特許第6263899号(P6263899)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ グラドコジャパン株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6263899-用紙後処理装置 図000002
  • 特許6263899-用紙後処理装置 図000003
  • 特許6263899-用紙後処理装置 図000004
  • 特許6263899-用紙後処理装置 図000005
  • 特許6263899-用紙後処理装置 図000006
  • 特許6263899-用紙後処理装置 図000007
  • 特許6263899-用紙後処理装置 図000008
  • 特許6263899-用紙後処理装置 図000009
  • 特許6263899-用紙後処理装置 図000010
  • 特許6263899-用紙後処理装置 図000011
  • 特許6263899-用紙後処理装置 図000012
  • 特許6263899-用紙後処理装置 図000013
  • 特許6263899-用紙後処理装置 図000014
  • 特許6263899-用紙後処理装置 図000015
  • 特許6263899-用紙後処理装置 図000016
  • 特許6263899-用紙後処理装置 図000017
  • 特許6263899-用紙後処理装置 図000018
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6263899
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】用紙後処理装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 29/04 20060101AFI20180115BHJP
   B65H 31/30 20060101ALI20180115BHJP
【FI】
   B65H29/04
   B65H31/30
【請求項の数】1
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-168887(P2013-168887)
(22)【出願日】2013年8月15日
(65)【公開番号】特開2015-36338(P2015-36338A)
(43)【公開日】2015年2月23日
【審査請求日】2016年8月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】391063352
【氏名又は名称】グラドコジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081709
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴若 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】木村 邦昭
【審査官】 佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−089464(JP,A)
【文献】 特開2005−187191(JP,A)
【文献】 特開2010−254475(JP,A)
【文献】 特開平06−024552(JP,A)
【文献】 特開2008−273659(JP,A)
【文献】 特開平06−166458(JP,A)
【文献】 特開平10−324430(JP,A)
【文献】 特開2001−261208(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/08− 5/20
B65H 29/00−29/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スタッカートレーを装置本体に備え、前記スタッカートレーに用紙をまとめて積載する用紙後処理装置であり、
前記装置本体に、
用紙を一時的に収納する用紙積載板と、
前記用紙積載板に収納された数枚の用紙をグリップして前記スタッカートレーに積載する用紙グリップ手段と、
前記用紙グリップ手段により前記用紙積載板に収納された数枚の用紙をグリップして移送する用紙移送手段と、を備え、
前記用紙グリップ手段は、
固定されるエジェクタと、
前記エジェクタに対し所定の角度程回転自在に構成されるグリッパーと、を有し、
前記エジェクタと前記グリッパーとにより前記数枚の用紙をグリップする構成であり、
前記エジェクタと前記グリッパーとによるグリップを解除するグリップ解除手段を備え、
前記グリップ解除手段は、前記用紙グリップ手段の移送により前記エジェクタと前記グリッパーとによるグリップを解除し、
前記スタッカートレーに用紙をまとめて積載する構成であり、
前記グリップ解除手段は、
前記装置本体に設けた解除ガイド部材を有し、
前記用紙グリップ手段は、
前記グリッパーのグリップを解除する解除レバーを有し、
前記解除レバーは、一端部が前記解除ガイド部材に当接し、これにより回転して他端部が前記グリッパーを前記エジェクタから離間させるように回転する構成であり、
前記用紙グリップ手段により前記解除レバーを前記解除ガイド部材に当接させながら移送し、
前記解除レバーにより前記エジェクタと前記グリッパーとによるグリップを解除し、
前記スタッカートレーに用紙をまとめて積載することを特徴とする用紙後処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、デジタル出力装置(例えば複写機、プリンター)に繋がり用紙をまとめて積載する用紙後処理装置に関するものである。特に、上下に移動しながら用紙を収納して積載するスタッカートレー上に用紙が整頓されたそのままの状態で積載できるようにする用紙後処理装置での用紙積載に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、複写機やプリンターのような画像形成装置には排紙からスタッカートレーに用紙を排出する用紙後処理過程中で用紙にステープリングする機能とスタッカートレーに積載される用紙をまとめる機能が具備されている。
【0003】
従来の用紙後処理時の用紙積載装置は、用紙をスタッカートレーに移動させるために上下方向に移動できるローラー構造が開示されている。これはローラーを下降させてから移送されてきた用紙をスタッカートレーの方に押して移動できるようにする構造である。
【0004】
このような構造では、ローラーの回転と摩擦力をもって用紙を移動させる過程で用紙が外されたり押されたりする恐れがある。また、スタッカートレーの上に用紙をローラーに移動させる過程で用紙がなかなかまとまらないこともあり、しかも、スタッカートレーの上に用紙が落ちる過程で用紙間の摩擦により用紙がまとまらないことがある。
【0005】
従って、スタッカートレーに用紙が積載されてから作業者が再度まとめなければならないという問題点があるため、この出願人は、用紙を用紙積載板に臨時積載してまとめてからまとめられた数枚の用紙をグリップし折れ曲がらないようにスタッカートレーに移送させて積載できるようにする用紙後処理装置を提案した(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−89464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、用紙を用紙積載板に臨時積載してまとめてからまとめられた数枚の用紙をグリップし、スタッカートレーに移送させる構成であり、グリッパーで用紙の後端部を掴み、掴んでいない用紙の両端部分を壁面にあてることによって引き抜く方式が採用されるが、この引き抜きはグリッパーの回転軌跡上で行っていることにより、その途中で用紙が壁面に接触してしまうと(壁面に対して用紙が平行でなく斜めだったりする場合)、壁面へのあたりが強くなるので、グリップしていない部分の用紙が撓み(めくれ上がり)易く、用紙にダメージをつけてしまう虞がある。
【0008】
この発明は、かかる点に鑑みてなされたもので、数枚の用紙をグリップして移送し、用紙にダメージを与えることなくスタッカートレーに積載することが可能な用紙後処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる課題を解決するために、この発明は、以下のように構成した。
【0012】
請求項に記載の発明は、スタッカートレーを装置本体に備え、前記スタッカートレーに用紙をまとめて積載する用紙後処理装置であり、
前記装置本体に、
用紙を一時的に収納する用紙積載板と、
前記用紙積載板に収納された数枚の用紙をグリップして前記スタッカートレーに積載する用紙グリップ手段と、
前記用紙グリップ手段により前記用紙積載板に収納された数枚の用紙をグリップして移送する用紙移送手段と、を備え、
前記用紙グリップ手段は、
固定されるエジェクタと、
前記エジェクタに対し所定の角度程回転自在に構成されるグリッパーと、を有し、
前記エジェクタと前記グリッパーとにより前記数枚の用紙をグリップする構成であり、
前記エジェクタと前記グリッパーとによるグリップを解除するグリップ解除手段を備え、
前記グリップ解除手段は、前記用紙グリップ手段の移送により前記エジェクタと前記グリッパーとによるグリップを解除し、
前記スタッカートレーに用紙をまとめて積載する構成であり、
前記グリップ解除手段は、
前記装置本体に設けた解除ガイド部材を有し、
前記用紙グリップ手段は、
前記グリッパーのグリップを解除する解除レバーを有し、
前記解除レバーは、一端部が前記解除ガイド部材に当接し、これにより回転して他端部が前記グリッパーを前記エジェクタから離間させるように回転する構成であり、
前記用紙グリップ手段により前記解除レバーを前記解除ガイド部材に当接させながら移送し、
前記解除レバーにより前記エジェクタと前記グリッパーとによるグリップを解除し、
前記スタッカートレーに用紙をまとめて積載することを特徴とする用紙後処理装置である。
【発明の効果】
【0013】
前記構成により、この発明は、以下のような効果を有する。
【0016】
請求項に記載の発明では、用紙グリップ手段の移送によりエジェクタとグリッパーとによるグリップを解除し、スタッカートレーに用紙をまとめて積載するから、用紙が壁面に接触しても用紙が撓む(めくれ上がり)ことがなくなり、用紙にダメージを与えることなくスタッカートレーに積載することができる。また、用紙グリップ手段により解除レバーを解除ガイド部材に当接させながら移送し、解除レバーによりエジェクタとグリッパーとによるグリップを解除し、スタッカートレーに用紙をまとめて積載することができ、解除ガイド部材と、解除レバーを備えるだけの簡単な構成である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】用紙後処理装置の概略構成を示した概略図である。
図2】用紙後処理装置の構成を示す斜視図である。
図3】用紙後処理装置での用紙積載の平面図である。
図4】用紙後処理装置での用紙積載装置の一部構成を示す斜視図である。
図5】用紙積載装置のグリッパーが用紙をグリップする前の状態を示す概略構造を示す平面図である。
図6】用紙積載装置のエジェクタが固定される固定軸の要部説明図である。
図7】用紙積載装置の用紙排出側を示す斜視図である。
図8】用紙積載装置のグリップ解除の構造図である。
図9】用紙積載装置のグリップ解除の作動を示す側面図である。
図10】用紙積載装置の動作過程説明図である。
図11】用紙積載装置の動作過程説明図である。
図12】用紙積載装置の動作過程説明図である。
図13】用紙積載装置の動作過程説明図である。
図14】用紙積載装置の動作過程説明図である。
図15】用紙積載装置の動作過程説明図である。
図16】用紙積載装置のエジェクタが固定される固定軸の要部説明図である。
図17】用紙積載装置のグリップ解除の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明の用紙後処理装置の実施の形態について説明する。この発明の実施の形態は、発明の最も好ましい形態を示すものであり、この発明はこれに限定されない。
【0019】
(第1の実施の形態)
この実施の形態の用紙後処理装置を図1乃至図15に基づいて説明する。図1は用紙後処理装置の概略構成を示した概略図、図2は用紙後処理装置の構成を示す斜視図、図3は用紙後処理装置での用紙積載の平面図、図4は用紙後処理装置での用紙積載装置の一部構成を示す斜視図、図5は用紙積載装置のグリッパーが用紙をグリップする前の状態を示す概略構造を示す平面図、図6は用紙積載装置のエジェクタが固定される固定軸の要部説明図、図7は用紙積載装置の用紙排出側を示す斜視図、図8は用紙積載装置のグリップ解除の構造図、図9は用紙積載装置のグリップ解除の作動を示す側面図、図10乃至図15は用紙積載装置の動作過程説明図である。
【0020】
この実施の形態の用紙後処理装置100は、デジタル出力装置(例えば複写機、プリンター)200に繋がり用紙をまとめて積載するものであり、上下に移動しながら用紙を収納して積載するスタッカートレー4上に用紙が整頓されたそのままの状態で積載できるようにする。
【0021】
この用紙後処理装置100は、用紙積載装置110を備え、デジタル出力装置200から移送される用紙Pが搬送路120を介して用紙積載装置110へ移送され、用紙積載装置110に用紙をまとめて積載し、スタッカートレー4の方に移動できるようにする構造である。
【0022】
この用紙積載装置110は、デジタル出力装置200から排出された用紙Pを一時的に収納し、その収納部の上面に収納された用紙をまとめるために左右移動自在の紙揃え装置24を有する用紙積載板5を具備する。
【0023】
用紙積載板5の中央部には、用紙積載板5に収納された数枚の用紙Pをグリップしてスタッカートレー4に移送させる用紙移送手段20が配置される。用紙移送手段20は、用紙移動方向に沿って循環できるように構成されるガイド手段80と、ガイド手段80に沿って移動しながら所定位置で用紙積載板に収納された用紙をグリップするように動作する一対の用紙グリップ手段21と、一対の用紙グリップ手段21がガイド手段80に沿って循環されるように駆動させる駆動手段22とを具備する。
【0024】
ガイド手段80は一対のガイド側板3を備え、このガイド側板3は、用紙Pが移送される方向に用紙積載板5の中央部に平行に一対が配設され、各々のガイド側板3には循環軌道を形成するレール溝3aおよび曲面カム3bが構成される。
【0025】
レール溝3aの循環軌道は、用紙積載板5の表面に対し平行になるよう構成される。また、曲面カム3bはレール溝3aの循環軌道が楕円を形成するガイド側板3の一側にレール溝3aと近接するように構成される。
【0026】
一方、ガイド側板3に嵌まれて駆動される一対の用紙グリップ手段21は、同様に構成され、それぞれの用紙グリップ手段21は、両端部がレール溝3aに嵌まれ、そのレール溝3aに沿って移動する固定軸12と、固定軸12の両側に結合されるエジェクタ2と、エジェクタ2に対し所定の角度程回転自在に構成されるグリッパー1からなる。レール溝3aに嵌まれる固定軸12の端部には、固定軸12の移動を円滑にするために軸受やローラー23などを設置することができる。
【0027】
固定軸12に固定されるエジェクタ2は、エジェクタ板15と、そのエジェクタ15に対し所定の角度に突設される支え台15aに構成され、支え台15aの端部にグリップ1の中央部がヒンジ部16により固定される。
【0028】
支え台15aの端部に固定されるグリッパー1は、ヒンジ部を中心として第1延長部1aと、第2延長部1bに区分され、第2延長部1bにはボス17が突設され、ガイド側板3の曲面カム3bと接続されるように構成される。一方、グリッパー1の第1延長部1aをエジェクタ2のエジェクタ板15に押し付けるように作用するスプリング18がヒンジ部16に嵌まって構成される。
【0029】
一対の用紙グリップ手段21は、固定軸12に取り付けられるエジェクタ2がガイド側板3のレール溝3aに沿って移動する過程でエジェクタ2がガイド側板3の曲面カム3bの位置に至るとエジェクタ2と結合されたグリッパー1のボス17が曲面カム3bと接続し、そのボス17に繋がれているグリッパー1の第2延長部1bが押されて回転される。従って、スプリング18の弾力により互いに接続されていたグリッパー1の第1延長部1aと、エジェクタ板15が互いに離隔されて用紙がグリップできる準備状態になる。
【0030】
第1延長部1aと、エジェクタ15が互いに離隔されて用紙がグリップできる準備状態でエジェクタ2がレール溝3aに沿ってさらに移動して曲面カム3bのエリアを放すと再度スプリング18の復元力によりグリッパー1の第1延長部1aと、エジェクタ2と、エジェクタ2のエジェクタ板15が接触される。つまり、グリッパー1の第1延長部1aと、エジェクタ2のエジェクタ板15間に嵌まる用紙Pをグリップすることができる。
【0031】
一方、ガイド側板3のレール溝3aに沿って一対の用紙グリップ手段21を循環させる駆動手段22は、グリップ側回転軸11bとスタッカートレー側回転軸11a間に嵌まる移送ベルト6と、グリップ側回転軸11bとスタッカートレー側回転軸11aを駆動させる駆動モータ7からなる。一対の用紙グリップ手段21は、無端移送手段である移送ベルト6の対称位置に設けられているが、複数設けることで処理速度が向上する。駆動モータ7と、スタッカートレー側回転軸11a間には、プリーギヤおよびタイミングベルトなどの動力伝達手段13が介されて駆動モータ7の回転力を伝達する。
【0032】
移送ベルト6は、用紙グリップ手段21の固定軸12が結合されて、その移送ベルト6の回転により用紙グリップ手段21と一緒に移動する。もちろん、用紙グリップ手段21は、固定軸12の端部がレール溝3aに嵌まっているのでレール溝3aに沿って移動するようになる。
【0033】
用紙グリップ手段21は、グリップ側回転軸11bに対応する位置で、用紙積載板5に収納された用紙Pをグリップし、スタッカートレー側回転軸11aに対応する位置で、グリップした用紙Pがスタッカートレー4に積載されるように構成する。
【0034】
この一方の用紙グリップ手段21がグリップ側回転軸11bに対応する位置に位置するとき、他方の用紙グリップ手段21がスタッカートレー側回転軸11aに対応する位置に位置するように構成する。
【0035】
この実施の形態の用紙後処理装置は、グリップ解除手段90を備え、このグリップ解除手段90の構成を、図7乃至図9に基づいて説明する。グリップ解除手段90は、用紙グリップ手段21の移送によりエジェクタ2とグリッパー1とによるグリップを解除し、スタッカートレー4に用紙をまとめて積載する。
【0036】
この実施の形態のグリップ解除手段90は、装置本体Aに設けた解除ガイド部材91を有し、この解除ガイド部材91はガイド側板3に設けられた突起で構成される。用紙グリップ手段21によりエジェクタ2とグリッパー1とにより用紙をグリップして移送し(図9(a))、この移送によってグリッパー1が解除ガイド部材91に当接し(図9(b))、さらにグリッパー1を解除ガイド部材91に当接させながら移送し、このためグリッパー1はスプリング18のスプリング力に抗してエジェクタ2から離間する方向に移動する。
【0037】
このグリッパー1の離間する方向によってグリッパー1とグリッパーとによる用紙のグリップを解除し(図9(c))、さらにグリッパー1が移送されることで用紙Pは落下してスタッカートレー4に積載される。そして、グリッパー1が解除ガイド部材91を乗り越えてからはずれ、スプリング18のスプリング力によって元の位置へ復帰して用紙グリップ手段21により移送される。
【0038】
このように、用紙グリップ手段21の移送によりエジェクタ2とグリッパー1とによるグリップを解除し、スタッカートレー4に用紙をまとめて積載するから、用紙Pが壁面に接触しても用紙Pが撓む(めくれ上がり)ことがなくなり、用紙Pにダメージを与えることなくスタッカートレー4に積載することができる。
【0039】
この実施の形態は、用紙グリップ手段21によりグリッパー1を解除ガイド部材91に当接させながら移送し、エジェクタ2とグリッパー1とによるグリップを解除する構成であり、解除ガイド部材91は、装置本体Aを構成するガイド側板3に設けられた突起であり、解除ガイド部材91を備えるだけの簡単な構成でグリップを解除することができる。
【0040】
次に、用紙後処理装置100での用紙積載装置110の動作過程を、図10乃至図15によって詳しく説明する。
【0041】
図10に図示したように、初期にはガイド側板3の曲面カム3bの基点にボス17が位置し、ボス17が曲面カム3bに沿って移動しながら内側に押されるのでスプリング18により接続されていたエジェクタ板15と、グリッパー1の第1延長部1aが離隔されて用紙Pがグリップできる状態になる。
【0042】
この状態でデジタル出力装置の複写が始まり、用紙Pが用紙の積載板5に所定の枚数で収納されればその信号を感知して駆動モータ7が回転するようになり、駆動モータ7の回転動力はグリップ側回転軸11bとスタッカートレー側回転軸11aに伝わり、グリップ側回転軸11bとスタッカートレー側回転軸11aに装着された移送ベルト6が回転移動する。
【0043】
移送ベルト6の移動により固定軸12に嵌まって固定されたエジェクタ2が、レール溝3aに沿って所定区間程移動するようになる。この時に、図11のごとく一方の用紙グリップ手段21のエジェクタ2が移動してグリッパー1のボス17が曲面カム3bのエリアを放すとヒンジ部16によりエジェクタ2と結合されているグリッパー1がスプリング18の復元力により元の位置に復帰される。
【0044】
グリッパー1が元の位置に復帰されれば積載された用紙Pをグリップするようになり、図12のごとく用紙Pをグリップした状態でエジェクタ2がレール溝3aに沿って移動するようになる。
【0045】
一方の用紙グリップ手段21が用紙Pをグリップした状態で、図13のごとくエジェクタ2が移動を続けスタッカートレー4の位置に至ると用紙Pの大部分の面がスタッカートレー4の面に接続される。用紙Pがスタッカートレー4の面に接続された状態で、エジェクタ2は継続して回転し、下方に移動するので用紙Pの端部をグリップしていたグリッパー1の第1延長部1aがそのままの状態で移動し、この移送によってグリッパー1が解除ガイド部材91に当接し、さらにグリッパー1を解除ガイド部材91に当接させながら移送する。このためグリッパー1は、図13のごとくスプリング18のスプリング力に抗してエジェクタ2から離間するように移動し、グリップされた用紙Pが第1延長部1aから分離され、グリップされた用紙Pをスタッカートレー4上に落下し、用紙が壁面に接触しても用紙が撓む(めくれ上がり)ことがなくなり、用紙にダメージを与えることなくスタッカートレー4に積載することができる。
【0046】
グリップされた用紙Pをスタッカートレー4に移送させ、用紙グリップ手段21が、図15のごとくグリッパー1の第1延長部1aと、エジェクタ2のエジェクタ板15が接続された状態にし、レール溝3aに沿って曲面カム3bの方に移動し、図10の状態になる動作を繰り返す。
【0047】
(第2の実施の形態)
この実施の形態を、図16及び図17に基づいて説明する。図16は用紙積載装置のエジェクタが固定される固定軸の要部説明図、図17は用紙積載装置のグリップ解除の説明図である。この実施の形態のグリップ解除手段90が、第1の実施の形態と異なる。この実施の形態のグリップ解除手段90は、第1の実施の形態と同様に、装置本体Aに設けた解除ガイド部材91を有するが、用紙グリップ手段21は、グリッパー1のグリップを解除する解除レバー96を有する。解除レバー96は、固定軸12に回動可能に設けられ、一端部96aが解除ガイド部材91に当接し、これにより解除レバー96が回転して他端部96bがグリッパー1をエジェクタ2から離間させるように回転する構成である。解除ガイド部材91は、ガイド側板3に設けられたガイド突起で構成される。
【0048】
この実施の形態では、用紙グリップ手段21により、グリップされた用紙Pをスタッカートレー4に移送させ、さらに解除レバー96の一端部96aが解除ガイド部材91に当接させながら移送すると、この移送により解除レバー96が回転して他端部96bがグリッパー1をエジェクタ2から離間させるように回転する(図17(a))。このように、解除レバー96によりエジェクタ2とグリッパー1とによるグリップを解除することで、グリップされた用紙Pをスタッカートレー4上に落下し、用紙が壁面に接触しても用紙が撓む(めくれ上がり)ことがなくなり、用紙にダメージを与えることなくスタッカートレー4に積載することができる (図17(b))。この実施の形態では、解除ガイド部材91と、グリッパー1をエジェクタ2から離間させる解除レバー96を備えるだけの簡単な構成でグリップを解除することができる。
【0049】
この発明は、前述した図面の構造により限られるものではなく、この発明の技術的な思想と言える範囲内の種々の置き換え、変形および変更できるということはこの発明の属する技術分野で通常の知識を持っている者には明白であろう。
【産業上の利用可能性】
【0050】
この発明は、デジタル出力装置(例えば複写機、プリンター)に繋がり用紙をまとめて積載する用紙後処理装置に適用でき、数枚の用紙をグリップして移送し、用紙にダメージを与えることなくスタッカートレーに積載することが可能である。
【符号の説明】
【0051】
A 装置本体
P 用紙
1 グリッパー
2 エジェクタ
3 ガイド側板
3a レール溝
3b 曲面カム
4 スタッカートレー
5 用紙積載板
6 移送ベルト
7 駆動モータ
11a スタッカートレー側回転軸
11b グリップ側回転軸
12 固定軸
13 動力伝達手段
15 エジェクタ板
16 ヒンジ部
17 ボス
18 スプリング
20 用紙移送手段
21 用紙グリップ手段
22 駆動手段
24 用紙揃え装置
23,89 ローラー
80 ガイド手段
90 グリップ解除手段
91 解除ガイド部材
96 解除レバー
100 用紙後処理装置
110 用紙積載装置
120 搬送路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17