特許第6263802号(P6263802)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6263802ホットメルト接着剤との接着特性が向上したスパンデックス繊維及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6263802
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】ホットメルト接着剤との接着特性が向上したスパンデックス繊維及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   D01F 6/94 20060101AFI20180115BHJP
【FI】
   D01F6/94 A
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-513858(P2016-513858)
(86)(22)【出願日】2014年1月7日
(65)【公表番号】特表2016-524656(P2016-524656A)
(43)【公表日】2016年8月18日
(86)【国際出願番号】KR2014000114
(87)【国際公開番号】WO2015023032
(87)【国際公開日】20150219
【審査請求日】2015年11月13日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0095836
(32)【優先日】2013年8月13日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】515315543
【氏名又は名称】ヒョソン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】HYOSUNG CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100115679
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 勇毅
(72)【発明者】
【氏名】チョン,ヒョン キ
(72)【発明者】
【氏名】カン,ヨン ス
【審査官】 清水 晋治
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−530339(JP,A)
【文献】 特表2004−512978(JP,A)
【文献】 特開2000−072841(JP,A)
【文献】 特開昭62−104846(JP,A)
【文献】 特開2006−307409(JP,A)
【文献】 特開2001−234431(JP,A)
【文献】 特開2011−046912(JP,A)
【文献】 特開平06−346377(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D01F 1/00−6/96
9/00−9/04
Japio−GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリウレタンウレアポリマーを使用したスパンデックス繊維において、次の化学構造1を有するエチレンビニルアセテート重物を粘着増進剤として0.1重量%〜30重量%含有する、ホットメルトとの接着特性が向上したスパンデックス繊維。
(化学構造1)
【化1】
【請求項2】
ポリウレタンウレアポリマーを用いたスパンデックス繊維の製造方法において、請求項1に記載の化学構造1を有するエチレンビニルアセテート重物を粘着増進剤として0.1重量%〜30重量%を投入してなるホットメルトとの接着特性が向上したスパンデックス繊維の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホットメルト接着剤との接着特性が向上したスパンデックス繊維及びその製造方法に関する。より詳しくは、おむつの製作工程中にスパンデックス繊維とポリプロピレン不織布、またはポリエチレンフィルムとのホットメルト接着剤による改善された接着力を供しておむつの生産効率性を向上させるホットメルト接着剤との接着特性が向上したスパンデックス繊維及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の医療用スパンデックス繊維は、一般の医療用繊維に比して糸間の粘着性が大きいことから、解糸性が不良のため、カバーリング、整経及び編織作業などの後加工工程において糸切れが多く、静電気が発生して糸間の張力が不均一となる不都合がある。よって、このような問題点を改善するために重合物内に粘着防止剤を投入してその特性を向上させることが一般的であった。
【0003】
しかしながら、おむつ製作用途のスパンデックス繊維は、粘着性を低くするために投入した粘着防止剤によって生じる問題点として、おむつの製作工程中にスパンデックス繊維とポリプロピレン不織布またはポリプロピレンフィルムとのホットメルト接着剤による接着力低下(Slip)という問題が生じることによって、おむつにスパンデックス繊維がまともに接着されないことから、おむつの形態を正常に維持できないという問題点が報告されている。
【0004】
ホットメルト接着剤との接着力向上のためにスパンデックス繊維の生産時、乳剤に粘着増進剤を適用するとかポリマー内に熱可塑性ポリウレタンまたはロジン系化合物などを投入した場合もあった。ところで、乳剤に粘着増進剤を投入する場合、乳剤内に不均一な分布による糸表面への不均一な塗布による不都合があり、ポリマー内に熱可塑性ポリウレタンを適用する場合には接着力向上の効果がなく、ロジン系化合物を投入する場合にはスパンデックス繊維の解糸張力が高くなって解糸性が不十分になる問題が生じた。そのため、解糸張力に問題がなく接着特性を向上させるハイドロカーボン系レジン単量体、重合物またはその誘導体を重合物内に投入して、接着力低下の問題点を改善しようとした。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述したおむつ製作工程のうち、スパンデックス繊維とポリプロピレン不織布またはポリエチレンフィルムとのホットメルト接着剤による接着力不足という問題点を解決するためになされたものであって、おむつの製作工程中にスパンデックス繊維とポリプロピレン不織布またはポリエチレンフィルムを接着させるホットメルト接着剤との接着特性を向上させるスパンデックス繊維及びその製造方法を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の具現例によれば、ポリウレタンウレアポリマーを用いたスパンデックス繊維において、次の化学構造1を有するエチレンビニルアセテート単量体、重合物及びその誘導体を粘着増進剤として約0.1重量%〜約30重量%を含有してなるホットメルト接着剤との接着特性が向上したスパンデックス繊維であることを特徴とする。
(化学構造1)
【0007】
【化1】
【0008】
本発明によれば、ポリウレタンウレアポリマーを用いたスパンデックス繊維において、次の化学構造2から選ばれる炭素が9つのハイドロカーボン系レジン単量体、重合物及びその誘導体を粘着増進剤として約0.1重量%〜約30重量%含有してなるホットメルト接着剤との接着特性が向上したスパンデックス繊維であることを特徴とする。
(化学構造2)
【0009】
【化2】
【0010】
【化3】
【0011】
本発明によれば、ポリウレタンウレアポリマーを用いたスパンデックス繊維において、次の化学構造3から選ばれる炭素が5つのハイドロカーボン系レジン単量体、重合物及びその誘導体を粘着増進剤として約0.1重量%〜約30重量%を含有してなるホットメルト接着剤との特性が向上したスパンデックス繊維であることを特徴とする。
(化学構造3)
【0012】
【化4】
【0013】
【化5】
【0014】
【化6】
【0015】
本発明によれば、ポリウレタンウレアポリマーを用いたスパンデックス繊維において、前記化学構造2から選ばれる炭素が9つのハイドロカーボン系レジン単量体、重合物及びその誘導体と、前記化学構造3から選ばれる炭素が5つのハイドロカーボン系レジン単量体、重合物またはその誘導体を共重合したC5/C9ハイドロカーボン系レジン共重合体またはその誘導体を粘着増進剤として約0.1重量%〜約30重量%を含有してなるホットメルト接着剤との接着特性が向上したスパンデックス繊維であることを特徴とする。
【0016】
本発明の具現によれば、ポリウレタンウレアポリマーを用いてスパンデックス繊維を製造する方法において、前記化学構造1を有するエチレンビニルアセテート単量体、重合物及びその誘導体を粘着増進剤として約0.1重量%〜約30重量%を投入してなるホットメルト接着剤との接着特性が向上したスパンデックス繊維の製造方法であることを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、ポリウレタンウレアポリマーを用いてスパンデックス繊維を製造する方法において、前記化学構造2から選ばれる炭素が9つのハイドロカーボン系レジン単量体、重合物及びその誘導体を粘着増進剤として約0.1重量%〜約30重量%を投入してなるホットメルト接着剤との接着特性が向上したスパンデックス繊維の製造方法であることを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、ポリウレタンウレアポリマーを用いてスパンデックス繊維を製造する方法において、前記の化学構造3から選ばれる炭素が5つのハイドロカーボン系レジン単量体、重合物及びその誘導体を粘着増進剤として約0.1重量%〜約30重量%を投入してなるホットメルト接着剤との接着特性が向上したスパンデックス繊維の製造方法であることを特徴とする。
【0019】
本発明によれば、ポリウレタンウレアポリマーを用いてスパンデックス繊維を製造する方法において、前記化学構造2から選ばれる炭素が9つのハイドロカーボン系レジン単量体、重合物及びその誘導体と、前記化学構造3から選ばれる炭素が5つのハイドロカーボン系レジン単量体、重合物またはその誘導体を共重合したC5/C9ハイドロカーボン系レジン共重合体またはその誘導体を粘着増進剤として約0.1重量%〜約30重量%を投入してなるホットメルト接着剤との接着特性が向上したスパンデックス繊維の製造方法であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、スパンデックス繊維紡糸原液中にエチレンビニルアセテート単量体、重合物及びその誘導体、または炭素が9つのハイドロカーボン系レジン単量体、重合物及びその誘導体、または炭素が5つのハイドロカーボン系レジン単量体、重合物及びその誘導体、またはC5/C9ハイドロカーボン系レジン単量体、共重合体及びその誘導体を適用することにおいて、おむつの製作工程中にスパンデックス繊維とポリプロピレン不織布またはポリエチレンフィルムとのホットメルト接着剤による接着力を向上させるので、おむつの生産工程のうち、ホットメルト接着剤の使用量を減らしておむつの生産原価を節減させることができ、おむつの生産速度を高めても接着特性に問題が生じないことから生産性向上に寄与できる効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好ましい実施例について説明する。しかし、本発明の実施例は多様な他の形態に変形が可能であって、本発明の範囲が以下に説明する実施形態に限定されるのではない。
本発明の実施例は、当該技術分野における平均的知識を有した者に本発明をより完全に説明するために提供するものである。
【0022】
なお、この明細書全体において、ある構成要素を「含む」ということは、特別に反対となる記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素がさらに含められることを意味する。
本発明は、おむつ製作工程のうち、スパンデックス繊維とポリプロピレン不織布またはポリエチレンフィルムとのホットメルト接着剤による接着力向上を目的とする。
【0023】
本発明によれば、おむつの製作工程中にスパンデックス繊維とポリプロピレン不織布、またはポリウレタンフィルムとのホットメルト接着剤による接着力を向上させるために、前記化学構造1を有するエチレンビニルアセテート単量体、重合物及びその誘導体、または前記化学構造2を有する炭素が9つのハイドロカーボン系レジン単量体、重合物及びその誘導体、または前記化学構造3を有する炭素が5つのハイドロカーボン系レジン単量体、重合物及びその誘導体、またはC5/C9ハイドロカーボン系レジン単量体、共重合体及びその誘導体の粘着増進剤を約0.1重量%〜約30重量%を投入して接着特性を向上させることを特徴とする。
本発明によれば、この際に適用されるエチレンビニルアセテート単量体、重合物及びその誘導体、または炭素が9つのハイドロカーボン系レジン単量体、重合物及びその誘導体、または炭素が5つのハイドロカーボン系レジン単量体、重合物及びその誘導体、またはC5/C9ハイドロカーボン系レジン単量体、共重合体及びその誘導体の粘着増進剤の含量がもしも0.1重量%未満の場合には、望まれる接着特性の向上効果が確認できなくなり、逆に30重量%を超過して投入する場合には原糸生産後、スパンデックス原糸の要求物性を確保できないという問題がある。
【0024】
スパンデックス繊維は85重量%以上のウレタン結合を有する高伸縮性ポリウレタン系繊維であって、スパンデックス繊維はポリウレタン樹脂組成物である紡糸溶液をノズルを通じて押出し、溶媒を蒸発及び乾燥するために加熱気体を導入する乾式紡糸と、紡糸水浴を通過させて溶媒を溶出させながら、同時にポリマーを凝固させる湿式紡糸と、アミン鎖延長剤を含有する反応液中にイソシアネートを有するプレポリマー溶液をノズルを通じて押出させて鎖延長反応させる化学防止、またはポリウレタン樹脂組成物を加熱溶融状態でノズルを通じて押出し、冷却させる溶融紡糸を通じて製造される。
【0025】
本発明に係るスパンデックス繊維の製造方法は、ポリエテルグリコール及び芳香族ジイソシアネートを窒素雰囲気下で反応させてポリウレタンプレポリマーを製造する段階と、前記ポリウレタンプレポリマーをソルベントに溶解した後、脂肪族ジアミンを加えてポリウレタンウレア溶液を製造する段階と、を含む。さらにこの重合物の固形分対比添加剤として酸化防止剤であるトリエチレングリコール‐ビス‐3-(3- ターシャリ‐ブチル‐4- ヒドロキシ‐5−メチルフェニル)プロピオネートを約1重量%、耐光剤として二酸化チタン約2重量%を投入して最終紡糸原液を用意する。
【0026】
前記ポリエテルグリコールとしては、ポリテトラメチレンエテルグリコール、ポリプロピレングリコール、ポリカーボネートジオールなどを用いることができ、ポリエテルグリコールの分子量は1000〜3100が好ましい。ここで、分子量が1000未満であれば繊維の伸度が低いので、スパンデックス繊維としての機能が低下する問題があり、逆に3100を超過すれば結晶化度が高すぎて弾性が正常的に発現されない。
【0027】
有機ジイソシアネートとしては、ジフェニルメタン‐4-4′‐ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネート、水素化したジフェニルメタン‐4,4′‐ジイソシアネート、メチレン‐ビス(4-フェニルイソシアネート),2,4‐ トリレンジイソシアネート、メチレン‐ビス(4‐ シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、テトラメチレン‐p‐キシリレンジイソシアネート及びこれらの混合物などが用いられる。
【0028】
ジアミンは鎖延長剤として用いられ、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヒドラジン、1,4‐シクロヘキサンジアミン、水素化したm‐フェニレンジアミン(HPMD)、2‐メチルペンタメチレンジアミン(MPMD)などが用いられる。鎖延長剤はHPMD、MPMD及び/または1,2‐プロピレンジアミンと混合した1以上のエチレンジアミン、1,3‐プロピレンジアミン、及び1,4‐シクロヘキサンジアミンである。一方、モノアミンは鎖終止剤として用いられ、例えば、ジエチルアミン、モノエタノールアミン、ジメチルアミンなどがある。
以下の本発明の実施例を通じてより詳しく説明するが、本発明は単に以下の実施例によって限定されるものではない。
【実施例】
【0029】
(実施例1)
ジフェニルメタン‐4,4′‐ジイソシアネート601.1gとポリテトラメチレンエテルグリコール(分子量1800)2664.5gを、窒素ガス気流中で90℃、95分間攪拌しながら反応させ、両末端にイソシアネートを有するポリウレタンプレポリマーを製造した。
【0030】
プレポリマーを室温まで冷却させた後、ジメチルアセテートアミド4811gを加えて溶解させ、ポリウレタンプレポリマー溶液を得た。
次いで、エチレンジアミン43.3gと1,2‐プロフィールジアミン13.4g、ジエチルアミン5.7gをジメチルアセテートアミド829gに溶解して9℃以下で前記プレポリマー溶液に添加してポリウレタン溶液を得た。この重合物の固形分対比添加剤として酸化防止剤であるトリエチレングリコール‐ビス‐3‐(3‐ターシャリ‐ブチル‐4‐ヒドロキシ‐5‐メチルフェニル)プロピオネートを1重量%、耐光剤として二酸化チタン2重量%を投入して紡糸原液を得た。さらに粘着増進剤のエチレンビニルアセテート重合物を0.5重量%投入して紡糸原液を用意した。
【0031】
紡糸原液を脱泡した後、乾式紡糸工程にて紡糸温度260℃以上にし、巻き取り速度を400m/分で巻き取り、56フィラメント840デニールスパンデックス繊維を製造した。
【0032】
(実施例2)
紡糸原液中に粘着増進剤としてエチレンビニルアセテート重合物を3重量%投入することを除いては、前記実施例1と同様の方法でスパンデックス繊維を製造した。
【0033】
(実施例3)
紡糸原液中に粘着増進剤として炭素が9つのハイドロカーボン系レジン重合物を0.5重量%投入することを除いては、前記実施例1と同様の方法でスパンデックス繊維を製造した。
【0034】
(実施例4)
紡糸原液中に粘着増進剤として炭素が9つのハイドロカーボン系レジン重合物を3重量%投入することを除いては、前記実施例1と同様の方法でスパンデックス繊維を製造した。
【0035】
(実施例5)
紡糸原液中に粘着増進剤として炭素が5つのハイドロカーボン系レジン重合物を0.5重量%投入することを除いては、前記実施例1と同様の方法でスパンデックス繊維を製造した。
【0036】
(実施例6)
紡糸原液中に粘着増進剤としてC5/C9ハイドロカーボン系レジン共重合体を0.5%重量%投入することを除いては、前記実施例1と同様の方法でスパンデックス繊維を製造した。
【0037】
(比較例1)
紡糸原液中に粘着増進剤としてエチレンビニルアセテート重合物を33重量%投入したことを除いては、前記実施例1と同様の方法でスパンデックス繊維を製造した。
【0038】
(比較例2)
紡糸原液中に粘着増進剤として炭素が9つのハイドロカーボン系レジン重合物を33重量%投入することを除いては、前記実施例1と同様の方法でスパンデックス繊維を製造した。
【0039】
(比較例3)
紡糸原液中に粘着増進剤として炭素が5つのハイドロカーボン系レジン重合物を33%投入したことを除いては、前記実施例1と同様の方法でスパンデックス繊維を製造した。
【0040】
(比較例4)
紡糸原液中に粘着増進剤としてC5/C9ハイドロカーボン系レジン共重合体を33重量%投入することを除いては、前記実施例1と同様の方法でスパンデックス繊維を製造した。
【0041】
(比較例5)
紡糸原液中に粘着増進剤を投入しないことを除いては、前記実施例1と同様の方法でスパンデックス繊維を製造した。
【0042】
(比較例6)
紡糸原液中に粘着増進剤を投入せずに熱可塑性ポリウレタンを投入することを除いては、前記実施例1と同様の方法でスパンデックス繊維を製造した。
【0043】
(比較例7)
紡糸原液中に粘着増進剤を投入せずにロジン化合物を投入することを除いては、前記実施例1と同様の方法でスパンデックス繊維を製造した。
<接着特性(Creep性)評価>
実施例及び比較例で収得されたスパンデックス繊維の接着特性を次のように評価した。スパンデックス繊維を用いておむつ製作後、当該サンプルを用いて以下のように評価した。
【0044】
おむつ上に繊維が投入されて、ポリプロピレン不織布とポリエチレンフィルムが接着された部分を取り出して日本国U社のCreep性評価方法で評価を実施した。
(1)スパンデックス繊維が投入された接着物部分をおむつの長さにまで最大伸長して横30cm、縦50cmのプラスチック板に固定させる。
(2)中央部を基準として両側左、右100mm(計200mm)部分を油性ペンを使用して表示する。
(3)表示された部分を鋭い刃で切ってスパンデックスが抜け出た程度を物差しを使用して測定する。
【0045】
接着特性(Greep性)(%)=[200−(抜け出た長さ)]/200*100
上記実施例1〜6及び比較例1〜7においてスパンデックス繊維の接着力を評価した結果を次表1に表示した。
【0046】
【表1】
【0047】
前記表1を参照するに、エチレンビニルアセテート重合物または炭素が9つのハイドロカーボン系レジン重合物、または炭素が5つのハイドロカーボン系レジン重合物、またはC5/C9ハイドロカーボン系レジン共重合体を投入して紡糸原液重合体を形成した場合(実施例1〜6)、当該物質を投入しないか他の物質を投入した場合(比較例5〜7)に比して接着特性(Greep性)が優れることが確認できる。
<解糸張力評価>
実施例及び比較例で収得されたスパンデックス繊維は、粘着力の他に解糸特性の均一化した程度を確認するために次のように評価した。
【0048】
評価方式は固定されたボビンホルダーから30cm離隔した位置に原糸を固定するガイドを設け、張力を測定できるセンサーと速度調節が可能なワインディング装置を設けて評価した。
この評価装置に用いられた張力測定装置は、ROTHSCHILD社の電子張力計(Electronic tension meter)を用いて測定した。最大(Max)値、最小(Min)値、平均(Ave)値,偏差(Dev.)値を次表2に表した。
【0049】
最大(Max)値と最小(Min)値の差異及び平均(Ave)値が低い水準を確保し、偏差(Dev.)値が低いほど解糸特性の均一程度が優れるといえる。
【0050】
【表2】
【0051】
前記表2を参照するに、エチレンビニルアセテート重合物、または炭素が9つのハイドロカーボン系レジン重合物、または炭素が5つのハイドロカーボン系レジン重合物、またはC5/C9ハイドロカーボン系レジン共重合体を投入して紡糸原液重合体を形成した場合(実施例1〜6)にも解糸張力には問題がなく、該当粘着増進剤を30重量%以上投入時(比較例1〜4)のように解糸張力に問題がなかったが、ロジン化合物投入時(比較例7)には解糸張力が不十分になることが確認できた。
<原糸の強度及び伸度>
自動強伸度測定装置(MEL機、Textechno社)を用いて試料長さ10cm、引張強度100cm/minにして測定した。この場合、破断時の強度と伸度値を測定した。
【0052】
スパンデックス原糸の物性管理基準は、強度0.7g/d以上、伸度は500%以上とする。
【0053】
【表3】
【0054】
前記表3を参照するに、エチレンビニルアセテート重合物、または炭素が9つのハイドロカーボン系レジン重合物、または炭素が5つのハイドロカーボン系レジン重合物、またはC5/C9ハイドロカーボン系レジン共重合体を投入して紡糸原液重合体を形成した場合(実施例1〜6)にも解糸張力には問題はなかったが、当該粘着増進剤を30%以上投入時(比較例1〜4)のようにスパンデックス原糸の基本物性である強度及び伸度の値が管理基準に達しないことが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は接着特性が向上したスパンデックス繊維及びその製造方法に関するのであって、産業上極めて有用な発明である。