(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
筒状外郭を有する電解コンデンサと、自身の一部または全部が可撓性材料又は弾性材料で形成され且つ厚さを有する筒状又は平面状の熱伝導部材と、を含む照明ランプ構成部品を準備する準備工程と、
前記電解コンデンサに前記熱伝導部材を取り付ける取付工程と、
前記照明ランプ構成部品を組み立てる組立工程と、
を備え、
前記照明ランプ構成部品は、
光源と、
前記光源を覆うように設けられた透光性のグローブと、
交流電力を入力するための口金部と、
前記電解コンデンサと電気的に接続し、前記口金部を介して前記交流電力を前記光源の駆動電力に変換して前記光源に供給する点灯回路と、
前記グローブおよび前記口金部と嵌合して内部空間を形成し、前記点灯回路を包んで保持するとともに、前記内部空間に前記電解コンデンサを包む筐体部と、
を含み、
前記取付工程は、前記電解コンデンサに対して前記筒状外郭の周方向に沿って前記筒状外郭に接するように、前記筒状外郭の側周面に前記筒状の前記熱伝導部材を被せる工程又は前記筒状外郭の側周面に前記平面状の前記熱伝導部材を巻きつける工程を含み、
前記組立工程は、前記筐体部内に前記電解コンデンサを配置して前記熱伝導部材を前記筒状外郭と前記筐体部の内面との間に挟みこみ、前記光源、前記グローブ、前記口金部、前記点灯回路、および前記筐体部を組み立てることを特徴とする照明ランプの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施の形態1.
[実施の形態1の装置の構成]
図1は、本発明の実施の形態1にかかる照明ランプの主要構成を示す図であり、内部構成の一部を透過させて示した図である。
図2は、本発明の実施の形態1にかかる電解コンデンサを示す斜視図である。
図3は、本発明の実施の形態1にかかる熱伝導部材の主要構成を示す斜視図である。
図4は、本発明の実施の形態1にかかる熱伝導部材の主要構成を示す平面図および断面図である。
【0015】
(照明ランプ100の構成)
図1に示すように、本発明の実施の形態1にかかる照明ランプは電球形LEDランプである。照明ランプ100は、点灯回路6、光源7と、内側筐体部8、口金部9、外側筐体部10、およびグローブ11を備えている。
【0016】
この照明ランプ100を備えた照明装置が、本発明の実施の形態1にかかる照明装置である。実施の形態1にかかる照明装置は、照明ランプ100の他に、反射板、筐体、電源接続部、ランプ保持部(口金等)を含んで構成される。
【0017】
電解コンデンサ4は、点灯回路6と接続している。グローブ11は、光源7から出射される光を透過するとともに、光の出射側で光源7を覆うように配設される透光性の部材である。点灯回路6は、口金部9を経由して供給される商用電力を、光源7を駆動する駆動電力に変換して光源7に供給する。内側筐体部8および外側筐体部10は、点灯回路6を内包可能に保持するとともに、グローブ11および口金部9と嵌合して内部空間を形成する。
【0018】
実施の形態1において、光源7は、発光手段である発光ダイオード(以下、LED)71とLED71を載置するLED基板70とを備えて構成される。光源7の構成要素には、配線部材(図示しない)、取付部材(図示しない)、および照明ランプの設計仕様に応じて必要となる電子部品などが含まれる。配線部材(図示しない)は、点灯回路6と電気的に接続し点灯回路6から駆動電力を光源7に伝達するためのワイヤーハーネスやコネクタなどである。取付部材は(図示しない)、LED基板70を内側筐体部8(あるいは外側筐体部10)に取付けるための螺子などである。
【0019】
グローブ11は、ガラスや樹脂などの素材で構成される。樹脂を用いる場合には、ポリカーボネートやアクリルなどを製品仕様に応じて選択する。グローブ11は透光性を有し光源7から出射される光を透過するとともに、必要に応じて、光を拡散、集光、反射させる機能を併せ持つ。これらの機能は、グローブ11の基材であるガラスや樹脂の成形時に拡散層(あるいは拡散面)、レンズ、反射層(あるいは反射面)などとして、これらの基材に直接施しても良いし、基材の表面に別部材を組み合わせて構成しても良い。グローブ11は、外側筐体部10および口金部9とともに照明ランプ100の外郭部の一部を構成する。
【0020】
内側筐体部8は、プラスチックなどの樹脂素材を用いて成形される樹脂筐体である。内側筐体部8は、開口部を有し、その開口部から挿入される点灯回路6を保持する保持構造(図示しない)を備えている。内側筐体部8の内面と点灯回路6が有する回路部品との間には、この保持構造によって保持される部位(例えば回路基板)を除いて、所定の間隙が設けられる。つまり、回路部品に機械的応力が加わらない状態で,点灯回路6は内側筐体部8の内部空間に内包保持されている。
【0021】
外側筐体部10は、内側筐体部8外側に配設されている。外側筐体部10は、グローブ11および口金部9とともに照明ランプ100の外郭部の一部を構成する。外側筐体部10は、アルミなどの金属素材を用いて成形される。外側筐体部10は、照明ランプ100の構造を堅牢とし、光源7や点灯回路6などが発する熱を外界へ伝達する機能を有する。外側筐体部10の外面にフィン(図示しない)を設けてもよい。フィンを設けることで、それらの機能の効果をさらに促進することができる。
【0022】
口金部9は、ソケット等の照明器具(図示しない)に嵌合する構造を有している。口金部9は、照明器具経由で商用電力を照明ランプ100に入力する入力端である。
【0023】
点灯回路6は、AC−DCコンバータ回路を有している。このAC−DCコンバータが、商用電力である交流電源電力をLED71を駆動するための直流電力へと変換することができる。これにより、点灯回路6は、口金部9から入力された商用電力を、光源7を駆動する駆動電力に変換して、駆動電力を光源7に供給する。
【0024】
好ましくは、点灯回路6は、LED71を安定駆動するために、負荷変動の検出機能や負荷変動に応じてAC−DCコンバータ回路から出力される駆動電流を制御する制御機能を有する。また、好ましくは、点灯回路6は、商用電力の供給経路を解して流入および/または流出するノイズを除去または低減するフィルタ機能などを有する。電解コンデンサ4の外形寸法は、電解コンデンサ4の容量値や電圧仕様などに依存する。電解コンデンサ4の容量値や電圧仕様は、照明ランプの設計仕様に応じて決定される。
【0025】
図2は、本発明の実施の形態1にかかる電解コンデンサを示す斜視図である。電解コンデンサ4は、直径Rおよび高さTを有する筒状外郭4aと、リード4bとを備えている。筒状外郭4aの内部には、リード4bと接続したコンデンサ素子が収納されている。筒状外郭4aの側周面には、熱伝導部材1が貼り付けられている。
【0026】
熱伝導部材1を電解コンデンサ4の筒状外郭4a(アルミケース)に貼り合せるに際して、少なくとも熱伝導部材1によって電解コンデンサ4の圧力弁5(安全弁、防爆弁と同義)を塞がないようにする。すなわち、本実施の形態では、電解コンデンサ4の筒状外郭4aの側周面にのみ限定的に熱伝導部材1が巻きつけられている。これは、電解コンデンサ4の動作に異常が生じたときに、電解コンデンサ4の圧力弁5が正常に機能することを妨げないためである。
【0027】
実施の形態1の照明ランプ100において、電解コンデンサ4は、入力される商用電力を平滑したり、光源7の発光手段であるLED71を駆動するために光源7に供給される駆動電力の脈流を低減したりする機能を有している。光源7に安定な直流電力を供給することにより、安定な発光を実現する効果を奏する。
【0028】
実施の形態1の照明ランプ100において、電解コンデンサ4は、内側筐体部8の内部空間の口金部9側に内包されている。照明ランプ100の小型化に伴う寸法上の制約と、主要な発熱源である光源7から離間することによる電解コンデンサ4の動作信頼性を向上させる目的と、を考慮した場合に好適な配置である。
【0029】
なお、電解コンデンサ4の機能は上記のものに限定されるのではなく、光源7がLED以外の発光手段を有する構成の場合などは、電解コンデンサ4が別の用途や機能を有する場合もある。口金部9と電気的に接続し口金部9から商用電力を点灯回路6に伝達するための配線部材(図示しない)も、点灯回路6の構成要素である。
【0030】
電解コンデンサ4の筒状外郭4a(アルミケース)の全周に貼合された熱伝導部材1は、電解コンデンサ4と内側筐体部8の内面との間隙を埋めるように、電解コンデンサ4の筒状外郭4a(アルミケース)と内側筐体部8の内面とに密着して把持されている。すなわち、電解コンデンサ4の筒状外郭4a(アルミケース)、熱伝導部材1、内側筐体部8、外側筐体部10(および/または口金部9)が、照明ランプ100の外部への連続した熱伝達経路を形成し、電解コンデンサ4の冷却を促進する。
【0031】
電解コンデンサ4は点灯回路6の構成部品であり、点灯回路6の回路基板に載置される。この状態で、電解コンデンサ4の筒状外郭4a(アルミケース)の全周に熱伝導部材1が貼り合わされている。点灯回路6は熱伝導部材1を貼合した電解コンデンサ4が口金部9側に内包されるように、内側筐体部8の内部空間に保持される。点灯回路6の回路基板は、点灯回路6の回路部品に機械的応力が加わらないように保持される。具体的には、点灯回路6は、内側筐体部8内面に一体成形された保持部によって保持される。
【0032】
点灯回路6が内側筐体部8の内部空間に内包保持された状態で、電解コンデンサ4の圧力弁5と内側筐体部8の内面との間隙が設けられている。この間隙は、電解コンデンサ4の圧力弁5の機能を妨げないように、つまり圧力弁5が開放できる程度の間隙である。電解コンデンサ4の動作に異常が生じたときに、圧力弁5が作動するように設けられたものである。
【0033】
(熱伝導部材1の構成)
図3および
図4には、熱伝導部材1の構成が図示されている。
図4に示すように、熱伝導部材1は、熱伝導性樹脂2と接着テープ3を有している。
【0034】
熱伝導性樹脂2は、曲げたわめることが可能な性質を有しており、可撓性を有するとともに、柔軟性および伸縮性を有する材料である。この材料は、具体的には、電気絶縁性を有する樹脂素材であって、例えば半固体のゲル状や(比較的粘度の高い)液状を呈する、シリコーン油脂やフッ素系不活性液体などである。熱伝導性樹脂2は、不燃性であることが好ましい。
【0035】
さらに、熱伝導性樹脂2には、可撓性を有する範囲において、熱容量の増大を目的として(例えば粒子状または粉末状の)個体素材を混合させてもよい。
【0036】
なお、接着テープ3は、断面図にあるとおり2枚に図示されているが、これは表面のカバーと、そのカバーの下層に設けられた接着層(或いは粘着層)とを示している。カバーをはずすことで接着層の表面が現れるようになっている。
【0037】
図4に示すように、熱伝導性樹脂2は、長辺の長さ寸法L、幅寸法W、厚さ寸法Dを有している。これらの寸法は、それぞれあらかじめ設定しておく。長さ寸法Lは、冷却対象となる電解コンデンサ4の筒状外郭4a(アルミケース)の外周寸法と略同じ寸法である。幅寸法Wは、冷却対象となる電解コンデンサ4の筒状外郭4a(アルミケース)の高さ寸法以下で略同じ寸法である。電解コンデンサ4の筒状外郭4a(アルミケース)が直径Rおよび高さTを有する略円筒形状であるので、L≦π×Rであるとともに、W≦Tである。
【0038】
熱伝導部材1は、長さ寸法Lと幅寸法Wとで大きさが定義された表面を備えている。熱伝導部材1の一方の面(表面)が電解コンデンサ4の筒状外郭4a(アルミケース)に当たり、熱伝導部材1の他方の面(裏面)
が放熱部材である樹脂製の内側筐体部8に当る。その結果、外側筐体部(金属筐体)10、口金部9とともに、電解コンデンサ4から外部雰囲気へといたる放熱経路が形成されている。
【0039】
厚さ寸法Dは、熱伝導性樹脂2を電解コンデンサ4の筒状外郭4a(アルミケース)の全周にわたって表面を当接させたとき、電解コンデンサ4の筒状外郭4a
と放熱部材(内側筐体部(樹脂筐体)8、外側筐体部(金属筐体)10、口金部9)との間隙の最大寸法以上の厚寸とする。実際には、熱伝導性樹脂2の可撓性を考慮して設定する。
【0040】
熱伝導性樹脂2の表面には、熱伝導部材1を電解コンデンサ4の筒状外郭4a(アルミケース)に貼合せるために、接着テープ3が配置されている。接着テープ3は、熱伝導性樹脂2の表面内に配置されるように、寸法L、Wよりも一回り小さい、長辺の長さ寸法lと幅寸法wとを有する。すなわち、l≦L、w≦Wの関係が成立する。なお、接着テープ3は一例であって、熱伝導性樹脂2を電解コンデンサ4に貼り付けるための接着層を設ければよい。
【0041】
[実施の形態1の製造方法]
図5は、本発明の実施の形態1にかかる照明ランプの製造方法を説明するためのフローチャートである。
【0042】
図5のフローチャートは、先ず、照明ランプ100の構成部品を準備する準備工程が行われる。このうち、ステップS100は、熱伝導部材1以外の構成部品の準備を行うものである。つまり、最終的に組み立てるべき電解コンデンサ4、点灯回路6、光源7、内側筐体部8、口金部9、外側筐体部10、グローブ11の準備である。
【0043】
一方、ステップS102、S104、S106は、熱伝導部材1を準備する工程である。具体的には、ステップS102では、熱伝導部材1の設計を行う。熱伝導部材1は、熱伝導性樹脂2および接着テープ3により構成される。
図4を用いて説明したように、熱伝導性樹脂2は、長辺の長さ寸法L、幅寸法W、厚さ寸法Dを有している。これらの各寸法は、上述したとおり、ステップS100で準備した構成部品との関係で決まる。接着テープ3の寸法についても、熱伝導性樹脂2の表面内に配置されるように、寸法L、Wよりも一回り小さい、長辺の長さ寸法lと幅寸法wに設計される。
【0044】
次に、ステップS102において、ステップS102で決定した寸法L、Wに従って、厚さDを有する樹脂材料をカットすることで、熱伝導性樹脂2を形成する。製造方法としては、大面積の樹脂を型抜きしたり、長尺の樹脂を裁断したりするなどの方法で製造することができる。
さらに、ステップS106において、接着テープ3を寸法l、wに従ってカットし、熱伝導性樹脂2に貼り付ける。
以上により、熱伝導部材1を含む照明ランプ100の構成部品を準備することができる。
【0045】
次に、電解コンデンサ4の筒状外郭4aに対して熱伝導性樹脂2を貼り付ける工程が実施される(ステップS108)。この取付工程は、筒状外郭4aの周方向に沿って筒状外郭4aに接するように熱伝導部材1を取り付ける工程である。圧力弁5を塞がないようにするためである。
【0046】
その後、熱伝導部材1を取り付けた電解コンデンサ4を用いて、上述した照明ランプ100の構成部品を組み立てる(ステップS110)。これにより、照明ランプ100が完成する。この組立工程では、内側筐体部8内に電解コンデンサ4を配置して、熱伝導部材1を筒状外郭4aと内側筐体部8の内面との間に挟みこむ。
【0047】
以上説明した実施の形態によれば、熱伝導部材1が、電解コンデンサ4の筒状外郭4aと内側筐体部8との間の隙間に介在し、両者の熱伝導経路を確保することができる。この熱伝導部材1が電解コンデンサ4や内側筐体部8の寸法の相違を吸収することができるので、生産性に優れる。
【0048】
実施の形態1では、電解コンデンサ4の筒状外郭4a(アルミケース)の全周に貼合された熱伝導部材1の熱伝導媒体が、曲げたわめることが可能な可撓性を有している。樹脂素材である熱伝導性樹脂2としたので、電解コンデンサ4と内側筐体部8の内面との間隙を埋めるように、電解コンデンサ4の筒状外郭4a(アルミケース)と内側筐体部8の内面とに密着して把持される構成とすることができ、これによって、電解コンデンサ4(の筒状外郭4a(アルミケース))、熱伝導部材1、内側筐体部8、外側筐体部10(および/または口金部9)が照明ランプ100の外部への連続した熱伝達経路を形成し、電解コンデンサ4の冷却を促進することができる。
【0049】
本実施の形態によれば、電解コンデンサにリップル電流を長時間印加したり大電流を印加したりして、発熱によって電解コンデンサ4の温度が上昇する環境であっても、電解コンデンサ4から照明ランプの外部への放熱経路が確保されているので、電解コンデンサ4は過度な温度上昇を招くことがない。あるいは、電解コンデンサ4の近傍に発熱量の大きい電子部品を配設して、電子部品が発する熱の影響を受けて電解コンデンサ4の温度が上昇する環境であっても、電解コンデンサ4から照明ランプの外部への放熱経路が確保されているので、電解コンデンサ4は過度な温度上昇を招くことがない。
【0050】
この結果、電解コンデンサ4の動作寿命を長くすることができ、電解コンデンサ4を備える電子回路や電子機器の性能や品質を長期にわたって安定して維持することが可能となる。
具体的には、例えば、点灯回路の発熱量が比較的小さく点灯回路の冷却のためにシリコンやエポキシなどの冷却用の充填材を充填する必要がない場合でも、電解コンデンサだけは冷却を促進させて、電解コンデンサおよび(電解コンデンサを有する)点灯回路や照明ランプの動作寿命の延長を達成することができる。
【0051】
また、本実施の形態によれば、熱伝導部材1の熱伝導媒体を、曲げたわめることが可能な可撓性と電気絶縁性とを有する樹脂素材である熱伝導性樹脂2としたので、安価に製造可能であるとともに、異なる外形寸法を有する複数種類の電解コンデンサが収容可能で、形状や寸法が異なる製品でも収納することができる。その結果、同一または少ない種類の熱伝導部材で、多くの種類の電解コンデンサ4に対応でき、多くの種類の製品に対応することができる。
【0052】
そして、本実施の形態は、簡単に製造、組み立てが可能であるので、製造工程の簡素化と製造品質の安定化という効果も奏する。すなわち、電解コンデンサを含む回路部品をシリコンやポリウレタンなどの樹脂材料でポッティング(充填)して、電解コンデンサや他の回路部品を放熱する構成が広く用いられている。しかしながら、こういった構成は、製品に樹脂材料をポッティング(充填)する専用の設備と工程、および作業能力を必要とする。従って、製造コストを増大させ、量産性の観点から課題がある。
この点、本実施の形態によれば、熱伝導性樹脂2を電解コンデンサ4に巻きつけて貼り付け、これを内側筐体部8の間に挿入すれば足りるので、ポッティングよりも簡便な製造工程となる。
【0053】
さらに、本実施の形態では、熱伝導部材1の熱伝導媒体を、電解コンデンサ4の圧力弁を除く筒状外郭4aに貼合したので、電解コンデンサ4の動作に異常が生じたときに、電解コンデンサ4の圧力弁を正常に機能させることができる。
【0054】
本実施の形態は、電解コンデンサ4および電解コンデンサ4を有する回路部品や照明ランプの長寿命化と品質向上および低コスト化を達成できる。
【0055】
低コスト化については、材料コストの低減(およびその結果としての製造コストの低減)が含まれている。材料コストの低減とは、電解コンデンサの耐熱仕様の緩和(つまり安価な電解コンデンサの採用)の意味も含んでいる。本実施の形態によれば、電解コンデンサの冷却や熱分散を行って電解コンデンサの動作環境を下げることができるので、耐熱性の低い安価な電解コンデンサを用いることが可能となるからである。
【0056】
[実施の形態1の変形例]
なお、実施の形態1では電解コンデンサの筒状外郭4aはアルミケースとしたが、本発明はこれに限られず、筒状外郭4aは外装スリーブであっても良い。
【0057】
実施の形態1では、熱伝導性樹脂2を、可撓性を有する材料で形成した。可撓性とは、曲げたわめることが可能な性質である。これに対し、熱伝導性樹脂2に代えて、弾性材料から構成し弾性変形が可能な弾性平面体を熱伝導性樹脂2と同様に電解コンデンサ4の筒状外郭4aに取り付けてもよい。電解コンデンサ4の側周面に沿って筒状に変形することができる程度の柔軟性、伸縮性を備えており、さらに放熱性(高熱伝導性)および電気絶縁性を有する材料であればよい。
【0058】
なお、熱伝導性樹脂2の形状は、様々なバリエーションが考えられる。例えば熱伝導性樹脂2が、四角柱の形状であってもよい。また、熱伝導性樹脂2が、直方体の形状であってもよい。
【0059】
図16は、本発明の実施の形態の変形例を説明するための正面図であり、熱伝導部材の構成のバリエーションを示す図である。
図16(a)には、実施の形態1にかかる電解コンデンサ4の構成を、圧力弁5を正面に見るように図示したものである。
図16(b)は、四角柱(直方体)の形状を有する熱伝導部材1gを有する電解コンデンサ41を示す図である。
【0060】
熱伝導部材1gは、実施の形態1で熱伝導部材1で述べたのと同様に、樹脂などの熱伝導材料から形成することができる。形状を四角柱、直方体とすることにより、熱伝導部材の体積を増加させることができるので、円筒状の形状よりも放熱性を向上させることができる。すなわち、外形を四角柱とすることで、平面部の面積が1倍よりも大きくなる。熱伝導部材の体積は、長さ(直径)を同じとし、熱伝導部材の最薄部、および長尺部分(つまり
図16の紙面奥行き方向寸法であり、幅寸法W)を同一とすれば、円筒状よりも四角柱状のほうが、必然的に大きくなる。
【0061】
ここで、四角柱状とした熱伝導部材1gの体積増加分だけ、実施の形態1にかかる照明ランプ100の内側筐体部8の内径を増大させるものとする。そうすると、内側筐体部8の材料(プラスチック等)が占める割合と熱伝導部材1gの材料(接着テープを除き、実質的には熱伝導性樹脂)とが占める割合を考えた場合に、本変形例のほうが熱伝導部材を多く備えることができる。このため、より放熱性の高い熱伝導部材を多く取り入れた放熱構造とすることができる。その結果、電解コンデンサ4の放熱性能を向上することができる。
【0062】
図16(c)は、熱伝導部材の最薄部を同一としたときの、円筒状の熱伝導部材1と四角柱状の熱伝導部材1gとの断面積差を説明するための図である。
図16(a)に示す熱伝導部材1の断面積をSaとし、
図16(b)に示す熱伝導部材1gの断面積をSbとする。そして、電解コンデンサ4の筒状外郭4aの半径をrとする。また、熱伝導部材1、1gの最薄部をtとする。但し、熱伝導部材1は均一な厚さであるから、最薄部は均一なtである。
図16(c)においてハッチングを付した領域が、面積Sb−面積Saすなわち面積増加分である。rおよびtを用いてSb−Saを計算すると、下記の式(1)が成立する。
【0063】
Sb−Sa = (4−π)(r+t)
2 > 0 ・・・(1)
【0064】
式(1)の右辺に示すとおり、Sb−Saはかならず正の値となる。従って、断面積Sbは常に断面積Saよりも大きくなる。よって、四角柱状を用いることで、確実に熱伝導性材料を増加させることができる。
【0065】
実施の形態1では、光源7は、LEDであった。しかしながら本発明はこれに限られるものではない。光源7は、レーザーダイオード、有機EL、蛍光ランプのいずれかであってもよい。
【0066】
実施の形態2.
図6は、本発明の実施の形態2にかかる熱伝導部材1aの主要構成を示す平面図および断面図である。これ以外の構成、製造方法については、実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
【0067】
図6に示すように、熱伝導性樹脂2の長辺の長さ寸法Lと幅寸法Wとで定義される表面には、接着テープ3aが配置されている。接着テープ3aは、熱伝導部材1aを電解コンデンサ4の筒状外郭4a(アルミケース)に貼合せるために設けられる。
【0068】
接着テープ3aは、熱伝導性樹脂2の表面内に配置されるように、長編の長さ寸法Lと幅寸法wとを設定する。w≦Wである点は実施の形態1と同じだが、実施の形態2では、l=Lとしている。つまり、熱伝導性樹脂2aと接着テープ3aはともに同じ長手方向寸法を有しており、熱伝導部材1aの長手方向両端で熱伝導性樹脂2aおよび接着テープ3aの端部が一致している。
【0069】
実施の形態2にかかる製造方法は、実施の形態1にかかる製造方法を示す
図5のフローチャートを参照すると、熱伝導部材を準備するための準備工程(ステップS102およびS106)が異なる。実施の形態2にかかる熱伝導部材1aは、実施の形態2の熱伝導部材1aは、長尺の熱伝導性樹脂2にあらかじめ接着テープ3aを配置した状態で、熱伝導性樹脂2と接着テープ3aとを一度に裁断することで得られる。これにより、熱伝導部材1aの製造の自動化や製造コストの低減の効果を奏する。実施の形態1にかかる製造方法を示す
図5のフローチャートを参照すると、ステップS102およびS106の工程が、実施の形態1と実施の形態2とでは異なる。
【0070】
なお、接着テープ3aの構成は一例であって、接着テープ以外の方法で、接着層、粘着層を設けても良い。
【0071】
実施の形態3.
図7は、本発明の実施の形態3にかかる熱伝導部材1bの主要構成を示す平面図および断面図である。これ以外の構成、製造方法については、実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
【0072】
図7に示すように、熱伝導性樹脂2aの長辺の長さ寸法Lと幅寸法Wとで定義される表面には、熱伝導部材1bを電解コンデンサ4の筒状外郭4a(アルミケース)に貼合せるために、接着テープ3bが配置されている。
【0073】
接着テープ3bは、熱伝導性樹脂2aの表面内に配置されるように、長編の長さ寸法Lと幅寸法wとを備える。ここで、実施の形態2と同様に、w≦Wでありl=Lである。ただし、実施の形態2にかかる熱伝導部材1aは平面形状が長方形だったのに対し、実施の形態3にかかる熱伝導部材1bは平面形状が平行四辺形である。
【0074】
実施の形態3にかかる製造方法は、実施の形態1にかかる製造方法を示す
図5のフローチャートを参照すると、熱伝導部材を準備するための準備工程(ステップS102およびS106)が異なる。実施の形態3にかかる熱伝導部材1bも、実施の形態2にかかる熱伝導部材1aと同様に、長尺の熱伝導性樹脂2aにあらかじめ接着テープ3bを配置した状態で、熱伝導部材1bを長尺方向に移動させながら、熱伝導性樹脂2aと接着テープ3bとを一度に裁断することで得られる。裁断は、レーザーカッターなどを用いて行えばよい。これにより、熱伝導部材1bの製造の自動化や製造コストの低減の効果を奏する。
【0075】
実施の形態4.
図8は、本発明の実施の形態4にかかる熱伝導部材1cの主要構成およびその製造方法を示す斜視図である。これ以外の構成、製造方法については、実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
【0076】
実施の形態4にかかる製造方法は、実施の形態1にかかる製造方法を示す
図5のフローチャートを参照すると、熱伝導部材を準備するための準備工程(ステップS102およびS106)が異なる。
図8に示すように、熱伝導部材1cは、あらかじめ筒状長尺に製造された熱伝導性樹脂2bを所定の間隔Wごとに、図のカット位置Cにおいて裁断することで製造される。このとき、
図8に示すように、熱伝導性樹脂2bの内径R1は、筒状外郭4aの直径Rとの関係ではR1≦Rとする。また、熱伝導性樹脂2bを裁断すべき幅Wは、筒状外郭4aの高さTとの関係で、W≦Tである。
【0077】
ここで、熱伝導性樹脂2bは、弾性変形が可能な弾性材料を選択する。少なくとも、筒状の熱伝導部材1cを、電解コンデンサ4の筒状外郭4aに被せるために引き伸ばしても、復元して筒状外郭4aに対して密着性を確保できる程度の弾性変形が求められる。これにより、接着テープなどの接着手段を用いなくとも電解コンデンサ4の筒状外郭4a(アルミケース)に密着固定させることが可能である。これによって、熱伝導部材1cの製造の自動化や製造コストの低減に加え、材料コストの低減の効果を奏する。
【0078】
実施の形態5.
図9は、本発明の実施の形態5にかかる熱伝導部材1dの構成を示す斜視図である。
図10は、本発明の実施の形態5にかかる熱伝導部材1dを取り付けた電解コンデンサ4の構成を示す斜視図である。これ以外の構成、製造方法については、実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
【0079】
図9に示すように、熱伝導部材1dは、熱伝導性編組体20によって構成される筒状の部材である。熱伝導性編組体20の内径R2は、電解コンデンサ4の筒状外郭4aの直径Rとの関係で、R2≦Rとする。また、熱伝導性編組体20の幅Wと、筒状外郭4aの高さTとの関係は、W≦Tとする。
【0080】
熱伝導部材1dとして熱伝導性編組体(筒状金属メッシュ)20を用いることで、電解コンデンサ4の冷却が一層促進される。熱伝導性編組体(筒状金属メッシュ)20は弾性を有しており、接着テープなどの接着層を設けなくとも電解コンデンサ4の筒状外郭4a(アルミケース)に密着固定させることが可能である。これによって、熱伝導部材1cの製造の自動化や製造コストの低減に加え、材料コストの低減の効果を奏する。
【0081】
電解コンデンサ4は熱伝導部材1を装着した状態で、(
図1と同様に)照明ランプ100の内側筐体部8の内部空間の口金部9側に内包収容される。そして、熱伝導性編組体(筒状金属メッシュ)20は弾性を有しており、内側筐体部8の内面に密着して放熱経路を形成する。なお、このとき、熱伝導性編組体(筒状金属メッシュ)20は電解コンデンサ4の圧力弁5を塞がない。
【0082】
実施の形態5にかかる製造方法は、実施の形態1にかかる製造方法を示す
図5のフローチャートを参照すると、熱伝導部材を準備するための準備工程(ステップS102およびS106)並びに熱伝導部材1dを電解コンデンサ4に取り付ける取付工程(S108)の内容が異なる。熱伝導性編組体20は、あらかじめ筒状長尺に製造された熱伝導性編組体(筒状金属メッシュ)を所定の長さ(幅Wの長さ)で裁断して得ることができる。
【0083】
なお、実施の形態5では、熱伝導部材1dを1層構造としたが、本発明はこれに限られず、複数の層としてもよい。つまり、径の異なる複数の熱伝導部材1dを重ねて電解コンデンサ4の筒状外郭4aに被せてもよい。
【0084】
また、実施の形態5では、熱伝導性編組体20を筒状金属メッシュとしたが、本発明はこれに限られない。熱伝導性を有するという特徴を有していれば良く、樹脂性の編組体表面に(鍍金、蒸着、塗装などの方法で)金属を敷設した構成を用いても良い。
【0085】
また、実施の形態5では、熱伝導部材1dの内面には接着層を設けなかったが、本発明はこれに限られず、熱伝導部材1dの内面に接着テープ3や他の接着層を設けてもよい。
【0086】
また、実施の形態5では、熱伝導部材1dを、筒状の金属メッシュを裁断することで製造することができる。しかしながら、本発明はこれに限られない。実施の形態1乃至3で熱伝導性樹脂の平面体を裁断して電解コンデンサ4の筒状外郭4aに巻きつけたのと同様に、熱伝導部材1dを金属メッシュの平面体から裁断したものを電解コンデンサ4の筒状外郭4aに接着層(接着テープ)を介在させて巻きつけてもよい。
【0087】
実施の形態6.
図11は、本発明の実施の形態6にかかる熱伝導部材1eの構成を示す分解斜視図である。
図12は、本発明の実施の形態6にかかる熱伝導部材1eを取り付けた電解コンデンサ4の構成を示す斜視図である。これ以外の構成、製造方法については、実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
【0088】
図11に示すように、熱伝導部材1eは、あらかじめ筒状長尺に製造された2つの熱伝導性編組体(筒状金属メッシュ)20a、20b、および熱伝導性樹脂2cが重ねられることによって構成されている。つまり、熱伝導部材1eは、筒状の3層構造である。
【0089】
図12に示すように熱伝導部材1eが電解コンデンサ4に取り付けられることで、熱伝導性樹脂2cが筒状外郭4aの周方向に沿って筒状外郭4aに接しつつ筒状外郭4aと内側筐体部8内面との間に挟まれることになる。そして、熱伝導性樹脂2cの外側および内側にはそれぞれ熱伝導性編組体20a、20bが位置している。したがって、熱伝導性編組体20a、20bが、筒状外郭4aの周方向に沿って筒状外郭に接しつつ、筒状外郭4aと内側筐体部8の内面との間に挟まれることになる。その結果、筒状の3層構造からなる熱伝導部材1eが、電解コンデンサ4の筒状外郭4aと内側筐体部8の内面との間に挟みこまれ、両者の熱伝達経路を構成することができる。
【0090】
熱伝導部材1eとして熱伝導性編組体(筒状金属メッシュ)20a、20bおよび熱伝導性樹脂2cを積層して用いることで、電解コンデンサ4の冷却が一層促進される。
【0091】
また、2層目には熱容量の大きい材質を採用することが好ましい。これにより、電解コンデンサ4の熱分散を促進する効果を奏するからであり、熱伝導性樹脂2cをそのような観点から高い熱容量を有する樹脂材料を選択するものとする。
【0092】
実施の形態6にかかる製造方法は、実施の形態1にかかる製造方法を示す
図5のフローチャートを参照すると、熱伝導部材を準備するための準備工程(ステップS102およびS106)並びに熱伝導部材1eを電解コンデンサ4に取り付ける取付工程(S108)の内容が異なる。
【0093】
熱伝導性編組体20a、20bおよび熱伝導性樹脂2cを製造するためには、先ず、それぞれ異なる内径R3,R4,R5の筒状に形成されたものを所定の長さ(幅W)で裁断する。ただし、内径にはR3≦R4≦R5の関係、つまり内径R5がもっとも大きく、
図11に矢印で示すように熱伝導性編組体20a、20bおよび熱伝導性樹脂2cを重ねることができる関係性が必要である。その後、熱伝導性編組体(筒状金属メッシュ)20aを最も内側として、熱伝導性樹脂2c、熱伝導性編組体(筒状金属メッシュ)20bの順に重ねることで製造する。このとき、熱伝導性編組体20aの内径R3および幅Wは、電解コンデンサ4の筒状外郭4aの直径Rおよび高さTとの関係で、R3≦R、かつW≦Tとする。
【0094】
熱伝導性編組体(筒状金属メッシュ)20a、20bおよび熱伝導性樹脂2cは、いずれも弾性を有している。したがって、これらを重ねた3層構造の筒状部材を広げて(内径を引き伸ばして)、電解コンデンサ4の筒状外郭4aに被せることができる。接着テープなどの接着手段を用いなくとも電解コンデンサ4の筒状外郭4a(アルミケース)に密着固定させることが可能である。これによって、材料コストの低減の効果とともに、熱伝導部材1eの製造の自動化や製造コストの低減が容易である。
【0095】
なお、実施の形態6では、熱伝導部材1eを構成する各筒状体をそれぞれ1層構造としたが、本発明はこれに限られず、各筒状体の少なくとも1つを複数の層としてもよい。
【0096】
また、実施の形態6では、熱伝導部材1eの内面(つまり熱伝導性編組体20aの内面)には接着層を設けなかったが、本発明はこれに限られず、熱伝導部材1eの内面に接着テープ3や他の接着層を設けてもよい。
【0097】
また、実施の形態6では、熱伝導部材1eを、筒状の金属メッシュおよび熱伝導性樹脂を裁断することで製造することができる。しかしながら、本発明はこれに限られない。実施の形態1乃至3で熱伝導性樹脂の平面体を裁断して電解コンデンサ4の筒状外郭4aに巻きつけたのと同様に、熱伝導部材1eを、金属メッシュの平面体や熱伝導性樹脂材料の平面体から裁断して作成した複数の長尺体を、それぞれ、電解コンデンサ4の筒状外郭4aに接着層(接着テープ)を介在させて巻きつけてもよい。
【0098】
実施の形態7.
図13および
図14は、本発明の実施の形態7にかかる熱伝導部材1fの構成を示す斜視図である。
図15は、本発明の実施の形態7にかかる熱伝導部材1fを取り付けた電解コンデンサ4の構成を示す斜視図である。これ以外の構成、製造方法については、実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
【0099】
本実施の形態では、
図13に示すように熱伝導性編組体(筒状金属メッシュ)20cを図中矢印に示すように折り返して袋状とする。そして、
図14に示すように袋状の熱伝導性編組体20cに熱伝導性樹脂2dを挿入することで、熱伝導部材1fを構成するものとする。
【0100】
本実施の形態では、熱伝導性編組体20cを、内側に折り返す。折り返さない状態における熱伝導性編組体20cの内径はR6であり、折り返して2層となったときの熱伝導性編組体20cの最も内側部分の内径は、R8である。R8は、電解コンデンサ4の筒状外郭4aの直径Rとの関係では、R8≦Rとする。一方、折り返した後の熱伝導性編組体20cの幅W1と、電解コンデンサ4の筒状外郭4aの高さTとの関係で、W1≦Tとする。
【0101】
実施の形態7にかかる製造方法は、実施の形態1にかかる製造方法を示す
図5のフローチャートを参照すると、熱伝導部材を準備するための準備工程(ステップS102およびS106)並びに熱伝導部材1fを電解コンデンサ4に取り付ける取付工程(S108)の内容が異なる。
【0102】
製造方法としては、先ず、あらかじめ筒状長尺に製造された金属メッシュを所定の長さ2×W1で裁断する。裁断した熱伝導性編組体(筒状金属メッシュ)20cをちょうど半分の長さW1で折り曲げて、筒袋部を形成する。筒袋部に熱伝導性樹脂2dを挿入して、折り曲げた熱伝導性編組体(筒状金属メッシュ)20cに熱伝導性樹脂2dを把持積層する。熱伝導性樹脂2dの内径は、熱伝導性樹脂2cと同じくR4である。この内径R4の熱伝導性樹脂2dを、熱伝導性編組体20cの折り返した2層の間に差し込む。これにより筒状の3層構造を備えた熱伝導部材1fが得られる。
【0103】
なお、熱伝導性樹脂2dの幅はW2であり、このW2はW1よりも若干小さいことが好ましい。これにより、筒袋部に熱伝導性樹脂2dを挿入したときにちょうど熱伝導性編組体20cの縁と熱伝導性樹脂2dの縁の位置を一致させることができる。
【0104】
熱伝導部材1fとして折り曲げた熱伝導性編組体(筒状金属メッシュ)20cに、熱伝導性樹脂2dを把持積層して用いることで、電解コンデンサ4の冷却が一層促進される。また、把持積層した2層目の熱伝導性樹脂2dに熱容量の大きい材質を採用することで、電解コンデンサ4の熱分散を促進する効果を奏する。
【0105】
本実施の形態によれば、熱伝導性編組体(筒状金属メッシュ)20cおよび熱伝導性樹脂2dは弾性を有しており、これらの3層構造の筒状態を広げて(内径を引き伸ばして)、電解コンデンサ4の筒状外郭4aに被せれば足りる。接着テープなどの接着手段を用いなくとも電解コンデンサ4の筒状外郭4a(アルミケース)に密着固定させることが可能である。これによって、熱伝導部材1fの製造の自動化や製造コストの低減に加え、材料コストの低減の効果を奏する。
【0106】
なお、実施の形態7では、熱伝導性編組体20cを1回折り返して袋状としたが、本発明はこれに限られず、2回以上折り返してもよい。また、実施の形態7では熱伝導性編組体20cの一端側を、他端側の内側へと入れ込むようにして、袋状とした。しかし、逆に、一端側を、多端側の外側に被せるようにして、袋状としてもよい。
【0107】
また、実施の形態7では、熱伝導部材1fの内面(つまり熱伝導性編組体20cの最も内面)には接着層を設けなかったが、本発明はこれに限られず、熱伝導部材1fの最も内面(内径R8の面)に接着テープ3や他の接着層を設けてもよい。