(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、コンバイナを移動する際には、駆動源となるモータなどの機械音により、車両利用者に不快感を与える問題を有していた。
【0005】
そこで本発明の目的は、前述の問題点に着目し、コンバイナ移動時に機械音が認識しづらく、車両利用者への不快感を抑止するヘッドアップディスプレイ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のヘッドアップディスプレイ装置は、
情報を含む光を表示像として発する発光表示手段と、
運転席の前方視野内に設けられ前記表示像を投影して表示するコンバイナと、
前記コンバイナを車両のインストルメントパネルに起立状態、または格納状態へ
状況に応じた速度で移動させる駆動手段と、
車両情報を入力し前記駆動手段による前記コンバイナの移動を促す制御信号を発する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記車両情報のうち、少なくとも前記車両の
ドアが閉状態から開状態に移行したことを示す情報に基づいて、車両利用者による搭乗動作の有無を判定する乗車判定処理を行い、該搭乗動作が有った際に、前記駆動手段を用いて前記コンバイナを起立状態へ移動させ
、かつ前記ドアが開状態の場合に、前記ドアが閉状態の時よりも前記コンバイナを速く移動させるように促す制御信号を発することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、情報を示す表示像をインストルメントパネル上面部に設けられたコンバイナに投影表示させるヘッドアップディスプレイ装置において、特に、このコンバイナをインストルメントパネルに収納できるようにしたヘッドアップディスプレイ装置に関して、コンバイナ移動時に機械音が認識しづらく、車両利用者への不快感を抑止できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付の図面に基づいて、本発明の一実施例としてヘッドアップディスプレイ装置を例にあげて説明する。
【0011】
図1は、ヘッドアップディスプレイ装置の車載状態を示すものであり、ヘッドアップディスプレイ装置Aは、車両Bのインストルメントパネル(ダッシュボード)C内に設けられ、生成した表示画像を表す表示光Dをコンバイナ1で反射させることにより、車両利用者(車両運転者)Eに車両情報を表す表示画像の虚像Fを視認させる装置である。これにより、車両利用者Eは、車両前方から視線を逸らさずに車両情報を視認できる。
【0012】
ヘッドアップディスプレイ装置Aは、例えば、車両のインストルメントパネルに設けられ、
図2に示すように、コンバイナ1と、表示器(発光表示手段)2と、駆動手段3と、を備えてなり、被投影部材となるコンバイナ1に表示器2から発する表示像Lを虚像として投影してユーザーに視認可能にしている。
【0013】
コンバイナ1は、ポリカーボネートからなる透明樹脂基板に反射層を蒸着形成してなるものであり、表示器2が発した表示像Lを入射し被投影部材側に反射させる。この場合、コンバイナ1は、若干の凹面形状にて形成され、表示器2からの表示像Lを車両利用者E側に拡大して投影する。
【0014】
また、コンバイナ1は、インストルメントパネルC上面部から突出するように設けられる起立状態と、インストルメントパネルC内部に格納される収納状態とで移動可能に設けられる。コンバイナ1は、駆動手段3の駆動源によって移動することができ、起立状態にてヘッドアップディスプレイ装置Aを使用でき、車両を停止して降車した場合などヘッドアップディスプレイ装置Aを使用しない際には、収納状態にして、コンバイナ1が埃や太陽光などに晒されないようにできる。
【0015】
表示器2は、TFT型の液晶表示素子と、この液晶表示素子を透過照明するための光源(発光ダイオード)と、液晶表示素子や光源に図示しない配線を介して電気的な信号を供給するための回路基板と、から構成している。表示器2は、車両の走行速度や燃料量などの車両情報や時刻などの情報を表示光(表示像)Dとしてコンバイナ1に向けて照射できる。なお、表示器2は、バックライトとなる光源と液晶表示素子とを組み合わせてなるものだけでなく、発光表示手段として作用するものであればよく、有機ELパネルや蛍光表示管などを代替して適用することもできる。
【0016】
駆動手段3は、例えば、駆動源となるステッピングモータと移動方向を定めるガイドとを設けてなり、ギアなどの部材を介してコンバイナ1を、前述した起動状態や収納状態へ移動できる。また、駆動手段3は、コンバイナ1が原点位置にあるときオンするスイッチを設けており、このスイッチからの信号に基づいて後述する制御手段が原点位置を判定できる。なお、駆動手段3から発せられる機械音は、駆動源の回転速度(コンバイナ1の移動速度)が速くなるにつれて、大きくなってしまう。
【0017】
次に、ヘッドアップディスプレイ装置Aの電気的な構成について
図3を用いて説明する。
【0018】
ヘッドアップディスプレイ装置Aは、制御手段4と、表示器2と、駆動手段3と、を備えており、車両の起動スイッチ(イグニッションスイッチ)や車載電子制御ユニット(ECU)からの各種情報、例えば、表示器2に表示するための車速などの車両情報や、ドアの開閉状態を検出するためのドアスイッチからの状態信号、変速機の位置を示すギアポジション、シートベルトの装着状態を示すバックル信号などの検出情報を通信して入力できる。
【0019】
制御手段4は、マイクロコンピュータを適用でき、プログラムが格納されたROMと、演算値を一時的に格納するRAMと、設定値などを格納するEEPROMあるいはフラッシュメモリなどの不揮発性記憶媒体と、前記プログラムに従って演算処理するためのCPUと、車両情報入力用の配線や、表示器2、駆動手段3などと電気的な接続関係をなすための入出力インターフェースと、によって主に構成される。また、制御手段4は、車速などの車両情報を表示するための表示制御信号を表示器2に出力し、所望の回転方向や回転量、回転速度によって、駆動手段3を作動させる駆動制御信号を出力できる。
【0020】
制御手段4は、例えば、車両利用者Eにとって好適な表示像Lの投影位置が予め設定されるとともに、通常の車両へ乗車を行う際、この投影位置を実現するためコンバイナ1が所定の起立位置となるように、駆動手段3を用いて初期処理を行う。なお、制御手段4は、初期処理として、まず原点位置方向へ駆動手段3を回動させ、前記スイッチからの原点位置信号を入力してから逆方向へ回動させ、コンバイナ1が所定の起立位置となるような回転量で停止するように制御している。
【0021】
表示器2は、制御手段4からの表示制御信号に基づいて、車両情報を表示像Dとして発光表示する。制御手段4は、車速や航続可能距離などの車両情報が表示像Dとして生成され、コンバイナ1へ投影表示されるように、表示器2からの出力を促す。
【0022】
駆動手段3は、上述したように制御手段4からの駆動制御信号に基づいて、コンバイナ1を移動する駆動源となる。
【0023】
次に、制御手段4による駆動制御信号を発する条件について説明する。
【0024】
制御手段4は、車両利用者Eによる搭乗動作の有無を判定する乗車判定処理を行う。この場合、乗車判定処理は、起動スイッチのオフ状態が長時間(例えば、5分間以上)経過し、さらにドアスイッチからの情報に基づいてドアが閉状態から開状態へ移行した場合に、搭乗動作がなされたと判定する。
【0025】
次に、制御手段4は、上述乗車判定処理によって、搭乗動作有りと判定した場合には、コンバイナ1を収納状態から起立状態へ移動するように、駆動制御信号を駆動手段3に出力する。この際、駆動手段3は、機械音を発しながら迅速にコンバイナ1を移動させるように作用する。コンバイナ1が移動開始する際には、車両利用者Eが車外にいる可能性が高く、また、ドアが開状態であるため、車外の雑音によって該機械音を感じにくくできる。さらに、車両利用者Eが搭乗動作を行う際には、ドアの開閉やシートへの乗り込み、シートベルトの装着、起動スイッチの操作など、様々な作業をともなうため、該機械音に対して集中しにくいタイミングとなる。
【0026】
さらに制御手段4は、ドアスイッチからの情報に基づいてドアが開状態から閉状態へ移行した場合で、かつコンバイナ1が起立状態(使用可能な位置)に達していない場合に、前述ドアが開状態におけるコンバイナ1の移動速度よりも遅い速度でコンバイナ1が起立状態へ移動されるように促す駆動制御信号を発する。従って、駆動手段3からの機械音を抑えながら駆動できるため、車両利用者Eへの不快感を抑止できる。また、ドアを閉じるタイミングで、コンバイナ1の移動速度を変えるため、ドアが閉まる音や動作によって、この移動速度の変化を車両利用者Eに気付かれにくいため違和感をあたえない。
【0027】
上述のようにコンバイナ1の移動速度を変化可能に構成することによって、ドアが開状態の時には、閉状態の時よりもコンバイナ1を速く移動させるように促す駆動制御信号を発することで、車両利用者Eへの不快感を抑えながら、迅速にコンバイナ1の位置を使用可能状態(起立状態)へ近づけることができる。また、コンバイナ1の移動途中で、ドアが閉状態に移行した場合であっても、駆動手段3の駆動速度を低速に変えさせて、自動で機械音の発生を低減できる。
【0028】
また、制御手段4は、起動スイッチやドアの状態に基づいて、降車判定を行い、降車(運転席ドアが開状態から閉状態へ移行、または施錠)してから、さらに所定時間経過後(例えば、1分後)に、コンバイナ1がインストルメントパネルC内部へ収納される収納状態へ移動するように駆動手段3を制御する。従って、車両利用者Eが車内に不在状態でコンバイナ1を駆動でき、不快感を与えずにコンバイナ1を保護できる。
【0029】
なお、上述した乗車判定や降車判定においては、起動スイッチの操作時間とドアの開閉に基づいて判定するものを示したが、さらに、ギアポジションの変化、シートベルトの脱着操作などによって、乗車状態または降車状態をより正確に判定できる。
【0030】
また、制御手段4は、窓の開閉状態、車載音響機器の音量設定、空気調和機の風量など他の音環境によって、車両利用者Eへ不快感を与えない程度の駆動速度を設定し、駆動手段3を作動させることもできる。この場合、窓が開状態、または音響機器からの音量が大きい程、または空気調和機の風量が大きい程、コンバイナ1を速い速度で駆動しても、駆動手段
3による機械音が車両利用者Eに認識しづらいため、不快感を与える可能性を低減できる。
【0031】
また、コンバイナ1が移動する際に、車載計器、または音響機器から効果音や案内音声を発することによって、駆動手段3からの機械音が車両利用者Eへ届きづらくなる。この際、制御手段4から、駆動手段3が作動する起点、終点を識別できる信号を発することで、コンバイナ1の移動状態に応じた音出力ができる。
【0032】
斯かるヘッドアップディスプレイ装置は、情報を含む光を表示像として発する表示器2と、運転席の前方視野内に設けられ表示光Dを投影して表示するコンバイナ1と、コンバイナ1を車両BのインストルメントパネルCに起立状態、または格納状態へ移動させる駆動手段3と、車両情報を入力し駆動手段3によるコンバイナ1の移動を促す制御信号を発する制御手段4と、を備え、制御手段4は、前記車両情報のうち、少なくとも車両Bのドアの開閉状態を示す状態信号に基づいて、車両利用者Eによる搭乗動作の有無を判定する乗車判定処理を行い、該搭乗動作が有った際に、駆動手段3を用いてコンバイナ1を起立状態へ移動させる。
【0033】
従って、車両の起動操作前に、初期動作となる表示準備を開始できるだけでなく、初期動作にともなう駆動手段3からの機械音が、車両利用者Eに届きにくくできるため、コンバイナ1移動時の機械音が認識しづらく、車両利用者Eへの不快感を抑止するヘッドアップディスプレイ装置Aとなる。
【0034】
また、駆動手段3は、コンバイナ1の移動速度を可変でき、制御手段4は、該搭乗動作が有ったことを判定し、かつ前記ドアが開状態の場合に、前記ドアが閉状態の時よりもコンバイナ1を速く移動させるように促す制御信号を発することによって、ドアを閉めた際に、コンバイナ1が起立状態に達しない場合であっても、車両利用者Eに不快感を与えずに表示準備を継続できる。
【0035】
なお、本発明のヘッドアップディスプレイ装置を上述した実施の形態の構成にて例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の構成においても、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の改良、並びに表示の変更が可能なことは勿論である。例えば、
図2では、コンバイナ1を上下に移動させるものを示したが、曲線上に移動させたり、コンバイナを回転可能に軸支して、起伏移動させるものであってもよい。なお、起伏移動させる場合には、コンバイナを伏せることによって、表示像の反射面を保護しつつ、インストルメントパネルと一体感をもたせた収納状態となる。
【0036】
また、上述した実施の形態では、降車判定を行い、降車後に、コンバイナ1がインストルメントパネルC内部へ収納される収納状態へ移動するように駆動手段3を制御するものを示したが、ナビゲーション情報(車両位置情報)に基づいて、目的地に達した場合や、駐車のための運転操作(ハザードや変速機操作)、または自動運転を行う際に、コンバイナ1を起立状態から収納状態へ移動させることもできる。