(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、制御基板上に設けた温度検出回路を使用して温度検出を行った場合、温度検出回路の自己発熱が存在するため、温度検出に誤差が生じる場合がある。このため、この誤差を小さくするために検出温度を補正することが考えられるが、温度検出回路の自己発熱を飽和するために検出温度から所定の値を減算処理することとすると、通電直後において自己発熱が生じていない場合にはマイナス側に誤差が生じることとなる。
【0008】
また、制御基板上の温度から圧縮機構(リップリング)の温度を推定する場合には、検出温度を補正することで推定上の誤差を小さくすることができるが、圧縮動作が停止された直後と圧縮動作が長時間停止された後とでは圧縮機構の温度が大きく異なるため、どちらかの状態を基準にして検出温度を補正すると、他方の場合において誤差が生じてしまう。
【0009】
このように、制御基板上に設けた温度検出回路を使用して温度検出を行うと、実際に測定したい部分の温度(例えば圧縮機構やリップリングの温度)との間に比較的大きな誤差が生じる問題があった。
【0010】
そこで、本発明は、制御基板または制御基板の近傍に温度検出手段を設けた場合でも、機械の温度をできるだけ正確に検出できる空気圧縮機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記した課題を解決するためになされたものであり、以下を特徴とする。
【0012】
(請求項1)
請求項1に記載の発明は、以下の点を特徴とする。
すなわち、請求項1に記載の空気圧縮機は、圧縮空気を生成して貯留可能な空気圧縮機であって、圧縮空気を生成するためのシリンダを備えた圧縮機構と、前記圧縮機構を駆動させるモータと、
前記空気圧縮機の動作を制御するための制御装置を構成する制御基板と、を備え、前記制御装置は、前記モータを制御する駆動制御手段と、
前記制御基板または
前記制御基板の近傍に配設された温度検出手段と、前記温度検出手段が検出した温度を補正するための
第1の温度補正値
と第2の温度補正値とを記憶した記憶手段と、前記温度検出手段が検出した温度を補正する温度補正手段と、空気圧縮機の作動状況に応じて時間を計測する時間計測手段と、を
有し、
前記第1の温度補正値は、電源投入からの経過時間に対応した値であって、電源投入からの時間と前記温度検出手段の自己発熱との関係を予め計測した結果から推測して決定された値であり、前記第2の温度補正値は、前記温度検出手段の温度と前記圧縮機構の温度との差を補正するための値であって、前記モータの停止時間に応じた前記温度検出手段の温度と前記圧縮機構の温度との差を実際に計測した結果から推測して決定された値であり、前記温度補正手段は、前記時間計測手段が計測した時間情報を基に前記温度補正値を選択し、前記温度補正値を用いることで前記温度検出手段が検出した温度を補正するものであって、前記温度補正手段は、前記モータの停止時間を基に
前記記憶手段に記憶された第
2の温度補正値を選択するとともに、電源投入からの経過時間を基に
前記記憶手段に記憶された第
1の温度補正値を選択し、前記温度検出手段の検出温度から、前記第1の温度補正値を減算するとともに、前記第2の温度補正値を加算することで、前記温度検出手段の検出温度を補正し、前記駆動制御手段は、前記温度補正手段によって補正された温度が所定の閾値を下回る場合に、前記モータを所定の回転数で回転させて暖気運転を行うことを特徴とする。
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載の発明は上記の通りであり、温度補正手段は、時間計測手段が計測した時間情報を基に温度補正値を選択し、前記温度補正値を用いることで温度検出手段が検出した温度を補正するので、空気圧縮機の制御基板または制御基板の近傍に温度検出手段を配設したにもかかわらず、機械の温度をできるだけ正確に検出することができる。よって、温度検出が必要な部分に別途温度検出手段を設けなくてもよいので、製造コストを低減しつつ、できるだけ正確な温度を取得することができる。
【0019】
また、前記温度補正手段は、前記モータの停止時間を基に前記温度補正値を選択するので、圧縮動作が停止された直後と圧縮動作が長時間停止された後とで異なる温度補正値を選択することができる。よって、圧縮動作の作動状態によって大きく異なる圧縮機構(リップリング)の温度を、最小限の誤差で得ることができる。
【0020】
また、前記温度補正手段は、電源投入時に前記温度検出手段が検出した温度を基に前記温度補正値を選択する。すなわち、電源投入時には制御基板や温度検出手段の自己発熱がないため、外気温を正確に測定できる。そして、この外気温を基準として検出した温度を補正できるので、できるだけ正確な温度を取得することができる。例えば、外気温が低い場合には機械が急速に冷えるため、外気温が高い場合とは異なる補正値を使用することで、温度補正の精度を向上させることができる。
【0021】
また、前記温度補正手段によって補正された温度が所定の閾値を下回る場合に暖気運転を行う。すなわち、補正された温度を使用して暖気運転の必要性(リップリングの温度)を推定できるので、制御基板または制御基板の近傍に温度検出手段を設けて製造コストを抑えつつも、正確に暖気運転の必要性を推定することができる。そして、暖気運転を実行することで、リップリングの熱膨張を促し、迅速にシール性能を向上させて圧縮効率を上昇させることができる。
【0022】
また、前記温度補正手段は、電源投入からの経過時間を基に前記温度補正値を選択するので、通電直後(自己発熱なし)と所定時間以上通電された後(自己発熱あり)とで異なる温度補正値を選択することができる。よって、制御基板や温度検出手段の自己発熱を考慮して温度補正値を選択し、できるだけ正確な温度を取得することができる。
【0023】
また、前記温度補正値として、前記温度検出手段の自己発熱を補正するための第1の温度補正値と、前記温度検出手段の温度と前記圧縮機構の温度または外気温との差を補正するための第2の温度補正値と、を使用するので、自己発熱と圧縮機構の温度変化との2つを考慮して、できるだけ正確な温度を取得することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本実施形態に係る空気圧縮機10は、圧縮空気を生成して貯留可能に形成されており、
図1に示すように、圧縮空気を生成するためのシリンダを備えた圧縮機構11と、前記圧縮機構11によって生成した圧縮空気を貯留するためのタンク14と、を備えている。
【0026】
圧縮機構11は、空気圧縮機10に内蔵されたモータ12によって駆動されるものであり、圧縮ピストンをシリンダ内で往復動させることでシリンダ内に導入された空気を圧縮するものである。このようにシリンダ内で圧縮された圧縮空気はタンク14に送られて貯留される。貯留された圧縮空気は、エア取り出し部13に接続された外部機器(例えば圧縮空気式の打ち込み工具)に供給されて使用される。
【0027】
空気圧縮機10の上面には、
図1(a)及び
図3に示すように、操作パネル15が設けられている。この操作パネル15は、空気圧縮機10を操作するための各種のボタンや、空気圧縮機10の状態を表示するためのLED等を備えている。
【0028】
この空気圧縮機10の動作は、空気圧縮機10に内蔵された制御装置100(
図2参照)によって制御される。制御装置100は、特に図示しないが、CPUを中心に構成され、ROM、RAM、I/O等を備えている。そして、CPUがROMに記憶されたプログラムを読み込むことで、各種の入力装置及び出力装置を制御するように構成されている。
【0029】
なお、この制御装置100は、インバータ制御装置を備えた制御基板上に構成されている。インバータ制御装置は、モータ12の回転に応じて供給電流及び供給電圧を可変して制御するものであり、このような制御によってモータ12を効率的に駆動させ、消費電力を低減させるようになっている。
【0030】
(入力装置)
制御装置100の入力装置としては、
図2に示すように、温度検出手段20、圧力検出手段21、電流検出手段22、電圧検出手段23、モータ回転数検出手段24、電源スイッチ30、充填モード切替スイッチ31、運転モード切替スイッチ32が設けられている。なお、入力装置としては、この
図1に示す入力装置に限定されず、他の入力装置を備えていてもよい。
【0031】
(温度検出手段20)
温度検出手段20は、上記した制御基板または制御基板の周囲(近傍)の温度を測定する温度検出回路であり、制御基板上の回路に接続されている。この温度検出手段20が測定した温度は、制御装置100に信号として出力され、空気圧縮機10の状態を確認するために使用される。
【0032】
具体的には、温度検出手段20が検出した温度は、制御基板に実装されたインバータ制御装置が熱によって破壊されないように制御するための指標として、また、暖気運転の必要性を判断するための指標として使用される。
なお、温度検出手段20は、インバータ制御装置が実装されている制御基板以外に、たとえば操作パネル15用の操作制御基板に設けてもよい。
【0033】
(圧力検出手段21)
圧力検出手段21は、タンク14内の圧力を検出するためのものであり、具体的にはタンク14内に設けられた圧力センサである。この圧力検出手段21で計測された圧力値は、制御装置100に信号として出力されて処理される。
【0034】
(電流検出手段22)
電流検出手段22は、モータ12に供給される電流値を測定するためのものである。この電流検出手段22で計測された電流値は、制御装置100に信号として出力されて処理される。
【0035】
(電圧検出手段23)
電圧検出手段23は、空気圧縮機10への入力電圧を検出するためのものである。この電圧検出手段23で計測された電圧値は、制御装置100に信号として出力されて処理される。
【0036】
(モータ回転数検出手段24)
モータ回転数検出手段24は、モータ12の回転数を検出するものであり、例えば角位置センサなどで構成される。このモータ回転数検出手段24で計測された回転数は、制御装置100に信号として出力されて処理される。
【0037】
(電源スイッチ30)
電源スイッチ30は、空気圧縮機10を起動するためのスイッチであり、上述した操作パネル15に配設されている。この電源スイッチ30が押下されて空気圧縮機10が起動すると、圧縮機構11が作動して圧縮空気がタンク14に貯留され、空気圧縮機10を使用可能な状態となる。
【0038】
(充填モード切替スイッチ31)
充填モード切替スイッチ31は、空気圧縮機10の充填モードを設定するためのスイッチである。すなわち、本実施形態に係る空気圧縮機10は、使用環境に合わせてモータ12の回転数の制御範囲を変更可能となっており、充填モード切替スイッチ31を押下することでモータ12の回転数の制御範囲を設定できるようになっている。本実施形態に係る空気圧縮機10は、充填モードとして、通常モードと、前記通常モードよりも前記モータ12の回転数を抑制した静音モードと、前記通常モードよりも前記モータ12の回転数を上げた急速充填モードと、を備えている。充填モード切替スイッチ31の押下が検出されると、その押下信号は制御装置100(後述する充填モード設定手段140)に出力されて処理される。
【0039】
(運転モード切替スイッチ32)
運転モード切替スイッチ32は、空気圧縮機10の運転モードを設定するためのスイッチである。すなわち、本実施形態に係る空気圧縮機10は、使用目的に合わせて圧力制御範囲を変更可能となっており、運転モード切替スイッチ32を押下することでこの圧力制御範囲を任意の範囲に設定できるようになっている。例えば、タンク14内の圧力を1.1〜1.5MPaとするか、2.5〜3.0MPaとするか、3.2〜4.0MPaとするか、3.9〜4.4MPaとするか、を選択して設定できるようになっている。運転モード切替スイッチ32の押下が検出されると、その押下信号は制御装置100(後述する運転モード設定手段150)に出力されて処理される。
【0040】
(出力装置)
制御装置100の出力装置としては、
図2に示すように、モータ12と、電源表示LED35と、充填モード表示LED36と、運転モード表示LED37と、吐出レベルLED38と、表示手段39と、報知手段40と、が設けられている。なお、出力装置としては、この
図2に示す出力装置に限定されず、他の出力装置を備えていてもよい。
【0041】
(モータ12)
モータ12は、上述したように、圧縮機構11を駆動させて圧縮ピストンをシリンダ内で往復動させるものである。このモータ12は、制御装置100(後述する駆動制御手段110)によって駆動制御されることで、圧縮動作を開始したり停止したりするように形成されている。
【0042】
(電源表示LED35)
電源表示LED35は、前述した電源スイッチ30が押下されて空気圧縮機10が起動している場合に点灯するものである。また、電源スイッチ30が押下されて空気圧縮機10がシャットダウンされている場合には消灯する。
【0043】
(充填モード表示LED36)
充填モード表示LED36は、前述した充填モード切替スイッチ31が押下されて選択された充填モードを表示するためのものである。
【0044】
(運転モード表示LED37)
運転モード表示LED37は、前述した運転モード切替スイッチ32が押下されて選択された運転モードを表示するためのものである。
【0045】
(吐出レベルLED38)
吐出レベルLED38は、空気圧縮機10の状態をチェックした結果、吐出レベルが低下するような状況であると判断された場合に点滅するものである。
【0046】
(表示手段39)
表示手段39は、圧力検出手段21が検出したタンク14内の圧力値などを表示するためのものである。本実施形態においては、2桁の7セグメントディスプレイが用いられており、数値をデジタル表示できるようになっている。
【0047】
なお、表示手段39は3桁以上の7セグメントディスプレイであってもよいし、7セグメントディスプレイに限らず高画素数のディスプレイ(タッチパネル含む)であってもよい。
【0048】
(報知手段40)
報知手段40は、空気圧縮機10のエラーなどを報知する手段である。例えば、ブザーなどの聴覚表示を行う装置や、LEDなどの視覚表示を行う装置である。
【0049】
(制御装置100)
次に、制御装置100について詳述する。
制御装置100は、上記した各種装置を制御するものであり、駆動制御手段110、時間計測手段120、記憶手段130、充填モード設定手段140、運転モード設定手段150、温度補正手段160、などの各手段として機能する。
なお、制御装置100としては、上記した各手段に限定されるものではなく、他の手段を含んでいても良い。
【0050】
(駆動制御手段110)
駆動制御手段110は、モータ12を制御することにより、圧縮機構11による圧縮動作を制御するためのプログラムである。この駆動制御手段110は、圧力検出手段21が検出したタンク14内の空気圧力を参照し、タンク14内の空気圧力が適切な圧力となるようにモータ12の作動をオン・オフする。
【0051】
具体的には、圧縮機構11の駆動を開始させるためのオン圧と、圧縮機構11の駆動を停止させるためのオフ圧とが予め決められており、駆動制御手段110は、圧力検出手段21が検出したタンク14内の空気圧力がこのオン圧またはオフ圧に到達したか否かを判定し、到達した場合にモータ12の作動をオン・オフする。
【0052】
このとき、オン圧及びオフ圧は、後述する運転モード設定手段150によって設定された運転モードによって決定される。例えば圧力制御範囲を3.2〜4.0MPaとする運転モードの場合、3.2MPaがオン圧となり、4.0MPaがオフ圧となる。この場合、タンク14内の圧縮空気が使用され、タンク14内の圧力が3.2MPa(オン圧)まで低下したら、タンク14内の圧力が4.0MPa(オフ圧)になるまでモータ12を作動させて空気を圧縮する。この動作を繰り返すことで、タンク14内の空気圧力が適切な圧力となるように制御する。
【0053】
なお、圧縮動作を行う際のモータ12を回転数は、後述する充填モード設定手段140によって設定された充填モードによって決定される。例えば、モータ12の回転速度は、通常モードであれば最大2900min^−1に制限され、静音モードであれば最大1800min^−1に制限され、急速充填モードであれば最大3400min^−1に制限されるように制御される。このような制御により、例えば夜間や住宅街での作業時には静音モードを使用することで騒音を抑制することができ、また、圧縮空気を早く使用したい場合などは急速充填モードを使用することで時間を短縮することができるようになっている。
【0054】
(時間計測手段120)
時間計測手段120は、所定のタイミングからの時間を測定するための手段である。例えばCPUタイマなどを使用して構成される。
(記憶手段130)
記憶手段130は、不揮発性のメモリを備えて構成され、プログラムやデータを記憶している。
【0055】
本実施形態に係る記憶手段130は、温度検出手段20が検出した温度を補正するための温度補正値を記憶している。具体的には、後述する第1の温度補正値のデータテーブル200、第2の温度補正値のデータテーブル300、データ選択テーブル400を記憶している。
【0056】
(充填モード設定手段140)
充填モード設定手段140は、空気圧縮機10の充填モードを設定するためのものである。具体的には、充填モード切替スイッチ31の押下が検出されたときに、その押下信号を受信し、充填モードを切り替える処理を実行する。充填モード設定手段140によって設定された充填モードは記憶手段130などに記憶され、駆動制御手段110によるモータ12の駆動制御に使用される。
【0057】
(運転モード設定手段150)
運転モード設定手段150は、空気圧縮機10の運転モードを設定するためのものである。具体的には、運転モード切替スイッチ32の押下が検出されたときに、その押下信号を受信し、運転モードを切り替える処理を実行する。運転モード設定手段150によって設定された運転モードは記憶手段130などに記憶され、駆動制御手段110によるモータ12の駆動制御に使用される。
【0058】
(温度補正手段160)
温度補正手段160は、温度検出手段20が検出した温度を補正するためのものである。この温度補正手段160は、時間計測手段120が計測した時間情報を基に温度補正値を選択し、この温度補正値を用いることで温度検出手段20が検出した温度を補正する。この処理の詳細は後述する。
【0059】
(温度補正処理の実行フロー)
次に、本実施形態に係る温度補正処理について具体的に説明する。
本実施形態に係る空気圧縮機10は、機械が冷状態にあると判定されたときに、モータ12の回転数を上昇させて暖気運転(通常モードの高速回転以上)を行うようになっている。暖気運転を行うことで、省電力や静音のためにモータ12の回転数を低下させた場合(静音モードで使用した場合)でも、一時的に回転数を上げることでリップリングなどのシール部材の熱膨張を促し、迅速にシール性能を向上させて圧縮効率を上昇させることができる。しかも、空気圧縮機10が冷状態にある場合にのみ、暖気運転が実行されるので、不要な回転数の上昇が行われず、効率的にシール性能を向上させることができるようになっている。
【0060】
この暖気運転の要否は、温度検出手段20が検出した温度に基づいて判断される。しかしながら、温度検出手段20は空気圧縮機10の制御基板または制御基板の周囲近傍に配設されているため、直接的にシール部材の付近の温度を計測しているわけではない。
【0061】
しかも、温度検出手段20の自己発熱が存在するため、温度検出に誤差が生じる場合がある。例えば、温度検出手段20の自己発熱を飽和するように、予め設定された自己発熱温度を検出された温度から減算処理することとすると、通電直後において自己発熱が生じていない場合にはマイナス側に誤差が生じることとなる。
【0062】
また、圧縮動作が停止された直後と圧縮動作が長時間停止された後とでは圧縮機構11(リップリング)の温度が大きく異なるため、どちらかの状態を基準にして検出温度を補正すると、他方の場合において誤差が生じてしまう。
【0063】
本実施形態においては、温度検出手段20が検出した温度を温度補正手段160が補正することで、上記したような誤差を最小限とし、制御基板または制御基板の周囲近傍に温度検出手段20を設けた場合でも、機械の温度をできるだけ正確に検出できるようになっている。具体的には、前記温度検出手段20の自己発熱を補正するための第1の温度補正値と、温度検出手段20の温度と圧縮機構11の温度との差を補正するための第2の温度補正値と、の2種類の温度補正値を使用することで、圧縮機構11(リップリング)の温度をより正確に推定できるように構成されている。
この温度補正処理について
図4のフローを参照しながら説明する。
【0064】
まず、
図4に示すステップS100において、電源スイッチ30がオンになる。このとき、時間計測手段120は、電源投入からの経過時間の計測を開始する。そして、ステップS101に進む。
【0065】
ステップS101では、温度検出手段20によって初期温度が測定される。この初期温度は、電源投入直後であるために制御基板や温度検出手段20の自己発熱の影響を受けておらず、外気温とほぼ等しい温度である。そして、ステップS102に進む。
【0066】
ステップS102では、初期温度が閾値以上であるかがチェックされる。初期温度が閾値以上である場合には、ステップS103に進む。一方、初期温度が閾値以上でない場合には、ステップS104に進む。
【0067】
ステップS103へ進んだ場合、機械が冷状態ではないので、タンク14内の圧力がオフ圧に達するまで通常運転(通常モードまたは静音モードの回転数の運転)を行う。そして、タンク14内の圧力がオフ圧に達したらモータ12を停止する。また、モータ12が停止すると同時に、時間計測手段120は、モータ12の停止時間の計測を開始する。そして、ステップS105に進む。
【0068】
ステップS104へ進んだ場合、機械が冷状態であるので、タンク14内の圧力がオフ圧に達するまで暖気運転を行う。すなわち、通常運転における高速回転以上にモータ12の回転数を上げることで、シール部材の熱膨張を促し、迅速にシール性能を向上させて圧縮効率を上昇させる。そして、タンク14内の圧力がオフ圧に達したらモータ12を停止する。また、モータ12が停止すると同時に、時間計測手段120は、モータ12の停止時間の計測を開始する。そして、ステップS105に進む。
【0069】
ステップS105では、圧縮空気が使用されてタンク14内の圧力がオン圧に到達するまで待機する。そして、タンク14内の圧力がオン圧に到達すると、圧縮機構11の再起動を開始する。そして、ステップS106に進む。
ステップS106では、温度検出手段20によって温度が測定されるとともに、測定された温度が温度補正手段160によって補正される。
【0070】
具体的には、温度補正手段160は、時間計測手段120が計測した時間情報を基に第1の温度補正値及び第2の温度補正値を選択し、この第1の温度補正値及び第2の温度補正値を温度検出手段20によって測定された温度値に適用することで、測定温度を補正する。
【0071】
第1の温度補正値は、上述したように、温度検出手段20の自己発熱を補正するためのものである。すなわち、
図5(a)に示すように、電源投入から時間が経過すると、温度検出手段20の自己発熱によって、温度検出手段20の検出温度が外気温よりも少しずつ高くなっていく。この検出温度と外気温との差は、一定量を超えるとほぼ横這い状態となり変化しない。このため、本実施形態においては、ほぼ横這い状態に移行するタイミングT1を基準として第1の温度補正値を選択するようになっている。
【0072】
第1の温度補正値の選択には、
図5(b)に示すような第1の温度補正値のデータテーブル200が使用される。この第1の温度補正値のデータテーブル200では、時間計測手段120が計測した電源投入からの時間を基に、第1の温度補正値を選択できるようになっている。具体的には、時間計測手段120が計測した電源投入からの時間がT1未満であれば第1の温度補正値としてF1が選択される。一方、電源投入からの時間がT1以上であれば第1の温度補正値としてF2が選択される。なお、F1はタイミングT1における検出温度と外気温との差H1よりも小さい値であり、F2はタイミングT1における検出温度と外気温との差H1とほぼ等しい値である。このF1及びF2の値を具体的にどのように設定するかは、電源投入からの時間と自己発熱との関係を実際に計測し、その計測結果から推測して決定すればよい。
【0073】
また、第2の温度補正値は、上述したように、温度検出手段20の温度と圧縮機構11の温度との差を補正するためのものである。すなわち、
図6(a)に示すように、モータ12の停止から時間が経過すると、温度検出手段20も圧縮機構11も少しずつ冷えいくが、このときの温度変化の推移に差異があることから、両者の温度差も一定ではない。本実施形態においては、3つのタイミングT2,T3,T4(T2<T3<T4)を基準として第2の温度補正値を選択するようになっている。
【0074】
第2の温度補正値の選択には、
図6(b)に示すような第2の温度補正値のデータテーブル300が使用される。この第2の温度補正値のデータテーブル300では、時間計測手段120が計測したモータ12の停止時間を基に、第2の温度補正値を選択できるようになっている。具体的には、時間計測手段120が計測したモータ12の停止時間がT2未満であれば第2の温度補正値としてS1が選択される。また、停止時間がT2以上T3未満であれば第2の温度補正値としてS2が選択される。また、停止時間がT3以上T4未満であれば第2の温度補正値としてS3が選択される。また、停止時間がT4以上であれば第2の温度補正値としてS4が選択される。
【0075】
なお、S1はH2(タイミングT2における温度検出手段20の温度と圧縮機構11の温度との差)とほぼ等しい値であり、S2はH2よりも小さくかつH3(タイミングT3における温度検出手段20の温度と圧縮機構11の温度との差)とほぼ等しい値であり、S3はH3よりも小さくかつH4(タイミングT4における温度検出手段20の温度と圧縮機構11の温度との差)とほぼ等しい値であり、S4はH4よりも小さい値である。このS1〜S4の値を具体的にどのように設定するかは、モータ12の停止時間に応じた温度検出手段20の温度と圧縮機構11の温度との差を実際に計測し、その計測結果から推測して決定すればよい。
【0076】
このように、第1の温度補正値と第2の温度補正値とが選択されたら、この補正値を使用して温度検出手段20の検出温度を補正する。具体的には、温度検出手段20の検出温度から、第1の温度補正値を減算するとともに、第2の温度補正値を加算することで、温度を補正して圧縮機構11の温度を推定する。
【0077】
なお、上記の例では、第1の温度補正値のデータテーブル200及び第2の温度補正値のデータテーブル300を1つずつ設けた場合について説明したが、これに限らず、
図7(a)(b)に示すように、第1の温度補正値のデータテーブル200及び第2の温度補正値のデータテーブル300を複数設けてもよい。この場合、各データテーブルは外気温に紐づけられており、外気温によってどのデータテーブルを使用するかが決定される。
【0078】
具体的には、
図7(c)に示すように、ステップS101で計測した初期温度が、D1未満である場合には、第1の温度補正値のデータテーブル200としてAが、第2の温度補正値のデータテーブル300としてDが選択される。また、初期温度が、D1以上かつD2未満である場合には、第1の温度補正値のデータテーブル200としてBが、第2の温度補正値のデータテーブル300としてEが選択される。また、初期温度が、D2以上である場合には、第1の温度補正値のデータテーブル200としてCが、第2の温度補正値のデータテーブル300としてFが選択される。
【0079】
このように、外気温(初期温度)に応じてどのデータテーブルを使用するかを選択してもよい。このように構成すれば、外気温を基準として温度を補正できるので、できるだけ正確な温度を取得することができる。例えば、外気温が低い場合には機械が急速に冷えるため、外気温が高い場合とは異なる補正値を使用することで、温度補正の精度を向上させることができる。
このように温度補正手段160が温度検出手段20の検出温度を補正したら、ステップS107に進む。
【0080】
ステップS107では、補正した温度が閾値以上であるかがチェックされる。補正した温度が閾値以上である場合には、ステップS108に進む。一方、補正した温度が閾値以上でない場合には、ステップS109に進む。
【0081】
ステップS108へ進んだ場合、機械が冷状態ではないので、タンク14内の圧力がオフ圧に達するまで通常運転(通常モードまたは静音モードの回転数の運転)を行う。そして、タンク14内の圧力がオフ圧に達したらモータ12を停止する。また、モータ12が停止すると同時に、時間計測手段120は、モータ12の停止時間の計測をリセットするとともに、モータ12の停止時間の再計測を開始する。そして、ステップS105に戻る。
【0082】
ステップS109へ進んだ場合、機械が冷状態であるので、タンク14内の圧力がオフ圧に達するまで暖気運転を行う。すなわち、通常運転における高速回転以上にモータ12の回転数を上げることで、シール部材の熱膨張を促し、迅速にシール性能を向上させて圧縮効率を上昇させる。そして、タンク14内の圧力がオフ圧に達したらモータ12を停止する。また、モータ12が停止すると同時に、時間計測手段120は、モータ12の停止時間の計測をリセットするとともに、モータ12の停止時間の再計測を開始する。そして、ステップS105に戻る。
なお、暖気運転に関しては、これ以外に圧力変化率における充填時間や運転開始からの時間で設定してもよい。
以下、ステップS105〜ステップS109を繰り返す。
【0083】
(まとめ)
以上説明したように、本実施形態によれば、温度補正手段160は、時間計測手段120が計測した時間情報を基に温度補正値を選択し、前記温度補正値を用いることで温度検出手段20が検出した温度を補正するので、空気圧縮機10の制御基板または制御基板周囲近傍に温度検出手段20を配設したにもかかわらず、機械の温度をできるだけ正確に検出することができる。よって、温度検出が必要な部分に別途温度検出手段20を設けなくてもよいので、製造コストを低減しつつ、できるだけ正確な温度を取得することができる。
【0084】
また、前記温度補正手段160は、前記モータ12の停止時間を基に前記温度補正値を選択するので、圧縮動作が停止された直後と圧縮動作が長時間停止された後とで異なる温度補正値を選択することができる。よって、圧縮動作の作動状態によって大きく異なる圧縮機構11(リップリング)の温度を、最小限の誤差で得ることができる。
【0085】
また、前記温度補正手段160によって補正された温度が所定の閾値を下回る場合に暖気運転を行う。すなわち、補正された温度を使用して暖気運転の必要性(リップリングの温度)を推定できるので、制御基板または制御基板周囲近傍に温度検出手段20を設けて製造コストを抑えつつも、正確に暖気運転の必要性を推定することができる。そして、暖気運転を実行することで、リップリングの熱膨張を促し、迅速にシール性能を向上させて圧縮効率を上昇させることができる。
【0086】
また、前記温度補正手段160は、電源投入からの経過時間を基に前記温度補正値を選択するので、通電直後(自己発熱なし)と所定時間以上通電された後(自己発熱あり)とで異なる温度補正値を選択することができる。よって、制御基板や温度検出手段20の自己発熱を考慮して温度補正値を選択し、できるだけ正確な温度を取得することができる。
【0087】
また、前記温度補正値として、前記温度検出手段20の自己発熱を補正するための第1の温度補正値と、前記温度検出手段20の温度と前記圧縮機構11の温度との差を補正するための第2の温度補正値と、を使用するので、自己発熱と圧縮機構11の温度変化との2つを考慮して、できるだけ正確な温度を取得することができる。
【0088】
なお、上記した実施形態においては、第2の温度補正値を、温度検出手段20の温度と前記圧縮機構11の温度との差を補正するための値としたが、これに限らず、温度検出手段20の温度と外気温との差を補正するための値としてもよい。
また、上記した実施形態においては、温度補正値を2種類使用したが、これに限らず、1種類の温度補正値のみを使用してもよい。
【0089】
また、上記した実施形態においては、補正した温度で暖気運転の可否を決定することとしたが、これに限らず、補正した温度を他の用途に使用してもよい。例えば、補正した温度を使用して周囲環境の温度を推定してもよい。そして、推定した外気温が高過ぎる場合には、空気圧縮機10の作動に適さない環境であることを報知するようにしてもよい。その他、補正した温度を使用して機械の温度を推定し、狭い場所で使用されていることや、冷却風吸い込み口の閉塞や故障の兆候などを検出するようにしてもよい。