
【0122】
その後、自動ピペッタは、再構成された試薬を収集し、ピペット先端310がウェル715および/または自動生化学分析器内の他の構成要素によって妨害されないように、マルチウェルトレイ700のウェル715からピペット先端310を引き出す。次いで、ロボットアームは、分析のための分注された油およびサンプルを含む第1の容器100の上の指定位置に自動ピペッタを移動させる。次いで、自動ピペッタは、再構成された試薬を分注するように、容器100の開放端145の中へ降下させられる。随意に、自動ピペッタは、容器100の内容物を混合させるために必要とされる十分な時間および流体圧力を可能にするために、容器100中に含まれる液体の吸引と分注とを繰り返し、それによって、反応混合物を生成するであろう。
【0123】
随意的な混合後、自動ピペッタは、容器100からピペット先端310を引き出すが、容器100内に反応混合物を残す。次いで、ロボットアームは、廃棄物容器の上の場所に自動ピペッタを移動させ、ピペット先端310を放出する。放出後、ロボットアームは、そこへの摩擦取り付けを可能にするように、キャップ200を含むウェル415の上の指定位置に自動ピペッタを移動させる。キャップ200がウェル415および/または自動生化学分析器内の他の構成要素によって妨害されないように、それに取り付けられたキャップ200を有する自動ピペッタが上昇させられると、ロボットアームは、反応混合物を含む容器100の上の指定位置に自動ピペッタを移動させる。次いで、自動ピペッタは、キャップ200が容器100に固定可能に取り付けられるように降下させられる。自動ピペッタが上昇させられると、キャップ付き容器は、例えば、自動インキュベーションのための遠心分離機および/または熱サイクラに輸送するために、マルチウェルトレイ400の容器ホルダまたはウェルから持ち上げられる。
【0124】
ある実施形態では、凍結乾燥された試薬495の再構成、検査サンプルとの試薬の混合、後に試薬混合物を含む容器100にキャップを付けるというプロセスを促進することが望ましい。そのような実施形態では、1つより多くのロボットアームおよび自動ピペッタが、自動生化学分析器内で提供され得、その能力を拡張するように独立して制御され得る。代替として、またはそれに加えて、自動生化学分析器は、反応混合物を含む容器100にキャップを付けること、および/または自動インキュベーションのための遠心分離機および/または熱サイクラへのキャップ付き容器の輸送等の液体の収集および/または堆積に関係付けられない機能を果たすために使用され得る、1つ以上のピックアンドプレースロボットを含み得る。
【0125】
本開示は、上記の実施例を参照して説明されているが、修正および変形例が開示された主題の精神および範囲内に包含されることが理解されるであろう。したがって、本開示は、以下の請求項のみによって限定される。