特許第6263888号(P6263888)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6263888端末装置、オーディオ信号処理システムおよび端末装置のプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6263888
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】端末装置、オーディオ信号処理システムおよび端末装置のプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04S 7/00 20060101AFI20180115BHJP
   H04R 3/00 20060101ALI20180115BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20180115BHJP
【FI】
   H04S7/00 300
   H04R3/00 310
   H04Q9/00 301E
   H04Q9/00 331A
【請求項の数】5
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-152728(P2013-152728)
(22)【出願日】2013年7月23日
(65)【公開番号】特開2015-23542(P2015-23542A)
(43)【公開日】2015年2月2日
【審査請求日】2016年5月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125689
【弁理士】
【氏名又は名称】大林 章
(74)【代理人】
【識別番号】100121108
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 太朗
(72)【発明者】
【氏名】須山 明彦
(72)【発明者】
【氏名】青木 良太郎
【審査官】 下林 義明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−171889(JP,A)
【文献】 特開2008−042748(JP,A)
【文献】 特開2003−111171(JP,A)
【文献】 特開2010−028742(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04S 1/00 − 7/00
H04R 3/00 − 3/14
A63F 9/24
A63F 13/00 − 13/98
H04Q 9/00 − 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の対象のそれぞれを制御する処理装置と通信可能な端末装置であって、
前記複数の対象のいずれかを自装置の姿勢で特定する特定部と、
自装置が、前記複数の対象のいずれかが特定された姿勢から変化したときの当該姿勢の変化量を所定の制御項目についての制御量に変換する制御量変換部と、
を備え、
前記特定部により特定された対象を示す特定情報と、前記制御量に基づいた制御量情報とを前記処理装置に送信して、前記処理装置に当該特定した対象を制御させる
ことを特徴とする端末装置。
【請求項2】
利用者から操作によって前記制御項目を指定する操作受付部を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
前記制御量変換部は、
前記操作受付部に対して所定の操作がなされてからの姿勢変化量を前記制御量に変換する
ことを特徴とする請求項2に記載の端末装置。
【請求項4】
端末装置と、入力信号に所定の処理を施すとともに、複数のスピーカのそれぞれに対応したチャンネルの信号を出力するオーディオ信号処理装置とを有し、
前記端末装置は、
前記複数のスピーカのいずれかを自装置の姿勢により特定する特定部と、
自装置が、前記複数のスピーカのいずれかが特定された姿勢から変化したときの当該姿勢の変化量を、所定の制御項目についての制御量に変換する制御量変換部と、
前記特定部により特定されたスピーカを示す特定情報と、前記制御量に基づいた制御量情報を、前記オーディオ信号処理装置に送信する送信部と、
を備え、
前記オーディオ信号処理装置は、
前記特定情報と前記制御量情報とを受信する受信部と、
前記特定情報で示されるスピーカに対応するチャネルのオーディオ信号の前記制御項目について、前記制御量情報で規定される制御量で制御する処理部と、
を備えることを特徴とするオーディオ信号処理システム。
【請求項5】
複数の対象のそれぞれを制御する処理装置と通信可能なプロセッサを備えた端末装置のプログラムであって、
前記プロセッサを、
前記複数の対象のいずれかを自装置の姿勢で特定する特定部、および、
自装置が、前記複数の対象のいずれかが特定された姿勢から変化したときの当該姿勢の変化量を所定の制御項目についての制御量に変換する制御量変換部
として機能させるとともに、
前記特定部により特定された対象を示す特定情報と、前記制御量に基づいた制御量情報とを前記処理装置に送信して、前記処理装置に当該特定した対象を制御させる
ことを特徴とする端末装置のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば多機能電話のような端末装置によって制御の対象を特定するとともに、各種設定等を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
AVアンプやモニタなどのオーディオ機器では、近年、高機能化・多機能化に伴って、各種機能の設定や操作等が複雑化しつつある。そこで、このような操作等の複雑化を解消するために、例えば利用者がリモコン(端末装置)を手に持ってジェスチャーのような動きを与えることによって、テレビジョン受像器などに対して種々の調整・設定等を行う技術が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−251893公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記技術では、依然として設定や操作等が複雑であり、操作等の簡素化を図る余地があった。本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、設定や操作等の簡素化を図った端末装置、当該端末装置を含むオーディオ信号処理、および、コンピュータを当該端末装置として動作せるプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために本発明の第1態様に係る端末装置にあっては、複数の対象のそれぞれを制御する処理装置と通信可能な端末装置であって、前記複数の対象のいずれかを自装置の姿勢で特定する特定部と、自装置の姿勢が変化したときに、当該姿勢の変化量を所定の制御項目についての制御量に変換する制御量変換部と、を備え、前記特定部により特定された対象を示す特定情報と、前記制御量に基づいた制御量情報とを前記処理装置に送信して、前記処理装置に当該特定した対象を制御させることを特徴とする。
【0006】
この態様によれば、端末装置の姿勢によって制御の対象が特定される一方、端末装置の姿勢に変化したときに当該変化量に応じた制御量に変換されて、当該対象が制御される。
このため、利用者からすれば、制御の対象の特定から、当該機器における制御量の指定までを端末装置の姿勢および姿勢変化でコントロールすることができる。
なお、制御の対象と制御項目とは、制御されるものとしての概念でみれば共通であるが、制御の対象は、制御項目よりも上位の概念である。例えば、処理装置が、オーディオ信号処理装置である場合、制御の対象がチャンネルであれば、制御項目としては、そのチャンネルについて制御の対象として下位である音量や音域となる。
また、制御量とは、制御における現時点の設定値からの増減量をいう。このため、制御量に基づいた制御量情報とは、当該制御量そのものを示す情報であっても良いし、当該制御量によって増減された設定値であっても良い。
【0007】
上記態様において、利用者から操作によって前記制御項目を指定する操作受付部を備える構成としても良い。この構成によれば、利用者の意図にしたがって制御項目を指定することができる。
この構成において、前記制御量変換部は、前記操作受付部に対して所定の操作がなされてからの姿勢変化量を前記制御量に変換しても良い。これにより、利用者は、姿勢変化の始期を意識して端末装置の姿勢を変化させることができる。なお、所定の操作としては端末装置へのタッチオンなどが挙げられる。また、姿勢変化の終期を所定の操作とは異なる操作によって指定しても良い。このような操作としては、タッチオフなどが挙げられる。
【0008】
本発明は、端末装置のみならず、当該端末装置と、処理装置としてのオーディオ信号処理装置とを含むオーディオ信号処理システムや、プロセッサを備えた端末装置のプログラムとしても概念することができる。上記プログラムは記録媒体に格納されても良い。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係るオーディオシステムの構成を示すブロック図である。
図2】端末装置の検出部で検出される角度情報を説明する図である。
図3】設定値管理テーブルの一例を示す図である。
図4】スピーカの配置の一例を示す図である。
図5】オーディオシステムにおける動作を示すフローチャートである。
図6】オーディオシステムにおける動作を示すフローチャートである。
図7】オーディオシステムにおける動作を示すフローチャートである。
図8】基準方向設定の一例を示す図である。
図9】閾値方向設定の一例を示す図である。
図10】制御対象となるチャンネルの選択を示す図である。
図11】端末装置における表示部で表示される画面の一例を示す図である。
図12】端末装置における表示部で表示される画面の一例を示す図である。
図13】端末装置における表示部で表示される画面の一例を示す図である。
図14】端末装置における姿勢変化の一例を示す図である。
図15】端末装置における表示部で表示される画面の一例を示す図である。
図16】端末装置における表示部で表示される画面の一例を示す図である。
図17】設定された閾値方向の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、実施形態に係るオーディオシステムの構成を示すブロック図である。この図に示されるように、オーディオシステム1は、オーディオ信号処理装置40のほか、端末装置10と、再生部20と、モニタ30と、例えば5チャンネルに対応したスピーカ51〜55とを含む。
オーディオ信号処理装置40は、いわゆるAVアンプであり、5チャンネルのオーディオ信号毎に音量や音域などが調整可能となっている。なお、5チャンネルとは、FL(フロントレフト)、C(センタ)、FR(フロントライト)、SL(サラウンドレフト)およびSR(サラウンドライト)である。なお、サブウーファは省略されているが、設置して、5.1チャンネルとしても良いし、また、5(5.1)チャンネル以外であっても良い。
【0011】
端末装置10は、例えば利用者によって操作される携帯電話機である。本実施形態では、利用者が、オーディオ信号処理装置40において制御対象とするチャンネルを、当該チャンネルに対応したスピーカに端末装置10を向けることで指定するとともに、当該端末装置10を姿勢変化させることで、当該チャンネルの制御量(音量などの操作量)を指定する構成となっている。
端末装置10は、プロセッサやメモリなどを有するコンピュータであり、例えばインターネットにおける特定のサイトからダウンロードされた所定のアプリケーションプログラムが予めインストールされている。所定の操作によって当該アプリケーションプログラムが実行されたときに、端末装置10では、図に示されるように、管理部12、特定部13、制御量変換部15、操作受付部17、位置情報管理テーブルTB12および設定値管理テーブルTB13の機能ブロックが構築される。端末装置10では、これらの機能ブロックのほかに、検出部11および表示部16を含む構成となっている。
【0012】
図1において、検出部11は、端末装置10の姿勢等を検出するためのジャイロセンサや、当該端末装置10における所在位置を検出するGPS(Global Positioning System)などを総称したものである。このうち、ジャイロセンサは、例えば端末装置10における3軸の角度情報を出力し、GPSは、経度、緯度および高度(高さ)の位置情報を出力する。
【0013】
図2は、検出部11、特にジャイロセンサによって検出される端末装置10の角度について説明する図である。なお、図2の(a)は端末装置10の平面図を示し、(b)は正面図を示し、(c)は右側面図を示している。
この図に示されるように、ジャイロセンサは、略直方体形状の端末装置10の筐体中心を通って互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸の3軸のそれぞれについて回転角を検出する。具体的には、表示部16から視認方向(筐体の厚さ方向)に向かうZ軸を中心にして例えば図において反時計回りの回転角をヨー角(yaw)とし、筐体長手方向のY軸を中心にした反時計回りの回転角をロール角(roll)とし、筐体短手方向のX軸を中心にした反時計回りの回転角をピッチ角(pitch)として、それぞれ検出するとともに、検出した角度情報を出力する。
なお、検出部11では、地磁気方向や重力方向などの基準方向に対する角度の情報を出力する角度センサを併用しても良い。
【0014】
表示部16は、液晶表示装置や有機EL(Electro Luminescence)装置などのフラットディスプレイであり、各種の情報を表示する。
操作受付部17は、表示部16に重ねられたタッチパネル(図示省略)の出力から、当該タッチパネルに対した与えられた操作についての操作情報を出力する。
【0015】
管理部12は、主に、次の機能を有する。詳細には、管理部12は、第1に、操作受付部17からの操作情報に応じて各部を制御・管理する機能と、第2に、表示部16の表示内容を制御する機能と、第3に、検出部11による角度情報を特定部13または制御量変換部15に供給する機能と、第4に、通信部18に対して種々の情報をオーディオ信号処理装置40に送受信させる機能と、を有する。
【0016】
特定部13は、管理部12を介して検出部11により供給された角度情報から、端末装置10の姿勢を特定する。この特定に際し、特定部13は、必要に応じて位置情報管理テーブルTB12を参照する。なお、位置情報管理テーブルTB12には、図示を省略するが、スピーカ51〜55の位置情報が予め登録されるほか、利用者の位置情報が適宜登録される。なお、これらの位置情報は、例えば端末装置10の測位機能を用いて測定されたものである。
制御量変換部15は、供給された角度情報から、端末装置10における姿勢の変化量を算出するとともに、当該変化量を制御量に変換して管理部12に返信する。
通信部(送信部)18は、管理部12から供給された情報をオーディオ信号処理装置40に、例えば短距離無線通信により送信し、逆にオーディオ信号処理装置40から各種の情報を受信する。
設定値管理テーブルTB13は、詳細については後述するが、5チャンネル毎に音量や音域などの設定値が格納されている。
なお、端末装置10は、携帯電話機に限られず、タブレット型のコンピュータやPDA(Personal Digital Assistant)などでも良い。
【0017】
再生部20は、CD(compact disk)や、DVD(digital versatile disk)、BD(blu-ray disk)などの各種媒体を再生することによって、または、放送電波を受信することによって、再生信号を生成する。再生信号には音声信号のほか、再生媒体によっては映像信号が含まれる。モニタ30は、液晶表示装置やプラズマディスプレイなどであり、再生信号に含まれる映像信号に基づいた映像を表示する。
【0018】
一方、オーディオ信号処理装置40は、通信部41、増幅部48を有するほか、例えばファームウェアにしたがった制御を実行するDSP(Digital Signal Processor)などの処理部47を含む。このうち、通信部(受信部)41は、端末装置10の通信部18から送信された情報を受信する。処理部47は、再生部20による再生信号に含まれる音声信号を、例えば5チャンネルのオーディオ信号にデコードするとともに、設定値管理テーブルTB23に格納された設定値にしたがった音量や音域で出力する。
【0019】
図3は、設定値管理テーブルTB23(TB13)における設定値の格納例を示す図である。この図の例では、5チャンネル毎に音量や音域などの設定値が格納されている。本例において音量は例えば最低の「0」から最高の「99」までの数値が格納される。また、音域には、低音域を強調する「Bass」、高音域を調整する「Treble」があり、それぞれ例えば「−20」から「+20」までの数値が格納される。
なお、オーディオ信号処理装置40のフロントパネルには、音量や音域を個別に設定するためのつまみ(図示省略)が設けられ、これらのつまみの位置に応じた設定値が設定値管理テーブルTB23に格納される。
オーディオ信号処理装置40において設定値管理テーブルTB23に格納された設定値が変更されたとき、当該設定値は、通信部41、18を順に介して端末装置10に供給されて、設定値管理テーブルTB13に格納された設定値も更新される。反対に、端末装置10において設定値管理テーブルTB13に格納された設定値が変更されたとき、当該設定値は、通信部18、41を順に介してオーディオ信号処理装置40に供給されて、設定値管理テーブルTB23に格納された設定値も更新される。すなわち、設定値管理テーブルTB13、TB23では、設定値が互いに同期する構成となっている。
【0020】
図4は、スピーカ51〜55および利用者Lの位置関係について、当該スピーカが設置されるリスニングルームを平面視した状態で示す図である。
この図に示されるようにスピーカ51〜55の各々は、順番にFL、C、FR、SL、SRのチャンネルにそれぞれに対応している。詳細には、モニタ30の表示面のほぼ中心にCチャンネルのスピーカ52が設置され、利用者Lからみて、モニタ30の左側にFLチャンネルのスピーカ51が、同右側にFRチャンネルのスピーカ53がそれぞれ設置され、利用者Lの後方左側にSLチャンネルのスピーカ54が、後方右側にSRチャンネルのスピーカ55が、それぞれ設置される。
【0021】
次に、オーディオシステム1の動作について説明する。
図5は、オーディオシステム1の動作を端末装置10およびオーディオ信号処理装置40のそれぞれに分けて示すフローチャートである。
ここでは、端末装置10を携帯する利用者が、オーディオ信号処理装置40の至近に所在して、当該端末装置10(の通信部18)とオーディオ信号処理装置40(の通信部41)との間で近距離無線通信がすでに確立されるものとする。
なお、端末装置10においては、上記アプリケーションプログラムによって以下のステップSa11〜Sa14からなるメインルーチンを、例えば1秒間に4回繰り返して実行する。また、メインルーチンにおけるステップSa12の詳細については図6に、ステップSa14の詳細については図7に、それぞれサブルーチンとして示している。
【0022】
まず、端末装置10において、管理部12は、端末装置10において制御対象とするチャンネルが決定されていない状態(未確定)であるか否かを判別する(ステップSa11)。なお、はじめてステップSa11が実行される場合、この判別結果は「Yes」である。また、制御対象とするチャンネルが一旦、確定されていても、その確定したチャンネルを変更しようとする操作がなされていれば、同様に、この判別結果が「Yes」となる。ここで、チャンネルを変更しようとする操作とは、例えば、メニュー画面(図示省略)において所定の領域(ソフトウェアボタン)をタッチ操作するなどが挙げられる。
【0023】
制御対象とするチャンネルが確定していれば(ステップSa11の判別結果が「No」であれば)、処理手順はステップSa14にスキップする。
一方、制御対象とするチャンネルが未確定であれば(ステップSa11の判別結果が「Yes」であれば)、管理部12は、制御対象とするチャンネルを設定(仮決め)する処理を実行する(ステップSa12)。なお、ステップSa12の詳細については後述する。
【0024】
次に、管理部12は、制御対象とするチャンネルが設定された状態において、当該チャンネルを制御対象として確定させる旨の操作がなされた否かを判別する(ステップSa13)。なお、確定させる旨の操作としては、例えば後述するように表示部16の表示画面に対して利用者が所定のソフトウェアボタンをタッチ操作する、などが挙げられる。
なお、確定させる旨の操作がなされていない場合(ステップSa13の判別結果が「No」である場合)、処理手順がステップSa12に戻る。換言すれば、制御対象としてチャンネルが設定されて、当該設定されたチャンネルを確定させる操作がなされない限り、次のステップSa14の処理が実行されないようになっている。
【0025】
さて、制御対象とするチャンネルがすでに確定している場合(ステップSa11の判別結果が「No」である場合)、または、制御対象として設定されたチャンネルを確定させる操作がなされた場合(ステップSa13の判別結果が「Yes」である場合)、次のステップSa14の処理が実行される。ステップSa14について概略すれば、当該チャンネルについての制御項目が設定された場合、第1に、検出部11による角度情報から端末装置10の姿勢変化量が特定され、第2に、当該変化量が制御量に変換され、第3に、設定値管理テーブルTB13に格納された設定値のうち、制御対象のチャンネルについての制御項目に対応する設定値が、当該制御量だけ増減されて変更され、第4に、制御対象であるチャンネルを示す情報(特定情報)と、当該チャンネルについての制御項目を特定する情報と、変更後の制御量を示す情報(制御量情報)との3つの情報がオーディオ信号処理装置40に送信される。
【0026】
一方、ステップSa14において、チャンネルについての制御項目が設定されない場合、制御項目に対応する設定値が変更されず、オーディオ信号処理装置40に上記3つの情報が送信されない。
なお、ステップSa14の詳細については後述する。また、この後、端末装置10側において処理手順はステップSa11に戻る。
【0027】
一方、オーディオ信号処理装置40において、処理部47は、端末装置10から、当該3つの情報が通信部41によって受信された否かを判別する(ステップSb11)。受信されなければ(ステップSb11の判別結果が「No」であれば)、処理手順がステップSb11に戻る。このため、通信部41が端末装置10から情報を受信するまで、処理手順は次のステップSb12に進行しない。
当該情報が通信部41によって受信されれば(ステップSb11の判別結果が「Yes」であれば)、処理部47は、設定値管理テーブルTB23に格納された設定値のうち、当該チャンネルについての制御項目の設定値を、受信された制御量の分だけ増減する。これにより、処理部47では、制御対象のチャンネルのオーディオ信号について、当該チャンネルについて制御項目(音量、音域)を、変更後の設定値に調整して出力する(ステップSb12)。
【0028】
この後、処理手順は、ステップSb11に戻る。
したがって、オーディオ信号処理装置40では、通信部41が端末装置10から上記3つの情報を受信する毎にステップSb12が実行される。
【0029】
次に、上記ステップSa12におけるサブルーチン、すなわちチャンネルの設定の詳細について、図6のフローチャートを参照して説明する。
まず、端末装置10において管理部12は、現在の操作地点(リスニングポジション)に対応した基準方向が未設定であるか否かを判別する(ステップSc11)。
【0030】
本実施形態において、利用者が端末装置10の例えばY軸をスピーカ51〜55のいずれかに向けると、向けられたスピーカのチャンネルが制御対象のチャンネルとして設定される。
一方、端末装置10を携帯する利用者がオーディオ信号処理装置40を操作しようとする場合に、操作地点は必ずしも一意ではない。すなわち、スピーカ51〜55に対して操作地点の相対的な位置は、一意に決定しているわけではない。
そこで、現在の操作地点において、端末装置10のY軸が、例えばセンタ(C)のスピーカ52を向いたときの方向を、制御対象とするチャンネルを選択する際の基準方向に設定する。
【0031】
さて、現在の操作地点に対応した基準方向が設定済であれば(ステップSc11の判別結果が「No」であれば)、以下のステップSc12およびSc13の処理は不要であるので、処理手順はステップSc14にスキップする。
一方、基準方向が未設定であれば(ステップSc11の判別結果が「Yes」であれば)、管理部12は、次のようにして基準方向を設定する(ステップSc12)。
【0032】
詳細には、管理部12は、第1に、表示部16に表示させる画面を、図示省略したメニュー画面から、例えば図11に示されるような画面に切り替えて、利用者に対して為すべき行動をメッセージ60aで連絡する。このメッセージ60aによって、図8に示されるように利用者Lは、端末装置10のY軸をセンタ(C)のスピーカ52に向けて、ソフトウェアボタン62aをタッチする。タッチ操作の情報が操作受付部17から供給されると、管理部12は、第2に、当該タッチ時点において検出部11から出力されたヨー角と所在位置との情報を、メモリの作業領域(図示省略)に格納する。これにより、端末装置10のY軸が、操作地点からみてセンタ(C)のスピーカ52に向けられたときの角度情報、すなわち基準方向mcの情報が所在位置に対応付けられて取得される。
【0033】
次に、管理部12は、閾値方向を設定する(ステップSc13)。閾値方向とは、基準方向の設定後に、端末装置10のY軸がスピーカ51〜55のいずれかに向けられているのかを判断する際に用いられる。
この閾値方向については、管理部12は、第1に、特定部13を介して位置情報管理テーブルTB12からスピーカ51〜55の位置情報を取得するとともに、現時点における当該操作地点から、互いに隣り合うスピーカ同士の中間地点までを結ぶ想像上の方向を、閾値方向として規定する。詳細には、図9に示されるように、管理部12は、
操作地点からスピーカ51、52の中間点に向かう方向を閾値方向m12とし、
操作地点からスピーカ52、53の中間点に向かう方向を閾値方向m23とし、
操作地点からスピーカ53、55の中間点に向かう方向を閾値方向m35とし、
操作地点からスピーカ55、54の中間点に向かう方向を閾値方向m54とし、
操作地点からスピーカ54、51の中間点に向かう方向を閾値方向m41として、
それぞれ規定し、これらの閾値方向m12、m23、m35、m54、m41で定められる角度範囲を設定する。
【0034】
基準方向mcおよび閾値方向m12、m23、m35、m54、m41が規定されると、管理部12は、特定部13に対し次のようにして、端末装置10のY軸が基準方向mcから、どれだけ偏位して、スピーカ51〜55のいずれかに向けられているのかを判別させる(ステップSc14)。
詳細には、管理部12は、第1に、表示部16に、例えば図12の(a)に示されるようなメッセージ60bを表示させて、利用者に対して為すべき行動を連絡する。このメッセージ60bによって、利用者Lは、端末装置10のY軸を、制御対象とするチャンネルのスピーカに向ける。
管理部12は、検出部11から出力されたヨー角の情報を取得して、閾値方向の情報とともに特定部13に供給し、特定部13は、当該ヨー角で示される方向の基準方向mcに対する偏位角度から、閾値方向m12、m23、m35、m54、m41で定められる角度範囲のいずれかに属しているかを判別して、その判別結果を管理部12に供給する。
例えば、図10に示されるように、利用者Lが、端末装置10のY軸を基準方向mcから平面視で反時計回りに角度θだけ回転させた状態を想定する。この状態において、基準方向から角度θだけ回転させた方向は、閾値方向m12から閾値方向m41までの角度範囲内であるから、フロントレフト(FL)スピーカ51に向けられたと判別される。
【0035】
次に、管理部12は、当該特定部13による判別結果にしたがって、ヨー角で示される方向が属する角度範囲に対応するチャンネル(スピーカ)を制御対象に設定(仮決め)する(ステップSc15)。なお、ステップSc15の後、処理手順は、上述したメインルーチンのステップSa13に移行して、当該チャンネルを制御対象として確定させる旨の操作がなされた否かが判別される。
一方、管理部12は、利用者Lが端末装置10をスピーカのいずれかに向けているときに、例えば図12の(b)に示されるように、現時点において向けられていると判別しているスピーカ(チャンネル)を、太線で示す画面を表示させて、利用者Lに確認させる。図の例では、端末装置10が向けられているスピーカが、FLに対応していることが示されている。
【0036】
なお、利用者Lが端末装置10のY軸を制御対象とするチャンネルのスピーカに向けた状態で、図12の(b)の画面におけるソフトウェアボタン63aをタッチすると、上述したステップSa13の判別結果が「Yes」となって、管理部12は、当該タッチ時点において特定部13によって特定されているスピーカ(チャンネル)を制御対象として確定させる。
また、図12の(b)の画面において、利用者Lがソフトウェアボタン63a、63bのいずれも操作しない場合、処理手順はステップSa12、すなわち図6におけるチャネル設定処理を循環して、端末装置10が、どのチャンネルのスピーカに向けられていることを判別する処理が引き続き実行される。
一方、ソフトウェアボタン63bが操作された場合には、例えば図11の画面に戻して、基準方向mcの設定をやり直すようにしても良い。
【0037】
ところで、制御対象とするチャンネルが確定すれば、管理部12は、当該チャンネルについて、制御項目について制御・調整・送信の処理を実行する(ステップSa14)。そこで次に、このステップSa14におけるサブルーチン、すなわち制御項目の制御・調整・送信の処理の詳細について、図7のフローチャートを参照して説明する。
【0038】
まず、端末装置10において管理部12は、表示部16に対して、例えば図13に示されるような画面を表示させる(ステップSd11)。この画面には、利用者に対して為すべき行動を連絡するメッセージ60cと、メッセージ60cと、制御項目を選択させるソフトウェアボタン64、65、66と、この制御・調整の処理を終了させて、メインルーチン(図5参照)に戻ることを指定するソフトウェアボタン67とが含まれる。
なお、ソフトウェアボタン64は音量を、ソフトウェアボタン65は音域のBassを、ソフトウェアボタン66は音域のTrebleを、それぞれ制御項目として指定する。
【0039】
管理部12は、操作受付部17による操作情報から、上記ソフトウェアボタン64、65、66、67のいずれかがタッチされたか否かを判別する(ステップSd12)。ソフトウェアボタン64、65、66、67のいずれかがタッチされなければ(ステップSd12の判別結果が「No」であれば)、ステップSd12の処理が循環する。換言すれば、ソフトウェアボタン64、65、66、67のいずれかがタッチされない限り、以降の処理が実行されないようになっている。ソフトウェアボタン64、65、66、67がタッチされた場合(ステップSd12の判別結果が「Yes」である場合)、管理部12は、まず、当該タッチされたボタンがソフトウェアボタン67であるか否かを判別する(ステップSd13)。
【0040】
当該タッチされたボタンがソフトウェアボタン67である場合(ステップSd13の判別結果が「Yes」である場合)、このステップSa14における設定・調整の処理は終了し、処理手順が図5におけるステップSa11に戻る。なお、この場合、制御項目に対応する設定値が変更されなければ、ステップSa14に移行しても、通信部18は、なんら情報を送信しない。
一方、当該タッチされたボタンがソフトウェアボタン67以外である場合(ステップSd13の判別結果が「No」である場合)、すなわち、ソフトウェアボタン64、65、66のいずれかがタッチされた場合、管理部12は、当該タッチ操作(タッチオン)された時点における検出部11の角度情報を取得して、当該角度情報を一時的にメモリの作業領域(図示省略)に格納する(ステップSd14)。これにより、ソフトウェアボタン64、65、66のいずれかがタッチされた時点における姿勢状態の角度情報が取得される。
【0041】
次に、管理部12は、操作受付部17による操作情報から、タッチされたソフトウェアボタンから指等が離れたか否かを判別する(ステップSd15)。タッチ操作されたソフトウェアボタン64、65、65のいずれかから、指等が離れておらず、タッチ状態が維持されていれば(ステップSd15の判別結果が「No」であれば)、ステップSd14の処理が循環する。一方、タッチ操作されたソフトウェアボタン64、65、65のいずれかから、指等が離れてタッチ操作が解除されると、すなわちタッチオフされると(ステップSd12の判別結果が「Yes」になると)、管理部12は、当該タッチオフ時点における検出部11の角度情報を取得する(ステップSd16)。
【0042】
そして、管理部12は、ステップSa13に取得したタッチオン時点での角度情報と、今回取得したタッチオフした時点での角度情報とを制御量変換部15に供給し、当該制御量変換部15は、2つの姿勢状態を比較して、ピッチ角がどれだけ変化したのかを算出する(ステップSd17)。
例えば図14の(a)に示されるように、利用者が端末装置10のY軸を符号Aで示される方向(スピーカ51の方向)に向けた状態でソフトウェアボタン64、65、66のいずれか(図14では省略)をタッチしてから、同図の(b)に示されるように、当該Y軸を上向きの符号Bで示される方向に姿勢変化させるとともに、同図の(c)に示されるように、当該タッチしていたソフトウェアボタンから指を離したとき(タッチオフしたとき)、タッチオンからタッチオフまでの角度θaが角度変化量として算出される。
なお、図14においては、利用者が左手で端末装置10を把持し、右手の人差し指でソフトウェアボタンをタッチ操作しているが、片手だけで把持およびタッチ操作しても良いのは勿論である。
【0043】
続いて、制御量変換部15は、算出した角度変化量を、制御対象となっているチャンネルの制御項目についての設定値を増減させる量(制御量)に変換する(ステップSd18)。ここで、設定値の増減(制御量の正負)については、図2の(c)における反時計回り方向、すなわち、図14(b)において時計回り方向にピッチ角を変化させたときに、正とする。
【0044】
なお、角度変化量を制御量に変換する例としては、角度変化量の10度につき、音量であれば設定値を例えば「10」だけ増加または減少させる、BassまたはTrebleであれば、設定値を「4」だけ増加または減少させる、などのような単純な比例配分が考えられる。
また、単純な比例配分において、端末装置10の角度変化量を、利用者が端末装置10を図14に示されるように把持した状態から手首の捻りで与えられることができる最大の角度である約±90度の範囲で除して、設定値の調整範囲で正規化しても良い。例えば、制御項目が音量であれば、設定値の調整範囲が「0」〜「99」であり、調整範囲は「100」であるから、端末装置10のY軸が上向きに(ピッチ角をプラスの方向に)18度だけ姿勢変化であれば、当該角度変化量の18度が、制御量の「+10」に変換される。
また、角度変化の時間的な変化(速さ)に応じて、速ければ制御量を大きくなるように、遅ければ制御量を小さくなるように変換する構成としても良い。
【0045】
続いて、制御量変換部15は、変換した制御量を管理部12に供給し、当該管理部12は、設定管理テーブルTB13にアクセスして、制御対象のチャンネルについての制御項目に対応する設定値を当該制御量だけ増減し、更新する(ステップSd19)。
そして、管理部12は、上述したように、制御対象であるチャンネルを示す特定情報と、当該チャンネルについての制御項目を特定する情報と、変更後の制御量を示す制御量情報との3つの情報を、通信部18に供給し、通信部18は、これらの情報を、オーディオ信号処理装置40に送信する(ステップSd20)。なお、この後、処理手順はステップSd12に戻る。
【0046】
これらの3つの情報が受信されると、オーディオ信号処理装置40では、設定値管理テーブルTB23に格納された設定値のうち、当該チャンネルについての制御項目の設定値が、受信された制御量だけ増減されるとともに、制御対象のチャンネルのオーディオ信号の制御項目が、増減された後の設定値に変更される(ステップSb12)点については、上述した通りである。
このため、例えば制御対象のチャンネルがFLであって、タッチオンおよびタッチオフされたソフトウェアボタンが音量に対応したソフトウェアボタン64(図13参照)であった場合に、角度変化量θaが+18度であって、当該角度変化量が制御量として「+10」に変換されたとき、音量が「25」に相当する設定値から「10」だけ増加した「35」相当する設定値に変化する。
【0047】
なお、ここでは音量に対応したソフトウェアボタン64(図13参照)が操作されて、音量が変更される場合を例にとって説明したが、例えばBassに対応したソフトウェアボタン65が操作されれば、低音域が調整され、Trebleに対応したソフトウェアボタン66が操作されれば、高音域が調整される。
【0048】
このように本実施形態によれば、端末装置10の姿勢によって制御対象となるチャンネルが特定されるとともに、当該端末装置10の姿勢が変化したときに、当該姿勢変化に伴う角度変化量が制御量に変換されて、当該制御量を示す情報がオーディオ信号処理装置40に供給される。そして、当該オーディオ信号処理装置40では、制御対象のチャンネルのオーディオ信号の制御項目が設定値から当該制御量の分だけ増減されて調整される。このため、利用者からすれば、制御対象となるチャンネルの特定から、当該チャンネルにおける制御量の指定までを端末装置10の姿勢でコントロールすることができるので、利用者にとって判り易く、かつ、設定や操作等を簡素化することが可能になる。
また、実施形態では、制御項目である音量、Bass、Trebleを、ソフトウェアボタン64、65、66に選択する構成としているが、これらの制御項目について端末装置10の姿勢で特定しても良い。ただし、実施形態では、制御の対象であるチャンネルを、端末装置10の姿勢で選択しているので、制御項目については姿勢ではなく、表示画面へのタッチ操作、すなわち、操作受付部17からの指示に従う構成が好ましいと考えられる。
【0049】
<応用・変形例>
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、例えば次に述べるような各種の応用・変形が可能である。
【0050】
<制御項目、設定タイミング>
実施形態では、制御項目である音量、音量、Bass、Trebleの選択を、制御対象となるチャンネルの確定後としたが、制御対象となるチャンネルよりも前に、選択しておき、この後に、制御対象となるチャンネルを選択・確定、姿勢変化等で制御量の取得、という順序でも良い。
【0051】
<制御項目と角度情報>
実施形態では、端末装置10のピッチ角によって音量、音域の設定値を増減する構成としたが、ピッチ角に限られず、ロール角やヨー角であっても良い。例えばロール角によって設定値を増減する構成にすれば、端末装置10を、あたかも円形のつまみのような感覚で操作することができる。
また、音量、Bass、Trebleのそれぞれに、例えばピッチ角、ロール角、ヨー角を対応させて、これらの角度変化量によって、各設定値を個々に増減させる構成としても良い。
【0052】
<端末装置での表示等>
端末装置10において、管理部12が、姿勢変化時に、タッチオン時からの角度変化量に基づく設定値を表示部16に表示させて、当該姿勢変化に伴う角度変化によれば、どの程度設定値が増減するのかを示しても良い。
例えば、タッチオンしたら、図15に示されるような画面に切り換えるとともに、当該画面において音量の設定値を示すバー71を姿勢変化に合わせてスライド表示させても良い。また、このような画面に対してバー71をタッチによりスライドさせて、音量の増減を直接指示するように構成しても良い。
また、図16に示されるように、音量、Bass、Trebleのそれぞれに対応するバーを表示させるとともに、端末装置10の姿勢変化に合わせてスライド表示させても良いし、これらのバーに対するタッチにより、音量、音域の増減を指示するように構成しても良い。
【0053】
<基準方向の設定、再設定>
実施形態では、基準方向が設定されていれば(図6におけるステップSc11の判別結果が「No」であれば)、端末装置の方向を取得する構成としたが、一般的な5(5.1)チャンネルであれば、スピーカの配置とリスニングポジションとの位置関係が予め推奨されている場合がある。このような場合、利用者が推奨されているスピーカの配置に対し、推奨されているリスニングポジションで端末装置10を操作すると仮定すれば、自ずと基準方向が決まるので、敢えて基準方向を取得しなくても良い。
また、過去において基準方向が設定されていても、現時点における所在位置が、当該基準方向が設定された時点の所在位置から移動している可能性がある。そこで、ステップSc11の判別において、基準方向が設定されていても、当該判別時における利用者(端末装置10)の所在位置が、当該設定時における過去の所在位置と比較して、閾値距離以上離れていれば、処理手順をステップSs12に移行させて、基準方向を再設定するようにしても良い。
【0054】
<閾値方向等>
実施形態では、閾値方向については、図9に示されるように設定したので、端末装置10のY軸に応じて、制御対象であるチャンネル(スピーカ)のいずれかが特定される構成となっていた。これにかかわらず、閾値方向を追加的に設定して、チャンネルを特定できない不感帯を設定しても良い。例えば図17に示されるように、スピーカ51からスピーカ54までの範囲に、閾値方向m41a、m41bを設定するとともに、端末装置10のY軸が、閾値方向m41aから閾値方向m41bまでの角度範囲θ-insにあれば、制御対象であるチャンネル(スピーカ)を特定しない構成としても良い。同様に、スピーカ53からスピーカ55までの範囲に、閾値方向m35a、m35bを設定するとともに、端末装置10のY軸が、閾値方向m35aから閾値方向m35bまでの角度範囲内にあれば、制御対象であるチャンネル(スピーカ)を特定しない構成としても良い。
また、例えばスピーカ51、52、53が互いに近接して配置される場合、閾値方向m12、m23の角度が狭くなり、結果としてセンタ(C)を制御対象のチャンネルとして選択しにくくなる可能性がある。このような場合、閾値方向m12、m23の角度を拡げるようにしても良い。閾値方向m12、m23の角度を拡げて設定する際に、例えば閾値方向m41(m41a)、m35(m35a)で定まる角度範囲をほぼ3等分する地点に閾値方向m12、m23を設定して、制御対象としてフロントレフト(FL)、センタ(C)、フロントライト(FR)を選択する際の角度範囲を均等化する構成としても良い。
【0055】
<その他>
実施形態では、制御項目の設定値に対する増減分を示す制御量を、オーディオ信号処理装置40に供給したが、当該制御量の分だけ増減した設定値そのものを、オーディオ信号処理装置40に供給しても良い。すなわち、端末装置10からオーディオ信号処理装置40に供給する制御量情報は、制御量それ自体を示す情報であっても良いし、設定値を制御量で増減した後の値を示す情報であっても良い。
実施形態では、制御の対象として、オーディオ信号のチャンネルとしたが、これ以外であっても良い。また、制御項目を、制御の対象としたチャンネルの音量、音域としたが、イコライザー、遅延量などの項目であっても良い。すなわち、制御の対象で定まる項目を制御項目とすれば良い。例えば制御対象をエアコン、照明などにする一方、制御項目を、エアコンであれば冷房、暖房、除湿、設定温度、風量などにし、照明であれば、明るさなどにしても良い。
【符号の説明】
【0056】
10…端末装置、11…検出部、12…管理部、13…特定部、15…制御量変換部、17…操作受付部、18、41…通信部、30…モニタ、47…処理部、51〜55…スピーカ。
図1
図2
図3
図4
図5
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図15
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