(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
搬送管内に空気流を発生させ、該搬送管内に挿入された紙葉類を、この空気流を受けて搬送管内を移動する搬送補助体で後方から押し動かして搬送する紙葉類搬送装置に設けられる、搬送路の終端で搬送補助体と紙葉類とを分離して回収する分離回収装置であって、
前記搬送補助体に押し動かされて搬送されてきた紙葉類は下流へ通過させ、前記搬送補助体は当接して停止させる分離部と、
前記分離部から出てきた前記紙葉類を受け入れる管状の通路部と、
前記分離部から受け入れた紙葉類の一方の紙面と対向する前記通路部の内壁に、前記分離部の近傍から下流方向の所定範囲に渡って延設された、前記紙面の方向へ突起したリブと、
前記リブの下流側にあり、前記リブが設けられた側の前記通路部の内壁に沿って該通路部の延設方向に掛け渡された環状の搬送ベルトと、
前記搬送ベルトのうち前記紙面側の往路が下流へ移動するように前記搬送ベルトを周回駆動する駆動部と、
前記往路側の前記搬送ベルトの背後に開口して前記通路部内の空気を外部から吸引するための吸引口と、
を備え、
前記分離部から受け入れた紙葉類が、前記リブの延設範囲を超えてから前記往路側の搬送ベルトに前記吸引によって密着され、該搬送ベルトに搬送されて前記通路部の終端から排出されるようにした
ことを特徴とする分離回収装置。
【発明を実施するための形態】
【0053】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
【0054】
図1は、本発明の実施の形態に係る分離回収装置70を含む紙葉類搬送装置10の概略構成を示す平面図、
図2は紙葉類搬送装置10の正面図である。本実施の形態では、紙葉類搬送装置10は、紙幣の投入を受けて遊技者に遊技球(パチンコ球)を貸し出す遊技媒体貸出機としての遊技球貸機3とパチンコ機などの遊技機4とを一組にしたものを、互いが背中合わせになるようにして表裏面に複数組併設収容した遊技機島2内に設けられ、各遊技球貸機3の背面から排出された紙幣6を取り込んで遊技機島2の端部に設けられた金庫5まで搬送する紙幣搬送装置として構成されている。
【0055】
紙葉類搬送装置10は、紙幣(紙葉類)の搬送路となる搬送管12と、搬送管12内にその延設方向に流れる空気流を発生させる空気流発生装置(ブロア)14とを備えている。紙葉類搬送装置10では、空気流を受けて搬送管12内を移動可能な搬送補助体16を、搬送対象の紙幣6より上流側で搬送管12内へ挿入し、該搬送補助体16で搬送管12内の紙幣6を後方から押し動かして下流へ搬送するようになっている。
【0056】
本例では、
図2に示すように、遊技機島2の一方の端部に設けられた金庫5の内部に、空気流発生装置14と、紙幣分離・搬送補助体循環装置11が設けてある。紙幣分離・搬送補助体循環装置11は、搬送補助体16を搬送管12内に送り出す搬送補助体挿入装置40の機能と、紙幣6とこれを後方から押し動かして搬送してきた搬送補助体16とを分離してそれぞれを回収する分離回収装置70の機能を備えると共に、回収した搬送補助体16を搬送補助体挿入装置40へ戻して循環させる機能を果たす。分離回収装置70で回収した紙幣6は金庫5内の紙幣収納部21(
図1参照)に収容される。
【0057】
空気流発生装置14の空気吹き出し側(空気吹出通路14a)は搬送補助体挿入装置40の空気流入口側(吹出通路接続口46)に接続され、搬送補助体挿入装置40の空気流出口側(搬送管接続口45)に、搬送管12の始端が接続されている。搬送管12は、搬送補助体挿入装置40の空気流出口側から遊技機島2の他方の端部まで延設された往路12aと、該他方の端部でU字状に折り返すターン部12bと、ターン部12bで折り返した後、往路12aの上方を該往路12aに沿って金庫5まで戻るように延設された復路12cで構成される。復路12cの終端は、分離回収装置70の空気流入口側(搬送管接続口72)に接続され、分離回収装置70の空気流出口側(空気吸込通路接続部76)に空気流発生装置14の空気吸い込み側(空気吸込通路14b)が接続されている。
【0058】
空気流発生装置14はモータでファンを回転させることによって空気流を発生させる。空気流発生装置14が発生させた空気流は、空気吹出通路14aから搬送補助体挿入装置40を通じて搬送管12の始端に流れ込み、往路12a、ターン部12b、復路12cを経た後、分離回収装置70、空気吸込通路14bを通じて空気流発生装置14の吸い込み側へ引き込まれるように流れる。
【0059】
搬送管12の往路12aおよび復路12cは、所定の長さ、たとえば、遊技機島2に併設収容された遊技機4と遊技球貸機3の1セット分の横幅に対応した長さを単位に分割されており、これらを連結ユニット18で必要本数連結することで、遊技機島2の長手方向の長さに応じて経路長を調整できるようになっている。また、施工現場では、搬送管12を必要な長さにその場でカットして使用するようになっている。
【0060】
搬送管12の復路12cの途中には、各遊技球貸機3に対応する位置に、遊技球貸機3の背面から排出された紙幣6を搬送管12内へ取り込む紙葉類取込装置としての紙幣取込装置140が配設されている。紙幣取込装置140は、遊技機島2の表面側に配置された遊技球貸機3からの紙幣6を取り込むものと、遊技機島2の裏面側に配置された遊技球貸機3からの紙幣6を取り込むものとが対となるように設けられている。紙幣取込装置140は、復路12cを構成する搬送管12と搬送管12の間に介在してこれらを連結する役割を果たす。
【0061】
遊技機島2内には、遊技機島2の長手方向に沿って搬送路12を支持するための補助フレーム(フレーム部材)160が架け渡してある。補助フレーム160は、復路12cに沿って復路12cの下方に(上下に配置された往路12aと復路12cの間に)架け渡されており、該補助フレーム160の長手方向の端部は遊技機島2の妻板に、取り付け金具66(
図50参照)で固定されている。補助フレーム160の上面側には、補助フレーム160の長手方向に沿って自在にスライド移動可能な台座部170が取り付けてあり、台座部170は紙幣取込装置140の下部を下側から保持する(
図2、
図45参照)。また、補助フレーム160にフック部材180を引っ掛けて吊り下げ、このフック部材180で搬送管12の往路12aを抱え込んで保持するようになっている。補助フレーム160による支持の詳細は後述する。
【0062】
紙葉類搬送装置10では、紙幣取込装置140から搬送管12の復路12c内に取り込まれた紙幣6は、その紙面が搬送管12の延設方向に沿う姿勢で所定の取り込み完了位置に滞在する。搬送管12内に取り込まれて滞在している紙幣6を金庫5まで搬送して回収するために搬送補助体16が紙幣分離・搬送補助体循環装置11の搬送補助体挿入装置40によって搬送管12内へ送り込まれる。搬送管12内へ送り込まれた搬送補助体16は、空気流発生装置14が発生させた空気流の作用を受けて往路12a内をターン部12bに向けて移動し、ターン部12bでUターンした後、復路12c内を終端部に向けてさらに移動する。このとき、
図3に示すように、搬送管12内の紙幣6を、該紙幣6の後端側から搬送補助体16が押し動かすことで、搬送管12の終端部へ向けて(図中の搬送方向Fへ)紙幣6が搬送される。
【0063】
紙幣分離・搬送補助体循環装置11、紙幣取込装置140は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを主要部とする制御部23(
図10参照)に制御されて動作する。本例では、空気流発生装置14は常時作動させておき、制御部23は、紙幣取込装置140に設けたセンサが遊技球貸機3の背面から排出された紙幣6を検知すると紙幣取込装置140を作動させて該紙幣6を搬送管12内に取り込む。そして、この取り込み動作が完了したら紙幣分離・搬送補助体循環装置11の搬送補助体挿入装置40から搬送補助体16を搬送管12内へ送り込む。すると、この搬送補助体16が空気流の作用を受けて搬送管12内を移動し、紙幣6を後方から押し動かして搬送する。そして、紙幣分離・搬送補助体循環装置11の分離回収装置70は搬送補助体16の到来を検知すると紙幣6と搬送補助体16とを分離してそれぞれを回収し、その回収した搬送補助体16は次回の送出に備えて搬送補助体挿入装置40へ案内し、回収した紙幣6は金庫5内の紙幣収納部21へ搬送する、というように動作を制御する。
【0064】
なお、空気流発生装置14を必要時(たとえば、紙幣取込装置140が遊技球貸機3からの紙幣を検知した時点からその紙幣を金庫5に回収し終えるまでの間)のみ動作させるように制御してもよい。
【0065】
このように、空気流の作用を受けて搬送補助体16が移動し、この搬送補助体16によって紙幣6を後端側から押し動かして搬送するので、紙幣6自体は空気流を受けて推進力を得る必要がない。したがって、空気流を受けるために紙幣6を折り曲げる等の措置を施すことなく、紙幣6を空気流によって搬送することができる。また、搬送補助体16は紙幣6に比べて効率よく空気流から推進力を得ることができるので、紙幣6を効率よく搬送することができる。
【0066】
次に、搬送管12および搬送補助体16の形状について詳細に説明する。
【0067】
図4は、直線部分(往路12aおよび復路12cの部分)における搬送管12の斜視図を、
図5は、同部分の搬送管12の延設方向F(=紙幣の搬送方向F=空気流の流れる方向)に垂直な断面形状を示す断面図である。搬送管12は、厚さ1.5ミリほどの樹脂で形成されている。搬送管12は、たとえば、押し出し成型によって形成される。
【0068】
搬送管12の直線部分の延設方向Fに垂直な断面の断面形状は、縦長の長方形の左右の側壁の中央部分が外側へ矩形に拡張した形状を成している。詳細には、搬送管12は、上下の壁部31と、左右の側壁部32と、左右の側壁部32の上下方向の中央部分において外側へ矩形に張り出した拡張部33とを備えている。なお、搬送管12の延設方向(搬送方向F)に垂直な略長方形の断面における短辺方向をX方向(もしくは幅方向、左右方向)、長辺方向をY方向(もしくは高さ方向、上下方向)とする。X方向、Y方向それぞれにおいて搬送管12の中心に向かう方向を内側、中心から内壁へ向かう方向を外側と呼ぶものとする。
【0069】
拡張部33は、搬送管12の内側方向へ立設された分離壁34によって上下2つに区切られている。分離壁34は拡張部33の内壁にT字型の部材を貼り付けて形成されている。
【0070】
側壁部32には、搬送管12の内側方向へ突起した複数本のリブ35が搬送方向に沿って延設形成されている。本例では、側壁部32と拡張部33の境界部に搬送管12の内側へ突出するリブ35が搬送方向に沿って形成されている。分離壁34はリブ35と同じ高さになっており、分離壁34の頂部はリブとしての作用を果たす。
【0071】
側壁部32は、搬送される紙幣6の紙面に対向する一対の内壁となっている。紙幣6は長方形をなしており、搬送管12内を、長辺が搬送方向Fとなる向きで搬送される。言い換えると、紙面が搬送管12の側壁部32に対向しかつ紙幣6の一方の短辺が搬送方向の先端側となり他方の短辺が後端側となる向きで搬送される。
【0072】
搬送管12の上下の壁部31の間隔Dyは紙幣6の短辺より僅かに長くされている。また、左右の側壁部32(リブ35や拡張部33、分離壁34が形成されていない部分(基準平面部とする))の間隔Dxは21ミリほどに設定されている。左右の側壁部32に設けられた拡張部33はそれぞれ側壁部32(基準平面部)よりも外側へ6ミリほど拡張している。リブ35および分離壁34の頂は、側壁部32(基準平面部)から内側へ約2ミリの高さになっている。リブ35の高さは適宜に設定すればよい。
【0073】
図6は、搬送補助体16の平面および正面を示している。搬送補助体16は、各部で径が異なる断面円形の柱状を成している。搬送補助体16は、円柱の中心軸が搬送管12のY方向(高さ方向)となるように搬送管12内に挿入されて使用される。搬送補助体16は、上下対象な形状であり、上から順に、頭部16a、頭部よりやや径の小さい首部16b、頭部16aより径が大きい大径部16c、首部16bと同径であって上下の中央に位置する括れ部16d、大径部16c、首部16b、頭部16aを有して構成される。搬送補助体16は、軽量、丈夫であり、たとえば、プラスティックなどにより内部が空洞に形成される。なお、軽量、丈夫であれば、発泡スチロールや押出発泡ポリスチレンなどにより形成されてもよい。
【0074】
図7は、搬送管12内に搬送補助体16を挿入した状態における、延設方向Fに垂直であって搬送補助体16の中心軸を通る断面を示している。搬送補助体16の各部の径は、搬送管12の内縁形状に対応している。すなわち、搬送補助体16の中心軸を通る断面形状は、延設方向Fと垂直な断面における搬送管12の内縁形状に対応した形状となっており、搬送管12の内側を、内壁との間に所定のクリアランスをあけてほぼ塞ぐ形状になっている。
【0075】
このように、搬送補助体16は、搬送管12の内縁形状に対応する形状(若干のクリアランスをもってほぼ同一の形状)をなして搬送管12の断面のほぼ全体を塞ぐので、空気流の作用を効率よく受けて移動することができる。さらに搬送補助体16は上流からの空気流が搬送補助体16の下流側へ至るのを防ぎ、下流側での空気流の乱れを抑制する役割を果たす。
【0076】
紙幣6は、搬送管12内の空気流から作用を受けると側壁部32に張り付く傾向にある。すなわち、紙幣6の一方の紙面とこれに対向する側壁部32との間隔と、他方の紙面とこれに対向する側壁部32との間隔とが均等になることはほとんどなく、いずれかの間隔が他方より狭くなると、空気流の流速は狭い間隔側で広い間隔側より速くなるため、狭い間隔側の気圧が広い間隔側の気圧より低くなり、この気圧差によって紙幣6が狭い間隔側の側壁部32へ吸着・押圧される。そうなると、狭い間隔側の間隔がさらに狭くなり、紙幣6が側壁部32へ張り付き吸着する現象が生じる。
【0077】
紙幣6が強く側壁部32に張り付くと、搬送補助体16で紙幣6を押し動かして搬送することが難しくなるが、上記のように搬送補助体16はその下流側への空気の流れを遮る(少なくする)作用を果たすので、紙幣6が張り付き吸着する力は小さくなり、円滑な搬送が実現される。
【0078】
搬送補助体16が有する2つの大径部16cは、搬送管12の分離壁34に区切られた2つの拡張部33のそれぞれに係合する。本例では、拡張部33を分離壁34によって2つに区切ると共に、これらの拡張部33を搬送管12のY方向の中央寄りに設けてあるので、搬送補助体16を安定した姿勢に維持して移動させることができる。また、搬送補助体16の姿勢が安定するので、紙幣6の後端に搬送補助体16の大径部16cが適切に当接して安定した搬送力を与えることができる。また、搬送管12と搬送補助体16との間に紙幣6が巻き込まれ難くなる。
【0079】
また、搬送補助体16は、大径部16cを設けることで、空気流の作用を受ける部分の面積が拡大し、移動するための力を効率よく受けることができる。また、大径部16cを設けて空気流の作用を効率的に受けるので、その分、頭部16aの径を小さくすることができる。頭部の径を小さくすることで、搬送管12内の対向する一対の側壁部32の間隔(幅(Dx))を狭くすることができ、紙幣6の倒れを防ぐことができる。
【0080】
さらに、側壁部32に設けた複数本のリブ35の存在により、紙幣6が側壁部32にぴったりと張り付くことが防止される。すなわち、紙幣6と側壁部32との接触面積が少なくなって摩擦が軽減され、静電気の発生等を抑えることができる。また、紙幣6が側壁部32に張り付いた場合でも、その紙幣6はリブ35の先端部分で支持されるため、リブ35の周辺では側壁部32と紙幣6との間に隙間が確保され、張り付き力が小さく抑えられる。また分離壁34によって紙幣6が支えられるので、紙幣6が拡張部33の窪みに落ち込むことが防止される。
【0081】
また、側壁部32から内側に突出する複数のリブ35や分離壁34の頂部は、搬送管12の幅方向(X方向)における実質的な紙幣6の通路幅Wを、基準平面部間距離Dxより狭くする役割を果たす。これにより、紙幣6が搬送管12内で横倒れし難くなり、紙幣6の姿勢がY方向に沿うように保持される。特に、リブ35を複数設けることで、紙幣6の倒れを適切に防ぐと共に、紙幣6の側壁部32への張り付きも効果的に防止される。なお、リブ35を設けた分だけDxを大きくすることができ、これによって搬送管12の断面積を大きくして搬送補助体16が空気流の作用を受けやすくなっている。
【0082】
本実施の形態に係る搬送補助体16の場合、大径部16cの径が最も大きいので、
図3に示すように、この大径部16cが紙幣6の後端に当接して押し動かすようになる。
【0083】
図8はターン部12bの断面図であり、
図9はターン部12bの斜視図である。ターン部12bは、搬送管12を、Y方向を半径方向として90度の円弧を描くように延設された円弧部13bと、直線部13cと、90度の円弧状の円弧部13bとを繋げた形状を有し、搬送補助体16の進路を180度変更する。ターン部12bにおいてもリブ35や拡張部33は形成されるが、搬送補助体16が円弧部13bに沿って円弧状に移動する際に引っかかることがないように、分離壁34は設けないと共に、搬送補助体16がターン部12b内を通る際の軌跡と重なる部分においてはリブ35や拡張部33を逃がすように(直線部分よりクリアランスを大きく)してある。これにより、ターン部12bの円弧部13bでの回転半径を小さくすることができる。なお、直線部13cの長さは、紙幣分離・搬送補助体循環装置11や紙幣取込装置140の大きさなどにより往路12aと復路12cとの間に必要とされる距離に応じて適宜に定めればよい。なお、ターン部12bの拡張部33には、搬送補助体16の大径部16cに対応させて2本のリブ13aを設けてあり、搬送補助体16をX方向の中央寄りに位置規制する。
【0084】
次に、紙幣分離・搬送補助体循環装置11について説明する。
【0085】
図10は前面カバーを外した状態の金庫5の正面図(
図1の矢印A方向から見た状態)、
図11は前面カバーを外した状態の金庫5の斜視図、
図12、
図13は、一部の部品を外した金庫5の内部における紙幣分離・搬送補助体循環装置11および空気流発生装置14などの取り付け状態を示す斜視図である。
【0086】
金庫5は、縦長の直方体形状を成しており、その内側下部には空気流発生装置14やそのモータ14cが配置され、上部には紙幣分離・搬送補助体循環装置11が取り付けられている。空気流発生装置14の空気吹出通路14aは上方に延びて搬送補助体挿入装置40に接続され、空気吸込通路14bはさらに上方に延びて分離回収装置70に接続されている。
【0087】
このほか金庫5の内部には、紙幣6を収容する紙幣収納部21、分離回収装置70によって分離回収された紙幣6を紙幣収納部21へ搬送する紙幣搬送部22、紙葉類搬送装置10や遊技機島2内の各種設備の動作を制御する制御部23、遊技機島2内の各機器へ電源を供給する電源部24などが配設収容されている。分離回収装置70の後端の紙幣排出口から排出された紙幣6は、
図10の矢印Bに示すような進路で進み、併設されている紙幣搬送部22に受け渡される。
【0088】
図14、
図15は、紙幣分離・搬送補助体循環装置11の概観を示している。紙幣分離・搬送補助体循環装置11は、搬送補助体16を搬送管12内へ送り出す搬送補助体挿入装置40と、搬送補助体挿入装置40の上方に重ねて配置され、搬送補助体16と紙幣6とを分離して回収する分離回収装置70とを一体にして構成される。
【0089】
分離回収装置70で分離回収した搬送補助体16は、分離回収装置70の拡張室73と搬送補助体挿入装置40の待機部42とを繋ぐ案内通路61を通じて落下して分離回収装置70から搬送補助体挿入装置40へ受け渡される。
【0090】
まず、分離回収装置70の詳細について説明する。
【0091】
図16は、分離回収装置70の分解斜視図である。分離回収装置70は、一方の側壁と底面とを成すフレーム部71Aと、上蓋部71Bと、他方の側壁を成しつつ空気の吸引ダクトの機能を果たす側壁ダクト部71Cとを組み合わせて中空筒状にされる外枠部71と、該外枠部71の前端の開口に嵌めこまれて搬送管12の終端が接続される搬送管接続部72と、該外枠部71の後端の開口から外枠部71の中に挿抜可能に挿入される内側ユニット90と、外枠部71内に回動可能に取り付けられる分離部80を備えている。分離部80は、搬送補助体16に押し動かされて搬送されてきた紙幣6は下流へ通過させ、搬送補助体16は補足して、これらを分離する機能を果たす。内側ユニット90は分離部80で分離された紙幣6を受け入れる通路を内部に備えている。
【0092】
分離部80と内側ユニット90は
図17から
図20に示すような位置関係で外枠部71内にセットされる。
【0093】
分離部80は、搬送補助体16に押し動かされて搬送されてきた紙幣6は下流へ通過させ、搬送補助体16は当接して停止させる機能を果たす保持部81と、保持部81から延びる支持部82とを備えている。
図18に示すように、保持部81は、中空円筒をその軸に沿って2分割したような形状を成しており、その分割端面に相当する矩形の開口から受け入れた搬送補助体16を半円筒状の壁部の内側に当接させて停止させる構造になっている。
【0094】
保持部81の半円筒状壁部の内面には、保持した搬送補助体16の姿勢が傾斜しないように規制するためのガイドレール83(
図18参照)が設けてある。また、保持部81の底部には搬送補助体16を案内通路61へ落下させるための排出口86が開設されている。なお、ガイドレール83は、排出口86からの搬送補助体16の落下を妨げないようにされている。
【0095】
さらに保持部81の半円筒状壁部の中央には、紙幣6を下流へ通過させるための縦長矩形の通過口84が設けてある(
図16参照)。通過口84は紙幣6を十数枚束ねた状態でも通過し得る程度の開口幅を有している。
【0096】
支持部82は、保持部81から搬送方向下流側へ延びる断面コの字状で所定長の腕部を成しており、保持部81を上流側(搬送管接続口72側)とした向きで、当該支持部82の基端側に設けた突起軸85を外枠部71の軸穴78(
図16参照)に挿入して外枠部71に回動可能に取り付けられる。外枠部71の中に内側ユニット90を挿入したとき、
図17に示すように内側ユニット90の上流側端部の外側に断面コの字状の支持部82が嵌るようになっている。
【0097】
外枠部71は、断面矩形の管状の経路の途中の一部に、弧が搬送管接続口72側となるように扇型に拡張した部分(拡張室73)を有する。拡張室73は、軸穴78に挿入した突起軸85を中心に分離部80を所定の角度範囲で回動させるために形成された空間である。
【0098】
また、拡張室73の底部には円形の落下口74が設けてある。分離部80は、保持部81が搬送管12の終端を臨む回収位置(
図17、
図18、
図30(a)参照)と、保持部81が拡張室73内に入った排出位置(
図19、
図20、
図30(b)参照)とに突起軸85を中心に回動する。排出位置では、搬送補助体16が保持部81の底部の排出口86から落下口74、案内通路61(
図14参照)を通じて下方の搬送補助体挿入装置40へ排出される。分離部80は、外枠部71の上に配置された第1駆動部62(
図15参照)に駆動されて回収位置と排出位置とに回動する。ここでは第1駆動部62はソレノイドである。
【0099】
側壁ダクト部71C(
図16参照)にはフレーム部71Aの側壁を臨むように吸込み口75が開口している。側壁ダクト部71Cは、該吸込み口75から外側へ下向きL字状に延びる管状の通路を成している。側壁ダクト部71Cの下端には空気吸込通路14bが接続される。吸込み口75は、側壁ダクト部71C内に設けられた紙幣吸込み防止壁77によって複数(この例では3個)の小開口に区切られている(
図30参照)。小開口は、内側ユニット90を取り外した状態で、紙幣6が吸込み口75から吸い込まれない程度に小さくされている。
【0100】
このほか、外枠部71の上流側の端部の上部には、分離部80の保持部81に搬送補助体16が到着したことを検出する搬送補助体検出センサ63が設けてある(
図14参照)。
【0101】
内側ユニット90は、断面矩形の筒状を成しており、
図21に示すように、搬送ベルト98等を備えた内側ユニット本体部91と、長手方向の三方の側壁(上面92b、底面92c、対面壁92a)を成した略断面コの字状の内側ユニットカバー部92とを備えて構成される。
図22は内側ユニット本体部91の斜視図、
図23は内側ユニット本体部91の正面、
図24は内側ユニット本体部91の背面、
図25は内側ユニットカバー部92の斜視図、
図26は内側ユニットカバー部92の正面、
図27は内側ユニット90の内部であって内側ユニット本体部91と内側ユニットカバー部92とが対面した状態を示している。
【0102】
図21、
図22に示すように、内側ユニット本体部91は、下流側の端部を成す基部93と、この基部93から、当該内側ユニット90の長手方向の一の側壁を成すように延設され、先端が内側に屈曲した後、当該内側ユニット90の幅の約5分の2で終端した第1側壁94と、第1側壁94の先端の内側に屈曲して終端している部分を基点とし、該第1側壁94の長手方向の側壁から次第に離れるように傾斜して基部93へ至る仕切り壁95とを備えている。
【0103】
第1側壁94には、
図16、
図21、
図24等に示すように、大きな開口94aが、空気の吸い込み口として設けてある。内側ユニット90を外枠部71に挿入してセットしたとき、この開口94aが外枠部71の側壁ダクト部71Cの吸込み口75を臨むようになっている。
【0104】
内側ユニット90の内部は、仕切り壁95で2つの空間に仕切られる。仕切り壁95と内側ユニットカバー部92のうち該仕切り壁95と対面する壁面(対面壁92a)との間は、分離部80の通過口84から出てきた紙幣6を受け入れてその通路となる通路部96を成している(
図20参照)。すなわち、内側ユニット90の内部を2つに仕切る仕切り壁95は、分離部80の通過口84から出てくる紙幣6の一方の紙面と対向する壁面を成し、対面壁92aは、分離部80の通過口84から出てくる紙幣6の他方の紙面と対向する壁面を成し、これらの間が通路部96となっている。
【0105】
一方、仕切り壁95と第1側壁94との間の空間は、空気を吸いだすための空気経路109となっている(
図20、
図30参照)。
【0106】
仕切り壁95には、その上流端から下流側の基部93の直前までの間の略半分の位置より下流側の範囲に、仕切り壁95の長手方向に沿って細長い開口95aが3個、仕切り壁95の高さ方向に所定の間隔を空けて併設されている(
図22、
図23参照)。
【0107】
また、仕切り壁95の下流端の下流側近傍であって基部93の内部には、各開口95aに対応する位置に下流側プーリ97aが設けてある(
図22、
図28、
図30参照)。各開口95aの上流端近傍であって、仕切り壁95と第1側壁94との間には、一部分が開口95aから通路部96内へ露出するようにして、上流側プーリ97bが設けてある(
図21、
図22、
図30等参照)。
【0108】
各上流側プーリ97bとこれに対応する位置にある下流側プーリ97aとの間には、これらを両端にして巻回するように環状の搬送ベルト98が掛け渡されている。搬送ベルト98は、互いに上下に間隔をあけて平行に3本掛け渡されており、その3本のうちの両端の搬送ベルト98の間隔は、紙幣6の短辺(搬送方向に対して垂直方向の辺)の長さよりやや短くされている。各搬送ベルト98の往路は仕切り壁95の通路部96側を通り、復路は仕切り壁95の第1側壁94側を通るように掛け渡されており、往路側が通路部96の上流から下流へ移動するように駆動される。
【0109】
図21に示すように、上流側プーリ97bは上流側回動軸100bに、下流側プーリ97aは下流側回動軸100a(
図28参照)にそれぞれ設けられると共に、この上流側回動軸100bおよび下流側回動軸100aは、これらを一体に接続する可動フレーム99の両端に支持されている。仕切り壁95は上下の両端で第1側壁94側へ折り曲げられており、この部分に、上流側回動軸100bの両端が可動フレーム99と共に軸支されている。可動フレーム99は上流側回動軸100bを中心に揺動可能にされている。
【0110】
図28、
図29に示すように、下流側回動軸100aには、各下流側プーリ97aに併設して下流側プーリ97aと略同径の排出ローラ101が設けてある。基部93には、この排出ローラ101に対向して配置された対向排出ローラ102が設けてある。排出ローラ101と対向排出ローラ102は、搬送ベルト98によって搬送されてきた紙幣6をこれらの間に挟持して排出するための一対のローラを構成している。対向排出ローラ102は基部93に両端が支持された回動軸103に設けられている。
【0111】
可動フレーム99の下流側の端部は排出ローラ101を対向排出ローラ102に向けて押圧するようにバネ108で付勢されている。可動フレーム99が揺動することで、対向排出ローラ102を支持する回動軸103と排出ローラ101を支持する下流側回動軸100aとの軸間距離が変位可能にされている。
【0112】
対向排出ローラ102の設けられた回動軸103は基部93から下へ突出してその下端に伝達歯車104を備えている。また、下流側回動軸100aも下方に突出してその下端に伝達歯車105を備え、伝達歯車104に歯合されている。モータなどで構成された分離搬送駆動部64(
図14参照)の動力は伝達歯車104に伝達され、さらに伝達歯車105に伝えられる。これにより、対向排出ローラ102、排出ローラ101が回転し、かつ搬送ベルト98が周回駆動される。
【0113】
なお、回動軸103は内側ユニット90の基部93の上にも突出し、その上端に手回し用のハンドル106が取り付けられている。内側ユニット90内で紙幣6が詰まった場合にハンドル106を手で回すことにより、詰まっていた紙幣6が内側ユニット90の後端から排出される。内側ユニット90の後端には排出された紙幣6の進路を側方へ湾曲させる紙幣排出通路107(
図21、
図22参照)が設けてある。
【0114】
仕切り壁95の通路部96側の面には、該通路部96内へ向けて突起したリブ110が設けてある(
図22等参照)。リブ110は、仕切り壁95の上流側端部(分離部80の通過口84の近傍)から開口95a(すなわち、搬送ベルト98の掛け渡された箇所)の直前にかけて延設されている。また、リブ110は、その上流側の端部近傍で高くされた山形の形状を成している。リブ110は各搬送ベルト98に対応する位置に(リブ110の延長線上に搬送ベルト98が位置するように)設けられている。また、搬送ベルト98の中間の位置等にもあり、紙幣6の幅方向全体をカバーする範囲に等間隔で7本形成されている。
【0115】
また、内側ユニットカバー部92の対面壁92aには、仕切り壁95側のリブ110に対面して通路部96の延設方向に延びるリブ(対面リブ112)が設けてある(
図21等参照)。対面リブ112は7本のリブ110のうちの中央の5本に対面させて設けてある。対面リブ112は、内側ユニット90の上流側の端部近傍(分離部80の通過口84の近傍)から基部93の中の対向排出ローラ102の近傍まで延びており、下流に向けて次第に高くされている。分離部80の通過口84を通ってきた紙幣6は、リブ110と対面リブ112との間を通って内側ユニット90の通路部96内を下流へ進むことになる。
【0116】
図23に示すように、内側ユニット90の通路部96の長さL1は紙幣6の搬送方向の長さよりやや長くされており、通路部96の上流端(分離部80の通過口84の近傍)から搬送ベルト98に至るまでの距離L2は紙幣6の搬送方向の長さの約2分の1にされている。距離L2は増減させてもよく、紙幣6の搬送方向の長さの3分の1〜5分の4ほどの範囲にすることが好ましい。また、内側ユニット90の通路部96の長さL1を
図23に示すものよりさらに長く構成してもかまわない。
【0117】
次に、分離回収装置70の動作を説明する。
【0118】
空気流発生装置14が空気流を発生させると、その空気流は搬送管12を介して搬送管接続口72から分離回収装置70内へと流れ込み、さらに、分離部80の通過口84を通って内側ユニット90の通路部96内に入る。空気流発生装置14は空気吸込通路14bを通じて外枠部71の側壁ダクト部71Cの吸込み口75から空気を吸引している。この吸引により、通路部96内の空気は、仕切り壁95の開口95a、空気経路109、第1側壁94に設けた開口94a、吸込み口75(側壁ダクト部71C)、空気吸込通路14bを通って外部へ排出される。
【0119】
図31は、分離回収装置70での紙幣6と搬送補助体16の分離回収動作を示している。紙幣6と搬送補助体16を分離して回収する際には、空気流発生装置14によって空気流を発生させると共に、分離部80を回収位置にセットし、搬送ベルト98をその往路が下流方向へ移動するように駆動する。
【0120】
この状態で、紙幣6をその後方から押し動かしてきた搬送補助体16が搬送管12の終端近傍に到達すると、その紙幣6の先端は分離部80に入り、通過口84を通じて下流側の通路部96内へと進入する(
図31(a))。図では、腰の弱い紙幣6が搬送されてきた様子を示している。
【0121】
通路部96に入ってきた紙幣6はリブ110に当接し、該リブ110に沿って進む。そのため、通路部96内の空気が吸込み口75から吸引されていても、紙幣6の先端が仕切り壁95に張り付いてしまうことはない。
【0122】
通路部96へ入ってきた紙幣6は、リブ110の山形形状に沿って進み、対面リブ112側へと向かう(
図31(b))。紙幣6は、対面リブ112やリブ110に案内されてこれらの間をさらに下流側へ進む。
【0123】
やがて、紙幣6の先端が搬送ベルト98の存在する領域に到達すると、開口95aからの空気の吸引により紙幣6の先端部は搬送ベルト98に張り付く(
図31(c))。この際、リブ110は、搬送ベルト98に対応する位置(延長線上)に設けてあるので、紙幣6はリブ110の終端から搬送ベルト98へと円滑に移行して搬送ベルト98に張り付く。また、対面リブ112を設け、またその高さを下流ほど高くなるようにしたので、紙幣6の跳ね返りを大きくして紙幣6を搬送ベルト98側へ向かわせて、確実に搬送ベルト98に張り付かせることができる。
【0124】
その後、紙幣6は、搬送ベルト98に張り付いた状態で搬送ベルト98によって搬送される(
図32(a))。紙幣6はその先端が搬送ベルト98の下流端に到達すると、該先端が排出ローラ101と対向排出ローラ102とに挟持され、紙幣排出通路107から外部へと排出される(
図32(b))。
【0125】
一方、従来は、
図33に示すように、搬送ベルト98Bを分離部80の通過口84の近傍まで延設していたので、同図(a)に示すように、腰の弱い紙幣6の場合、通過口84から出た直後に紙幣6の先端が搬送ベルト98Bに張り付いてしまう。搬送ベルト98Bの移動速度は、空気流による搬送補助体16の移動速度より遅いので、搬送補助体16が分離部80に達して補足されるまでの間に、紙幣6の後端が搬送補助体16に押されてしまい、搬送ベルト98Bに未だ張り付いてない部分が少しずつ折れ曲る等してしまう(
図33(b)参照)。
【0126】
そして、搬送補助体16が分離部80の保持部81に到達したときには、紙幣6が押しつぶされて、紙幣詰まりが発生してしまう(
図33(c))。
【0127】
本実施の形態の分離回収装置70では、通路部96の上流部の内壁にリブ110や対面リブ112を設けてあるので、壁面への紙幣6の張り付きが防止され、紙幣6が円滑に下流へ進むので、上記のような紙幣詰まりの発生が防止される。
【0128】
図34に示すように、紙幣排出通路107を通じて内側ユニット90の後端から排出された紙幣6は、その後、金庫5内の紙幣搬送部22に到達し、紙幣搬送部22の搬送ベルト120に挟持されて紙幣収納部21へと搬送されて収容される。
【0129】
紙幣搬送部22側の搬送ベルト120による搬送速度は、分離回収装置70の内側ユニット90の排出ローラ101および対向排出ローラ102による紙幣6の排出速度より速くされている。そのため、紙幣6の先端側が一対の搬送ベルト120に挟持され、後端側が排出ローラ101と対向排出ローラ102に挟持された状態では、紙幣6が排出ローラ101と対向排出ローラ102の間から強引に引き出されるようになる。このとき、排出ローラ101と対向排出ローラ102とがあまりに強い力で紙幣6を挟持していると紙幣6が詰まってしまうことがある。
【0130】
そこで、一定以上の圧力がかかったときに、排出ローラ101と対向排出ローラ102とが離れることができるようにしてある。すなわち、
図29に示すように、排出ローラ101を、上流側が上流側回動軸100bに支持されて下流側が揺動可能な可動フレーム99の下流部に支持し、かつバネ108で可動フレーム99の下流側の端部を対向排出ローラ102に向けて押圧するように構成してある。これにより、紙幣6が排出ローラ101と対向排出ローラ102の間から強引に引き出されるような圧力が加わると、排出ローラ101と対向排出ローラ102とが僅かに離れる方向へ変位し、その圧力が逃がされて、紙幣の詰まりが防止される。
【0131】
分離回収装置70においては、紙幣6が内側ユニット90の後端から排出された後、分離部80が第1駆動部62に駆動されて排出位置に回動される。排出位置に来ると、保持していた搬送補助体16は保持部81の底面の排出口86から外枠部71の落下口74、案内通路61を通じて落下し、搬送補助体挿入装置40に受け止められて回収される。
【0132】
なお、内側ユニット90を外枠部71から挿脱可能にしているので、分離回収装置70内で紙幣6が詰まった場合に、内側ユニット90を外枠部71から抜き出して作業することができる。また、内側ユニット90を外枠部71から抜き出した状態でも、営業中であれば、紙幣6が搬送管12を通じて搬送されてくる場合があるが、外枠部71の吸込み口75に紙幣吸込み防止壁77を設けて開口を小さく区切ってあるので、たとえ紙幣6が到来しても紙幣6が吸込み口75から吸い出されることはない。
【0133】
次に搬送補助体挿入装置40について説明する。
【0134】
図35は、搬送補助体挿入装置40の分解斜視図である。搬送補助体挿入装置40は、搬送管12へ送り出す搬送補助体16の通路となる送出通路41と、送出通路41の側壁の開口に連通して設けられ、この開口から送出通路41内へ次に繰り出す搬送補助体16を待機させる空洞室状の待機部42と、搬送補助体16を保持すると共に、送出通路41の側壁の開口を通じて待機部42内と送出通路41内とを往復移動可能に支持された可動収納部43と、可動収納部43に往復移動の動力を与える第2駆動部44と、搬送管12の始端部が接続される搬送管接続口45とを有して構成される。なお、送出通路41は上送出通路41Aと下送出通路41Bとを組み合わせて構成される。
【0135】
送出通路41は、直線状の断面略矩形の通路であって、一方の端部には搬送管接続口45を介して搬送管12が接続され、他方の端部は空気流発生装置14の空気吹出通路14aが接続される吹出通路接続口46となっている。送出通路41は、通路の上面を成す上送出通路41Aと、通路の側壁および底面を成す下送出通路41Bに分けて構成される。搬送補助体挿入装置40においては、搬送管接続口45側を下流側、吹出通路接続口46側を上流側とする。
【0136】
可動収納部43は、底部を有し上部が開放された上下に延びる断面U字の半筒形状を成した保持部43aと、水平断面が「へ」の字に屈曲した支持板43b(
図37,38参照)とを有し、への字の短辺部分に保持部43aの側壁が接合されて取り付けられている。支持板43bの基端部(「へ」の字の長辺部分の終端部)には、上方へ突出して可動収納部43の回動中心となる軸突起43dと、軸突起43dと同軸上に配置されて下方に突出した軸腕部43eが設けてある。
【0137】
軸突起43dは上送出通路41Aに開設された軸穴47に挿入される。軸腕部43eは、下送出通路41Bの底面に開設された穴に挿通されて、送出通路41の下方に設けられた第2駆動部44に連結されている。第2駆動部44はソレノイドで構成されており、そのアクチュエータを進退させることで、可動収納部43が軸突起43d、軸腕部43eを中心に回動するようになっている。可動収納部43は、保持部43aが待機部42内に収まる待機位置(
図36(a)の位置)と、保持部43aが送出通路41内に移動して搬送管接続口45を臨む送出位置(
図36(b)の位置)とに回動するようになっている。
【0138】
保持部43aのU字の弧の部分は搬送補助体16の大径部16cよりやや大きい径で湾曲している。保持部43aの内壁には搬送補助体16を起立した姿勢に保持するための内側に突出したガイド片43fが設けてある。
【0139】
また、保持部43aのうちU字の湾曲部の中央付近に通風用の送風穴43gが設けてある。さらに支持板43bのうち「へ」の字の長辺部分にも通風用の送風穴43hが開設されている。
【0140】
待機部42の天井面には案内通路61の下端が連通されている。可動収納部43は
図36(a)に示す待機位置にあるとき、分離回収装置70の落下口74から案内通路61を通じて落下してきた搬送補助体16を保持部43aに受け入れて保持するようになっている。
【0141】
待機部42には、待機位置に搬送補助体16が待機しているか否かを検出する搬送補助体センサ48が設けてある。ここでは、搬送補助体センサ48として、待機位置に待機している搬送補助体16によって光が遮断され、待機位置に搬送補助体16がない場合は光が遮断されないように配置された透過型の光センサを用いている。
【0142】
待機部42の壁面には、ダクト50を接続するための開口が設けてある。ダクト50は、待機部42と分離回収装置70の拡張室73とを連通させる。ダクト50を通じて待機部42から分離回収装置70の拡張室73へと空気が流れるようになっている。
【0143】
図36(a)、
図37に示すように、可動収納部43の保持部43aが待機位置にある状態では「へ」の字に屈曲した支持板43bの長辺部分(
図37:43b(1))が送出通路41の側壁に当接した状態になり、短辺部分(
図37:43b(2))が送出通路41と待機部42とを連通させている開口を封鎖する。これにより、吹出通路接続口46からの空気流が無駄に待機部42からダクト50を通じて排出されることはなく、効率よく空気流を搬送管12へ送ることができる。また、この状態では支持板43bは送出通路41の側壁に沿って当接しているので、吹出通路接続口46からの空気流は搬送管接続口45に向かって十分に流れるようになっている。
【0144】
図36(b)、
図38に示すように、可動収納部43の保持部43aが送出位置に移動すると、可動収納部43の保持部43aに保持された搬送補助体16が丁度、送出通路41の通路内に位置するように移動される。このとき、吹出通路接続口46からの空気流は、支持板43bに設けた送風穴43h、保持部43aに設けた送風穴43gを通じて搬送管接続口45(下流側)に向かって流れる。この空気流により搬送補助体16は保持部43aから離脱して送出通路41内を進行し搬送管接続口45から搬送管12内へと送り出される。
【0145】
このように、搬送補助体挿入装置40では、可動収納部43の保持部43aに保持した状態のまま可動収納部43を回動させて搬送補助体16を待機位置から送出位置に移動させるので、安定した姿勢を維持した状態で搬送補助体16を送出通路41内に送り出すことができる。
【0146】
送出通路41のうち、送出位置の保持部43aより上流側の部分の左右の内壁には、搬送管接続口45に接続される搬送管12の拡張部33の縁部等にあるリブ35の延長上となる位置に、内側に突出するガイドレール49が設けてある。ガイドレール49は、搬送補助体16の各大径部16cを上下から挟むように、上ガイドレール49Aと、中ガイドレール49Bと、下ガイドレール49Cが首部16bや括れ部16dに対応する位置に設けてある(
図35、
図37参照)。
【0147】
このうち、中ガイドレール49Bと下ガイドレール49Cは送出通路41の下流端から送出位置にある可動収納部43(保持部43a)の直前まで延設されており、上ガイドレール49Aは、中ガイドレール49Bおよび下ガイドレール49Cに比べて上流側が短く終端されている(
図35、
図37参照)。短い方の上ガイドレール49Aの上流側であって、中ガイドレール49Bと対面する位置に姿勢補正機構51を設けてある。ここでは、姿勢補正機構51は、搬送補助体16の送出方向に沿って回転する円形回転体であり、送出通路41の側壁に設けられた軸受け穴52(
図35参照)に回転軸を挿通して回転自在に支持される。姿勢補正機構51はその最下点が上ガイドレール49Aの下面よりやや下方になるように配置される。
【0148】
送出位置に移動した可動収納部43の保持部43aから送出された搬送補助体16は、
図39(a)に示すように、若干、姿勢を崩して(この例では後傾して)送出される場合がある。中ガイドレール49Bおよび下ガイドレール49Cは搬送補助体16の大径部16cの下面に当接して搬送補助体16の下方の限界位置を規制する。搬送補助体16の上側の大径部16cの上面は、自在に回転する姿勢補正機構51に当接し、その回転に案内されながら進行する。これにより、同図(b)に示すように、搬送補助体16は次第に姿勢を正して直立した状態に補正される。正しい姿勢になった搬送補助体16は、そのまま進行して上ガイドレール49Aと中ガイドレール49Bの間、および中ガイドレール49Bと下ガイドレール49Cの間にそれぞれ大径部16cが位置規制されながら搬送管12の始端に向けて送出される。
【0149】
姿勢補正機構51は自在に回転する円形回転体なので、姿勢の崩れた搬送補助体16と接触した場合でも、搬送補助体16が引っ掛かることなく、円滑に姿勢を立て直すことができる。また姿勢補正機構51の最下点が上ガイドレール49Aの下面より若干、下方に位置するので、姿勢補正機構51を通過した後、上ガイドレール49Aの上流側端部に引っ掛かることなく搬送補助体16は円滑に各ガイドレール49A〜49Cの間に入って位置規制されながら進行することができる。
【0150】
次に、紙幣分離・搬送補助体循環装置11の動きを説明する。
【0151】
紙幣分離・搬送補助体循環装置11は、CPU、ROM、RAMなどを主要部とする制御部23に制御されて動作する。制御部23は、各遊技球貸機3に対応して設けられたいずれかの紙幣取込装置140により紙幣6が搬送管12内に取り込まれたことを、紙幣取込装置140に設けたセンサの検出信号に基づいて認識すると、搬送補助体16が搬送補助体挿入装置40の待機部42に待機しているか否かを搬送補助体センサ48の検出信号により確認する。また、分離搬送駆動部64を駆動して分離回収装置70の搬送ベルト98を稼動させる。
【0152】
搬送補助体16が待機していることが確認できたら、第2駆動部44を作動させて可動収納部43の保持部43aを送出位置に移動させる。すると、可動収納部43の保持部43aに保持されている搬送補助体16が、空気流発生装置14からの空気流に乗って送出通路41を経て搬送管12内へ送出される。
【0153】
制御部23は、その後、所定時間経過後、第2駆動部44を制御して可動収納部43の保持部43aを待機部42内の待機位置に移動させる。搬送補助体挿入装置40から送出された搬送補助体16は空気流により搬送管12内を移動し、やがて紙幣取込装置140が搬送管12内に取り込んだ紙幣6の後端に当接し、その紙幣6を後方から押し動かして搬送する。
【0154】
制御部23は、搬送補助体16が分離回収装置70の分離部80の保持部81に到達して停止したか否かを搬送補助体検出センサ63の検出信号に基づいて監視し、到達・停止が確認されたら、第1駆動部62を作動させて、分離部80の保持部81を排出位置に移動させる。
【0155】
搬送補助体16は排出位置に移動された保持部81の排出口86から、外枠部71の落下口74、案内通路61を経て下方に落下して待機部42に入り、可動収納部43の保持部43aに受け止められて保持される。制御部23は、搬送補助体16が待機部42の待機位置に待機したことを搬送補助体センサ48の出力信号で確認すると、第1駆動部62を作動させて分離部80の保持部81を回収位置に移動させる。以上で、紙幣分離・搬送補助体循環装置11による搬送補助体16の循環利用に係る1回の動作シーケンスが終了する。
【0156】
分離回収装置70で分離された紙幣6は前述したように、金庫5内の紙幣収納部21へ収納される。
【0157】
このように、紙幣分離・搬送補助体循環装置11では、1つの搬送補助体16を紙葉類搬送装置10で循環的に利用することができる。また、上記のように搬送補助体16の循環利用および紙幣6を分離して回収する動作が自動制御されて行われるので、作業負担が軽減される。
【0158】
次に、紙幣取込装置140について説明する。
【0159】
図40は紙幣取込装置140の斜視図、
図41は紙幣取込装置140とこれに接続される搬送管12を示す正面図、
図42は紙幣取込装置140の内部構造を示す断面図である。紙幣取込装置140は、両端に搬送管12が接続されて搬送路(復路12c)の一部となる筒状の通路部141と、通路部141内へ紙幣6を送り出す機構を備えた本体部143とを有する。図中の矢印Fは搬送管12および通路部141内での紙幣6の搬送方向(空気流の方向)を示している。
【0160】
図41、
図44、
図45に示すように、紙幣取込装置140の通路部141の両端に搬送管12(12c)が接続され、通路部141は搬送路(復路12c)の一部を成す。通路部141は、搬送管12の内側形状に対応した内側形状を有している。
【0161】
図42に示すように、紙幣取込装置140の本体部143は、遊技球貸機3から受け入れた紙幣6を待機させるための待機通路145と、遊技球貸機3から受け入れた紙幣6を待機通路145を通じて通路部141内に送り出すための搬送ローラ146等を備えている。紙幣取込装置140は、遊技球貸機3の背面から排出された紙幣6を受け入れる紙幣受け入れ口151を備えている。紙幣受け入れ口151は待機通路145の入口である。紙幣取込装置140は、待機通路145内に1枚の紙幣6を待機させることができる。搬送ローラ146は、図示省略のモータで駆動される。
【0162】
通路部141の壁面には、待機通路145の出口として、紙幣6を通路部141内に取り込むための挿入口144が設けてある。通路部141のうち挿入口144が設けられた壁面に対向する側の壁面をなす通路枠147はナイラッチ148等で着脱可能になっている。通路枠147は、紙幣取込装置140の通路部141内で紙幣6の詰まり等が生じた場合に対処するために取り外し可能にされている。
【0163】
また、紙幣取込装置140の待機通路145内で紙幣6の詰まり等が生じた場合に対処するために、本体部143の側壁は、
図43に示すように、開閉可能な開閉扉149となっている。開閉扉149は待機通路145の一方の通路壁を構成している。
【0164】
紙幣取込装置140の下部の一部は下方に突起しており、この部分は後述する台座部170の凹部174に嵌め込まれる座部150となっている。
【0165】
次に、補助フレーム160による搬送管12の支持について説明する。
【0166】
図44は、補助フレーム160に支持される搬送路の分解組立図であり、
図45は、
図44の各部品を組み立てた状態を示している。補助フレーム160は、細長い板状の平坦部161の幅方向両端に該平坦部161の長手方向に沿って延びる断面が上向きU字型の溝部162を備えた形状を有し、高剛性にされている。
【0167】
補助フレーム160は、適宜の長さのものを接続部材164で繋ぎ合わされて必要な長さにされる。接続部材164は補助フレーム160の平坦部161よりやや幅の狭い細長い高剛性の平板であり、長手方向の中央部はやや幅広にされた係止部164aになっている。補助フレーム160には、平坦部161の裏面側に沿って接続部材164を差し込むための隙間163aが形成されるように、補助フレーム160の幅方向の両端の溝部162から該補助フレーム160の幅方向の中央に向けて突起した突起部163が設けてある。
【0168】
繋ぎ合わせる一方の補助フレーム160の端部の隙間163aに接続部材164の一端側をその係止部164aの略半分が隙間163aに入るまで押し込み、次に、繋ぎ合わせる他方の補助フレーム160の端部の隙間163aに上記の接続部材164の他端側を係止部164aの残り半分が入って2本の補助フレーム160が隙間なく繋がるまで押し込むことで、2本の補助フレーム160が接続される。やや幅広の係止部164aを押し込むことで接続部材164が補助フレーム160の隙間163aから簡単に抜けないので強固に接続される。
【0169】
遊技機島2内には、このようにして繋ぎ合わせた補助フレーム160が遊技機島2の長手方向に沿って架け渡してあり、
図50に示すように、該補助フレーム160の端部は遊技機島2の妻板の内側に、取り付け金具166で固定される。
【0170】
補助フレーム160の上面側には、補助フレーム160の長手方向に沿って自在にスライド移動可能な台座部170が取り付けられ、台座部170は紙幣取込装置140の下部が載置されて紙幣取込装置140を下側から保持する。
【0171】
図46は台座部170の斜視図であり、
図47は台座部170の六面図である。台座部170の下部は、補助フレーム160に該補助フレーム160の上面側から跨るように下向きコの字状に形成された外嵌部171となっている。また、台座部170の下部には補助フレーム160の幅方向の両端にある溝部162の外側に沿って下方に伸びて該溝部162の下端に引っ掛けられる爪部172が設けてある。
【0172】
台座部170の上面側には、紙幣取込装置140の下部(座部150)が嵌め込まれて、紙幣取込装置140を下方から支持するための凹部174が設けてある。凹部174は、台座部170の上面から紙幣取込装置140の座部150を取り囲むように立設された壁174aで構成される。なお、紙幣取込装置140の下面には、該紙幣取込装置140のモータやセンサへの配線を接続するためのコネクタ153(
図41参照)が設けてあり、台座部170の上面には該コネクタ153および該コネクタ153への配線を逃がすための切欠部175が設けてある。
【0173】
台座部170は、補助フレーム160の上面に跨り、かつ爪部172で補助フレーム160の溝部162の下端に引っ掛けて取り付けるので、補助フレーム160の長手方向に自在にスライド移動可能でありながら、補助フレーム160から容易に外れることはない。
【0174】
図48は、フック部材180を示している。同図(a)はフック部材180の斜視図を、同図(b)は側面を示している。また
図49は補助フレーム160にフック部材180を引っ掛け、該フック部材180で搬送管12を保持した状態を示している。
【0175】
フック部材180は、補助フレーム160の溝部162に引っ掛けられる引っ掛け部181と、該引っ掛け部181から下方に伸びる腕部182とを備えている。腕部182の下部は折り曲げられて、上向きコの字状の保持部182aを成している。
図49に示すように、フック部材180は、補助フレーム160の溝部162に引っ掛け部181を引っ掛けて補助フレーム160から吊り下げられ、該吊り下げられたフック部材180の腕部182に搬送管12は抱え込むようにされて補助フレーム160の下方に保持される。
【0176】
図51は、遊技球貸機3の背面上部に取り付けられて紙幣取込装置140および補助フレーム160を保持する保持部材としての取付金具190を示している。同図(a)は取付金具190の側面を示している。また、同図(b)は取付金具190の斜視図である。取付金具190は遊技球貸機3の背面に取り付けられる縦に細長いチャンネル構造のベース部191と、ベース部191の上端部から水平に延びた上腕部192と、ベース部191の下端部から上腕部192と同方向へ水平にかつ上腕部192より長く延びた下腕部193とを備えている。
【0177】
上腕部192には、紙幣取込装置140の上部を保持するための紙幣取込装置保持金具194が上腕部192に沿って水平方向にスライドして位置調整可能に取り付けられている。また下腕部193には、補助フレーム160を保持するための補助フレーム保持金具195が下腕部193に沿って水平方向にスライドして位置調整可能に取り付けられている。
【0178】
図52(a)は、取付金具190を遊技球貸機3の背面に固定した状態を示している。同図(b)は、同図(a)に対して取付金具190に紙幣取込装置140および補助フレーム160等を取り付けた状態を示している。また、
図53は、遊技球貸機3の背面に固定した取付金具190に紙幣取込装置140および補助フレーム160等を取り付けた状態を示す斜視図である。
【0179】
取付金具190はベース部191が遊技球貸機3の背面に沿って縦になり、かつ上腕部192および下腕部193が遊技球貸機3の背面から該背面が臨む方向(遊技機島2の幅方向でもあり、補助フレーム160の幅方向である)へ突出するようにして遊技球貸機3の背面上部に取り付けられる。該取付金具190の下部の補助フレーム保持金具195で補助フレーム160を保持する。遊技球貸機3の遊技機島2の幅方向における設置位置が不揃いであっても下腕部193に対する補助フレーム保持金具195の取り付け位置を調整することで、補助フレーム160を遊技機島2の長手方向に真っ直ぐに延設することができる。
【0180】
このようにして遊技機島2の長手方向に真っ直ぐに延設された補助フレーム160の上面側に台座部170を取り付け、該台座部170の上に紙幣取込装置140を載置する。詳細には、台座部170の凹部174の中に紙幣取込装置140の座部150を嵌め込むようにして紙幣取込装置140を台座部170に載置する。次に紙幣取込装置140を台座部170ごとスライド移動させて、紙幣取込装置140の紙幣投入口と遊技球貸機3の背面の紙幣排出口とが繋がるように位置合わせし、該位置合わせした状態で紙幣取込装置140を取付金具190の上腕部192側の紙幣取込装置保持金具194で固定する。このとき上腕部192に対して紙幣取込装置保持金具194をスライド移動させて、紙幣取込装置140に対して紙幣取込装置保持金具194を位置調整して固定する。
【0181】
このように台座部170が補助フレーム160に沿ってスライド移動するので、紙幣取込装置140の紙幣投入口と遊技球貸機3の背面の紙幣排出口とが繋がるように紙幣取込装置140の位置を容易に位置合わせすることができる。また、台座部170に載置した状態で紙幣取込装置140を取付金具190の上腕部192の紙幣取込装置保持金具194に取り付ければよいので、比較的重量のある紙幣取込装置140を容易に取り付けることができる。
【0182】
また、紙幣取込装置140は、その上部が取付金具190の上腕部192側の紙幣取込装置保持金具194に保持され、下部が台座部170によって保持されて、しっかりと固定される。特に、遊技機島2内に真っ直ぐに延設された高剛性の補助フレーム160に取り付けられた台座部170で紙幣取込装置140の下部を保持するので、紙幣取込装置140の取り付け位置が補助フレーム60の幅方向に変位することが防止され、その結果、搬送管12の復路12cを、遊技機島2の長手方向に真っ直ぐ設置して維持することができる。
【0183】
より詳細には、両面島の場合、表面側の遊技球貸機3と裏面側の遊技球貸機3のそれぞれに対応して紙幣取込装置140は設けられるが、施工の都合上、
図53に示すように、遊技球貸機3の背面に取付金具190で固定されるのは一方の面に対応する紙幣取込装置140Aのみであり、他方の面に対応する紙幣取込装置140Bは、取付金具190による保持はなく、前後の搬送管12と当該紙幣取込装置140の下部の座部150が台座部170によって保持されることで支持される。
【0184】
ここで、台座部170による下方からの保持がなければ、紙幣取込装置140Bは遊技球貸機3の背面から図中の矢印K方向(遊技機島2の幅方向)に押されてしまい、搬送方向Fに対して搬送路を真っ直ぐに保持することが難しい。しかしながら、本実施の形態では、高剛性の補助フレーム160に支持された台座部170で紙幣取込装置140Bの下部を保持するので、紙幣取込装置140Bが矢印K方向に変位することが防止され、搬送路を補助フレーム160に沿って真っ直ぐに延びるように保持することができる。
【0185】
取付金具190の下腕部193側の補助フレーム保持金具195に取り付けた補助フレーム160には前述のフック部材180が取り付けられ、該フック部材180により補助フレーム160の下方に搬送管12の往路12aが保持される。このように補助フレーム160はその上面側に紙幣取込装置140を保持する役割と、下方に搬送管12の往路12aを保持する役割とを兼ねるので、効率よく搬送路を支持することができる。またフック部材180も補助フレーム160に沿ってスライド移動可能なので、取り付け位置を自由に選択でき、取り付け易い位置に設けることができる。
【0186】
また、
図54に示すように、台座部170は紙幣取込装置140の下部の座部150のみを保持し、通路枠147や開閉扉149と接触しないように構成されている。これにより、設置状態のまま、通路枠147の着脱や開閉扉149の開閉を行うことができ、紙幣取込装置140内での紙幣6の詰まりを除去するための作業を容易に行うことができる。また、紙幣取込装置140への配線やコネクタ53を座部170の切欠部175を通じて逃がすので、コネクタ153や配線が邪魔になることなく、紙幣取込装置140を台座部170の凹部174へ載置することができる。
【0187】
次に、空気流発生装置14の風量調整について説明する。
【0188】
紙葉類搬送装置10の制御部23は、空気流発生装置14が発生させる空気流の強さ(以後、空気流発生装置14の風量とする)を、搬送管12内を移動する搬送補助体16の位置に応じて調整する。これにより、搬送補助体16の破損を防止し、搬送補助体16のより安定した移動、紙幣6のより安定した搬送を提供する。
【0189】
図55は、搬送経路の各場所と風量との関係を示す図である。
図56は、搬送補助体16によって紙幣6を回収する動作の各タイミングにおける風量を示すグラフである。
【0190】
ここでは、空気流発生装置14の風量を、OFF、レベル1、レベル2、レベル3、レベル4の5段階に制御する。風量は、OFF<レベル1<レベル2<レベル3<レベル4、の関係であり、OFFは空気流発生装置14を停止させた状態である。
【0191】
図55、
図56に示すように、風量をレベル1に制御する区間Aは、往路12aとターン部12bの部分である。風量をレベル4に制御する区間Bは、ターン部12bを出てから復路12cの途中の所定箇所(この例では復路12cの約半分の所)までの部分である。風量をレベル3に制御する区間Cは、区間Bの下流側の復路12cの部分である。風量をレベル2に制御する区間Dは、搬送補助体16が分離回収装置70に到達して紙幣6と分離される部分である。
【0192】
制御部23は、空気流発生装置14の風量制御を以下のようなシーケンスで行う。
【0193】
(1)紙幣取込装置140に紙幣6が待機していないときは、空気流発生装置14を停止させる(
図56のIdleの期間)。
【0194】
(2)いずれかの紙幣取込装置140に紙幣6が待機した状態になると、制御部23は紙幣取込装置140に対して紙幣6を搬送管12の中へ送り出す指示を出すと共に、空気流発生装置14の動作を開始させ、風量をレベル1に制御する(
図56のCarry1の期間)。
【0195】
(3)搬送補助体挿入装置40は、待機部42に待機していた搬送補助体16を送出通路41へ移動させ、風で搬送補助体16を搬送管12内へ送り出す搬送補助体放出処理を行う。この搬送補助体放出処理を行っている間、制御部23は風量を上記と同じレベル1に制御する(
図56のCarry2の期間)。搬送補助体放出処理は、
図56では時刻T1に完了している。
【0196】
(4)搬送補助体16が搬送管12内に送り出されてから搬送管12の往路12aおよびターン部12bを通過するまでの間、制御部23は風量を上記と同じレベル1に制御する(
図56のT1〜T2の期間、
図55の区間A)。
【0197】
なお、T1〜T2の期間の長さ(放出後抑制時間とする)は、遊技機島2の長さ、すなわち、搬送管12の往路12aの長さに依存して異なるので、遊技機島2毎に、放出後抑制時間を設定する。制御部23は、搬送補助体16が搬送補助体挿入装置40によって搬送管12内に送り出されてから上記の設定した放出後抑制時間が経過するまで、風量をレベル1に維持する。
【0198】
風量が強い状態(たとえば、レベル4)で搬送補助体16がターン部12bの内壁等にぶつかって衝撃を受けると搬送補助体16が破損するおそれがある。そこで、少なくともターン部12bを通過するまでは風量をレベル1(弱)に制御することで、ターン部12bでの衝撃を和らげて搬送補助体16の破損を防止する。また、ターン部12bを通過するまでは、搬送補助体16は単独で移動しており、紙幣6を押し動かすことはないので、レベル1の弱い風量であっても搬送補助体16は搬送管12内を円滑に移動して、途中で詰まることはない。
【0199】
(5)搬送補助体16がターン部12bを通過した後、復路12cの終端にある分離回収装置70の所定距離手前に到達するまで、制御部23は風量をレベル4に制御する(
図56のT2〜T3、
図55の区間B)。復路12cを移動している間に搬送補助体16は紙幣6を押し動かすので、この間は風量を強くする。
【0200】
(6)搬送補助体16が分離回収装置70の所定距離手前に達したら(
図56のT3)、制御部23は風量をレベル3に下げるように制御する。分離回収装置70の所定距離手前で風量をレベル4からレベル3に下げることで、搬送補助体16を減速させ、分離回収装置70の分離部80の保持部81に到達するときの搬送補助体16の速度を低下させる。
【0201】
搬送補助体16の速度を低下させない場合には、搬送補助体16が保持部81に衝突する衝撃が大きくなり、搬送補助体16が破損するおそれがある。また、搬送補助体16に押されて紙幣6が折り畳まれてしまい、分離回収装置70内で詰まることがある。これらを防止するために、搬送補助体16が分離回収装置70の保持部81に到達するときの速度を低下させている。なお、空気流発生装置14を調整しても、風量や搬送補助体16の速度は急変しないので、搬送補助体16が分離回収装置70の保持部81に到達する所定距離手前から風量を低下させている。
【0202】
風量をレベル4からレベル3に低下させてから搬送補助体16が分離回収装置70の保持部81に到達するまでの時間を収納前抑制時間とする。収納前抑制時間は遊技機島2の長さ(復路12cの長さ)に係わらず一定である。
【0203】
搬送補助体16が搬送補助体挿入装置40によって搬送管12内に送り出されてから、分離回収装置70の保持部81の所定距離手前に到達するまでの所要時間(
図56のT1〜T3までの時間)は遊技機島2の長さ(搬送管12の長さ、すなわち、区間A+区間Bの長さ)によって異なるので、予め測定して記憶しておく。そして、制御部23は、搬送補助体16が搬送補助体挿入装置40によって搬送管12内に送り出されてから上記の所要時間が経過したとき(
図56のT3)、風量をレベル3に切り替える。
【0204】
(7)その後、搬送補助体16が分離回収装置70の保持部81に到達して保持されたら、制御部23は風量をレベル2に下げる(
図56のT4)。ここでは、搬送補助体16が搬送補助体挿入装置40によって搬送管12に押し出されてから、分離回収装置70の保持部81に到達するまでの所要時間に所定の余裕時間を加えた値を、搬送補助体検知マスク時間として設定する。搬送補助体検知マスク時間は遊技機島2の長さ(搬送管12の長さ、すなわち、区間A+区間B+区間Cの長さ)によって異なるので遊技機島2毎に設定する。
【0205】
制御部23は、搬送補助体挿入装置40によって搬送管12内に搬送補助体16を送り出した後、上記の搬送補助体検知マスク時間が経過するまでは搬送補助体検出センサ63による搬送補助体16の検知結果に対応する動作は行わず、搬送補助体検知マスク時間が経過した時点から搬送補助体検出センサ63による搬送補助体16の検知結果に対応した動作を行う。搬送補助体検知マスク時間が経過するまで搬送補助体検出センサ63による搬送補助体16の検知結果に対応する動作を制御部23が行わないのは、搬送補助体16より先に、紙幣6だけが空気流によって搬送管12内を移動することがあり、この紙幣6を搬送補助体16として搬送補助体検出センサ63が誤検知すると、その後の動作に支障をきたすからである。
【0206】
搬送補助体検知マスク時間の経過前に搬送補助体16が分離回収装置70に到達して保持部81に保持された場合、制御部23は搬送補助体検知マスク時間が経過するまで風量をレベル3に維持し、搬送補助体検知マスク時間が経過したとき、搬送補助体検出センサ63による搬送補助体16の検知に対応して、風量をレベル2に切り替える。一方、搬送補助体検知マスク時間の経過前に搬送補助体16が分離回収装置70の保持部81に保持されなかった場合(搬送補助体検出センサ63が搬送補助体16を検知しない場合)は、搬送補助体検知マスク時間が経過した時点以後の所定期間(監視期間、たとえば、5秒)に搬送補助体16が分離回収装置70の保持部81に到達するか否かを監視する。
【0207】
そして、該監視期間内に搬送補助体16が分離回収装置70の保持部81に保持されなかった(搬送補助体検出センサ63が搬送補助体16を検出しない)場合は、搬送補助体16が搬送管12内で詰まっていると判断して、一旦、空気流発生装置14を停止させて(搬送補助体16や紙幣6が空気流に押されて詰まっている場合、空気流の負荷を無くすことで詰まりを解除させるため。)から風量をレベル4(区間Bと同じ時間)にして空気流発生装置14を駆動させても搬送補助体検出センサ63が搬送補助体16を検出しない場合は、搬送補助体詰まりエラーを報知し、空気流発生装置14を停止させる。
【0208】
監視期間内に搬送補助体16が分離回収装置70の保持部81に保持された場合(搬送補助体検出センサ63が搬送補助体16を検出した場合)は、制御部23は、監視期間の終了を待たずに、風量をレベル2に切り替える。
【0209】
なお、搬送補助体16が搬送管12内に送り出されてから、該搬送補助体16が分離回収装置70の保持部81に到達して風量をレベル2に切り替えるまでの期間(T1〜T4)をCarry3とする。
【0210】
(8)分離回収装置70によって分離回収された紙幣6が内側ユニット90の後端から出て紙幣収納部22に受け渡されたら、制御部23は空気流発生装置14をOFFにする。風量をレベル2に下げてから空気流発生装置14を停止させるまでの期間をCarry4とする。なお、紙幣6が内側ユニット90の後端から出て紙幣収納部22に受け渡されたことは、紙幣搬送部22の入口に設けられている、分離回収部出口センサ122によって検出される(
図34参照)。
【0211】
次に、分離回収装置70による分離回収動作と空気流との関係について説明する。
【0212】
図57は、搬送補助体16によって紙幣6を回収する動作の各タイミングにおける風量と分離回収装置70の動作タイミングを示すグラフである。以下[a]から[d]のシーケンスで動作する。
【0213】
[a]
図57において、IdleからCarry3が終了するまでの動作は、
図56の場合と同一であり、その説明は省略する。IdleからCarry3が終了するまでの間、分離回収装置70の動作は停止している。なお、
図57では、搬送補助体検知マスク時間の経過前に搬送補助体16が分離回収装置70の保持部81に到達しているものとする。
【0214】
[b]前述の(7)で説明したように、搬送補助体16が分離回収装置70の保持部81に保持されて、分離回収装置70の搬送補助体検出センサ63が搬送補助体16を検出したら(
図57のT4)、制御部23は、空気流発生装置14の風量をレベル2に切り替える。
【0215】
また、風量をレベル2に下げる制御を開始してから所定時間(たとえば、3秒)の経過後(
図57のT5)に、分離回収装置70の内側ユニット90の分離搬送駆動部64により搬送ベルト98を駆動する。内側ユニット90内にある紙幣6は、吸込み口75から吸引される空気流の作用で搬送ベルト98に張り付き、該搬送ベルト98によって内側ユニット90の後端に向けて搬送される(
図31等参照)。なお、吸込み口75から吸引される空気流の強さは、空気流発生装置14の風量に依存している。
【0216】
風量をレベル2に下げるように空気流発生装置14を制御しても、風量が実際に低下するまでには時間差があるので、搬送補助体16が搬送補助検出センサ63により検出された後、すぐに分離搬送駆動部64によって搬送ベルト98を駆動すると、風量が減速されていない状態で搬送ベルト98に紙幣6が張り付いてしまう。風量が強いと搬送ベルト98に強く紙幣6が張り付き過ぎてしまい、その状態で搬送ベルト98によって紙幣6を搬送すると、
図33で説明した場合と同様に、内側ユニット90内で紙幣詰まりが起きることがある。
【0217】
そこで、分離回収装置70の搬送補助体検出センサ63が搬送補助体16を検出してから(T4:風量をレベル2に制御してから)、所定時間(ここでは、3秒)の経過後(
図57のT5)に搬送ベルト98の駆動を開始する。上記の所定時間待つことで、十分に風量が減速するので、搬送ベルト98に適度な強さで張り付いた紙幣6を搬送することになる。これにより、搬送ベルト98に紙幣6が強く張り付き過ぎることがなく、内側ユニット90内での紙幣詰まりを防止することができる。
【0218】
[c]前述の(8)で説明したように、分離回収装置70で分離回収された紙幣6が内側ユニット90の後端から出て紙幣収納部22に受け渡されたら、制御部23は空気流発生装置14をOFFにする(
図57のT6)。なお、T4〜T6の期間をCarry4とする。
【0219】
より詳細には、紙幣搬送部22の入口に設けられた分離回収部出口センサ122(
図34参照)が紙幣6を検知したら空気流発生装置14を停止させる。また、分離回収部出口センサ122により紙幣6が検知されてから所定時間(たとえば、2秒)の経過後(
図57のT7)に、分離回収部70の保持部81に保持されている搬送補助体16を、搬送補助体挿入装置40の待機部42へ移送する動作を開始する。
図57では、T8に、搬送補助体16が搬送補助体挿入装置40の待機部42に到達して移送が完了している。T6〜T8の期間をCarry5とする。
【0220】
分離回収部出口センサ122により紙幣6が検知されると空気流発生装置14を停止させるが、空気流発生装置14を停止させても風量は急には無くならない。そのため、空気流発生装置14を停止させて直ぐに、分離回収装置70の分離部80を保持部81が搬送管12の終端を臨む回収位置から拡張室73内に入った排出位置に回動させると、
図58に示すように、風が搬送補助体挿入装置40の待機部42から案内通路61を通じて拡張部73内の排出位置に上がってきてしまい、搬送補助体16が待機部42に落下せずに浮き上がった状態になり、搬送補助体16の詰まりが発生してしまう。
【0221】
そこで、紙幣6を分離回収部出口センサ122が検出した時点(空気流発生装置14を停止させた時点、
図57のT6)から、所定時間(ここでは、2秒)の経過後に搬送補助体16の移送動作を開始させる。これにより、風が止まった状態で、分離回収装置70の分離部80の保持部81が回収位置から排出位置に回動するので、搬送補助体16が待機部42に確実の帰還することになり、搬送補助体16の詰まりを防止することができる。
【0222】
[d]内側ユニット90の分離搬送駆動部64による搬送ベルト98の駆動は、紙幣6が、途中で詰まることなく、紙幣搬送部22から紙幣収納部21に向けて排出され終えたときに停止される(
図57のT9)。具体的には、紙幣搬送部22の分離回収部出口センサ122のほかに、紙幣搬送部22の紙幣搬送経路の途中で紙幣の詰まりを検出する紙幣搬送経路センサ、紙幣搬送部22の紙幣排出口の近傍にあって紙幣が紙幣搬送部22から排出されたことを検出する紙幣搬送出口センサなどを設けてある。制御部23は、これらのセンサによる紙幣6の検出に基づいて、途中で詰まることなく紙幣6が紙幣搬送部22から紙幣収納部21に排出されたことを確認できたとき、内側ユニット90の分離搬送駆動部64のよる搬送ベルト98の駆動を停止させる。
【0223】
なお、搬送補助体16が搬送補助体挿入装置40の待機部42に移送され終えたとき、既に、次の紙幣6が紙幣取込装置140に待機している場合があり、この場合、制御部23は、連続して次の搬送補助体16の送り出し処理に入る。そのため、次の搬送補助体16に係る動作(Carry1)に入ったときに、まだ、紙幣6が紙幣搬送部22から紙幣収納部21へ排出されてないこともあり、その場合には、内側ユニット90の分離搬送駆動部64のよる搬送ベルト98の駆動が次の搬送補助体16に係るCarr1の最初の期間まで継続される。
【0224】
その後、[a]に戻って、以上の動作が繰り返される。
【0225】
次に、搬送補助体16と搬送管12のターン部12bの材質の関係について説明する。
【0226】
ターン部12bには削れにくい材質(例えば、PC:ポリカーボネート)を使用し、搬送補助体16には削れやすい材質(例えば、ABS:アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)を使用する。
【0227】
搬送補助体16がターン部12bを通過するとき、搬送補助体16がターン部12bに当たる衝撃により搬送補助体16やターン部12bが削れる。この際、搬送補助体16よりターン部12bを削れにくい材質にすることで、ターン部12bが削れにくくなり、交換作業が大変なターン部12bの交換頻度を下げることができる。また、ターン部12bが削れにくくなれば、ターン部12bにて適切に搬送補助体16をガイドする状態を長く維持できるので、搬送補助体16の詰まりを防止することができる。なお、搬送補助体16は交換が簡単であるため、ターン部12bより削れやすい材質にしても問題ない。なお、材質は、搬送補助体16よりターン部12bのほうが削れやすい材質であればよい。
【0228】
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は実施の形態に示したものに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0229】
実施の形態では、搬送ベルト98を3本としたが、これ以外の本数でもかまわない。また、多数の空気穴を設けた搬送ベルトや網目状の搬送ベルトなど通気性を確保できるベルトを使用するならば、幅広の1本のベルトとしてもかまわない。
【0230】
実施の形態では、分離回収装置70の内側ユニット90において、通路部96の上流側の約半分にリブ110を設け、このリブ110の下流に搬送ベルト98を掛け渡すように構成したが、通路部96の上流域では紙幣6の張り付きをリブ110が阻止し、このリブ110の下流域で紙幣6が搬送ベルトに張り付くように構成されればよく、たとえば、搬送ベルト98を上流部分にも設け、この上流部分ではリブ110が搬送ベルトより上に突出する、あるいは搬送ベルトを覆うように構成してもかまわない。
【0231】
また内側ユニット90を外枠部71に対して挿脱可能に構成したが、外枠部71と内側ユニット90とを一体に構成されてもよい。
【0232】
実施の形態では、通路部96を紙幣6の搬送方向の長さより僅かに長い程度として最短となるように構成したが、通路部96をより長くしてもよい。この場合でも、通路部96の上流端(分離部80の通過口84の近傍)から搬送ベルト98に至るまでの距離L2は
図23で例示した長さ、あるいは、紙幣6の搬送方向の長さの3分の1〜5分の4ほどの範囲にすればよい。
【0233】
内側ユニット90に設けるリブ110や対面リブ112の本数は例示であり、増減されてもよい。
【0234】
実施の形態では、搬送補助体挿入装置40の上方に分離回収装置70を重ねて一体的な紙幣分離・搬送補助体循環装置11として構成したが、搬送補助体挿入装置40と分離回収装置70とを個々別体に構成してもかまわない。たとえば、分離回収装置70で回収した搬送補助体16を回収ボックスなどに収集しておき、この回収ボックスを搬送補助体挿入装置40の設置場所に運び、回収ボックスから順次搬送補助体16を搬送補助体挿入装置40の待機位置へ送り出すように構成されてもよい。
【0235】
また遊技機島2は、実施の形態で例示したパチンコ機4と遊技球貸機3を収容する構成に限定されず、メダル貸機とスロットマシン等を収容する遊技機島でもかまわない。
【0236】
実施の形態では、分離回収装置70において分離部80を回動させることで回収位置と排出位置とに変位させるようにしたが、変位の方法は回動に限定されず、当接停止させた搬送補助体16を空気流による搬送経路からその外部へ排出させることができればよい。たとえば、回収位置に停止させた搬送補助体16を保持している分離部80を側方へ直線的に移動させるなどでもよい。同様に、待機部42に待機している搬送補助体16を送出通路41へ移動させる方法は可動収納部43の保持部43aを回動させる方法に限定されず、待機部42と送出通路41内とを直線的に往復移動させる構成でもよい。
【0237】
補助フレーム160や台座部170、フック部材180の形状は実施の形態で例示したものに限定されない。それぞれの機能を果たせば他の形状であってもかまわない。
【0238】
フック部材180を補助フレーム160の一方の溝部162と他方の溝部162の双方に引っ掛けて吊り下げ、これらにより表裏の両面から搬送管12(往路12a)を保持するようにしてもよい。
【0239】
また、搬送補助体16の形状は実施の形態で示したものに限定されない。たとえば、断面矩形・多角形などの柱形状としてもよい。また、搬送補助体16をY方向中央部に対して対象な形状にしたが、Y方向に非対称な形状にされてもかまわない。
【0240】
実施の形態では、区間Aと区間B、区間Bと区間Cの境界などで風量を変化させるタイミングを搬送補助体16の放出処理完了からの経過時間で管理する例を示したが、搬送管12の適所に搬送補助体16の通過を検出する光センサなどのセンサを設け、該センサによる搬送補助体16の検出に基づいて搬送補助体16の位置を認識し、所望のタイミングで風量を制御するように構成されてもよい。
【0241】
実施の形態では紙葉類として紙幣6を例に説明したが、チケット、カードなど他の種類の紙葉類であってもかまわない。また、紙葉類の形状は長方形に限定されない。また紙葉類搬送装置10は、遊技機島2内に設置されるものに限定されず、たとえば、遊技場内の複数の遊技機島2や管理室などを巡るように構成されてもよい。管理室は遊技機等が設置されている遊技場とは区切られ、遊技機等を管理する管理装置や遊技場を監視する監視カメラからの情報を表示する監視モニタ、遊技場の玉貸機等からの玉貸しによる貨幣を収納する金庫等が設置された部屋であり、遊技場経営者や従業員等が遊技場全体を管理する。
【0242】
実施の形態では、紙葉類を1枚のみ搬送する例を
図3等に示したが、搬送管12の途中に複数枚の紙幣6が存在する状態で搬送補助体16を挿入した場合には、それら複数枚の紙幣6を一度に搬送することも可能である。たとえば、搬送管12の復路12cの途中の各紙幣取込装置140の取込完了位置にそれぞれ紙幣6が停留している状態で搬送補助体挿入装置40から搬送補助体16を送り込むと、搬送補助体16が押し動かす紙幣6の枚数が往路12aを進む途中で順に増加し、すべての紙幣6を搬送することができる。このような大きな搬送力は、搬送補助体16が搬送管12の断面をほぼ塞ぐ形状を成していること、またこれにより紙幣6の張り付き吸着が少なくなること、拡張部33の存在により空気流の作用を受ける面積が大きいことなどによって確保される。また、搬送補助体16が変形しない柱状をなしているので、羽などでは実現されない、多数枚の一括搬送を可能にしている。
【0243】
実施の形態では搬送管12の断面を略長方形としたが、円形や楕円形など他の形状にされてもよい。ただし、搬送補助体はその内縁形状に対応した形状で断面のほぼ全体を塞ぐことが好ましい。また、複数のリブを設けて、紙葉類の実質的な通路幅を狭くするとよい。