特許第6263711号(P6263711)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6263711
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】弾球遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20180115BHJP
【FI】
   A63F7/02 317
   A63F7/02 320
【請求項の数】1
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2012-219270(P2012-219270)
(22)【出願日】2012年10月1日
(65)【公開番号】特開2013-90917(P2013-90917A)
(43)【公開日】2013年5月16日
【審査請求日】2015年9月30日
(31)【優先権主張番号】特願2011-219798(P2011-219798)
(32)【優先日】2011年10月4日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】395018239
【氏名又は名称】株式会社高尾
(74)【代理人】
【識別番号】100067596
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 求馬
(72)【発明者】
【氏名】茨田 悦臣
【審査官】 柳 重幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−245417(JP,A)
【文献】 特開2009−095562(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技盤に設けられた始動口への入球に起因して小当り遊技を生起するか否かの当否判定を行う当否判定手段と、
前記判定の結果が前記小当り遊技を生起するものであれば、図柄表示装置に前記判定の結果を報知するために確定表示せしめる特別図柄として予め準備された複数の図柄より小当り図柄を決定せしめる図柄決定手段と、
前記小当り図柄の確定表示後に前記小当り遊技を生起せしめる小当り遊技実行手段と、
前記小当り遊技において前記小当り図柄に応じて大入賞口の開放パターンを異ならせた所定の態様にて開閉作動する大入賞口と、
該大入賞口内に設置されて遊技球が入球可能な特定領域と、
前記小当り図柄に応じて大当り遊技を生起せしめるために必要な前記小当り遊技における前記特定領域への入球個数を設定する条件設定手段と、
前記特定領域への入球個数が設定された値になると前記大当り遊技を生起せしめる大当り遊技実行手段と、
前記特定領域への入球に起因して乱数を抽出する乱数抽出手段と、
前記抽出された乱数の中で最も有利な乱数と前記小当り図柄に応じて前記大当り遊技の遊技内容又は/および前記大当り遊技終了後に付与する特典遊技を決定する遊技設定手段と
備えたことを特徴とする弾球遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、始動口への入球に起因し当否判定を行い、判定が小当り時に特定領域に入球することにより大当り遊技への移行を可能とする弾球遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の弾球遊技機として、始動口に遊技球が入球したことを契機に図柄変動を伴い、「大当り」、「小当り」又は「ハズレ」のいずれかの当否判定が行われ、判定結果が小当り時に特定領域を有する大入賞口を短時間開放する小当り遊技を実行し、かつ小当り遊技中に遊技球が大入賞口内の特定領域を通過することによって大当り遊技を生起する旧第2種遊技機(所謂、「羽根物」)と呼ばれるものがある。
【0003】
この種の遊技機では、小当り遊技中に大入賞口へ入球した遊技球が特定領域を通過しなければ大当り遊技を生起することがなく、多数の入球があっても特定領域を通過するとは限らない。そこで、大入賞口の内部に貯留空間を設け、貯留空間に所定個数の遊技球が貯留されることで特定領域への入球を確実にならしめ、小当りから大当りへ移行させることができる遊技機が発明されている(例えば、下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−228803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、小当り遊技では、大入賞口を短時間(開放回数が1回の場合は1.8秒間未満、開放回数が複数回の場合はトータルして1.8秒間未満)開放する構成である。遊技機の遊技球を発射する速度が100個未満/分であり、最大値でも1.8秒間に3個の遊技球が発射されることになる。遊技盤面に発射された遊技球は、盤面に植設された遊技釘等によって散らされるため、小当り遊技中に大入賞口へ入球できる遊技球数は1〜3個程度であることが想定される。
しかし、特許文献1の構成では、小当り時の大入賞口への入球数がおよそ3個が限度であることと、貯留空間を備えた大入賞口の構造により貯留する所定個数が一定であり所定個数の変更ができないため、遊技が単調になりやすく、小当りから大当りへの多彩に展開が望まれている。
また、小当り遊技中に大入賞口へ入球する遊技球数が所定個数以上であれば確実に大当り遊技を生起させることができるものの、所定個数未満である場合には入球した遊技球の帰趨に期待感を抱くことすらできないため、少数の大入賞口への入球でも大当りの可能性がある一方、多数の入球でも大当りとならないといった羽根物独特の遊技性が低下し、遊技の興趣の低下も危惧される。
【0006】
そこで本発明は上記事情に鑑み、小当りから大当りへの移行が変化に富み、遊技が単調となることなく興趣の豊かな弾球遊技機を提供することを課題としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、遊技盤に設けられた始動口への入球に起因して小当り遊技を生起するか否かの当否判定を行う当否判定手段と、
前記判定の結果が前記小当り遊技を生起するものであれば、図柄表示装置に前記判定の結果を報知するために確定表示せしめる特別図柄として予め準備された複数の図柄より小当り図柄を決定せしめる図柄決定手段と、
前記小当り図柄の確定表示後に前記小当り遊技を生起せしめる小当り遊技実行手段と、
前記小当り遊技において前記小当り図柄に応じて大入賞口の開放パターンを異ならせた所定の態様にて開閉作動する大入賞口と、
該大入賞口内に設置されて遊技球が入球可能な特定領域と、
前記小当り図柄に応じて大当り遊技を生起せしめるために必要な前記小当り遊技における前記特定領域への入球個数を設定する条件設定手段と、
前記特定領域への入球個数が設定された値になると前記大当り遊技を生起せしめる大当り遊技実行手段と、
前記特定領域への入球に起因して乱数を抽出する乱数抽出手段と、
前記抽出された乱数の中で最も有利な乱数と前記小当り図柄に応じて前記大当り遊技の遊技内容又は/および前記大当り遊技終了後に付与する特典遊技を決定する遊技設定手段と
を備えたことを要旨とする。
【0008】
これによれば、小当り図柄に応じて大当り遊技を生起せしめる条件である小当り遊技における特定領域への入球個数が変化するので、大当りを生起するバリエーションが豊富で、従来のように遊技が単調とならず遊技の興趣を豊かにできる。
また、特定領域への入球時に抽出された乱数の中で最も有利な乱数と小当り図柄とに応じて、大当り遊技の遊技内容や大当り遊技後の特典遊技が変化するようにしたので、大当りへの移行の難易度が同一種類の小当りであっても遊技内容および特典遊技の異なる複数種類の大当りに移行させることができ、大当りへの移行のバリエーションが更に増す。
さらに、大当りを生起させる難易度に関係するパラメータを、前記条件に加えて大入賞口の開放時間も関与させ、よりバリエーションの豊富な遊技を提供することができる。
【0009】
また、請求項1に記載の弾球遊技機において、
抽出された前記乱数を記憶する記憶手段と、
前記特定領域への所定数の設定が複数個である場合に、先に抽出された乱数が後に抽出された乱数に比べて実行される大当り遊技の遊技内容および前記特典遊技が不利であるか又は有利であるかに応じて前記記憶手段による乱数の記憶を変更せしめる記憶変更手段を具備する構成としてもよい。
【0010】
このようにすれば、特定領域への入球時に抽出された複数のうちで最も大当り遊技の遊技内容および特典遊技が有利な乱数を用いて価値の大きな大当り遊技を設定することが可能となる。このようにすることで、前記条件としての特定領域への入球数が多い程に大当りの生起が困難となるが、大当りを生起させる難易度が高くなっても価値の大きな大当り遊技の生起を期待させることができ、遊技者の遊技意欲を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明を適用した第1の実施形態の弾球遊技機の正面図である。
図2】前記弾球遊技機の遊技盤の正面図である。
図3】前記弾球遊技機の電気構成図である。
図4】前記弾球遊技機の主制御装置で実行されるメインルーチンの制御内容を示すフローチャートである。
図5】前記主制御装置で実行される特別図柄の始動入賞確認処理の制御内容を示すフローチャートである。
図6】前記主制御装置における特別図柄の当否判定処理の制御内容を示す第1のフローチャートである。
図7】前記当否判定処理の制御内容を示す第2のフローチャートである。
図8】前記当否判定処理の制御内容を示す第3のフローチャートである。
図9】前記当否判定処理の制御内容を示す第4のフローチャートである。
図10】前記主制御装置で実行される特別遊技処理の制御内容を示す第1のフローチャートである。
図11】前記特別遊技処理の制御内容を示す第2のフローチャートである。
図12】前記特別遊技処理の制御内容を示す第3のフローチャートである。
図13】前記特別遊技処理の制御内容を示す第4のフローチャートである。
図14】前記主制御装置における小当り遊技処理の制御内容を示す第1のフローチャートである。
図15】前記普図当否判定処理の制御内容を示す第2のフローチャートである。
図16】前記普図当否判定処理の制御内容を示す第3のフローチャートである。
図17】前記主制御装置における大当り価値設定処理の制御内容を示すフローチャートである。
図18】前記弾球遊技機で用いられる小当り図柄に関する説明図である。
図19図19(a)は大当り図柄の説明図、図19(b)は大当りの種類の説明図である。
図20】前記弾球遊技機の遊技の仕様の説明図である。
図21】本発明を適用した第2の実施形態の弾球遊技機の遊技盤の正面図である。
図22】前記弾球遊技機の電気構成図である。
図23】前記弾球遊技機の主制御装置で実行される当否判定処理の制御内容の一部を示すフローチャートである。
図24】前記主制御装置で実行される小当り遊技処理の制御内容の一部を示すフローチャートである。
図25】前記弾球遊技機で用いられる小当り図柄に関する説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明を適用した第1の実施形態の弾球遊技機たるパチンコ機を説明する。図1に示すように、パチンコ機50は、縦長の固定外郭保持枠をなす外枠51にて構成の各部を保持する構造としてある。外枠51には、左側の上下の位置に設けたヒンジ53を介して、板ガラス61が嵌め込まれた前枠(ガラス枠)52および後述の内枠が開閉可能に設けてある。
前枠52の板ガラス61の奥には前記内枠に保持された遊技盤10(図2)が設けてある。
【0015】
前枠52の上部の左右両側位置および外枠51の下部の左右両側位置にはそれぞれスピーカ66が設置してあり、これらにより遊技音が出力され、遊技者の趣向性を向上させる。また前枠52には遊技状態に応じて発光する枠側装飾ランプ65のほか、遊技の異常を報知するLED類が設けてある。
【0016】
前枠52の下半部には上皿55と下皿63とが一体に形成してある。下皿63の右側には発射ハンドル64が設けてあり、該発射ハンドル64を時計回りに操作することにより発射装置が作動して、上皿55から供給された遊技球が遊技盤10に向けて発射される。
【0017】
下皿63は上皿55から溢れた賞球を受ける構成で、球抜きレバーの操作により下皿63に溜まった遊技球を遊技店に備えられた別箱(ドル箱)に移すことができる。下皿63の左側には演出ボタン67が設けてある。
【0018】
本パチンコ機50は所謂CR機であって、プリペイドカードの読み書きを行うプリペイドカードユニット(CRユニット)56が付属しており、パチンコ機50には下皿63の左側に貸出ボタン57、精算ボタン58および残高表示器59が設けてある。
なお、図1の39は、前枠52および前記内枠を外枠51にロックするシリンダ錠であり、該シリンダ錠39に所定の鍵を挿入し、鍵を時計回りに操作して前記内枠を開放するようになし、反時計まわりの操作により前枠52を開放する。
【0019】
図2に示すように、遊技盤10には外レール11と内レール12とによって囲まれた略円形の遊技領域13が形成されている。遊技領域13には、その中央部にセンターケース14が設置され、センターケース14は演出図柄表示装置15を備え、かつ大入賞口20を構成している。
大入賞口20は、上部の左右両側に開閉可能な左右一対の開閉部材201,201が設置されている。大入賞口20は開閉部材201,201の開放時にのみ遊技球が入球可能な構成である。
また大入賞口20の下部の床面には、遊技球が入球可能な特定領域である特定入球口21とその左右両側に外れ領域である外れ入球口25が設けられている。
【0020】
大入賞口20は開放時に入球した遊技球を、両開閉部材201,201の中間の入口より内部へ取込み、内部の振分羽根により左右方向に振分ける。振分羽根は遊技球を右方向(図の太線矢印)へ振分けることで、特定入球口21の直上位置に設けられた球通路より遊技球を流下させて特定入球口21へ入球させやすくする。一方、遊技球を左方向に振分けると、特定入球口21のある大入賞口20の床面にその左側部から送出され、特定入球口21又は外れ入球口25より入賞球としてパチンコ機台内へ取込まれる。尚、左方向への振分け時は右方向よりも特定入球口21への入球確率が低くなる。振分羽根は電源投入時から常時一定の動作を行う構成としている。
【0021】
大入賞口20の下方位置には普通図柄(以下、単に普図という)の当否判定用の普図始動口24が設置されている。普図始動口24は遊技球が通過可能な通過ゲートで構成してある。普図始動口24は普図の当否判定を実行する始動口であり、遊技球が通過すると普図の当否判定用の複数種類の乱数値が抽出され、抽出された乱数に基づいて当否判定が行なわれる。
【0022】
普図始動口24の直下位置には、普図の当否判定が当選したときに開放される普通電動役物で構成され、遊技球の入球により特別図柄(以下、単に特図という)の当否判定用の第2特図始動口23が設けられている。また第2特図始動口23の左横には第1特図始動口22が設けられている。第1特図始動口22は常時遊技球が入球可能の入球口である。
第1および第2特図始動口22,23は特図の当否判定用の始動口であり、いずれの始動口22,23へも遊技球が入球すると複数種類の乱数値が抽出され、抽出された乱数値は特図の保留記憶として記憶される。そして、保留記憶の乱数値に基づいて特図の当否判定が行われる。
【0023】
センターケース14の中央には演出図柄表示装置15(全体の図示は省略)のLCDパネルが配置され、演出図柄表示装置15には特図に対応する擬似(演出)図柄などの演出を表示する。
またセンターケース14には、周知のものと同様にワープ入口、ワープ樋、ステージなどが設けられている。
遊技盤10の遊技領域13には図略の一般入賞口、多数の遊技釘や風車等が設けられ、遊技領域13の最下部にはアウト口29が設けられている。
遊技盤10の左上部には特別図柄表示装置16と特図保留数表示装置17が、遊技盤10の右上部には普通図柄表示装置18と普図保留数表示装置19が、それぞれ設置されている。
【0024】
図3は本パチンコ機50の電気的構成を示すもので、主制御装置80、払出制御装置81、演出図柄制御装置82、サブ統合制御装置83および発射制御装置84においては、詳細の図示は省略するが、これらの制御装置はいずれもCPU、ROM、RAM、入力ポート、出力ポート等を備えている。
【0025】
主制御装置80は、裏配線中継端子板および外部接続端子板78を介して遊技施設のホールコンピュータと電気的に接続される。主制御装置80には、裏配線中継端子板や遊技盤中継端子板を介して、前枠(ガラス枠)52や内枠が開放しているか否か検出する扉枠開放SW(スイッチ)、第1、第2特図始動口22,23への入球を検出する第1、第2特図始動口SW221,231、普図始動口24への入球を検出する普図作動SW241、大入賞口20への入球を検出するカウントSW202、特定入球口21への入球を検出する特定入球口SW211、外れ入球口25への入球を検出する外れ入球口SW251等の検出信号が入力される。外れ入球口SW251は特定入球口21へと入球した遊技球と外れ入球口25へと入球した遊技球を何れも検出する位置に配置し、大入賞口20へ入球した遊技球が排出されたことを確認するための排出確認SWとしても良い。
【0026】
また主制御装置80は搭載しているプログラムに従って動作して、上述の検出信号などに基づいて遊技の進行に関わる各種のコマンドを生成し、払出制御装置81や、演出中継端子板を介してサブ統合制御装置83および演出図柄制御装置82にコマンドを出力する。なお、主制御装置80に対して払出制御装置81やサブ統合制御装置83および演出図柄制御装置82はサブ制御装置を構成する。
【0027】
また主制御装置80は図柄表示装置中継端子板を介して特別図柄表示装置16、特図保留数表示装置17、普通図柄表示装置18および普図保留数表示装置19の表示制御を行なう。
更に主制御装置80は、大入賞口ソレノイド203を駆動して大入賞口20の開閉部材201,201を開放作動せしめる。また振分羽根ソレノイド204を駆動して、大入賞口20へ入球した遊技球を振分ける大入賞口20内部の振分羽根を作動せしめる一方、普電役物ソレノイド233を制御して第2特図始動口23の普電役物を開閉作動せしめる。
【0028】
払出制御装置81は、球タンクが空状態になったことを検出する球切れSW、遊技球が払い出されたことを検出する払出SW、遊技球貯留皿が満杯状態になったことを検出する満杯SW等の検出信号が入力される。主制御装置80から送られてくるコマンドに応じて払出モータを稼働させて遊技球を払い出させる。また、CRユニットと電気的に接続され、精算表示装置59を介して球貸および精算SW57,58による貸出要求、精算要求の操作信号を受け付け、CRユニットとデータを送受し、貸出要求信号に応じて払出モータを稼働させて貸球を払い出させ、CRユニットに挿入されているプリペイドカードの残高表示を制御する。
【0029】
発射制御装置84は、発射停止SW、発射ハンドルに遊技者が接触(操作)していることを検出するタッチSW等の検出信号が入力される。払出制御装置81を介して主制御装置80から送られてくるコマンド(タッチSWの信号や遊技状況を反映している)、発射ハンドルの回動信号および発射停止SWの信号に基づいて発射モータを制御して遊技球を発射および停止させる。
【0030】
サブ統合制御装置83は、音量調節SWや演出ボタン67などの検出信号が入力される。主制御装置80から送られてくるコマンドに応じて、スピーカを駆動して音声を出力することや、各種LEDや各種ランプの点灯、消灯等を制御する。更に演出図柄制御装置82へキャラクタなどを表示する擬似演出や普通図の擬似図柄の表示態様のコマンドを送信する。
【0031】
演出図柄制御装置82は、LCDパネルユニットや付属ユニットと共に演出図柄表示装置15を構成している。演出図柄制御装置82は、サブ統合制御装置83から送られてくるコマンドに応じてLCDパネルの表示を制御する。
【0032】
次にパチンコ機50の作動を説明する。
まずパチンコ機50の基本的な遊技を説明する。パチンコ機50は、特図始動口22,23,22のいずれかへの入球に起因して特図の当否判定を実行する。このとき特図表示装置16と演出図柄表示装置15の図柄変動を開始し、その後、特図表示装置16に特図の確定図柄を、演出図柄表示装置15に特図に対応する擬似図柄を確定表示して前記判定結果を報知する。
判定結果が大当り(図柄当り)となると、条件装置が作動することによって役物連続作動装置が作動して大入賞口20を賞球の獲得に有利な所定の態様で開放する大当り遊技(特別遊技)を実行する。
【0033】
一方、当否判定の結果が小当りでは、特別電動役物のみが作動し、これを起因に大入賞口20を大当り遊技よりも開放回数、開放時間が不利な態様で開放せしめる小当り遊技を行う。このとき、確定された特図の小当り図柄に応じて、小当り遊技から大当り遊技への遊技の移行を可能とする条件(大当り遊技を生起せしめる条件)として特定入球口21への入球に関する条件が設定される。そして、前記条件が達成されると条件装置が作動することによって役物連続作動装置が作動して大当り遊技へ昇格(移行)する。
【0034】
大当り遊技終了後には、大当りや小当りとなった特図に応じて、普通電動役物たる第2特図始動口23の開放時間を延長するとともに特図および普図の平均変動時間を短くする時短機能が付与される可能性がある。
以下、主制御装置80、サブ統合装置83(厳密には、そのCPU)が実行するプログラム処理に基づいて作動の詳細を説明する。
【0035】
図4を参照して主制御装置80で実行される「メインルーチン」の概要を説明する。「メインルーチン」は本処理(S100〜S110,S115)と残余処理(S112)とで構成され、2ms又は4ms周期の割り込み信号に起因して開始され、最初に正常割り込みか否かを判断する(S100)。この判断はRAMの特定アドレスに特定の数値が書き込まれているか否かに基づいて行われ、ここで否定判断(S100:no)なら初期設定(S115)を実行する。前述の正常割り込みか否かを判断するための数値は、この初期設定の一環としてRAMに書き込まれる。
【0036】
正常割り込みなら(S100:yes)、初期値乱数更新処理(S101)、特図の当否判定用の乱数値である大当り決定用乱数の更新処理(S102)、特図用の図柄決定用乱数の更新処理(S103)、小当りから大当りへ移行する際の大当りの価値を設定する大当り価値決定用乱数の更新処理(S104)、普図の当り決定用乱数の更新処理(S105)、リーチに関するリーチ判定用乱数の更新処理(S106)、変動パターンに関する変動パターン決定用乱数の更新処理(S107)、入賞確認処理(S108)、当否判定処理(S109)、各出力処理(S110)、不正監視処理(S111)を行って、次に割り込み信号が入力されるまでの残余時間内には初期乱数更新処理(S112)をループ処理する。
【0037】
次に、本発明に関わりの深い入賞確認処理(S108)、当否判定処理(S109)および各出力処理(S110)の一部のサブルーチンについて説明する。
図5に示す「始動入賞確認処理」は前記入賞確認処理(S108)のサブルーチンで、特図始動口22,23,22への入球があれば(S200:yes)、特図の保留記憶が満杯か確認する(S201)。本実施形態における記憶可能な保留記憶数は4個である。
【0038】
保留記憶が満杯でなければ(S201:no)、S202の抽出乱数保留記憶処理において、前記入球に起因して抽出した複数の乱数値(大当り決定用乱数、図柄決定用乱数、リーチ判定用乱数、変動パターン決定用乱数等)を保留記憶として記憶する。またこの処理では、特図保留数表示装置17の点灯数を1つ増加させるとともに、サブ統合装置83へ現在の保留記憶数を送信する特図保留数コマンドの送信処理を行う。S202の処理後、リターンする。
【0039】
図6ないし図9は「当否判定処理」のフローチャートを示す。図6に示すように「当否判定処理」は、先ず、特別電動役物の作動を確認して大入賞口20が開放中か確認し(S300)、開放中でなければ(S300:no)、特図が変動中か確認し(S301)、変動中でなければ(S301:no)、特図の確定図柄が表示されているか確認する(S302)。尚、特別電動役物が作動中(S300:yes)であれば「特別遊技処理」に移行する。
尚、大入賞口内に遊技球がない状態であるときに図6の当否判定処理を実行するように、特図の変動時間、小当り遊技の開始インターバル、終了インターバルなどを、大入賞口への入賞から排出までに要する時間以上の時間となるように設定している。
【0040】
前記S302の処理で確定図柄が表示中でなければ(S302:no)、図7に示すように、前記保留記憶があるか確認する(S310)。保留記憶があれば(S310:yes)、保留記憶数を減算し、保留記憶のシフト処理を行う(S311)。該シフト処理により保留記憶のうち最も古い保留記憶が当否判定の対象となる。保留記憶がなければ(S310:no)、「特別遊技処理」に移行する。
【0041】
S312の処理では、特図の当否判定用テーブルと前記当否判定の対象となる保留記憶の大当り決定用乱数とを対比して当否判定を行う(S312)。
【0042】
続くS313の処理では、S312の処理の当否判定が大当り(図柄当り)であるか否かの確認を行う。大当りであれば(S313:yes)、前記当否判定の対象となる保留記憶の大当り図柄決定用乱数の値に基づいて大当り図柄を決定し(S314)、前記保留記憶の変動パターン決定用乱数の値および現在の遊技状態(時短状態、通常状態)によって変動パターン(変動時間)を決定する(S315)。
【0043】
次に、S316の大当り情報設定処理において、前記大当り図柄決定用乱数の値に基づいて大当り遊技(特別遊技)の内容(大入賞口20の開放パターン、オープニング演出時間、エンディング演出時間等)および大当り遊技終了後の遊技状態の設定を行なう。
本パチンコ機50では、図19(a)に示すように、大当り図柄は「15R時短有図柄」と「7R時短有図柄」の2種類で、「15R時短有図柄」の開放パターンは30秒の開放を15ラウンド行う。「7R時短有図柄」の開放パターンは30秒の開放を7ラウンド行う。
【0044】
何れの図柄においても大当り遊技の終了後は、時短の特典遊技が付与される構成であり、図7のS317の処理において、時短および開放延長を設定する開放延長設定フラグを「1」にセットする。
【0045】
前記S313の処理で大当りでなければ(S313:no)、前記大当り判定用乱数の値が小当り判定用の当り値と一致していたか否かを判定する(S318)。小当りであれば(S318:yes)、前記保留記憶の図柄決定用乱数の値に基づいて小当り図柄を決定する(S319)。尚、S312,S318の処理は特許請求の範囲に記載の「当否判定手段」に相当し、S319の処理は「図柄決定手段」に相当する。
【0046】
図18に示すように、小当り図柄は「小当り図柄1」〜「小当り図柄6」の6種類あり、これらの中からひとつの図柄が決定される。
各小当り図柄には、小当りから大当りへの移行を可能とする前記条件たる当りカウンタの値(大当りへの移行に必要な特定入球口21への入球数)の割当て、大入賞口20の開放パターンの割当て(何れの図柄も開放回数は1度であり、開放時間が相違する)および後述する小当りから移行する大当りの種類が割当てられる。
【0047】
図7に戻って、S320の変動パターン決定処理では、前記変動パターン決定用乱数の値および現在の遊技状態によって特図表示装置16に表示される特図の小当り用の変動パターンを決定する。
【0048】
大当りでも小当りでもなければ(S313、S318:no)、当否判定はハズレとなって、ハズレ図柄を決定した後にハズレの変動パターンを決定する(S321)。
【0049】
前記S320又はS321の処理の後、開放延長フラグを確認して開放延長中(時短中)か確認し(S322)、開放延長中(開放延長フラグ=1)であれば(S322:yes)、記憶されている開放延長を減算し(S323)する。
【0050】
前記S317又はS323の処理に続いて、S324の処理では、前記当否判定結果を示すデータ(大当り、小当り、ハズレの種類、リーチの有り無し、変動時間など)を含んだ特図変動開始コマンドをサブ統合装置83に出力するとともに、特別図柄表示装置16において特図を変動表示させる処理を行う。該S324の処理後、又は前期S310が否定判定ならば(S310:no)、「特別遊技処理」に移行する。
【0051】
図6のS301の処理で特図が変動中であれば(S301:yes)、図8のS330の処理に移行して、特図の変動時間が経過したか確認する。変動時間が経過していなければ(S330:no)、「特別遊技処理」へ移行する。
一方、変動時間が経過したことを確認すると(S330:yes)、確定図柄表示設定処理(S331)により特図表示装置16に特図を確定表示させ、演出図柄制御装置82およびサブ統合制御装置83へ特図に対応する擬似図柄の確定表示をさせるようにコマンドを送信する。
【0052】
続いて特図が大当りになる組合せであるか確認し(S332)、大当りになる組合せであったときは(S332:yes)、開放延長フラグが「1」であれば(S333:yes)、開放延長フラグを「0」にセットする(S334)。これにより遊技状態が通常遊技とされる。
【0053】
S335の処理では条件装置の作動を開始させ、S336の処理では役物連続作動装置の作動を開始させる。条件装置は大当り遊技で役物連続作動装置の作動に必要な装置であり、役物連続作動装置は特別電動役物を連続して作動させる装置である。
そして大当り開始演出処理(S337)により演出図柄制御装置82およびサブ統合制御装置83へ大当り演出を開始させるようにコマンドを送信し、「特別遊技処理」に移行する。
【0054】
前記S332の処理で、大当りになる組合せでなければ(S332:no)、開放延長フラグが「1」であるか確認し(S338)、開放延長フラグが「1」であり(S338:yes)、開放延長カウンタ(回数)が「0」であれば(S339:yes)、開放延長フラグを「0」にセットする(S340)。
【0055】
続くS341の処理では、確定された図柄が小当りになる組合せであるか否かを確認する。小当りになる組合せでなければ(S341:no)、特別遊技処理へ移行する。
小当りになる組合せであれば(S341:yes)、特別電動役物の作動を開始させる準備処理を行い(S342)、前記決定された小当り図柄に応じて、大当りへの移行に必要な前記条件である前記当りカウンタを設定する(S343)。例えば、図18を参照して「小当り図柄1,2」は当りカウンタが「1個」であるのに対して、「小当り図柄3,4」では「2個」、更に「小当り図柄5,6」では「3個」と大当りに移行する難易度が順に高くしてある。更に、「小当り図柄2,4,6」は大入賞口20の開放時間が「0.5秒」であり、当りカウンタが同一のものの中でも大当りの難易度が高くしてある。
【0056】
そして図8の小当り開始演出処理(S344)により演出図柄制御装置82およびサブ統合制御装置83へ小当り演出を開始させるようにコマンドを送信する。その後、「特別遊技処理」へ移行する。尚、S343の処理は特許請求の範囲に記載の「条件設定手段」に相当する。
【0057】
図6のS302の処理で確定図柄が表示中であった場合には(S302:yes)、図9に示すS350の処理において、確定図柄表示時間が終了したか否かを確認する。確定図柄表示時間が終了していれば(S350:yes)、特別図柄表示装置16を制御して特図の確定表示を終了させ、サブ統合装置83にコマンドを送信して疑似(演出)図柄の確定表示を終了させる(S351)。その後、「特別遊技処理」へ移行する。
【0058】
図10に示すように、「特別遊技処理」は、先ず、役物連続作動装置が作動中か確認し(S400)、作動中であれば(S400:yes)、S401の処理で大入賞口20が開放中か否か確認する。尚、S400で役物連続作動装置が作動中でなければ(S400:no)、小当り遊技処理へ移行する。
S401の処理で大入賞口20が開放中でなければ(S401:no)、インターバル中か確認し(S402)、インターバル中でなければ(S402:no)、大当り終了演出中か確認し(S403)、大当り終了演出中でなければ(S403:no)、大当り開始演出時間が経過したか確認し(S404)、大当り開始演出時間が経過していれば(S404:yes)、S405の大入賞口開放処理で大入賞口20を開放してリターンする。
【0059】
前記S401の処理で大入賞口開放中であれば(S401:yes)、図11に示すように、大入賞口20に規定入賞数である10個の入賞があったか否かの確認(S410)、又は大入賞口20の開放時間が終了したか否かを確認して(S411)、いずれか確認できれば大入賞口20を閉鎖し(S412)、大当りインターバル処理を実行して(S413)、リターンする。大当りインターバル処理では、演出図柄制御装置82およびサブ統合制御装置83へ大当りのインターバル演出を開始させるようにコマンドを送信する。
【0060】
図10のS402の処理でインターバル中であれば(S402:yes)、図12のS420の処理で大当りインターバル時間が経過したか確認し、経過していれば(S420:yes)、最終ラウンドかどうか確認し(S421)、最終ラウンドであれば、(S421:yes)、大当り終了演出の処理(S422)を実行し、この処理で演出図柄制御装置82およびサブ統合制御装置83に大当り終了コマンドを送信し、大当り遊技を終了してリターンする。
一方、最終ラウンドでなければ、(S421:no)、大入賞口20の開放処理(S423)を実行してリターンする。
【0061】
図10のS403の処理で大当り終了演出中であれば(S403:yes)、図13に示すように、大当り終了演出時間の終了時間が経過したか確認し(S430)、経過していれば(S430:yes)、役物連続作動装置の作動を停止する処理(S431)を実行し、条件装置の作動を停止する処理(S432)を実行する。
【0062】
続く、S433〜S436の処理では、前記図9の「大当り設定処理(S317)」で設定された設定内容を参照し、大当り遊技後の遊技状態を設定する。即ちS433において、大当り遊技終了後に開放延長に移行されるか確認し(開放延長設定フラグを確認する)、移行される場合(S433:yes)は、開放延長回数(開放延長カウンタのカウント値)の設定処理(S434)および開放延長フラグに「1」をセットする処理(S435)を行う。
その後、演出図柄制御装置82およびサブ統合制御装置83へ大当り遊技終了のコマンドを送信するとともに(S436)、状態指定コマンドとして前記特典遊技か否かの情報をサブ統合制御装置83等へ送信する。その後にリターンする。
【0063】
図14に示すように、「小当り遊技処理」は、先ず、特別電動役物が作動中か確認し(S500)、作動中であれば(S500:yes)、S501の処理で小当り開始演出中か確認する。尚、S500で特別電動役物が作動中でなければ(S500:no)、リターンする。
S501の処理で小当り開始演出中であれば(S501:yes)、小当り開始演出時間が経過したか確認し(S502)、時間の経過が確認できれば(S502:yes)、続く大入賞口開放処理において、大入賞口20の羽根部材211,211を開閉作動せしめる(S503)。
大入賞口20の開放態様は、「当否判定処理」のS319の処理(図7)で決定された小当り図柄に応じてなされる。例えば図18を参照し、「小当り図柄1」では1秒の開放を1回行い、「小当り図柄6」では0.5秒の開放を1回行う。
その後、リターンする。
図14に戻って、S502の処理で小当り開始演出時間が経過していなければ(S502:no)、リターンする。
【0064】
前記S501の処理で小当り開始演出中でなければ(S501:no)、大入賞口20が開放中か否か確認し(S504)、開放中であれば(S504:yes)、大入賞口20に規定入賞数である10個の入賞があったか否かの確認(S505)、又は大入賞口20の開放時間が終了したか否かを確認して(S506)、いずれか確認できれば大入賞口20を閉鎖(S507)して、リターンする。
【0065】
前記S504の処理で大入賞口20が開放でなければ(S504:no)、図15に示すように、S510の処理で特定入球口21への入球があるか否かを確認する。入球がなければ(S510:no)、小当り終了時間が経過したか否か確認する(S511)。小当り終了時間が経過していれば(S511:yes)、特別電動役物の作動を停止し(S512)、大当り条件の前記当りカウンタをクリアし(S513)、続くS514の処理で演出図柄制御装置82およびサブ統合制御装置83へ小当り終了コマンドを送信する。
【0066】
前記S510の処理で特定入球口21への入球があれば(S510:yes)、図16に示すように、S520以降の処理において、大当り遊技の遊技内容を決定し、大当り遊技に移行する。先ずS520の処理では入球に応じて大当り価値決定用乱数を抽出する(S520)。尚、S520の処理は特許請求の範囲に記載の「乱数抽出手段」に相当する。S521の処理では既に大当り価値決定用乱数が記憶されているか否かの確認をする。乱数の記憶が無ければ(S521:yes)、抽出された乱数の記憶処理を行う(S522)。この処理は特許請求の範囲に記載の「記憶手段」に相当する。
【0067】
一方、既に乱数が記憶されていれば(S521:no)、抽出された乱数が記憶されている乱数よりも大きいか否かの確認をする(S523)。抽出された乱数の方が大きいのであれば(S523:yes)、S524の記憶乱数変更処理において記憶を抽出された乱数に変更する。抽出された乱数が大きくなければ(S523:no)、記憶は変更しない。S523,S524の処理は特許請求の範囲に記載の「記憶変更手段」に相当する。
【0068】
続くS525の処理では、当りカウンタを減算し、減算した当りカウンタが「0」であるか否かの確認をする(S526)。当りカウンタが「0」であれば(S526:yes)、「大当り価値設定処理」に移行する(S527)。
【0069】
図17に示すように「大当り価値設定処理」は特許請求の範囲に記載の「遊技設定手段」に相当し、先ず記憶された大当り価値決定用乱数に基づく大当りの種類が「大当り5」であるか否かの確認を行う(S600)。この場合、大当りの種類は、前記小当り図柄と大当り価値決定用乱数とに基いて決定される。
例えば図18を参照して「小当り図柄1」で大当り価値決定用乱数が「9」のときは「大当り5」となり、「小当り図柄3」で大当り価値決定用乱数が「5」では「大当り4」となる。
【0070】
図17のS600の処理で大当りの種類が「大当り5」であれば(S600:yes)、「大当り5」による大当り遊技を実行するための設定処理を行う(S601)。
図19(b)に示すように、「大当り5」は大入賞口20の30秒の開放を15回行い、大当り遊技終了後に時短機能(開放延長)を付加するものである。そのため図17のS602の処理で、開放延長設定フラグに「1」をセットし、その後、リターンする。開放延長設定フラグに「1」をセットすることで大当り遊技終了後の遊技状態を開放延長(時短)機能が付加した状態となる。
なお、図19(a)および(b)では、小当り遊技を経由せずに発生した大当り遊技の「大当り遊技15R時短有図柄」による態様と、小当り遊技から大当り遊技へ昇格(移行)したときの「大当り5」による態様が、同一(30秒開放を15回)となっているが、小当り遊技を1回の開放として捉え、「大当り3」、「大当り4」による態様を「30秒開放を6回」、「大当り5」による態様を「30秒開放を14回」としても良い。
【0071】
前記S600の処理で大当りの種類が「大当り5」でなければ(S600:no)、大当りの種類が「大当り4」であるか否かの確認を行い(S603)、大当りの種類が「大当り4」であれば(S603:yes)、「大当り4」の設定処理を行い(S604)、開放延長設定フラグに「1」をセットし(S605)、その後、リターンする。
【0072】
前記S603の処理で大当りの種類が「大当り4」でなければ(S603:no)、大当りの種類が「大当り3」であるか否かの確認を行い(S606)、大当りの種類が「大当り3」であれば(S606:yes)、「大当り3」の設定処理を行う(S607)。「大当り3」は大入賞口20の30秒の開放を7回行い、大当り遊技終了後に時短機能(開放延長)を付加しないもので(図19(b)参照)、S608の処理で、開放延長設定フラグに「0」をセットし、その後、リターンする。
【0073】
前記S606の処理で大当りの種類が「大当り3」でなければ(S606:no)、大当りの種類が「大当り2」であるか否かの確認を行い(S609)、大当りの種類が「大当り2」であれば(S609:yes)、「大当り2」の設定処理を行い(S610)、開放延長設定フラグに「1」をセットし(S611)、その後、リターンする。
【0074】
前記S609の処理で大当りの種類が「大当り2」でなければ(S609:no)、大当りの種類は「大当り1」であり、S612の処理で「大当り1」の設定処理を行い、開放延長設定フラグに「0」をセットして(S613)、リターンする。
【0075】
図16に戻って、S528の処理では、開放延長フラグが「1」であれば(S528:yes)、開放延長フラグを「0」にセットし(S529)、前記条件装置の作動を開始させるとともに(S530)、前記役物連続作動装置の作動を開始させる(S531)。そして大当り開始演出処理(S532)により演出図柄制御装置82およびサブ統合制御装置83へ大当り演出を開始させるようにコマンドを送信し、リターンする。尚、S510、S525,S526,S530,S531等の処理は特許請求の範囲に記載の「大当り遊技実行手段」に相当する。
【0076】
図20は本パチンコ機50の遊技に関する仕様を示す。パチンコ機50は、大当り確率(図柄当り)が生起する確率は300分の1であるが、小当り確率は1.003分の1であるので、特図の変動が開始されるとほぼ小当りが生起することとなる。
小当りとなると、確定された小当り図柄に応じて、大当りへ移行するための前記条件として特定入球口21への入球個数が設定され、前記条件を達成することで大当り遊技に移行可能となる。
【0077】
更に特定入球口21への入球条件が成立すると、小当り図柄と特定入球口21への入球時に抽出された乱数に応じて移行する大当り種類が決定されて、決定された種類の大当りに移行する。この場合、図18に示すように、前記条件(当りカウンタ)が複数個の小当り図柄(小当り図柄3〜6)では、特定入球口21への入球毎に抽出される上記乱数に対応する大当り種類のうち、最も条件の良い種類の大当り遊技に移行する構成である(図16参照)。
【0078】
このように本実施形態によれば、小当り生起時の小当り図柄に応じて、特定入球口21への入球個数や大入賞口20の開放時間を変化させて大当りになりやすい小当り、大当りになり難い小当りなど複数種類の小当りを設けることができ、小当りから大当りへの移行のバリエーションが豊富で、単調な遊技とならない。
【0079】
また、小当り図柄と特定入球口21への入球時に抽出された大当り価値決定用乱数との組合せに応じて、大当り遊技の遊技内容や大当り遊技後の特典遊技が変化するようにしたので、大当りへの移行の難易度が同一種類の小当りであっても遊技内容および特典遊技の異なる複数種類の大当りに移行させることができ、大当りへの移行のバリエーションが更に増す。特に、大当りへの難易度の高い小当りでは、遊技内容および特典遊技の有利な大当りに移行させるとともに、前記条件が特定領域への複数入球であれば、特定領域への入球時に抽出された複数のうちで最も大当り遊技の遊技内容および特典遊技が有利な乱数を用いて価値の大きな大当り遊技へ移行させることで、大当り遊技に対する遊技者の期待感や遊技意欲を向上させることができる。よって、本パチンコ機50は興趣の豊かな遊技を実施することができる。
【0080】
尚、本実施形態のパチンコ機50は、特定領域への入球時に抽出された価値乱数のうちで最も大当りの種類の有利な乱数を記憶し、該乱数に基づいて大当り遊技を設定するように構成しているが、これに限らず、前記価値乱数として大当りの種類の不利な乱数を記憶し、該乱数に基づいて大当り遊技を設定するように構成してもよい。
また特典遊技として、開放延長(時短)機能に加えて、当否判定における大当り(図柄当り)の確率を高確率とする確変機能を設けてもよい。
また大入賞口20において、振分羽根は、常時一定の動作ではなく、小当り遊技の生起(小当り図柄の確定表示、大入賞口20の開放動作、遊技球が取込まれたタイミング(カウントSW202にて遊技球が検出されたタイミング)等の所定の条件が満たされたことに基づいて一定の動作を所定期間行う構成としても良い。尚、振分羽根は遊技者が振分方向を狙うことが困難な状態で左右ランダムに振分けられる構成であれば良い。
また図6〜9の当否判定処理では大入賞口20内に残留球がないことを時間によって判断していますが、内部での遊技球の停留(球詰まり)が発生した場合に対処するために、大入賞口へのINとOUTの管理(カウントSW202、特定入球口SW211および外れ入球口251による検出数管理)に基づいて大入賞口20に入賞した遊技球が全て排出されたこと判断する処理を追加し、確実に大入賞口内に残留球がないときにのみ特図の変動又は特別遊技処理を実行するように構成しても良い。
また、図14〜16の小当り遊技処理に、大入賞口へのINとOUTの管理(カウントSW202、特定入球口SW211および外れ入球口251による検出数管理)に基づいて大入賞口20に入賞した遊技球が全て排出されたこと判断する処理を追加し、残留球がある間は小当り遊技を終了しない構成とし、エラー報知を実行するようにしても良い。
【0081】
次に本発明を適用した第2の実施形態のパチンコ機について説明する。本実施形態のパチンコ機の基本構成は、前記第1の実施形態のパチンコ機のそれとほぼ同じで、相違点を中心に説明する。尚、図において同一部材は同一符号で示す。
図21は本実施形態のパチンコ機に用いる遊技盤10Aを示し、遊技盤10Aにはその中央位置に、特定領域として第1および第2の特定入球口21a,21bを備えた大入賞口20Aが設けてある。
【0082】
大入賞口20Aは、上部の左右両側に開閉可能な左右一対の開閉部材201,201を備え、開閉部材201,201の開放時にのみ遊技球が入球可能な構成である。また入球した遊技球を、両開閉部材201,201の中間の入口より内部へ取込み、電源投入時から常時一定の動作を行う振分羽根により左右方向に振分ける。
左右に振分けられた遊技球は、演出図柄表示装置15の下方に設けられた中間棚状部、又はその下方の床面にそれぞれ左右両側から流下可能とされている。
【0083】
第1の特定入球口21aは前記中間棚状部の左寄りに設けられている。また中間棚状部にはほぼ中央に左右に区画する仕切りが設けられ、第1の特定入球口21aへは左側より流下した遊技球のみが入球可能である。第1の特定入球口21aの左右両側には取込口があり、これらにより第1の特定入球口21aへ入球しなかった遊技球は左下通路から前記床面へと誘導される。右側より中間棚状部へ流下した遊技球は中間棚状部の右側の取込口により右下通路から前記床面へと誘導される。
【0084】
第2の特定入球口21bは前記床面の中央に設けられ、左右両側より床面に流下した何れの遊技球も入球可能な構成である。また床面には第2の特定入球口21bの左右両側に外れ入球口25が設けてある。
このように第1の特定入球口21aと第2の特定入球口21bとでは、第1の特定入球口21aの方が入球率の低い構成としてある。
【0085】
本パチンコ機は、第1の特定入球口21aと第2の特定入球口21bとを設けた分、図22に示すように、第1の特定入球口21aへの入球を検出する第1特定入球口SW212と、第2の特定入球口21bへの入球を検出する第2特定入球口SW213を備える。
【0086】
図23は本パチンコ機で実行される「当否判定処理」の一部のフローチャートを示す。本パチンコ機は第1の実施形態のパチンコ機と同様に、図6図7および図9に示す「当否判定処理」を実行する。
図6のS301の処理で特図が変動中であれば(S301:yes)、図23に示す処理に移行して、S360の処理で特図の変動時間が経過したか確認する。変動時間が経過していなければ(S360:no)、「特別遊技処理」へ移行する。
一方、変動時間が経過したことを確認すると(S360:yes)、確定図柄表示設定処理(S361)により特図表示装置16に特図を確定表示させ、演出図柄制御装置82およびサブ統合制御装置83へ特図に対応する擬似図柄の確定表示をさせるようにコマンドを送信する。
【0087】
続いて特図が大当りになる組合せであるか確認し(S362)、大当りになる組合せであったときは(S362:yes)、開放延長フラグが「1」であれば(S363:yes)、開放延長フラグを「0」にセットする(S364)。これにより遊技状態が通常遊技とされる。
【0088】
続いて、条件装置の作動を開始させ(S365)、役物連続作動装置の作動を開始させる(S366)。
そして大当り開始演出処理(S367)により演出図柄制御装置82およびサブ統合制御装置83へ大当り演出を開始させるようにコマンドを送信し、「特別遊技処理」に移行する。
【0089】
S362の処理で、大当りになる組合せでなければ(S362:no)、開放延長フラグが「1」であるか確認し(S368)、開放延長フラグが「1」であり(S368:yes)、開放延長カウンタ(回数)が「0」であれば(S369:yes)、開放延長フラグを「0」にセットする(S370)。
【0090】
続くS371の処理では、確定された図柄が小当りになる組合せであるか否かを確認する。小当りになる組合せでなければ(S371:no)、特別遊技処理へ移行する。
小当りになる組合せであれば、特別電動役物の作動を開始させる準備処理を行い(S372)、前記決定された小当り図柄に応じて、S373の有効特定領域設定処理において、第1の特定入球口21aと第2の特定入球口21bとの何れかを有効とするか設定する。続いて前記当りカウンタを設定し(S374)、そして小当り開始演出処理(S375)により演出図柄制御装置82およびサブ統合制御装置83へ小当り演出を開始させるようにコマンドを送信する。その後、「特別遊技処理」へ移行する。
【0091】
小当り図柄に基づく有効特定領域の設定は、図25に示すように、「小当り図柄1,4,6」のときに第1の特定入球口21aが設定されて大当りの難易度が高い。一方、「小当り図柄2,3,5」では第2の特定入球口21bが設定され、これらは大当りの難易度が低い分、大入賞口の開放時間が「0.5秒」とし、「小当り図柄1,4,6」に比べて大入賞口の開放時間を短く設定している。
また「小当り図柄1,2」は当りカウンタが「1個」であるのに対して、「小当り図柄3,4」では「2個」、更に「小当り図柄5,6」では「3個」と大当り難易度が順に高くしてある。
【0092】
図24は本パチンコ機で実行される「小当り遊技処理」の一部のフローチャートを示す。本パチンコ機は第1の実施形態のパチンコ機と同様に、図14および図16に示す「小当り遊技処理」を実行する。
図14の前記S504の処理で大入賞口20Aが開放でなければ(S504:no)、図24に示すように、S540およびS541の処理で第1の特定入球口21a又は第2の特定入球口21bへの入球があるか否かを確認する。いずれか入球があれば(S540又はS541:yes)、入球があった特定入球口が有効な特定入球口であるか確認する(S542)。
【0093】
入球が有効な特定入球口でなければ(S542:no)、小当り終了時間が経過したか否か確認し(S543)、小当り終了時間が経過していれば(S543:yes)、特別電動役物の作動を停止し(S544)、前記有効特定領域の設定および当りカウンタをクリアし(S545,S546)、続くS547の処理で演出図柄制御装置82およびサブ統合制御装置83へ小当り終了コマンドを送信する。
一方、入球が有効な特定入球口であれば(S542:yes)、図16に示す処理を実行して大当り遊技に移行する。
尚、本パチンコ機では、特定領域のほかに当りカウンタ(特定領域へ入球数)も設定するようにしてあるが、これに限らず有効な特定領域のみを設定する構成でも良い。
【0094】
本実施形態によれば、第1の実施形態と同様な作用効果を奏する上、第1又は第2の何れの特定領域21a,21bへ入球するかといった遊技球の帰趨を遊技者に視認させることによって遊技者の緊迫感を向上させることができる。
【0095】
尚、本発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲でさまざまに実施できることは勿論である。例えば、大入賞口を複数設け、一方を大当り遊技で開放する大入賞口とし、他方を小当り遊技で開放する大入賞口とし、小当り用の大入賞口内に特定領域を設ける構成としてもよい。
また、特定入球口(特定領域)21a,21bを別々の大入賞口内に設け、小当り遊技によって特定入球口(特定領域)21a又は21bのいずれかを設定すると共に、開放する大入賞口を設定しても何等差し支えない。
【符号の説明】
【0096】
10 遊技盤
15 演出図柄表示装置(図柄表示装置)
20 大入賞口(大入賞口)
21 特定入球口(特定領域)
21a 第1の特定入球口(特定領域)
21b 第2の特定入球口(特定領域)
22,23 始動口
50 パチンコ機(弾球遊技機)
80 主制御装置(当否判定手段、図柄決定手段、条件設定手段、大当り遊技実行手段、乱数抽出手段、遊技設定手段、記憶手段、記憶変更手段)
図1
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