特許第6263820号(P6263820)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社東洋新薬の特許一覧

<>
  • 特許6263820-飲食用組成物 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6263820
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】飲食用組成物
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/18 20160101AFI20180115BHJP
   A23L 33/10 20160101ALI20180115BHJP
【FI】
   A23L33/18
   A23L33/10
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-168923(P2017-168923)
(22)【出願日】2017年9月1日
【審査請求日】2017年9月13日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】398028503
【氏名又は名称】株式会社東洋新薬
(72)【発明者】
【氏名】高橋 宏哉
(72)【発明者】
【氏名】高垣 欣也
【審査官】 飯室 里美
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−276909(JP,A)
【文献】 特開平09−009871(JP,A)
【文献】 特開2007−089572(JP,A)
【文献】 特開2002−173442(JP,A)
【文献】 特開2008−120754(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/038497(WO,A1)
【文献】 特開2012−223145(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/019498(WO,A1)
【文献】 Mintel GNPD [online], 2007, 記録番号:796505
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)イミダゾールジペプチドと、(B)大麦茎葉を含有する飲食用組成物であって、前記(B)大麦茎葉が粉砕末であることを特徴とする飲食用組成物
【請求項2】
さらに、(C)オリゴ糖を含有する請求項1に記載の飲食用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲食用組成物、及び、イミダゾールジペプチドの呈味改善用組成物、に関する。
【背景技術】
【0002】
イミダゾールジペプチドは、鶏肉や豚肉、牛肉等の畜肉類や、カツオ、マグロ等の魚介類に含まれるペプチド成分であり、アンセリン(β−アラニル−1−メチルヒスチジン)、カルノシン(β−アラニルヒスチジン)、バレニン(β−アラニル−3−メチルヒスチジン)などの総称である。これらのイミダゾールジペプチドは、運動能力の維持、抗疲労効果が確認されているほか、尿酸値抑制作用、活性酸素消去作用、血圧上昇抑制作用、抗炎症作用等の機能を有することが知られている。
【0003】
イミダゾールジペプチドで運動能力の維持や抗疲労効果を得る場合、ある程度の量を摂取する必要があるが(例えば、非特許文献1又は2)、イミダゾールジペプチドは、独特の臭いがあることや後味が悪いという欠点があった(例えば、特許文献1又は2)。しかしながら、イミダゾールジペプチドの独特の臭いや風味を改善する具体的な研究は十分になされていなかった。一方、消費者の自然派志向の高まりを受けて、人工添加物を用いずに、自然由来の素材を用いた飲食用組成物の開発が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−120754
【特許文献2】特開2002−173442
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】田中雅彰他 「CBEX−DR配合飲料の健常者における抗疲労効果」医薬と治療、vol.36 No.3 2008
【非特許文献2】清水恵一郎他 「イミダゾールジペプチド配合飲料の日常的な作業のなかで疲労を自覚している健常者に対する継続摂取による有用性」医薬と治療、vol.37 No.3 2009
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、イミダゾールジペプチドを含有する飲食用組成物において、その独特の臭いや風味を改善することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本出願人は、上記課題を鑑みて鋭意検討を行った結果、自然素材である大麦茎葉が優れたイミダゾールジペプチドの呈味改善効果を有することを見出し、本発明に至った。
【0008】
本発明の概要は、以下の通りである。
<1>(A)イミダゾールジペプチドと、(B)大麦茎葉を含有する飲食用組成物。
<2>さらに、(C)オリゴ糖を含有する<1>に記載の飲食用組成物。
<3>(B)大麦茎葉を含有する、イミダゾールジペプチドの呈味改善用組成物。
<4>さらに、(C)オリゴ糖を含有する<3>に記載のイミダゾールジペプチドの呈味改善用組成物。
<5>(C)オリゴ糖が消化性オリゴ糖及び難消化性オリゴ糖から選ばれる少なくとも1種である、<2>又は<4>のいずれかに記載の組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明のイミダゾールジペプチドを含有する飲食用組成物は、大麦茎葉を配合することにより、その臭い、不快な酸味、不快な塩味、生臭い味、苦味、キレ、舌触り、粉っぽさ、口当たり、のどごし、後味が良好となるため、嗜好性の高い飲食用組成物を得ることができる。また、大麦茎葉に加えてオリゴ糖を配合することにより、さらに嗜好性の高い飲食用組成物を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】比較例1、実施例1〜11の官能評価結果を表す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の組成物について説明する。なお、本発明は、下記の実施の形態に限定されるものではない。
【0012】
(A)イミダゾールジペプチド
本発明で用いられるイミダゾールジペプチドは、鶏肉や豚肉、牛肉等の畜肉類や、カツオ、マグロ等の魚介類に含まれるペプチド成分であり、アンセリン、カルノシン、バレニンなどの総称である。これらイミダゾールジペプチドは、アンセリン、カルノシン、バレニンのいずれか1種であってもよく、2種以上の混合物であってもよい。本発明で用いられるイミダゾールジペプチドの製造方法は特に限定されず、鳥肉(例えば、ニワトリなど)、畜肉(例えば、ウシ、ブタ等)や魚肉(例えば、カツオ、マグロ等)等から、水抽出、熱水抽出、アルコール抽出、超臨界抽出等の方法で抽出して得られるエキス(抽出物)やその精製物、加工物(例えば、乾燥粉末(以下、エキスの乾燥粉末のことを「エキス末」ともいう))として製造することが可能であり、また、市販のものを利用することも可能である。イミダゾールジペプチドは精製物である必要はなく、チキンエキスや魚介エキスなどの、イミダゾールジペプチド含有量を高めた状態のエキスを使用しても良い。本発明で用いられるイミダゾールジペプチドは、好ましくは鶏肉等から抽出し、必要に応じて酵素処理などを行い、脱塩、脱色、濃縮、乾燥工程等を経て、イミダゾールジペプチドを5%以上、好ましくは10%以上含有するチキンエキスである。
【0013】
イミダゾールジペプチドのエキスを得る場合、その抽出溶媒は特に限定はされないが、例えば、水、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノールなど)、アセトン、酢酸エチルなどが挙げられる。また、その乾燥粉末を得る場合は、例えば減圧乾燥や噴霧乾燥等、当業者が通常用いる方法によりエキスの溶媒を除去することで得ることができる。
【0014】
本発明においては、イミダゾールジペプチドのエキス、エキス末を用いることが好ましく、加工性や安定性の観点から、エキス末を用いることがより好ましい。
【0015】
本発明の組成物に配合されるイミダゾールジペプチドの含有量としては、特に制限はなく、目的や形状、使用対象等の様々な条件に応じて、広範囲でその含有量を適宜設定できる。例えば、0.0001〜20質量%、好ましくは0.001〜10質量%、より好ましくは0.01〜5質量%の範囲で選択される。
【0016】
(B)大麦茎葉
本発明で用いられる大麦茎葉とは、大麦(学名 Hordeum vulgare)から得られる茎及び/又は葉のことを言う。使用できる大麦としては、二条大麦、六条大麦、裸大麦などが挙げられ、これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。大麦の茎葉は、成熟期前、すなわち、分けつ開始期から出穂前に収穫されたもの(大麦若葉)であることが好ましい。
【0017】
本発明で用いられる大麦茎葉としては、粉砕物及びその粉末(粉砕末)、細片化物及びその粉末(細片化末)、搾汁及びその粉末(搾汁末)、エキス(抽出物)及びその粉末(エキス末)などが挙げられる。なお、本願明細書で「粉末」と言う場合は、乾燥粉末、粉砕末、細片化末、搾汁末、エキス末を含むものである。本発明に用いられる大麦茎葉の粉砕末の製造方法としては特に限定されないが、例えば、大麦の茎葉を切断した後、ブランチング処理を行い、次いで乾燥し、その後粉砕する方法が挙げられる。また、大麦茎葉の搾汁末の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、大麦の茎葉又はその細片化物を圧搾、遠心又はろ過によって搾汁し、粗固形分を除去することにより搾汁を得る方法があげられる。搾汁は、必要に応じて濃縮してもよいし、凍結乾燥や熱風乾燥、噴霧乾燥などの処理を行い、乾燥粉末(搾汁末)とすることもできる。大麦茎葉のエキス(抽出物)を得る場合、その抽出溶媒は特に限定はされないが、例えば、水、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノールなど)、アセトンなどの溶媒が挙げられ、好ましくは、水および/またはエタノールなどを使用することができる。また、その乾燥粉末を得る場合は、例えば減圧乾燥や噴霧乾燥等、当業者が通常用いる方法によりエキスの溶媒を除去することで得ることができる。
【0018】
本発明においては、加工性や安定性の点から、大麦茎葉の粉末が好ましく使用され、特に、粉砕末又は搾汁末を用いることが好ましい。本発明においては、市販品を使用してもよく、また当該分野で公知の方法で製造したものを使用することもできる。
【0019】
本発明の組成物に配合される大麦茎葉の含有量としては、特に制限はなく、目的や形状、使用対象等の様々な条件に応じて、広範囲でその含有量を適宜設定できる。例えば、0.0001〜30質量%、好ましくは0.001〜20質量%、より好ましくは0.01〜10質量%の範囲で選択される。
【0020】
(C)オリゴ糖
本発明で用いられるオリゴ糖は、少糖類を指し、2〜20個の糖がグリコシド結合してなる化合物を言う。本発明で使用できるオリゴ糖としては、例えば、乳果オリゴ糖、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、大豆オリゴ糖などの難消化性オリゴ糖、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、ラクツロース、ラクチトール、ラフィノースなどの消化性オリゴ糖を挙げることができるが、これらに限定されない。なお、本発明の効果を高める観点から、2種以上のオリゴ糖を組み合わせることが好ましく、難消化性オリゴ糖と消化性オリゴ糖とを組み合わせることがより好ましく、特に、フラクトオリゴ糖とイソマルトオリゴ糖とを組み合わせることが好ましい。難消化性オリゴ糖の生理機能として、ヒトの消化酵素で分解されずに、大腸に到達し、腸内ビフィズス菌の活性化や増殖に寄与し、腸内環境を改善する効果などがあり、消化性オリゴ糖の生理機能として、ヒトの消化酵素で分解され、胃や小腸で吸収されてエネルギー源となる効果がある。
【0021】
本発明においては、加工性や安定性の点から、粉末状のオリゴ糖が好ましく使用され、市販品を使用してもよく、また当該分野で公知の方法で製造したものを使用することもできる。
【0022】
本発明の組成物に配合されるオリゴ糖の含有量としては、特に制限はなく、目的や形状、使用対象等の様々な条件に応じて、広範囲でその含有量を適宜設定できる。例えば、0.0001〜30質量%、好ましくは0.001〜20質量%、より好ましくは0.01〜10質量%の範囲で選択される。本発明においてオリゴ糖を使用する場合は、1種のみを使用しても良いし、2種以上を用いることもできる。但し、オリゴ糖を2種以上含有する場合は、その総量である。
【0023】
本発明の組成物における、(A)イミダゾールジペプチドと(B)大麦茎葉の配合比(質量比)は特に限定されず、目的や使用対象等の条件に応じて適宜設定できるが、例えば、本発明の効果を高める観点から、(A):(B)=1:0.0001〜500、好ましくは1:0.0005〜100、より好ましくは1:0.01〜10の範囲で選択される。
【0024】
本発明の組成物における、(A)イミダゾールジペプチド、(B)大麦茎葉、(C)オリゴ糖の配合比(質量比)は特に限定されず、目的や使用対象等の条件に応じて適宜設定できるが、例えば、本発明の効果を高める観点から、(A):(B)+(C)=1:0.001〜1000、好ましくは1:0.01〜100、より好ましくは1:0.1〜10の範囲で選択される。
【0025】
本発明の組成物における、(B)大麦茎葉と(C)オリゴ糖の配合比(質量比)は特に限定されず、目的や使用対象等の条件に応じて適宜設定できるが、例えば、本発明の効果を高める観点から、(B):(C)=1:0.0001〜100、好ましくは1:0.001〜50、より好ましくは1:0.01〜10の範囲で選択される。
【0026】
本発明の組成物には、(A)イミダゾールジペプチド、(B)大麦茎葉、(C)オリゴ糖以外に、その他の成分を含有しても良い。前記のその他の成分としては、例えば、タンパク質、食物繊維、ミネラル類、植物又は植物加工品、藻類、乳酸菌等の微生物等を配合することができる。更に必要に応じて通常食品分野で用いられる、デキストリン、でんぷん等の糖類、甘味料、酸味料、天然着色料、ゲル化剤(増粘剤)、賦形剤、ビタミン類、栄養補助剤、結合剤、安定剤、乳化剤、食品添加物、調味料等を挙げることができる。これらその他の成分の含有量は、本発明の組成物の形態等に応じて適宜選択することができる。
【0027】
本発明の組成物の形態は特に限定されず、任意の形態とすることができる。具体的な形態としては、例えば、粉や顆粒、細粒等の粉末状、タブレット(チュアブル)状、球状、カプセル状、カプレット状、液状、ゼリー状等の形状が挙げられる。尚、カプセル状の組成物は、ソフトカプセル及びハードカプセルが含まれる。本発明の組成物は、液状やゼリー状が好ましく、特に、液体飲料(粉末状の飲料を水や牛乳などに溶かして飲用するものも含む)やゼリー飲料であることが、運動時などに摂取しやすく、また、吸収性にも優れる点からも好ましい。
【0028】
本発明の組成物は、従来公知の方法により製造することができる。本発明の組成物を製造する際、使用する原料の形態は特に限定されず、組成物の形態に合わせて適宜選択し、使用することができる。例えば、粉や顆粒、細粒等の粉末状の組成物を得る場合、(A)イミダゾールジペプチド、(B)大麦茎葉及び(C)オリゴ糖は、これらをそのまま使用しても良いし、賦形剤等との混合物を使用しても良い。また、液状やゼリー状の組成物を得る場合は、水や果汁等の溶媒にあらかじめ溶解又は分散させたものを使用しても良い。
【実施例】
【0029】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0030】
[飲食用組成物の官能評価]
1.飲食用組成物の製造
以下の表1に示す配合を有する飲食用組成物を調製した。表1のうち、数値は質量(g)を表わす。イミダゾールジペプチドとしては、市販のチキン由来イミダゾールジペプチドのエキス末(アンセリン・カルノシン複合体、イミダゾールジペプチド規格値10±1%)を用い、大麦茎葉は粉砕末(大麦若葉末、株式会社東洋新薬製)を用い、オリゴ糖としてはいずれも市販のイソマルトオリゴ糖(粉末状)とフラクトオリゴ糖(粉末状)を用い、デキストリンは市販の粉末状のものを用いた。尚、デキストリンは賦形剤として用いたものであり、本評価に関与しない成分である。
【0031】
【表1】
【0032】
2.官能評価
(1)サンプルの調製
上記表1に記載の比較例1及び実施例1〜11のサンプルについて、各サンプル8gを、水100mLと混合して各試験サンプルを得た。
【0033】
(2)サンプルの評価
被験者として、健常な成人4名を無作為に選出した。これらの被験者4名に対し、下記表2の評価項目について、アンケートを実施し、官能評価を行った。具体的には、例えば、実施例1〜11の評価は比較例1を基準(5点)として他のサンプルを比較し、それぞれ1〜9点の点数をつけた。
【0034】
【表2】
【0035】
各サンプルについて、被験者の点数の平均点を算出し、基準としたサンプル(比較例
1)との差を算出した。結果を図1のグラフに示す。
【0036】
(3)考察
賦形剤であるデキストリンを除く成分(イミダゾールジペプチドのエキス末、大麦茎葉の粉砕末、オリゴ糖)について、嗜好性の評価結果を考察した。
【0037】
図1は、官能試験の結果を示すものである。図1に示すように、イミダゾールジペプチドのエキス末と大麦茎葉の粉砕末とを含有する実施例1〜5は、大麦茎葉の粉砕末を高用量にするほど、いずれの項目も高い値となった。しかし、大麦茎葉の粉砕末が低用量(0.2g、実施例2)であっても、そこにイソマルトオリゴ糖(消化性オリゴ糖)を配合した実施例6は、大麦茎葉の粉砕末を実施例2の10倍配合した実施例3や、実施例2の20倍の大麦茎葉の粉砕末を配合した実施例4と、同程度の高い評価となった。一方、イソマルトオリゴ糖(消化性オリゴ糖)に替えてフラクトオリゴ糖(難消化性オリゴ糖)を配合した実施例8は、実施例6よりも低い評価となった。このことから、どのオリゴ糖であっても同程度の呈味改善効果が得られるわけではなく、フラクトオリゴ糖(難消化性オリゴ糖)よりもイソマルトオリゴ糖(消化性オリゴ糖)の方が、呈味改善効果が優れることがわかった。さらに、2種のオリゴ糖を配合した実施例10や11は、1種のオリゴ糖をオリゴ糖の総量が同じになるように配合した実施例6、8や実施例7、9よりもそれぞれ高い評価となり、非常に優れた呈味改善効果が得られた。その要因は不明ではあるが、消化性オリゴ糖と難消化性オリゴ糖の組み合わせにより、効果が奏された可能性が推測できる。
【0038】
以上の結果より、(A)イミダゾールジペプチドを単独で用いた組成物(組成物I)は、イミダゾールジペプチド独特の臭いや味を有し、単独では嗜好性が悪いものであったが、組成物Iに(B)大麦茎葉を添加した組成物(組成物II)は、組成物Iと比較して、イミダゾールジペプチド独特の臭いや味を効果的に改善することができた。組成物IIにさらに(C)オリゴ糖を添加した組成物(組成物III)は、組成物IIと比較して、イミダゾールジペプチド独特の臭いや味をより一層改善することができた。また、(C)オリゴ糖として、イソマルトオリゴ糖(消化性オリゴ糖)のみを含有する組成物(組成物III-1)は、フラクトオリゴ糖(難消化性オリゴ糖)のみを含有する組成物(組成物III-2)よりも呈味改善効果に優れることがわかった。特に、(C)イソマルトオリゴ糖(消化性オリゴ糖)とフラクトオリゴ糖(難消化性オリゴ糖)の2種のオリゴ糖を含有する本発明の組成物(組成物IV)は、オリゴ糖の総量は同じでも、組成物III-1と比べても非常に高い呈味改善効果を有し、嗜好性に優れた組成物となることがわかった。
【0039】
実施例12及び13(粉末飲料の製造)
下記処方例に記載の配合比に従って原料を調製したのち、常法に従って、本発明の効果を奏する粉末飲料8gを製造した。
【0040】
実施例14及び15(ゼリー状飲料の製造)
下記処方例に記載の配合比に従って原料を調製したのち、常法に従って、本発明の効果を奏するゼリー状飲料150gを製造した。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明によれば、人工添加物を用いずにイミダゾールジペプチドの呈味を改善することができるため、イミダゾールの機能性を有し、かつ嗜好性の高い、自然派志向の飲食用組成物を提供することができる。
【要約】
【課題】
イミダゾールジペプチドによる運動能力維持作用や抗疲労作用を有する飲食用組成物を製造する場合に、イミダゾールジペプチドの呈味が改善された嗜好性の高い飲食用組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】
本発明に係る飲食用組成物は、(A)イミダゾールジペプチドと、(B)大麦茎葉を含有する。
【選択図】図1
図1