(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、キャパシタは、高温環境下において充電状態で待機したり、大電流・高頻度での充放電を繰り返したりすると、徐々に電解液の分解生成物である分解ガスが発生する。このガスはキャパシタとアルミラミネートフィルムの間に溜まることから、アルミラミネートフィルムを膨張させ、キャパシタを変形させる。尚、アルミラミネートフィルムは、例えば、金属アルミ箔をポリプロピレンおよびポリエチレンなどでラミネートしたフィルムである。
【0005】
キャパシタは、発生したガス量が許容できる体積を超えると、最終的に、アルミラミネートフィルムが破裂し、ガスを放出して故障に至るという課題があった。
【0006】
そのため、複数のキャパシタを鉄箱に収納している場合であっても、キャパシタの外装体であるアルミラミネートフィルムが膨張したときには、アルミラミネートフィルムが破裂し放圧に至る前にキャパシタの使用を取り止める必要がある。
【0007】
例えば、上記特許文献2は、キャパシタのラミネートフィルムに当該キャパシタと電気的に絶縁された状態で導電接触部と、この導電接触部から引き出されるリード線と、前記キャパシタに対して固定した位置に配置された固定導電接触部と、この固定導電接触部から引き出されるリード線とを備え、前記導電接触部と前記固定接触部を対向する状態で配置すると共に、前記キャパシタ内にガスが発生してこのガスの圧力により前記ラミネートフィルムが膨張したときには対向する前記導電接触部と前記固定導電接触部とが接触し、前記ラミネートフィルムが膨張していないときには対向する前記導電接触部と前記固定導電接触部とが離間するように前記キャパシタと前記固定導電接触部を配置し、前記導電接触部と前記固定接触部により形成される開閉接点と、電源と、出力装置により閉回路を形成し、前記出力装置は、前記閉回路に電流が流れたときに、検出信号を出力する電気二重層キャパシタの保護装置を開示している。
【0008】
しかしながら、上記特許文献2に記載の電気二重層キャパシタの保護装置は、ラミネートフィルムの膨張を電気的に検出する装置であり、電源や出力装置などを必須とする装置であることから、コストを増大したり大形化したりする課題があった。さらに、キャパシタの寿命は他の蓄電池と比較して長いことから、保護装置そのものの寿命や信頼性も周囲の湿度、腐食性ガスなどの環境によっては、キャパシタよりも寿命が短くなる課題があった。
【0009】
また、蓄電体であるリチウムイオン電池は、蓄電体セルが外装体で覆われたものであり、使用環境によっては内部でガスが発生して外装体を膨張させる可能性があることから、上述したキャパシタと同様の課題がある。
【0010】
以上のことから、本発明は、前述した問題に鑑み提案されたもので、大形化すること無く、安価で、かつ蓄電体よりも長寿命であり、外装体の膨張を容易に判別することができる蓄電体の膨張判別構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述した課題を解決する第1の発明に係る蓄電体の膨張判別構造は、
蓄電体を密封する外装体が、当該蓄電体のガス発生により膨張する現象を目視で判別する蓄電体の膨張判別構造であって、
前記外装体に所定形状のインジケータを設ける一方、前記蓄電体を収納する収納箱における前記蓄電体の前記外装体の前記インジケータに対向する箇所に窓部を設けると共に前記窓部に、同心円フレネルレンズ状またはリニアフレネルレンズ状またはレンチキュラーレンズ状または三角プリズム状のレンズのうち少なくとも一種の断面形状を有するシート状の膨張判別用レンズを設け、
前記蓄電体の前記外装体が膨張する前は、前記蓄電体の前記外装体に設けられた前記インジケータが、前記収納箱の前記窓部に設けられた前記シート状の膨張判別用レンズに対して離間し、前記蓄電体の前記外装体が膨張したときは、前記蓄電体の前記外装体に設けられた前記インジケータが、前記収納箱の前記窓部に設けられた前記シート状の膨張判別用レンズに対して密着するように、前記蓄電体を前記収納箱に配置する
ことを特徴とする。
【0012】
前述した課題を解決する第2の発明に係る蓄電体の膨張判別構造は、第1の発明に係る蓄電体の膨張判別構造であって、
前記インジケータの設置箇所は、前記外装体の側面における中央部である
ことを特徴とする。
【0013】
前述した課題を解決する第3の発明に係る蓄電体の膨張判別構造は、第1または第2の発明に係る蓄電体の膨張判別構造であって、
前記シート状の膨張判別用レンズは、同心円フレネルレンズ状またはリニアフレネルレンズ状またはレンチキュラーレンズ状または三角プリズム状のレンズが、モザイク状または幾何学模様状に配置されている
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る蓄電体の膨張判別構造によれば、シート状の膨張判別用レンズの外側から、蓄電体の外装体に設けられたインジケータを見て、その形状および大きさにより、前記蓄電体の前記外装体が膨張したかどうかを判別することができる。従来の電気二重層キャパシタの保護装置とは異なり、膨張検出回路および電源が不要であることから、大形化すること無く、安価で、かつ蓄電体よりも長寿命であり、外装体の膨張を容易に判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係る蓄電体の膨張判別構造の説明図であって、
図1(a)にその平面を示し、
図1(b)にその背面を示し、
図1(c)にその左側面を示し、
図1(d)にその正面を示す。
【
図2】本発明の一実施形態に係る蓄電体の膨張判別構造が具備する保護部材の説明図であって、
図2(a)にその平面を示し、
図2(b)にその側面を示す。
【
図3】本発明の一実施形態に係る蓄電体の膨張判別構造に適用可能な電気二重層キャパシタの斜視図である。
【
図4】本発明に係る蓄電体の膨張判別構造が具備する膨張判別用レンズの一例の説明図であって、
図4(a)にその平面を示し、
図4(b)にその縦断面をします。
【
図5】膨張判別用レンズの他例の説明図であって、
図5(a)にその平面を示し、
図5(b)にその縦断面を示します。
【
図6】膨張判別用レンズの他例の説明図であって、
図6(a)にその横断面を示し、
図6(b)にその平面を示し、
図6(c)にその縦断面を示します。
【
図7】膨張判別用レンズの他例の説明図であって、
図7(a)にその平面を示し、
図7(b)にその縦断面を示します。
【
図8】膨張判別用レンズの他例の説明図であって、
図8(a)にその平面を示し、
図8(b)にその縦断面を示します。
【
図9】膨張判別用レンズの他例の説明図であって、
図9(a)にその平面を示し、
図9(b)に
図9(a)におけるA−A断面を示します。
【
図10A】本発明に係る蓄電体の膨張判別構造に同心円状のフレネルレンズを適用し、アルミラミネートフィルムが膨張する前の状態の説明図であって、左図に断面を示し、右図に外側からインジケータを見たときの形状を示す。
【
図10B】本発明に係る蓄電体の膨張判別構造に同心円状のフレネルレンズを適用し、アルミラミネートフィルムが膨張した後の状態の説明図であって、左図に断面を示し、右図に外側からインジケータを見たときの形状を示す。
【
図11A】本発明に係る蓄電体の膨張判別構造にリニアフレネルレンズを適用し、アルミラミネートフィルムが膨張する前の状態の説明図であって、左図に断面を示し、右図に外側からインジケータを見たときの形状を示す。
【
図11B】本発明に係る蓄電体の膨張判別構造にリニアフレネルレンズを適用し、アルミラミネートフィルムが膨張した後の状態の説明図であって、左図に断面を示し、右図に外側からインジケータを見たときの形状を示す。
【
図12A】本発明に係る蓄電体の膨張判別構造にモザイク状のリニアフレネルレンズを適用し、アルミラミネートフィルムが膨張する前の状態の説明図であって、左図に断面を示し、右図に外側からインジケータを見たときの形状を示す。
【
図12B】本発明に係る蓄電体の膨張判別構造にモザイク状のリニアフレネルレンズを適用し、アルミラミネートフィルムが膨張した後の状態の説明図であって、左図に断面を示し、右図に外側からインジケータを見たときの形状を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る蓄電体の膨張判別構造の実施形態を図面に基づいて説明するが、本発明は、図面に基づいて説明する以下の実施形態のみに限定されるものではない。
【0017】
本発明に係る蓄電体の膨張判別構造の一つの実施形態を
図1〜
図3に基づいて説明する。
【0018】
本実施形態に係る蓄電体の膨張判別構造に用いるキャパシタ10は、
図3に示すように、キャパシタセル11が外装体であるアルミラミネートフィルム12で覆われて減圧封止されている。キャパシタセル11は、有機系電解液、分極性電極、セパレータなどを有している。プラス端子13およびマイナス端子14がキャパシタセル11に接続し、アルミラミネートフィルム12の外側に導出されている。
【0019】
キャパシタ10は、高温環境下において充放電状態で待機したり、大電流・高頻度での充放電を繰り返したりして使用すると、電解液からガスが発生し、このガスのガス圧が高くなると、アルミラミネートフィルム12を外側へ膨張させる。
【0020】
キャパシタ10のアルミラミネートフィルム12の表面(外側面)には、マーク(以下、インジケータと称す)15が接着剤などにより貼り付けられている。前記インジケータ15の貼り付け箇所は、キャパシタの膨張が分かる位置ならどこでも良く、例えば、キャパシタ10が膨張したときに最も膨張が顕著となるキャパシタ10のアルミラミネートフィルム12にて面積が大きい側面の中央部であると好ましい。なぜなら、インジケータ15の移動が他の箇所と比べて最も大きくなり、ラミネートフィルム12の膨張の判別をより確実に行うことができるからである。
【0021】
前記インジケータ15は、作業者が詳細につき後述する膨張判別用レンズ28越しに目視で観察したときに、アルミラミネートフィルム12の膨張の有無を容易に判別しやすい形状であって、例えば、円形、四角形、三角形などであると好ましい。前記インジケータ15の色は、アルミラミネートフィルム12や詳細につき後述する収納箱20の正面板22と異なる色であれば、作業者がインジケータ15の形状および大きさを容易に判別できるので好ましい。なお、前記インジケータ15をアルミラミネートフィルム12の表面に描画することも可能である。
【0022】
複数(図示例では8個)のキャパシタ10は、
図1に示すように、整列部材(保護部材)30とともに収納箱20に収納され、直列または並列接続されている。収納箱20は、上方が開放し、底板21、正面板22、背面板23、右側板24、左側板25で構成されている。正面板22には、キャパシタ10のアルミラミネートフィルム12に設けられたインジケータ15と対向する箇所に窓部(開口部)22aが設けられている。窓部22aには、膨張判別用レンズ28が取り付けられている。
【0023】
膨張判別用レンズ28として、例えば、
図4(a)および
図4(b)に示すような、凸レンズの一部を同心円に配置した表面形状を有する同心円状のフレネルレンズ41を用いることが可能である。
図5(a)および
図5(b)に示すような、半円柱状のシリンドリカルレンズの一部を平板状に配置した表面形状を有するリニアフレネルレンズ42を用いることも可能である。
図6(a)および
図6(b)および
図6(c)に示すような、リニアフレネルレンズの拡大方向が直交するようにモザイク状に分割して配置したモザイク状のリニアフレネルレンズ43を用いることも可能である。
図7(a)および
図7(b)に示すような、三角プリズムをリニアフレネルレンズのように配置したフレネルレンズ44を用いることも可能である。
図8(a)および
図8(b)に示すような、平面上に、半円柱のシリンドリカルレンズを複数並べた形状のレンチキュラーレンズをモザイク状に配置したレンズ45を用いることも可能である。
【0024】
すなわち、膨張判別用レンズ28は、同心円フレネルレンズ状またはリニアフレネルレンズ状またはレンチキュラーレンズ状または三角プリズム状のうち少なくとも一種の断面形状を有するシート状のレンズであることが好ましい。何故なら、アルミラミネートフィルム12の膨張により、キャパシタ10のアルミラミネートフィルム12に設けられたインジケータ15が、膨張判別用レンズ28と接触しているかどうかの判別をより確実に行うことができるからである。
【0025】
また、前記膨出判別用レンズ28として、
図9(a)および
図9(b)に示すような、リニアフレネルレンズ状や三角プリズム状などの幾何学模様を表面に施した塩化ビニル製透明シート46を用いることも可能である。この透明シート46の表面には微小な凹凸の刻みがあり、その断面はリニアフレネルレンズ状や三角プリズム状に形成されている。さらに、微小な凹凸の刻みの向きが多角形やモザイク状の幾何学模様を担っていることから、この透明シート46を透かして物を目視で観察すると、透明シート46から離れた物体の形が崩れて見え、かつ透明シート46に物体が接近し密着すると物体の形がハッキリ見えるという特徴を有する。本実施形態では、六角形と三角形からなる幾何学模様のものとしたが、同じ特徴を有し、キャパシタ10の膨張の有無を容易に判別できる形状であれば良い。
【0026】
よって、上記のインジケータ15と膨張判別用レンズ28として透明シート46を組み合わせることで、キャパシタ10が膨張する前はインジケータ15の形が崩れた状態のものが観察される。また、キャパシタ10が膨張してインジケータ15が膨張判別用レンズ28と密着したときは、インジケータ15と同じ大きさおよび形状のものが観察される。この現象は、インジケータ15の形がどのようなものであっても同じ結果となる。
【0027】
すなわち、膨張判別用レンズ28は、同心円フレネルレンズ状またはリニアフレネルレンズ状またはレンチキュラーレンズ状または三角プリズム状のレンズが、モザイク状または幾何学模様状に配置されていることが好ましい。何故なら、ラミネートフィルム12の膨張により、キャパシタ10のアルミラミネートフィルム12に設けられたインジケータ15が、膨張判別用レンズ28と接触しているかどうかの判別をより確実に且つ容易に行うことができるからである。
【0028】
整列部材30は、
図2(a)および
図2(b)に示すように、水平断面にて櫛状をなし、側板部31と、側板部31に接続する2つの保持部32および7つの仕切部33とを有する。このような形状の整列部材30により、正面板22と対向配置されるキャパシタ10と当該正面板22との間が所定の距離を有する空間1をなすと共に、背面板23と対向配置されるキャパシタ10と当該背面板23との間が所定の距離を有する空間1をなす一方、隣接するキャパシタ10の間が同じ距離を有する空間2をなすように、前記複数のキャパシタ10を整列配置している。
【0029】
前記所定の距離は、キャパシタ10の劣化により発生したガスがアルミラミネートフィルム12を膨張させ、アルミラミネートフィルム12が破裂しガスを放出する限界直前まで膨張した場合に、キャパシタ10のアルミラミネートフィルム12に設けられたインジケータ15が、膨張判別用レンズ28と接触する距離に設定される。これにより、作業者が目視で膨張判別用レンズ28越しにインジケータ15を観察したときに、ガスを放出する限界直前まで膨張した場合、膨張判別用レンズ28がインジケータ15と接触することになり、インジケータ15を、当該インジケータ15と同一の形状および大きさにてはっきりと認識される。これに対して、ガスが発生していない、またはガスの発生量が少なく未だ膨張を判別する必要が無い場合は、膨張判別用レンズ28とインジケータ15との間に空間があり、インジケータ15が、当該インジケータ15と同一の形状および大きさで見えず、当該インジケータ15と異なる形状および大きさにて認識される。したがって、作業者が目視でアルミラミネートフィルム12の膨張を判別することができる。前記整列部材30は、例えば、側板部31の厚さt1、保持部32および仕切部33の長さt2、保持部32の幅w1、仕切部33の幅w2、隣接する仕切部33,33間の距離w3、側板部31の長さL1、側板部31の高さHはそれぞれ適用するキャパシタの寸法や仕様に合わせて決定される。
【0030】
したがって、本実施形態に係る蓄電体の膨張判別構造によれば、キャパシタ10を密封する外装体であるアルミラミネートフィルム12が、当該キャパシタ10のガス発生により膨張する現象を目視で判別する蓄電体の膨張判別構造であって、キャパシタ10のアルミラミネートフィルム12にインジケータ15を設ける一方、キャパシタ10を収納する収納箱20の正面板22におけるキャパシタ10のアルミラミネートフィルム12のインジケータ15に対向する箇所に窓部22aを設けると共に窓部22aに、同心円フレネルレンズ状またはリニアフレネルレンズ状またはレンチキュラーレンズ状または三角プリズム状のうち少なくとも一種の断面形状を有する膨張判別用レンズ28を設け、キャパシタ10の外装体であるアルミラミネートフィルム12が膨張する前は、当該アルミラミネートフィルム12に設けられたインジケータ15が、収納箱20の正面板22の窓部(開口部)22aに設けられた膨張判別用レンズ28に対して離間し、当該キャパシタ10の外装体であるアルミラミネートフィルム12が膨張したときは、当該キャパシタ10のアルミラミネートフィルム12に設けられたインジケータ15が収納箱20の正面板22の窓部(開口部)22aに設けられた膨張判別用レンズ28に対して密着するように、キャパシタ10を収納箱30に配置していることで、作業者が収納箱20の外側から窓部22aを膨張判別用レンズ28越しに目視で観察し、キャパシタ10の外装体であるアルミラミネートフィルム12に設けられたインジケータ15の大きさおよび形状に基づき、キャパシタ10のアルミラミネートフィルム12が膨張したかどうかを容易に判別することができる。従来の電気二重層キャパシタの保護装置とは異なり、膨張検出回路および電源が不要であることから、大形化することなく、安価で、かつ蓄電体よりも長寿命であるといえる。
【0031】
[他の実施形態]
なお、上記では、キャパシタ10に適用した場合の蓄電体の膨張判別構造について説明したが、使用環境によっては蓄電体本体の内部でガスが発生し、発生したガスにより前記蓄電体本体が変形する可能性があり、ある変形量を超えると放圧して故障に至るものであって、例えば、キャパシタ10の代わりにリチウムイオンキャパシタ、リチウムイオン電池や二次電池などに適用した蓄電体の膨張判別構造とすることも可能である。
【0032】
上記では、シート状の膨張判別用レンズ28を収納箱20の窓部22aに設けた蓄電体の膨張判別構造を用いて説明したが、シート状より厚い板状やシート状より薄いフィルム状の膨張判別用レンズを収納箱20の窓部22aに設けた蓄電体の膨張判別構造とすることも可能である。
【0033】
上述した蓄電体の膨張判別構造を瞬低補償装置や系統電圧平準化装置(スマートグリット等)に適用することも可能である。
【0034】
上記では、作業者が、目視により、収納箱20に収納されたキャパシタ10のアルミラミネートフィルム12の膨張の有無を判別する場合について説明したが、作業者が定規等の補助手段を用い、観察されたインジケータの大きさを計測して、収納箱20に収納されたキャパシタ10のアルミラミネートフィルム12の膨張の有無を判別することもできる。この場合、目視によるときと比べて、キャパシタ10のアルミラミネートフィルム12の膨張の有無をより確実に判別することができる。
【実施例】
【0035】
本発明に係る蓄電体の膨張判別構造の作用効果を確認するために行った実施例を以下に説明するが、本発明は、各種データに基づいて説明する以下の実施例のみに限定されるものではない。
【0036】
[確認試験1]
本発明に係る蓄電体の膨張判別構造が具備する膨出判別用レンズに
図4(a)および
図4(b)に示す同心円状のフレネルレンズを適用した場合について、
図10Aおよび
図10Bを用いて説明する。
【0037】
図10Aの左図に示すように、正面板22の窓部(開口部)22aと対向配置されるキャパシタ10にガスが発生していない、またはガスの発生量が少なく未だ膨張を判別する必要が無い場合には、前記キャパシタ10のアルミラミネートフィルム12の表面に貼り付けられたインジケータ15は正面板22の窓部22aに取付けられた同心円状のフレネルレンズ41と離間している。このとき、作業者が収納箱20の外側から同心円状のフレネルレンズ41越しに窓部22aを目視で観察すると、
図10Aの右図に示すように、インジケータ15の直径を拡大した当該インジケータ15よりも大きい形状をなすマーク51aが認識される。よって、この場合には、作業者は、前記キャパシタ10を交換する必要が無いと判断することができる。
【0038】
他方、正面板22の窓部(開口部)22aに対向配置されるキャパシタ10の外装体であるアルミラミネート12が、ガスを放出する限界直前まで膨張した場合には、
図10Bの左図に示すように、前記キャパシタ10のアルミラミネートフィルム12の表面に貼り付けられたインジケータ15は、正面板22の窓部22aに取付けられた同心円状のフレネルレンズ41と密着することになる。このとき、作業者が収納箱20の外側から同心円状のフレネルレンズ41越しに窓部22aを目視で観察すると、
図10Bの右図に示すように、インジケータ15と同じ大きさおよび形状のマーク51bが認識される。よって、この場合には、作業者は、前記キャパシタ10を交換する必要があると判断することができる。
【0039】
よって、本発明に係る蓄電体の膨張判別構造が具備する膨張判別用レンズ28に同心円状のフレネルレンズ41を適用した場合であっても、キャパシタ10の外装体であるアルミラミネートフィルム12の膨張の有無を判別して当該キャパシタ10を必要に応じて交換することができる。
【0040】
また、作業者が定規等の補助手段を用いてキャパシタ10の膨張の有無を判別することもでき、この場合、作業者の目視によるときと比べて、キャパシタ10のアルミラミネートフィルム12の膨張の有無をより確実に判別することができる。
【0041】
[確認試験2]
本発明に係る蓄電体の膨張判別構造が具備する膨張判別用レンズに
図5(a)および
図5(b)に示すリニアフレネルレンズを適用した場合について、
図11Aおよび
図11Bを用いて説明する。
【0042】
図11Aの左図に示すように、正面板22の窓部(開口部)22aと対向配置されるキャパシタ10にガスが発生していない、またはガスの発生量が少なく未だ膨張を判別する必要が無い場合には、前記キャパシタ10のアルミラミネートフィルム12の表面に貼り付けられたインジケータ15は正面板22の窓部22aに取付けられたリニアフレネルレンズ42と離間している。このとき、作業者が収納箱20の外側からリニアフレネルレンズ42越しに窓部22aを目視で観察すると、
図11Aの右図に示すように、インジケータ15の縦方向だけの直径を拡大した楕円形状のマーク52aが認識される。よって、この場合には、作業者は、前記キャパシタ10を交換する必要が無いと確認試験1よりも容易に判断することができる。
【0043】
他方、正面板22の窓部(開口部)22aに対向配置されるキャパシタ10の外装体であるアルミラミネート12が、ガスを放出する限界直前まで膨張した場合には、
図11Bの左図に示すように、前記キャパシタ10のアルミラミネートフィルム12の表面に貼り付けられたインジケータ15は、正面板22の窓部22aに取付けられたリニアフレネルレンズ42と密着することになる。このとき、作業者が収納箱20の外側からリニアフレネルレンズ42越しに窓部22aを目視で観察すると、
図11Bの右図に示すように、インジケータ15と同じ大きさおよび形状のマーク52bが認識される。よって、この場合には、作業者は、前記キャパシタ10を交換する必要があると確認試験1よりも容易に判断することができる。
【0044】
よって、本発明に係る蓄電体の膨張判別構造が具備する膨張判別用レンズ28にリニアフレネルレンズ42を適用した場合であっても、キャパシタ10の外装体であるアルミラミネートフィルム12の膨張の有無を判別して当該キャパシタ10を必要に応じて交換することができる。
【0045】
[確認試験3]
本発明に係る蓄電体の膨張判別構造が具備するレンズに
図6(a)および
図6(b)および
図6(c)に示すモザイク状のリニアフレネルレンズを適用した場合について、
図12Aおよび
図12Bを用いて説明する。
【0046】
図12Aの左図に示すように、正面板22の窓部(開口部)22aと対向配置されるキャパシタ10にガスが発生していない、またはガスの発生量が少なく未だ膨張を判別する必要が無い場合には、前記キャパシタ10のアルミラミネートフィルム12の表面に貼り付けられたインジケータ15は正面板22の窓部22aに取付けられたモザイク状のリニアフレネルレンズ43と離間している。このとき、作業者が収納箱20の外側からモザイク状のリニアフレネルレンズ43越しに窓部22aを目視で観察すると、
図12Aの右図に示すように、インジケータ15が上下方向および左右方向に4分割され、分割されたそれぞれが1つの方向へのみ直径を拡大した形状、すなわち、インジケータ15と異なる形状および大きさのマーク53aが認識される。よって、この場合には、作業者は、前記キャパシタ10を交換する必要が無いと確認試験1および2よりも容易且つ確実に判断することができる。
【0047】
他方、正面板22の窓部(開口部)22aに対向配置されるキャパシタ10の外装体であるアルミラミネート12が、ガスを放出する限界直前まで膨張した場合には、
図12Bの左図に示すように、前記キャパシタ10のアルミラミネートフィルム12の表面に貼り付けられたインジケータ15は、正面板22の窓部22aに取付けられたモザイク状のリニアフレネルレンズ43と密着することになる。このとき、作業者が収納箱20の外側からモザイク状のリニアフレネルレンズ43越しに窓部22aを目視で観察すると、
図12Bの右図に示すように、インジケータ15と同じ大きさおよび形状のマーク53bが認識される。よって、この場合には、作業者は、前記キャパシタ10を交換する必要があると確認試験1および2よりも容易且つ確実に判断することができる。
【0048】
よって、本発明に係る蓄電体の膨張判別構造が具備する膨張判別用レンズ28にモザイク状のリニアフレネルレンズ43を適用した場合であっても、キャパシタ10の外装体であるアルミラミネートフィルム12の膨張の有無を判別して当該キャパシタ10を必要に応じて交換することができる。