(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、一実施形態について説明する。
【0012】
なお、以下で説明する実施形態に係るエンコーダは、回転型(ロータリタイプ)や直線型(リニアタイプ)など様々なタイプのエンコーダに適用可能である。以下では、エンコーダの理解が容易になるように、回転型のエンコーダを例に挙げて説明する。他のタイプのエンコーダに適用する場合には、被測定対象を回転型のディスクから直線型のリニアスケールに変更するなど適切な変更を加えることにより可能であるので、詳しい説明は省略する。
【0013】
<1.サーボシステム>
まず、
図1を参照しつつ、本実施形態に係るサーボシステムの構成について説明する。
図1に示すように、サーボシステムSは、サーボモータSMと、制御装置CTとを有する。サーボモータSMは、エンコーダ100と、モータMとを有する。
【0014】
モータMは、エンコーダ100を含まない動力発生源の一例である。モータMは、回転子(図示省略)が固定子(図示省略)に対して回転する回転型モータであり、回転子に固定されたシャフトSHを軸心AX周りに回転させることにより、回転力を出力する。
【0015】
なお、モータM単体をサーボモータという場合もあるが、本実施形態では、エンコーダ100を含む構成をサーボモータSMという。つまり、サーボモータSMはエンコーダ付きモータの一例に相当する。以下では、説明の便宜上、エンコーダ付きモータが、位置や速度等の目標値に追従するように制御されるサーボモータである場合について説明するが、必ずしもサーボモータに限定されるものではない。エンコーダ付きモータは、例えばエンコーダの出力を表示のみに用いる場合等、エンコーダが付設さえされていれば、サーボシステム以外に用いられるモータをも含むものである。
【0016】
また、モータMは、例えば位置データ等をエンコーダ100が検出可能なモータであれば、特に限定されるものではない。また、モータMは、動力源として電気を使用する電動式モータである場合に限定されるものではなく、例えば、油圧式モータ、エア式モータ、蒸気式モータ等の他の動力源を使用したモータであってもよい。但し、説明の便宜上、以下ではモータMが電動式モータである場合について説明する。
【0017】
エンコーダ100は、モータMのシャフトSHの回転力出力側とは反対側に連結される。但し、必ずしも反対側に限定されるものではなく、エンコーダ100はシャフトSHの回転力出力側に連結されてもよい。エンコーダ100は、シャフトSH(回転子)の位置を検出することにより、モータMの位置(回転角度ともいう。)を検出し、その位置を表す位置データを出力する。
【0018】
エンコーダ100は、モータMの位置に加えて又は代えて、モータMの速度(回転速度、角速度等ともいう。)及びモータMの加速度(回転加速度、角加速度等ともいう。)の少なくとも一方を検出してもよい。この場合、モータMの速度及び加速度は、例えば、位置を時間で1又は2階微分したり検出信号(例えば後述するインクリメンタル信号)を所定の時間カウントするなどの処理により検出することが可能である。説明の便宜上、以下ではエンコーダ100が検出する物理量は位置であるとして説明する。
【0019】
制御装置CTは、エンコーダ100から出力される位置データを取得して、当該位置データに基づいて、モータMの回転を制御する。従って、モータMとして電動式モータが使用される本実施形態では、制御装置CTは、位置データに基づいてモータMに印加する電流又は電圧等を制御することにより、モータMの回転を制御する。更に、制御装置CTは、上位制御装置(図示せず)から上位制御信号を取得して、当該上位制御信号に表された位置等を実現可能な回転力がモータMのシャフトSHから出力されるように、モータMを制御することも可能である。なお、モータMが、油圧式、エア式、蒸気式などの他の動力源を使用する場合には、制御装置CTは、それらの動力源の供給を制御することにより、モータMの回転を制御することが可能である。
【0020】
<2.エンコーダ>
次に、本実施形態に係るエンコーダ100について説明する。
図2に示すように、エンコーダ100は、ディスク110と、光学モジュール120と、位置データ生成部130とを有する。
【0021】
ここで、エンコーダ100の構造の説明の便宜上、上下等の方向を以下のように定め、適宜使用する。
図2において、ディスク110が光学モジュール120と面する方向、つまりZ軸正の方向を「上」とし、Z軸負の方向を「下」とする。但し、該方向はエンコーダ100の設置態様によって変動するものであり、エンコーダ100の各構成の位置関係を限定するものではない。
【0022】
(2−1.ディスク)
ディスク110は、
図3に示すように円板状に形成され、ディスク中心Oが軸心AXとほぼ一致するように配置される。ディスク110は、モータMのシャフトSHに連結され、シャフトSHの回転により回転する。なお、本実施形態では、モータMの回転を測定する被測定対象の例として、円板状のディスク110を例に挙げて説明するが、例えば、シャフトSHの端面などの他の部材を被測定対象として使用することも可能である。また、
図2に示す例では、ディスク110がシャフトSHに直接連結されているが、ハブ等の連結部材を介して連結されてもよい。
【0023】
図3に示すように、ディスク110は、複数のスリットトラックSA1,SA2,SIを有する。ディスク110はモータMの駆動と共に回転するが、光学モジュール120は、ディスク110の一部に対向しつつ固定して配置される。従って、スリットトラックSA1,SA2,SIと、光学モジュール120とは、モータMの駆動に伴い、互いに測定方向(
図3に示す矢印Cの方向。以下適宜「測定方向C」と記載する。)に相対移動する。
【0024】
ここで、「測定方向」とは、光学モジュール120でディスク110に形成された各スリットトラックを光学的に測定する際の測定方向である。本実施形態のように被測定対象がディスク110である回転型のエンコーダにおいては、測定方向はディスク110の中心軸を中心とした円周方向に一致するが、例えば被測定対象がリニアスケールであり、可動子が固定子に対して移動する直線型のエンコーダにおいては、測定方向はリニアスケールに沿った方向となる。なお、「中心軸」とはディスク110の回転軸心であり、ディスク110とシャフトSHが同軸に連結される場合にはシャフトSHの軸心AXと一致する。
【0025】
(2−2.光学検出機構)
光学検出機構は、スリットトラックSA1,SA2,SIと光学モジュール120とを有する。各スリットトラックは、ディスク110の上面にディスク中心Oを中心としたリング状に配置されたトラックとして形成される。各スリットトラックは、トラックの全周にわたって、測定方向Cに沿って並べられた複数の反射スリット(
図4における斜線ハッチング部分)を有する。1つ1つの反射スリットは、光源121から照射された光を反射する。
【0026】
(2−2−1.ディスク)
ディスク110は、例えば金属等の光を反射する材質により形成される。そして、ディスク110の表面における光を反射させない部分に反射率の低い材質(例えば酸化クロム等)を塗布等により配置することで、配置されない部分に反射スリットが形成される。なお、光を反射させない部分をスパッタリング等により粗面として反射率を低下させることで、反射スリットが形成されてもよい。
【0027】
なお、ディスク110の材質や製造方法等については特に限定されるものではない。例えば、ディスク110をガラスや透明樹脂等の光を透過する材質で形成することも可能である。この場合、ディスク110の表面に光を反射する材質(例えばアルミニウム等)を蒸着等によって配置することにより、反射スリットが形成可能である。
【0028】
スリットトラックは、ディスク110の上面において幅方向(
図3に示す矢印Rの方向。以下適宜「幅方向R」と記載する。)に3本併設される。なお、「幅方向」とは、ディスク110の半径方向、すなわち測定方向Cと略垂直な方向であり、この幅方向Rに沿った各スリットトラックの長さが各スリットトラックの幅に相当する。3本のスリットトラックは、幅方向Rの内側から外側に向けて、SA1,SI,SA2の順に同心円状に配置される。各スリットトラックについてより詳細に説明するために、ディスク110の光学モジュール120と対向する領域近傍の部分拡大図を
図4に示す。
【0029】
図4に示すように、スリットトラックSA1,SA2が有する複数の反射スリットは、測定方向Cでアブソリュートパターンを有するように、ディスク110の全周に配置される。
【0030】
なお、「アブソリュートパターン」とは、後述する光学モジュール120が有する受光アレイが対向する角度内における反射スリットの位置や割合等が、ディスク110の1回転内で一義に定まるようなパターンである。つまり、例えば、
図4に示すアブソリュートパターンの例の場合、モータMがある角度位置となっている場合に、対向した受光アレイの複数の受光素子それぞれの検出又は未検出によるビットパターンの組み合わせが、その角度位置の絶対位置を一義に表すことになる。なお、「絶対位置」とは、ディスク110の1回転内での原点に対する角度位置をいう。原点は、ディスク110の1回転内での適宜の角度位置に設定され、この原点を基準としてアブソリュートパターンが形成される。
【0031】
なお、このパターンの一例によれば、モータMの絶対位置を、受光アレイの受光素子数のビットにより、一次元的に表すようなパターンを生成できる。しかし、アブソリュートパターンは、この例に限定されるものではない。例えば、受光素子数のビットにより多次元的に表すパターンであってもよい。また、所定のビットパターン以外にも、受光素子で受光する光量や位相などの物理量が絶対位置を一義的に表すように変化するパターンや、アブソリュートパターンの符号系列が変調を施されたパターン等であってもよく、その他、様々なパターンであってもよい。
【0032】
なお、本実施形態では、同様のアブソリュートパターンが、測定方向Cで例えば1ビットの1/2の長さだけオフセットされて、2本のスリットトラックSA1,SA2として形成される。このオフセット量は、例えばスリットトラックSIの反射スリットのピッチPの半分に相当する。仮に、このようにスリットトラックSA1,SA2をオフセットさせた構成としない場合、次のような可能性がある。つまり、本実施形態のような一次元的なアブソリュートパターンにより絶対位置を表す場合、受光アレイPA1,PA2の各受光素子が反射スリットの端部近傍に対向して位置することによるビットパターンの変わり目の領域において、絶対位置の検出精度が低下する可能性がある。本実施形態では、スリットトラックSA1,SA2をオフセットさせるので、例えば、スリットトラックSA1による絶対位置がビットパターンの変わり目に相当する場合には、スリットトラックSA2からの検出信号を使用して絶対位置を算出したり、その逆を行うことにより、絶対位置の検出精度を向上できる。なお、このような構成とする場合、2つの受光アレイPA1,PA2における受光量を均一にする必要があるが、本実施形態では2つの受光アレイPA1,PA2を光源121から等距離に配置するので、上記構成を実現できる。
【0033】
なお、スリットトラックSA1,SA2の各アブソリュートパターン同士をオフセットさせる代わりに、例えば、アブソリュートパターン同士はオフセットさせずに、スリットトラックSA1,SA2それぞれに対応した受光アレイPA1,PA2同士をオフセットさせてもよい。
【0034】
一方、スリットトラックSIが有する複数の反射スリットは、測定方向Cでインクリメンタルパターンを有するように、ディスク110の全周に配置される。
【0035】
「インクリメンタルパターン」とは、
図4に示すように、所定のピッチで規則的に繰り返されるパターンである。ここで、「ピッチ」とはインクリメンタルパターンを有するスリットトラックSIにおける各反射スリットの配置間隔をいう。
図4に示すように、スリットトラックSIのピッチはPである。インクリメンタルパターンは、複数の受光素子による検出の有無それぞれをビットとして絶対位置を表すアブソリュートパターンと異なり、少なくとも1以上の受光素子による検出信号の和により、1ピッチ毎又は1ピッチ内のモータMの位置を表す。従って、インクリメンタルパターンは、モータMの絶対位置を表すものではないが、アブソリュートパターンに比べると非常に高精度に位置を表すことが可能である。
【0036】
なお、本実施形態では、スリットトラックSA1,SA2の反射スリットの測定方向Cにおける最小長さは、スリットトラックSIの反射スリットのピッチPと一致する。その結果、スリットトラックSA1,SA2に基づくアブソリュート信号の分解能は、スリットトラックSIの反射スリットの数と一致する。しかしながら、最小長さは、この例に限定されるものではなく、スリットトラックSIの反射スリットの数はアブソリュート信号の分解能と同じかそれよりも多く設定されることが望ましい。
【0037】
(2−2−2.光学モジュール)
光学モジュール120は、
図2及び
図5に示すように、ディスク110と平行な一枚の基板BAとして形成される。これにより、エンコーダ100を薄型化したり、光学モジュール120の製造を容易にすることが可能である。従って、ディスク110の回転に伴い、光学モジュール120は、スリットトラックSA1,SA2,SIに対して測定方向Cで相対移動する。なお、光学モジュール120は必ずしも一枚の基板BAとして構成される必要はなく、各構成が複数の基板として構成されてもよい。この場合、それらの基板が集約して配置されていればよい。また、光学モジュール120は基板状でなくともよい。
【0038】
光学モジュール120は、
図2及び
図5に示すように、基板BAのディスク110と対向する面上に、光源121と、複数の受光アレイPA1,PA2,PIL,PIRとを有する。
【0039】
図3に示すように、光源121は、スリットトラックSIと対向する位置に配置される。そして、光源121は、光学モジュール120の対向する位置を通過する3つのスリットトラックSA1,SA2,SIの対向した部分に光を出射する。
【0040】
光源121としては、照射領域に光を照射可能な光源であれば特に限定されるものではないが、例えば、LED(Light Emitting Diode)が使用可能である。光源121は、特に光学レンズ等が配置されない点光源として構成され、発光部から拡散光を出射する。なお、「点光源」という場合、厳密な点である必要はなく、設計上や動作原理上、略点状の位置から拡散光が発せられるものとみなせる光源であれば、有限な出射面から光が発せられてもよい。また、「拡散光」は、点光源から全方位に向かって放たれる光に限定されず、有限の一定の方位に向かって拡散しつつ出射される光を含む。すなわち、ここでいう拡散光には、平行光よりも拡散性を有する光であれば含まれる。このように点光源を使用することにより、光源121は、対向した位置を通過する3つのスリットトラックSA1,SA2,SIにほぼ均等に光を照射することが可能である。また、光学素子による集光・拡散を行わないので、光学素子による誤差等が生じにくく、スリットトラックへの光の直進性を高める事が可能である。
【0041】
複数の受光アレイは、光源121の周囲に配置され、対応付けられたスリットトラックの反射スリットで反射された光を各々受光する複数の受光素子(
図5のドットハッチング部分)を有する。複数の受光素子は、
図5に示すように、測定方向Cに沿って並べられる。
【0042】
なお、光源121から出射される光は拡散光である。従って、光学モジュール120上に投影されるスリットトラックの像は、光路長に応じた所定の拡大率εだけ拡大されたものとなる。つまり、
図4及び
図5に示すように、スリットトラックSA1,SA2,SIそれぞれの幅方向Rの長さをWSA1,WSA2,WSIとし、それらの反射光が光学モジュール120に投影された形状の幅方向Rの長さをWPA1,WPA2,WPIとすると、WPA1,WPA2,WPIは、WSA1,WSA2,WSIのε倍の長さとなる。なお、本実施形態では、
図5に示すように、各受光アレイの受光素子の幅方向Rの長さは、各スリットが光学モジュール120に投影された形状とほぼ等しく設定されている例を示している。しかし、受光素子の幅方向Rの長さは、必ずしもこの例に限定されるものではない。
【0043】
同様に、光学モジュール120における測定方向Cも、ディスク110における測定方向Cが光学モジュール120に投影された形状、つまり拡大率εの影響を受けた形状となる。理解が容易になるように、
図2に示すように光源121の位置における測定方向Cを例に挙げて、具体的に説明する。ディスク110における測定方向Cは、軸心AXを中心とした円状になる。これに対して、光学モジュール120に投影された測定方向Cの中心は、光源121が配置されたディスク110の面内位置である光学中心Opから距離εLだけ離隔した位置となる。距離εLは、軸心AXと光学中心Opとの間の距離Lが拡大率εで拡大された距離である。この位置を
図2では、概念的に測定中心Osとして示している。従って、光学モジュール120における測定方向Cは、光学中心Opから当該光学中心Opと軸心AXとが乗るライン上を軸心AX方向に距離εL離れた測定中心Osを中心とし、距離εLを半径とするライン上となる。
【0044】
図4及び
図5では、ディスク110及び光学モジュール120の各々における測定方向Cの対応関係を、円弧状のラインLcd,Lcpで表す。
図4に示すラインLcdは、ディスク110上の測定方向Cに沿った線を表す一方、
図5に示すラインLcpは、基板BA上の測定方向Cに沿った線(ラインLcdが光学モジュール120上に投影された線)を表す。
【0045】
図2に示すように、光学モジュール120とディスク110との間のギャップ長をGとし、光源121の基板BAからの突出量をΔdとした場合、拡大率εは、下記(式1)で示される。
ε=(2G−Δd)/(G−Δd) …(式1)
【0046】
1つ1つの受光素子としては、例えばフォトダイオードを使用することができる。但し、フォトダイオードに限定されるものではなく、光源121から出射された光を受光して電気信号に変換可能なものであれば、特に限定されるものではない。
【0047】
本実施形態における受光アレイは、3本のスリットトラックSA1,SA2,SIに対応して配置される。受光アレイPA1は、スリットトラックSA1で反射した光を受光するように構成され、受光アレイPA2は、スリットトラックSA2で反射した光を受光するように構成される。また、受光アレイPIL,PIRは、スリットトラックSIで反射した光を受光するように構成される。受光アレイPIL,PIRは途中で分割されているが、同一トラックに対応する。このように、1つのスリットトラックに対応した受光アレイは1つに限らず、複数であってもよい。
【0048】
光源121と、受光アレイPA1,PA2と、受光アレイPIL,PIRとは、
図5に示す位置関係に配置される。アブソリュートパターンに対応する受光アレイPA1,PA2は、幅方向Rにおいて光源121を間に挟んで配置される。この例では、受光アレイPA1は内周側、受光アレイPA2は外周側に配置される。本実施形態では、受光アレイPA1,PA2と光源121との距離は略等しくなっている。そして、受光アレイPA1,PA2が有する複数の受光素子は、それぞれ測定方向C(ラインLcp)に沿って一定のピッチで並べられる。受光アレイPA1,PA2では、それぞれスリットトラックSA1,SA2からの反射光が受光されることにより、受光素子数のビットパターンを有するアブソリュート信号が生成される。
【0049】
インクリメンタルパターンに対応する受光アレイPIL,PIRは、測定方向Cにおいて光源121を間に挟んで配置される。具体的には、受光アレイPIL,PIRは、光源121を含むY軸に平行な線を対称軸として線対称となるように配置され、受光アレイPA1,PA2の各々は、上記対称軸を中心に線対称な形状となっている。光源121は、測定方向Cに1トラックとして配置された受光アレイPIL,PIRの間に配置される。
【0050】
本実施形態ではアブソリュートパターンとして一次元的なパターンを例示しているので、それに対応した受光アレイPA1,PA2は、対応付けられたスリットトラックSA1,SA2の反射スリットで反射された光を各々受光するように測定方向C(ラインLcp)に沿って並べられた複数(本実施形態では例えば9)の受光素子を有する。この複数の受光素子では、上述のとおり、1つ1つの受光又は非受光がビットとして扱われ、9ビットの絶対位置を表す。従って、複数の受光素子それぞれが受光する受光信号は、位置データ生成部130において相互に独立して取り扱われて、シリアルなビットパターンに暗号化(コード化)されていた絶対位置が、これらの受光信号の組み合わせから復号される。この受光アレイPA1,PA2の受光信号を、「アブソリュート信号」という。なお、本実施形態とは異なるアブソリュートパターンが使用される場合には、受光アレイPA1,PA2は、そのパターンに対応した構成となる。
【0051】
受光アレイPIL,PIRは、対応付けられたスリットトラックSIの反射スリットで反射された光を各々受光するように測定方向C(ラインLcp)に沿って並べられた複数の受光素子を有する。
【0052】
本実施形態では、スリットトラックSIのインクリメンタルパターンの1ピッチ(投影された像における1ピッチ。すなわちε×P。)中に、合計4個の受光素子のセット(
図5に「SET」で示す)が並べられ、かつ、4個の受光素子のセットが測定方向Cに沿って更に複数並べられる。そして、インクリメンタルパターンは、1ピッチ毎に反射スリットが繰り返し形成されるので、各受光素子は、ディスク110が回転する場合、1ピッチで1周期(電気角で360°という。)の周期信号を生成する。そして、1ピッチに相当する1セット中に4つの受光素子が配置されるので、1セット内の相隣接する受光素子同士は、相互に90°の位相差を有する周期信号を検出することになる。この各受光信号を、A相信号、B相信号(A相信号に対する位相差が90°)、Aバー相信号(A相信号に対する位相差が180°)、Bバー相信号(B相信号に対する位相差が180°)と呼ぶ。
【0053】
インクリメンタルパターンは1ピッチ中の位置を表すので、1セット中の各位相の信号と、それと対応した他のセット中の各位相の信号とは、同様に変化する値となる。従って、同一位相の信号は、複数のセットにわたって加算される。従って、
図5に示す受光アレイPIの多数の受光素子からは、位相が90°ずつズレる4つの信号が検出されることとなる。従って、受光アレイPIL,PIRから位相が90°ずつズレる4つの信号がそれぞれ生成される。この4信号を、「インクリメンタル信号」という。
【0054】
なお、本実施形態では、インクリメンタルパターンの1ピッチに相当する1セットには受光素子が4つ含まれ、受光アレイPIL及び受光アレイPIRのそれぞれが同様の構成のセットを有する場合を一例として説明するが、例えば1セットに2つの受光素子が含まれる等、1セット中の受光素子数は特に限定されるものではない。また、受光アレイPIL,PIRが各々異なる位相の受光信号を取得するように構成されてもよい。
【0055】
(2−3.位置データ生成部)
位置データ生成部130は、モータMの絶対位置を測定するタイミングにおいて、光学モジュール120から、絶対位置を表すビットパターンをそれぞれ備えた2つのアブソリュート信号と、位相が90°ずつズレる4つの信号を含むインクリメンタル信号とを取得する。そして、位置データ生成部130は、取得した信号に基づいて、これらの信号が表すモータMの絶対位置を算出し、算出した絶対位置を表す位置データを制御装置CTに出力する。
【0056】
なお、位置データ生成部130による位置データの生成方法は、様々な方法が使用可能であり、特に限定されるものではない。ここでは、インクリメンタル信号とアブソリュート信号とから絶対位置を算出し位置データを生成する場合を例にとって説明する。
【0057】
位置データ生成部130は、受光アレイPA1,PA2からのアブソリュート信号のそれぞれを2値化し、絶対位置を表すビットデータに変換する。そして、予め定められたビットデータと絶対位置との対応関係に基づいて、絶対位置を特定する。一方、受光アレイPIL,PIRからの4つの位相それぞれのインクリメンタル信号のうち、180°位相差のインクリメンタル信号同士を相互に減算する。このように180°位相差のある信号を減算することで、1ピッチ内の反射スリットの製造誤差や測定誤差などを相殺可能である。上述のように減算された結果の信号を、ここでは「第1インクリメンタル信号」及び「第2インクリメンタル信号」という。この第1インクリメンタル信号及び第2インクリメンタル信号は相互に電気角で90°の位相差を有する(単に「A相信号」、「B相信号」などという。)。そこで、この2つの信号から、位置データ生成部130は、1ピッチ内の位置を特定する。この1ピッチ内の位置の特定方法は、特に限定されない。例えば、周期信号であるインクリメンタル信号が正弦波信号である場合には、上記特定方法の例として、A相及びB相の2つの正弦波信号の除算結果をarctan演算することにより電気角φを算出する方法がある。あるいは、トラッキング回路を用いて2つの正弦波信号を電気角φに変換する方法もある。あるいは、予め作成されたテーブルにおいてA相及びB相の信号の値に対応付けられた電気角φを特定する方法もある。なおこの際、位置データ生成部130は、好ましくは、A相及びB相の2つの正弦波信号を各検出信号毎にアナログ−デジタル変換する。
【0058】
位置データ生成部130は、アブソリュート信号に基づいて特定された絶対位置に、インクリメンタル信号に基づいて特定された1ピッチ内の位置を重畳する。これにより、アブソリュート信号に基づく絶対位置よりも高分解能な絶対位置を算出することができる。位置データ生成部130は、このようにして算出した絶対位置を逓倍処理して分解能をさらに向上させた後、高精度な絶対位置を表す位置データとして制御装置CTに出力する。
【0059】
(2−4.光源幅と受光素子幅との関係)
本実施形態では、光源121の出射面の測定方向における幅φ(以下単に「光源幅φ」という。)と、受光アレイPA1,PA2の各受光素子の測定方向における幅x(以下単に「受光素子幅x」という。)とが、所定の関係となるように設定される。この詳細について説明する。
【0060】
図6は、光源幅φと、スリットトラックSA1,SA2の各反射スリットの測定方向における最小の幅y(以下単に「スリット幅y」という。)と、受光素子幅xと、受光面における光量との関係を示す図である。なお、
図6では説明の便宜上、反射スリットにより反射された光を透過した態様で示している。また、実際にはスリットトラックSA1,SA2の各スリットは最小幅y(スリットトラックSIのピッチPと同じ)ごとに存在あるいは不存在となることで測定方向に所定のビットパターンとなるように形成されるが、ここでは説明の便宜上、幅yのスリットが間隔yをおいて隣り合う態様で示している。
【0061】
通常、光源121は完全な理想点光源とはならず、有限の発光面積を有する光源となる。このため、
図6に示すように、光源121から出射されディスク110のスリットトラックSA1,SA2で反射された光の受光面における受光量は、境界部(測定方向の両端部)において少なくなり、各スリットに対しいずれも台形状の光量分布となる。ここでは、受光面における光量が最大となる領域を明部LA、反射スリット間の領域に対応して位置することによりスリットトラックSA1,SA2で反射された光が届かない領域を暗部DA、明部LA及び暗部DAの測定方向における幅をそれぞれWLA,WDAとする。
【0062】
明部LAの幅WLAは、次のように表すことができる。
図6に示すように、三角形acd(以下単に「△acd」と記載する。他の三角形も同様。)と△afhが相似であることより、y:fh=u:u+vとなり、fh={y×(u+v)}/uとなる。一方、△dbaと△dghが相似であることより、φ:gh=u:vとなり、gh=(φ×v)/uとなる。以上より、WLA=fh−gh={y×(u+v)}/u−(φ×v)/u={y×(u+v)−φ×v}/uとなる。なお、uは光源121の発光面とスリットトラックSA1,SA2の反射面(ディスク110の表面)との間隔、vはスリットトラックSA1,SA2の反射面と受光アレイPA1,PA2の受光面との間隔である。
【0063】
一方、暗部DAの幅WDAは、次のように表すことができる。
図6に示すように、△bdiと△bgjが相似であることより、y:gj=u:u+vとなり、gj={y×(u+v)}/uとなる。一方、上述のように△dbaと△dghが相似であることより、gh=(φ×v)/uとなる。以上より、WDA=gj−gh={y×(u+v)}/u−(φ×v)/u={y×(u+v)−φ×v}/uとなる。すなわち、明部LAの幅WLAと暗部DAの幅WDAは同一となる。
【0064】
ここで本実施形態では、光源幅φと受光素子幅xとは、受光アレイPA1,PA2の受光素子が暗部DA内に収まるように設定されるので、受光素子幅xが暗部DAの幅WDA以内となる。つまり、u=vでない場合、光源幅φと受光素子幅xとが、x≦{y×(u+v)−φ×v}/uの関係式を満たすように設定される。この式を光源幅φについて整理すると、φ≦{y×(u+v)−u×x}/vとなる。なお、各受光素子のピッチP1は、反射スリットのピッチ2yが拡大率ε(
図6に示す例ではε=(u+v)/u)で拡大された距離となる。これにより、受光素子は、スリットトラックの移動につれて、明部LAと暗部DAの両方に収まることとなる。その結果、明部LAでは検出信号の出力を最大に、暗部DAでは検出信号の出力を最小とすることができるので、検出信号の振幅を増大させ、検出精度を高めることが可能となる。
【0065】
なお、本実施形態では、
図2に示すように光学モジュール120とディスク110との間のギャップ長がG、光源121の基板BAからの突出量がΔdであることから、u=G−Δd、v=Gとなる。仮に、Δdが無視できる程小さい値である場合、u=v(=G)となり、上記関係式は、x≦2×y−φ、あるいは、φ≦2×y−xとなる。さらにこの場合において、受光素子幅xとスリット幅yとが等しい場合には、上記関係式は、y≧φ、あるいは、φ≦yとなる。
【0066】
<3.本実施形態による効果の例>
本実施形態では、上述のように、光源幅φと受光素子幅xとが、受光アレイPA1,PA2の受光素子が暗部DA内に収まるように設定されるので、受光素子の検出信号の振幅を増大させ、検出精度を高めることが可能となる。
【0067】
この検出精度の向上効果の一例について、
図7を用いて説明する。
図7は、光源幅φと、スリット幅yと、受光面における光量と、検出信号の振幅との関係を示す図である。ここでは、説明の便宜上、uとvが等しく、且つ、受光素子幅xとスリット幅yとが等しい場合について説明する。
【0068】
図7の左側に示す関係のように、光源幅φがスリット幅yの2倍以上である場合、受光アレイPA1,PA2の受光面上における光量分布は三角形状となり、光源幅φがスリット幅yの2倍未満となると光量分布は台形形状となる。光源幅φが小さくなるにつれて台形形状の光量分布の平坦領域の幅(上述の明部LAに相当)が大きくなると共に、平坦領域の両側に位置する傾斜領域の幅が小さくなる。
図7の中央に示す関係のように、光源幅φがスリット幅yに等しくなると、光量分布の平坦領域と2つの傾斜領域の幅がそれぞれyとなる。
図7の右側に示す関係のように、さらに光源幅φが小さくなると、光量分布の平坦領域の幅がさらに大きくなると共に、傾斜領域の幅がさらに小さくなる。
【0069】
ここで、各受光素子が出力する検出信号の振幅は、光量分布を受光素子が位置する領域に対応する区間で積分した値となる。すなわち、光量分布の最大値(光量分布の最高地点の高さ)をLmaxとすると、検出信号の振幅の最大値はLmaxと受光素子幅xとの積で表される。したがって、受光素子幅xがyである場合、光量分布の平坦領域の幅がy以上の場合には平坦領域が積分区間以上となるので検出信号の振幅は最大値(Lmax×x)に到達するが、平坦領域の幅がx未満の場合には平坦領域が積分区間未満となるので検出信号の振幅が最大値に到達しないことになる。検出信号の振幅が最大値に到達しない場合、振幅をしきい値と比較して二値化により絶対位置信号を生成する際に、例えばしきい値の変動や光量分布の変動等が生じた場合に正確な二値化ができない場合が生じうるので、検出精度の低下を招くおそれがある。
【0070】
本実施形態では、光源幅φと受光素子幅xとが前述の関係式を満たすように設定される。この例では、上記関係式はφ≦yとなる。つまり、光源幅φをスリット幅y以下とするので、
図7の中央及び右側に示す関係のように、光量分布の平坦領域の幅をy以上とすることができる。これにより、検出信号の振幅を最大値(Lmax×x)に到達させることができるので、検出精度を高めることが可能となる。
【0071】
なお、
図7に示すように、光源幅φがスリット幅yに等しい場合、光量分布の平坦領域と2つの傾斜領域の幅がそれぞれyとなり、光源幅φが小さくなるにつれて、光量分布における平坦領域の割合が大きくなり、検出信号の波形が矩形に近い形状となる。
図7の右側には、光源幅φがスリット幅yより小さい場合の一例として、光源幅φがスリット幅yの半分に等しい場合を示している。この場合、光量分布の平坦領域の幅は3/2×y、2つの傾斜領域の幅はy/2となる。このように、検出信号の波形が矩形に近づくことで、振幅をしきい値と比較して二値化により絶対位置信号を生成する際に、例えばしきい値の変動や光量分布の変動等が生じた場合における検出位置の変動幅を小さくすることが可能となる。したがって、検出精度をさらに高めることが可能となる。
【0072】
<4.変形例>
以上、添付図面を参照しながら一実施の形態について詳細に説明した。しかしながら、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範囲は、ここで説明した実施の形態に限定されるものではない。本実施形態の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、技術的思想の範囲内において、様々な変更や修正、組み合わせなどを行うことに想到できることは明らかである。従って、これらの変更や修正、組み合わせなどが行われた後の技術も、当然に技術的思想の範囲に属するものである。
【0073】
(4−1.インクリメンタル用受光アレイを非分割配置)
上記実施形態では、インクリメンタルパターンに対応する受光アレイPIが測定方向において光源121を間に挟んで分割して配置される場合を説明したが、例えば
図8に示すように、受光アレイPIが分割されずに1本の受光アレイとして配置されてもよい。この例では、受光アレイPIは、光源121に対し中心軸と反対側(外周側)に配置される。受光アレイPIは、ピッチPのインクリメンタルパターンを有するスリットトラックSIで反射した光を受光するように構成される。受光アレイPA1,PA2は上記実施形態と同様である。図示は省略するが、この場合、ディスク110では、3本のスリットトラックが幅方向Rの内側から外側に向けて、SA1,SA2,SIの順に配置されることになる。
【0074】
当該構成をとる場合には、上記実施形態と同様の効果に加え、ディスク110の偏心に対するロバスト性を高めることが可能である。つまり、一般に、ディスク110の偏心による検出誤差はスリットトラックの半径に依存する性質があり、半径が小さいと誤差が大きくなり、半径が大きいと誤差が小さくなる。したがって、インクリメンタル信号の偏心に対するロバスト性を高める場合には、本変形例のように、受光アレイPIが光源121に対し中心軸と反対側に配置される構成を取りうる。これにより、ディスク110ではスリットトラックSIが外周側に配置されることとなり、該スリットトラックSIの半径を大きくすることができる。その結果、インクリメンタル信号を出力する受光アレイPIの偏心による検出誤差を小さくでき、偏心に対するロバスト性を高めることができる。また、スリットトラックSIのピッチを大きく確保することが可能となる。
【0075】
なお、上記変形例では、受光アレイPIが光源121に対し中心軸と反対側に配置される場合を一例として説明したが、光源121に対し中心軸側(内周側)に配置されてもよい。また、受光アレイPIが受光アレイPA1,PA2の間に配置されてもよい。但し、上述した偏心に対するロバスト性を高める効果を得る場合には、上記変形例の構成をとることが望ましい。
【0076】
(4−2.アブソリュート用受光アレイを1つのみ配置)
上記実施形態では、エンコーダ100がアブソリュートパターンを有する2本のスリットトラックSA1,SA2を有すると共に、それらのスリットトラックSA1,SA2で反射した光をそれぞれ受光するように構成された2つの受光アレイPA1,PA2を有するようにしたが、これに限定されない。例えば、
図9に示すように、光学モジュール120がアブソリュートパターンに対応する受光アレイPAを1つのみ有するようにしてもよい。この例では、受光アレイPAは光源121に対し中心軸側(内周側)に配置されているが、光源121に対し中心軸と反対側(外周側)に配置されてもよい。なお、受光アレイPAは、
図5に示す受光アレイPA1と同様の構成である。図示は省略するが、この場合、ディスク110では、2本のスリットトラックが幅方向Rの内側から外側に向けて、SA,SIの順に配置されることになる。なお、スリットトラックSAは、
図4に示すスリットトラックSA2と同様の構成である。
【0077】
当該構成をとる場合には、上記実施形態と同様の効果に加え、受光アレイの数を少なくできるので光学モジュール120を小型化することが可能であるが、前述したようにビットパターンの変わり目の領域において絶対位置の検出精度が低下するのを防止する場合には、上記実施形態のようにアブソリュートパターンに対応する受光アレイを2つ配置する構成をとることが望ましい。
【0078】
(4−3.インクリメンタル用受光アレイを非分割配置、アブソリュート用受光アレイを1つのみ配置)
上記実施形態では、インクリメンタルパターンに対応する受光アレイPIが分割して配置され、且つ、アブソリュート用の2つの受光アレイPA1,PA2を設ける場合を説明したが、これに限定されない。例えば、
図10に示すように、受光アレイPIが分割されずに1本の受光アレイとして配置され、且つ、アブソリュートパターンに対応する受光アレイPAを1つのみ設けるようにしてもよい。この例では、受光アレイPIが光源121に対し中心軸と反対側(外周側)に配置され、受光アレイPAが光源121に対し中心軸側(内周側)に配置されている。図示は省略するが、この場合、ディスク110では、2本のスリットトラックが幅方向Rの内側から外側に向けて、SA,SIの順に配置されることになる。
【0079】
当該構成をとる場合には、上記実施形態と同様の効果に加え、上記変形例(4−1)及び(4−2)と同様の効果を得る。なお、上記変形例では、受光アレイPIが光源121の外周側、受光アレイPAが光源121の内周側に配置される場合を一例として説明したが、反対に受光アレイPIが光源121の内周側、受光アレイPAが光源121の外周側に配置されてもよい。但し、上述した偏心に対するロバスト性を高める効果を得る場合には、上記変形例の構成をとることが望ましい。
【0080】
(4−4.透過型エンコーダ)
以上においては、光源と受光アレイとがディスク110のスリットトラックに対し同じ側に配置された、いわゆる反射型エンコーダである場合を例にとって説明したが、これに限定されない。すなわち、光源と受光アレイとがディスク110を挟んで反対側に配置された、いわゆる透過型エンコーダであってもよい。この場合、ディスク110において、スリットトラックSA1,SA2,SIの各スリットを透過スリットとして形成する、あるいは、スリット以外の部分をスパッタリング等により粗面としたり透過率の低い材質を塗布したりすることで形成してもよい。本変形例においては、光源121と、受光アレイPA1,PA2,PIL,PIRとが、ディスク110を挟んで対向配置されるが、本変形例における光学モジュール120は、このように別体として形成された光源と受光アレイとを含む。このような透過型エンコーダを用いた場合も、上記実施形態と同様の効果を得る。
【0081】
(4−5.その他)
また、上記実施形態では、受光アレイPA1,PA2がそれぞれ9個の受光素子を有し、アブソリュート信号が9ビットの絶対位置を表す場合を説明したが、受光素子の数は9以外でもよく、アブソリュート信号のビット数も9に限定されない。また、受光アレイPIL,PIRの受光素子の数も、上記実施形態の数に特に限定されるものではない。
【0082】
また、上記実施形態では、エンコーダ100がモータMに直接連結される場合について説明したが、例えば減速機や回転方向変換機等の他の機構を介して連結されてもよい。