【文献】
GONG,Y. et al,Convenient synthesis of α-trifluoromethyl amines via aminofluoroalkylation of arenes with N-trimeth,Journal of Fluorine Chemistry,2002年,vol.116, no.2,p.103-107
【文献】
SHARMA,D.K. et al,Design and synthesis of novel N,N'-glycoside derivatives of 3,3'-diindolylmethanes as potential anti,Med Chem Commun,2012年,vol.3,p.1082-1091
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明の細胞死抑制剤は、下記式(1)
【0047】
[式中、R
1は、水素原子、置換基を有してもよい炭素数1〜10の炭化水素基又は置換基を有してもよい炭素数2〜10のアシル基を示す。R
2は、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基を示す。nは、0〜4の整数である。R
3は、水素原子又はメチル基を示す。R
4は、水素原子がフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を示す。]
で表される化合物、又は下記式(2)
【0049】
[式中、R
2及びnは、上記式(1)と同じである。R
5は、炭素数1〜4のフルオロアルキル基を示す。R
6は、炭素数1〜4のフルオロアルキル基、水素原子、置換基を有してもよい炭素数1〜10の炭化水素基又は置換基を有してもよい炭素数2〜10のアシル基を示す。R
7は、保護されていてもよいヒドロキシル基を示す。]
で表される化合物の少なくとも一方を有効成分として含有するものである。
【0050】
上記式(1)で表される化合物は、メチン基に対して、2つのインドリル基とR
4で示されるアルキル基が結合したものである。このような構造を有することにより、当該化合物は、高い細胞死抑制活性を有すると考えられる。
【0051】
上記式(1)において、R
1は、水素原子、置換基を有してもよい炭素数1〜10の炭化水素基又は置換基を有してもよい炭素数2〜10のアシル基を示す。上記式(1)中の2つのR
1は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0052】
R
1における炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、シクロアルキル基等が挙げられる。合成が容易である観点からは、前記炭化水素基がアルキル基又はアリール基であることが好適である。前記炭化水素基における置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アミノ基等が挙げられる。合成が容易である観点からは、前記炭化水素基の炭素数は、7以下が好適であり、4以下がより好適であり、2以下がさらに好適である。
【0053】
R
1におけるアシル基としては、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基等が挙げられる。合成が容易である観点からは、前記アシル基の炭素数は、7以下が好適であり、4以下がより好適であり、2以下がさらに好適である。前記アシル基における置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アミノ基等が挙げられる。前記アシル基がアセチル基であることが好適である。
【0054】
上記式(1)において、R
2は、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基を示す。nは、0〜4の整数であり、0又は1が好適である。インドリル基の5位にR
2が結合していることが好適である。上記式(1)中のR
2は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。上記式(1)中の2つのnは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0055】
R
2におけるハロゲン原子が、臭素原子、塩素原子又はフッ素原子であることが好適である。
【0056】
R
2におけるアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基及びtert−ブチル基が挙げられ、メチル基又はエチル基が好適である。
【0057】
R
2におけるアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基及びtert−ブトキシ基が挙げられ、メトキシ基又はエトキシ基が好適である。
【0058】
上記式(1)において、R
3は、水素原子又はメチル基を示す。R
3が水素原子であることが好適である。上記式(1)中の2つのR
3は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0059】
上記式(1)において、R
4は、水素原子がフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を示す。R
4における炭素数は、2以下が好適である。
【0060】
R
4がフルオロアルキル基であることが好適である。これにより、細胞死抑制活性がより高くなる。フルオロアルキル基の立体的効果やC−F結合の結合エネルギーが大きいことにより、上記式(1)で表される化合物の代謝に対する安定性が向上すると考えられる。このような代謝に対する安定性の向上が、細胞死抑制活性がより高くなる理由の1つであると考えられる。また、R
4がフルオロアルキル基であることにより、上記式(1)で表される化合物の脂溶性が増大する。脂溶性が増大することにより、当該化合物の吸収効率が向上したり、当該化合物の輸送効率が向上したりすると考えられる。これらの動態の改善もまた、細胞死抑制活性がより高くなる理由の1つであると考えられる。R
4がパーフルオロアルキル基であることがより好適である。
【0061】
製造コストが低減する観点からは、上記式(1)で表される化合物中の2つのインドリル基が同じであることが好適である。
【0062】
上記式(2)で表される化合物は、ベンゾオキサゾリル基とR
5で示されるフルオロアルキル基を有するものである。このような構造を有することにより、当該化合物は、優れた細胞死抑制効果を有すると考えられる。
【0063】
上記式(2)において、R
2は、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基を示す。nは、0〜4の整数であり、0又は1が好適である。上記式(2)中のR
2は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0064】
R
2におけるハロゲン原子が、臭素原子、塩素原子又はフッ素原子であることが好適である。
【0065】
R
2におけるアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基及びtert−ブチル基が挙げられ、メチル基又はエチル基が好適である。
【0066】
R
2におけるアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基及びtert−ブトキシ基が挙げられ、メトキシ基又はエトキシ基が好適である。
【0067】
上記式(2)において、R
5は、炭素数1〜4のフルオロアルキル基を示す。このようなフルオロアルキル基を有することにより、上記式(2)で表される化合物は優れた細胞死抑制活性を有する。フルオロアルキル基の立体的効果やC−F結合の結合エネルギーが大きいことにより、上記式(2)で表される化合物の代謝に対する安定性が向上すると考えられる。このような代謝に対する安定性の向上が、上記式(2)で表される化合物が優れた細胞死抑制活性を有する理由の1つであると考えられる。また、フルオロアルキル基を有することにより、上記式(2)で表される化合物の脂溶性が増大する。脂溶性が増大することにより当該化合物の吸収効率が向上したり、当該化合物の輸送効率が向上したりすると考えられる。これらの動態の改善もまた、上記式(2)で表される化合物が優れた細胞死抑制活性を有する理由の1つであると考えられる。
【0068】
R
5がパーフルオロアルキル基であることがより好適である。R
5における炭素数は、2以下が好適である。
【0069】
上記式(2)において、R
6は、炭素数1〜4のフルオロアルキル基、水素原子、置換基を有してもよい炭素数1〜10の炭化水素基又は置換基を有してもよい炭素数2〜10のアシル基を示す。
【0070】
R
6におけるフルオロアルキル基として、R
5で示されるフルオロアルキル基として上述したものが用いられる。
【0071】
R
6における炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、シクロアルキル基等が挙げられる。合成が容易である観点からは、前記炭化水素基がアルキル基又はアリール基であることが好適である。前記炭化水素基における置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アミノ基等が挙げられる。合成が容易である観点からは、前記炭化水素基の炭素数は、7以下が好適であり、4以下がより好適であり、2以下がさらに好適である。
【0072】
R
6におけるアシル基としては、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基等が挙げられる。合成が容易である観点からは、前記アシル基の炭素数は、7以下が好適であり、4以下がより好適であり、2以下がさらに好適である。前記アシル基における置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アミノ基等が挙げられる。前記アシル基がアセチル基であることが好適である。
【0073】
R
6がフルオロアルキル基であることが好適である。R
6がフルオロアルキル基であることにより、R
5の説明として上述したフルオロアルキル基による効果がさらに高まり、細胞死抑制活性がさらに高くなる。R
6がパーフルオロアルキル基であることがより好適である。R
6における炭素数は、2以下が好適である。
【0074】
上記式(2)において、R
7は、保護されていてもよいヒドロキシル基を示す。
【0075】
上記式(1)で表される化合物の製造方法は特に限定されないが、好適な製造方法として、以下の2つが挙げられる。
【0076】
第1の製造方法は、周期律表の第3族に属する金属の塩の存在下、下記式(3)
【0078】
[式中、R
1、R
2、R
3、R
4及びnは、上記式(1)と同じである。]
で表される化合物と、下記式(5)
【0080】
[式中、R
1、R
2、R
3及びnは、上記式(1)と同じである。]
で表される化合物を反応させることにより上記式(1)で表される化合物を得る方法である。当該方法は、工程数が少ないうえに、上記式(3)で表される化合物及び上記式(5)で表される化合物は安価である。したがって、上記式(1)で表される化合物の製造コストが低減する。
【0081】
上記式(5)で表される化合物は、一般的な手法により、インドールに対して、R
1、R
2又はR
3を導入することにより得ることができる。
【0082】
上記式(3)で表される化合物の製造方法は特に限定されないが、カルボン酸無水物と、上記式(5)で表される化合物を反応させることにより得ることが好適である。
【0083】
前記カルボン酸無水物として、下記式(6)
【0085】
[式中、R
4は上記式(1)と同じである。]
が用いられる。使用される溶媒として、N、N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン(THF)等が用いられる。反応温度は特に限定されないが、0〜100℃が好適である。反応生成物は、通常の分離手段、例えばカラムクロマトグラフィー又は再結晶などで精製することができる。
【0086】
上記式(3)、(5)及び(6)において、R
1、R
2、R
3、R
4及びnは、前述した細胞死抑制剤の有効成分である化合物の説明における、式(1)についての記載と同様である。
【0087】
第1の製造方法において用いられる周期律表の第3族に属する金属の塩は、触媒として機能する。当該塩を形成するアニオンとしては、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン、塩素アニオン、臭素アニオン等が挙げられる。当該塩を構成する金属としては、イッテルビウム、スカンジウム、エルビウム、ランタン、イットリウム、サマリウム、ユウロピウム、ジスプロシウム等が挙げられる。前記塩として、トリフルオロメタンスルホン酸イッテルビウム(III)、トリフルオロメタンスルホン酸スカンジウム(III)、トリフルオロメタンスルホン酸エルビウム(III)、トリフルオロメタンスルホン酸イットリウム(III)及びトリフルオロメタンスルホン酸ユウロピウム(III)が好適であり、トリフルオロメタンスルホン酸イッテルビウム(III)、トリフルオロメタンスルホン酸エルビウム(III)及びトリフルオロメタンスルホン酸イットリウム(III)がより好適であり、トリフルオロメタンスルホン酸イッテルビウム(III)及びトリフルオロメタンスルホン酸エルビウム(III)がさらに好適である。
【0088】
第1の製造方法において、周期律表の第3族に属する金属の塩の使用量は特に限定されないが、上記式(3)で表される化合物1molに対して、0.001〜0.5molが好適であり、0.01〜0.5molがより好適である。
【0089】
第1の製造方法において用いられる溶媒は特に限定されないが、トルエン、ジクロロエタン、テトラヒドロフラン等が用いられる。反応温度は特に限定されないが、0〜200℃が好適である。反応生成物は、通常の分離手段、例えばカラムクロマトグラフィー又は再結晶などで精製することができる。
【0092】
[式中、R
1、R
2、R
3、R
4及びnは、上記式(1)と同じである。]
で表される化合物に還元剤を作用させて、下記式(4)
【0094】
[式中、R
1、R
2、R
3、R
4及びnは、上記式(1)と同じである。]
で表される化合物を得た後に、周期律表の第3族に属する金属の塩の存在下、上記式(4)で表される化合物と、下記式(5)
【0096】
[式中、R
1、R
2、R
3及びnは、上記式(1)と同じである。]
で表される化合物を反応させることにより上記式(1)で表される化合物を得る方法である。当該方法もまた、安価な上記式(3)で表される化合物及び上記式(5)で表される化合物を使用するため、製造コストが低減する。
【0097】
上記式(3)で表される化合物及び上記式(5)で表される化合物は、上述した第1の製造方法において用いられるそれぞれの化合物の製造方法として記載した方法により得られる。
【0098】
上記式(3)、(4)及び(5)において、R
1、R
2、R
3、R
4及びnは、前述した細胞死抑制剤の有効成分である化合物の説明における、式(1)についての記載と同様である。
【0099】
前記還元剤は特に限定されないが、NaBH
4、NaH、Et
3SiH、Ph
2SiH
2、ポリメチルヒドロシロキサン等のヒドロシラン類等が挙げられる。前記還元剤の使用量は特に限定されないが、上記式(3)で表される化合物1molに対して、0.01〜5mol使用することが好適である。上記式(3)で表される化合物に還元剤を作用させる際に用いられる溶媒は特に限定されないが、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メタノール等が挙げられる。反応温度は特に限定されないが、−10〜100℃が好適である。反応生成物は、そのまま次の工程に供してもよいし、精製した後に次の工程に供してもよい。精製は、通常の分離手段、例えばカラムクロマトグラフィー又は再結晶などにより行うことができる。
【0100】
上記式(3)で表される化合物に還元剤を作用させて得られた上記式(4)で表される化合物と上記式(5)で表される化合物を反応させる。この反応は、周期律表の第3族に属する金属の塩の存在下で行う。当該塩は触媒として機能する。当該塩を形成するアニオンとしては、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン、塩素アニオン、臭素アニオン等が挙げられる。当該塩を構成する金属としては、イッテルビウム、スカンジウム、エルビウム、ランタン、イットリウム、サマリウム、ユウロピウム、ジスプロシウム等が挙げられる。前記塩として、トリフルオロメタンスルホン酸イッテルビウム(III)、トリフルオロメタンスルホン酸スカンジウム(III)、トリフルオロメタンスルホン酸エルビウム(III)、トリフルオロメタンスルホン酸イットリウム(III)及びトリフルオロメタンスルホン酸ユウロピウム(III)が好適であり、トリフルオロメタンスルホン酸イッテルビウム(III)、トリフルオロメタンスルホン酸スカンジウム(III)及びトリフルオロメタンスルホン酸エルビウム(III)がより好適であり、トリフルオロメタンスルホン酸イッテルビウム(III)及びトリフルオロメタンスルホン酸スカンジウム(III)がさらに好適である。当該記塩の使用量は特に限定されないが、上記式(4)で表される化合物1molに対して、0.001〜0.5molが好適であり、0.003〜0.5molがより好適である。
【0101】
上記式(4)で表される化合物と上記式(5)で表される化合物との反応に用いられる溶媒は特に限定されないが、トルエン、ジクロロエタン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。反応温度は特に限定されないが、0〜200℃が好適である。反応生成物は、通常の分離手段、例えばカラムクロマトグラフィー又は再結晶などで精製することができる。
【0102】
上記式(2)で表される化合物の製造方法は特に限定されないが、塩基の存在下、下記式(7)
【0104】
[式中、R
2、R
6及びnは、上記式(2)と同じである。]
で表される化合物と、下記式(8)
【0106】
[式中、R
5は、上記式(2)と同じである。R
8は、炭素数1〜4のアルキル基を示す。]
で表される化合物を反応させることにより得ることが好適である。
【0107】
上記式(7)で表される化合物の製造方法は特に限定されないが、カルボン酸無水物と、下記式(9)
【0109】
[式中、R
2及びnは、上記式(2)と同じである。]
で表される化合物を反応させること等により得ることができる。
【0110】
カルボン酸無水物と上記式(9)で表される化合物との反応に使用される溶媒として、N、N−ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン等が用いられる。反応温度は特に限定されないが、0〜100℃が好適である。反応生成物は、通常の分離手段、例えばカラムクロマトグラフィー又は再結晶などで精製することができる。
【0111】
上記式(8)において、R
8は、炭素数1〜4のアルキル基を示す。R
8におけるアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基又はイソプロピル基が挙げられる。
【0112】
上記式(7)〜(9)において、R
2、R
5、R
6及びnは、前述した細胞死抑制剤の有効成分である化合物の説明における、式(2)についての記載と同様である。
【0113】
上記式(7)で表される化合物と上記式(8)で表される化合物との反応に使用される塩基は、特に限定されないが、フッ化カリウム、水酸化ナトリウム、トリエチルアミン、フッ化セシウム、ナトリウムメトキシド等が挙げられる。
【0114】
前記塩基の使用量は特に限定されないが、上記式(8)で表される化合物1molに対して、0.01〜5mol使用することが好適である。使用される溶媒は特に限定されないが、トルエン、N、N−ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン等が用いられる。反応温度は特に限定されないが、0〜200℃が好適である。反応生成物は、通常の分離手段、例えばカラムクロマトグラフィー又は再結晶などで精製することができる。
【0115】
本発明の細胞死抑制剤は、上記式(1)で表される化合物又は上記式(2)で表される化合物の少なくとも一方と、薬理学的に許容される担体とを含有する製剤であってもよい。当該製剤としては、錠剤、フィルム剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、トローチ剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤等の経口剤;注射剤、外用剤、坐剤、ペレット、経鼻剤、経肺剤、点眼剤等の非経口剤等が挙げられる。
【0116】
以下、本発明の新規化合物について説明する。
【0119】
[式中、R
1は、置換基を有してもよい炭素数1〜10の炭化水素基又は置換基を有してもよい炭素数2〜10のアシル基を示す。R
2は、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基を示す。nは、0〜4の整数である。R
3は、水素原子又はメチル基を示す。R
4は、炭素数1〜4のフルオロアルキル基を示す。]
で表される化合物は新規化合物である。上述のとおり、当該化合物は細胞死抑制活性を有し、細胞死抑制活性剤等として好適に使用される。
【0120】
上記式(1)で表される化合物において、R
1は、置換基を有してもよい炭素数1〜10の炭化水素基又は置換基を有してもよい炭素数2〜10のアシル基を示す。上記式(1)中の2つのR
1は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0121】
R
1における炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、シクロアルキル基等が挙げられる。合成が容易である観点からは、前記炭化水素基がアルキル基又はアリール基であることが好適である。前記炭化水素基における置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アミノ基等が挙げられる。合成が容易である観点からは、前記炭化水素基の炭素数は、7以下が好適であり、4以下がより好適であり、2以下がさらに好適である。
【0122】
R
1におけるアシル基としては、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基等が挙げられる。合成が容易である観点からは、前記アシル基の炭素数は、7以下が好適であり、4以下がより好適であり、2以下がさらに好適である。前記アシル基における置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アミノ基等が挙げられる。前記アシル基がアセチル基であることが好適である。
【0123】
上記式(1)において、R
4がパーフルオロアルキル基であることがより好適である。R
4における炭素数は、2以下が好適である。
【0124】
上記式(1)において、R
2、R
3及びnは、前述した細胞死抑制剤の有効成分である化合物の説明における、式(1)についての記載と同様である。
【0125】
製造コストが低減する観点からは、上記式(1)で表される化合物中の2つのインドリル基が同じであることが好適である。
【0128】
[式中、R
1は、水素原子、置換基を有してもよい炭素数1〜10の炭化水素基又は置換基を有してもよい炭素数2〜10のアシル基を示す。R
2は、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基を示す。nは、1〜4の整数である。R
3は、水素原子又はメチル基を示す。R
4は、炭素数1〜4のフルオロアルキル基を示す。]
で表される化合物は新規化合物である。上述のとおり、当該化合物は細胞死抑制活性を有し、細胞死抑制活性剤等として好適に使用される。
【0129】
上記式(1)において、R
2は、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基を示す。nは、1〜4の整数であり、1が好適である。インドリル基の5位にR
2が結合していることも好適である。上記式(1)中のR
2は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。上記式(1)中の2つのnは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0130】
R
2におけるハロゲン原子が臭素原子、塩素原子又はフッ素原子であることが好適である。
【0131】
R
2におけるアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基及びtert−ブチル基が挙げられ、メチル基又はエチル基であることが好適である。
【0132】
R
2におけるアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基及びtert−ブトキシ基が挙げられ、メトキシ基又はエトキシ基であることが好適である。
【0133】
上記式(1)において、R
4がパーフルオロアルキル基であることがより好適である。R
4における炭素数は、2以下が好適である。
【0134】
上記式(1)において、R
1及びR
3は、前述した細胞死抑制剤の有効成分である化合物の説明における、式(1)についての記載と同様である。
【0135】
製造コストが低減する観点からは、上記式(1)で表される化合物中の2つのインドリル基が同じであることが好適である。
【0138】
[式中、R
1は、水素原子、置換基を有してもよい炭素数1〜10の炭化水素基又は置換基を有してもよい炭素数2〜10のアシル基を示す。R
2は、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基を示す。nは、0〜4の整数である。R
3は、水素原子又はメチル基を示す。R
4は、炭素数2〜4のフルオロアルキル基を示す。]
で表される化合物は新規化合物である。上述のとおり、当該化合物は細胞死抑制活性を有し、細胞死抑制活性剤等として好適に使用される。
【0139】
上記式(1)において、R
4は、炭素数2〜4のフルオロアルキル基を示す。R
4がパーフルオロアルキル基であることがより好適である。R
4における炭素数は、2であることが好適である。
【0140】
上記式(1)において、R
1、R
2、R
3及びnは、前述した細胞死抑制剤の有効成分である化合物の説明における、式(1)についての記載と同様である。
【0141】
製造コストが低減する観点からは、上記式(1)で表される化合物中の2つのインドリル基が同じであることが好適である。
【0143】
【化28】
[式中、R
2は、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基を示す。nは、0〜4の整数である。R
5及びR
6は、それぞれ独立に、炭素数1〜4のフルオロアルキル基を示す。R
7は、保護されていてもよいヒドロキシル基を示す。]
で表される化合物は新規化合物である。上述のとおり、当該化合物は細胞死抑制活性を有し、細胞死抑制活性剤等として好適に使用される。
【0144】
前記式(2)において、R
5及びR
6は、それぞれ独立に、炭素数1〜4のフルオロアルキル基を示す。R
5及びR
6がパーフルオロアルキル基であることがより好適である。R
5及びR
6における炭素数は、2以下が好適である。
【0145】
上記式(2)において、R
2、R
7及びnは、前述した細胞死抑制剤の有効成分である化合物の説明における、式(2)についての記載と同様である。
【0148】
[式中、R
2は、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基を示す。nは、0〜4の整数である。R
4は、炭素数1〜4のフルオロアルキル基を示す。]
で表される化合物、又は下記式(3)
【0150】
[式中、R
1は、水素原子、置換基を有してもよい炭素数1〜10の炭化水素基又は置換基を有してもよい炭素数2〜10のアシル基を示す。R
3は、水素原子又はメチル基を示す。R
2、R
4及びnは、上記式(10)と同じである。]
で表される化合物の少なくとも一方を有効成分として含有するものも細胞死抑制剤として有用である。以下、当該細胞死抑制剤について説明する。
【0151】
上記式(10)において、R
2は、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基を示す。nは、0〜4の整数であり、0又は1が好適である。上記式(10)中のR
2は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0152】
R
2におけるハロゲン原子が、臭素原子、塩素原子又はフッ素原子であることが好適である。
【0153】
R
2におけるアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基及びtert−ブチル基が挙げられ、メチル基又はエチル基が好適である。
【0154】
R
2におけるアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基及びtert−ブトキシ基が挙げられ、メトキシ基又はエトキシ基が好適である。
【0155】
上記式(10)において、R
4は、炭素数1〜4のフルオロアルキル基を示す。このようなフルオロアルキル基を有することにより、上記式(10)で表される化合物は優れた細胞死抑制活性を有する。フルオロアルキル基の立体的効果やC−F結合の結合エネルギーが大きいことにより、上記式(10)で表される化合物の代謝に対する安定性が向上すると考えられる。このような代謝に対する安定性の向上が、上記式(10)で表される化合物が優れた細胞死抑制活性を有する理由の1つであると考えられる。また、フルオロアルキル基を有することにより、上記式(10)で表される化合物の脂溶性が増大する。脂溶性が増大することにより当該化合物の吸収効率が向上したり、当該化合物の輸送効率が向上したりすると考えられる。これらの動態の改善もまた、上記式(10)で表される化合物が優れた細胞死抑制活性を有する理由の1つであると考えられる。
【0156】
R
4がパーフルオロアルキル基であることがより好適である。R
4における炭素数は、2以下が好適である。
【0157】
上記式(3)において、R
1は、水素原子、置換基を有してもよい炭素数1〜10の炭化水素基又は置換基を有してもよい炭素数2〜10のアシル基を示す。
【0158】
R
1における炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、シクロアルキル基等が挙げられる。合成が容易である観点からは、前記炭化水素基がアルキル基であることが好適である。前記炭化水素基における置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基等が挙げられる。合成が容易である観点からは、前記炭化水素基の炭素数は、7以下が好適であり、4以下がより好適であり、2以下がさらに好適である。
【0159】
R
1におけるアシル基としては、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基等が挙げられる。合成が容易である観点からは、前記アシル基の炭素数は、7以下が好適であり、4以下がより好適であり、2以下がさらに好適である。前記アシル基における置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アミノ基等が挙げられる。前記アシル基がアセチル基であることが好適である。
【0160】
上記式(3)において、R
2は、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基を示す。nは、0〜4の整数であり、0又は1が好適である。上記式(3)中のR
2は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0161】
R
2におけるハロゲン原子が、臭素原子、塩素原子又はフッ素原子であることが好適である。
【0162】
R
2におけるアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基及びtert−ブチル基が挙げられ、メチル基又はエチル基が好適である。
【0163】
R
2におけるアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基及びtert−ブトキシ基が挙げられ、メトキシ基又はエトキシ基が好適である。
【0164】
上記式(3)において、R
3は、水素原子又はメチル基を示す。R
3が水素原子であることが好適である。
【0165】
上記式(3)において、R
4は、炭素数1〜4のフルオロアルキル基を示す。このようなフルオロアルキル基を有することにより、上記式(3)で表される化合物は優れた細胞死抑制活性を有する。フルオロアルキル基の立体的効果やC−F結合の結合エネルギーが大きいことにより、上記式(3)で表される化合物の代謝に対する安定性が向上すると考えられる。このような代謝に対する安定性の向上が、上記式(3)で表される化合物が優れた細胞死抑制活性を有する理由の1つであると考えられる。また、また、フルオロアルキル基を有することにより、上記式(3)で表される化合物の脂溶性が増大する。脂溶性が増大することにより当該化合物の吸収効率が向上したり、当該化合物の輸送効率が向上したりすると考えられる。これらの動態の改善もまた、上記式(3)で表される化合物が優れた細胞死抑制活性を有する理由の1つであると考えられる。
【0166】
R
4がパーフルオロアルキル基であることがより好適である。R
4における炭素数は、2以下が好適である。
【0167】
上記式(10)で表される化合物の製造方法は特に限定されないが、フルオロカルボン酸無水物と、下記式(9)
【0169】
[式中、R
2及びnは、上記式(10)と同じである。]
で表される化合物を反応させることにより、上記式(10)で表される化合物を得る方法が好適である。
【0170】
上記式(9)で表される化合物は、一般的な手法により、ベンゾオキサゾールに対して、R
2を導入することにより得ることができる。
【0171】
前記フルオロカルボン酸無水物として、下記式(6)
【0173】
[式中、R
4は上記式(10)と同じである。]
が用いられる。
【0174】
上記式(6)及び(9)において、R
2、R
4及びnは、前述した細胞死抑制剤の有効成分である化合物の説明における、式(10)についての記載と同様である。
【0175】
フルオロカルボン酸無水物と上記式(9)で表される化合物との反応に使用される溶媒として、N、N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン(THF)等が用いられる。反応温度は特に限定されないが、0〜100℃が好適である。反応生成物は、通常の分離手段、例えばカラムクロマトグラフィー又は再結晶などで精製することができる。
【0176】
上記式(3)で表される化合物の製造方法は特に限定されないが、フルオロカルボン酸無水物と、下記式(5)
【0177】
【化33】
[式中、R
1及びR
3は、上記式(3)と同じである。R
2及びnは、上記式(10)と同じである。]
で表される化合物を反応させることにより、上記式(3)で表される化合物を得る方法が好適である。
【0178】
上記式(5)で表される化合物は、一般的な手法により、インドールに対して、R
1、R
2又はR
3を導入することにより得ることができる。
【0179】
前記フルオロカルボン酸無水物として、上記式(10)で表される化合物の製造方法において用いられるフルオロカルボン酸無水物として上述したものが用いられる。使用される溶媒として、上記式(10)で表される化合物の製造方法において用いられる溶媒として上述したものが用いられる。反応温度は特に限定されないが、0〜100℃が好適である。反応生成物は、通常の分離手段、例えばカラムクロマトグラフィー又は再結晶などで精製することができる。
【0180】
前記細胞死抑制剤は、上記式(10)で表される化合物又は上記式(3)で表される化合物の少なくとも一方と、薬理学的に許容される担体とを含有する製剤であってもよい。当該製剤としては、錠剤、フィルム剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、トローチ剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤等の経口剤;注射剤、外用剤、坐剤、ペレット、経鼻剤、経肺剤、点眼剤等の非経口剤等が挙げられる。
【実施例】
【0181】
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。
【0182】
化合物の安全性の評価
ウェルプレートにヒト子宮頸癌細胞株(HeLa)をおよそ4x10
3個/1ウェル蒔き、16時間培養した。培養液に、ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解した評価対象の化合物を加えた。このとき、培養液中の化合物の濃度が20μmol/Lとなるよう、その添加量を調整した。化合物を加えた後、3時間培養を行った。培養後の培養液の生細胞量をタカラバイオ株式会社製「Premix WST−1」を用い、取り扱い説明書の記載に従って測定した。また、対照実験として、DMSOに溶解した評価対象の化合物の代わりにDMSOのみを加えたこと以外は、上述した方法と同様にして細胞培養及び生細胞量の測定を行った。評価対象の化合物を加えずに培養した場合の生細胞量に対する当該化合物を加えてから培養した場合の生細胞量の比から安全性を評価した。
【0183】
細胞死抑制活性評価
ウェルプレートにヒト子宮頸癌細胞株(HeLa)をおよそ4x10
3個/1ウェル蒔き、16時間培養した。培養液に、DMSOに溶解した評価対象の化合物を加えた。このとき、培養液中の化合物の濃度が20μmol/Lとなるよう、その添加量を調整した。さらに培養液に過酸化水素を加えた。このとき、培養液中の過酸化水素の濃度が1mmol/Lとなるよう、その添加量を調整した。過酸化水素を加えた後、3時間培養を行った。上述した化合物の安全性の評価で採用した測定方法により培養後の培養液の生細胞量を測定した。得られた生細胞量及び後述する対照実験の結果から生細胞率を求めた。
【0184】
対照実験として、以下の2種類の実験を行った。
【0185】
DMSOに溶解した評価対象の化合物の代わりにDMSOのみを培養液に加えたこと以外は、上述した細胞死抑制活性評価方法と同様にして細胞培養及び生細胞量の測定を行った。この条件で、過酸化水素が細胞死を誘導することが知られている。生細胞率を求めるに際して、このとき得られた値を生細胞率0%とした。
【0186】
DMSOに溶解した評価対象の化合物の代わりにDMSOのみを加えたことと、過酸化水素を加えなかったこと以外は、上述した細胞死抑制活性評価方法と同様にして細胞培養及び生細胞量の測定を行った。生細胞率を求めるに際して、このとき得られた値を生細胞率100%とした。
【0187】
実施例1
化合物b(R
1=H、R
2=Br、R
3=H、R
4=C
2F
5)の合成を行った。このときの化学反応式を以下に示す。
【0188】
【化34】
【0189】
アルゴン雰囲気下、インドール(1mmol)とDMF(2ml)を2口フラスコに加えた。さらにパーフルオロカルボン酸無水物(1mmol)を前記2口フラスコに加え、室温で3時間撹拌した。反応混合物に水を加えた後、酢酸エチルで抽出した。抽出物からカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)により化合物aを単離した。このときの収率を表1に示す。
【0190】
アルゴン雰囲気下、得られた化合物a(1mmol)とインドール(1mmol)の混合物と、トルエン(2ml)とを2口フラスコに加えた。さらにトリフルオロメタンスルホン酸イッテルビウム(III)(0.1mmol)を前記2口フラスコに加え、135℃で8時間撹拌した。反応混合物からカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)により化合物bを単離した。このときの収率を表1に示す。
【0191】
得られた化合物bのデータを以下に示す。
1H NMR(300MHz、CDCl
3)δ8.22(br、1H)、7.73(s、1H)、7.22−7.33(m、3H)、5.12−5.23(t、J=17.3Hz、1H)
13C NMR(100MHz、CDCl
3)δ111.43、112.84、113.47、119.23、121.86、122.64、123.58、125.09、125.50、134.83、136.21
【0192】
得られた化合物bの安全性の評価を行った。その結果を
図1に示す。
図1の縦軸は、評価対象の化合物を加えずに培養した場合の生細胞量(対照)に対する当該化合物bを加えてから培養した場合の生細胞量の比(%)を示す。得られた化合物bの細胞死抑制活性評価を行った。その結果を
図2に示す。
図2の縦軸は、後述するN−アセチルシステイン(NAC)の細胞死抑制活性評価から求められた生細胞率(比較例2)に対する化合物bを加えた場合の生細胞率の比を示す。
【0193】
実施例2
実施例1に記載された化学反応式に示される原料を用いたこと以外は、実施例1と同様にして化合物b(実施例2:R
1=CH
3、R
2=H、R
3=H、R
4=CF
3)を合成した。化合物a及びbの収率を表1に示す。
【0194】
得られた化合物bのデータを以下に示す。
(実施例2: R
1=CH
3、R
2=H、R
3=H、R
4=CF
3)
1H NMR(300MHz、CDCl
3)δ7.56−7.59(m、2H)、7.21−7.32(m、6H)、7.08−7.12(m、4H)、5.24−5.33(q、2H)、3.76(s、6H)
13C NMR(100MHz、CDCl
3)δ32.36、38.11、38.50、38.90、39.30(q、J=40.0Hz)、108.73、109.06、118.82、119.07、121.54、125.04、127.01、127.85、128.75、136.51
【0195】
得られた化合物bの安全性の評価を行った。その結果を
図1に示す。得られた各化合物の細胞死抑制活性評価を行った。その結果を
図2に示す。
【0196】
【表1】
【0197】
実施例3〜7、比較例1
下記化学反応式に示される原料を用いたこと及び触媒として表2に示されるものを使用したこと以外は、実施例1と同様にして化合物bを合成した。このときの化学反応式を以下に示す。化合物bの収率を表2に示す。
【0198】
【化35】
【0199】
得られた化合物bのデータを以下に示す。
(R
1=H、R
2=H、R
3=H、R
4=CF
3)
1H NMR(300MHz、CDCl
3)δ8.13 (s、 1H)、7.64−7.66(m、2H)、7.42−7.45(m、2H)、7.16−7.33(m、6H)、5.35−5.44(m、6H)
13C NMR(100MHz、CDCl
3)δ39.13、39.59、39.99、40.39(q、J=39.9Hz)、111.79、119.68、120.47、122.93、124.17、127.40、136.58
【0200】
【表2】
【0201】
実施例8
Journal of the Indian Chemical Society、2009年、Vol.86(5)、p.488−490に記載された方法により、下式で示されるビス(インドール)アルカンを合成した。
【0202】
【化36】
【0203】
得られた化合物の安全性の評価を行った。その結果を
図1に示す。得られた化合物の細胞死抑制活性評価を行った。その結果を
図2に示す。
【0204】
実施例9
化合物b(R
1=H、R
2=Br、R
3=H、R
4=C
2F
5)の合成を行った。このときの化学反応式を以下に示す。
【0205】
【化37】
【0206】
実施例1と同様にして、化合物aを得た。アルゴン雰囲気下、得られた化合物a(1mmol)、NaBH
4(1.5mmol)及びテトラヒドロフラン(5ml)を反応器に加えた後、室温で3時間撹拌した。反応混合物に水を加えた後、酢酸エチルで抽出し、化合物cを得た。このときの収率を表3に示す。
【0207】
アルゴン雰囲気下、化合物c(1mmol)、インドール(1mmol)、トリフルオロメタンスルホン酸イッテルビウム(III)(0.1mmol)及びトルエン(1mL)を反応器に加えた後、80℃で3時間撹拌した。反応混合物からカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)により化合物bを単離した。このときの収率を表3に示す。
【0208】
実施例10
実施例9に記載された化学反応式に示される原料を用いたこと以外は、実施例9と同様にして化合物b(R
1=CH
3、R
2=H、R
3=H、R
4=CF
3)を合成した。化合物c及びbの収率を表3に示す。
【0209】
【表3】
【0210】
実施例11〜15
原料及び反応時間を下記化学反応式に示されるとおりに変更したこと、触媒として表4に示されるものを使用したこと以外は、実施例9と同様にして化合物bを合成した。このときの化学反応式を以下に示す。化合物bの収率を表4に示す。
【0211】
【化38】
【0212】
【表4】
【0213】
実施例16〜24
反応時間、並びに触媒の種類及び添加量を下記化学反応式に示されるとおりに変更したこと、原料を表5に示されるものを使用したこと以外は、実施例9と同様にして化合物bを合成した。このときの化学反応式を以下に示す。化合物bの収率を表5に示す。
【0214】
【化39】
【0215】
【表5】
【0216】
実施例18で得られた化合物bのデータを以下に示す。
1H NMR(300MHz、CDCl
3)δ8.17(s、2H)、7.71(s、2H)、7.31−7.35(m、2H)7.21−7.26(m、4H)、5.16−5.25(m、1H)
13C NMR(100MHz、CDCl
3)δ39.21、39.60、39.61、40.02(q、J=1.7Hz)、110.15、113.40、113.86、122.14、125.41、125.95、128.82、135.25
【0217】
実施例19で得られた化合物bのデータを以下に示す。
1H NMR(300MHz、CDCl
3)δ7.95−8.05(m、1H)、7.75(d、J=7.92Hz、1H)、7.16−7.42(m、8H)、7.01−7.04(m、1H)、5.37−5.46(m、1H)、3.93−4.01(m、3H)
13C NMR(100MHz、CDCl
3)δ38.29、38.67、38.70、39.10(q、J=2.8Hz、)、55.56、100.79、111.04、111.76、111.97、118.70、119.53、122.00、123.27、124.27、126.40、126.90、130.85、135.65、153.78
【0218】
実施例20で得られた化合物bのデータを以下に示す。
1H NMR(300MHz、CDCl
3)δ7.72−7.87(m、3H)、7.53(d、J=7.92Hz、1H)、7.17−7.29(m、3H)7.01−7.13(m、4H)、5.16−5.25(m、1H)
13C NMR(100MHz、CDCl
3)δ38.70、39.10、39.50、39.89(q、J=39.9Hz)、111.52、112.92、113.35、119.12、120.09、121.67、122.59、123.63、125.16、125.36、126.65、128.52、134.72、136.10
【0219】
実施例21で得られた化合物bのデータを以下に示す。
1H NMR(300MHz、CDCl
3)δ7.86(br、1H)、7.59−7.63(m、2H)、7.20−7.32(m、5H)、7.05−7.18(m、5H)、5.29−7.38(m、1H)、3.66−3.68(m、4H)
13C NMR(100MHz、CDCl
3)δ32.81、38.62、39.01、39.41、39.81(q、J=39.8Hz)、109.56、111.37、119.15、119.25、119.53、119.95、121.98、122.41、123.62、125.41、126.87、127.43、128.45、136.06、136.96
【0220】
実施例22で得られた化合物bのデータを以下に示す。
1H NMR(300MHz、CDCl
3)δ8.17(s、2H)、7.79(s、2H)、7.23−7.29(m、5H)、7.13−7.16(m、2H)、5.26(dd、 J=34.8Hz、1H)
13C NMR(100MHz、CDCl
3)δ111.83,119.37、119.39,122.88,124.41,124.43,127.42,126.38
【0221】
実施例23で得られた化合物bのデータを以下に示す。
1H NMR(300MHz、CDCl
3)δ8.22(br、1H)、7.72(s、1H)、7.27−7.32(m、3H)、5.10−5.22(t、J=17.3Hz、1H)
13C NMR(100MHz、CDCl
3)δ111.43、112.84、113.47、119.23、121.86、122.64、123.58、125.09、125.50、134.83、136.21
【0222】
実施例24で得られた化合物bのデータを以下に示す。
1H NMR(300MHz、CDCl
3)δ7.74−7.77(m、2H)、7.32−7.40(m、5H)、7.20−7.30(m、4H)、5.42(q、2H)、3.86(s、6H)
【0223】
実施例25
化合物eの合成を行った。このときの化学反応式を以下に示す。
【0224】
【化40】
【0225】
アルゴン雰囲気下、ベンゾオキサゾール(1mmol)とDMF(2ml)を2口フラスコに加えた。さらにトリフルオロ酢酸無水物(1mmol)を前記2口フラスコに加え、室温で3時間撹拌した。反応混合物に水を加えた後、酢酸エチルで抽出した。抽出物からカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)により化合物dを単離した。このときの収率は58%であった。
【0226】
アルゴン雰囲気下、KF(0.2mmol)、得られた化合物d(0.2mmol)及びDMF(0.5ml)をねじ蓋式試験管に加えた。さらに、(トリフルオロメチル)トリメチルシラン(0.3mmol)を加え、100℃で3時間撹拌した後、塩酸を加えて後処理した。反応液中の有機物を酢酸エチルで抽出し、エバポレーターで濃縮後,カラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で化合物eを単離した。このときの収率は87%であった。
【0227】
得られた化合物eのデータを以下に示す。
1H NMR(300MHz、CDCl
3)δ7.86−7.87(m、1H)、7.67−7.71(m、1H)、7.46−7.56(m、2H)、5.90(s、1H)
【0228】
得られた化合物eの安全性の評価を行った。その結果を
図1に示す。得られた化合物eの細胞死抑制活性評価を行った。その結果を
図2に示す。
【0229】
比較例2
培養液中のNACの濃度が1mmol/Lとなるよう、その添加量を調整したこと以外は上述した安全性の評価方法と同様にしてNACの安全性を評価した。その結果を
図1に示す。培養液中のNACの濃度が1mmol/Lとなるよう、その添加量を調整したこと以外は、上述した細胞死抑制活性評価方法と同様にして、NACの細胞死抑制活性評価を行った。その結果を
図2及び4に示す。
図2及び4において、このとき得られた生細胞率を1とした。
【0230】
比較例3
下記式で示される化合物(市販品)の細胞死抑制活性評価を行った。その結果を
図2に示す。
【0231】
【化41】
【0232】
参考例1
実施例25と同様にして化合物dの合成を行った。このときの化学反応式を以下に示す。
【0233】
【化42】
【0234】
得られた化合物dのデータを以下に示す。
1H NMR(300MHz、CDCl
3)δ8.27(d、J=1.98、1H)、7.13−7.18(m、2H)、7.01−7.04(m、1H)、6.87−6.93(m、1H)
【0235】
得られた化合物dの安全性の評価を行った。その結果を
図3に示す。
図3の縦軸は、評価対象の化合物を加えずに培養した場合の生細胞量(対照)に対する当該化合物を加えてから培養した場合の生細胞量の比(%)を示す。得られた化合物dの細胞死抑制活性評価を行った。その結果を
図4に示す。
図4の縦軸は、NACの細胞死抑制活性評価から求められた生細胞率(比較例2)に対する化合物dを加えた場合の生細胞率の比を示す。
【0236】
参考例2
化合物a(R
1=H、R
2=H、R
3=H、R
4=CF
3)の合成を行った。このときの化学反応式を以下に示す。アルゴン雰囲気下、インドール(1mmol)とDMF(2ml)を2口フラスコに加えた。さらにパーフルオロカルボン酸無水物(1mmol)を前記2口フラスコに加え、室温で3時間撹拌した。反応混合物に水を加えた後、酢酸エチルで抽出した。抽出物からカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)により化合物bを単離した。このときの収率は90%であった。
【0237】
【化43】
【0238】
得られた化合物aのデータを以下に示す。
1H NMR(300MHz、CDCl
3)δ8.41−8.44(m、1H)、8.08−8.09(m、1H)、7.47−7.51(m、1H)、7.37−7.40(m、2H)
【0239】
得られた化合物aの安全性の評価を行った。その結果を
図3に示す。得られた化合物aの細胞死抑制活性評価を行った。その結果を
図4に示す。
【0240】
参考例3〜7
表6に示される原料を用いたこと以外は、参考例2と同様にして化合物aを合成した。このときの収率を表6に示す。
【0241】
得られた化合物aのデータを以下に示す。
(参考例3: R
1=CH
3、R
2=H、R
3=H、R
4=C
2F
5)
1H NMR(300MHz、CDCl
3)δ8.41−8.49(m、1H)、7.95−7.96(m、1H)、7.38−7.41(m、3H)、3.92(s、2H)
【0242】
(参考例4: R
1=H、R
2=H、R
3=H、R
4=C
2F
5)
1H NMR(300MHz、CDCl
3)δ9.06(br、1H)、8.42−8.46(m、1H)、7.99−8.14(m、1H)、7.46−7.51(m、1H)、7.26−7.40(m、2H)
【0243】
(参考例5: R
1=CH
3、R
2=H、R
3=H、R
4=CF
3)
1H NMR(300MHz、CDCl
3)δ8.31−8.35(m、1H)、7.83(s、1H)、7.31−7.33(m、3H)、3.83(s、3H)
【0244】
(参考例6: R
1=H、R
2=Br、R
3=H、R
4=CF
3)
1H NMR(300MHz、CDCl
3)δ8.58−8.59(m、1H)、8.05−8.07(m、1H)、7.46−7.50(m、1H)、7.20−7.37(m、5H)
【0245】
(参考例7: R
1=H、R
2=Br、R
3=H、R
4=C
2F
5)
1H NMR(300MHz、CDCl
3)δ9.06(br、1H)、8.42−8.46(m、1H)、8.11−8.14(m、1H)、7.46−7.51(m、1H)、7.26−7.39(m、2H)
【0246】
参考例3及び4において得られた化合物aの安全性の評価を行った。その結果を
図3に示す。参考例3及び4において得られた化合物aの細胞死抑制活性評価を行った。その結果を
図4に示す。
【0247】
【表6】
【0248】
図2に示されるとおり、本発明の細胞死抑制剤(実施例1、2、8及び25)は、NACと比較して使用量(1/50)が遥かに少なかったが、優れた細胞死抑制活性を示した。