【文献】
笠原一輝,【笠原一輝のユビキタス情報局】サイズを変えずバッテリ駆動時間向上に注力した新VAIO P〜ソニー開発者に聞く内部構造,2010年 5月13日,URL,http://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/ubiq/366106.html
【文献】
上田健一郎,磯部剛,ヒートパイプの性能に及ぼす内面溝形状の影響について,古川電工時報 第115号,日本,2005年 1月,第1頁 「1.はじめに」及び「表1」を参照,URL,http://www.furukawa.co.jp/jiho/fj115/fj115_03.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
発熱体とヒートパイプと電池パックとを内部に備える携帯情報端末であって、前記ヒートパイプの受熱部は前記発熱体と熱接続され、前記ヒートパイプの放熱部は前記電池パックと構造体の外周部との間の前記構造体に設けた断面形状が略U字状の溝に嵌合され、前記構造体の裏側を覆うように裏蓋を設け、該裏蓋は前記溝の開口を覆って前記ヒートパイプの放熱部と熱接続されることを特徴とする携帯情報端末。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明におけるヒートパイプを搭載したスマートフォンなどの携帯情報端末の好ましい実施形態を説明する。
【0030】
図5は極細ヒートパイプ1の外観を示しており、
図7は別な形状の極細ヒートパイプ2の外観を示している。これらの極細ヒートパイプ1,2は、何れも直径がΦ2mmであり、
図9〜
図11に示すように、内壁にグルーブ11が形成された材質が純銅などからなる内面溝付き銅管12の両端を、Tig溶接により封止して構成される。グルーブ11の形状は、隣り合うグルーブ11,11の間に形成される凸状のフィンの高さ寸法であるフィン高さHfが、0.06mmから0.25mmの範囲内にあり、グルーブ11の底部の幅寸法である溝底幅Lbgが、0.03mmから0.19mmの範囲内にある。そして、銅管12の内部は真空状態で純水などの作動液13(図示せず)が、銅管12の長手方向の単位長さ当たりで、0.0017cc/cmから0.0050cc/cmとなるように封入される。
【0031】
なお、極細ヒートパイプ1,2の本体部をなす管体としては、熱伝導性が特に優れた純銅製の銅管12に代わって、例えば熱伝導性は純銅よりも劣るものの、加工性を高めた銅合金管などを用いてもよい。その場合も、内壁に複数のグルーブ11が形成され、中空円筒状の長手方向に延びる管体の両端に、Tig溶接などの適宜手段による封止部15をそれぞれ形成することで、グルーブ11付きの銅管12の内部を真空状態に密閉した作動液13を封入してなるグルーブ型の極細ヒートパイプ1,2が得られる。
【0032】
極細ヒートパイプ1,2の外形は、何れも銅管12の途中2箇所に約90°の曲げが施されて、その部位に曲げ部21を各々形成しており、直線状の基部22の両端に曲げ部21を介して直線状の腕部23を繋げた略コの字形状をしている。
図5に示す極細ヒートパイプ1は、基部22と腕部23の長さが略同じであるが、
図7に示す極細ヒートパイプ2は、腕部23に対して基部22が長くなるように、曲げ部21の部位がそれぞれ選定される。後程説明するが、約90°の曲げ部21は一箇所または複数箇所形成され、それにより極細ヒートパイプの外形も、略コの字形状または略L字形状または略ロの字形状に形成される。また、
図5や
図7に示すように、銅管12は曲げ加工の際の外力により、曲げ部21に僅かな潰し部が形成されるが、後述する携帯情報端末31の構造体32に対して極細ヒートパイプ1,2を設置するスペースの制約から、中空円筒状の銅管12に扁平加工を施して断面が略楕円形状の潰し部25を形成し、構造体32内に設置することもある。
図9や
図10は、潰し部25を形成していない部位の銅管12を示しており、
図11は、扁平加工により潰し部25を形成した部位の銅管12を示している。
【0033】
次に、
図1〜
図4,
図6,
図8,
図12,
図13をも参照しながら、極細ヒートパイプ1,2を収容する携帯情報端末31としてのスマートフォンの構成を説明する。本実施形態の携帯情報端末31は、手で持てる程度の外形寸法を有する縦長略矩形状の構造体32により、その外郭全体が形成される。携帯情報端末31の筐体となる構造体32の正面側には、入力装置と表示装置を一体化した表示部としてのディスプレイ33が配設される一方で、構造体32の裏面側上方には、携帯情報端末31の制御部となるCPU(中央処理装置)34や、その他の各種電子部品35が、プリント基板36に実装した状態で収容されると共に、構造体32の内部下方には、CPU34や電子部品35に必要な電力を供給するための充電可能な略矩形状の充電手段たる電池パック37が着脱可能に収容される。一例として、携帯情報端末31であるスマートフォンの代表的な外形寸法は、幅67mm,高さ130mm,厚さ8.3mmであり、電池パック37の外形寸法は、幅53mm,高さ58mm,厚さ4.8mmである。
【0034】
極細ヒートパイプ1,2には、銅管12の一端から他端にかけて、ウィック構造をなすグルーブ11が途中で途切れることなく連続的に設けられる。また極細ヒートパイプ1,2は、その一部が受熱部16として、携帯情報端末31の発熱体となるCPU34と熱伝達が可能な状態に配置され、その他の一部が放熱部17として、携帯情報端末31ひいては構造体32の外郭近傍の外周部38の一部に沿った状態で配置される。これにより、持ち易さの観点から大きさが制限され、更に電池パック37の脱着が可能なスマートフォンなどの携帯情報端末31でも、
図5や
図7に示すような極細ヒートパイプ1,2を取付けることができる。なお、携帯情報端末31の大きさから、極細ヒートパイプ1,2の外径OD(
図10を参照)は、Φ2.5mm以下が好ましい。
【0035】
CPU34などの発熱体からの熱伝達の手段としては、
図6や
図12、或いは
図8や
図13に示すように、極細ヒートパイプ1,2の受熱部16をCPU34などの発熱体に直接密着させる方法や、
図2や
図3に示すように、銅などの熱伝導性の良好な材質からなる受熱プレート51を介して、極細ヒートパイプ1の受熱部16に熱伝達を行なう方法がある。
図2や
図3に示す受熱プレート51は、CPU34の発熱面に密着する平板状の受熱部52の一側に、略U溝状の凹曲げ部53を形成してなる。そして、円筒状をなす極細ヒートパイプ1の受熱部16は、受熱プレート51に形成された凹曲げ部53の内面に囲まれている。これは、極細ヒートパイプ1の受熱部16に、CPU34からの熱が受熱プレート51を介して伝わりやすくしたものである。また、受熱プレート51の受熱部52は、一方の面である受熱面をCPU34の発熱面に密着させてある。
【0036】
前述の受熱プレート51を介して極細ヒートパイプ1の受熱部16に熱伝達を行なう方法では、受熱プレート51のような熱伝導体を介して、極細ヒートパイプ1をCPU34などの発熱体の側部に設置することが可能となり、薄型な携帯情報端末31の構造体32によりCPU34の面上に極細ヒートパイプ1を設置するだけのスペースが取れない時に有利となる。また、スマートフォンなどの携帯情報端末31は、携帯情報端末31の外郭の外周部38を手で持って保持することが多いことから、極細ヒートパイプ1の放熱部17から外周部38に熱を伝えることが冷却に対し有利となる。その際に
図4に示すように、携帯情報端末31ひいては構造体32の外周部38と電池パック37の外側面との間に位置して、構造体32に断面形状が略U字状の溝39を形成し、その溝39に極細ヒートパイプ1の放熱部17を嵌合させることにより、良好な熱伝達が可能になる。一方、
図6や
図12、或いは
図8や
図13に示す極細ヒートパイプ1,2では、受熱プレート51を設けることなく、CPU34からの熱を極細ヒートパイプ1,2に直接伝達させることができる。なお、
図3や
図4において、40は構造体32の裏面側を覆うように装着される裏蓋であり、この裏蓋40により携帯情報端末31の外郭背面を形成している。
【0037】
図14や
図15には、上述した極細ヒートパイプ1,2とは別な形状の極細ヒートパイプ3,4を、携帯情報端末31にそれぞれ単独で取付けた場合の例を示している。これらの各図において、
図14に示す極細ヒートパイプ3は、銅管12の途中1箇所に約90°の曲げが施されて、その部位に曲げ部21を形成しており、直線状の基部22の一端に曲げ部21を介して直線状の腕部23を繋げた略Lの字形状に形成される。ここでの極細ヒートパイプ3は、その一部が受熱部16として、CPU34と熱伝達が可能な状態に配置され、その他の一部が放熱部17として、構造体32の外周部38の一部に沿った状態で、構造体32の溝39に嵌合配置される。
【0038】
図15に示す極細ヒートパイプ3は、銅管12の途中4箇所に約90°の曲げが施されて、その部位に曲げ部21を各々形成しており、直線状の基部22の両端に曲げ部21を介して直線状の腕部23を繋げ、腕部23の両端に別な曲げ部22を介して直線状の折返し部24を繋げた略ロの字形状に形成される。ここでの極細ヒートパイプ4は、その一部が受熱部16として、CPU34と熱伝達が可能な状態に配置され、その他の一部が放熱部17として、構造体32の外周部38の一部に沿った状態で、構造体32の溝39に嵌合配置される。
【0039】
図16では、前述の極細ヒートパイプ1に加えて、別な形状の極細ヒートパイプ5を、1つの携帯情報端末31の構造体32内に搭載した例を示している。極細ヒートパイプ5は、銅管12の途中4箇所に約90°の曲げが施されて、その部位に曲げ部21を各々形成しており、直線状の基部22の両端に曲げ部21を介して直線状の腕部23を繋げ、腕部23の両端に別な曲げ部21を介して直線状の折返し部24を繋げた略ロの字形状に形成される。ここでの極細ヒートパイプ5は、その一部が受熱部16として、CPU34と熱伝達が可能な状態に配置され、その他の一部が放熱部17として、構造体32の外周部38の一部に沿った状態で、構造体32の内部上方に配置される。
【0040】
上述した極細ヒートパイプ3,4,5のその他の構成は、極細ヒートパイプ1,2と共通しており、
図9〜
図11に示す極細ヒートパイプ2の断面形状は、別な極細ヒートパイプ1,3,4,5にも同様に適用される。また、
図14〜
図16に示す携帯情報端末31の構成も、
図12や
図13に示したものと共通している。
図13〜16では、何れもCPU34からの熱を極細ヒートパイプ2,3,4,5の受熱部16に直接伝達させる構成を採用しているが、
図2や
図3に示すように、受熱プレート51を介して極細ヒートパイプ2,3,4,5の受熱部16に熱伝達を行なう構成を採用してもよい。
【0041】
本実施形態では、携帯情報端末31内に搭載されるヒートパイプの形状を直線状ではなく、略コの字形状(極細ヒートパイプ1,2)や、略L字形状(極細ヒートパイプ3)や、略ロの字形状(極細ヒートパイプ4,5)にしたので、放熱部17の長さを十分に確保しても受熱部16と放熱部17の重力方向の距離(落差)が大きくならない。これにより、極細ヒートパイプ1,2,3,4,5としての熱輸送能力の低下を防止することができる。
【0042】
更に
図16に示す例では、複数の極細ヒートパイプ1,5がスマートフォンなどの携帯情報端末31に取付けてあり、ある使用姿勢で一方の例えば極細ヒートパイプ5の受熱部16が、重力方向に対して放熱部17よりも高い位置にきても、他方の極細ヒートパイプ1の受熱部16は、重力方向に対して放熱部17よりも低い位置にくるように配置されている。これにより、ユーザによる携帯情報端末31の使用姿勢が上下逆転したとしても、どちらか一方の極細ヒートパイプ1,5は、受熱部16が重力方向に対して放熱部17よりも低い位置にくるため、使用姿勢がどの向きであっても、どちらかの極細ヒートパイプ1,5により良好な熱輸送を行なうことが可能になる。これは、例えばスマートフォンなどの携帯情報端末31のように、携帯情報端末31の使用姿勢が一定ではなく、CPU34の発熱量がより大きなときに最適な構成であるといえる。
【0043】
ここで、前記グルーブ11の形状で、フィン高さHfが0.06mmよりも低すぎると、グルーブ11に生じる毛細管力が不足し、フィン高さHfが0.25mmよりも高すぎると、
図11に示すような扁平加工を行なったときに、蒸気の通路となる銅管12の内部空間が閉塞する。また、作動液13の封入量が0.0017cc/cmよりも少なすぎると、発熱体であるCPU34に生じる熱量に対する熱輸送量が不足し、逆に作動液13の封入量が0.0050cc/cmよりも多すぎると、作動液13が凍結したときに極細ヒートパイプ1に膨れが生じる問題を引き起こす。
【0044】
また、
図11に示すように、扁平加工を行なった後の扁平部たる潰し部25の厚みaは、0.6〜1.5mmの範囲内にあり、幅bは2.2〜5.2mmの範囲内となるように、銅管12の直径ODを調節して扁平加工を施す。この場合、潰し部25の厚みaに対する幅bの比率である扁平率は、0.115〜0.682の範囲内となる。扁平率の上限は、断面円形の銅管12を扁平加工することを考慮して、1未満とすればよい。すなわち、扁平率a/bが0.115<a/b<1であるような極細ヒートパイプ1,2,3,4,5をスマートフォンのような携帯情報端末31に搭載すれば、筐体である構造体32の厚さや幅をより小さくすることができる。
【0045】
その他の変形例を、
図17〜
図20を参照してそれぞれ説明すると、
図17に示す極細ヒートパイプ1は、受熱部16に扁平加工を施して潰し部25を形成し、その潰し部25をCPU34の上面に配置することで、極細ヒートパイプ1の受熱部16とCPU34との熱接続を図っている。一方、極細ヒートパイプ1の受熱部16以外の部位では扁平加工を施さず、断面円形のままにする。したがって、極細ヒートパイプ1の放熱部17は、断面円形のまま電池パック37と構造体32の外周部38との間に配置される。それ以外の構成は、
図12に示したものと全く共通している。
【0046】
スマートフォンのような携帯情報端末31では、CPU34と電池パック37との形状の違いにより、CPU34の周囲は幅方向に設置スペースがとりやすいものの、厚み方向の設置スペースがとれず、電池パック37の周囲は厚み方向の設置スペースがとりやすいものの、幅方向の設置スペースがとりにくい。そのため、
図17に示す極細ヒートパイプ1のように、受熱部16にのみ扁平加工を施すことにより、CPU34の上面に極細ヒートパイプ1を配置すると共に、電池パック37と構造体32の外周部38との間には、断面が円形のままの極細ヒートパイプ1の放熱部17を配置することで、スマートフォンなどの携帯情報端末31の厚さや幅をより小さくすることができる。
【0047】
図18に示す極細ヒートパイプ1は、受熱部16のみならず放熱部17にも扁平加工を施して潰し部25を形成するが、湾曲部たる曲げ部21には扁平加工を施さず、断面円形のままにする。このように、曲げ部21を除いて扁平加工を施す理由は、曲げ部21を扁平にすると、極細ヒートパイプ1としての性能が極端に低下するからである。極細ヒートパイプ1の曲げ部21に扁平加工を施さなければ、CPU34からの熱を極細ヒートパイプ1により支障なく熱輸送できるので、冷却性能を優れたものにでき、また曲げ部21以外の部位に扁平加工を施すことで、スマートフォンなどの携帯情報端末31を薄型化することができる。なお、その他の構成は
図17に示したものと全く共通している。
【0048】
図19は、上述した極細ヒートパイプ1の部分展開平面図である。同図において、極細ヒートパイプ1を構成する銅管12の円筒状内面には、銅管12の直線(軸線)方向に対してねじれすなわちスキューしているループ状若しくは螺旋状のグルーブ11が形成される。銅管12の長さ方向に対するグルーブ11の角度(傾斜角)θは、2〜50°の範囲内とする。また、ここでのグルーブ11の溝深さは0.15mmとする。
【0049】
極細ヒートパイプ1の放熱部17を構造体32の外部側から冷却すると、極細ヒートパイプ1の放熱部17は長さ方向に直交する円周方向に対する片側が強く冷却され、この冷却により極細ヒートパイプ1内部の作動液13が凝縮して、片側の冷やされた領域に留まる。しかし、
図19に示すように、極細ヒートパイプ1の内面に形成したグルーブ11が例えば螺旋状にねじれていれば、グルーブ11の全体に万遍なく作動液13が入り込み、極細ヒートパイプ1の性能低下は起こりにくい。また、極細ヒートパイプ1の長さ(直線)方向に沿ってグルーブ11を直線状に形成しないことで、極細ヒートパイプ1の強度は向上する。
【0050】
なお、
図17〜
図19に示す極細ヒートパイプ1の構成は、他の極細ヒートパイプ2,3,4,5にも同様に適用できる。
【0051】
次に、
図9〜
図11に示したものとは別な極細ヒートパイプ2の断面形状を
図20に示す。同図において、ここで示す極細ヒートパイプ2は、溝付き銅管12の内面に形成したグルーブ11の溝底幅Lbgを0.08〜0.14mmとし、グルーブ11の上端部の幅寸法である溝上端幅Ltgを約0.03mmとして、溝底幅Lbgよりも溝上端幅Ltgを狭くしたグルーブ11を形成する。このようにすると、極細ヒートパイプ2の内面に形成したグルーブ11の毛細管力が強くなり、受熱部16が放熱部17よりも高い位置にあるトップヒート姿勢であっても、極細ヒートパイプ2の性能低下は生じ難くなる。
【0052】
なお、
図20に示す極細ヒートパイプ2の構成は、他の極細ヒートパイプ1,3,4,5にも同様に適用できる。
【0053】
本実施形態におけるスマートフォンのような携帯情報端末31は、単独の筐体である構造体32に、表示部としてのディスプレイ33と発熱体としてのCPU34が組み込まれている。これは、特許文献2のような2つの筐体をヒンジ機構で回動可能に連結し、一方の筐体に発熱体を組み込むのに対し、別な他方の筐体に表示部を組み込む折り畳み型の携帯情報端末とは、根本的な構造が異なる。本実施形態の携帯情報端末31では、ディスプレイ33やCPU34と共に、極細ヒートパイプ1,2,3,4,5を構造体32に搭載しており、折り畳み型の携帯情報端末のように、一方の筐体からヒンジ機構を通して他方の筐体にヒートパイプを配置させるために、ヒートパイプの途中で可撓性の熱伝導部材を連結させる必要がない。そのため、CPU34からの熱を拡散する極細ヒートパイプ1,2,3,4,5は、携帯情報端末31を構成する一つの構造体32内に搭載すればよく、極細ヒートパイプ1,2,3,4,5の熱輸送能力を損なうような可撓性の熱伝導部材を、限られた構造体32のスペース内にわざわざ追加しなくてもよい。
【0054】
また、ディスプレイ33は構造体32の表(正面)側に配置されるのに対し、CPU34や極細ヒートパイプ1,2,3,4,5は、裏蓋40で閉じられる構造体32の裏側に配置されていて、構造体32の表側への熱影響を最小限に抑えつつ、構造体32の裏側で、CPU34からの熱輸送を効率よく行なうことが可能となる。とりわけスマートフォンのような携帯情報端末31は、携帯情報端末31の側面から裏面に掌を接触させながら使用する場合が多いので、一つの構造体32の裏側にのみ極細ヒートパイプ1,2,3,4,5を集中的に配置させることは、CPU34から発生する熱をユーザの手を介して効率よく放散させる上で、非常に有利な構成であるといえる。
【0055】
また、例えば
図2に示すように、極細ヒートパイプ1の放熱部
17は、その先端部が構造体32の外周部38と電池パック37との間に配置される。構造体32の外周部38と電池パック37との間は、いわば他の部品が搭載されることのないデッドスペースである。極細ヒートパイプ1の放熱部17の先端部は形状寸法が安定せず、他の部位よりも極細ヒートパイプ1としての性能が劣ることから、このデッドスペースに極細ヒートパイプ1の放熱部17の先端部を配置することで、筐体である構造体32内部の他の部品との干渉を回避できる。
【0056】
また構造体32は、熱伝導性の良好な部材である金属体であることが好ましい。
図2に示すように、本実施形態では極細ヒートパイプ1の放熱部17を、アルミニウムなどの金属からなる構造体32に設けた溝39に嵌合させて、熱接続を行なうような配置となっている。このような配置により、構造体32からユーザの手や大気中への放熱性に優れた携帯情報端末31とすることができ、携帯情報端末31の冷却効果が増加する。また、外気温が低い場合でも、極細ヒートパイプ1が金属製の構造体32に付着する霜を除去する除霜手段として作用し、極細ヒートパイプ1の放熱部17と構造体32との熱交換により、構造体32に対する霜付きを防止することができる。
【0057】
構造体32に設けられた溝39は、前述のような構造体32の外周部38と電池パック37の外側面との間だけでなく、CPU34と電池パック37との間の放熱領域に位置させてもよい。この溝39に極細ヒートパイプ1の
放熱部17を嵌合させて熱接続することにより、受熱部16と電池パック37との間の構造体32には放熱領域が形成される。この場合、極細ヒートパイプ1の受熱部16で受けたCPU34からの熱が、電池パック37に到達することなく放熱領域で放熱されるので、電池パック37への熱影響を回避できる。そしてこのような極細ヒートパイプ1の構成は、他の極細ヒートパイプ2,3,4,5にも同様に適用できる。
【0058】
次に上記構成について、その作用を説明すると、スマートフォンなどの携帯情報端末31内に搭載したCPU34が発熱して温度が上昇すると、そのCPU34からの熱は極細ヒートパイプ1,2,3,4,5の受熱部16に伝わり、受熱部16では作動液13が蒸発して、受熱部16から温度の低い放熱部17に向かって蒸気が流れ、極細ヒートパイプ1,2,3,4,5内で熱輸送が行われる。この放熱部17に輸送された熱は、放熱部17と熱的に接続した構造体32に達し、携帯情報端末31の外郭の外周部38などから、その外周部38に触れるユーザの手などを介して携帯情報端末31の外部に放熱される。これにより携帯情報端末31は、CPU34などの発熱体から生じる熱が効果的に拡散されて、発熱体34の近傍の外郭表面に生ずるヒートスポットが緩和されるものである。
【0059】
一方、極細ヒートパイプ1,2,3,4,5の放熱部17は蒸気が凝縮して作動液13が溜まり、受熱部16は蒸発により作動液13が減少する。このため、内面溝付き銅管12の内壁に形成されたグルーブ11に生じる毛細管力を利用して、作動液13が放熱部17から受熱部16に戻される。ここで携帯情報端末31の使用姿勢により、受熱部16が重力方向に対して放熱部17よりも高い位置にあると、重力の影響を受けて十分な量の作動液13が受熱部16まで戻らない現象に陥り、極細ヒートパイプ1,2,3,4,5としての性能低下につながる。
【0060】
ここで、グルーブ11の形状を規定するフィン高さHfが規定値である0.06mm以上であることと、溝底幅Lbgが規定値である0.19mm以下であることが、スマートフォンのような携帯情報端末31に搭載される極細ヒートパイプ1,2,3,4,5として、十分な毛細管力を得るのに重要となる。また、作動液13の単位長さ当たりにおける封入量が規定値である0.0017cc/cm以上であることと、グルーブ11の形状を規定する溝底幅Lbgが規定値である0.03mm以上であることも、スマートフォンのような携帯情報端末31に搭載される極細ヒートパイプ1,2,3,4,5として、受熱部16に十分な量の作動液13を確保するために重要となる。そして、前述した重力の影響は、重力方向の距離(落差)が大きいほど影響が大きくなる。
【0061】
そこで本実施形態では、ヒートパイプの外形を略コの字形状(極細ヒートパイプ1,2)、または略L字形状(極細ヒートパイプ3)、または略ロの字形状(極細ヒートパイプ4,5)にすることにより、放熱部17を長く形成しても重力方向に対してはその距離(落差)が大きくならないように工夫している。これにより、携帯情報端末31を使用する姿勢がどの向きであっても、極細ヒートパイプ1,2,3,4,5は重力の影響を受け難くなり、スマートフォンのような携帯情報端末31に搭載される極細ヒートパイプ1,2,3,4,5として、熱輸送能力の低下を防ぐことができる。
【0062】
また、
図16に示す例のように、ある使用姿勢で一方の例えば極細ヒートパイプ1の受熱部16が、重力方向に対して放熱部17よりも高い位置にきても、他方の極細ヒートパイプ5の受熱部16が、重力方向に対して放熱部17よりも低い位置にくるように、複数の極細ヒートパイプ1,5をスマートフォンなどの携帯情報端末31内に取付けたので、携帯情報端末31の使用姿勢がどの向きであっても、常にどちらか一方の極細ヒートパイプ1,5により良好な熱輸送が行われ、スマートフォンなどの携帯情報端末31に搭載されるCPU34のように、発熱体の発熱量がより大きな場合に、最適な構成とすることができる。
【0063】
それに加えて本実施形態では、グルーブ11の形状となるフィン高さHfを0.06mm以上とし、且つ溝底幅Lbgを0.19mm以下とすることで、グルーブ11に生じる毛細管力を十分適切なものとし、さらに作動液13の単位長さ当たりにおける封入量を0.0017cc/cm以上とし、且つグルーブ11の形状となる溝底幅Lbgを0.03mm以上とすることで、受熱部16に十分な量の作動液13を確保して、携帯情報端末31の使用姿勢に拘らず、優れた熱輸送能力を有する極細ヒートパイプ1,2,3,4,5を携帯情報端末31に搭載することが可能になる。
【0064】
また、極細ヒートパイプ1,2,3,4,5に封入される作動液13の量を、単位長さ当たりで規定量である0.0050cc/cm以下にすることで、作動液13が凍結した場合でも、極細ヒートパイプ1,2,3,4,5が膨れないようにすることができる。しかも、グルーブ11の形状となるフィン高さHfを0.25mm以下にすることで、携帯情報端末31の薄型化に対応して極細ヒートパイプ1,2,3,4,5を扁平加工したときに、潰し部25においても銅管12の内部空間が閉塞せずに十分な蒸気の通路が確保され、極細ヒートパイプ1,2,3,4,5による確実な熱輸送が可能になる。
【0065】
以上のように、本実施形態では、銅管12の両端を封止し、その内部に作動液13を封入してなる極細ヒートパイプ1,2,3,4,5を、スマートフォンなどの携帯情報端末31に設置している。
【0066】
この場合、通常の携帯電話は発熱量が少ないが、スマートフォンのような携帯情報端末31は多種のアプリケーションを動作させるため、CPU34などの発熱体からの発熱量が多い。そこで、こうした携帯情報端末31に上述した極細ヒートパイプ1,2,3,4,5を設置することで、CPU34などの発熱体からの熱を効果的に低温部に輸送することができる。
【0067】
また、携帯情報端末31がスマートフォンまたはタブレット端末であれば、特にスマートフォンやタブレット端末として、CPU34などの発熱体からの熱を効果的に低温部に輸送することができる。
【0068】
また、上記携帯情報端末31に設置する極細ヒートパイプ1,2,3,4,5には、厚さ1.5mm以下の扁平加工を施すのが好ましい。
【0069】
この場合、極細ヒートパイプ1,2,3,4,5の直径がΦ3mm以上であると、携帯情報端末31に極細ヒートパイプ1,2,3,4,5を搭載できなくなるので、極細ヒートパイプ1,2,3,4,5に厚さ1.5mm以下の扁平加工を施すことで、携帯情報端末31の隙間に極細ヒートパイプ1,2,3,4,5を設置することが可能になる。
【0070】
また、本実施形態の携帯情報端末31は、直径ODがΦ2.5mm以下で、内面にグルーブ11を形成した内面溝付き銅管12の両端を封止し、その内部に作動液13を封入してなるグルーブ型のヒートパイプである極細ヒートパイプ1,2,3,4,5を設置して構成される。
【0071】
この場合、極細ヒートパイプ1,2,3,4,5を構成する銅管12の直径ODをΦ2.5mm以下にすることにより、ユーザの手で持ち易いサイズを有するスマートフォンなどの小型な携帯情報端末31の内部に、熱輸送能力に優れた極細ヒートパイプ1,2,3,4,5を設置することができる。また、この極細ヒートパイプ1,2,3,4,5によって効果的な熱拡散が可能になり、携帯情報端末31の外郭に生じるヒートスポットを緩和できる。
【0072】
また本実施形態では、グルーブ11の形状を、フィン高さHfが0.06mm〜0.25mmであり、溝底幅Lbgが0.03mm〜0.19mmとしたグルーブ型の極細ヒートパイプ1,2,3,4,5を、携帯情報端末31の内部に設置して構成される。
【0073】
この場合、極細ヒートパイプ1,2,3,4,5の内面に形成されるグルーブ11のフィン高さHfを0.06mm〜0.25mmとし、溝底幅Lbgを0.03mm〜0.19mmとすることで、グルーブ11に生じる毛細管力を適切なものにし、極細ヒートパイプ1,2,3,4,5の受熱部16に十分な量の作動液13を確保すると共に、携帯情報端末31の薄型化に対応して極細ヒートパイプ1,2,3,4,5を扁平加工した場合でも、極細ヒートパイプ1,2,3,4,5の蒸気通路となる内部空間を閉塞させないようにすることができる。したがって、ユーザの手で持ち易いサイズを有するスマートフォンなどの小型で薄型な携帯情報端末31の内部に、熱輸送能力に優れた極細ヒートパイプ1,2,3,4,5を設置することができる。また、この極細ヒートパイプ1,2,3,4,5によって優れた熱拡散が可能になり、携帯情報端末31の外郭に生じるヒートスポットを緩和できる。
【0074】
また本実施形態では、作動液13の封入量が単位長さ当たり0.0017cc/cm〜0.0050cc/cmであるグルーブ型の極細ヒートパイプ1,2,3,4,5を、携帯情報端末31の内部に設置して構成される。
【0075】
極細ヒートパイプ1,2,3,4,5に封入する作動液の封入量を、極細ヒートパイプ1,2,3,4,5の単位長さ当たり0.0017cc/cm〜0.0050cc/cmとすることで、CPU34からの発熱量に対する十分な熱輸送量を確保しつつ、作動液13が凍結したときに、極細ヒートパイプ1,2,3,4,5が膨れないようにすることができる。したがって、ユーザの手で持ち易いサイズを有するスマートフォンなどの小型な携帯情報端末31の内部に、熱輸送能力に優れた極細ヒートパイプ1,2,3,4,5を設置することができる。また、この極細ヒートパイプ1,2,3,4,5によって優れた熱拡散が可能になり、携帯情報端末31の外郭に生じるヒートスポットを緩和できる。
【0076】
また、本実施形態において、携帯情報端末31に搭載される極細ヒートパイプ1,2,3,4,5は、その直径ODがΦ2.5mm以下であり、発熱体であるCPU34から生じる熱を拡散するように配設される。
【0077】
この場合、極細ヒートパイプ1,2,3,4,5を構成する銅管12の直径をΦ2.5mm以下にすることにより、ユーザの手で持ち易いサイズを有するスマートフォンなどの小型な携帯情報端末31の内部にも、熱輸送能力に優れた極細ヒートパイプ1,2,3,4,5を設置することができる。また、この極細ヒートパイプ1,2,3,4,5によって、発熱体としてのCPU34から生じる熱を、CPU34の周囲から効果的に拡散できるため、特にCPU34の近傍に位置して、携帯情報端末31の外郭に生じるヒートスポットを緩和できる。
【0078】
また、本実施形態の携帯情報端末31は、発熱体であるCPU34から生じる熱を熱伝導体としての受熱プレート51で受け、この受熱プレート51を介して、CPU34の側部に配置した極細ヒートパイプ1,2,3,4,5の受熱部16に伝達する構成を採用している。
【0079】
この場合、CPU34などの発熱体から生じる熱を、受熱プレート51を介して極細ヒートパイプ1,2,3,4,5の受熱部16に効率よく伝えることができると共に、CPU34に受熱プレート51の厚さ分の隙間が携帯情報端末31の内部にあれば、その隙間に極細ヒートパイプ1,2,3,4,5の受熱部16を設置できる。そのため、特に薄型化が求められる携帯情報端末31の内部に、熱輸送能力に優れた極細ヒートパイプ1,2,3,4,5を設置して、最適な冷却形態とすることができる。
【0080】
また、本実施形態の携帯情報端末31は、断面が略U字形状の溝39を携帯情報端末31の筐体となる構造体32に形成し、この溝39に極細ヒートパイプ1,2,3,4,5の放熱部17を嵌合させた構造を採用している。
【0081】
この場合、構造体32に形成した溝39に極細ヒートパイプ1,2,3,4,5の放熱部17を嵌合させたので、放熱部17の表面積が小さくても、構造体32と極細ヒートパイプ1,2,3,4,5の放熱部17との接触面積が可能な限り大きくとれるようになり、極細ヒートパイプ1,2,3,4,5の放熱部17からの熱を構造体32に伝えやすくして、極細ヒートパイプ1,2,3,4,5と構造体32との熱伝導を優れたものにすることができる。これにより、携帯情報端末31の外郭に生じるヒートスポットを一層緩和できる。
【0082】
さらに、本実施形態の携帯情報端末31は、特に一つの筐体である単独の構造体32に、発熱体としてのCPU34と表示体としてのディスプレイ33が共に組み込まれたスマートフォンに適用され、CPU34から生じる熱を拡散するように、構造体32に極細ヒートパイプ1,2,3,4,5を搭載して構成される。
【0083】
この場合、ヒンジ機構を介して回動可能に連結した2つの筐体を有する折り畳み型の携帯電話では、一方の筐体に組み込んだ発熱体から、発熱体よりも温度の低い表示体が組み込まれる他方の筐体にヒートパイプを配置させるために、ヒートパイプの途中に可撓性の熱伝導部材を連結させなければならないが、例えばスマートフォンのように発熱体であるCPU34と表示体であるディスプレイ33が共通する一つの構造体32に組み込まれた携帯情報端末31であれば、CPU34からの熱を拡散する極細ヒートパイプ1,2,3,4,5は、その一つの構造体32内に搭載すればよく、極細ヒートパイプ1,2,3,4,5の熱輸送能力を損なうような可撓性の熱伝導部材を、限られた構造体32のスペース内にわざわざ追加する必要がない。したがって、極細ヒートパイプ1,2,3,4,5の熱輸送能力を最大限に発揮しつつ、コンパクトな構造を実現可能なスマートフォンなどの携帯情報端末31を提供できる。
【0084】
また、本実施形態における携帯情報端末31は、
図19に示すように、極細ヒートパイプ1,2,3,4,5の内面に形成したグルーブ11が直線状ではなくねじれている。
【0085】
この場合、極細ヒートパイプ1,2,3,4,5の放熱部17を構造体32の外部側から冷却や放熱部材により冷却すると、極細ヒートパイプ1,2,3,4,5の放熱部17は円周方向に対する片側が強く冷却され、この冷却により極細ヒートパイプ1,2,3,4,5の内部の作動液13が凝縮して、片側の冷やされた領域に留まるが、極細ヒートパイプ1,2,3,4,5の内面に形成したグルーブ11を例えば螺旋状にねじることにより、グルーブ11全体に万遍なく作動液13が入り込み、極細ヒートパイプ1,2,3,4,5の性能低下を起こしにくくできる。また、極細ヒートパイプ1,2,3,4,5の長さ方向に沿ってグルーブ11を直線状に形成しないことで、極細ヒートパイプ1,2,3,4,5の強度を向上させることができる。
【0086】
また、本実施形態における携帯情報端末31は、極細ヒートパイプ1,2,3,4,5の一部を断面扁平にした扁平部としての潰し部25にし、残りの部分を断面円形にして構成される。
【0087】
この場合、発熱体であるCPU34の周囲は幅方向に設置スペースをとりやすいが、厚み方向の設置スペースがとれない。一方で電池パック37の周囲は厚み方向の設置スペースがとりやすいものの、幅方向の設置スペースがとりにくい。そこで、極細ヒートパイプ1,2,3,4,5の受熱部16にのみ扁平加工を施すことにより、スマートフォンなどの携帯情報端末31の筐体サイズ(厚さ・幅)をより小さくすることができる。
【0088】
また、本実施形態における携帯情報端末31は、極細ヒートパイプ1,2,3,4,5に湾曲部となる曲げ部21を形成し、この曲げ部21以外の部位を断面扁平に形成している。
【0089】
この場合、極細ヒートパイプ1,2,3,4,5の曲げ部21に扁平加工が施されていないので冷却性能に優れ、また曲げ部21以外の部位は扁平加工が施されるので、スマートフォンなどの携帯情報端末31を薄型化することができる。
【0090】
また、本実施形態において、極細ヒートパイプ1,2,3,4,5の断面扁平にした部位である潰し部25は、幅bに対する厚みaの比率である扁平率a/bが、0.115<a/b<1となるように扁平加工される。
【0091】
この場合、スマートフォンなどの携帯情報端末31の冷却に必要な熱輸送量を確保しながら、極細ヒートパイプ1,2,3,4,5に扁平加工を施すことで、携帯情報端末31の筐体サイズ(厚さ・幅)をより小さくすることができる。
【0092】
また、本実施形態における携帯情報端末31は、極細ヒートパイプ1,2,3,4,5に断面扁平にした扁平部としての潰し部25を設け、この潰し部25の厚みaを0.6〜1.5mmとし、幅bを2.2〜5.2mmとしている。
【0093】
この場合、スマートフォンなどの携帯情報端末31の冷却に必要な熱輸送量を確保しながら、極細ヒートパイプ1,2,3,4,5に扁平加工を施すことで、携帯情報端末31の筐体サイズ(厚さ・幅)をより小さくすることができる。
【0094】
また、本実施形態における極細ヒートパイプ1,2,3,4,5の内面に形成したグルーブ11は、溝底幅Lbgよりも溝上端幅Ltgが狭く形成される。
【0095】
この場合、極細ヒートパイプ1,2,3,4,5の内面に形成したグルーブの毛細管力が強くなり、トップヒート姿勢であっても極細ヒートパイプ1,2,3,4,5の性能低下を生じ難くすることができる。
【0096】
また、本実施形態における極細ヒートパイプ1,2,3,4,5の放熱部17は、その先端部が筐体である構造体32の外周部38と電池である電池パック37との間に配置される。
【0097】
この場合、極細ヒートパイプ1,2,3,4,5の放熱部17の先端部は形状寸法が安定せず、他の部位よりも極細ヒートパイプ1,2,3,4,5としての性能が劣るため、スマートフォンなどの携帯情報端末のいわばデッドスペースである構造体32の外周部38と電池パック37との間に配置することで、構造体32の内部の他の部品との干渉を避けることができる。
【0098】
また、本実施形態の携帯情報端末31は、極細ヒートパイプ1,2,3,4,5の放熱部を、金属体である構造体32と熱接続させている。
【0099】
この場合、金属体である構造体32からユーザの手や大気中への放熱性に優れた携帯情報端末31を提供でき、その冷却効果を増加させることが可能になる。
【0100】
また、本実施形態の携帯情報端末31は、極細ヒートパイプ1,2,3,4,5が、金属体である構造体32に付着する霜を除去する除霜手段として設けられている。
【0101】
この場合、極細ヒートパイプ1,2,3,4,5の放熱部17と金属体である構造体32との熱交換により、極細ヒートパイプ1,2,3,4,5を除霜手段として、構造体32に対する霜付きを防止することができる。
【0102】
また、本実施形態の携帯情報端末31は、極細ヒートパイプ1,2,3,4,5の受熱部16と電池である電池パック37との間に、構造体32による放熱領域を設けている。
【0103】
この場合、極細ヒートパイプ1の受熱部16で受けたCPU34からの熱が、電池である電池パック37に到達することなく放熱領域で放熱されるので、電池パック37への熱影響を回避することができる。
【0104】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更可能である。例えば、各実施形態に示す極細ヒートパイプ1,2,3,4,5の各形状はあくまでも一例にすぎず、スマートフォンなどの携帯情報端末31の外形に合せて適宜変更が可能である。また、
図16では2本の極細ヒートパイプ1,5を携帯情報端末31に搭載した例を示したが、3本以上の極細ヒートパイプを搭載してもよい。