【実施例】
【0029】
(実施例1)
ジフェニルメタン‐4,4′‐ジイソシアネート601.1gとポリテトラメチレンエテルグリコール(分子量1800)2664.5gを、窒素ガス気流中で90℃、95分間攪拌しながら反応させ、両末端にイソシアネートを有するポリウレタンプレポリマーを製造した。
【0030】
プレポリマーを室温まで冷却させた後、ジメチルアセテートアミド4811gを加えて溶解させ、ポリウレタンプレポリマー溶液を得た。
次いで、エチレンジアミン43.3gと1,2‐プロフィールジアミン13.4g、ジエチルアミン5.7gをジメチルアセテートアミド829gに溶解して9℃以下で前記プレポリマー溶液に添加してポリウレタン溶液を得た。この重合物の固形分対比添加剤として酸化防止剤であるトリエチレングリコール‐ビス‐3‐(3‐ターシャリ‐ブチル‐4‐ヒドロキシ‐5‐メチルフェニル)プロピオネートを1重量%、耐光剤として二酸化チタン2重量%を投入して紡糸原液を得た。さらに粘着増進剤のエチレンビニルアセテート重合物を0.5重量%投入して紡糸原液を用意した。
【0031】
紡糸原液を脱泡した後、乾式紡糸工程にて紡糸温度260℃以上にし、巻き取り速度を400m/分で巻き取り、56フィラメント840デニールスパンデックス繊維を製造した。
【0032】
(実施例2)
紡糸原液中に粘着増進剤としてエチレンビニルアセテート重合物を3重量%投入することを除いては、前記実施例1と同様の方法でスパンデックス繊維を製造した。
【0033】
(実施例3)
紡糸原液中に粘着増進剤として炭素が9つのハイドロカーボン系レジン重合物を0.5重量%投入することを除いては、前記実施例1と同様の方法でスパンデックス繊維を製造した。
【0034】
(実施例4)
紡糸原液中に粘着増進剤として炭素が9つのハイドロカーボン系レジン重合物を3重量%投入することを除いては、前記実施例1と同様の方法でスパンデックス繊維を製造した。
【0035】
(実施例5)
紡糸原液中に粘着増進剤として炭素が5つのハイドロカーボン系レジン重合物を0.5重量%投入することを除いては、前記実施例1と同様の方法でスパンデックス繊維を製造した。
【0036】
(実施例6)
紡糸原液中に粘着増進剤としてC5/C9ハイドロカーボン系レジン共重合体を0.5%重量%投入することを除いては、前記実施例1と同様の方法でスパンデックス繊維を製造した。
【0037】
(比較例1)
紡糸原液中に粘着増進剤としてエチレンビニルアセテート重合物を33重量%投入したことを除いては、前記実施例1と同様の方法でスパンデックス繊維を製造した。
【0038】
(比較例2)
紡糸原液中に粘着増進剤として炭素が9つのハイドロカーボン系レジン重合物を33重量%投入することを除いては、前記実施例1と同様の方法でスパンデックス繊維を製造した。
【0039】
(比較例3)
紡糸原液中に粘着増進剤として炭素が5つのハイドロカーボン系レジン重合物を33%投入したことを除いては、前記実施例1と同様の方法でスパンデックス繊維を製造した。
【0040】
(比較例4)
紡糸原液中に粘着増進剤としてC5/C9ハイドロカーボン系レジン共重合体を33重量%投入することを除いては、前記実施例1と同様の方法でスパンデックス繊維を製造した。
【0041】
(比較例5)
紡糸原液中に粘着増進剤を投入しないことを除いては、前記実施例1と同様の方法でスパンデックス繊維を製造した。
【0042】
(比較例6)
紡糸原液中に粘着増進剤を投入せずに熱可塑性ポリウレタンを投入することを除いては、前記実施例1と同様の方法でスパンデックス繊維を製造した。
【0043】
(比較例7)
紡糸原液中に粘着増進剤を投入せずにロジン化合物を投入することを除いては、前記実施例1と同様の方法でスパンデックス繊維を製造した。
<接着特性(Creep性)評価>
実施例及び比較例で収得されたスパンデックス繊維の接着特性を次のように評価した。スパンデックス繊維を用いておむつ製作後、当該サンプルを用いて以下のように評価した。
【0044】
おむつ上に繊維が投入されて、ポリプロピレン不織布とポリエチレンフィルムが接着された部分を取り出して日本国U社のCreep性評価方法で評価を実施した。
(1)スパンデックス繊維が投入された接着物部分をおむつの長さにまで最大伸長して横30cm、縦50cmのプラスチック板に固定させる。
(2)中央部を基準として両側左、右100mm(計200mm)部分を油性ペンを使用して表示する。
(3)表示された部分を鋭い刃で切ってスパンデックスが抜け出た程度を物差しを使用して測定する。
【0045】
接着特性(Greep性)(%)=[200−(抜け出た長さ)]/200*100
上記実施例1〜6及び比較例1〜7においてスパンデックス繊維の接着力を評価した結果を次表1に表示した。
【0046】
【表1】
【0047】
前記表1を参照するに、エチレンビニルアセテート重合物または炭素が9つのハイドロカーボン系レジン重合物、または炭素が5つのハイドロカーボン系レジン重合物、またはC5/C9ハイドロカーボン系レジン共重合体を投入して紡糸原液重合体を形成した場合(実施例1〜6)、当該物質を投入しないか他の物質を投入した場合(比較例5〜7)に比して接着特性(Greep性)が優れることが確認できる。
<解糸張力評価>
実施例及び比較例で収得されたスパンデックス繊維は、粘着力の他に解糸特性の均一化した程度を確認するために次のように評価した。
【0048】
評価方式は固定されたボビンホルダーから30cm離隔した位置に原糸を固定するガイドを設け、張力を測定できるセンサーと速度調節が可能なワインディング装置を設けて評価した。
この評価装置に用いられた張力測定装置は、ROTHSCHILD社の電子張力計(Electronic tension meter)を用いて測定した。最大(Max)値、最小(Min)値、平均(Ave)値,偏差(Dev.)値を次表2に表した。
【0049】
最大(Max)値と最小(Min)値の差異及び平均(Ave)値が低い水準を確保し、偏差(Dev.)値が低いほど解糸特性の均一程度が優れるといえる。
【0050】
【表2】
【0051】
前記表2を参照するに、エチレンビニルアセテート重合物、または炭素が9つのハイドロカーボン系レジン重合物、または炭素が5つのハイドロカーボン系レジン重合物、またはC5/C9ハイドロカーボン系レジン共重合体を投入して紡糸原液重合体を形成した場合(実施例1〜6)にも解糸張力には問題がなく、該当粘着増進剤を30重量%以上投入時(比較例1〜4)のように解糸張力に問題がなかったが、ロジン化合物投入時(比較例7)には解糸張力が不十分になることが確認できた。
<原糸の強度及び伸度>
自動強伸度測定装置(MEL機、Textechno社)を用いて試料長さ10cm、引張強度100cm/minにして測定した。この場合、破断時の強度と伸度値を測定した。
【0052】
スパンデックス原糸の物性管理基準は、強度0.7g/d以上、伸度は500%以上とする。
【0053】
【表3】
【0054】
前記表3を参照するに、エチレンビニルアセテート重合物、または炭素が9つのハイドロカーボン系レジン重合物、または炭素が5つのハイドロカーボン系レジン重合物、またはC5/C9ハイドロカーボン系レジン共重合体を投入して紡糸原液重合体を形成した場合(実施例1〜6)にも解糸張力には問題はなかったが、当該粘着増進剤を30%以上投入時(比較例1〜4)のようにスパンデックス原糸の基本物性である強度及び伸度の値が管理基準に達しないことが確認できた。